JP2004047053A - 光記録媒体へのデータの記録方法、光記録媒体へのデータの記録装置および光記録媒体 - Google Patents
光記録媒体へのデータの記録方法、光記録媒体へのデータの記録装置および光記録媒体 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】基板11と基板上に形成された少なくとも一層の記録層31、32を備えた追記型の光記録媒体10に、少なくとも記録パワーPwおよび第一の基底パワーPb1を含むパルス列パターンにしたがって変調されたレーザビームを照射し、記録層に少なくとも二つの記録マークを形成して、データを記録する方法であって、記録パワーPwからなるパルスの前後の少なくとも一方に、第一の基底パワーPb1よりも強度の低い第二の基底パワーPb2を含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調することを特徴とする光記録媒体へのデータの記録方法。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体へのデータの記録方法、光記録媒体へのデータの記録装置および光記録媒体に関するものであり、さらに詳細には、ジッターの悪化を防止することができ、C/Nの低下を防止することができる追記型の光記録媒体へのデータの記録方法、追記型の光記録媒体へのデータの記録装置および追記型の光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されている。これらの光記録媒体は、CD−ROMやDVD−ROMのように、データの追記や書き換えができないタイプの光記録媒体(ROM型光記録媒体)と、CD−RやDVD−Rのように、データの追記はできるが、データの書き換えができないタイプの光記録媒体(追記型光記録媒体)と、CD−RWやDVD−RWのように、データの書き換えが可能なタイプの光記録媒体(書き換え型光記録媒体)とに大別することができる。
【0003】
広く知られているように、ROM型光記録媒体においては、製造段階において基板に形成されるプリピットにより、データが記録されることが一般的であり、書き換え型光記録媒体においては、たとえば、記録層の材料として相変化材料が用いられ、その相状態の変化に起因する光学特性の変化を利用して、データが記録されることが一般的である。
【0004】
これに対し、追記型光記録媒体においては、記録層の材料として、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ色素などの有機色素が用いられ、その化学的変化あるいは化学的変化および物理的変化に起因する光学特性の変化を利用して、データが記録されることが一般的である。
【0005】
また、二層の記録層が積層された追記型光記録媒体も知られており(たとえば、特開昭62−204442号公報参照)、この光記録媒体においては、レーザビームを照射することによって、二層の記録層を構成する元素を混合させ、周囲の領域とは異なる光学特性を有する領域を形成して、データが記録される。
【0006】
本明細書において、光記録媒体が、有機色素を含む記録層を備えている場合には、レーザビームの照射を受けて、有機色素が化学的に、あるいは、化学的にかつ物理的に変化をした領域を、「記録マーク」といい、光記録媒体が、無機元素を主成分として含む二層の記録層を備えている場合には、レーザビームの照射を受けて、二層の記録層を構成する元素が混合した領域を、「記録マーク」という。
【0007】
データを記録するために照射されるレーザビームの最適な強度変調方法は、一般に、「パルス列パターン」あるいは「記録ストラテジ」と呼ばれている。
【0008】
図10は、有機色素を用いた記録層を有するCD−Rに、データを記録する場合の代表的なパルス列パターンを示す図であり、EFM変調方式における3T信号ないし11T信号を記録する場合のパルス列パターンを示している。
【0009】
図10に示されるように、CD−Rにデータを記録する場合には、一般に、形成すべき記録マークMの長さに相当する幅の記録パルスが用いられる(たとえば、特開2000−187842号公報参照)。
【0010】
すなわち、レーザビームの強度は、記録マークMを形成しないブランク領域においては、基底パワーPbに固定され、記録マークMを形成すべき領域において記録パワーPwに固定される。その結果、記録マークMを形成すべき領域においては、記録層に含まれる有機色素が分解、変質し、場合によっては、その領域が変形することによって、記録マークMが形成される。ここに、CD−Rの等倍速における最短ブランク間隔(3T)と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)は、約700nsである。
【0011】
図11は、有機色素を用いた記録層を有するDVD−Rに、データを記録する場合の代表的なパルス列パターンを示す図であり、8/16変調方式における7T信号を記録する場合のパルス列パターンを示している。
【0012】
DVD−Rに対しては、CD−Rに比して、高い記録線速度で、データの記録が行われるため、CD−Rにデータを記録する場合のように、記録マークMの長さに相当する幅の記録パルスを用いる場合には、良好な形状の記録マークMを形成することが困難である。
【0013】
このため、DVD−Rにデータを記録する場合には、図11に示されるように、形成すべき一つの記録マークMに対し、その長さに応じた数に分割されたパルス列を用いて、データが記録される。
【0014】
具体的には、nT信号(nは、8/16変調方式においては、3ないし11および14の整数である。)を形成するために、(n−2)個の分割パルスを用い、レーザビームのパワーは、分割パルスのピークにおいては、記録パワーPwに、その他においては、基底パワーPbに設定される。本明細書においては、このようなパルス列パターンを「基本パルス列パターン」という。ここに、DVD−Rの等倍速における最短ブランク間隔(3T)と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)は、約115nsである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者の研究によれば、最短ブランク間隔と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)をさらに小さくすると、基本パルス列パターンを用いた場合に、短い記録マークにおいては、記録マークのレーザビームの進行方向側の縁部(以下、「記録マークの後縁部」という。)が、レーザビームの進行方向にずれやすく、その結果、記録マークが、所望の長さよりも長くなって、記録信号のジッターが悪化することが判明した。
【0016】
このような現象は、最短ブランク間隔と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)が40ns以下である場合に顕著となり、最短ブランク間隔と記録線速度との比が、さらに小さく、たとえば、20ns以下になると、短い記録マークにおいては、記録マークのレーザビームの進行方向とは反対側の縁部(以下、「記録マークの前縁部」という。)もレーザビームの進行方向とは反対方向にずれやすく、その結果、記録マークが、所望の長さよりもさらに長くなり、さらに記録信号のジッターが悪化することが見出されている。
【0017】
記録マークの後縁部がレーザビームの進行方向にずれるのは、その記録マークを形成するために照射した記録パワーPwを有するレーザビームによって生成された熱によって、記録マークの後縁部よりもレーザビームの進行方向側の領域においても、記録層の物理的および/または化学的な変化が生じるためと予測される。一方、記録マークの前縁部がレーザビームの進行方向とは反対方向にずれるのは、連続する記録マーク間の熱干渉によって、トラックの温度が上昇し、その結果、その記録マークを形成するために、記録パワーPwを有するレーザビームが照射された領域の温度が高くなりすぎるためと推測される。
【0018】
記録マークの長さが、所望の長さよりも長くなると、記録信号のジッタが大幅に悪化するため、記録マークの長さが、所望の長さよりも長くなることを防止することが必要である。
【0019】
記録マークの長さが、所望の長さよりも長くなることを防止するために、レーザビームの記録パワーPwを低下させて、記録マーク形成時に加わる総熱量を下げることが考えられる。
【0020】
しかしながら、レーザビームの記録パワーPwを低下させると、記録マークの幅も細くなってしまうため、記録信号のC/N比(キャリア/ノイズ比)が低下するという問題が生じる。
【0021】
記録マーク形成時に加えられる総熱量を下げる方法として、レーザビームが記録パワーPwを有している期間、すなわち、パルス幅を短くする方法も考えられるが、レーザビームの変調速度には限界があるため、記録線速度がとくに高い場合には、レーザビームのパルス幅を、所望の幅に設定できない場合もある。
【0022】
このように、基本パルス列パターンを用いた場合には、最短ブランク間隔と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)が小さくなるほど、良好な信号特性を得ることが困難であることが判明している。
【0023】
以上のような問題は、レーザビームを照射して、照射されたレーザビームによって生じる熱により、複数の記録層を構成する元素を混合させ、記録マークを形成する追記型光記録媒体において、とくに顕著である。
【0024】
一方、近年、データの記録密度が高められ、かつ、非常に高いデータ転送レートを実現可能な次世代型の光記録媒体が提案されている。
【0025】
このような次世代型の光記録媒体においては、記録容量を高めるとともに、非常に高いデータ転送レートを実現するため、必然的に、データの記録・再生に用いるレーザビームのビームスポット径を非常に小さく絞ることが要求される。
【0026】
レーザビームのビームスポット径を小さく絞るためには、レーザビームを集束するための対物レンズの開口数(NA)を0.7以上、たとえば、0.85程度まで大きくするとともに、レーザビームの波長λを450nm以下、たとえば、400nm程度まで、短くすることが必要になる。
【0027】
このように、レーザビームの波長が短くなると、単位面積当たりのエネルギーが増大するため、次世代型の光記録媒体においては、上述の問題はより深刻なものになり、良好な信号特性を得ることが一層困難になる。
【0028】
加えて、次世代型の光記録媒体においては、非常に高い線速度で、データの記録が行われるため、レーザビームの記録パワーPwを高くすることが必要となるが、出力が大きい半導体レーザは高価であり、また、レーザビームの記録パワーPwを高くすると、半導体レーザの寿命が短くなるため、できるだけ小さな記録パワーPwのレーザビームを用いて、データを記録することが望ましい。
