JP2004047713A - 超伝導マグネット装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数台の冷凍機を備える冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置において、冷凍機を運転するためのエネルギコストを抑制すること。
【解決手段】超伝導マグネットと、前記超伝導マグネットを冷却する複数台の冷凍機とを備える超伝導マグネット装置であって、前記複数台の冷凍機の全部を運転する稼動モードと、前記複数台の冷凍機の一部を運転して一部を停止する待機モードとを有することを特徴とする超伝導マグネット装置。
【選択図】 図1
【解決手段】超伝導マグネットと、前記超伝導マグネットを冷却する複数台の冷凍機とを備える超伝導マグネット装置であって、前記複数台の冷凍機の全部を運転する稼動モードと、前記複数台の冷凍機の一部を運転して一部を停止する待機モードとを有することを特徴とする超伝導マグネット装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超伝導マグネット装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置は、液体ヘリウムを使用することなく超伝導マグネットを冷却することにより、磁界を発生することが可能である。そのため、冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置は、単結晶引き上げ装置など、様々な研究用途や産業用途に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置では、超伝導マグネットを常温から励磁可能な極低温まで冷却するためには、通常、数日から十数日ほどの長い時間がかかる。そのため、当該超伝導マグネット装置を長期間使用しない時でも、冷凍機を運転して極低温を維持しておくことが多い。これにより、冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置では、液体ヘリウムのコストこそ必要とならないものの、冷凍機を運転するための電力等のエネルギのコストが必要となってしまう。
【0004】
特に、超伝導マグネットが大型な場合には、通常、複数台の冷凍機が必要となるため、エネルギコストの問題はさらに深刻になる。超伝導マグネットが大型な場合には、エネルギコストがランニングコストを増大させる大きな要因となる。
【0005】
したがって、本発明は、複数台の冷凍機を備える冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置において、冷凍機を運転するためのエネルギコストを抑制することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、超伝導マグネットと、前記超伝導マグネットを冷却する複数台の冷凍機とを備える超伝導マグネット装置であって、前記複数台の冷凍機のうちの全部を運転する稼動モードと、前記複数台の冷凍機のうちの一部を運転して一部を停止する待機モードとを有する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、複数台の冷凍機のうちの全部を運転する稼動モードと、複数台の冷凍機のうちの一部を運転して一部を停止する待機モードとを有することにより、複数台の冷凍機を備える冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置において、冷凍機を運転するためのエネルギコストを抑制することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る超伝導マグネット装置の例について説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置11の例を表す。図1の超伝導マグネット装置11は、超伝導マグネット12、冷凍機13、荷重支持体14、伝熱フランジ15、酸化物超伝導電流リード16、熱シールド板17、磁気シールド板18、真空容器19を備える。
【0010】
超伝導マグネット12は、超伝導部材をコイル状にした「超伝導コイル」である。超伝導部材としては、金属系や酸化物系などの材料を使用する。超伝導部材を巻き付ける巻き枠は、銅やアルミニウムなどの熱伝導率が大きい材料を使用して形成する。また、ステンレスやFRPなどの熱伝導率が小さい材料に、銅やアルミニウムなどの熱伝導率が大きい材料を貼り付けて形成してもよい。また、ステンレスやFRPなどの熱伝導率が小さい材料のみを使用して形成してもよい。
【0011】
冷凍機13は、超伝導マグネット12を冷却する。冷凍機13としては、GM冷凍機やパルス管冷凍機などを使用する。2段式GM冷凍機を使用する場合は、例えば、1段冷却部により熱シールド板17を冷却し、2段冷却部により超伝導マグネット12を冷却する。また、熱シールド板17を冷却するための専用冷凍機を使用してもよい。
