JP2004045122A - 内燃機関および動力伝達装置の評価装置、並びに評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、内燃機関の評価装置に関し、内燃機関が最もストールし易い条件を見つけ出し、その条件で評価を行うことを目的とする。
【解決手段】シミュレーションで用いるべき走行パターンを設定する走行パターン設定部34を設ける。設定された走行パターンに対応して内燃機関に加わる負荷トルクを演算する負荷トルク演算部44と、その負荷トルクを内燃機関に加えるダイナモメータ20を設ける。エンスト評価部32は、機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるような走行パターンを設定させ、要因変化毎に、個々の要因変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求める。エンスト評価部32は、更に、個々の要因変化に起因して機関回転数が最低値となる時期が全ての要因変化について一致するような落ち込み幅最大パターンを生成し、そのパターンでの評価を実行させる。
【選択図】 図1
【解決手段】シミュレーションで用いるべき走行パターンを設定する走行パターン設定部34を設ける。設定された走行パターンに対応して内燃機関に加わる負荷トルクを演算する負荷トルク演算部44と、その負荷トルクを内燃機関に加えるダイナモメータ20を設ける。エンスト評価部32は、機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるような走行パターンを設定させ、要因変化毎に、個々の要因変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求める。エンスト評価部32は、更に、個々の要因変化に起因して機関回転数が最低値となる時期が全ての要因変化について一致するような落ち込み幅最大パターンを生成し、そのパターンでの評価を実行させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関および動力伝達装置の評価装置、並びに評価方法に係り、特に、車両に搭載される内燃機関および動力伝達装置を効率的に評価するうえで好適な評価装置並びに評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開2002−22618号公報に開示されるように、車両に搭載される内燃機関および動力伝達装置を、ダイナモメータを用いて評価するための装置が知られている。上記従来の装置によれば、車両の走行パターンを適当に設定したうえで、その走行パターンに対応して内燃機関に加わる負荷トルクを算出することができる。
【0003】
負荷トルクは、内燃機関に連結される動力伝達装置の特性を模擬する車両モデルを用いて算出される。そして、従来の装置は、このようにして算出された負荷トルクを、ダイナモメータにより内燃機関に直接加えることができる。このため、上記従来の装置によれば、実車走行を行うことなく、現実の内燃機関を、動力伝達装置に連結されているものとして、シミュレーションにより評価することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の特性を評価する際には、通常の使用環境下でエンジンストールが生じないことを確認する必要がある。エンジンストールは、機関回転数が一時的に低下するいくつかの要因変化が重畳的に生じた場合に起こり易い。このため、内燃機関のストール特性を評価する際には、それら複数の要因変化を同期的に発生させ、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を意図的に作り出すことが望ましい。
【0005】
しかしながら、複数の要因変化の影響を重畳的に発生させて、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を作り出すことは必ずしも容易ではない。このため、上記従来の装置では、そのような条件を意図的に作り出して内燃機関のストール特性を評価することはできなかった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を容易に見つけ出し、かつ、その条件を容易に再現することのできる内燃機関および動力伝達装置の評価装置を提供することを第1の目的とする。
更に、本発明は、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を容易に見つけ出し、かつ、その条件を容易に再現することのできる内燃機関および動力伝達装置の評価方法を提供することを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関とその内燃機関に連結される動力伝達装置の評価装置であって、
シミュレーションで用いるべき走行パターンを設定する走行パターン設定手段と、
設定された走行パターンに対応して前記内燃機関に加わる負荷トルクを演算する負荷トルク演算手段と、
前記負荷トルクを前記内燃機関に加えるための負荷発生装置と、
機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるように、前記走行パターン設定手段に前記走行パターンを設定させる要因変化指令手段と、前記要因変化毎に、当該要因変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求める落ち込み時間検出手段と、
個々の要因変化に起因して機関回転数が最低値となる時期が全ての要因変化について一致するように、前記全ての要因変化を適当に発生させる落ち込み幅最大パターンを、上記の所要時間に基づいて生成する落ち込み幅最大パターン生成手段と、
前記走行パターン設定手段に、前記落ち込み幅最大パターンを前記走行パターンとして設定させる落ち込み幅最大パターン指令手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記要因変化は、
前記内燃機関が無負荷の状態で、スロットルバルブが全開状態から全閉状態となる変化、
前記動力伝達装置に含まれる自動変速機がニュートラルレンジからドライブレンジに切り替わる変化、
前記内燃機関を動力源とするパワーステアリングシステムが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、
前記内燃機関を動力源とするオルタネータが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、および
前記内燃機関を動力源とするエアコンシステムが、非作動状態から作動状態となる変化、のうち少なくとも2つを含むことを特徴とする。
【0009】
また、第3の発明は、内燃機関とその内燃機関に連結される動力伝達装置の評価方法であって、
シミュレーションで用いるべき走行パターンを設定する走行パターン設定ステップと、
設定された走行パターンに対応して前記内燃機関に加わる負荷トルクを演算する負荷トルク演算ステップと、
前記内燃機関に連結された負荷発生装置に前記負荷トルクを発生させるステップとを含み、
前記走行パターン設定ステップは、機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるように前記走行パターンを設定する第1サブステップを含み、
前記要因変化毎に、当該要因変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求める落ち込み時間検出ステップと、
個々の要因変化に起因して機関回転数が最低値となる時期が全ての要因変化について一致するように、前記全ての要因変化を適当に発生させる落ち込み幅最大パターンを、上記の所要時間に基づいて生成する落ち込み幅最大パターン生成ステップとを含み、更に、
前記走行パターン設定ステップは、前記落ち込み幅最大パターンを前記走行パターンとして設定する第2サブステップを含むことを特徴とする。
【0010】
また、第4の発明は、第3の発明において、前記要因変化は、
前記内燃機関の吸気通路に配置されるスロットルバルブが全開状態から全閉状態となる変化、
前記動力伝達装置に含まれる自動変速機がニュートラルレンジからドライブレンジに切り替わる変化、
前記内燃機関を動力源とするパワーステアリングシステムが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、
前記内燃機関を動力源とするオルタネータが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、および