【0029】
次世代型の光記録媒体において、より低い記録パワーPwのレーザビームを用いて、データを記録することを可能とするためには、基底パワーPbを高くして、記録パワーPwによる加熱を補助することが効果的である。
【0030】
しかしながら、基底パワーPbを高くすると、記録マークの後縁部や前縁部のズレが、一層大きくなり、さらには、基底パワーPbを高くすると、ブランク領域においても、記録層の物理的および/または化学的な変化が生じ、データの記録自体ができなくなってしまうことがある。
【0031】
したがって、本発明は、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録方法を提供することを目的とするものである。
【0032】
本発明の別の目的は、最短ブランク間隔と記録線速度との比が小さい場合にも、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録方法を提供することにある。
【0033】
本発明の他の目的は、低い記録パワーのレーザビームを用いて、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録方法を提供することにある。
【0034】
本発明のさらに他の目的は、二層以上の記録層を備えた追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録方法を提供することにある。
【0035】
本発明のさらに他の目的は、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録装置を提供することにある。
【0036】
本発明のさらに他の目的は、最短ブランク間隔と記録線速度との比が小さい場合にも、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録装置を提供することにある。
【0037】
本発明の他の目的は、低い記録パワーのレーザビームを用いて、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録装置を提供することにある。
【0038】
本発明のさらに他の目的は、二層以上の記録層を備えた追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録装置を提供することにある。
【0039】
本発明のさらに他の目的は、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができる追記型の光記録媒体を提供することにある。
【0040】
本発明のさらに他の目的は、最短ブランク間隔と記録線速度との比が小さい場合にも、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができる追記型の光記録媒体を提供することにある。
【0041】
本発明の他の目的は、低い記録パワーのレーザビームを用いて、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができる追記型の光記録媒体を提供することにある。
【0042】
本発明のさらに他の目的は、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができる二層以上の記録層を備えた追記型の光記録媒体を提供することにある。
【0043】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、本発明のかかる目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、少なくとも記録パワーおよび第一の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって変調されたレーザビームを光記録媒体に照射して、記録マークを形成する際に、記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調することによって、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができ、記録信号のジッターを悪化を防止し、C/N比の低下を防止し得ることを見出した。
【0044】
したがって、本発明の前記目的は、基板と前記基板上に形成された少なくとも一層の記録層を備えた追記型の光記録媒体に、少なくとも記録パワーおよび第一の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって変調されたレーザビームを照射し、前記記録層に少なくとも二つの記録マークを形成して、データを記録する方法であって、前記記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、前記第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調することを特徴とする光記録媒体へのデータの記録方法によって達成される。
【0045】
本明細書において、光記録媒体が、有機色素を含む記録層を備えている場合には、レーザビームの照射を受けて、有機色素が化学的に、あるいは、化学的にかつ物理的に変化をした領域を、「記録マーク」といい、光記録媒体が、無機元素を主成分として含む二層の記録層を備えている場合には、レーザビームの照射を受けて、二層の記録層を構成する元素が混合した領域を、「記録マーク」という。
【0046】
本発明によれば、記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーが変調されるから、第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーが、記録パワーからなるパルスの前に含まれているときは、連続する記録マークの間の熱干渉によって、加熱された記録マークの前縁部が効果的に冷却されるので、記録マークの前縁部よりもレーザビームの進行方向とは反対側の記録層の領域が、化学的に、あるいは、化学的かつ物理的に変化することを効果的に防止することが可能になるから、記録マークの前縁部がずれることを効果的に防止することができ、ジッターの悪化を防止することが可能になる。
【0047】
また、本発明によれば、第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーが、記録パワーからなるパルスの後に含まれているときは、レーザビームによって、加熱された記録マーMの後縁部が効果的に冷却され、記録マークの後縁部よりもレーザビームの進行方向側の記録層の領域が、化学的に、あるいは、化学的かつ物理的に変化することを効果的に防止することが可能になるから、記録マークの後縁部がずれることを効果的に防止することができ、ジッターの悪化を防止することが可能になる。
【0048】
さらに、本発明によれば、第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーが、記録パワーからなるパルスの前後に含まれているときは、記録マークの前縁部および後縁部がずれることを効果的に防止することができ、ジッターの悪化を防止することが可能になる。
【0049】
また、本発明者の研究によれば、記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調して、データを記録するときは、レーザビームの第一の基底パワーを高くして、低い記録パワーのレーザビームによって、データを記録しても、C/N比の低下を効果的に防止して、データが記録可能であることが見出されている。
【0050】
本発明の好ましい実施態様においては、前記光記録媒体が、さらに、光透過層と、前記基板と前記光透過層の間に形成された第一の記録層と第二の記録層を備え、前記光透過層を介して、レーザビームを照射して、前記第一の記録層に主成分として含まれている元素と、前記第二の記録層に主成分として含まれている元素とを混合させて、前記少なくとも二つの記録マークを形成するように構成されている。
【0051】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第二の記録層が、前記第一の記録層に接するように、形成されている。
【0052】
本発明の好ましい実施態様においては、最短ブランク間隔と記録線速度との比を40nsec以下に設定して、少なくとも二つの記録マークを形成するように構成されている。
【0053】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、最短ブランク間隔と記録線速度との比を20nsec以下に設定して、少なくとも二つの記録マークを形成するように構成されている。
【0054】
本発明の好ましい実施態様においては、前記記録パワーからなるパルスが、前記記録マークの長さに対応する数の分割パルスによって構成されている。
【0055】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記分割パルス間においては、レーザビームのパワーが前記第一の基底パワーに設定されるように構成されている。
【0056】
本発明の好ましい実施態様においては、前記光記録媒体に、450nm以下の波長を有するレーザビームを照射して、データを記録するように構成されている。
【0057】
本発明の好ましい実施態様においては、λ/NA≦640nmを満たす開口数NAを有する対物レンズおよび波長λを有するレーザビームを用い、前記対物レンズを介して、前記光記録媒体に、レーザビームを照射して、データを記録するように構成されている。
【0058】
本発明の前記目的はまた、基板と前記基板上に形成された少なくとも一層の記録層を備えた追記型の光記録媒体に、少なくとも記録パワーおよび第一の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって変調されたレーザビームを照射するレーザ照射手段を備えた光記録媒体へのデータの記録装置であって、前記レーザ照射手段が、前記記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、前記第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調するように構成されたことを特徴とする光記録媒体へのデータの記録装置によって達成される。
【0059】
本発明の前記目的はまた、基板と前記基板上に形成された少なくとも一層の記録層を備え、少なくとも記録パワーおよび第一の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって変調されたレーザビームが照射されて、前記記録層に少なくとも二つの記録マークが形成され、データが記録されるように構成された追記型の光記録媒体であって、前記記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、前記第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調するために必要な記録条件設定用データが記録されていることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