【0012】
荷重支持体14は、超伝導マグネット12からの荷重を支持する。荷重支持体14は、GFRP(ガラス強化繊維)、CFRP(カーボン強化繊維)、アルミナFRP、ステンレスなどの強度が大きく熱伝導率が小さい材料を使用して形成する。荷重支持体14の構造としては、例えば、パイプ状の構造にする。そして、超伝導マグネット12からの荷重を、真空容器19を支点とする複数本のパイプにより支持する。これらのパイプは、超伝導マグネット12への侵入熱を減らすために、その中間部において熱シールド板17とアンカーをとる。
【0013】
伝熱フランジ15は、超伝導マグネット12における巻き枠と冷凍機13とを接触させる。なお、別の伝熱部材をさらに介して両者を接触させてもよい。
【0014】
酸化物超伝導電流リード16は、ビスマス系やイットリウム系などの、超伝導マグネット12への侵入熱を少量に抑えつつ、超伝導マグネット12に電流を供給できる材料を使用して形成する。
【0015】
熱シールド板17は、超伝導マグネット12への侵入熱を減らすために、超伝導マグネット12の周囲を囲み輻射熱を低減する。冷凍機13として、2段式GM冷凍機を使用する場合は、熱シールド板17を1段冷却部に接合することができる。また、輻射熱の低減効果を高めるために、多層断熱材(スーパーインシュレーション)を併用してもよい。熱シールド板17は、銅やアルミニウムなどの伝熱特性の優れた材料を使用して形成する。また、強度が必要な場合は、熱シールド板17は、ステンレスなどの強度部材と、銅やアルミニウムなどの伝熱部材とを併用して形成してもよい。さらに、超伝導マグネット12のクエンチや急激な磁界変動による渦電流を防止するために、熱シールド板17に部分的に切りかきを入れてもよい。
【0016】
磁気シールド板18は、周辺部への漏洩磁界を低減する。必要に応じて、真空容器19の外側(上下面もしくは外周面、またはその両方)に設置する。磁気シールド板18は、強磁性体などを使用して形成する。
【0017】
真空容器19は、超伝導マグネット装置11の内部を断熱真空に保つための容器であり、荷重支持体14が荷重を支持するための支点にもなる。真空容器19は、溶接構造でもフランジ構造でもよいが、フランジ構造であれば分解が容易であるという利点がある。
【0018】
さて、図1の超伝導マグネット装置11は、超伝導マグネット12を冷却する複数台の冷凍機13を備える。図1中には、超伝導マグネット12を冷却する冷凍機13として、冷凍機13Aと冷凍機13Bの2台が記載されている。なお、冷凍機13の台数は、2台以上であれば何台でもよい。
【0019】
そして、図1の超伝導マグネット装置11は、実際に当該装置を使用するためのモードである「稼動モード」と、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておくためのモードである「待機モード」とを有する。稼動モードでは、複数台の冷凍機13のうちの全部を運転して、待機モードでは、複数台の冷凍機13のうちの一部を運転して一部を停止する。例えば、稼動モードでは冷凍機13Aも冷凍機13Bも運転して、待機モードでは冷凍機13Aは運転して冷凍機13Bは停止する。
【0020】
稼動モードでは、超伝導マグネット12を励磁可能な温度に維持することができる。したがって、超伝導マグネット装置11を稼動モードにすることにより、実際に当該装置を使用することができる。
【0021】
待機モードでは、複数台の冷凍機13のうちの一部を停止することにより、稼動モードに比べて冷却能力が低下するため、必ずしも超伝導マグネット12を励磁可能な温度に維持することができない。しかし、待機モードでは、複数台の冷凍機13のうちの一部は運転するため、ある程度の低温が維持される。これにより、超伝導マグネット装置11を待機モードから稼動モードにして、超伝導マグネット12を励磁可能な温度まで冷却するためには、超伝導マグネット装置11を起動直後に稼動モードにして、超伝導マグネット12を常温から励磁可能な温度まで冷却するのに比べて、かかる時間が短くてすむ。したがって、超伝導マグネット装置11を待機モードにして、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておけば、時間の節約になる。
【0022】
特に、冷凍機13としてGM冷凍機を使用すれば、1台の冷凍機13により20K以下の温度を維持することが可能である。20K以下の温度領域においては物質の比熱が非常に小さいため、超伝導マグネット12を20K程度の温度から励磁可能な温度まで冷却するためには、かかる時間が非常に短くてすむ。したがって、時間の節約が特に効果的になる。参考として、図2に、図1のような超伝導マグネット装置11を稼動モードにして、超伝導マグネット12を励磁可能な温度まで冷却したときの、冷却時間と超伝導マグネット12の温度との関係を表す。
【0023】
