JP2004046776A - 画像処理方法及びその装置、並びに画像処理プログラムとこの画像処理プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】まず、背景の色彩と輝度の一方又は両方を変えて被写体Oを撮影した2枚の画像P1,P2を透明度計算処理部ATに入力する。透明度計算処理部ATはこれらを入力として透明度画像PTを求める。必要な場合には、透明度画像PTにノイズフィルタANをかけノイズ除去を行う。また、色彩計算処理部ACは、画像P1,P2を入力として、色彩画像PCを求める。透明度画像PT及び色彩画像PCは、切断処理部ARにより、不要部分をカットし画像サイズを小さく切り出す。合成処理部ASは、切断処理部ARで切り出した透明度画像PTと色彩画像PCを、また別途撮影した背景画像PZを入力として、背景画像PZ上に被写体Oを挿入した合成画像PSを生成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像情報から被写体部分を切り出し、且つ被写体の表面の透明度を求め、且つ別の2次元の画像上に被写体を合成する画像処理方法及びその処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
撮影した被写体の画像を、全く別の背景画像上に合成する処理は、映画やテレビ等、また、被写体をあらゆる方向から撮影することにより3次元画像を得る場合等によく使われている。この処理では、撮影した被写体画像から背景の画像を除去するセグメント処理が必要である。
【0003】
一般的なセグメンテーション手法の一つに、クロマキー手法がある。これは、背景をある決められた単色にして撮影して、背景と同色の部分を切り取る手法である。しかしながら、このクロマキー手法では、撮影環境等により背景に色むらが生じたり、また、被写体に背景色に近い色が使われている場合、うまく切り出せない問題がある。
【0004】
また、被写体を置かない状態で、あらかじめ背景を撮影しておき、その画像と被写体が写っている画像とを比較して、抜き出す手法もある。この抜き出す手法では、背景が単色でなくても抜き出しが行えるメリットがあるが、クロマキー手法と同様、被写体の影等が背景に写った場合や、背景と同様な部分が物体にある場合には、うまく抜き出すことができない。
【0005】
また、特開2001−148021号公報(特許文献1)の手法では、背景を変えた複数の画像を用いることにより、上記セグメンテーション手法の問題を解決している。しかしながら、この手法でも、被写体の表面反射が強く背景が写り込む場合や、被写体が半透明で背景が透けて見える場合は、被写体に欠けが生じ、図3、図5に示すように背景画像と合成した場合、被写体に不自然な欠けが生じるという問題が生じる。
【0006】
また、特開2001−143085号公報(特許文献2)では、白黒のストラップの背景を用いて、被写体表面の透明度を求める手法が提案されているが、この手法は被写体表面の透明度が均一である場合に限られている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−148021号公報
【特許文献2】
特開2001−143085号公報
【特許文献3】
米国特許第6377269号公報
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来のセグメンテーション手法では、被写体が半透明であったり、表面反射の強い物体では、被写体の切り出し画像に不自然に欠けが生じ、正確に、背景と被写体を切り分けることができず、その画像を、他の画像上に合成する場合、醜い画像となるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記条件でも正確に被写体部分を抽出し、他の画像等と合成した場合に、半透明性や反射性を再現し、自然な画像を得る画像処理方法とその装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の課題を解決するための手段は、被写体の画像を別の画像に合成するために画像処理装置が実行する画像処理方法であって、2以上の整数をnとし、被写体Oが写り背景の色彩と輝度の一方又は両方が違うn枚の画像P1〜Pnを入力するステップと、前記画像P1〜Pnから、画素毎に透明度値を有する被写体Oの透明度画像PTを求める透明度計算ステップと、前記画像P1〜Pnから、被写体Oの色彩画像PCを求める色彩計算ステップと、ある2次元の画像PZと前記透明度画像PTと色彩画像PCとから、その画像PZに被写体Oを合成する合成ステップとを有することを特徴とする画像処理方法である。