【0060】
本発明によれば、光記録媒体に、記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調するために必要な記録条件設定用データが記録されているから、レーザビームを照射して、データを記録する際に、所望の長さと幅を有する記録マークが形成されるように、レーザビームのパワーを変調させることができ、したがって、ジッターの悪化を防止するとともに、C/N比の低下を防止することが可能になる。
【0061】
本発明の好ましい実施態様においては、光記録媒体は、さらに、光透過層と、前記基板と前記光透過層の間に形成された第一の記録層と第二の記録層を備え、前記光透過層を介して、レーザビームが照射されたときに、前記第一の記録層に主成分として含まれている元素と、前記第二の記録層に主成分として含まれている元素とが混合し、記録マークが形成されるように構成されている。
【0062】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第二の記録層が、前記第一の記録層に接するように、形成されている。
【0063】
本発明において、好ましくは、第一の記録層と第二の記録層は、互いに異なった元素を主成分として含み、第一の記録層および第二の記録層は、それぞれ、Al、Si、Ge、C、Sn、Au、Zn、Cu、B、Mg、Ti、Mn、Fe、Ga、Zr、AgおよびPtよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいる。
【0064】
本発明の好ましい実施態様においては、第一の記録層が、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Cuを主成分として含んでいる。
【0065】
本発明において、第一の記録層が、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Cuを主成分として含んでいる場合に、光記録媒体が、第一の記録層および第二の記録層に加えて、一もしくは二以上のSi、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む記録層、または、一もしくは二以上のCuを主成分として含む記録層を備えていてもよい。
【0066】
本発明において、さらに好ましくは、第一の記録層が、Ge、Si、Mg、AlおよびSnよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいる。
【0067】
本発明において、第一の記録層が、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Cuを主成分として含んでいる場合には、第二の記録層に、Al、Si、Zn、Mg、Au、Sn、Ge、Ag、P、Cr、FeおよびTiよりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素が添加されていることが好ましく、Al、Zn、SnおよびAuよりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素が添加されていることがより好ましい。
【0068】
本発明の別の好ましい実施態様においては、第一の記録層が、Si、Ge、C、Sn、ZnおよびCuよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Alを主成分として含み、第一の記録層と第二の記録層が、その総厚が40nm以下になるように形成されている。
【0069】
本発明において、第一の記録層が、Si、Ge、C、Sn、ZnおよびCuよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Alを主成分として含んでいる場合には、光記録媒体が、第一の記録層および第二の記録層に加えて、一もしくは二以上のSi、Ge、C、Sn、ZnおよびCuよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む記録層、または、一もしくは二以上のAlを主成分として含む記録層を備えていてもよい。
【0070】
本発明において、第一の記録層が、Si、Ge、C、Sn、ZnおよびCuよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Alを主成分として含んでいる場合には、第二の記録層に、Mg、Au、TiおよびCuよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加されていることが好ましい。
【0071】
本発明において、第一の記録層が、Si、Ge、C、Sn、ZnおよびCuよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Alを主成分として含んでいる場合には、第一の記録層と第二の記録層が、好ましくは、その総厚が2nmないし40nmとなるように、より好ましくは、第一の記録層と第二の記録層の総厚が2nmないし30nmになるように、さらに好ましくは、第一の記録層と第二の記録層の総厚が2nmないし20nmになるように形成される。
【0072】
本発明の他の好ましい実施態様においては、第一の記録層が、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Znを主成分として含み、第一の記録層と第二の記録層が、その総厚が30nm以下となるように形勢されている。
【0073】
本発明において、第一の記録層が、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Znを主成分として含んでいる場合には、光記録媒体が、第一の記録層および第二の記録層に加えて、一もしくは二以上のSi、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む記録層、または、一もしくは二以上のZnを主成分として含む記録層を備えていてもよい。
【0074】
本発明において、第一の記録層が、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Znを主成分として含んでいる場合には、好ましくは、第一の記録層が、Si、GeおよびCよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいる。
【0075】
本発明において、第一の記録層が、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Znを主成分として含んでいる場合には、好ましくは、第一の記録層および第二の記録層は、その総厚が2nmないし30nmとなるように、より好ましくは、その総厚が2nmないし24nmになるように、さらに好ましくは、その総厚が2nmないし12nmになるように形成される。
【0076】
本発明において、第一の記録層が、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層が、Znを主成分として含んでいる場合には、第二の記録層に、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加されていることが好ましい。
【0077】
本発明の好ましい実施態様においては、前記光透過層が、10ないし300nmの厚さを有するように形成されている。
【0078】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の構造を示す略断面図である。
【0079】
図1に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体10は、追記型の光記録媒体として構成され、基板11と、基板11の表面上に形成された反射層12と、反射層12の表面上に形成された第二の誘電体層13と、第二の誘電体層13の表面上に形成された第二の記録層32と、第二の記録層32の表面上に形成された第一の記録層31と、第一の記録層31の表面上に設けられた第一の誘電体層15と、第一の誘電体層15の表面上に形成された光透過層16を備えている。
【0080】
図1に示されるように、光記録媒体10の中央部分には、センターホール17が形成されている。
【0081】
本実施態様においては、図1に示されるように、光透過層16の表面に、レーザビームL10が照射されて、光記録媒体10にデータが記録され、光記録媒体10から、データが再生されるように構成されている。
【0082】
基板11は、光記録媒体10に求められる機械的強度を確保するための支持体として、機能する。
【0083】
基板11を形成するための材料は、光記録媒体10の支持体として機能することができれば、とくに限定されるものではない。基板11は、たとえば、ガラス、セラミックス、樹脂などによって、形成することができる。これらのうち、成形の容易性の観点から、樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、加工性、光学特性などの点から、ポリカーボネート樹脂がとくに好ましい。
【0084】
本実施態様においては、基板11は、約1.1mmの厚さを有している。
【0085】
基板11の形状は、とくに限定されるものではないが、通常は、ディスク状、カード状あるいはシート状である。
【0086】
図1に示されるように、基板11の表面には、交互に、グルーブ11aおよびランド11bが形成されている。基板11の表面に形成されたグルーブ11aおよび/またはランド11bは、データを記録する場合およびデータを再生する場合において、レーザビームL10のガイドトラックとして、機能する。
【0087】
反射層12は、光透過層16を介して、入射したレーザビームL10を反射し、再び、光透過層16から出射させる機能を有している。
【0088】
反射層12の厚さは、とくに限定されるものではないが、10nmないし300nmであることが好ましく、20nmないし200nmであることが、とくに好ましい。
【0089】
反射層12を形成するための材料は、レーザビームを反射できればよく、とくに限定されるものではなく、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Auなどによって、反射層12を形成することができる。これらのうち、高い反射率を有しているAl、Au、Ag、Cu、または、AgとCuとの合金などのこれらの金属の少なくとも1つを含む合金などの金属材料が、反射層12を形成するために、好ましく用いられる。