さらに、待機モードでは、複数体の冷凍機13のうちの一部を停止するため、稼動モードに比べて、単位時間あたりにかかる平均エネルギが少ない。これにより、超伝導マグネット装置11を長期間使用しない時、超伝導マグネット装置11を待機モードにして、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておくためには、超伝導マグネット装置11を稼動モードにして、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておくのに比べて、単位時間あたりにかかる平均エネルギが少なくてすむ。したがって、超伝導マグネット装置11を待機モードにして、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておけば、エネルギの節約になる。
【0024】
なお、冷凍機13をある一定期間使用したら、通常、当該冷凍機13の定期保守が必要となる。ここで、待機モードでは、複数体の冷凍機13のうちの一部を停止するため、待機時には待機モードを利用するようにし続ければ、待機時には稼動モードを利用するようにし続ける場合に比べて、冷凍機13の定期保守の平均サイクルを長くすることも可能である。
【0025】
さて、待機モードにおいて、何台の冷凍機13を運転すれば、超伝導マグネット12の温度を何度に維持することができるかは、超伝導マグネット12への侵入熱の量や各冷凍機13の冷却能力によって決定される。
【0026】
ここで、図1の超伝導マグネット装置11は、冷凍機13としては4台の2段式GM冷凍機を備え、超伝導マグネット12の冷却質量が1000kg、超伝導マグネット12への侵入熱が4W、熱シールド板17への侵入熱が100W、各2段式GM冷凍機の冷却能力が4.2K/1Wおよび40K/37Wであるとする。
【0027】
このとき、超伝導マグネット装置11を稼動モードにして、超伝導マグネット12を常温から4Kまで冷却するためには、約7日間の時間がかかる。また、計算によると、1台、2台、3台、4台の冷凍機13を運転するとき、超伝導マグネット12の温度は、それぞれ11.0K、6.4K、5.0K、4.1Kに維持される。
【0028】
したがって、この場合、4台の冷凍機13のうち1台の冷凍機13しか運転しなくても、超伝導マグネット12を20K以下の温度に維持することができる。
【0029】
最後に、当業者にとって自明に近い事項ではあるが、図1の超伝導マグネット装置11のモードを設定する手法について説明する。図1の超伝導マグネット装置11のモードをユーザからの入力に応じて自動的に設定するために、例えば、モード設定のためのユーザインタフェース部を当該装置に設ける。ユーザインタフェース部を備える装置の例としては、装置を起動する起動ボタンとして、稼動モードで装置を起動する「稼動モード起動ボタン」と、待機モードで装置を起動する「待機モード起動ボタン」とを備える装置がある。また、装置を起動する起動ボタンとは別に、稼動モードと待機モードとを切り替える「モード切り替えレバー」を備える装置がある。また、装置のモードを設定するための「液晶パネル」を備える装置がある。一方、図1の超伝導マグネット装置11のモードをユーザからの入力に応じて自動的に設定するために、例えば、モード設定のための周辺機器を当該装置に接続できるようにする。周辺装置の例としては、モード設定用のドライバをインストールした「パーソナル・コンピュータ」がある。なお、モード設定のための装置の制御は、機械的な制御を実行するための制御機構や、マイコン制御のための制御チップなどを、制御部として装置に設け、当該制御部により実行することができる。
【0030】
以上、本発明に係る超伝導マグネット装置について説明した。本発明に係る超伝導マグネット装置の用途としては、例えば、MCZ、MRI、加速器といった用途が考えられる。なお、本発明に係る超伝導マグネット装置においては、その冷凍機によって超伝導マグネットを冷却したが、他の冷却装置に転用すべく、その冷凍機によって超伝導マグネット以外の物体を冷却することも考えられる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、複数台の冷凍機を備える冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置において、冷凍機を運転するためのエネルギコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超伝導マグネット装置の例を表す。
【図2】図1のような超伝導マグネット装置を稼動モードにして、超伝導マグネットを励磁可能な温度まで冷却したときの、冷却時間と超伝導マグネットの温度との関係を表す。
【符号の説明】
11 超伝導マグネット装置
12 超伝導マグネット
13 冷凍機
14 荷重支持体
15 伝熱フランジ
16 酸化物超伝導電流リード
17 熱シールド板
18 磁気シールド板
19 真空容器
【発明の属する技術分野】