【0010】
上記の画像処理方法において、nが2の場合に、前記透明度計算ステップでは、画像P1上のある一点の画素値をP1(x,y)、画像P2上の一点の画素値をP2(x,y)とし、画像P1上で被写体が写っていない部分のある画素の画素値をPPB1、画像P2上でのその画素に対応する画素の画素値をPPB2とし、PPB1−PPB2を最大画素変化PPMAXとし、不透明を1、透明を0として透明度を0〜1の実数とした場合、ある一点の透明度AP(x,y)を1−|(P1(x,y)−P2(x,y))/PPMAX|として与え、画像P1,P2上の全ての画素の透明度を求めることができる。
【0011】
また、上記の画像処理方法において、透明度計算ステップでは、最大画素変化PPMAXに、画像P1,P2の全ての画素で、P1(x,y)−P2(x,y)が最大となる値を用いることができる。
【0012】
また、上記の画像処理方法において、透明度計算ステップでは、最大画素変化PPMAXを、画像P1,P2の同一ライン毎に計算するようにしてもよい。
【0013】
また、上記の画像処理方法において、透明度計算ステップでは、画像P1,P2の1ラインの端の画素値をPE1,PE2としたとき、最大画素変化PPMAXをPE1−PE2として計算することもできる。
【0014】
また、上記の画像処理方法において、透明度計算ステップでは、nが2の場合として、画像P1上のある一点の画素値をP1(x,y)、画像P2上の一点の画素値をP2(x,y)とし、被写体が写っていない背景を画像P1,P2の背景と同様に変えた2枚の画像PB1、PB2を用い、不透明を1、透明を0として透明度を0〜1の実数とした場合、透明度AP(x,y)を1−|(P1(x,y)−P2(x,y))/(PB1(x,y)−PB2(x,y))|として与え、画像P1,P2上の全ての画素の透明度を求めることもできる。
【0015】
また、上記の画像処理方法において、透明度計算ステップでは、2枚の画像がn枚の画像のうち2枚を選んだものであり、n枚全ての画像の2枚の選択の組み合わせで求めた透明度の平均を画素の透明度としてもよい。
【0016】
また、上記の画像処理方法において、色彩計算ステップでは、n枚の画像のうち1枚を選び、その画素の色彩を色彩画像PCとしてもよい。
【0017】
また、上記の画像処理方法において、色彩計算ステップでは、n枚の画像のそれぞれの画素の色彩の平均値をその画素の色彩として色彩画像PCを求めることもできる。
【0018】
また、上記の画像処理方法において、色彩計算ステップでは、n枚の画像から1枚の画像を選び、その画素から、透明度計算ステップで求めた透明度を元に背景の色彩の影響を除去した色彩画像PCを求めるようにしてもよい。
【0019】
また、上記の画像処理方法において、色彩計算ステップの後に、透明度画像PTと色彩情報PCの画像サイズを、被写体Oを包括する最小の長方形に切り出す切り出しステップを加えてもよい。
【0020】
また、上記の画像処理方法において、切り出しステップでは、透明度画像PTが、0〜1の実数の或る閾値THを超える部分のみを含む長方形で切り出し、色彩画像PCも同じサイズで切り出しを行うようにしてもよい。
【0021】
また、上記の画像処理方法において、透明度計算ステップの後に、ノイズ除去フィルタをかけるノイズ除去ステップを行っても良い。
【0022】
また、上記の画像処理方法において、合成ステップでは、透明度画像PT上のある一点の画素(0≦x<w,0≦y<h)の画素値をPT(x,y)、色彩情報PC上の一点の画素値をPC(x,y)、画像PZ上の一点の画素値をPZ(x,y)とし、合成画像PS上の一点の画素値PS(x,y)を、PS(x,y)=PC(x,y)×PT(x,y)+PZ(x,y)×(1−PT(x,y))で与え、合成画像PS上の全ての画素値を求めることができる。
【0023】
あるいは、上記の画像処理方法において、合成ステップでは、透明度画像PT上のある一点の画素(0≦x<w,0≦y<h)の画素値をPT(x,y)、色彩情報PC上の一点の画素値をPC(x,y)、画像PZ上の一点の画素値をPZ(x,y)とし、合成画像PS上の一点の画素値PS(x,y)を、ある定数Kを与え、
【0024】
【数2】
k=K×PT(x,y)で与え、合成画像PS上の全ての画素値を求めてもよい。
【0025】
また、上記の画像処理方法において、合成ステップでは、画像PZと色彩情報PCとを合成するときに、PZを透明度画像PTの値に応じてぼかし量が変わるフィルタFを通してから合成画像PSを求めるようにしてもよく、フィルタFに、行列の大きさを透明度画像PZの値により変化させた移動平均フィルタまたはメディアンフィルタを用いることができる。