【0090】
反射層12は、レーザビームL10を用いて、第一の記録層31および第二の記録層32に光記録されたデータを再生するときに、多重干渉効果によって、記録部と未記録部との反射率の差を大きくして、高い再生信号(C/N比)を得るために、設けられている。
【0091】
第一の誘電体層15および第二の誘電体層13は、第一の記録層11および第二の記録層12を保護する役割を果たす。したがって、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13により、長期間にわたって、光記録されたデータの劣化を効果的に防止することができる。また、第二の誘電体層13は、基板11などの熱変形を防止する効果があり、したがって、変形に伴うジッターの悪化を効果的に防止することが可能になる。
【0092】
第一の誘電体層15および第2の誘電体層13を形成するための誘電体材料は、透明な誘電体材料であれば、とくに限定されるものではなく、たとえば、酸化物、硫化物、窒化物またはこれらの組み合わせを主成分とする誘電体材料によって、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13を形成することができる。より具体的には、基板11などの熱変形を防止し、第一の記録層31および第二の記録層32を保護するために、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13が、Al2O3、AlN、ZnO、ZnS、GeN、GeCrN、CeO、SiO、SiO2、SiNおよびSiCよりなる群から選ばれる少なくとも1種の誘電体材料を主成分として含んでいることが好ましく、ZnS・SiO2を主成分として含んでいることがより好ましい。
【0093】
第一の誘電体層15と第二の誘電体層13は、互いに同じ誘電体材料によって形成されていてもよいが、異なる誘電体材料によって形成されていてもよい。さらに、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13の少なくとも一方が、複数の誘電体膜からなる多層構造であってもよい。
【0094】
なお、本明細書において、誘電体層が、誘電体材料を主成分として含むとは、誘電体層に含まれている誘電体材料の中で、その誘電体材料の含有率が最も大きいことをいう。また、ZnS・SiO2は、ZnSとSiO2との混合物を意味する。
【0095】
第一の誘電体層15および第二の誘電体層13の層厚は、とくに限定されるものではないが、3ないし200nmであることが好ましい。第一の誘電体層15あるいは第二の誘電体層13の層厚が3nm未満であると、上述した効果が得られにくくなる。一方、第一の誘電体層15あるいは第二の誘電体層13の層厚が200nmを越えると、成膜に要する時間が長くなり、光記録媒体10の生産性が低下するおそれがあり、さらに、第一の誘電体層15あるいは第二の誘電体層13のもつ応力によって、光記録媒体10にクラックが発生するおそれがある。
【0096】
第一の記録層31および第二の記録層32は、データを記録する層である。図1に示されるように、本実施態様においては、第一の記録層31は、光透過層16側に配置され、第二の記録層32は、基板11側に配置されている。
【0097】
本実施態様においては、第一の記録層31は、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層32は、Cuを主成分として含んでいる。
【0098】
このように、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む第一の記録層31およびCuを主成分として含む第二の記録層32を設けることによって、光記録媒体10の長期間の保存に対する信頼性を向上させることが可能になる。
【0099】
また、これらの元素は、環境に関する負荷が小さく、地球環境を害するおそれがない。
【0100】
再生信号のC/N比を十分に向上させためには、第一の記録層31が、Ge、Si、Mg、AlおよびSnよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいることが好ましく、Siを主成分として含んでいることがとくに好ましい。
【0101】
第二の記録層32に主成分として含まれているCuは、レーザビームL10が照射されたときに、第一の記録層31に主成分として含まれている元素とともに速やかに混合し、その結果、第一の記録層31および第二の記録層32に、データを速やかに記録することが可能になる。
【0102】
第一の記録層31の記録感度を向上させるために、第一の記録層31に、さらに、Mg、Al、Cu、Ag、Auよりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素が添加されていることが好ましい。
【0103】
第二の記録層32の保存信頼性の向上させ、記録感度を向上させるために、第二の記録層32に、さらに、Al、Si、Zn、Mg、Au、Sn、Ge、Ag、P、Cr、FeおよびTiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素が添加されていることが好ましい。
【0104】
第一の記録層31および第二の記録層32の層厚は、とくに限定されるものではないが、第一の記録層31および第二の記録層32の総厚が厚くなればなるほど、レーザビームL10が照射される第一の記録層31の表面平滑性が低下し、その結果、再生された信号中のノイズレベルが高くなるとともに、記録感度が低下する。その一方で、第一の記録層31および第二の記録層32の総厚が薄すぎると、データを記録する前後の反射率の差が少なくなり、高い再生信号(C/N比)を得ることができなくなり、膜厚制御も困難になる。
【0105】
そこで、本実施態様においては、第一の記録層31と第二の記録層32の総厚が、2nmないし40nmになるように、第一の記録層31および第二の記録層32が形成されている。より高い再生信号(C/N比)を得るとともに、再生信号中のノイズレベルをより一層低下させるためには、第一の記録層31と第二の記録層32の総厚が、2nmないし20nmであることが好ましく、2nmないし10nmであることがより好ましい。
【0106】
第一の記録層31および第二の記録層32のそれぞれの層厚は、とくに限定されるものではないが、記録感度を十分に向上させ、データを記録する前後の反射率の変化を十分に大きくするためには、第一の記録層31の層厚が、1nmないし30nmであり、第二の記録層32の層厚が、1nmないし30nmであることが好ましい。さらに、レーザビームを照射する前後の反射率の変化を十分に大きくするために、第一の記録層31の層厚と第二の記録層32の層厚との比(第一の記録層31の層厚/第二の記録層32の層厚)は、0.2ないし5.0であることが好ましい。
【0107】
光透過層16は、レーザビームL10が透過する層であり、10μmないし300μmの厚さを有していることが好ましく、より好ましくは、光透過層16は、50μmないし150μmの厚さを有している。
【0108】
光透過層16を形成するための材料は、とくに限定されるものではないが、スピンコーティング法などによって、光透過層16を形成する場合には、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などが好ましく用いられ、より好ましくは、紫外線硬化性樹脂によって、光透過層16が形成される。
【0109】
光透過層16は、第一の誘電体層15の表面に、光透過性樹脂によって形成されたシートを、接着剤を用いて、接着することによって、形成されてもよい。
【0110】
以上のような構成を有する光記録媒体10は、たとえば、以下のようにして、製造される。
【0111】
まず、グルーブ11aおよびランド11bが形成された基板11の表面上に、反射層12が形成される。
【0112】
反射層12は、たとえば、反射層12の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
【0113】
次いで、反射層12の表面上に、第二の誘電体層13が形成される。
【0114】
第二の誘電体層13は、たとえば、第二の誘電体層13の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
【0115】
さらに、第二の誘電体層13の表面上に、第二の記録層32が形成される。第二の記録層32も、第二の誘電体層13と同様にして、第二の記録層32の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。
【0116】
次いで、第二の記録層32の表面上に、第一の記録層31が形成される。第一の記録層31も、第一の記録層31の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって形成することができる。
【0117】
さらに、第一の記録層31の表面上に、第一の誘電体層15が形成される。第一の誘電体層15もまた、第一の誘電体層15の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。
【0118】
最後に、第一の誘電体層15の表面上に、光透過層16が形成される。光透過層16は、たとえば、粘度調整されたアクリル系の紫外線硬化性樹脂あるいはエポキシ系の紫外線硬化性樹脂を、スピンコーティング法などによって、第一の誘電体層15の表面に塗布して、塗膜を形成し、紫外線を照射して、塗膜を硬化させることによって、形成することができる。
【0119】
以上のようにして、光記録媒体10が製造される。
【0120】
以上のような構成を有する光記録媒体10に、たとえば、以下のようにして、データが光記録される。
【0121】
まず、図1および図2(a)に示されるように、所定のパワーを有するレーザビームL10が、光透過層16を介して、第一の記録層31および第二の記録層32に照射される。
【0122】
データを高い記録密度で、光記録媒体10に記録するためには、450nm以下の波長を有するレーザビームL10を、開口数NAが0.7以上の対物レンズ(図示せず)を用いて、光記録媒体10上に集束することが好ましく、λ/NA≦640nmであることがより好ましい。この場合には、第一の記録層31の表面におけるレーザビームL10のビームスポット径は0.65μm以下になる。
【0123】
本実施態様においては、405nmの波長を有するレーザビームL10が、開口数が0.85の対物レンズを用いて、第一の記録層31の表面におけるレーザビームL10のビームスポット径が約0.43μmとなるように、光記録媒体10上に集束される。
【0124】