前記内燃機関を動力源とするエアコンシステムが、非作動状態から作動状態となる変化、のうち少なくとも2つを含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のシステムの構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、内燃機関10が実車に搭載されているのと同様の状態を仮想的に作り出して、内燃機関10を、実車に搭載することなく、動力伝達装置に連結されているものとして、シミュレーションにより評価するためのシステムである。
【0013】
評価の対象である内燃機関10は、ベンチ12の上に搭載されている。内燃機関10には、図示しない排気通路と共に吸気通路14が接続されている。吸気通路14には、内燃機関10の吸入空気量Gaを制御するための電子制御スロットルバルブ16が配置されている。電子制御スロットルバルブ16は、外部から供給される電気信号に応じて任意の開度を実現することのできるスロットルバルブである。
【0014】
電子制御スロットルバルブ16の近傍には、スロットル開度を検出するためのスロットルセンサ18が配置されている。吸気通路14には、電子制御スロットルバルブ16やスロットルセンサ18の他に、吸入空気量Gaを測定するためのエアフロメータ(図示せず)が配置されている。また、内燃機関10には、燃料噴射弁や点火プラグなどのアクチュエータや、冷却水温度を検出するための水温センサなど(何れも図示せず)が組み込まれている。
【0015】
ベンチ12の上には、内燃機関10と共にダイナモメータ20が配置されている。ダイナモメータ20は、外部から供給される電力に応じて所望の負荷トルクを発生するための装置である。
【0016】
内燃機関10の出力軸は、伝達軸22を介してダイナモメータ20と連結されている。伝達軸22には、トルクセンサ24が組み込まれている。トルクセンサ24によれば、内燃機関10に加えられている実負荷トルクを検出することができる。内燃機関10の出力軸の近傍には、回転数センサ26が配置されている。回転数センサ26は、機関回転数NEに応じた周期でパルス信号を発生するセンサである。
【0017】
ダイナモメータ20には、ダイナモメータ制御部28が接続されている。ダイナモメータ制御部28には、トルクセンサ24のセンサ出力が供給されていると共に、後述する車両モデル負荷トルク演算部44より、内燃機関10に加えるべき負荷トルクの指令値が供給されている。タイナモメータ制御部28は、実負荷トルクが、上記の指令値に一致するように、ダイナモメータ20の状態を制御する。その結果、内燃機関10には、指令値と一致する負荷トルクがダイナモメータ20により印加される。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のシステムは、制御部30を備えている。制御部30には、エンスト評価部32、走行パターン設定部34、およびエンジン制御部36を備えている。エンスト評価部32には、回転数センサ26から、機関回転数NEを表す信号が供給されている。尚、エンスト評価部32は、本実施形態のシステムの主要部であり、その内容は後に詳細に説明する。
【0019】
走行パターン設定部34は、内燃機関10を評価するためのシミュレーションに用いるべき走行パターンを設定する部分である。走行パターン設定部34では、具体的には、車速SPDのパターン、路面の勾配パターン、外気温などの走行環境のパターンが設定される。走行パターン設定部34によって設定された走行パターンの情報は、エンジン制御部36に供給される。
【0020】
エンジン制御部36は、上記の如く設定された走行パターンが仮想的に実現されるように、内燃機関10の運転状態を制御するための部分である。エンジン制御部36には、走行パターンの情報と共に、後述する車速演算部46によって演算された仮想的な車速SPDのデータが供給される。エンジン制御部36は、その仮想的な車速SPDが、走行パターンで指定される車速SPDと一致するように、電子制御スロットルバルブ16や燃料噴射弁、或いは点火プラグなどのアクチュエータを制御する。
【0021】
図1に示すシステムは、更に、車両モデル40を備えている。車両モデル40は、実車走行の際に生ずる様々な現象をシミュレーション上で模擬するためのモデルである。本実施形態において、車両モデル40には、走行抵抗演算部42、負荷トルク演算部44、および車速演算部46が含まれている。
【0022】
走行抵抗演算部42には、上述したパターン設定部34によって設定される走行パターンの情報が供給されていると共に、車速演算部46によって演算される仮想的な車速SPDのデータが供給されている。走行抵抗演算部42は、走行パターンにより指定される路面の勾配や、シミュレーション上での仮想的な車速SPDなどに基づいて、実車上での発生が予想される走行抵抗を演算する。このようにして演算された走行抵抗の情報は、負荷トルク演算部44に供給される。
【0023】
負荷トルク演算部44には、上述した走行抵抗の情報と共に、回転数センサ26やスロットルセンサ18の出力信号、或いは、水温センサやエアフロメータの出力信号など、内燃機関10の状態を表す各種の信号が供給されている。負荷トルク演算部44は、それらの信号に基づいて内燃機関10の運転状態を把握すると共に、その運転状態と、上記の走行抵抗の情報とに基づいて、実車上で内燃機関10に加わると予想される負荷トルクの値を演算する。
【0024】
より詳細には、負荷トルク演算部44には、自動変速機の状態変化に伴う負荷変動を模擬するための変速機モデル、並びに、パワーステアリング(PS)、エアコンシステム(ACシステム)、およびオルタネータの状態変化に伴う負荷変動を模擬するための補機モデルなどが含まれている。変速機モデルによれば、自動変速機によるシフトの切り換え動作と、その切り換えに伴う負荷変動をシミュレーション上で模擬することができる。また、補機モデルによれば、ステアリング操作に伴うパワステポンプの負荷変動、ACシステムの動作・非動作の切り換えに伴う負荷変動、更には、パワーウィンドウや電動ファンなどの補機動作に伴うオルタネータの負荷変動などをシミュレーション上で模擬することができる。
【0025】
負荷トルク演算部44によって演算された負荷トルクの値は、上記の如くダイナモメータ制御部28に供給されると共に、車速演算部46に供給される。車速演算部46は、走行抵抗演算部42によって演算された走行抵抗や、負荷トルク演算部44によって演算された負荷トルクなどに基づいて、車両の加減速度を算出し、更に、その加減速度に基づいて仮想的な車速SPDを算出する。このようにして演算された車速SPDは、上記の如くエンジン制御部36および走行抵抗演算部46に供給される。
【0026】
図1に示すシステムによれば、内燃機関10を、実車に搭載することなく、実車に搭載されているのと同等の環境で評価することができる。つまり、このシステムによれば、設定された走行パターンでの仮想的な走行テストを行うことで、内燃機関10を、実車に搭載されて動力伝達装置に連結されている場合と同様に動作させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、動力伝達装置に連結された状態で内燃機関10が示す挙動を、シミュレーションにより容易に評価することができる。
【0027】
走行テストの結果、内燃機関10或いは動力伝達装置に何等かの不具合が生じた場合は、その不具合を解消するための対策を講じた後、その不具合を生じさせた条件を再現して、対策の効果を確認することが必要となる。実車上でのこのような条件を忠実に再現することは一般に困難である。これに対して、本実施形態のシステムでは、不具合を発生させた条件が、シミュレーションに用いられた走行パターンの一部であることから、その条件を忠実に再現することが容易である。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関10の評価の効率を高めることができる。
【0028】
また、内燃機関10の実車上での挙動を評価するにあたっては、種々の部品のばらつきを考慮する必要が生ずることがある。つまり、実車に搭載された内燃機関10には、パワステポンプやエアコンコンプレッサ、或いはオルタネータなどの補機類が連結され、それらの補機類の動作に必要なトルク(以下、「補機トルク」と称す)が負荷トルクとして印加される。上述した補機トルクは、補機類の個体差、或いは経時変化などにより変化する。従って、内燃機関10の挙動は、その変化によって生ずることのある補機トルクの上限値および下限値の両方について評価しておくことが望ましい。