【0026】
また、上記画像処理方法において、前記色彩画像PCに代えて、画像P1〜Pnの撮影とは別に被写体Oを撮影して得られた色彩画像を用いて画像PZに被写体Oを合成するようにしてもよい。この場合、m種の照明条件L1〜Lmで被写体Oを撮影した色彩画像PC1〜PCmから、前記画像PZを撮影した時の照明条件と最も近い条件で撮影された画像を色彩画像PC1〜PCmの中から1枚選び、この色彩画像を用いて画像PZに被写体Oを合成することができる。
【0027】
また、本発明は被写体の画像を別の画像に合成する画像処理装置であって、2以上の整数をnとし、被写体Oが写り背景の色彩と輝度の一方又は両方が違うn枚の画像P1〜Pnを入力し、画素毎に透明度値を有する被写体Oの透明度画像PTを求める透明度計算処理部と、前記画像P1〜Pnから、被写体Oの色彩画像PCを求める色彩計算処理部と、ある2次元の画像PZと前記透明度画像PTと色彩画像PCから、その画像PZに被写体Oを合成する合成処理部とを備える。
【0028】
上記画像処理装置において、n枚の画像P1〜Pnは、n値の電気的信号により背景の色彩と輝度の一方又は両方がn通りに変化する背景表示装置と、前記背景表示装置と同じように変化し被写体Oを乗せるテーブルと、背景表示装置及び被写体Oを乗せたテーブルを撮影する撮影装置とを用い、前記電気的信号をn値に変えた背景表示装置及び被写体Oを乗せたテーブルを撮影したn枚の画像である。
【0029】
また、上記透明度計算処理部は、求めた透明度画像からノイズを除去するノイズ除去フィルタを有するようにしてもよい。
【0030】
また、本発明により、上記の画像処理方法の実施に適したプログラムを記録した記録媒体、及びプログラムを提供できる。
【0031】
本発明では、2以上の整数をnとし、被写体Oが写り背景の色彩と輝度の一方又は両方が違うn枚の画像P1〜Pnを入力とし、画像P1〜Pnの色彩と輝度の一方又は両方の変化により、被写体Oの各ピクセルの透明度情報Tと色彩情報Cを求める。被写体Oの表面反射の強い部分は、反射量に応じて透明度の大きさで表される。このようにして求めた透明度は滑らかに変化するため、この透明度を利用して別の2次元画像上PZに、被写体Oを描画することにより、被写体Oと画像PZとの境界が自然である画像が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて詳細に説明する。
【0033】
図1に、本発明の一実施形態例である画像処理装置の構成を示す。本発明の画像処理装置Bは、透明度計算処理部ATと、色彩計算処理部ACと、必要によりノイズフィルタANと、切断処理部ARと、合成処理部ASとで構成される。
【0034】
透明度計算処理部ATには、背景の色彩と輝度の一方又は両方を変えて被写体Oを撮影した2枚の画像P1,P2が入力される。透明度計算処理部ATは、この2枚の画像P1,P2を入力として、透明度画像PTを求める。必要な場合は、透明度画像処理部ATで求めた透明度画像PTにノイズフィルタANをかけ、ノイズ除去を行う。また、色彩計算処理部ACは、画像P1,P2を入力として、色彩画像PCを出力する。透明度画像PT及び色彩画像PCは、切断処理部ARにより、被写体Oを包含する部分以外の不要部分をカットし画像サイズを小さくすることができる。合成処理部ASは、切り出した透明度画像PT、切り出した色彩画像PCと、別途撮影した背景画像PZを入力として、背景画像PZ上に被写体Oを挿入した合成画像PSを生成する。
【0035】
図2に、上記画像処理装置によって実現される画像処理方法の実施形態例の処理フローを示す。
【0036】
まず、ステップ1において、後述する撮影システムSPにより背景の色彩と輝度の一方又は両方を変えて被写体Oを撮影する。次に、ステップ2において、被写体Oを撮影した2枚の画像P1,P2を透明度計算処理部ATに入力する。次に、ステップ3において、透明度計算処理部ATは、この2枚の画像P1,P2を入力として、後述する透明度計算を全ての画素について行い、透明を0、不透明を1とし、各画素を透明度を0から1の実数で表した透明度画像PTを求める。次に、ステップ4において、必要な場合は、透明度画像処理部ATで求めた透明度画像PTにノイズフィルタANをかけ、ノイズ除去を行う。次に、ステップ5において、色彩計算処理部ACにより、画像P1,P2を入力として、各画素について色彩計算を行い、色彩画像PCを生成する。次に、ステップ6において、透明度画像PT及び色彩画像PCについて、切断処理部ARにより、被写体Oを包含する部分以外の不要部分をカットし画像サイズを小さくする。最後に、ステップ7において、合成処理部ASにより、切り出した透明度画像PT、切り出した色彩画像PCと、別途撮影した背景画像PZを入力として、背景画像PZ上に被写体Oを挿入した合成画像PSを生成する。上記において、ステップ3,4とステップ5とは、並行して行うことができる処理であり、いずれが先であっても構わない。
