JP2004049999A - 静電噴霧装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】噴霧ヘッドを構成する噴霧ノズルのプレッシャバルブ10先端部に傾斜状の溝10Aを切削形成し、環状放電電極部7を直流高電圧発生装置より高電圧供給時に電圧がほぼ同電位となる電界緩和部材により包囲され、前記電界緩和部材を貫通し放電電極部に鋭利な針状又は突起状の電極を適宜に形成する。
【選択図】図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粒状の農薬を帯電させ、高電圧電極と農作物との間に発生させた静電界を利用し効率的に農薬を散布する静電農薬散布装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来の農薬散布方法において、トラクタ等に液薬タンク、発電機等を搭載し、小型エンジンの動力を用いて行う、液体又は粉体の農薬を霧状に噴霧させる動力散布機が存在する。この動力散布方法は、主に噴射機等の散布機から噴出する粉体又は液体の微粒子に与えられる運動エネルギ、噴出空気による輸送力及び重力によって、農薬が作物まで移動し、付着する。
【0003】
しかし、前述した動力散布機において、噴霧ノズルから噴霧された農薬はその初速及び散布する方向性に依存するため、その多くが作物に付着することなく、大気中や土中に放散させてしまい、農薬消費量が過大になるばかりでなく散布量が不均等になってしまうことから、作物の葉の裏面や茂みの中に付着させることが非常に困難であった。
【0004】
そのような観点から、散布用農薬の噴霧微粒子に高電圧の静電気を印加することにより作物全体に効率良く農薬を付着させるようにした静電式散布方法が用いられてきたことは周知のことであり、噴霧粒の付着の吸引力は、静電気の帯電作用により重力の40倍にも相当すると言われており葉面散布液の効果を最大限に高める為には最も有益な手段である。
【0005】
前述した静電散布方法によると、噴霧ノズルより噴霧される噴霧粒が静電気を帯びることにより、霧の粒子が約20μ以上の電着効果を得ることができ、従来の動力散布方法に比べ、作物に農薬の散布ムラが発生することがなく、作物全体に効率よく付着させることができるものである。
【0006】
しかし従来の装置及び方法の場合には次のような欠点がある。
【0007】
従来の静電散布方法では、圧縮空気が噴霧ヘッドのエアノズル先端より水平方向に噴射されるため、茂みの中等の対象植物への到着率および付着率が低いことに加え、霧の粒子が約20μ(1,000分の20mm)〜40μ(1,000分の40mm)であっ
たため、例えば室温の高いガラスハウス中のような環境下で使用する場合において、温度変化に伴い粒子が粗くなってしまい、大気中に舞上がるか或いは、土中に落下してしまうことがあった。この結果、電着率が不安定になってしまうことから散布ムラが生じ作物に沁みができてしまう問題があった。
また、前述した問題により作物中の茂みに電着させることが困難になり、作業効率も悪く、農薬消費量も過大になってしまう要因にもなっていた。
本発明はこれらの問題点を鑑み、噴霧液の流失や大気中への拡散量を減少させ、使用する農薬量を必要最低限にでき且つ作業時間を短縮することができることに加え、ガラスハウスのような高温の状況下においても、温度差による散布ムラをなくし、噴霧粒の対象作物への到着率および付着率が極めて高い農薬噴霧装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、環状放電電極により発生する高電圧の静電気放電帯域を励磁させ静電気を帯電させる放電電極部と、該放電電極部を通して、液薬微粒子を適宜高圧にて噴霧させる噴霧ヘッドからなる静電噴霧高圧機において、前記噴霧ヘッドを構成する噴霧ノズルのプレッシャバルブ先端部に、前記噴霧ヘッドから噴射される液薬微粒子を螺旋状に案内する溝を切削形成したものである。
【0009】