【0029】
内燃機関10を現実に実車に搭載して評価する場合、補機トルクの値を変化させるためには、部品を組み替える必要が生ずる。これに対して、本実施形態のシステムでは、車両モデル40内のパラメータを変更するだけで、補機トルクの値を容易に変化させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、個体差や経時変化に起因する部品のばらつきをも考慮した内燃機関10の評価を、極めて簡単に行うことができる。
【0030】
次に、本実施形態のシステムの特徴部について説明する。
内燃機関10の特性を評価する際には、通常の使用環境下でエンジンストールが生じないことを確認する必要がある。図1に示すエンスト評価部32は、本実施形態のシステムにおいて、内燃機関10に、通常の使用環境下でストールが生ずるか否かを評価するための部分である。内燃機関10のストールは、機関回転数NEを低下させるいくつかの要因変化の影響が重畳的に発生した場合に生じ易い。このため、エンスト評価部32は、それらの要因変化を同期的に発生させ、その影響を重畳的に生じさせるための走行パターンを生成する。
【0031】
以下、エンスト評価部32が実行する具体的な処理の内容を説明するに先立って、内燃機関10の回転数NEを低下させる主要な要因変化の内容を、図2乃至図4を参照して説明する。
【0032】
図2は、内燃機関10においてレーシング(いわゆる空ぶかし)が行われた場合に生ずる現象を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図2(A)は、レーシング前後のアクセル開度の波形である。また、図2(B)はレーシング前後の機関回転数NEの波形である。このタイミングチャートは、本実施形態のシステム(図1に示すシステム)では、レーシングが終了された後、所要時間T1が経過した時点で機関回転数NEが最低値となることを示している。
【0033】
本実施形態のシステムでは、走行パターン設定部34によってレーシングを要求する走行パターンが設定されると、エンジン制御部36により、図2(A)に示すアクセル開度の変化に対応するスロットル信号が生成される。そのスロットル信号は、エンジン制御部36から電子制御スロットルバルブ18に供給される。その結果、ベンチ12上の内燃機関10においてレーシングが行われる。
【0034】
内燃機関10においてレーシングが開始されると、電子スロットルバルブ16が開いて吸入空気量Gaが増加する。その結果、図2(B)に示すように、機関回転数NEは急激な上昇を示す。機関回転数NEが上昇した後、アクセル開度が全閉とされレーシングが終了されると、電子スロットルバルブ16は、いわゆるダッシュポット制御に従って閉弁され、やがて、アイドル回転数NE0を維持するための所定開度TA0に至る。尚、ダッシュポット制御とは、アクセル開度が急激に閉じられた場合に、吸入空気量Gaが急激に減少するのを避けるため、スロットル開度TAをアクセル開度に対して緩やかに減少させる制御である。
【0035】
レーシングの直前は、スロットル開度TAが上記の所定開度TA0に制御されていることにより、機関回転数NEが精度良くアイドル回転数NE0に制御されている。この場合、吸気管圧力PMは、所定開度TA0とアイドル回転数NE0とに応じた値となっている。これに対して、レーシングの直後は、機関回転数NEが高いままの状態で、スロットル開度TAが所定開度TA0となる事態が生ずる。この場合、吸気管圧力PMは、所定開度TA0と、高いままの機関回転数NEとに応じた値、つまり、通常のアイドル運転時の吸気管圧力PMに比して低い値となる。
【0036】
内燃機関10に吸入される空気の量は、吸気管圧力PMが低下することで減少する。また、吸入空気量が減少すると、内燃機関10の出力トルクが低下するため、機関回転数NEの低下が生ずる。このため、図2(B)に示すように、レーシングの直後は、機関回転数NEが、一時的にアイドル回転数NE0に対してアンダーシュートを示す。
【0037】
以上説明した通り、レーシングの終了直後には、機関回転数NEが一時的に目標のアイドル回転数NE0を下回る事態が生ずる。このため、本実施形態のシステムはは、レーシングの終了に伴うアクセル開度の急激な減少を、機関回転数NEを低下させる主要な要因変化の一つとして捉えている。
【0038】
図3は、車両モデル40の内部で自動変速機がニュートラルレンジからドライブレンジに切り換えられた前後の現象を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図3(A)は、上記のシフト切り換えのタイミングを示す波形である。また、図3(B)は、そのシフト切り換えの前後の機関回転数NEの波形である。このタイミングチャートは、本実施形態のシステム(図1に示すシステム)では、ニュートラルレンジからドライブレンジへの切り換えが行われた後、所要時間T2が経過した時点で機関回転数NEが最低値となることを示している。
【0039】
本実施形態のシステムでは、走行パターン設定部34によってシフトの切り換えを要求する走行パターンが設定されると、車両モデル40の内部で、その切り換えに相当する処理が実行される。その結果、ダイナモメータ20から内燃機関10に加えられる負荷トルクが変更される。
【0040】
内燃機関10の制御システムは、シフト位置がニュートラルレンジである場合のアイドル回転数NE0が、シフト位置がドライブレンジである場合のアイドル回転数NE0に比して高くなるように設定されている。そして、図1に示すシステムにおいて、車両モデル40およびエンジン制御部36には、それぞれの状況下で適正なアイドル回転数NE0を実現するための機能が組み込まれている。このため、図3(B)に示すように、シフト位置がドライブレンジとされた後のアイドル回転数NE0の収束値は、シフト位置がニュートラルレンジである場合のアイドル回転数NE0に比して低い値となっている。
【0041】
また、内燃機関10の制御システムは、ニュートラルレンジからドライブレンジへのシフト切り換えが行われた場合に、負荷トルクの増加を予想して、吸入空気量Gaの増量補正を行うように設定されている。そして、図1に示すシステムにおいて、車両モデル40およびエンジン制御部36には、その増量補正のための機能が組み込まれている。このため、走行パターン設定部34によってシフトの切り換えが要求されると、エンジン制御部36では、その切り換えと同期して吸入空気量Gaの増量補正が実行される。
【0042】
ところで、シフトの切り換えに伴って負荷トルクが変化するタイミングは、吸入空気量Gaの増量に伴って内燃機関10の出力トルクが増大するタイミングとは必ずしも完全には一致しない。このため、吸入空気量Gaの増量補正が実行されたとしても、機関回転数NEには、図3(B)に示すようにシフト切り換えの後、一時的なアンダーシュートが生ずる。このように、シフト位置がニュートラルレンジからドライブレンジに切り換えられた直後は、機関回転数NEが一時的に目標のアイドル回転数NE0を下回る事態が生ずる。このため、本実施形態のシステムは、ニュートラルレンジからドライブレンジへのシフト変化を、機関回転数NEを低下させる主要な要因変化の一つとして捉えている。
【0043】
図4は、車両モデル40の内部でパワーステアリング(PS)が非作動の状態からロック状態に変化した場合の現象を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図4(A)は、PSシステムの状態変化を示す波形である。また、図4(B)は、その状態変化に伴う機関回転数NEの変化を示す波形である。ここで、PSが非作動の状態とは、PSポンプが無負荷の状態であり、一方、PSのロック状態とは、PSポンプが最大負荷で作動している状態である。図4に示すタイミングチャートは、本実施形態のシステム(図1に示すシステム)では、PSが非作動の状態からロック状態に変化した後、所要時間T3が経過した時点で機関回転数NEが最低値となることを示している。
【0044】
本実施形態のシステムでは、走行パターン設定部34によってPSの状態変化を要求する走行パターンが設定されると、車両モデル40の内部で、変化に相当する処理が実行される。その結果、ダイナモメータ20から内燃機関10に加えられる負荷トルクが変更される。
【0045】
内燃機関10の制御システムは、PSの状態が変化したら、負荷トルクの変化を予想して、吸入空気量Gaの補正量を変化させるように設定されている。そして、図1に示すシステムにおいて、車両モデル40およびエンジン制御部36には、その補正量の変化を実現するための機能が組み込まれている。このため、走行パターン設定部34によってPSの状態変化が要求されると、エンジン制御部36では、その状態変化と同期して吸入空気量Gaの補正量が変更される。