本発明は、超伝導マグネット装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置は、液体ヘリウムを使用することなく超伝導マグネットを冷却することにより、磁界を発生することが可能である。そのため、冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置は、単結晶引き上げ装置など、様々な研究用途や産業用途に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置では、超伝導マグネットを常温から励磁可能な極低温まで冷却するためには、通常、数日から十数日ほどの長い時間がかかる。そのため、当該超伝導マグネット装置を長期間使用しない時でも、冷凍機を運転して極低温を維持しておくことが多い。これにより、冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置では、液体ヘリウムのコストこそ必要とならないものの、冷凍機を運転するための電力等のエネルギのコストが必要となってしまう。
【0004】
特に、超伝導マグネットが大型な場合には、通常、複数台の冷凍機が必要となるため、エネルギコストの問題はさらに深刻になる。超伝導マグネットが大型な場合には、エネルギコストがランニングコストを増大させる大きな要因となる。
【0005】
したがって、本発明は、複数台の冷凍機を備える冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置において、冷凍機を運転するためのエネルギコストを抑制することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、超伝導マグネットと、前記超伝導マグネットを冷却する複数台の冷凍機とを備える超伝導マグネット装置であって、前記複数台の冷凍機のうちの全部を運転する稼動モードと、前記複数台の冷凍機のうちの一部を運転して一部を停止する待機モードとを有する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、複数台の冷凍機のうちの全部を運転する稼動モードと、複数台の冷凍機のうちの一部を運転して一部を停止する待機モードとを有することにより、複数台の冷凍機を備える冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置において、冷凍機を運転するためのエネルギコストを抑制することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る超伝導マグネット装置の例について説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置11の例を表す。図1の超伝導マグネット装置11は、超伝導マグネット12、冷凍機13、荷重支持体14、伝熱フランジ15、酸化物超伝導電流リード16、熱シールド板17、磁気シールド板18、真空容器19を備える。
【0010】
超伝導マグネット12は、超伝導部材をコイル状にした「超伝導コイル」である。超伝導部材としては、金属系や酸化物系などの材料を使用する。超伝導部材を巻き付ける巻き枠は、銅やアルミニウムなどの熱伝導率が大きい材料を使用して形成する。また、ステンレスやFRPなどの熱伝導率が小さい材料に、銅やアルミニウムなどの熱伝導率が大きい材料を貼り付けて形成してもよい。また、ステンレスやFRPなどの熱伝導率が小さい材料のみを使用して形成してもよい。
【0011】
冷凍機13は、超伝導マグネット12を冷却する。冷凍機13としては、GM冷凍機やパルス管冷凍機などを使用する。2段式GM冷凍機を使用する場合は、例えば、1段冷却部により熱シールド板17を冷却し、2段冷却部により超伝導マグネット12を冷却する。また、熱シールド板17を冷却するための専用冷凍機を使用してもよい。
【0012】
荷重支持体14は、超伝導マグネット12からの荷重を支持する。荷重支持体14は、GFRP(ガラス強化繊維)、CFRP(カーボン強化繊維)、アルミナFRP、ステンレスなどの強度が大きく熱伝導率が小さい材料を使用して形成する。荷重支持体14の構造としては、例えば、パイプ状の構造にする。そして、超伝導マグネット12からの荷重を、真空容器19を支点とする複数本のパイプにより支持する。これらのパイプは、超伝導マグネット12への侵入熱を減らすために、その中間部において熱シールド板17とアンカーをとる。
【0013】
伝熱フランジ15は、超伝導マグネット12における巻き枠と冷凍機13とを接触させる。なお、別の伝熱部材をさらに介して両者を接触させてもよい。
【0014】
酸化物超伝導電流リード16は、ビスマス系やイットリウム系などの、超伝導マグネット12への侵入熱を少量に抑えつつ、超伝導マグネット12に電流を供給できる材料を使用して形成する。
【0015】
