JP2004048109A - 無給電素子付きスロットボータイアンテナ、および無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】未公知の先願(特願2000−266273)に係る、無給電素子を設けスロット型ボータイアンテナの長所(薄形,高利得,広帯域)を損なうことなく、そのアンテナ特性をいっそう向上させる。
【解決手段】両面プリント基板10の片方の面の銅箔10aに、4個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子5A,同5B,同5Cおよび同5Dを対称位置に配列し、多岐ストリップライン11によって上記4個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子に給電する。給電用の同軸ケーブル(図示省略)は、アレーアンテナ給電部hに接続される。
【選択図】 図1
【解決手段】両面プリント基板10の片方の面の銅箔10aに、4個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子5A,同5B,同5Cおよび同5Dを対称位置に配列し、多岐ストリップライン11によって上記4個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子に給電する。給電用の同軸ケーブル(図示省略)は、アレーアンテナ給電部hに接続される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、数百メガヘルツないし数万メガヘルツ近傍で使用するに好適な、高性能、かつ薄形のアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の薄形アンテナの例として、図11に示したパッチアンテナが公知である。本図の(A)は正面図、(B)は断面図である。
符号21と符号22とで示した2層基板によって構成されていて、該2層基板の片方の面にグランド板26が、他方の面に円形アンテナ素子23が、それぞれ導通パターンによって形成されるとともに、2層基板を貫くショートピン25によって相互に接続,導通されている。
そして、前記円板状アンテナ素子23の給電点にコンタクトピン27が半田付28されていて、ストリップライン24に接続されている。
この従来例では、本図11(B)から理解されるように、基板の厚さ2枚分の薄形に構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図11に示した従来例のパッチアンテナでは、基板2枚分の厚さを有している。また、構造が簡単なことは長所であるが、アンテナ性能をこれ以上は改良の余地が無い。
こうした点について更に改良し、基板1枚分の厚さで優れたアンテナ特性(例えば高利得,広帯域性)のアンテナを構成するため、本発明者は図12に示すような、無給電素子を設けたスロット形のボータイアンテナを創作して、別途出願中である(特願2000−266273号・以下、未公知の先願と言う)。
プリント基板4の片側の面に銅箔4aが成膜されており、破線で示して符号5を付したボータイ形の部分が、プリント技術を適用して取り除かれ、スロットアンテナになっている。χ−χ、およびy−yは対称軸である。
y軸と平行に、プリント基板4の他方の面(図において手前側)に、スロットボータイアンテナ素子5をy軸方向に跨いで,無給電素子6が配置されている。図から明らかなように、上記無給電素子6は前記の銅箔4aに対して絶縁されている。前記のプリント基板4を両面プリント基板(図示省略)として、前記の無給電素子6を導通パターンで形成することもできる。
符号7は給電線、符号8は給電点である。給電線7は、無給電素子付きのスロットボータイアンテナ素子5をy軸方向に跨いで、同軸ケーブル9に接続されている。
本発明は上記未公知の先願に係る無給電素子付きのスロットボータイアンテナを改良して、工業的生産に適する、さらに高利得の薄形アンテナを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために創作した請求項1に係る発明の構成は(図3、および図4を参照)、両面プリント基板の面の上に直交座標χ,yを想定し、
2個のほぼ等しい三角形もしくは扇形、またはこれに類似した形状の頂点を座標原点付近に位置せしめ、頂点付近を重ね合わせてχ軸方向に向かい合わせ、
χ軸に関してもy軸に関してもほぼ対称な「6本の直線または曲線で囲まれたボータイ形状」が設定されており、
前記両面プリント基板の片方の面に形成されている金属箔が、上記ボータイ形状に除去されてスロットボータイアンテナ素子(5)が形成されるとともに、
上記両面プリント基板の他方の面に、上記ボータイ形状をy軸方向に跨ぐ無給電素子(6)が導通パターンで形成され、
かつ、前記両面プリント基板の他方の面に、前記無給電素子とほぼ平行な給電用のストリップライン(11)が設けられ、
上記給電用ストリップラインの先端が、前記両面プリント基板の片方の面の金属箔に接続導通されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項1の発明によると、給電線が導通パターンによって構成されるので、形状,寸法が高精度であり、従ってアンテナ特性が安定する。
なお、本発明に係るスロットボータイアンテナは総べて無給電素子を備えているので、以下、説明文を簡潔ならしめるため、紛らわしくない場合には「無給電素子付きスロットボータイアンテナ」を、単に「スロットボータイアレーアンテナ」と略称する(無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナも同様に略称する)。
【0005】
請求項2に係る発明の構成は、上記請求項1の発明の構成要件に加えて(図5参照)、前記のストリップライン(11)が、両面プリント基板(10)の端縁に達した所に切欠き(4b)が設けられるとともに、
上記の切欠きに同軸ケーブル(9)が接続されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項2の発明によると、同軸ケーブルの中心線が、両面プリント基板の面とほぼ一致するので、当該スロットボータイアンテナをアンテナケースの中に収納する際に好都合である。
【0006】
請求項3に係る発明の構成は(図1参照)、座標軸χに平行な座標軸Xと、座標軸yに平行な座標軸Yとを想定して、
前記請求項1のスロットボータイアンテナの複数個がX軸に関して対称に配列されて、複数個のスロットボータイアンテナ素子を形成しており、
または、Y軸方向に平行移動された形に配列されて複数個のスロットボータイアンテナ素子が形成されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項3の発明を適用して、請求項1に係るスロットボータイアンテナを素子とするスロットボータイアンテナを構成すると、アンテナ利得が上昇し、その上、工業的大量生産に適していて、高品質の製品を低コストで生産することができる。
【0007】
請求項4に係る発明の構成は、前記請求項3のスロットボータイアレーアンテナの複数組がY軸に関して対称に配列されており、
または、X軸方向に平行移動された形に配列されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項4の発明を適用すると、前記請求項3の発明の効果を妨げることなく、アンテナ利得を一層向上させることができる。
【0008】
請求項5に係る発明の構成は、請求項3または請求項4の発明の構成要件に加えて、共通の両面プリント基板に、スロットボータイアンテナ素子がX軸方向にM列、Y軸方向にN段に配列されるとともに、
それぞれのスロットボータイアンテナ素子の給電点が、給電線によって高周波回路に接続されており、
かつ、上記M×N個のスロットボータイアンテナ素子について、その給電点の位置のy座標値がプラスであるグループと、y座標値がマイナスであるグループとに区分されていて、
上記2つのグループの内、いずれか片方のグループのスロットボータイアンテナ素子の給電点と高周波回路との間に、位相反転回路が介挿されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項5の発明によると、M列N段に配列されたスロットボータイアンテナ素子の中に、逆相の状態で給電されそうなスロットボータイアンテナ素子が有っても、その逆相関係を解消することができる。その結果として、多数のスロットボータイアンテナ素子の配列について設計的自由度が大きい。
【0009】
請求項6に係る発明の構成は、前記請求項3ないし請求項5の内の何れか一つの構成要件に加えて、前記両面プリント基板と平行に、導電材料製の反射板を設けたことを特徴とする。
以上に説明した請求項6の発明を適用すると、請求項3〜5の発明に係るスロットボータイアレーアンテナに指向性を与え、指向された方向のアンテナ利得をいっそう向上させることができる。
【0010】
請求項7に係る発明の構成は、前記請求項6に係る発明の構成要件に加えて、(図5を参照)、前記複数個のスロットボータイアンテナ素子それぞれが、給電点からの電気的長さの等しいストリップライン(11)を介して、同軸ケーブルの中心導体が接続されるとともに、