【0046】
ところで、PSの状態変化に伴って負荷トルクが変化するタイミングは、吸入空気量Gaの補正量が変更され、その結果、内燃機関10の出力に変化が現れるタイミングとは必ずしも完全には一致しない。このため、吸入空気量Gaの増量補正が実行されたとしても、機関回転数NEには、図4(B)に示すようにPSの状態変化の後、一時的なアンダーシュートが生ずる。このように、PSが非作動の状態からロック状態に変化した直後は、機関回転数NEが一時的に目標のアイドル回転数NE0を下回る事態が生ずる。このため、本実施形態のシステムは、そのようなPSの状態変化を、機関回転数NEを低下させる主要な要因変化の一つとして捉えている。
【0047】
本実施形態のシステムでは、走行パターンとして、内燃機関10が無負荷で運転された状態で、アクセル開度だけが短時間で開閉されるパターン(他の条件は一定)を設定すれば、レーシングの実行のみの影響で内燃機関10に生ずる挙動の変化を見ることができる。より具体的には、上記の走行パターンを設定することで、レーシングに伴ってアクセル開度が全閉とされてから、機関回転数NEが最低値となるまでに要する所要時間T1を、精度良く検出することができる。
【0048】
また、本実施形態のシステムでは、走行パターンとして、シフト位置だけがニュートラルレンジからドライブレンジに変化するパターン(他の条件は一定)を設定することで、そのシフト変更のみの影響で内燃機関10に生ずる挙動の変化を見ることができる。より具体的には、上記の走行パターンを設定することで、ニュートラルレンジからドライブレンジへの切り換えが行われた後、機関回転数NEが最低値となるまでに要する所要時間T2を精度良く検出することができる。
【0049】
更に、本実施形態のシステムでは、走行パターンとして、PSの状態だけが非作動の状態からロック状態に変化するパターン(他の条件は一定)を設定することで、PSの状態変化のみの影響で内燃機関10に生ずる挙動の変化を見ることができる。つまり、上記の走行パターンを設定することで、PSが非作動の状態からロック状態に変化した後、機関回転数NEが最低値となるまでに要する所要時間T3を精度良く検出することができる。
【0050】
上記の手順で所要時間T1〜T3がそれぞれ検出できるとすれば、それらの所要時間T1〜T3に基づいて、個々の要因変化に起因して機関回転数NEが最低値となるタイミングが全ての要因変化について一致するように、レーシングの終了時期と、シフトの切り換え時期と、PSの状態変化時期とを同期させることができる。
【0051】
図5(A)〜図5(C)は、このような手法で、互いに同期するように決定されたアクセル開度の波形、シフト位置の波形、およびPSの状態変化に関する波形を示す。また、図5(D)は、図5(A)〜図5(C)に示す変化が、本実施形態のシステムにおいて走行パターンとして設定された場合に、機関回転数NEに生ずる変化を示す。
尚、図5(B)に示すシフト位置の波形は、具体的には、レーシングの終了後、T1−T2の時間が経過した時点でシフトの切り換えが行われるように決定されたものである。また、図5(C)に示すPS状態の波形は、レーシングの終了後、T1−T3の時間が経過した時点でPSの状態が変化するように決定されたものである。
【0052】
図5(A)〜図5(C)に示す変化を含む走行パターンは、上述した3つの主要な変化要因のみに着目した場合、内燃機関10を最もストールさせ易い走行パターンである。従って、図5(D)に示す回転数落ち込み幅ΔNEtotalは、それら3つの要因変化のみが考慮の対象であるとすれば、内燃機関10において通常の運転条件下で生じ得る最も大きな落ち込み幅である。このため、そのΔNEtotalの発生に伴ってエンジンストールが生ずるか否かを判断すれば、内燃機関10のストール特性を精度良く評価することができる。
【0053】
以上説明した通り、内燃機関10のストール特性は、レーシング、シフト切り換え、およびPSの状態変化を、それぞれ図5(A)〜図5(C)に示すように同期的に発生させることができれば、精度良く評価することができる。本実施形態のシステムにおいて、エンスト評価部32は、図2乃至図4を参照して説明した上記の手順で、レーシング、シフト切り換え、およびPSの状態変化のそれぞれについての所要時間T1〜T3を検出し、更に、それらの所要時間T1〜T3に基づいて、図5(A)〜図5(C)に示す変化を伴う走行パターンを生成する。
【0054】
図6は、エンスト評価部32が、上記の機能を実現するために実行する処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図6に示す手順では、先ず、走行パターン設定部34に対して、レーシングの実行指令が発せられる(ステップ100)。
本ステップ100の処理が実行されると、以後、走行パターン設定部32によって、レーシングの実行を要求する走行パターンが設定され、内燃機関10においてレーシングが行われる。
【0055】
エンスト評価部32では、次に、レーシングの終了に伴ってアクセル開度の全閉が指令された後、機関回転数NEが最低値となるまでの所要時間T1が検出される(ステップ102)。
【0056】
次に、走行パターン設定部34に対して、ニュートラルレンジからドライブレンジへのシフトの切り換えが指令される(ステップ104)。
本ステップ104の処理が実行されると、以後、走行パターン設定部32によって、シフト位置の切り換えを要求する走行パターンが設定され、ダイナモメータ28により発生される負荷トルクに、その切り換えに伴う変化が反映される。
【0057】
エンスト評価部32では、次に、ニュートラルレンジからドライブレンジへシフト位置が切り換えられた後、機関回転数NEが最低値となるまでの所要時間T2が検出される(ステップ106)。
【0058】
図6に示す手順では、次に、走行パターン設定部34に対して、PSシステムを非作動状態からロック状態に変化させる指令が発せられる(ステップ108)。本ステップ108の処理が実行されると、以後、走行パターン設定部32によって、PSの状態変化を要求する走行パターンが設定され、ダイナモメータ28により発生される負荷トルクに、その状態変化に伴う変化が反映される。
【0059】
エンスト評価部32では、PSの状態が非作動状態からロック状態に変化した後、機関回転数NEが最低値となるまでの所要時間T3が検出される(ステップ110)。
【0060】
次に、上記ステップ102,106および110で検出された所要時間T1〜T3に基づいて、レーシング、シフト切り換え、およびPSの状態変化の影響を重畳的に発生させる走行パターン、すなわち、機関回転数NEの落ち込み幅ΔNEtotalを最大とする落ち込み幅最大パターンが生成される(ステップ112)。
落ち込み幅最大パターンは、より具体的には、レーシングの終了後(アクセル開度全閉後)T1−T2の時間が経過した時点でシフトの切り換えが行われ、また、レーシングの終了後T1−T3の時間が経過した時点でPSの状態が切り換えられるように設定される(上記図5参照)。
【0061】
図6に示す手順では、次に、走行パターン設定部34に対して、上記の如く生成された落ち込み幅最大パターンを走行パターンとする旨の指令が発せられる(ステップ114)。
本ステップ114の処理が実行されると、以後、走行パターン設定部32によって、落ち込み幅最大パターンが走行パターンとして設定される。その結果、内燃機関10にとって最もストールし易い条件が形成される。
【0062】
エンスト評価部32では、上記の条件下で機関回転数NEに生ずる最大落ち込み幅ΔNEtotalを測定する(ステップ116)。
本実施形態のシステムを用いた内燃機関10の評価方法では、以後、上記ステップ116において測定されたΔNEtotalに基づいて、自動的な手法で、或いは、手動的な手法で、内燃機関10にストールが生ずるか否かが判断される。
【0063】
以上説明した通り、本実施形態のシステムによれば、エンジンストールの発生に関して、内燃機関10にとって最も厳しい条件を容易に見つけだすと共に、その条件下で生ずる機関回転数NEの落ち込み幅ΔNEtotalを容易かつ精度良く検出することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、動力伝達装置に連結された環境下で内燃機関10にストールが生ずるか否かを、短時間で、容易かつ精度よく評価することができる。
【0064】