その結果、レーザビームL10が照射された領域において、第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32に主成分として含まれた元素とが混合されて、図2(b)に示されるように、第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32に主成分として含まれた元素とが混合されて、記録マークMが形成される。
【0125】
第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32に主成分として含まれた元素とが混合されると、その領域の反射率が大きく変化し、したがって、こうして形成された記録マークMの反射率は、その周囲の領域の反射率と大きく異なることになるので、光記録されたデータを再生する際に、高い再生信号(C/N比)が得ることが可能になる。
【0126】
レーザビームL10が照射されると、第一の記録層31および第二の記録層32がレーザビームL10によって加熱されるが、本実施態様においては、第一の記録層31および第二の記録層32の外側に、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13が配置されているので、基板11および光透過層16の熱変形を効果的に防止することが可能になる。
【0127】
図3は、1,7RLL変調方式を用いた場合の第一のパルス列パターンを示す図であり、図3(a)は、2T信号を形成する場合のパルス列パターンを示し、図3(b)は、3T信号ないし8T信号を形成する場合のパルス列パターンを示している。
【0128】
第一のパルス列パターンは、記録マークMの後縁部を冷却することが必要な場合に適したレーザビームL10のパターンであり、とくに、最短ブランク間隔と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)が40nsec未満の場合に、好ましく選択される。
【0129】
図3(a)および図3(b)に示されるように、第一のパルス列パターンにおいては、記録マークMを形成するための記録パルスが、(n−1)個に分割され、レーザビームL10のパワーは、各分割パルスのピークにおいて、記録パワーPwに、最後の分割パルスの直後において、第2の基底パワーPb2に、その他の期間において、第一の基底パワーPb1に設定される。すなわち、第一のパルス列パターンは、図11に示された基本パルス列パターンにおける最後の分割パルスの直後に、レーザビームL10のパワーが、第2の基底パワーPb2となる冷却期間Tcl(last)が挿入された構成を有している。
【0130】
記録パワーPwは、レーザビームL10の照射によって、第一の記録層31に主成分として含まれる元素と、第2の記録層32に主成分として含まれる元素が加熱されて、混合し、記録マークMが形成されるような高いレベルに設定され、第一の基底パワーPb1および第2の基底パワーPb2は、レーザビームL10が照射されても、第一の記録層31に主成分として含まれる元素と、第2の記録層32に主成分として含まれる元素が実質的に混合することがないような低いレベルに設定される。
【0131】
図3に示されるように、第一の基底パワーPb1および第2の基底パワーPb2は、Pb1>Pb2となるように設定されており、これによって、記録マークMを形成するために照射した記録パワーPwを有するレーザビームL10によって、加熱された記録マークMの後縁部が効果的に冷却され、記録マークMの後縁部よりもレーザビームの進行方向側の領域において、第一の記録層31に主成分として含まれる元素と、第2の記録層32に主成分として含まれる元素とが混合することが防止される。
【0132】
したがって、第一のパルス列パターンを用いて、レーザビームL10のパワーを変調し、光記録媒体10にデータを記録する場合には、記録マークMの長さを所望の長さに制御することが可能になるから、最短ブランク間隔と記録線速度との比を、たとえば、40nsec未満に設定して、データを記録する場合においても、記録信号のジッターを低下させるとともに、C/N比を向上させることが可能となる。
【0133】
図4は、1,7RLL変調方式を用いた場合の第2のパルス列パターンを示す図であり、図4(a)は、2T信号を形成する場合のパルス列パターンを示し、図4(b)は、3T信号ないし8T信号を形成する場合のパルス列パターンを示している。
【0134】
第2のパルス列パターンは、記録マークMの前縁部を冷却することが必要な場合、すなわち、記録速度の高速化および記録密度の高密度化にともなって、連続する記録マーク間での熱干渉が大きくなる場合で、かつ、低い記録パワーPwのレーザビームL10を用いて、データを記録する場合に適したパターンであり、とくに、最短ブランク間隔と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)が20nsec未満で、かつ、記録感度が低い光記録媒体10にデータを記録する場合に、好ましく選択される。
【0135】
図4(a)および図4(b)に示されるように、第2のパルス列パターンにおいては、記録マークMを形成するための記録パルスが、(n−1)個に分割され、レーザビームL10のパワーは、各分割パルスのピークにおいて、記録パワーPwに、最初の分割パルスの直前において、第2の基底パワーPb2に、その他の期間において、第一の基底パワーPb1に設定される。すなわち、図11に示した基本パルス列パターンにおける最初の分割パルスの直前に、レーザビームL10のパワーが、第2の基底パワーPb2となる冷却期間Tcl(last)が挿入されている。
【0136】
ここに、記録パワーPw、第一の基底パワーPb1および第2の基底パワーPb2は、第一のパルス列パターンの場合と同様に設定される。
【0137】
第2のパルス列パターンを用いて、レーザビームL10のパワーを変調し、光記録媒体10にデータを記録する場合には、連続する記録マークMの間の熱干渉によって、加熱された各記録マークMの前縁部が効果的に冷却されるので、記録マークMの前縁部よりもレーザビームの進行方向とは反対側の領域において、第一の記録層31に主成分として含まれる元素と、第2の記録層32に主成分として含まれる元素とが混合することが防止される。
【0138】
したがって、第2のパルス列パターンを用いて、レーザビームL10のパワーを変調し、光記録媒体10にデータを記録する場合には、混合領域Mの長さを所望の長さに制御することが可能になるから、最短ブランク間隔と記録線速度との比をさらに小さく、たとえば、20nsec未満に設定して、データを記録する場合においても、記録信号のジッターを低下させるとともに、C/N比を向上させることが可能となる。
【0139】
図5は、1,7RLL変調方式を用いた場合の第3のパルス列パターンを示す図であり、図5(a)は、2T信号を形成する場合のパルス列パターンを示し、図5(b)は、3T信号ないし8T信号を形成する場合のパルス列パターンを示している。
【0140】
第3のパルス列パターンは、記録マークMの前縁部および後縁部を冷却することが必要な場合、すなわち、記録速度の高速化および記録密度の高密度化にともなって、連続する記録マーク間での熱干渉が大きくなる場合に適したパターンであり、とくに、最短ブランク間隔と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)が20nsec未満である場合に、好ましく選択される。
【0141】
図5(a)および図5(b)に示されるように、第3のパルス列パターンにおいては、記録マークMを形成するための記録パルスが、(n−1)個に分割され、レーザビームL10のパワーは、各分割パルスのピークにおいて、記録パワーPwに、最初の分割パルスの直前および最後の分割パルスの直後において、第2の基底パワーPb2に、その他の期間において、第一の基底パワーPb1に設定される。すなわち、図11に示した基本パルス列パターンにおける最初の分割パルスの直前に、冷却期間Tcl(front)が挿入され、かつ、最後の分割パルスの直後に、冷却期間Tcl(last)が挿入されている。
【0142】
ここに、記録パワーPw、第一の基底パワーPb1および第2の基底パワーPb2は、第一のパルス列パターンの場合と同様に設定される。
【0143】
第3のパルス列パターンにおいては、記録マークMを形成するために照射した記録パワーPwを有するレーザビームL10によって、加熱された記録マークMの後縁部が効果的に冷却され、記録マークMの後縁部よりもレーザビームの進行方向側の領域において、第一の記録層31に主成分として含まれる元素と、第2の記録層32に主成分として含まれる元素とが混合することが防止されるとともに、連続する記録マークMの間の熱干渉によって、加熱された各記録マークMの前縁部が効果的に冷却されるので、記録マークMの前縁部よりもレーザビームの進行方向とは反対側の領域において、第一の記録層31に主成分として含まれる元素と、第2の記録層32に主成分として含まれる元素とが混合することが防止される。
【0144】
したがって、第3のパルス列パターンを用いて、レーザビームL10のパワーを変調し、光記録媒体10にデータを記録する場合には、記録マークMの長さを所望の長さに制御することが可能になるから、最短ブランク間隔と記録線速度との比を非常に小さく設定して、データを記録する場合においても、記録信号のジッターを低下させるとともに、C/N比を向上させることが可能となる。
【0145】
本実施態様によれば、記録マークMを形成するためのレーザビームL10の記録パルスを(n−a)個(aは「0」、「1」または「2」であり、8/16変調方式においては「2」、1,7RLL変調方式においては「1」とすることが好ましい。)に分割するとともに、最後の分割パルスの直後に、冷却期間Tcl(last)を挿入し、あるいは、最初の分割パルスの直前に冷却期間Tcl(front)を挿入し、あるいは、最初の分割パルスの直前に、冷却期間Tcl(front)を挿入するとともに、最後の分割パルスの直後に、冷却期間Tcl(last)を挿入して、レーザビーム10のパワーを変調するパルス列パターンが形成されているから、記録マークの後縁部および/または前縁部がずれることを効果的に防止することが可能になり、したがって、最短ブランク間隔と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)を小さく設定して、データを記録する場合においても、記録信号のジッタを低下させ、C/N比を向上させることが可能となる。
【0146】
図6は、本発明の好ましい実施態様にかかるデータ記録装置のブロックダイアグラムである。
【0147】
図6に示されるように、本実施態様にかかるデータ記録装置50は、光記録媒体10を回転させるためのスピンドルモータ52と、光記録媒体10に、レーザビームを照射するとともに、光記録媒体10によって、反射された光を受光するヘッド53と、スピンドルモータ52およびヘッド53の動作を制御するコントローラ54と、ヘッド53に、レーザ駆動信号を供給するレーザ駆動回路55と、ヘッド53に、レンズ駆動信号を供給するレンズ駆動回路56とを備えている。