【0037】
透明度計算処理部ATで求めた透明度画像PTは、従来、用いられていた2値化されたマスクデータと違い、ピクセル毎の透明度が精緻に分類、数値化されているため、ピクセル間の変化が滑らかであり、背景が写りこんだ鏡面部分は、透明と不透明の間の値をとるので、図4、図6のように、得られた合成画像ASでは、被写体Oに鏡面反射部分があっても欠けることなく、被写体Oと背景画像PZとが滑らかに合成されていることがわかる。また、図7、図8のように、透明又は半透明な被写体Oを、自然な透明感や半透明感を持たせて背景画像PZと合成することができる。なお、図8は、図7に対応する実際に得られた画像である。図7等は実際の画像をわかりやすくするために描いた画像である。
【0038】
以下、図1の各処理部の機能、あるいは図2の各処理のステップについて説明する。
【0039】
図9に、本発明で用いる撮影画像P1,P2を得る撮影システムSPの構成図を示す。本撮影システムSPは、スイッチSの電気信号の値により色彩と輝度の一方又は両方が変わる背景表示装置BとテーブルTBと、被写体O及び背景表示装置B、テーブルTBを撮影する撮影装置Cからなり、被写体OをテーブルTB上にのせ、スイッチSの電気信号の値を2通りに変えて、撮影装置Cにより背景の違う撮影画像P1,P2を得る。撮影装置Cは、被写体をあらゆる方向から撮影できるように移動可能である。
【0040】
上記背景表示装置Bには、ELパネル、液晶パネル、液晶シャッタ、投影型スクリーン、プラズマディスプレイ、CRT等を用いることができる。また、上記テーブルTBは、背景が透過する透明な物質で構成するのが好適である。
【0041】
画像P1,P2の横のピクセル数をW、縦のピクセル数をHとすると、上記透明度計算処理部ATでの透明度計算方法の一例では、P1及びP2の画像上の一点の画素値をP1(x,y)、P2(x,y)、(0≦x<W,0≦y<H)とし、画像上全画素でP1(x,y)−P2(x,y)の値の絶対値が最大となるときの値、PPMAXを求める。なお、画素値として、例えばRGB値、輝度値を用いることができる。なお、透明度計算を行う場合においては、画像P1,P2間での変化が大きく現れる種類の画素値を用いることが望ましい。
【0042】
透明を0、不透明を1とし、透明度を0から1の実数で表すとき、透明度計算処理部ATで生成する透明度画像PT上の1点PT(x,y)の値は、
1−|(P1(x,y)−P2(x,y))/PPMAX|
として計算する。透明度計算処理部ATは、画像上の全ての画素について上記式で計算を行い、透明度画像PTを求める。最大画素変化PPMAXとしては、例えば、画像P1上で被写体が写っていない部分の画素値をPPB1、画像P2上で被写体が写っていない部分の画素値をPPB2として、PPB1−PPB2で計算することができる。あるいは、最大画素変化PPMAXに、画像P1,P2の全ての画素で、P1(x,y)−P2(x,y)が最大となる値を用いることもできる。
【0043】
図9で示した撮影システムの背景表示装置Bは曲面となっており、被写体を3次元画像として表示することもできるように、真横、斜め上方、真上など、被写体をあらゆる方向から撮影できるようになっている。このために、撮影した画像の背景の輝度等が上方と下方で変わる場合には、全画素中の差の最大値PPMAXを用いる手法では、正確に透明度を求めることができない。そこで、画像上の両端には、被写体が写っていないので、その画素が完全に透明であることを利用して、横方向のライン毎に透明度を求めることにより、この問題を解決することができる。例えば、ライン毎に最大画素変化PPMAXを求めて計算を行うことができる。また、左端の画素には被写体が写っておらず、背景のみである場合には、
PT(x,y)=1−|(P1(x,y)−P2(x,y))/(P1(0,y)−P2(0,y))|
として、画像上の全ての画素について計算を行うことにより求められる。すなわち、画像P1,P2の1ラインの端の画素値をPE1,PE2としたとき、最大画素変化PPMAXをPE1−PE2として計算することができる。
【0044】