該同軸ケーブルの外部導体が両面プリント基板の銅箔に接続されており、
かつ、該同軸ケーブルは前記の反射板を貫通して後方へ引き出されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項7の発明によると、同軸ケーブルがスロットボータイアレーアンテナの背面から後方へ引き出される形に接続されるので、例えば該スロットボータイアレーアンテナが薄形であることを利用して壁掛額風のアンテナケースに収納した場合、同軸ケーブルを外観に表さないように配線することができる。
【0011】
請求項8に係る発明の構成は、前記請求項3ないし請求項5の発明の構成要件に加えて、スロットボータイアレーアンテナを構成している複数個のスロットボータイアンテナ素子の、給電点におけるインピーダンス50Ωであることを特徴とする。
以上に説明した請求項8の説明によると、スロットボータイアレーアンテナを構成しているスロットボータイアンテナ素子のそれぞれについて、共用する1本の同軸ケーブルに対してインピーダンス整合をとることが容易であり、給電線内部における損失を最小限に制御することができる。
【0012】
請求項9に係る発明の構成は前記請求項5の発明の構成要件に加えて、(図1参照)、前記M列,N段の配列におけるMの数およびNの数が共に2であり、
1個のスロットボータイアンテナ素子(5A)を第1のスロットボータイアンテナ素子と名付け、
上記第1のスロットボータイアンテナ素子(5B)をY軸方向に平行移動させた形状の第2のスロットボータイアンテナ素子(5B)が設けられており、
Y軸に関して、上記第1のスロットボータイアンテナ素子(5A)と対称に第3のスロットボータイアンテナ素子(5C)が設けられるとともに、
Y軸に関して前記第2のスロットボータイアンテナ素子(5B)と対称に、第4のスロットボータイアンテナ素子(5D)が設けられており、
かつ、第1のスロットボータイアンテナ素子(5A)の給電点(8)と、第2のスロットボータイアンテナ素子(5B)の給電点(8)とが、「電気的長さの等しい2本のストリップライン(11ab,11bc)を直列に介して接続されていて、上記2本のストリップライン相互の接続点を中間点(b)と名付け、
同様に、第3のスロットボータイアンテナ素子(5C)と第4のスロットボータイアンテナ素子(5D)とを接続する2本のストリップライン(11de,11ef)の接続点を中間点(e)と名付け、
さらに、上記2個の中間点(b)と中間点(e)とは、互いに電気的長さの等しいストリップライン(11bg)とストリップライン(eg)とによって中央点(g)に接続されるとともに、
上記中央点(g)は、ストリップライン(11gh)によって、アレーアンテナ給電部(h)に接続されており、このアレーアンテナ給電部(h)が同軸ケーブルを介して高周波回路と接続し得るようになっていることを特徴とする。
以上に説明した請求項9の発明によると、1個のスロットボータイアンテナ素子を用いた請求項1の発明に比して約4倍のアンテナ利得を有しており、
しかも、アレーアンテナを形成している4個のスロットボータイアンテナ素子のそれぞれが、共通の1本の同軸ケーブルに対して合理的にインピーダンス整合されていて、優れたアンテナ特性を発揮する。
【0013】
請求項10に係る発明の構成は、請求項9の構成要件に加えて(図1参照)、前記中間点(b)と中央点(g)との間にQマッチング(別称・Q整合、または1/4波長線路)が設けられるとともに、
中間点(e)と中央点(g)との間にQマッチングが設けられていて、
アレーアンテナ給電部(h)におけるインピーダンスを50Ωに整合されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項10の発明によれば、「4個のスロットボータイアンテナ素子」と「共通の1本の同軸ケーブル」との間のインピーダンス整合を、ストリップラインによって容易に、かつ低コストで行なうことができる。
【0014】
請求項11に係る発明の構成は、前記請求項10の発明の構成要件に加えて、(図1を参照)、前記の中央点(g)とアレーアンテナ給電部(h)とがストリップライン(11gh)で接続されており、
かつ、前記の中央点(g)に関して、上記ストリップライン(11gh)と点対称をなす位置に、「電気的長さがλ/4の奇数倍であるストリップライン11gi」が設けられるとともに、
該ストリップライン(11gh)の、対称点と反対側の端が、両面プリント基板を貫通して銅箔(10a)に接続導通されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項11の発明によると、給電用ストリップラインの対称性が保たれて、X軸,Y軸に直交するZ軸に関しても放射特性が傾かない。
すなわち、ストリップライン11gh(図1)のみを考えれば、中央点gに関して非対称の形状をなしているが、該ストリップライン11ghと対称なストリップライン11giを設けることによってZ軸に関して傾かない放射特性が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図2(A)は本発明の1実施形態の斜視図である。前掲の図12に示した未公知の先願との差異、すなわち、本発明を適用して改良した事項を抽出して説明すると次のとおりである。
未公知の先願(図12)のプリント基板4に代えて、本発明(図2)は両面プリント基板10を用いた。図3(A)はその要部正面図、(B)はそのt−t断面矢視図である。
上記両面プリント基板10の、符号10aを付した面の銅箔には、未公知の先願(図12)におけると同様のスロットボータイアンテナ素子5が形成されている。説明の便宜上、スロットボータイアンテナ素子5を設けた面を「片方の面」と呼ぶことにする。従って、符号10bを付した面は「他方の面」と呼ぶ。
未公知の先願(図12)においては、プリント基板4に対して、これと別途に構成した無給電素子6や給電線7が装着されていた。
これに比して、本実施形態(図2)においては、両面プリント基板10の他方の面10bに、導通パターンによって無給電素子6を形成し、給電線として機能するストリップライン11を形成した。これにより、形状・寸法精度の高い無給電素子や、給電線として機能するストリップライン11が低コストで構成される。
特に、給電線7がスロットボータイアンテナ素子5をy軸方向に跨いでいる部分を導電パターンで構成すると安定した高性能が得られる。
図3に示した例におけるストリップライン11は両面プリント基板10の他方の面10bに形成されているが、これと異なる実施形態として、本図2に符号Sを付して示した部分を該両面プリント基板の片方の面10aに設けても同様の作用・効果が得られる。このような構成も本発明の請求項1の技術的範囲に含まれる。
【0016】
図2(B)は、前記(A)図の部分拡大詳細である。ストリップライン11が両面プリント基板10の端縁に達した箇所に切欠10cが設けられ、グランド金具14が装着されている。
上記の切欠10cに同軸ケーブル9を装着したところの2面図を図4に示した。
上記同軸ケーブル9の中心導体9aをストリップライン11に半田付15するとともに、外部導体9bを両面プリント基板10の片方の面の銅箔に接続する。本例では、グランド金具14によって電気的に接続し、機械的に固定してある。このように構成すると大量生産に適し、高精度の製品が低コストで製造される。その上、同軸ケーブル9の中心線が、両面プリント基板の他方の面とほぼ一致するので、両面プリント基板10をアンテナケース(別称、アンテナカバー・図示省略)の中へ収納したとき、該アンテナケースの中心面と同軸ケーブルの中心線とがほぼ一致して好都合である(アンテナケースを作り易く、外観がすっきりしていて意匠的価値が高い)。
【0017】
図5は、本発明に係るボータイアンテナ形状の応用例を示す模式図である。
本図5(A)に符号5を付して鎖線で描いた形状は、前掲の図2においてスロットボータイアンテナ素子5と同様の形状で、これが基本図形である。
4個の凸形の頂点それぞれを点A,点B,点C,点Dと名付けると、これらの点の座標はA(α,β)、B(α,−β)、C(−α,−β)、D(−α,β)となる。また凹形の頂点をE,Fと名付けると、E(0,γ)、F(0,−γ)となる。
基本形状はこれらの点をA・B・F・C・D・E・Aの順に直線で結んだものである。
本図5(B)のようにA‐BとC‐Dとをそれぞれ凸曲線(本例では円弧)で結んでも同様のスロットボータイアンテナ機能が得られる。
また、本図5(C)のようにD‐E,E‐A,B‐F,F‐Cのそれぞれを凸曲線で結ぶこともできる。
本図5(D)は、A‐B,C‐Dを凹曲線で結ぶとともに、D‐E,E‐A,C‐F,F‐Bのそれぞれを凸曲線で結んでも同様のスロットボータイアンテナ機能が得られる。
【0018】
図1は、本発明に係るスロットボータイアレーアンテナの1実施例である。
スロットボータイアンテナ素子5Cは、前掲の図5(A)に示した基本形状のスロットボータイアンテナ素子である。
座標軸χに平行なX軸と、座標軸yに平行なY軸とを想定する。
上記スロットボータイアンテナ素子5CとY軸方向に平行移動させた形状のスロットボータイアンテナ素子5Dを設ける。
本発明において平行移動とは、移動前のスロットボータイアンテナ素子と、移動後のスロットボータイアンテナ素子との両方を設ける意である。
平行移動の距離Lχは、通信用電波の波長をλとして0.7λ〜1.0λとすることが望ましい。