請求項1の構成により、噴霧ノズルより噴射される圧縮空気は溝を通過することにより噴霧ノズルから螺旋状に噴出され、液薬微粒子を捲き込むように噴霧することができるものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の静電噴霧装置において、前記環状放電電極部は直流高電圧発生装置より高電圧供給時に電圧がほぼ同電位となる電界緩和部材により包囲され、前記電界緩和部材を貫通し放電電極部に鋭利な針状又は突起状の電極を適宜に形成せしめたものである。
【0011】
この請求項2の構成では、高電圧供給時に電圧がほぼ同電位となる電界緩和部材により、放電電極部の電界集中による火花放電を防止させることで、高電圧(30KV程)から低電圧(1〜2KV程)まで電極間の印加電圧を広範囲に安定して供給することができる。また、針状又は突起状の電極を形成することで静電帯域における高い電着力を得ることができるものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の静電噴霧装置において、噴霧ヘッドと、前記噴霧ヘッドに結合する管状支持体からなる本体、または本体部分は周囲が連続した非導電材料から形成されるものである。
【0013】
この請求項3の構成によれば、高圧の静電気を帯電する噴霧ヘッドから構成される本体部分を例えば、塩化ポリビニール、ポリプロピレン等のプラスチック非導電部材により形成することで、電流の漏洩を最小限に抑えることに加えアークの発生を防止することができるものである。
【0014】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付図を参照して説明する。図1は本願発明の一実施例を示す手持ち式の静電噴霧機の側面図であり、図2は静電噴霧機の噴霧ヘッド部のプレッシャバルブ先端の平面図、図3は同側面図であり、図4は噴霧ヘッドの針状電極部を示す平面図、図5は噴霧ヘッド本体の作動を示す断面図であり、図6は本発明にかかる静電噴霧機の一実施形態の説明図である。
【0015】
これらの図に基づいて各部の構成を説明する。図1で示した一実施例の静電噴霧機は手持ち式の噴霧ガン型式を有するものである。保持部である基端部1、液薬を噴霧し流量を操作するトリガ2を備え、管状支持体5によって先端に配設させた噴霧ヘッド4からなる構成であり、噴霧ヘッド4等外装面を含む本体部分は非導電材料より形成される。前述した非導電材料には例えば、ポリプロピレン、アクリル性ポリカーボネート、ポリエチレン等のプラスチック樹脂絶縁材料により、また管状支持体5にはアルミニウム等の絶縁性軽金属で形成するのが望ましい。また、本願明細書中で用いる農薬及び液薬とは、一般的な農作物に散布される農薬に限らず、除草、消毒、殺菌、殺虫、害虫駆除剤等を含むものとする。
【0016】
次に前記構成についてその作用を説明する。使用者は基端部1と管状支持体5を保持して、トリガ2を矢印a方向へ深く握ることにより噴霧量の増減を任意に調節することが可能である。また、基端部1の上面内部に、可変高電圧発生装置3が内蔵される。この可変高電圧発生装置3は通常用いられるようなコイルやコンデンサを利用して電池電圧を昇圧する形式のものが装着されて、外部の発電機等から交流電圧を金属線3bより供給する。一方の出力端子は、電圧供給の金属線13aより管状支持体5を通して環状放電電極7及び針状電極部7aに接続される。また他方の出力端子にはアース用の金属線3aが接続されている。また、管状支持体5の先端部に接続させる噴霧ヘッド4の帯電作用により噴霧粒に静電気を帯電させて噴霧ノズルより噴霧させる。
【0017】
次に図2〜4に基づいて、噴霧ヘッド4の各部の詳細な説明をする。図2、3に示すようにプレッシャバルブ10先端のテーパ面外周に溝10Aを切削形成している。この溝10Aは、噴霧作動時には外部動力によって圧送される圧縮空気の流路となり、ノズル管9を通り、ノズル先端部11の微粒子噴霧口11´より噴霧される高圧の液薬微粒子に、対流を形成させながら噴霧される。そして、本実施例において、この溝10Aの形成角度は、30°〜60°、本実施例では約45°傾斜させ切削形成させている。このように、圧縮空気の流路となる溝10Aを傾斜させて形成することにより、ノズル管9を通り、ノズル先端部11の微粒子噴霧口11´より噴霧される高圧の液薬微粒子は、溝10Aによって螺旋状に案内され、噴霧口11´から噴霧される。
【0018】