また、背景のみの画像を用いることにより、さらに正確に透明度を計算することができる。この手法では、被写体が写り背景が異なる画像P1,P2と、それら画像と背景が同様で被写体が写っていない画像PB1、PB2を用いる。画像上の一点P(x,y)の透明度は、
PT(x,y)=1−|(P1(x,y)−P2(x,y))/(PB1(x,y)−PB2(x,y))|
で求める。
【0045】
これら求めた透明度画像PTには、撮影環境等の影響でノイズを含む場合があり、合成画像が醜くなる場合がある。このような場合には、透明度画像PT全体にメディアンフィルタ等のノイズフィルタANを通すことにより、このノイズを除去することができる。この生成画像をPTAとする。
【0046】
次に、色彩計算処理部ACであるが、単純には画像P1またはP2のいずれかをそのまま出力として用いることができる。また、二つの画像の色彩の平均色を用いることにより、周囲光の影響を平均化することができる。また、透明度計算処理部ATの結果を用いて、透けて写った背景の色彩を取り除くことにより、被写体本来の色彩を抽出することができる。
【0047】
すなわち、2枚の画像から1枚の画像を選び、その画素から、透明度計算処理部ATで求めた透明度を元に背景の色彩の影響を除去した色彩画像PCを求めることができる。これは、以下のような式を用いて求めることができる。
【0048】
PPB1−PPB2をPPMAXとする場合には、
【0049】
【数3】
を用いる。また、PB1(x,y)−PB2(x,y)をPPMAXとする場合には、
【0050】
【数4】
を用いる。
【0051】
さて、被写体を鮮明で高品質な画像で背景画像上に描画するためには、被写体を撮影するときの照明条件が重要である。被写体に投影する照明が強くなると色彩画像は鮮明になるが、強い照明が背景に当たると背景を変化させてもその変化が捕らえにくくなり、正確な透明度画像の抽出の妨げとなる。そこで、被写体に照明を当てずに背景を変えた画像を撮影して透明度画像を抽出し、次に被写体に照明を当てて撮影した画像を色彩画像とすることにより、より鮮明で高品質な合成画像を得ることができる。
【0052】
また、被写体Oを撮影するときに複数の照明下で撮影しておき、背景画像を撮影した時の照明条件と近い条件で撮影した被写体Oの画像を用いて合成画像を生成することによって、背景にマッチした合成画像を生成することができる。
【0053】
切断処理部ARは、ノイズフィルタANを用いない場合には透明度画像PTを用い、ノイズフィルタANを通した場合には透明度画像PTAを用いて、ある閾値TH(0<TH<1)を与え、透明度が閾値THを超えるピクセルを包括する長方形を求め、透明度画像PT又はPTA、及び色彩画像PCをその大きさで切り出すことにより、画像サイズを小さくした透明度画像PTS、及び色彩画像PCSを生成する。これにより、被写体の画像情報のサイズを小さくすることができる。
【0054】
また、合成処理部ASあるいは合成を行うステップ7では、透明度画像PTSと、色彩画像PCSと、被写体撮影時の背景とは別の背景画像PZとを入力として、背景画像PZ上に被写体Oを重ね書きした合成画像PSを得る。この合成は、透明度の比率でブレンディンクを行う一般的な式である、
PS(x,y)=PT(x,y)×PC(x,y)+(1−PT(x,y))×PZ(x,y)
の式を用いることにより、計算することができる。なお、数式(数3、数4)を用いてPCを求めた場合には、以下の式を用いる
【0055】
【数5】
ただし、この合成手法では、背景に直線等の色彩が急峻に変化する模様がある場合、それが合成した被写体O上に透けて見える問題がある。例えば、図4に示した例では、背景画像にある白い直線が合成した電話機の表面に透けて見える場合がある。この量が少なければ、目立たないが、図10のように、直線で書かれた背景に被写体であるポットを合成した例では、ポットの底の部分が透けているように見え、非現実の画像となっている。この問題は、被写体Oの部分の背景画像をぼかしてから合成することにより、解決することができる。被写体Oの部分は、透明度PTの値が小さいので、透明度が少なくなると背景の画像のぼかし量を大きくして、合成を行う。この合成を行う具体的な計算式を下記に示す。
【0056】
【数6】
k=K×PT(x,y)
ここで、Kは定数である。この計算式を用いて合成した例を、図11に示す。この画像では、ポットの部分の背景の直線がぼかして表示されるため、ポットが透けているようには見えない。なお、数式(数3、数4)を用いてPCを求めた場合には、以下の式を用いる
【0057】
【数7】