さらに、Y軸を対称軸として、スロットボータイアンテナ素子5Cと対称にスロットボータイアンテナ素子5Aを設けるとともに、スロットボータイアンテナ素子5Dと対称にスロットボータイアンテナ素子5Bを設けてアレー構造とする。相互に対称なスロットボータイアンテナ素子のy軸間隔Lyは0.7λ〜1.0λとすることが望ましい。
【0019】
Y軸が両面プリント基板10の1辺と交わる箇所(本例では符号hを付して示した)に、当該アレーアンテナの給電部を設けるよう、以下に述べるごとく4個のスロットボータイアンテナ素子それぞれとの間に給電用のストリップライン11を多岐状に設ける。後に説明するまでの間、鎖線で描いた部分11giは無視して御覧願いたい。
多岐ストリップライン11の技の先端が、スロットボータイアンテナ素子5A,5B,5C,5Dのそれぞれに到達する点を、それぞれ点a,点c,点d,点fと名付ける。
点aと点cとを結ぶストリップラインの、電気的長さを2分する点を中間点bと名付ける。
点aを中間点bとを結ぶストリップライン11abの電気的長さは、点cと中間点bとを結ぶストリップライン11bcの電気的長さに等しくなる。
同様にして中間点eを設定し、電気的長さの等しいストリップライン11deおよびストリップライン11efが設けられる。
【0020】
前記2個の中間点b,中間点eを結ぶ線の中央を中央点gと名付ける。この中央点gはY軸上に位置している。
中間点bと中央点gとを結ぶストリップラインをストリップラインbgと名付けるとともに、中間点eを中央点gとを結ぶストリップラインをストリップラインegと名付ける。
前記中央点gと、アレーアンテナ給電部hとの間にストリップライン11ghを設ける。
これにより、アレーアンテナ給電部hと各スロットボータイアンテナ素子とが給電用のストリップラインで接続されるのであるが、次に述べるようにしてイランピーダンス整合を図る。
本例においては、アレーアンテナ給電部hに50Ωの同軸ケーブルを接続するように、かつ、枝の部分のストリップライン11ab,11bc,11ef,11deのインピーダンスが総べて50Ωとなるように構成した。その理由は、伝送線路内での損失は、インピーダンス50Ωのときに最小となることが知られているからである。
【0021】
本発明においては、4本のストリップライン11ab,11bc,11ef,11deと、アレーアンテナ給電部hとの間に、Qマッチングによる整合手段を設ける。具体的には次のとおりである。
中間点bに眼を置いて見ると、インピーダンス50Ωの2本のストリップライン11abと同11bcとが並列に接続されているので、インピーダンス25Ωとなる。同様に、中間点eのインピーダンスも25Ωとなる。
さらに中央点gに眼を置いて見ると、インピーダンス25Ωの2個の中間点b,eが並列に接続されているので、この中央点gのインピーダンスは12.5Ωとなる。
そこで、ストリップライン11bgと、ストリップライン11egとのそれぞれにQマッチングによる整合手段を設けて、中間点b,中間点eのインピーダンスをそれぞれ100Ωに設定して、中央点gのインピーダンスを50Ωにする。Qマッチングは当業界において公知の技術であり、通信技術関係の各種の辞典類(例えば文部省編の学術用語集電気工学編)に掲載されているので詳細は省略する。
【0022】
(図1参照)直交座標軸X,Y,Zを想定する。
図示の反射板12を設けなければ、本実施形態のスロットボータイアレーアンテナはZ軸方向に関して双方向の指向性を示すが、導電性の反射板12を両面プリント基板10と平行に設置すれば、矢印Z方向に1方向性となり、アンテナ利得が上昇する。
ところが、前記多岐ストリップライン11は、Y軸に関して対称であるが、X軸に関しては非対称である。詳しくは、ストリップライン11ghが中央点gに関して対称でない。
このため、本実施形態のスロットボータイアレーアンテナの放射特性がZ軸に対して傾斜する。
こうした非対称を解消するため、本例では、斜線で描いたストリップライン11giを、中央点gに関してストリップライン11ghと対称になるように設け、その電気的長さをλ/4の奇数倍とした。(奇数は1を含む)。
上記ストリップライン11giの先端の点iは、両面プリント基板10を貫通するスルーホールによって、片方の面10aの銅箔に接続,導通させる。
【0023】
図6(A)および図6(B)は、それぞれ前記図1の実施形態の変形例を示す要部断面図である。
図1と同じ符号を付した両面プリント基板10、ストリップラインbg,同eg、および中央点g、および反射板12は、前記図1におけると同様ないし類似の構成部分である。
(A)図参照、ストリップラインbgと同egとが集まっている中央点gに、同軸ケーブル9の中心導体9aを接続し、外部導体9bは両面プリント基板の片方の面の銅箔10aに接続する。
上記同軸ケーブル9は、反射板12を貫通して後方に引き出される。
本発明に係るスロットボータイアレーアンテナは薄形であることを長所とする。この長所を利用して壁掛形(または壁掛け額風)に構成したとき、同軸ケーブルを後方に引き出すと好都合である。
図6(B)は、同軸ケーブルを直接的に接続せず、同軸ケーブルコネクター17を設けた例である。符号16はスペーサである。このように構成しても、(A)図の実施例と同様な効果が得られる。
【0024】
本発明に係るスロットボータイアレーアンテナは、スロットボータイアンテナ素子をM列,N段に配列する。
前掲の図1は2列,2段に配列した例であるが、このようにM=N=2としても、軸対称に配列するか、平行移動させて配列するかによって16通りの変形例が考えられる。
図7および図8は、その内の7例を示した模式図であって、図7(A)は前掲の図1と同じように4個のスロットボータイアンテナ素子5A,5B,5C,5Dの配列を表している。
なお、図7,図8の説明において、紛らわしくない場合はスロットボータイアンテナ素子を単に「素子」と略記する。
図7(A)において、素子5A,素子5Bの組合せと、素子5C,5Dの組合せとは、Y軸に関して対称であり、
かつ、素子5B,素子5Dの組合せは、素子5A,5Cの組合せをY軸方向に平行移動させた形になっている。
【0025】
図7(B)において、素子5Aと素子5CとはY軸に関して対称であり、素子5A、素子5Cの組合せと、素子5E,素子5Fの組合せとはX軸に関して対称である。
Y軸に関して対称をなすことは別段の問題を生じないが、X軸に関して対称にスロットボータイアンテナ素子を配置すると、次に述べるような「逆相」の問題を生じる。
図7(B)の素子5Aにおける給電点8のy座標はプラスであり(χ軸の上方にあり)、素子5Eにおける給電点8のy座標値はマイナスである(χ軸の上方にある)。
このため、同位相の信号を素子5Aと素子5Eとに送り込むと、双方の素子から放射される電波は相互に逆位相となる。
本図7(B)の例では、素子5A,素子5Cというグループと、素子5E,素子5Fというグループとが相互に逆位相となる。
このような問題を解決するには、いずれか片方のグループの給電系統の途中に位相反転回路を設ければ良い。
位相反転手段は公知であるから詳細を省略するが、例えば電気的長さλ/2の導電ラインを設ければ定常波の位相が反転(180°の進相または遅相)する。
【0026】
図7(C)の実施例では、素子5AをX軸方向に平行移動させて素子5Gが設けられ、さらに、素子5A,素子5Gの組合せをY軸方向に平行移動させて素子5B,素子5Hの組合せが配置されている。
本実施例ではX軸に関して対称な素子が無いので、前述した逆相の問題は生じない。
図7(D)の実施例では、素子5AをX軸方向に平行移動させて素子5Gが設けられたところまでは前掲の(C)図と同様であるが、こうして配設された素子5A,素子5Gの組合せに対し、X軸に関して対称に素子5E,素子5Fが配設されている。このようにX軸に関して対称な素子配列が為されたら逆相の問題を生じるので、このような配置を避けるか、または位相反転回路を設けるか、何れかの配慮を要する。
【0027】
図8(E)の実施例における素子5Cは、前掲の(A)図における素子5Aに比して左右対称の形状である。つまり(A)図の素子5Cと同様である。
この素子5Cに対し、Y軸に関して対称に素子を設けると(E)図の素子5Aのようになる。こうして配置した素子5C,素子5Aの組合せをY軸方向に移動させると本図8(E)の素子配列となる(この配置を前掲の(A)図に比較すると、左半のグループ(5A,5B)と右半のグループ(5C,5D)とが入れ替わった形になっている。
また、上記(E)図における素子5C,素子5Aの組合せに対し、X軸に関して対称に素子5F,素子5Eを配置すると図8(F)の素子配列となる。X軸対称性を有しているので位相反転回路を併設する必要がある。
本図8(G)の実施例は、素子5CをX軸方向に平行移動させて素子5Dを設けるとともに、上記の素子5C,素子5Dの組合せをY軸方向に平行移動させて素子5D,素子5Gを配置してある。
上記(G)図における素子5C,素子5Dの組合せに対し、X軸に関して対称に素子5F,素子5Hを設けると、(H)図の素子配列が構成される。
【0028】
図7,図8を参照して以上に説明したのは、スロットボータイアンテナ素子を2列,2段に配列して形成される16種類の素子配列の内の8列である。
本発明に係るアレーアンテナは、スロットボータイアンテナ素子を、2列2段に限らずM列N段に配列することができる(M,Nはそれぞれ正の整数)。