【0148】
図6に示されるように、コントローラ54は、フォーカスサーボ追従回路57、トラッキングサーボ追従回路58およびレーザコントロール回路59を備えている。
【0149】
フォーカスサーボ追従回路57が活性化すると、回転している光記録媒体10の第一の記録層31に、レーザビームL10がフォーカスされ、トラッキングサーボ追従回路58が活性化すると、光記録媒体10のトラックに対して、レーザビームのスポットが自動追従状態となる。
【0150】
図6に示されるように、フォーカスサーボ追従回路57およびトラッキングサーボ追従回路58は、それぞれ、フォーカスゲインを自動調整するためのオートゲインコントロール機能およびトラッキングゲインを自動調整するためのオートゲインコントロール機能を有している。
【0151】
また、レーザコントロール回路59は、レーザ駆動回路55により供給されるレーザ駆動信号を生成する回路である。
【0152】
本実施態様においては、上述した第一のパルス列パターン、第二のパルス列パターンあるいは第三のパルス列パターンを特定するためのデータが、データを記録する際に必要な記録線速度などの種々の記録条件を特定するためのデータとともに、記録条件設定用データとして、光記録媒体10に、ウォブルやプレピットとして記録されている。
【0153】
したがって、レーザコントロール回路59は、データを記録するのに先立って、光記録媒体10に記録された記録条件設定用データを読み出し、読み出した記録条件設定用データに基づいて、第一のパルス列パターン、第二のパルス列パターンあるいは第三のパルス列パターンを選択し、レーザ駆動信号を生成し、レーザ駆動回路55からヘッド53に出力させる。
【0154】
こうして、所望の記録ストラテジにしたがって、光記録媒体10にデータが記録される。
【0155】
本実施態様によれば、光記録媒体10には、第一のパルス列パターン、第二のパルス列パターンあるいは第三のパルス列パターンを特定するためのデータが、データを記録する際に必要な記録線速度などの種々の記録条件を特定するためのデータとともに、記録条件設定用データとして、記録されており、光記録媒体10にデータを記録するのに先立って、レーザコントロール回路59により、記録条件設定用データが読み出され、読み出された記録条件設定用データに基づいて、第一のパルス列パターン、第二のパルス列パターンあるいは第三のパルス列パターンが選択され、光記録媒体10に、レーザビームを照射するヘッド53が制御されるように構成されているから、所望の記録ストラテジにしたがって、光記録媒体10にデータを記録することが可能になる。
【0156】
【実施例】
以下、本発明の効果をより明瞭なものとするため、実施例および比較例を掲げる。
【0157】
[光記録媒体の作製]
以下のようにして、図1に示される光記録媒体1と同様の構成を有する光記録媒体を作製した。
【0158】
すなわち、まず、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、次いで、ポリカーボネート基板上に、Ag、PdおよびCuの混合物を含み、100nmの層厚を有する反射層、ZnSとSiO2の混合物を含み、30nmの層厚を有する第二の誘電体層、Cuを主成分として含み、5nmの層厚を有する第二の記録層、Siを主成分として含み、5nmの層厚を有する第一の記録層、ZnSとSiO2の混合物を含み、25nmの層厚を有する第一の誘電体層を、順次、スパッタリング法によって、形成した。
【0159】
第一の誘電体層および第二の誘電体層に含まれたZnSとSiO2の混合物中のZnSとSiO2のモル比率は、80:20であった。
【0160】
さらに、第一の誘電体層上に、アクリル系紫外線硬化性樹脂を、スピンコーティング法によって、塗布して、塗布層を形成し、塗布層に紫外線を照射して、アクリル系紫外線硬化性樹脂を硬化させ、100μmの層厚を有する光透過層を形成した。
【0161】
実施例1
こうして作製した光記録媒体を、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「DDU1000」(商品名)にセットし、波長が405nmの青色レーザ光を、記録用レーザ光として用い、NA(開口数)が0.85の対物レンズを用いて、レーザ光を、光透過層を介して、集光し、下記の記録条件で、データを記録した。
【0162】
変調方式:(1,7)RLL
チャンネルビット長:0.12μm
記録線速度:5.3m/秒
チャンネルクロック:66MHz
記録信号:2Tないし8Tの混合信号
(n−1)分割された記録パルスを用い、第一のパルス列パターンにしたがって、レーザビームを変調した。冷却期間Tcl(last)の長さは1Tとし、第二の基底パワーPb2を0.1mWに固定した一方で、第一の基底パワーPb1を0.5mW、1.0mW、1.5mWに変化させるとともに、記録パワーPwを変化させて、データを記録した。ここに、nは2ないし8の整数である。
【0163】
また、フォーマット効率を80%とした場合のデータ転送レートは約35Mbpsであり、最短ブランク間隔と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)は、30.4nsecであった。
【0164】
実施例2
2T信号については、第一のパルス列パターンを用い、3T信号ないし8T信号については、基本パルス列パターンを用いて、レーザビームのパワーを変調した以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体にデータを記録した。
【0165】
実施例3
第二のパルス列パターンを用いて、レーザビームのパワーを変調した以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体にデータを記録した。
【0166】
冷却期間Tcl(front)の長さは1Tとした。
【0167】
実施例4
2T信号については、第二のパルス列パターンを用い、3T信号ないし8T信号については、基本パルス列パターンを用いて、レーザビームのパワーを変調した以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体にデータを記録した。
【0168】
冷却期間Tcl(front)の長さは1Tとした。
【0169】
実施例5
第三のパルス列パターンを用いて、レーザビームのパワーを変調した以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体にデータを記録した。
【0170】
冷却期間Tcl(last)および冷却期間Tcl(front)の長さは、それぞれ、1Tとした。
【0171】
実施例6
2T信号については、第三のパルス列パターンを用い、3T信号ないし8T信号については、基本パルス列パターンを用いて、レーザビームのパワーを変調した以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体にデータを記録した。
【0172】
冷却期間Tcl(last)および冷却期間Tcl(front)の長さは、それぞれ、1Tとした。
【0173】
比較例
基本パルス列パターンを用いて、レーザビームのパワーを変調した以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体にデータを記録した。
【0174】
次いで、上述の光媒体評価装置を用いて、光記録媒体に記録されたデータを再生し、最適記録パワーPwを有するレーザビームを用いて、記録された2T信号のC/N比の値を測定した。データの再生にあたっては、レーザ光の波長を405nm、対物レンズのNA(開口数)を0.85とした。
【0175】
ここに、ジッターが最小になったときのレーザビームの記録パワーPwを最適記録パワーPwとした。
【0176】
測定結果は、図7に示されている。
【0177】
図7に示されるように、冷却期間Tcl(last)を含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調して、データを記録した実施例1、2、5および6においては、第一の基底パワーPb1を高くしても、2T信号のC/N比の悪化はほとんど認められなかった。
【0178】
したがって、約35Mbpsのデータ転送レートで、データを記録する場合には、冷却期間Tcl(last)を含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調すれば、第一の基底パワーPb1を高くすることによって、低い記録パワーPwで、データを記録することができることが判明した。
【0179】
これに対して、冷却期間Tcl(last)を含んでいないパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調して、データを記録した実施例3においては、第一の基底パワーPb1を高くすると、2T信号のC/N比が悪化し、実施例4においては、2T信号のC/N比が全体的に低いことが判明した。これは、最短ブランク間隔と記録線速度との比が30.4nsecである場合には、連続する記録マークの間の熱干渉によって、記録マークの前縁部がレーザビームの進行方向と反対側にずれるという現象が生じていなかったためと推測される。
【0180】
一方、図7に示されるように、基本パルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調して、データを記録した比較例においては、第一の基底パワーPb1を高くすると、2T信号のC/N比が急激に悪化することがわかった。
【0181】
記録線速度を10.6m/sec、チャンネルクロックを133MHzに設定し、第一の基底パワーPb1を、0.5mW、1.0mW、1.5mW、2.0mWに変化させた以外は、上述したのと同様にして、光記録媒体に2T信号ないし8Tの混合信号を記録し、光記録媒体に記録されたデータを再生し、最適記録パワーPwを有するレーザビームを用いて、記録された2T信号のC/N比の値を測定した。
【0182】
この場合には、フォーマット効率を80%とした場合のデータ転送レートは約70Mbpsであり、最短ブランク間隔と記録線速度との比(最短ブランク間隔/記録線速度)は、15.2nsecであった。
【0183】
測定結果は、図8に示されている。
【0184】
図8に示されるように、いずれの場合も、第一の基底パワーPb1を高くすると、2T信号のC/N比が悪化したが、冷却期間Tcl(last)を含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調して、データを記録した実施例1および実施例2、冷却期間Tcl(front) を含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調して、データを記録した実施例3および4ならびに冷却期間Tcl(last)および冷却期間Tcl(front) を含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調して、データを記録した実施例5および6においては、比較例に比し、2T信号のC/N比が良好であった。