ところで、上述した説明においては、本実施形態のシステムが、レーシングに伴うアクセル開度の急激な減少、ニュートラルレンジからドライブレンジへのシフト切り換え、およびPSの非作動状態からロック状態への変化の3つを、機関回転数NEを低下させる主要な要因変化と捉えているものとしているが、機関回転数NEを低下させる要因変化は、これらに限定されるものではない。
【0065】
例えば、内燃機関10に加わる負荷トルクは、オルタネータやエアコンシステムの動作状態が変化することによっても、PSの状態が変化した場合と同様に変化する。このため、オルタネータの状態変化や、エアコンシステムの状態変化も、機関回転数NEの低下を伴う要因変化として捉えることとしてもよい。
【0066】
上述した評価方法により内燃機関10のストール性を評価した結果、内燃機関10にストールが生ずる可能性があると評価された場合は、ストールの発生を防ぐための対策を講ずる必要が生ずる。本実施形態では、その対策の必要性が認められた場合、何れかの要因変化に関して、それぞれ以下に示す事項に修正が施される。
・レーシング:ダッシュポット制御の内容
・シフト切り換え:吸入空気量Gaの補正量
・PSの状態変化:吸入空気量Gaの補正量
・オルタネータの状態変化:吸入空気量Gaの補正量
・エアコンシステムの状態変化:吸入空気量Gaの補正量
【0067】
何れかの要因変化に対して上記の修正が施された場合は、その修正の効果を確認することが必要である。修正の効果は、修正の内容を車両モデル40や内燃機関10の構成に反映させた上で、上記の落ち込み幅最大パターンを用いた評価を再び実行することで容易に確認することができる。つまり、その評価の結果得られた回転数落ち込み幅ΔNEtotalが、ストールを生じさせる可能性のない値となっているか否かを見ることで、修正の効果を容易に確認することができる。このため、本実施形態の評価装置、或いは評価方法によれば、内燃機関10の開発効率を顕著に高めることができる。
【0068】
尚、上述した実施の形態1においては、走行パターン設定部34が前記第1の発明における「走行パターン設定手段」に、負荷トルク演算部44が前記第1の発明における「負荷トルク演算手段」に、ダイナモメータ20が前記第1の発明における「負荷発生装置」に、それぞれ相当していると共に、エンスト評価部32が、上記ステップ100,104,108の処理を実行することにより前記第1の発明における「要因変化指令手段」が、上記ステップ102,106,110の処理を実行することにより前記第1の発明における「落ち込み時間検出手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第1の発明における「落ち込み幅最大パターン生成手段」が、上記ステップ114の処理を実行することにより前記第1の発明における「落ち込み幅最大パターン指令手段」が、それぞれ実現されている。
【0069】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
第1または第3の発明によれば、機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるように走行パターンを設定し、その走行パターンに伴って生ずる負荷トルクを内燃機関に印加することができる。そのうえで、個々の要因変化について、その変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求めることができる。そして、個々の要因変化に起因する機関回転数の低下が重畳的に現れるように、全ての要因変化を適当に発生させる落ち込み幅最大パターンを生成することができる。このようにして生成された落ち込み幅最大パターンが走行パターンとして設定されることにより、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を実現(形成、または再現)することができる。
【0070】
第2または第4の発明によれば、機関回転数を低下させる代表的な要因のうち、少なくとも2つの要因の影響が重畳した条件につき、内燃機関のストール性を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のシステムの構成を説明するための図である。
【図2】レーシングの実行に伴って生ずる現象を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】シフト位置の切り換えに伴って生ずる現象を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】パワーステアリングシステムの状態変化に伴って生ずる現象を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1のシステムが設定する落ち込み幅最大パターンの内容、およびその設定方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】図1に示すエンスト評価部で実行される一連の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
20 ダイナモメータ
30 制御部
32 エンスト評価部
34 走行パターン設定部
36 エンジン制御部
40 車両モデル
42 走行抵抗演算部
44 負荷トルク演算部
46 車速演算部
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関および動力伝達装置の評価装置、並びに評価方法に係り、特に、車両に搭載される内燃機関および動力伝達装置を効率的に評価するうえで好適な評価装置並びに評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開2002−22618号公報に開示されるように、車両に搭載される内燃機関および動力伝達装置を、ダイナモメータを用いて評価するための装置が知られている。上記従来の装置によれば、車両の走行パターンを適当に設定したうえで、その走行パターンに対応して内燃機関に加わる負荷トルクを算出することができる。
【0003】
負荷トルクは、内燃機関に連結される動力伝達装置の特性を模擬する車両モデルを用いて算出される。そして、従来の装置は、このようにして算出された負荷トルクを、ダイナモメータにより内燃機関に直接加えることができる。このため、上記従来の装置によれば、実車走行を行うことなく、現実の内燃機関を、動力伝達装置に連結されているものとして、シミュレーションにより評価することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の特性を評価する際には、通常の使用環境下でエンジンストールが生じないことを確認する必要がある。エンジンストールは、機関回転数が一時的に低下するいくつかの要因変化が重畳的に生じた場合に起こり易い。このため、内燃機関のストール特性を評価する際には、それら複数の要因変化を同期的に発生させ、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を意図的に作り出すことが望ましい。
【0005】
しかしながら、複数の要因変化の影響を重畳的に発生させて、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を作り出すことは必ずしも容易ではない。このため、上記従来の装置では、そのような条件を意図的に作り出して内燃機関のストール特性を評価することはできなかった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を容易に見つけ出し、かつ、その条件を容易に再現することのできる内燃機関および動力伝達装置の評価装置を提供することを第1の目的とする。
更に、本発明は、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を容易に見つけ出し、かつ、その条件を容易に再現することのできる内燃機関および動力伝達装置の評価方法を提供することを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関とその内燃機関に連結される動力伝達装置の評価装置であって、
シミュレーションで用いるべき走行パターンを設定する走行パターン設定手段と、
設定された走行パターンに対応して前記内燃機関に加わる負荷トルクを演算する負荷トルク演算手段と、
前記負荷トルクを前記内燃機関に加えるための負荷発生装置と、
機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるように、前記走行パターン設定手段に前記走行パターンを設定させる要因変化指令手段と、前記要因変化毎に、当該要因変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求める落ち込み時間検出手段と、