本発明者が各種実施例について比較実験研究した結果によると、図1に示した構成(図7(A)の素子配置と同じ)が、性能,生産性,利便性などの総合評価に優れている。ただし、遠からぬ将来における仕様条件の変化によって、図1以外の実施形態に実用価値を生じることは充分に予想される。その理由は、アンテナ産業の現状が、通信機メーカーに対して分業・独立しており、かつ、通信機メーカーの要請に応じて設計製作している状態であるから、通信機の新機種開発を支援してアンテナメーカーも新型式アンテナを供給するため、設計の自由度を保持していることが望ましいからである。
従って、M列,N段の素子配列は多種多様であるが、その一つ一つに産業上の利用価値がある。
【0029】
図9は、図1に示した実施形態(鎖線で描かれているストリップライン11giは設けられている)の指向特性図表である。優れた指向性を有していることが読みとられる。
図10は、図1に示した実施形態のVSWR特性図表である。同調周波数帯域の広いことが表されている。
【0030】
【発明の効果】
以上に本発明の実施形態を挙げてその構成,作用を明らかならしめたように、請求項1の発明によると、給電線が導通パターンによって構成されているので、形状,寸法が高精度であり、従ってアンテナ特性が安定する。
請求項2の発明によると、同軸ケーブルの中心線が、両面プリント基板の面とほぼ一致するので、当該スロットボータイアンテナをアンテナケースの中に収納する際に好都合である。
【0031】
請求項3の発明を適用して、請求項1に係るスロットボータイアンテナを素子とするスロットボータイアレーアンテナを構成すると、アンテナ利得が上昇し、その上、工業的大量生産に適していて、高品質の製品を低コストで生産することができる。
請求項4の発明を適用すると、前記請求項3の発明の効果を妨げることなく、アンテナ利得を一層向上させることができる。
請求項5の発明によると、M列N段に配列されたスロットボータイアンテナ素子の中に、逆相の状態で給電されそうなスロットボータイアンテナ素子が有っても、その逆相関係を解消することができる。その結果として、多数のスロットボータイアンテナ素子の配列について設計的自由度が大きい。
【0032】
請求項6の発明を適用すると、請求項3〜5の発明に係るスロットボータイアレーアンテナに指向性を与え、指向された方向のアンテナ利得をいっそう向上させることができる。
請求項7の発明によると、同軸ケーブルがスロットボータイアレーアンテナの背面から後方へ引き出される形に接続されるので、例えば該スロットボータイアレーアンテナが薄形であることを利用して壁掛額風のアンテナケースに収納した場合、同軸ケーブルを外観に表さないように配線することができる。
請求項8の説明によると、スロットボータイアレーアンテナを構成しているスロットボータイアンテナ素子のそれぞれについて、共用する1本の同軸ケーブルに対してインピーダンス整合をとることが容易であり、給電線内部における損失を最小限に抑制することができる。
【0033】
請求項9の発明によると、1個のスロットボータイアンテナ素子を用いた請求項1の発明に比して約4倍のアンテナ利得を有しており、
しかも、アレーアンテナを形成している4個のスロットボータイアンテナ素子のそれぞれが、共通の1本の同軸ケーブルに対して合理的にインピーダンス整合されていて、優れたアンテナ特性を発揮する。
請求項10の発明によれば、「4個のスロットボータイアンテナ素子」と「共通の1本の同軸ケーブル」との間のインピーダンス整合を、ストリップラインによって容易に、かつ低コストで行なうことができる。
請求項11の発明によると、給電用ストリップラインの対称性が保持されて、X軸,Y軸に直交するZ軸に関しても放射特性が傾かない。
すなわち、ストリップライン11gh(図1)のみを考えれば、中央点gに関して非対称の形状をなしているが、該ストリップライン11ghと対象なストリップライン11giを設けることによってZ軸に関して傾かない放射特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスロットボータイアレーアンテナの1実施形態を模式的に描いた斜視図である。
【図2】本発明に係るスロットボータイアレーアンテナの1実施例を模式的に描いた斜視図に、その部分拡大詳細を付記した図である。
【図3】前掲の図2の実施形態の要部を抽出して拡大した2面図である。
【図4】前掲の図2の実施形態における同軸ケーブル取付部付近を拡大して描いた2面図である。
【図5】本発明に係るスロットボータイアンテナの変形例を列挙した模式図である。
【図6】前掲の図1の実施形態の変形例2種類を描いた断面図である。
【図7】スロットボータイアンテナ素子を2列2段に配置して構成したアレーアンテナの素子配列の4例を描いた模式図である。
【図8】前掲の図7の4例と異なる4例を描いた模式図である。
【図9】前掲の図1に示した実施形態における指向特性図表である。
【図10】前掲の図1に示した実施形態におけるVSWR図表である。
【図11】パッチアンテナの従来例を示す2面図である。
【図12】未公知の先願の発明に係るスロットボータイアンテナの斜視図である。
【符号の説明】
4・・・プリント基板、4a・・・銅箔、5・・・スロットボータイアンテナ素子、5A〜5G・・・スロットボータイアンテナ素子(素子と略称)、6・・・無給電素子、7・・・給電線、8・・・給電点、9・・・同軸ケーブル、9a・・・中心導体、9b・・・外部導体、10・・・両面プリント基板、10a・・・片方の面(銅箔)、10b・・・他方の面、10c・・・切欠、11・・・ストリップライン、12・・・反射板、13・・・スルーホール、14・・・グランド金具、15・・・半田付。
【発明の属する技術分野】
本発明は、数百メガヘルツないし数万メガヘルツ近傍で使用するに好適な、高性能、かつ薄形のアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の薄形アンテナの例として、図11に示したパッチアンテナが公知である。本図の(A)は正面図、(B)は断面図である。
符号21と符号22とで示した2層基板によって構成されていて、該2層基板の片方の面にグランド板26が、他方の面に円形アンテナ素子23が、それぞれ導通パターンによって形成されるとともに、2層基板を貫くショートピン25によって相互に接続,導通されている。
そして、前記円板状アンテナ素子23の給電点にコンタクトピン27が半田付28されていて、ストリップライン24に接続されている。
この従来例では、本図11(B)から理解されるように、基板の厚さ2枚分の薄形に構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図11に示した従来例のパッチアンテナでは、基板2枚分の厚さを有している。また、構造が簡単なことは長所であるが、アンテナ性能をこれ以上は改良の余地が無い。
こうした点について更に改良し、基板1枚分の厚さで優れたアンテナ特性(例えば高利得,広帯域性)のアンテナを構成するため、本発明者は図12に示すような、無給電素子を設けたスロット形のボータイアンテナを創作して、別途出願中である(特願2000−266273号・以下、未公知の先願と言う)。
プリント基板4の片側の面に銅箔4aが成膜されており、破線で示して符号5を付したボータイ形の部分が、プリント技術を適用して取り除かれ、スロットアンテナになっている。χ−χ、およびy−yは対称軸である。
y軸と平行に、プリント基板4の他方の面(図において手前側)に、スロットボータイアンテナ素子5をy軸方向に跨いで,無給電素子6が配置されている。図から明らかなように、上記無給電素子6は前記の銅箔4aに対して絶縁されている。前記のプリント基板4を両面プリント基板(図示省略)として、前記の無給電素子6を導通パターンで形成することもできる。
符号7は給電線、符号8は給電点である。給電線7は、無給電素子付きのスロットボータイアンテナ素子5をy軸方向に跨いで、同軸ケーブル9に接続されている。
本発明は上記未公知の先願に係る無給電素子付きのスロットボータイアンテナを改良して、工業的生産に適する、さらに高利得の薄形アンテナを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために創作した請求項1に係る発明の構成は(図3、および図4を参照)、両面プリント基板の面の上に直交座標χ,yを想定し、
2個のほぼ等しい三角形もしくは扇形、またはこれに類似した形状の頂点を座標原点付近に位置せしめ、頂点付近を重ね合わせてχ軸方向に向かい合わせ、
χ軸に関してもy軸に関してもほぼ対称な「6本の直線または曲線で囲まれたボータイ形状」が設定されており、
前記両面プリント基板の片方の面に形成されている金属箔が、上記ボータイ形状に除去されてスロットボータイアンテナ素子(5)が形成されるとともに、
上記両面プリント基板の他方の面に、上記ボータイ形状をy軸方向に跨ぐ無給電素子(6)が導通パターンで形成され、
かつ、前記両面プリント基板の他方の面に、前記無給電素子とほぼ平行な給電用のストリップライン(11)が設けられ、
上記給電用ストリップラインの先端が、前記両面プリント基板の片方の面の金属箔に接続導通されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項1の発明によると、給電線が導通パターンによって構成されるので、形状,寸法が高精度であり、従ってアンテナ特性が安定する。