【0185】
したがって、約70Mbpsのデータ転送レートで、データを記録する場合には、冷却期間Tcl(last)を含むパルス列パターン、冷却期間Tcl(front) を含むパルス列パターンあるいは冷却期間Tcl(last)および冷却期間Tcl(front) を含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調して、データを記録することが望ましいことが判明した。
【0186】
ことに、第一のパルス列パターンにしたがって、レーザビームを変調して、データを記録した実施例1、第二のパルス列パターンを用いて、レーザビームのパワーを変調して、データを記録した実施例3、第三のパルス列パターンを用いて、レーザビームのパワーを変調して、データを記録した実施例5および2T信号については、第三のパルス列パターンを用い、3T信号ないし8T信号については、基本パルス列パターンを用いて、レーザビームのパワーを変調し、データを記録した実施例6においては、2T信号のC/N比は、第一の基底パワーPb1を2mWにまで高めても、第一の基底パワーを0.5mWに設定し、基本パルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調し、データを記録した比較例の2T信号のC/N比とほぼ同等以上であり、これらのパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調して、光記録媒体に、データを記録する場合には、第一の基底パワーPb1を高くし、低い記録パワーPwで、データを記録することができることが判明した。
【0187】
さらに、記録線速度を10.6m/sec、チャンネルクロックを133MHzに設定し、第一の基底パワーPb1を、0.5mW、1.0mW、1.5mW、2.0mW、2.5mWに変化させた以外は、上述したのと同様にして、光記録媒体に2Tないし8Tの混合信号を記録し、光記録媒体に記録されたデータを再生して、再生されたデータのC/N比を測定し、最適記録パワーPwと、第一の基底パワーPb1との関係を測定した。
【0188】
測定結果は、図9に示されている。
【0189】
図9に示されるように、いずれの場合も、第一の基底パワーPb1を高くすると、レーザビームの最適記録パワーPwが低下し、低い記録パワーPwのレーザビームを用いて、データを記録することができることがわかった。
【0190】
ただし、いずれの場合でも、第1の基底パワーPb1を2.5mW以上に設定すると、ブランク領域においても、第一の記録層に主成分として含まれている元素と、第二の記録層に主成分として含まれている元素とが混合して、記録マークが形成され、C/N比が大幅に悪化することが認められた。
【0191】
本発明は、以上の実施態様および実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0192】
たとえば、前記実施態様および前記実施例においては、第一の記録層31と第二の記録層32が、互いに接触するように形成されているが、第二の記録層32は、レーザ光の照射を受けたときに、第一の記録層31に主成分として含まれている元素と、第二の記録層12に主成分として含まれている元素とが混合した領域が形成されるように、第一の記録層31の近傍に配置されていればよく、第一の記録層31と第二の記録層32が、互いに接触するように形成されていることは必ずしも必要でなく、第一の記録層31と第二の記録層32の間に、誘電体層などの一または二以上の他の層が介在していてもよい。
【0193】
また、前記実施態様においては、第一の記録層31は、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層32は、Cuを主成分として含んでいるが、第一の記録層31が、Si、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層32が、Cuを主成分として含んでいることは必ずしも必要でなく、第一の記録層31が、Si、Ge、C、Sn、ZnおよびCuよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層32が、Alを主成分として含んでいてもよいし、第一の記録層31が、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層32が、Znを主成分として含んでいてもよい。さらには、第一の記録層31と第二の記録層32が、互いに異なった元素を主成分として含み、それぞれ、Al、Si、Ge、C、Sn、Au、Zn、Cu、B、Mg、Ti、Mn、Fe、Ga、Zr、AgおよびPtよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいればよい。
【0194】
また、前記実施態様および前記実施例においては、光記録媒体10は、第一の記録層31および第二の記録層32を備えているが、第一の記録層31および第二の記録層32に加えて、一もしくは二以上のSi、Ge、Sn、Mg、In、Zn、BiおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む記録層または一もしくは二以上のCuを主成分として含む記録層を備えていてもよい。
【0195】
さらに、前記実施態様および前記実施例においては、第一の記録層31が光透過層16側に配置され、第二の記録層32が基板11側に配置されているが、第一の記録層31を基板11側に配置し、第二の記録層32を光透過層16側に配置することもできる。
【0196】
また、前記実施態様および前記実施例においては、光記録媒体10は、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13を備え、第一の記録層31および第二の記録層32が、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13の間に配置されているが、光記録媒体10が、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13を備えていることは必ずしも必要でなく、誘電体層を備えていなくてもよい。また、光記録媒体10は、単一の誘電体層を有していてもよく、その場合には、誘電体層は、第一の記録層31および第二の記録層32に対して、基板11側に配置されていても、あるいは、光透過層16側に配置されていてもよい。
【0197】
さらに、前記実施例においては、第一の記録層と第二の記録層は、同じ厚さを有するように形成されているが、第一の記録層と第二の記録層を、同じ厚さを有するように形成することは必ずしも必要でない。
【0198】
また、前記実施態様および前記実施例においては、光記録媒体10は反射層12を備えているが、レーザ光が照射された結果、第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32に主成分として含まれた元素が混合して形成された記録マークMにおける反射光のレベルと、それ以外の領域における反射光のレベルの差が十分に大きい場合には、反射層12を省略することができる。
【0199】
さらに、前記実施態様においては、すべての記録マークMが、第一のパルス列パターン、第二のパルス列パターンあるいは第三のパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーが変調されて、形成されているが、記録マークMの前縁部および/または後縁部がずれて、記録マークMの長さが、所望の長さよりも長くなることを防止するために、レーザビームの記録パワーPwを低下させたときに、記録マークMの幅が細くなって、記録信号のC/N比(キャリア/ノイズ比)が顕著に低下するのは、記録マークMの長さが短い場合であるから、記録マークMの長さが最も短くなる2T信号を用いる場合だけに、第一のパルス列パターン、第二のパルス列パターンあるいは第三のパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調するようにし、3T信号ないし8T信号を用いて、記録マークMを形成する場合には、基本パルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調するようにしてもよい。
【0200】
また、図6に示された実施態様においては、記録条件設定用データが、ウォブルやプレピットとして、光記録媒体10に記録されているが、第一の記録層31あるいは第二の記録層32に、記録条件設定用データを記録するようにしてもよい。
【0201】
さらに、図6に示された実施態様においては、フォーカスサーボ追従回路57、トラッキングサーボ追従回路58およびレーザコントロール回路59が、コントローラ54内に組み込まれているが、フォーカスサーボ追従回路57、トラッキングサーボ追従回路58およびレーザコントロール回路59を、コントローラ54内に組み込むことは必ずしも必要でなく、コントローラ54とは別体に、フォーカスサーボ追従回路57、トラッキングサーボ追従回路58およびレーザコントロール回路59を設けることもできるし、フォーカスサーボ追従回路57、トラッキングサーボ追従回路58およびレーザコントロール回路59の機能を果たすソフトウエアを、コントローラ54内に組み込むようにしてもよい。
【0202】
また、前記実施態様および前記実施例においては、単位面積当たりのエネルギー量が非常に高いレーザビームが用いられるために、記録マークの後縁部および前縁部のずれがより生じやすい次世代型の光記録媒体にデータを記録する場合につき、説明を加えたが、本発明は、次世代型の光記録媒体にデータを記録する場合に限らず、次世代型の光記録媒体以外の追記型光記録媒体に、データを記録する場合に広く適用することができる。
【0203】
【発明の効果】
本発明によれば、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録方法を提供することが可能になる。
【0204】
また、本発明によれば、最短ブランク間隔と記録線速度との比が小さい場合にも、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録方法を提供することが可能になる。
【0205】
さらに、本発明によれば、低い記録パワーのレーザビームを用いて、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録方法を提供することが可能になる。
【0206】