また、図12の例に示すように、上記の手法で透明な物体の背景をぼかすことにより、背景が透明な物体を通して屈折しているように見え、より現実的な画像を得ることができる。
【0058】
なお、上記の合成手法では、画像PZと色彩情報PCとを合成するときに、PZを透明度画像PTの値に応じてぼかし量が変わるフィルタFを通してから合成画像PSを求めることも好適である。このフィルタFには、行列の大きさを透明度画像PZの値により変化させた移動平均フィルタまたはメディアンフィルタを用いることができる。
【0059】
さらに、上記実施形態例では、背景の変化を2種類で説明しているが、3以上の複数の背景が違う画像を用いることにより、より一層精度良く、透明度や色彩情報を得ることができる。その計算手法であるが、例えば、複数の背景画像から2つの画像を選び、上記処理部により透明度及び色彩情報を求め、その2組の画像の選択を全ての組み合わせにおいて計算し、その平均を用いることにより処理することができる。また、最小2乗法等を用いて、計算することもできる。
【0060】
また、上記の実施形態の説明では、2次元の画像上に被写体を合成する例について説明したが、多数の方向から撮影した画像を用いることにより、被写体を3次元画像として表示することも可能である。
【0061】
なお、図1で示した画像処理装置における各処理部の一部もしくは全部の機能をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムを、例えば図13に示すコンピュータを用いて実行して本発明を実現することができることができる。図13に示すコンピュータは、CPU1、メモリー2、ハードディスク3、入力装置4、出力装置5、CD−ROMドライブ6を有する。
【0062】
あるいは、図2を用いて説明した処理のステップ2〜7及びそのステップの詳細をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータに実行させることができる。また、そのプログラムは、そのコンピュータが読み取りできる記録媒体、例えば、FD(フロッピー(登録商標)ディスク)や、MO、ROM、メモリカード、CD−ROM、DVD、リムーバブルディスクなどに記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、そのプログラムは、インターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0063】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明を用いることにより、被写体が透明又は半透明であったり、表面反射の強い物体では、被写体の切り出し画像に不自然に欠けが生じたりすることがなく、正確に、背景と被写体を切り分けることができ、他の画像等と合成した場合に、透明性又は半透明性や反射性を再現し、自然な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理装置の一実施形態例を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態例による画像処理方法を説明するための処理フロー図である。
【図3】従来の手法で、被写体と背景画像を合成した例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態例を用いて被写体と背景画像を合成した例を示す図である。
【図5】従来の手法で、被写体と背景画像を合成した例の実際の画像を示す図である。
【図6】本発明の実施形態例を用いて被写体と背景画像を合成した例の実際の画像を示す図である。
【図7】本発明の実施形態例を用いて半透明な被写体と背景画像を合成した例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態例を用いて半透明な被写体と背景画像を合成した例の実際の画像を示す図である。
【図9】本発明の撮影システムの実施形態例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態例で背景をぼかさずに被写体と合成した例を示した図である。
【図11】本発明の実施形態例で背景をぼかして被写体と合成した例を示した図である。
【図12】本発明の実施形態例で背景をぼかして被写体と合成した他の例を示した図である。
【図13】本発明の画像処理装置として使用できるコンピュータの構成を示す図である。
【符号の説明】
P1,P2…撮影画像
AT…透明度計算処理部
AC…色彩計算処理部
PT…透明度画像
PC…色彩画像
AN…ノイズフィルタ
AR…切断処理部