なお、本発明に係るスロットボータイアンテナは総べて無給電素子を備えているので、以下、説明文を簡潔ならしめるため、紛らわしくない場合には「無給電素子付きスロットボータイアンテナ」を、単に「スロットボータイアレーアンテナ」と略称する(無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナも同様に略称する)。
【0005】
請求項2に係る発明の構成は、上記請求項1の発明の構成要件に加えて(図5参照)、前記のストリップライン(11)が、両面プリント基板(10)の端縁に達した所に切欠き(4b)が設けられるとともに、
上記の切欠きに同軸ケーブル(9)が接続されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項2の発明によると、同軸ケーブルの中心線が、両面プリント基板の面とほぼ一致するので、当該スロットボータイアンテナをアンテナケースの中に収納する際に好都合である。
【0006】
請求項3に係る発明の構成は(図1参照)、座標軸χに平行な座標軸Xと、座標軸yに平行な座標軸Yとを想定して、
前記請求項1のスロットボータイアンテナの複数個がX軸に関して対称に配列されて、複数個のスロットボータイアンテナ素子を形成しており、
または、Y軸方向に平行移動された形に配列されて複数個のスロットボータイアンテナ素子が形成されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項3の発明を適用して、請求項1に係るスロットボータイアンテナを素子とするスロットボータイアンテナを構成すると、アンテナ利得が上昇し、その上、工業的大量生産に適していて、高品質の製品を低コストで生産することができる。
【0007】
請求項4に係る発明の構成は、前記請求項3のスロットボータイアレーアンテナの複数組がY軸に関して対称に配列されており、
または、X軸方向に平行移動された形に配列されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項4の発明を適用すると、前記請求項3の発明の効果を妨げることなく、アンテナ利得を一層向上させることができる。
【0008】
請求項5に係る発明の構成は、請求項3または請求項4の発明の構成要件に加えて、共通の両面プリント基板に、スロットボータイアンテナ素子がX軸方向にM列、Y軸方向にN段に配列されるとともに、
それぞれのスロットボータイアンテナ素子の給電点が、給電線によって高周波回路に接続されており、
かつ、上記M×N個のスロットボータイアンテナ素子について、その給電点の位置のy座標値がプラスであるグループと、y座標値がマイナスであるグループとに区分されていて、
上記2つのグループの内、いずれか片方のグループのスロットボータイアンテナ素子の給電点と高周波回路との間に、位相反転回路が介挿されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項5の発明によると、M列N段に配列されたスロットボータイアンテナ素子の中に、逆相の状態で給電されそうなスロットボータイアンテナ素子が有っても、その逆相関係を解消することができる。その結果として、多数のスロットボータイアンテナ素子の配列について設計的自由度が大きい。
【0009】
請求項6に係る発明の構成は、前記請求項3ないし請求項5の内の何れか一つの構成要件に加えて、前記両面プリント基板と平行に、導電材料製の反射板を設けたことを特徴とする。
以上に説明した請求項6の発明を適用すると、請求項3〜5の発明に係るスロットボータイアレーアンテナに指向性を与え、指向された方向のアンテナ利得をいっそう向上させることができる。
【0010】
請求項7に係る発明の構成は、前記請求項6に係る発明の構成要件に加えて、(図5を参照)、前記複数個のスロットボータイアンテナ素子それぞれが、給電点からの電気的長さの等しいストリップライン(11)を介して、同軸ケーブルの中心導体が接続されるとともに、
該同軸ケーブルの外部導体が両面プリント基板の銅箔に接続されており、
かつ、該同軸ケーブルは前記の反射板を貫通して後方へ引き出されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項7の発明によると、同軸ケーブルがスロットボータイアレーアンテナの背面から後方へ引き出される形に接続されるので、例えば該スロットボータイアレーアンテナが薄形であることを利用して壁掛額風のアンテナケースに収納した場合、同軸ケーブルを外観に表さないように配線することができる。
【0011】
請求項8に係る発明の構成は、前記請求項3ないし請求項5の発明の構成要件に加えて、スロットボータイアレーアンテナを構成している複数個のスロットボータイアンテナ素子の、給電点におけるインピーダンス50Ωであることを特徴とする。
以上に説明した請求項8の説明によると、スロットボータイアレーアンテナを構成しているスロットボータイアンテナ素子のそれぞれについて、共用する1本の同軸ケーブルに対してインピーダンス整合をとることが容易であり、給電線内部における損失を最小限に制御することができる。
【0012】
請求項9に係る発明の構成は前記請求項5の発明の構成要件に加えて、(図1参照)、前記M列,N段の配列におけるMの数およびNの数が共に2であり、
1個のスロットボータイアンテナ素子(5A)を第1のスロットボータイアンテナ素子と名付け、
上記第1のスロットボータイアンテナ素子(5B)をY軸方向に平行移動させた形状の第2のスロットボータイアンテナ素子(5B)が設けられており、
Y軸に関して、上記第1のスロットボータイアンテナ素子(5A)と対称に第3のスロットボータイアンテナ素子(5C)が設けられるとともに、
Y軸に関して前記第2のスロットボータイアンテナ素子(5B)と対称に、第4のスロットボータイアンテナ素子(5D)が設けられており、
かつ、第1のスロットボータイアンテナ素子(5A)の給電点(8)と、第2のスロットボータイアンテナ素子(5B)の給電点(8)とが、「電気的長さの等しい2本のストリップライン(11ab,11bc)を直列に介して接続されていて、上記2本のストリップライン相互の接続点を中間点(b)と名付け、
同様に、第3のスロットボータイアンテナ素子(5C)と第4のスロットボータイアンテナ素子(5D)とを接続する2本のストリップライン(11de,11ef)の接続点を中間点(e)と名付け、
さらに、上記2個の中間点(b)と中間点(e)とは、互いに電気的長さの等しいストリップライン(11bg)とストリップライン(eg)とによって中央点(g)に接続されるとともに、
上記中央点(g)は、ストリップライン(11gh)によって、アレーアンテナ給電部(h)に接続されており、このアレーアンテナ給電部(h)が同軸ケーブルを介して高周波回路と接続し得るようになっていることを特徴とする。
以上に説明した請求項9の発明によると、1個のスロットボータイアンテナ素子を用いた請求項1の発明に比して約4倍のアンテナ利得を有しており、
しかも、アレーアンテナを形成している4個のスロットボータイアンテナ素子のそれぞれが、共通の1本の同軸ケーブルに対して合理的にインピーダンス整合されていて、優れたアンテナ特性を発揮する。
【0013】
請求項10に係る発明の構成は、請求項9の構成要件に加えて(図1参照)、前記中間点(b)と中央点(g)との間にQマッチング(別称・Q整合、または1/4波長線路)が設けられるとともに、
中間点(e)と中央点(g)との間にQマッチングが設けられていて、
アレーアンテナ給電部(h)におけるインピーダンスを50Ωに整合されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項10の発明によれば、「4個のスロットボータイアンテナ素子」と「共通の1本の同軸ケーブル」との間のインピーダンス整合を、ストリップラインによって容易に、かつ低コストで行なうことができる。
【0014】
請求項11に係る発明の構成は、前記請求項10の発明の構成要件に加えて、(図1を参照)、前記の中央点(g)とアレーアンテナ給電部(h)とがストリップライン(11gh)で接続されており、
かつ、前記の中央点(g)に関して、上記ストリップライン(11gh)と点対称をなす位置に、「電気的長さがλ/4の奇数倍であるストリップライン11gi」が設けられるとともに、
該ストリップライン(11gh)の、対称点と反対側の端が、両面プリント基板を貫通して銅箔(10a)に接続導通されていることを特徴とする。
以上に説明した請求項11の発明によると、給電用ストリップラインの対称性が保たれて、X軸,Y軸に直交するZ軸に関しても放射特性が傾かない。
すなわち、ストリップライン11gh(図1)のみを考えれば、中央点gに関して非対称の形状をなしているが、該ストリップライン11ghと対称なストリップライン11giを設けることによってZ軸に関して傾かない放射特性が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図2(A)は本発明の1実施形態の斜視図である。前掲の図12に示した未公知の先願との差異、すなわち、本発明を適用して改良した事項を抽出して説明すると次のとおりである。