また、本発明によれば、二層以上の記録層を備えた追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録方法を提供することが可能になる。
【0207】
さらに、本発明によれば、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録装置を提供することが可能になる。
【0208】
また、本発明によれば、最短ブランク間隔と記録線速度との比が小さい場合にも、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録装置を提供することが可能になる。
【0209】
さらに、本発明によれば、低い記録パワーのレーザビームを用いて、追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録装置を提供することが可能になる。
【0210】
また、本発明によれば、二層以上の記録層を備えた追記型の光記録媒体に、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができるデータの記録装置を提供することが可能になる。
【0211】
さらに、本発明によれば、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができる追記型の光記録媒体を提供することが可能になる。
【0212】
また、本発明によれば、最短ブランク間隔と記録線速度との比が小さい場合にも、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができる追記型の光記録媒体を提供することが可能になる。
【0213】
さらに、本発明によれば、低い記録パワーのレーザビームを用いて、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができる追記型の光記録媒体を提供することが可能になる。
【0214】
また、本発明によれば、所望の長さと幅を有する記録マークを形成することができる二層以上の記録層を備えた追記型の光記録媒体を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の構造を示す略断面図である。
【図2】図2(a)は、図1に示された光記録媒体の一部拡大略断面図であり、図2(b)は、データが記録された後の光記録媒体の一部拡大略断面図である。
【図3】図3は、1,7RLL変調方式を用いた場合の第一のパルス列パターンを示す図であり、図3(a)は、2T信号を形成する場合のパルス列パターンを示し、図3(b)は、3T信号ないし8T信号を形成する場合のパルス列パターンを示している。
【図4】図4は、1,7RLL変調方式を用いた場合の第2のパルス列パターンを示す図であり、図4(a)は、2T信号を形成する場合のパルス列パターンを示し、図4(b)は、3T信号ないし8T信号を形成する場合のパルス列パターンを示している。
【図5】図5は、1,7RLL変調方式を用いた場合の第3のパルス列パターンを示す図であり、図5(a)は、2T信号を形成する場合のパルス列パターンを示し、図5(b)は、3T信号ないし8T信号を形成する場合のパルス列パターンを示している。
【図6】図6は、本発明の好ましい実施態様にかかるデータ記録装置のブロックダイアグラムである。
【図7】図7は、ジッターが最小になったときのレーザビームの記録パワーPwを最適記録パワーPwとしたときに、最適記録パワーPwを有するレーザビームを用いて、約35Mbpsのデータ転送レートで、データを記録した場合の2T信号のC/N比と、第一の基底パワーPb1との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、ジッターが最小になったときのレーザビームの記録パワーPwを最適記録パワーPwとしたときに、最適記録パワーPwを有するレーザビームを用いて、約70Mbpsのデータ転送レートで、データを記録した場合の2T信号のC/N比と、第一の基底パワーPb1との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、ジッターが最小になったときのレーザビームの記録パワーPwを最適記録パワーPwとしたときに、最適記録パワーPwを有するレーザビームを用いて、約70Mbpsのデータ転送レートで、データを記録した場合の最適記録パワーPwと、第一の基底パワーPb1との関係を示すグラフである。
【図10】図10は、有機色素を用いたCD−Rに、データを記録する場合の代表的なパルス列パターンを示す図である。
【図11】図11は、有機色素を用いたDVD−Rに、データを記録する場合の代表的なパルス列パターン(基本パルス列パターン)を示す図である。
【符号の説明】
10 光記録媒体
11 基板
11a ランド
11b グルーブ
12 反射層
13 第二の誘電体層
15 第一の誘電体層
16 光透過層
17 孔
31 第一の反応層
32 第二の反応層
50 データ記録装置
52 スピンドルモータ
53 ヘッド
54 コントローラ
55 レーザ駆動回路
56 レンズ駆動回路
57 フォーカスサーボ追従回路
58 トラッキングサーボ追従回路
59 レーザコントロール回路
L10 レーザビーム
M 記録マーク
Claims (16)
- 基板と前記基板上に形成された少なくとも一層の記録層を備えた追記型の光記録媒体に、少なくとも記録パワーおよび第一の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって変調されたレーザビームを照射し、前記記録層に少なくとも二つの記録マークを形成して、データを記録する方法であって、前記記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、前記第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調することを特徴とする光記録媒体へのデータの記録方法。
- 前記光記録媒体が、さらに、光透過層と、前記基板と前記光透過層の間に形成された第一の記録層と第二の記録層を備え、前記光透過層を介して、レーザビームを照射して、前記第一の記録層に主成分として含まれている元素と、前記第二の記録層に主成分として含まれている元素とを混合させて、前記少なくとも二つの記録マークを形成することを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体へのデータの記録方法。
- 前記第二の記録層が、前記第一の記録層に接するように、形成されたことを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体へのデータの記録方法。
- 最短ブランク間隔と記録線速度との比を40nsec以下に設定して、少なくとも二つの記録マークを形成するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光記録媒体へのデータの記録方法。
- 最短ブランク間隔と記録線速度との比を20nsec以下に設定して、少なくとも二つの記録マークを形成するように構成されたことを特徴とする請求項4に記載の光記録媒体へのデータの記録方法。
- 前記記録パワーからなるパルスが、前記記録マークの長さに対応する数の分割パルスによって構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光記録媒体へのデータの記録方法。
- 前記分割パルス間においては、レーザビームのパワーが前記第一の基底パワーに設定されることを特徴とする請求項6に記載の光記録媒体へのデータの記録方法。
- 前記光記録媒体に、450nm以下の波長を有するレーザビームを照射して、データを記録することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光記録媒体へのデータの記録方法。
- λ/NA≦640nmを満たす開口数NAを有する対物レンズおよび波長λを有するレーザビームを用い、前記対物レンズを介して、前記光記録媒体に、レーザビームを照射して、データを記録することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光記録媒体へのデータの記録方法。
- 基板と前記基板上に形成された少なくとも一層の記録層を備えた追記型の光記録媒体に、少なくとも記録パワーおよび第一の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって変調されたレーザビームを照射するレーザ照射手段を備えた光記録媒体へのデータの記録装置であって、前記レーザ照射手段が、前記記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、前記第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調するように構成されたことを特徴とする光記録媒体へのデータの記録装置。
- 最短ブランク間隔と記録線速度との比を40nsec以下に設定されるように構成されたことを特徴とする請求項10に記載の光記録媒体へのデータの記録装置。
- 最短ブランク間隔と記録線速度との比を20nsec以下に設定されるように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の光記録媒体へのデータの記録装置。
- 基板と前記基板上に形成された少なくとも一層の記録層を備え、少なくとも記録パワーおよび第一の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって変調されたレーザビームが照射されて、前記記録層に少なくとも二つの記録マークが形成され、データが記録されるように構成された追記型の光記録媒体であって、前記記録パワーからなるパルスの前後の少なくとも一方に、前記第一の基底パワーよりも強度の低い第二の基底パワーを含むパルス列パターンにしたがって、レーザビームのパワーを変調するために必要な記録条件設定用データが記録されていることを特徴とする光記録媒体。
- さらに、光透過層と、前記基板と前記光透過層の間に形成された第一の記録層と第二の記録層を備え、前記光透過層を介して、レーザビームが照射されたときに、前記第一の記録層に主成分として含まれている元素と、前記第二の記録層に主成分として含まれている元素とが混合し、記録マークが形成されるように構成されたことを特徴とする請求項13に記載の光記録媒体。
- 前記第二の記録層が、前記第一の記録層に接するように、形成されたことを特徴とする請求項14に記載の光記録媒体。
- 前記光透過層が、10ないし300nmの厚さを有するように形成されたことを特徴とする請求項14または15に記載の光記録媒体。
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