熱シールド板17は、超伝導マグネット12への侵入熱を減らすために、超伝導マグネット12の周囲を囲み輻射熱を低減する。冷凍機13として、2段式GM冷凍機を使用する場合は、熱シールド板17を1段冷却部に接合することができる。また、輻射熱の低減効果を高めるために、多層断熱材(スーパーインシュレーション)を併用してもよい。熱シールド板17は、銅やアルミニウムなどの伝熱特性の優れた材料を使用して形成する。また、強度が必要な場合は、熱シールド板17は、ステンレスなどの強度部材と、銅やアルミニウムなどの伝熱部材とを併用して形成してもよい。さらに、超伝導マグネット12のクエンチや急激な磁界変動による渦電流を防止するために、熱シールド板17に部分的に切りかきを入れてもよい。
【0016】
磁気シールド板18は、周辺部への漏洩磁界を低減する。必要に応じて、真空容器19の外側(上下面もしくは外周面、またはその両方)に設置する。磁気シールド板18は、強磁性体などを使用して形成する。
【0017】
真空容器19は、超伝導マグネット装置11の内部を断熱真空に保つための容器であり、荷重支持体14が荷重を支持するための支点にもなる。真空容器19は、溶接構造でもフランジ構造でもよいが、フランジ構造であれば分解が容易であるという利点がある。
【0018】
さて、図1の超伝導マグネット装置11は、超伝導マグネット12を冷却する複数台の冷凍機13を備える。図1中には、超伝導マグネット12を冷却する冷凍機13として、冷凍機13Aと冷凍機13Bの2台が記載されている。なお、冷凍機13の台数は、2台以上であれば何台でもよい。
【0019】
そして、図1の超伝導マグネット装置11は、実際に当該装置を使用するためのモードである「稼動モード」と、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておくためのモードである「待機モード」とを有する。稼動モードでは、複数台の冷凍機13のうちの全部を運転して、待機モードでは、複数台の冷凍機13のうちの一部を運転して一部を停止する。例えば、稼動モードでは冷凍機13Aも冷凍機13Bも運転して、待機モードでは冷凍機13Aは運転して冷凍機13Bは停止する。
【0020】
稼動モードでは、超伝導マグネット12を励磁可能な温度に維持することができる。したがって、超伝導マグネット装置11を稼動モードにすることにより、実際に当該装置を使用することができる。
【0021】
待機モードでは、複数台の冷凍機13のうちの一部を停止することにより、稼動モードに比べて冷却能力が低下するため、必ずしも超伝導マグネット12を励磁可能な温度に維持することができない。しかし、待機モードでは、複数台の冷凍機13のうちの一部は運転するため、ある程度の低温が維持される。これにより、超伝導マグネット装置11を待機モードから稼動モードにして、超伝導マグネット12を励磁可能な温度まで冷却するためには、超伝導マグネット装置11を起動直後に稼動モードにして、超伝導マグネット12を常温から励磁可能な温度まで冷却するのに比べて、かかる時間が短くてすむ。したがって、超伝導マグネット装置11を待機モードにして、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておけば、時間の節約になる。
【0022】
特に、冷凍機13としてGM冷凍機を使用すれば、1台の冷凍機13により20K以下の温度を維持することが可能である。20K以下の温度領域においては物質の比熱が非常に小さいため、超伝導マグネット12を20K程度の温度から励磁可能な温度まで冷却するためには、かかる時間が非常に短くてすむ。したがって、時間の節約が特に効果的になる。参考として、図2に、図1のような超伝導マグネット装置11を稼動モードにして、超伝導マグネット12を励磁可能な温度まで冷却したときの、冷却時間と超伝導マグネット12の温度との関係を表す。
【0023】
さらに、待機モードでは、複数体の冷凍機13のうちの一部を停止するため、稼動モードに比べて、単位時間あたりにかかる平均エネルギが少ない。これにより、超伝導マグネット装置11を長期間使用しない時、超伝導マグネット装置11を待機モードにして、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておくためには、超伝導マグネット装置11を稼動モードにして、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておくのに比べて、単位時間あたりにかかる平均エネルギが少なくてすむ。したがって、超伝導マグネット装置11を待機モードにして、実際に当該装置を使用するときのために当該装置を待機させておけば、エネルギの節約になる。
【0024】
なお、冷凍機13をある一定期間使用したら、通常、当該冷凍機13の定期保守が必要となる。ここで、待機モードでは、複数体の冷凍機13のうちの一部を停止するため、待機時には待機モードを利用するようにし続ければ、待機時には稼動モードを利用するようにし続ける場合に比べて、冷凍機13の定期保守の平均サイクルを長くすることも可能である。
【0025】
さて、待機モードにおいて、何台の冷凍機13を運転すれば、超伝導マグネット12の温度を何度に維持することができるかは、超伝導マグネット12への侵入熱の量や各冷凍機13の冷却能力によって決定される。