PTS…切断処理後の透明度画像
PCS…切断処理後の色彩画像
PZ…背景画像
AS…合成処理部
PS…合成画像
A…画像処理装置
B…背景表示装置
C…撮影装置
O…被写体
S…スイッチ
TB…テーブル
1 CPU
2 メモリ
3 ハードディスク
4 入力装置
5 出力装置
6 CD−ROMドライブ
Claims (24)
- 被写体の画像を別の画像に合成するために画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
2以上の整数をnとし、被写体Oが写り背景の色彩と輝度の一方又は両方が違うn枚の画像P1〜Pnを入力するステップと、
前記画像P1〜Pnから、画素毎に透明度値を有する被写体Oの透明度画像PTを求める透明度計算ステップと、
前記画像P1〜Pnから、被写体Oの色彩画像PCを求める色彩計算ステップと、
ある2次元の画像PZと前記透明度画像PTと色彩画像PCとから、その画像PZに被写体Oを合成する合成ステップとを有することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1記載の画像処理方法において、nが2の場合に、
前記透明度計算ステップでは、
画像P1上のある一点の画素値をP1(x,y)、画像P2上の一点の画素値をP2(x,y)とし、画像P1上で被写体が写っていない部分のある画素の画素値をPPB1、画像P2上でのその画素に対応する画素の画素値をPPB2とし、PPB1−PPB2を最大画素変化PPMAXとし、不透明を1、透明を0として透明度を0〜1の実数とした場合、ある一点の透明度AP(x,y)を1−|(P1(x,y)−P2(x,y))/PPMAX|として与え、画像P1,P2上の全ての画素の透明度を求めることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項2記載の画像処理方法において、
前記透明度計算ステップでは、
最大画素変化PPMAXに、画像P1,P2の全ての画素で、P1(x,y)−P2(x,y)が最大となる値を用いることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1又は2記載の画像処理方法において、
前記透明度計算ステップでは、
最大画素変化PPMAXを、画像P1,P2の同一ライン毎に計算することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項4記載の画像処理方法において、
前記透明度計算ステップでは、
画像P1,P2の1ラインの端の画素値をPE1,PE2としたとき、最大画素変化PPMAXをPE1−PE2として計算することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1記載の画像処理方法において、nが2の場合に、
前記透明度計算ステップでは、
画像P1上のある一点の画素値をP1(x,y)、画像P2上の一点の画素値をP2(x,y)とし、被写体が写っていない背景を画像P1,P2の背景と同様に変えた2枚の画像PB1、PB2を用い、不透明を1、透明を0として透明度を0〜1の実数とした場合、透明度AP(x,y)を1−|(P1(x,y)−P2(x,y))/(PB1(x,y)−PB2(x,y))|として与え、画像P1,P2上の全ての画素の透明度を求めることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項2ないし6のうちいずれか1項に記載の画像処理方法において、
前記透明度計算ステップでは、
2枚の画像がn枚の画像のうち2枚を選んだものであり、n枚全ての画像の2枚の選択の組み合わせで求めた透明度の平均を画素の透明度とすることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の画像処理方法において、
前記色彩計算ステップでは、
n枚の画像のうち1枚を選び、その画素の色彩を色彩画像PCとすることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の画像処理方法において、
前記色彩計算ステップでは、
n枚の画像のそれぞれの画素の色彩の平均値をその画素の色彩として色彩画像PCを求めることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の画像処理方法において、
前記色彩計算ステップでは、
n枚の画像から1枚の画像を選び、その画素から、透明度計算ステップで求めた透明度を元に背景の色彩の影響を除去した色彩画像PCを求めることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の画像処理方法において、