更に、図4に示すように、微粒子噴霧口11´より噴霧される微粒状の液薬は噴霧出口に設けられた電極部7aにより印加される。前記電極部7aは図に示すように針状の電極部であり、高電圧供給時に電圧がほぼ同電位となるように電界緩和部材15に包囲された環状放電電極部7を具備させ、帯電効果を高め、電流の漏洩を防止する絶縁性シュラウド14の電極カバーにより構成される。尚、前述した針状電極部は、針等の形状の代りに鋭い突起部、縁部を備えても或いは細い線等の形状でもよい。
【0019】
前記構成により、放電電極部7aの電界集中による火花放電を防止させることができる。更に、可変高電圧発生装置3の作動により、前記ノズル先端部11と電界増強電極として働く前記環状放電電極7との間に高電圧の放電帯域を発生させる。この印加電圧は高電圧(30KV程)から低電圧(1〜2KV程)の範囲で、安定した供給をすることができるが、本願発明の静電噴霧機において、6KV前後を適当かつ有用とする。
【0020】
更に、上記の構成を基に図5に示す噴霧ヘッドの作動を説明する。また、図5は前記一実施例に対応しており、前記実施例と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。使用時において、基端部1に付設されるトリガ2の開度により、可変高電圧発生装置3が作動されると、電圧供給金属線13aより、環状放電電極7および針状電極部7aとの間に高電圧が印加させる。それにより、静電気放電帯域を励磁させ静電気を帯電させることができる。発生した静電帯域の静電気は、針状電極部7aと逆の極性にある噴霧ノズル18先端部の微粒子噴霧口11´へ引き寄せられ、この静電帯域の発生により、ポンプ作用が得られ、ヘッド部基体20内の気体流路16及び液体流路17より、圧縮空気と液薬が噴霧ノズル18へそれぞれ供給される。そして、噴霧ノズル18より噴霧される噴霧粒が静電気を帯びることにより、高い電着力と貫通力を得ることができる。
【0021】
また、図6に示すように、この装置では、液薬タンク22と小型エンジン等の動力装置24の間に設けられたコンプレッサ23により、圧縮空気と液薬の供給を行っている。更に、電圧を供給する高周波発電機26の出力は、その回転体の回転速度によって変化し、回転速度は回転伝達率調整機25の伝達率を変換させることにより、小型エンジン等の動力装置24の回転数に比例して変化するようになっている。従って、コンプレッサ23を駆動する動力装置24で高周波発電機25を駆動させて、液薬の送出量を調節するようになっており、回転伝達率調整装置25の伝達率を任意に変えることにより、高周波発電機26の出力には適切な電力を発生させ、噴霧ガン21に所望の電圧を供給することができる。
【0022】
以上のように、本実施例では、請求項1に対応して、環状放電電極7により発生する高電圧の静電気放電帯域を励磁させ静電気を帯電させる放電電極部7aと、該放電電極部7aを通して、液薬微粒子を適宜高圧にて噴霧させる噴霧ヘッド4からなる静電噴霧高圧機において、前記噴霧ヘッド4を構成する噴霧ノズル18のプレッシャバルブ10先端部に、前記噴霧ヘッド4から噴射される液薬微粒子を螺旋状に案内する溝10Aを切削形成したことにより、噴霧ヘッド4内へ供給された圧縮空気が、プレッシャバルブ10の先端部へ送出される工程において、傾斜状に切削形成された溝10Aにより対流しながら噴霧することにより、液薬微粒子の付着率を向上させることに加え、高い貫通力を得ることができる。
【0023】
また、請求項2に対応して、前記環状放電電極部7は直流高電圧発生装置3より高電圧供給時に電圧がほぼ同電位となる電界緩和部材15により包囲され、前記電界緩和部材15を貫通し放電電極部7aに鋭利な針状又は突起状の電極を適宜に形成せしめたことにより、放電電極部7aの電界集中による火花放電を防止すると共に、所望の印加電圧を安定して供給することができ、鋭利な針状又は突起状の電極部7aを形成させたことにより、霧状の粒子を10μ前後の粒径にすることができる。
【0024】
また、請求項3に対応して、噴霧ヘッド4と、前記噴霧ヘッド4に結合する管状支持体5からなる本体、または本体部分は周囲が連続した非導電材料から形成されることにより、電流の漏洩を最小限に抑えることに加え、アークの発生を防止することができる。