個々の要因変化に起因して機関回転数が最低値となる時期が全ての要因変化について一致するように、前記全ての要因変化を適当に発生させる落ち込み幅最大パターンを、上記の所要時間に基づいて生成する落ち込み幅最大パターン生成手段と、
前記走行パターン設定手段に、前記落ち込み幅最大パターンを前記走行パターンとして設定させる落ち込み幅最大パターン指令手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記要因変化は、
前記内燃機関が無負荷の状態で、スロットルバルブが全開状態から全閉状態となる変化、
前記動力伝達装置に含まれる自動変速機がニュートラルレンジからドライブレンジに切り替わる変化、
前記内燃機関を動力源とするパワーステアリングシステムが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、
前記内燃機関を動力源とするオルタネータが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、および
前記内燃機関を動力源とするエアコンシステムが、非作動状態から作動状態となる変化、のうち少なくとも2つを含むことを特徴とする。
【0009】
また、第3の発明は、内燃機関とその内燃機関に連結される動力伝達装置の評価方法であって、
シミュレーションで用いるべき走行パターンを設定する走行パターン設定ステップと、
設定された走行パターンに対応して前記内燃機関に加わる負荷トルクを演算する負荷トルク演算ステップと、
前記内燃機関に連結された負荷発生装置に前記負荷トルクを発生させるステップとを含み、
前記走行パターン設定ステップは、機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるように前記走行パターンを設定する第1サブステップを含み、
前記要因変化毎に、当該要因変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求める落ち込み時間検出ステップと、
個々の要因変化に起因して機関回転数が最低値となる時期が全ての要因変化について一致するように、前記全ての要因変化を適当に発生させる落ち込み幅最大パターンを、上記の所要時間に基づいて生成する落ち込み幅最大パターン生成ステップとを含み、更に、
前記走行パターン設定ステップは、前記落ち込み幅最大パターンを前記走行パターンとして設定する第2サブステップを含むことを特徴とする。
【0010】
また、第4の発明は、第3の発明において、前記要因変化は、
前記内燃機関の吸気通路に配置されるスロットルバルブが全開状態から全閉状態となる変化、
前記動力伝達装置に含まれる自動変速機がニュートラルレンジからドライブレンジに切り替わる変化、
前記内燃機関を動力源とするパワーステアリングシステムが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、
前記内燃機関を動力源とするオルタネータが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、および
前記内燃機関を動力源とするエアコンシステムが、非作動状態から作動状態となる変化、のうち少なくとも2つを含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のシステムの構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、内燃機関10が実車に搭載されているのと同様の状態を仮想的に作り出して、内燃機関10を、実車に搭載することなく、動力伝達装置に連結されているものとして、シミュレーションにより評価するためのシステムである。
【0013】
評価の対象である内燃機関10は、ベンチ12の上に搭載されている。内燃機関10には、図示しない排気通路と共に吸気通路14が接続されている。吸気通路14には、内燃機関10の吸入空気量Gaを制御するための電子制御スロットルバルブ16が配置されている。電子制御スロットルバルブ16は、外部から供給される電気信号に応じて任意の開度を実現することのできるスロットルバルブである。
【0014】
電子制御スロットルバルブ16の近傍には、スロットル開度を検出するためのスロットルセンサ18が配置されている。吸気通路14には、電子制御スロットルバルブ16やスロットルセンサ18の他に、吸入空気量Gaを測定するためのエアフロメータ(図示せず)が配置されている。また、内燃機関10には、燃料噴射弁や点火プラグなどのアクチュエータや、冷却水温度を検出するための水温センサなど(何れも図示せず)が組み込まれている。
【0015】
ベンチ12の上には、内燃機関10と共にダイナモメータ20が配置されている。ダイナモメータ20は、外部から供給される電力に応じて所望の負荷トルクを発生するための装置である。
【0016】
内燃機関10の出力軸は、伝達軸22を介してダイナモメータ20と連結されている。伝達軸22には、トルクセンサ24が組み込まれている。トルクセンサ24によれば、内燃機関10に加えられている実負荷トルクを検出することができる。内燃機関10の出力軸の近傍には、回転数センサ26が配置されている。回転数センサ26は、機関回転数NEに応じた周期でパルス信号を発生するセンサである。
【0017】
ダイナモメータ20には、ダイナモメータ制御部28が接続されている。ダイナモメータ制御部28には、トルクセンサ24のセンサ出力が供給されていると共に、後述する車両モデル負荷トルク演算部44より、内燃機関10に加えるべき負荷トルクの指令値が供給されている。タイナモメータ制御部28は、実負荷トルクが、上記の指令値に一致するように、ダイナモメータ20の状態を制御する。その結果、内燃機関10には、指令値と一致する負荷トルクがダイナモメータ20により印加される。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のシステムは、制御部30を備えている。制御部30には、エンスト評価部32、走行パターン設定部34、およびエンジン制御部36を備えている。エンスト評価部32には、回転数センサ26から、機関回転数NEを表す信号が供給されている。尚、エンスト評価部32は、本実施形態のシステムの主要部であり、その内容は後に詳細に説明する。
【0019】
走行パターン設定部34は、内燃機関10を評価するためのシミュレーションに用いるべき走行パターンを設定する部分である。走行パターン設定部34では、具体的には、車速SPDのパターン、路面の勾配パターン、外気温などの走行環境のパターンが設定される。走行パターン設定部34によって設定された走行パターンの情報は、エンジン制御部36に供給される。
【0020】
エンジン制御部36は、上記の如く設定された走行パターンが仮想的に実現されるように、内燃機関10の運転状態を制御するための部分である。エンジン制御部36には、走行パターンの情報と共に、後述する車速演算部46によって演算された仮想的な車速SPDのデータが供給される。エンジン制御部36は、その仮想的な車速SPDが、走行パターンで指定される車速SPDと一致するように、電子制御スロットルバルブ16や燃料噴射弁、或いは点火プラグなどのアクチュエータを制御する。
【0021】
図1に示すシステムは、更に、車両モデル40を備えている。車両モデル40は、実車走行の際に生ずる様々な現象をシミュレーション上で模擬するためのモデルである。本実施形態において、車両モデル40には、走行抵抗演算部42、負荷トルク演算部44、および車速演算部46が含まれている。
【0022】
走行抵抗演算部42には、上述したパターン設定部34によって設定される走行パターンの情報が供給されていると共に、車速演算部46によって演算される仮想的な車速SPDのデータが供給されている。走行抵抗演算部42は、走行パターンにより指定される路面の勾配や、シミュレーション上での仮想的な車速SPDなどに基づいて、実車上での発生が予想される走行抵抗を演算する。このようにして演算された走行抵抗の情報は、負荷トルク演算部44に供給される。
【0023】
負荷トルク演算部44には、上述した走行抵抗の情報と共に、回転数センサ26やスロットルセンサ18の出力信号、或いは、水温センサやエアフロメータの出力信号など、内燃機関10の状態を表す各種の信号が供給されている。負荷トルク演算部44は、それらの信号に基づいて内燃機関10の運転状態を把握すると共に、その運転状態と、上記の走行抵抗の情報とに基づいて、実車上で内燃機関10に加わると予想される負荷トルクの値を演算する。