色彩計算ステップの後に、
透明度画像PTと色彩情報PCの画像サイズを、被写体Oを包括する最小の長方形に切り出す切り出しステップを加えたことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項11記載の画像処理方法において、
前記切り出しステップでは、
透明度画像PTが、0〜1の実数の或る閾値THを超える部分のみを含む長方形で切り出し、色彩画像PCも同じサイズで切り出しを行うことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の画像処理方法において、
前記透明度計算ステップの後に、
ノイズ除去フィルタをかけるノイズ除去ステップを加えたことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1ないし13のうちいずれか1項に記載の画像処理方法において、
前記合成ステップでは、
透明度画像PT上のある一点の画素(0≦x<w,0≦y<h)の画素値をPT(x,y)、色彩情報PC上の一点の画素値をPC(x,y)、画像PZ上の一点の画素値をPZ(x,y)とし、合成画像PS上の一点の画素値PS(x,y)を、PS(x,y)=PC(x,y)×PT(x,y)+PZ(x,y)×(1−PT(x,y))で与え、合成画像PS上の全ての画素値を求めることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1ないし15のうちいずれか1項に記載の画像処理方法において、
前記合成ステップでは、
画像PZと色彩情報PCとを合成するときに、PZを透明度画像PTの値に応じてぼかし量が変わるフィルタFを通してから合成画像PSを求めることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項16に記載の画像処理方法において、
前記フィルタFに、行列の大きさを透明度画像PZの値により変化させた移動平均フィルタまたはメディアンフィルタを用いたことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1に記載の画像処理方法において、
前記色彩画像PCに代えて、画像P1〜Pnの撮影とは別に被写体Oを撮影して得られた色彩画像を用いて画像PZに被写体Oを合成する画像処理方法。 - 請求項18に記載の画像処理方法において、
m種の照明条件L1〜Lmで被写体Oを撮影した色彩画像PC1〜PCmから、前記画像PZを撮影した時の照明条件と最も近い条件で撮影された画像を色彩画像PC1〜PCmの中から1枚選び、この色彩画像を用いて画像PZに被写体Oを合成する画像処理方法。 - 被写体の画像を別の画像に合成する画像処理装置であって、
2以上の整数をnとし、被写体Oが写り背景の色彩と輝度の一方又は両方が違うn枚の画像P1〜Pnを入力し、画素毎に透明度値を有する被写体Oの透明度画像PTを求める透明度計算処理部と、
前記画像P1〜Pnから、被写体Oの色彩画像PCを求める色彩計算処理部と、
ある2次元の画像PZと前記透明度画像PTと色彩画像PCから、その画像PZに被写体Oを合成する合成処理部とを備えることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項20記載の画像処理装置において、
n枚の画像P1〜Pnは、
n値の電気的信号により背景の色彩と輝度の一方又は両方がn通りに変化する背景表示装置と、
前記背景表示装置と同じように変化し被写体Oを乗せるテーブルと、
背景表示装置及び被写体Oを乗せたテーブルを撮影する撮影装置とを用い、
前記電気的信号をn値に変えた背景表示装置及び被写体Oを乗せたテーブルを撮影したn枚の画像であることを特徴とする画像処理装置。 - 請求項20又は21に記載の画像処理装置において、
透明度計算処理部は、求めた透明度画像からノイズを除去するノイズ除去フィルタを有することを特徴とする画像処理装置。 - 請求項1ないし19のうちいずれか1項記載の画像処理方法における各ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項1ないし19のうちいずれか1項記載の画像処理方法における各ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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