未公知の先願(図12)のプリント基板4に代えて、本発明(図2)は両面プリント基板10を用いた。図3(A)はその要部正面図、(B)はそのt−t断面矢視図である。
上記両面プリント基板10の、符号10aを付した面の銅箔には、未公知の先願(図12)におけると同様のスロットボータイアンテナ素子5が形成されている。説明の便宜上、スロットボータイアンテナ素子5を設けた面を「片方の面」と呼ぶことにする。従って、符号10bを付した面は「他方の面」と呼ぶ。
未公知の先願(図12)においては、プリント基板4に対して、これと別途に構成した無給電素子6や給電線7が装着されていた。
これに比して、本実施形態(図2)においては、両面プリント基板10の他方の面10bに、導通パターンによって無給電素子6を形成し、給電線として機能するストリップライン11を形成した。これにより、形状・寸法精度の高い無給電素子や、給電線として機能するストリップライン11が低コストで構成される。
特に、給電線7がスロットボータイアンテナ素子5をy軸方向に跨いでいる部分を導電パターンで構成すると安定した高性能が得られる。
図3に示した例におけるストリップライン11は両面プリント基板10の他方の面10bに形成されているが、これと異なる実施形態として、本図2に符号Sを付して示した部分を該両面プリント基板の片方の面10aに設けても同様の作用・効果が得られる。このような構成も本発明の請求項1の技術的範囲に含まれる。
【0016】
図2(B)は、前記(A)図の部分拡大詳細である。ストリップライン11が両面プリント基板10の端縁に達した箇所に切欠10cが設けられ、グランド金具14が装着されている。
上記の切欠10cに同軸ケーブル9を装着したところの2面図を図4に示した。
上記同軸ケーブル9の中心導体9aをストリップライン11に半田付15するとともに、外部導体9bを両面プリント基板10の片方の面の銅箔に接続する。本例では、グランド金具14によって電気的に接続し、機械的に固定してある。このように構成すると大量生産に適し、高精度の製品が低コストで製造される。その上、同軸ケーブル9の中心線が、両面プリント基板の他方の面とほぼ一致するので、両面プリント基板10をアンテナケース(別称、アンテナカバー・図示省略)の中へ収納したとき、該アンテナケースの中心面と同軸ケーブルの中心線とがほぼ一致して好都合である(アンテナケースを作り易く、外観がすっきりしていて意匠的価値が高い)。
【0017】
図5は、本発明に係るボータイアンテナ形状の応用例を示す模式図である。
本図5(A)に符号5を付して鎖線で描いた形状は、前掲の図2においてスロットボータイアンテナ素子5と同様の形状で、これが基本図形である。
4個の凸形の頂点それぞれを点A,点B,点C,点Dと名付けると、これらの点の座標はA(α,β)、B(α,−β)、C(−α,−β)、D(−α,β)となる。また凹形の頂点をE,Fと名付けると、E(0,γ)、F(0,−γ)となる。
基本形状はこれらの点をA・B・F・C・D・E・Aの順に直線で結んだものである。
本図5(B)のようにA‐BとC‐Dとをそれぞれ凸曲線(本例では円弧)で結んでも同様のスロットボータイアンテナ機能が得られる。
また、本図5(C)のようにD‐E,E‐A,B‐F,F‐Cのそれぞれを凸曲線で結ぶこともできる。
本図5(D)は、A‐B,C‐Dを凹曲線で結ぶとともに、D‐E,E‐A,C‐F,F‐Bのそれぞれを凸曲線で結んでも同様のスロットボータイアンテナ機能が得られる。
【0018】
図1は、本発明に係るスロットボータイアレーアンテナの1実施例である。
スロットボータイアンテナ素子5Cは、前掲の図5(A)に示した基本形状のスロットボータイアンテナ素子である。
座標軸χに平行なX軸と、座標軸yに平行なY軸とを想定する。
上記スロットボータイアンテナ素子5CとY軸方向に平行移動させた形状のスロットボータイアンテナ素子5Dを設ける。
本発明において平行移動とは、移動前のスロットボータイアンテナ素子と、移動後のスロットボータイアンテナ素子との両方を設ける意である。
平行移動の距離Lχは、通信用電波の波長をλとして0.7λ〜1.0λとすることが望ましい。
さらに、Y軸を対称軸として、スロットボータイアンテナ素子5Cと対称にスロットボータイアンテナ素子5Aを設けるとともに、スロットボータイアンテナ素子5Dと対称にスロットボータイアンテナ素子5Bを設けてアレー構造とする。相互に対称なスロットボータイアンテナ素子のy軸間隔Lyは0.7λ〜1.0λとすることが望ましい。
【0019】
Y軸が両面プリント基板10の1辺と交わる箇所(本例では符号hを付して示した)に、当該アレーアンテナの給電部を設けるよう、以下に述べるごとく4個のスロットボータイアンテナ素子それぞれとの間に給電用のストリップライン11を多岐状に設ける。後に説明するまでの間、鎖線で描いた部分11giは無視して御覧願いたい。
多岐ストリップライン11の技の先端が、スロットボータイアンテナ素子5A,5B,5C,5Dのそれぞれに到達する点を、それぞれ点a,点c,点d,点fと名付ける。
点aと点cとを結ぶストリップラインの、電気的長さを2分する点を中間点bと名付ける。
点aを中間点bとを結ぶストリップライン11abの電気的長さは、点cと中間点bとを結ぶストリップライン11bcの電気的長さに等しくなる。
同様にして中間点eを設定し、電気的長さの等しいストリップライン11deおよびストリップライン11efが設けられる。
【0020】
前記2個の中間点b,中間点eを結ぶ線の中央を中央点gと名付ける。この中央点gはY軸上に位置している。
中間点bと中央点gとを結ぶストリップラインをストリップラインbgと名付けるとともに、中間点eを中央点gとを結ぶストリップラインをストリップラインegと名付ける。
前記中央点gと、アレーアンテナ給電部hとの間にストリップライン11ghを設ける。
これにより、アレーアンテナ給電部hと各スロットボータイアンテナ素子とが給電用のストリップラインで接続されるのであるが、次に述べるようにしてイランピーダンス整合を図る。
本例においては、アレーアンテナ給電部hに50Ωの同軸ケーブルを接続するように、かつ、枝の部分のストリップライン11ab,11bc,11ef,11deのインピーダンスが総べて50Ωとなるように構成した。その理由は、伝送線路内での損失は、インピーダンス50Ωのときに最小となることが知られているからである。
【0021】
本発明においては、4本のストリップライン11ab,11bc,11ef,11deと、アレーアンテナ給電部hとの間に、Qマッチングによる整合手段を設ける。具体的には次のとおりである。
中間点bに眼を置いて見ると、インピーダンス50Ωの2本のストリップライン11abと同11bcとが並列に接続されているので、インピーダンス25Ωとなる。同様に、中間点eのインピーダンスも25Ωとなる。
さらに中央点gに眼を置いて見ると、インピーダンス25Ωの2個の中間点b,eが並列に接続されているので、この中央点gのインピーダンスは12.5Ωとなる。
そこで、ストリップライン11bgと、ストリップライン11egとのそれぞれにQマッチングによる整合手段を設けて、中間点b,中間点eのインピーダンスをそれぞれ100Ωに設定して、中央点gのインピーダンスを50Ωにする。Qマッチングは当業界において公知の技術であり、通信技術関係の各種の辞典類(例えば文部省編の学術用語集電気工学編)に掲載されているので詳細は省略する。
【0022】
(図1参照)直交座標軸X,Y,Zを想定する。
図示の反射板12を設けなければ、本実施形態のスロットボータイアレーアンテナはZ軸方向に関して双方向の指向性を示すが、導電性の反射板12を両面プリント基板10と平行に設置すれば、矢印Z方向に1方向性となり、アンテナ利得が上昇する。
ところが、前記多岐ストリップライン11は、Y軸に関して対称であるが、X軸に関しては非対称である。詳しくは、ストリップライン11ghが中央点gに関して対称でない。
このため、本実施形態のスロットボータイアレーアンテナの放射特性がZ軸に対して傾斜する。
こうした非対称を解消するため、本例では、斜線で描いたストリップライン11giを、中央点gに関してストリップライン11ghと対称になるように設け、その電気的長さをλ/4の奇数倍とした。(奇数は1を含む)。
上記ストリップライン11giの先端の点iは、両面プリント基板10を貫通するスルーホールによって、片方の面10aの銅箔に接続,導通させる。
【0023】
図6(A)および図6(B)は、それぞれ前記図1の実施形態の変形例を示す要部断面図である。
図1と同じ符号を付した両面プリント基板10、ストリップラインbg,同eg、および中央点g、および反射板12は、前記図1におけると同様ないし類似の構成部分である。
(A)図参照、ストリップラインbgと同egとが集まっている中央点gに、同軸ケーブル9の中心導体9aを接続し、外部導体9bは両面プリント基板の片方の面の銅箔10aに接続する。
上記同軸ケーブル9は、反射板12を貫通して後方に引き出される。
本発明に係るスロットボータイアレーアンテナは薄形であることを長所とする。この長所を利用して壁掛形(または壁掛け額風)に構成したとき、同軸ケーブルを後方に引き出すと好都合である。
図6(B)は、同軸ケーブルを直接的に接続せず、同軸ケーブルコネクター17を設けた例である。符号16はスペーサである。このように構成しても、(A)図の実施例と同様な効果が得られる。