【0025】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形が可能である。例えば、本願静電噴霧装置の一実施例に示す手持ち噴霧ガン型式のみならず、自動式静電噴霧機或いはトラクタ、車または飛行機に搭載される大規模な農薬散布装置にも用いることも可能である。
【0026】
【発明の効果】
請求項1の発明は、環状放電電極により発生する高電圧の静電気放電帯域を励磁させ静電気を帯電させる放電電極部と、該放電電極部を通して、液薬微粒子を適宜高圧にて噴霧させる噴霧ヘッドからなる静電噴霧高圧機において、前記噴霧ヘッドを構成する噴霧ノズルのプレッシャバルブ先端部に、前記噴霧ヘッドから噴射される液薬微粒子を螺旋状に案内する溝を切削形成した静電噴霧装置であり、噴霧ヘッドのエアノズル噴霧粒に圧縮空気の貫通力を捻じ込む、或いは対流するようにして、噴霧させることができるようになり、噴霧粒子の対象作物への到着率および付着率が極めて高くなり、作物の茂みの奥深くまで農薬の粒子を噴霧させることができる。
【0027】
請求項2の発明は、前記環状放電電極部は直流高電圧発生装置より高電圧供給時に電圧がほぼ同電位となる電界緩和部材により包囲され、前記電界緩和部材を貫通し放電電極部に鋭利な針状又は突起状の電極を適宜に形成せしめたことを特徴とする請求項1記載の静電噴霧装置であり、ガラスハウスのような高温の状況においても、微粒子が最も付着しやすい、10μ前後の粒径により噴霧することができるので、温度差等による散布ムラを確実に防止することができる。また、噴霧液の流失や大気中への飛散量が減少し、使用農薬量を飛躍的に減少させることができるとともに、作業時間の大幅な短縮を図ることができる。更に、噴霧粒を安定しかつ効果的に電着させることができるので、開花してしまうと農薬散布が困難であった作物に対して、必要最小限の農薬を付着させることができ、かつ散布ムラによる葉面等の沁みも確実に防止することができる。
【0028】
請求項3の発明は、噴霧ヘッドと、前記噴霧ヘッドに結合する管状支持体からなる本体、または本体部分は周囲が連続した非導電材料から形成されることを特徴とする請求項1〜2に記載の静電噴霧装置であり、電流の漏洩を最小限に抑えることにより、使用中の火災等の事故を未然に防ぐとともに、高電圧が印加される電極部におけるアークの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す静電噴霧機の側面図である。
【図2】本発明の一実施例のプレッシャバルブ先端の平面図である。
【図3】本発明の一実施例のプレッシャバルブの側面図である。
【図4】本発明の一実施例を示す針状電極部である。
【図5】本発明の一実施例を示す噴霧ヘッド本体の断面図である。
【図6】本発明の一実施例を示す実施形態の説明図である。
【符号の説明】
3 直流高電圧発生装置
4 噴霧ヘッド
5 管状支持体
7 環状放電電極
7a 放電電極部
10 プレッシャバルブ
10A 形成溝
15 電界緩和部材
18 噴霧ノズル
Claims (3)
- 環状放電電極により発生する高電圧の静電気放電帯域を励磁させ静電気を帯電させる放電電極部と、該放電電極部を通して、液薬微粒子を適宜高圧にて噴霧させる噴霧ヘッドからなる静電噴霧高圧機において、前記噴霧ヘッドを構成する噴霧ノズルのプレッシャバルブ先端部に、前記噴霧ヘッドから噴射される液薬微粒子を螺旋状に案内する溝を切削形成したことを特徴とする静電噴霧装置。
- 前記環状放電電極部は直流高電圧発生装置より高電圧供給時に電圧がほぼ同電位となる電界緩和部材により包囲され、前記電界緩和部材を貫通し放電電極部に鋭利な針状又は突起状の電極を適宜に形成せしめたことを特徴とする請求項1記載の静電噴霧装置。
- 噴霧ヘッドと、前記噴霧ヘッドに結合する管状支持体からなる本体、または本体部分は周囲が連続した非導電材料から形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電噴霧装置。
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