【0024】
より詳細には、負荷トルク演算部44には、自動変速機の状態変化に伴う負荷変動を模擬するための変速機モデル、並びに、パワーステアリング(PS)、エアコンシステム(ACシステム)、およびオルタネータの状態変化に伴う負荷変動を模擬するための補機モデルなどが含まれている。変速機モデルによれば、自動変速機によるシフトの切り換え動作と、その切り換えに伴う負荷変動をシミュレーション上で模擬することができる。また、補機モデルによれば、ステアリング操作に伴うパワステポンプの負荷変動、ACシステムの動作・非動作の切り換えに伴う負荷変動、更には、パワーウィンドウや電動ファンなどの補機動作に伴うオルタネータの負荷変動などをシミュレーション上で模擬することができる。
【0025】
負荷トルク演算部44によって演算された負荷トルクの値は、上記の如くダイナモメータ制御部28に供給されると共に、車速演算部46に供給される。車速演算部46は、走行抵抗演算部42によって演算された走行抵抗や、負荷トルク演算部44によって演算された負荷トルクなどに基づいて、車両の加減速度を算出し、更に、その加減速度に基づいて仮想的な車速SPDを算出する。このようにして演算された車速SPDは、上記の如くエンジン制御部36および走行抵抗演算部46に供給される。
【0026】
図1に示すシステムによれば、内燃機関10を、実車に搭載することなく、実車に搭載されているのと同等の環境で評価することができる。つまり、このシステムによれば、設定された走行パターンでの仮想的な走行テストを行うことで、内燃機関10を、実車に搭載されて動力伝達装置に連結されている場合と同様に動作させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、動力伝達装置に連結された状態で内燃機関10が示す挙動を、シミュレーションにより容易に評価することができる。
【0027】
走行テストの結果、内燃機関10或いは動力伝達装置に何等かの不具合が生じた場合は、その不具合を解消するための対策を講じた後、その不具合を生じさせた条件を再現して、対策の効果を確認することが必要となる。実車上でのこのような条件を忠実に再現することは一般に困難である。これに対して、本実施形態のシステムでは、不具合を発生させた条件が、シミュレーションに用いられた走行パターンの一部であることから、その条件を忠実に再現することが容易である。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関10の評価の効率を高めることができる。
【0028】
また、内燃機関10の実車上での挙動を評価するにあたっては、種々の部品のばらつきを考慮する必要が生ずることがある。つまり、実車に搭載された内燃機関10には、パワステポンプやエアコンコンプレッサ、或いはオルタネータなどの補機類が連結され、それらの補機類の動作に必要なトルク(以下、「補機トルク」と称す)が負荷トルクとして印加される。上述した補機トルクは、補機類の個体差、或いは経時変化などにより変化する。従って、内燃機関10の挙動は、その変化によって生ずることのある補機トルクの上限値および下限値の両方について評価しておくことが望ましい。
【0029】
内燃機関10を現実に実車に搭載して評価する場合、補機トルクの値を変化させるためには、部品を組み替える必要が生ずる。これに対して、本実施形態のシステムでは、車両モデル40内のパラメータを変更するだけで、補機トルクの値を容易に変化させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、個体差や経時変化に起因する部品のばらつきをも考慮した内燃機関10の評価を、極めて簡単に行うことができる。
【0030】
次に、本実施形態のシステムの特徴部について説明する。
内燃機関10の特性を評価する際には、通常の使用環境下でエンジンストールが生じないことを確認する必要がある。図1に示すエンスト評価部32は、本実施形態のシステムにおいて、内燃機関10に、通常の使用環境下でストールが生ずるか否かを評価するための部分である。内燃機関10のストールは、機関回転数NEを低下させるいくつかの要因変化の影響が重畳的に発生した場合に生じ易い。このため、エンスト評価部32は、それらの要因変化を同期的に発生させ、その影響を重畳的に生じさせるための走行パターンを生成する。
【0031】
以下、エンスト評価部32が実行する具体的な処理の内容を説明するに先立って、内燃機関10の回転数NEを低下させる主要な要因変化の内容を、図2乃至図4を参照して説明する。
【0032】
図2は、内燃機関10においてレーシング(いわゆる空ぶかし)が行われた場合に生ずる現象を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図2(A)は、レーシング前後のアクセル開度の波形である。また、図2(B)はレーシング前後の機関回転数NEの波形である。このタイミングチャートは、本実施形態のシステム(図1に示すシステム)では、レーシングが終了された後、所要時間T1が経過した時点で機関回転数NEが最低値となることを示している。
【0033】
本実施形態のシステムでは、走行パターン設定部34によってレーシングを要求する走行パターンが設定されると、エンジン制御部36により、図2(A)に示すアクセル開度の変化に対応するスロットル信号が生成される。そのスロットル信号は、エンジン制御部36から電子制御スロットルバルブ18に供給される。その結果、ベンチ12上の内燃機関10においてレーシングが行われる。
【0034】
内燃機関10においてレーシングが開始されると、電子スロットルバルブ16が開いて吸入空気量Gaが増加する。その結果、図2(B)に示すように、機関回転数NEは急激な上昇を示す。機関回転数NEが上昇した後、アクセル開度が全閉とされレーシングが終了されると、電子スロットルバルブ16は、いわゆるダッシュポット制御に従って閉弁され、やがて、アイドル回転数NE0を維持するための所定開度TA0に至る。尚、ダッシュポット制御とは、アクセル開度が急激に閉じられた場合に、吸入空気量Gaが急激に減少するのを避けるため、スロットル開度TAをアクセル開度に対して緩やかに減少させる制御である。
【0035】
レーシングの直前は、スロットル開度TAが上記の所定開度TA0に制御されていることにより、機関回転数NEが精度良くアイドル回転数NE0に制御されている。この場合、吸気管圧力PMは、所定開度TA0とアイドル回転数NE0とに応じた値となっている。これに対して、レーシングの直後は、機関回転数NEが高いままの状態で、スロットル開度TAが所定開度TA0となる事態が生ずる。この場合、吸気管圧力PMは、所定開度TA0と、高いままの機関回転数NEとに応じた値、つまり、通常のアイドル運転時の吸気管圧力PMに比して低い値となる。
【0036】
内燃機関10に吸入される空気の量は、吸気管圧力PMが低下することで減少する。また、吸入空気量が減少すると、内燃機関10の出力トルクが低下するため、機関回転数NEの低下が生ずる。このため、図2(B)に示すように、レーシングの直後は、機関回転数NEが、一時的にアイドル回転数NE0に対してアンダーシュートを示す。
【0037】
以上説明した通り、レーシングの終了直後には、機関回転数NEが一時的に目標のアイドル回転数NE0を下回る事態が生ずる。このため、本実施形態のシステムはは、レーシングの終了に伴うアクセル開度の急激な減少を、機関回転数NEを低下させる主要な要因変化の一つとして捉えている。
【0038】
図3は、車両モデル40の内部で自動変速機がニュートラルレンジからドライブレンジに切り換えられた前後の現象を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図3(A)は、上記のシフト切り換えのタイミングを示す波形である。また、図3(B)は、そのシフト切り換えの前後の機関回転数NEの波形である。このタイミングチャートは、本実施形態のシステム(図1に示すシステム)では、ニュートラルレンジからドライブレンジへの切り換えが行われた後、所要時間T2が経過した時点で機関回転数NEが最低値となることを示している。
【0039】
本実施形態のシステムでは、走行パターン設定部34によってシフトの切り換えを要求する走行パターンが設定されると、車両モデル40の内部で、その切り換えに相当する処理が実行される。その結果、ダイナモメータ20から内燃機関10に加えられる負荷トルクが変更される。
【0040】