【0024】
本発明に係るスロットボータイアレーアンテナは、スロットボータイアンテナ素子をM列,N段に配列する。
前掲の図1は2列,2段に配列した例であるが、このようにM=N=2としても、軸対称に配列するか、平行移動させて配列するかによって16通りの変形例が考えられる。
図7および図8は、その内の7例を示した模式図であって、図7(A)は前掲の図1と同じように4個のスロットボータイアンテナ素子5A,5B,5C,5Dの配列を表している。
なお、図7,図8の説明において、紛らわしくない場合はスロットボータイアンテナ素子を単に「素子」と略記する。
図7(A)において、素子5A,素子5Bの組合せと、素子5C,5Dの組合せとは、Y軸に関して対称であり、
かつ、素子5B,素子5Dの組合せは、素子5A,5Cの組合せをY軸方向に平行移動させた形になっている。
【0025】
図7(B)において、素子5Aと素子5CとはY軸に関して対称であり、素子5A、素子5Cの組合せと、素子5E,素子5Fの組合せとはX軸に関して対称である。
Y軸に関して対称をなすことは別段の問題を生じないが、X軸に関して対称にスロットボータイアンテナ素子を配置すると、次に述べるような「逆相」の問題を生じる。
図7(B)の素子5Aにおける給電点8のy座標はプラスであり(χ軸の上方にあり)、素子5Eにおける給電点8のy座標値はマイナスである(χ軸の上方にある)。
このため、同位相の信号を素子5Aと素子5Eとに送り込むと、双方の素子から放射される電波は相互に逆位相となる。
本図7(B)の例では、素子5A,素子5Cというグループと、素子5E,素子5Fというグループとが相互に逆位相となる。
このような問題を解決するには、いずれか片方のグループの給電系統の途中に位相反転回路を設ければ良い。
位相反転手段は公知であるから詳細を省略するが、例えば電気的長さλ/2の導電ラインを設ければ定常波の位相が反転(180°の進相または遅相)する。
【0026】
図7(C)の実施例では、素子5AをX軸方向に平行移動させて素子5Gが設けられ、さらに、素子5A,素子5Gの組合せをY軸方向に平行移動させて素子5B,素子5Hの組合せが配置されている。
本実施例ではX軸に関して対称な素子が無いので、前述した逆相の問題は生じない。
図7(D)の実施例では、素子5AをX軸方向に平行移動させて素子5Gが設けられたところまでは前掲の(C)図と同様であるが、こうして配設された素子5A,素子5Gの組合せに対し、X軸に関して対称に素子5E,素子5Fが配設されている。このようにX軸に関して対称な素子配列が為されたら逆相の問題を生じるので、このような配置を避けるか、または位相反転回路を設けるか、何れかの配慮を要する。
【0027】
図8(E)の実施例における素子5Cは、前掲の(A)図における素子5Aに比して左右対称の形状である。つまり(A)図の素子5Cと同様である。
この素子5Cに対し、Y軸に関して対称に素子を設けると(E)図の素子5Aのようになる。こうして配置した素子5C,素子5Aの組合せをY軸方向に移動させると本図8(E)の素子配列となる(この配置を前掲の(A)図に比較すると、左半のグループ(5A,5B)と右半のグループ(5C,5D)とが入れ替わった形になっている。
また、上記(E)図における素子5C,素子5Aの組合せに対し、X軸に関して対称に素子5F,素子5Eを配置すると図8(F)の素子配列となる。X軸対称性を有しているので位相反転回路を併設する必要がある。
本図8(G)の実施例は、素子5CをX軸方向に平行移動させて素子5Dを設けるとともに、上記の素子5C,素子5Dの組合せをY軸方向に平行移動させて素子5D,素子5Gを配置してある。
上記(G)図における素子5C,素子5Dの組合せに対し、X軸に関して対称に素子5F,素子5Hを設けると、(H)図の素子配列が構成される。
【0028】
図7,図8を参照して以上に説明したのは、スロットボータイアンテナ素子を2列,2段に配列して形成される16種類の素子配列の内の8列である。
本発明に係るアレーアンテナは、スロットボータイアンテナ素子を、2列2段に限らずM列N段に配列することができる(M,Nはそれぞれ正の整数)。
本発明者が各種実施例について比較実験研究した結果によると、図1に示した構成(図7(A)の素子配置と同じ)が、性能,生産性,利便性などの総合評価に優れている。ただし、遠からぬ将来における仕様条件の変化によって、図1以外の実施形態に実用価値を生じることは充分に予想される。その理由は、アンテナ産業の現状が、通信機メーカーに対して分業・独立しており、かつ、通信機メーカーの要請に応じて設計製作している状態であるから、通信機の新機種開発を支援してアンテナメーカーも新型式アンテナを供給するため、設計の自由度を保持していることが望ましいからである。
従って、M列,N段の素子配列は多種多様であるが、その一つ一つに産業上の利用価値がある。
【0029】
図9は、図1に示した実施形態(鎖線で描かれているストリップライン11giは設けられている)の指向特性図表である。優れた指向性を有していることが読みとられる。
図10は、図1に示した実施形態のVSWR特性図表である。同調周波数帯域の広いことが表されている。
【0030】
【発明の効果】
以上に本発明の実施形態を挙げてその構成,作用を明らかならしめたように、請求項1の発明によると、給電線が導通パターンによって構成されているので、形状,寸法が高精度であり、従ってアンテナ特性が安定する。
請求項2の発明によると、同軸ケーブルの中心線が、両面プリント基板の面とほぼ一致するので、当該スロットボータイアンテナをアンテナケースの中に収納する際に好都合である。
【0031】
請求項3の発明を適用して、請求項1に係るスロットボータイアンテナを素子とするスロットボータイアレーアンテナを構成すると、アンテナ利得が上昇し、その上、工業的大量生産に適していて、高品質の製品を低コストで生産することができる。
請求項4の発明を適用すると、前記請求項3の発明の効果を妨げることなく、アンテナ利得を一層向上させることができる。
請求項5の発明によると、M列N段に配列されたスロットボータイアンテナ素子の中に、逆相の状態で給電されそうなスロットボータイアンテナ素子が有っても、その逆相関係を解消することができる。その結果として、多数のスロットボータイアンテナ素子の配列について設計的自由度が大きい。
【0032】
請求項6の発明を適用すると、請求項3〜5の発明に係るスロットボータイアレーアンテナに指向性を与え、指向された方向のアンテナ利得をいっそう向上させることができる。
請求項7の発明によると、同軸ケーブルがスロットボータイアレーアンテナの背面から後方へ引き出される形に接続されるので、例えば該スロットボータイアレーアンテナが薄形であることを利用して壁掛額風のアンテナケースに収納した場合、同軸ケーブルを外観に表さないように配線することができる。
請求項8の説明によると、スロットボータイアレーアンテナを構成しているスロットボータイアンテナ素子のそれぞれについて、共用する1本の同軸ケーブルに対してインピーダンス整合をとることが容易であり、給電線内部における損失を最小限に抑制することができる。
【0033】
請求項9の発明によると、1個のスロットボータイアンテナ素子を用いた請求項1の発明に比して約4倍のアンテナ利得を有しており、
しかも、アレーアンテナを形成している4個のスロットボータイアンテナ素子のそれぞれが、共通の1本の同軸ケーブルに対して合理的にインピーダンス整合されていて、優れたアンテナ特性を発揮する。
請求項10の発明によれば、「4個のスロットボータイアンテナ素子」と「共通の1本の同軸ケーブル」との間のインピーダンス整合を、ストリップラインによって容易に、かつ低コストで行なうことができる。
請求項11の発明によると、給電用ストリップラインの対称性が保持されて、X軸,Y軸に直交するZ軸に関しても放射特性が傾かない。
すなわち、ストリップライン11gh(図1)のみを考えれば、中央点gに関して非対称の形状をなしているが、該ストリップライン11ghと対象なストリップライン11giを設けることによってZ軸に関して傾かない放射特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスロットボータイアレーアンテナの1実施形態を模式的に描いた斜視図である。
【図2】本発明に係るスロットボータイアレーアンテナの1実施例を模式的に描いた斜視図に、その部分拡大詳細を付記した図である。
【図3】前掲の図2の実施形態の要部を抽出して拡大した2面図である。
【図4】前掲の図2の実施形態における同軸ケーブル取付部付近を拡大して描いた2面図である。
【図5】本発明に係るスロットボータイアンテナの変形例を列挙した模式図である。
【図6】前掲の図1の実施形態の変形例2種類を描いた断面図である。
【図7】スロットボータイアンテナ素子を2列2段に配置して構成したアレーアンテナの素子配列の4例を描いた模式図である。
【図8】前掲の図7の4例と異なる4例を描いた模式図である。
【図9】前掲の図1に示した実施形態における指向特性図表である。
【図10】前掲の図1に示した実施形態におけるVSWR図表である。
【図11】パッチアンテナの従来例を示す2面図である。
【図12】未公知の先願の発明に係るスロットボータイアンテナの斜視図である。
【符号の説明】