【0026】
ここで、図1の超伝導マグネット装置11は、冷凍機13としては4台の2段式GM冷凍機を備え、超伝導マグネット12の冷却質量が1000kg、超伝導マグネット12への侵入熱が4W、熱シールド板17への侵入熱が100W、各2段式GM冷凍機の冷却能力が4.2K/1Wおよび40K/37Wであるとする。
【0027】
このとき、超伝導マグネット装置11を稼動モードにして、超伝導マグネット12を常温から4Kまで冷却するためには、約7日間の時間がかかる。また、計算によると、1台、2台、3台、4台の冷凍機13を運転するとき、超伝導マグネット12の温度は、それぞれ11.0K、6.4K、5.0K、4.1Kに維持される。
【0028】
したがって、この場合、4台の冷凍機13のうち1台の冷凍機13しか運転しなくても、超伝導マグネット12を20K以下の温度に維持することができる。
【0029】
最後に、当業者にとって自明に近い事項ではあるが、図1の超伝導マグネット装置11のモードを設定する手法について説明する。図1の超伝導マグネット装置11のモードをユーザからの入力に応じて自動的に設定するために、例えば、モード設定のためのユーザインタフェース部を当該装置に設ける。ユーザインタフェース部を備える装置の例としては、装置を起動する起動ボタンとして、稼動モードで装置を起動する「稼動モード起動ボタン」と、待機モードで装置を起動する「待機モード起動ボタン」とを備える装置がある。また、装置を起動する起動ボタンとは別に、稼動モードと待機モードとを切り替える「モード切り替えレバー」を備える装置がある。また、装置のモードを設定するための「液晶パネル」を備える装置がある。一方、図1の超伝導マグネット装置11のモードをユーザからの入力に応じて自動的に設定するために、例えば、モード設定のための周辺機器を当該装置に接続できるようにする。周辺装置の例としては、モード設定用のドライバをインストールした「パーソナル・コンピュータ」がある。なお、モード設定のための装置の制御は、機械的な制御を実行するための制御機構や、マイコン制御のための制御チップなどを、制御部として装置に設け、当該制御部により実行することができる。
【0030】
以上、本発明に係る超伝導マグネット装置について説明した。本発明に係る超伝導マグネット装置の用途としては、例えば、MCZ、MRI、加速器といった用途が考えられる。なお、本発明に係る超伝導マグネット装置においては、その冷凍機によって超伝導マグネットを冷却したが、他の冷却装置に転用すべく、その冷凍機によって超伝導マグネット以外の物体を冷却することも考えられる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、複数台の冷凍機を備える冷凍機冷却型の超伝導マグネット装置において、冷凍機を運転するためのエネルギコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超伝導マグネット装置の例を表す。
【図2】図1のような超伝導マグネット装置を稼動モードにして、超伝導マグネットを励磁可能な温度まで冷却したときの、冷却時間と超伝導マグネットの温度との関係を表す。
【符号の説明】
11 超伝導マグネット装置
12 超伝導マグネット
13 冷凍機
14 荷重支持体
15 伝熱フランジ
16 酸化物超伝導電流リード
17 熱シールド板
18 磁気シールド板
19 真空容器
Claims (1)
- 超伝導マグネットと、前記超伝導マグネットを冷却する複数台の冷凍機とを備える超伝導マグネット装置であって、
前記複数台の冷凍機のうちの全部を運転する稼動モードと、前記複数台の冷凍機のうちの一部を運転して一部を停止する待機モードとを有することを特徴とする超伝導マグネット装置。
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JP2002202811A JP2004047713A (ja) | 2002-07-11 | 2002-07-11 | 超伝導マグネット装置 |
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---|---|---|---|
JP2002202811A JP2004047713A (ja) | 2002-07-11 | 2002-07-11 | 超伝導マグネット装置 |
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JP2004047713A true JP2004047713A (ja) | 2004-02-12 |
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ID=31708897
Family Applications (1)
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