4・・・プリント基板、4a・・・銅箔、5・・・スロットボータイアンテナ素子、5A〜5G・・・スロットボータイアンテナ素子(素子と略称)、6・・・無給電素子、7・・・給電線、8・・・給電点、9・・・同軸ケーブル、9a・・・中心導体、9b・・・外部導体、10・・・両面プリント基板、10a・・・片方の面(銅箔)、10b・・・他方の面、10c・・・切欠、11・・・ストリップライン、12・・・反射板、13・・・スルーホール、14・・・グランド金具、15・・・半田付。
Claims (11)
- 両面プリント基板の面の上に直交座標χ,yを想定し、
2個のほぼ等しい三角形もしくは扇形、またはこれに類似した形状の頂点を座標原点付近に位置せしめ、頂点付近を重ね合わせてχ軸方向に向かい合わせ、
χ軸に関してもy軸に関してもほぼ対称な「6本の直線または曲線で囲まれたボータイ形状」が設定されており、
前記両面プリント基板の片方の面に形成されている金属箔が、上記ボータイ形状に除去されるとともに、
上記両面プリント基板の他方の面に、上記ボータイ形状をy軸方向に跨ぐ無給電素子が、導通パターンで形成され、
かつ、前記両面プリント基板の他方の面に、前記無給電素子とほぼ平行な給電用のストリップラインが設けられ、
上記給電用ストリップラインの先端付近が、前記両面プリント基板の片方の面の金属箔に接続導通されていることを特徴とする無給電素子付きスロットボータイアンテナ。 - 前記の給電用ストリップラインが両面プリント基板の端縁まで達していて、
上記ストリップラインが到達した箇所において前記両面プリント基板に切欠きが設けられるとともに、
上記の切欠きに嵌め合わせて同軸ケーブルの先端、または、同軸ケーブルコネクタが装着され、
その中心導体がストリップラインに、外部導体が金属箔に、それぞれ接続導通されていることを特徴とする、請求項1に記載した無給電素子付きスロットボータイアンテナ。 - 座標軸χに平行な座標軸Xと、座標軸yに平行な座標軸Yとを想定して、
前記請求項1の無給電素子付きスロットボータイアンテナの複数個がX軸に関して対称に配列されて、複数個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子を形成しており、
または、Y軸方向に平行移動された形に配列されて複数個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子が形成されていることを特徴とする無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ。 - 前記請求項3の無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナの複数組がY軸に関して対称に配列されており、
または、X軸方向に平行移動された形に配列されていることを特徴とする、無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ。 - 共通の両面プリント基板に、無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子がX軸方向にM列、Y軸方向にN段に配列されるとともに、
それぞれの無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子の給電点が、給電線によって高周波回路に接続されており、
かつ、上記M×N個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子について、その給電点の位置のy座標値がプラスであるグループと、y座標値がマイナスであるグループとに区分されていて、
上記2つのグループの内、いずれか片方のグループの無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子の給電点と高周波回路との間に、位相反転回路が介挿されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載した無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ。 - 前記両面プリント基板と平行に、導電材料製の反射板を設けたことを特徴とする、請求項3ないし請求項5の内の何れかに記載した無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ。
- 前記複数個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子それぞれが、給電点からの電気的長さの等しいストリップラインを介して、同軸ケーブルの中心導体が接続されるとともに、
該同軸ケーブルの外部導体が両面プリント基板の銅箔に接続されており、
かつ、該同軸ケーブルは前記の反射板を貫通して後方へ引き出されていることを特徴とする、請求項6に記載した無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ。 - 無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナを構成している複数個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子の、給電点におけるインピーダンス50Ωであることを特徴とする、請求項3ないし請求項5の何れかに記載した無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ。
- 前記M列N段の配列におけるM=N=2であって、
1個の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5A)を第1の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子と名付け、
上記第1の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5A)をY軸方向に平行移動させた形状の第2の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5B)が設けられており、
Y軸に関して、上記第1の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5A)と対称に第3の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5C)が設けられるとともに、
Y軸に関して前記第2の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5B)と対称に、第4の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5D)が設けられており、
かつ、第1の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5A)の給電点(8)と、第2の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5B)の給電点(8)とが、「電気的長さの等しい2本のストリップライン(11ab,11bc)を直列に介して接続されていて、上記2本のストリップライン相互の接続点を中間点(b)と名付け、
同様に、第3の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5C)と第4の無給電素子付きスロットボータイアンテナ素子(5D)とを接続する2本のストリップライン(11de,11ef)の接続点を中間点(e)と名付け、
さらに、上記2個の中間点(b)と中間点(e)とは、互いに電気的長さの等しいストリップライン(11bg)とストリップライン(eg)とによって中央点(g)に接続されるとともに、
上記中央点(g)は、ストリップライン(11gh)によって、アレーアンテナ給電部(h)に接続されており、このアレーアンテナ給電部(h)が同軸ケーブルを介して高周波回路と接続し得るようになっていることを特徴とする、請求項5に記載した無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ。 - 前記中間点(b)と中央点(g)との間にQマッチングが設けられるとともに、
中間点(e)と中央点(g)との間にQマッチングが設けられていて、
アレーアンテナ給電部(h)におけるインピーダンスを50Ωに整合されていることを特徴とする、請求項9に記載した無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ。 - 前記の中央点(g)とアレーアンテナ給電部(h)とがストリップライン(11gh)で接続されており、
かつ、前記の中央点(g)に関して、上記ストリップライン(11gh)と点対称をなす位置に、「電気的長さがλ/4の奇数倍であるストリップライン11gi」が設けられるとともに、
該ストリップライン(11gh)の、対称点と反対側の端が、両面プリント基板を貫通して銅箔(10a)に接続導通されていることを特徴とする、請求項10に記載した無給電素子付きスロットボータイアレーアンテナ。
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