内燃機関10の制御システムは、シフト位置がニュートラルレンジである場合のアイドル回転数NE0が、シフト位置がドライブレンジである場合のアイドル回転数NE0に比して高くなるように設定されている。そして、図1に示すシステムにおいて、車両モデル40およびエンジン制御部36には、それぞれの状況下で適正なアイドル回転数NE0を実現するための機能が組み込まれている。このため、図3(B)に示すように、シフト位置がドライブレンジとされた後のアイドル回転数NE0の収束値は、シフト位置がニュートラルレンジである場合のアイドル回転数NE0に比して低い値となっている。
【0041】
また、内燃機関10の制御システムは、ニュートラルレンジからドライブレンジへのシフト切り換えが行われた場合に、負荷トルクの増加を予想して、吸入空気量Gaの増量補正を行うように設定されている。そして、図1に示すシステムにおいて、車両モデル40およびエンジン制御部36には、その増量補正のための機能が組み込まれている。このため、走行パターン設定部34によってシフトの切り換えが要求されると、エンジン制御部36では、その切り換えと同期して吸入空気量Gaの増量補正が実行される。
【0042】
ところで、シフトの切り換えに伴って負荷トルクが変化するタイミングは、吸入空気量Gaの増量に伴って内燃機関10の出力トルクが増大するタイミングとは必ずしも完全には一致しない。このため、吸入空気量Gaの増量補正が実行されたとしても、機関回転数NEには、図3(B)に示すようにシフト切り換えの後、一時的なアンダーシュートが生ずる。このように、シフト位置がニュートラルレンジからドライブレンジに切り換えられた直後は、機関回転数NEが一時的に目標のアイドル回転数NE0を下回る事態が生ずる。このため、本実施形態のシステムは、ニュートラルレンジからドライブレンジへのシフト変化を、機関回転数NEを低下させる主要な要因変化の一つとして捉えている。
【0043】
図4は、車両モデル40の内部でパワーステアリング(PS)が非作動の状態からロック状態に変化した場合の現象を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図4(A)は、PSシステムの状態変化を示す波形である。また、図4(B)は、その状態変化に伴う機関回転数NEの変化を示す波形である。ここで、PSが非作動の状態とは、PSポンプが無負荷の状態であり、一方、PSのロック状態とは、PSポンプが最大負荷で作動している状態である。図4に示すタイミングチャートは、本実施形態のシステム(図1に示すシステム)では、PSが非作動の状態からロック状態に変化した後、所要時間T3が経過した時点で機関回転数NEが最低値となることを示している。
【0044】
本実施形態のシステムでは、走行パターン設定部34によってPSの状態変化を要求する走行パターンが設定されると、車両モデル40の内部で、変化に相当する処理が実行される。その結果、ダイナモメータ20から内燃機関10に加えられる負荷トルクが変更される。
【0045】
内燃機関10の制御システムは、PSの状態が変化したら、負荷トルクの変化を予想して、吸入空気量Gaの補正量を変化させるように設定されている。そして、図1に示すシステムにおいて、車両モデル40およびエンジン制御部36には、その補正量の変化を実現するための機能が組み込まれている。このため、走行パターン設定部34によってPSの状態変化が要求されると、エンジン制御部36では、その状態変化と同期して吸入空気量Gaの補正量が変更される。
【0046】
ところで、PSの状態変化に伴って負荷トルクが変化するタイミングは、吸入空気量Gaの補正量が変更され、その結果、内燃機関10の出力に変化が現れるタイミングとは必ずしも完全には一致しない。このため、吸入空気量Gaの増量補正が実行されたとしても、機関回転数NEには、図4(B)に示すようにPSの状態変化の後、一時的なアンダーシュートが生ずる。このように、PSが非作動の状態からロック状態に変化した直後は、機関回転数NEが一時的に目標のアイドル回転数NE0を下回る事態が生ずる。このため、本実施形態のシステムは、そのようなPSの状態変化を、機関回転数NEを低下させる主要な要因変化の一つとして捉えている。
【0047】
本実施形態のシステムでは、走行パターンとして、内燃機関10が無負荷で運転された状態で、アクセル開度だけが短時間で開閉されるパターン(他の条件は一定)を設定すれば、レーシングの実行のみの影響で内燃機関10に生ずる挙動の変化を見ることができる。より具体的には、上記の走行パターンを設定することで、レーシングに伴ってアクセル開度が全閉とされてから、機関回転数NEが最低値となるまでに要する所要時間T1を、精度良く検出することができる。
【0048】
また、本実施形態のシステムでは、走行パターンとして、シフト位置だけがニュートラルレンジからドライブレンジに変化するパターン(他の条件は一定)を設定することで、そのシフト変更のみの影響で内燃機関10に生ずる挙動の変化を見ることができる。より具体的には、上記の走行パターンを設定することで、ニュートラルレンジからドライブレンジへの切り換えが行われた後、機関回転数NEが最低値となるまでに要する所要時間T2を精度良く検出することができる。
【0049】
更に、本実施形態のシステムでは、走行パターンとして、PSの状態だけが非作動の状態からロック状態に変化するパターン(他の条件は一定)を設定することで、PSの状態変化のみの影響で内燃機関10に生ずる挙動の変化を見ることができる。つまり、上記の走行パターンを設定することで、PSが非作動の状態からロック状態に変化した後、機関回転数NEが最低値となるまでに要する所要時間T3を精度良く検出することができる。
【0050】
上記の手順で所要時間T1〜T3がそれぞれ検出できるとすれば、それらの所要時間T1〜T3に基づいて、個々の要因変化に起因して機関回転数NEが最低値となるタイミングが全ての要因変化について一致するように、レーシングの終了時期と、シフトの切り換え時期と、PSの状態変化時期とを同期させることができる。
【0051】
図5(A)〜図5(C)は、このような手法で、互いに同期するように決定されたアクセル開度の波形、シフト位置の波形、およびPSの状態変化に関する波形を示す。また、図5(D)は、図5(A)〜図5(C)に示す変化が、本実施形態のシステムにおいて走行パターンとして設定された場合に、機関回転数NEに生ずる変化を示す。
尚、図5(B)に示すシフト位置の波形は、具体的には、レーシングの終了後、T1−T2の時間が経過した時点でシフトの切り換えが行われるように決定されたものである。また、図5(C)に示すPS状態の波形は、レーシングの終了後、T1−T3の時間が経過した時点でPSの状態が変化するように決定されたものである。
【0052】
図5(A)〜図5(C)に示す変化を含む走行パターンは、上述した3つの主要な変化要因のみに着目した場合、内燃機関10を最もストールさせ易い走行パターンである。従って、図5(D)に示す回転数落ち込み幅ΔNEtotalは、それら3つの要因変化のみが考慮の対象であるとすれば、内燃機関10において通常の運転条件下で生じ得る最も大きな落ち込み幅である。このため、そのΔNEtotalの発生に伴ってエンジンストールが生ずるか否かを判断すれば、内燃機関10のストール特性を精度良く評価することができる。
【0053】
以上説明した通り、内燃機関10のストール特性は、レーシング、シフト切り換え、およびPSの状態変化を、それぞれ図5(A)〜図5(C)に示すように同期的に発生させることができれば、精度良く評価することができる。本実施形態のシステムにおいて、エンスト評価部32は、図2乃至図4を参照して説明した上記の手順で、レーシング、シフト切り換え、およびPSの状態変化のそれぞれについての所要時間T1〜T3を検出し、更に、それらの所要時間T1〜T3に基づいて、図5(A)〜図5(C)に示す変化を伴う走行パターンを生成する。
【0054】
図6は、エンスト評価部32が、上記の機能を実現するために実行する処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図6に示す手順では、先ず、走行パターン設定部34に対して、レーシングの実行指令が発せられる(ステップ100)。
本ステップ100の処理が実行されると、以後、走行パターン設定部32によって、レーシングの実行を要求する走行パターンが設定され、内燃機関10においてレーシングが行われる。
【0055】
エンスト評価部32では、次に、レーシングの終了に伴ってアクセル開度の全閉が指令された後、機関回転数NEが最低値となるまでの所要時間T1が検出される(ステップ102)。
【0056】
次に、走行パターン設定部34に対して、ニュートラルレンジからドライブレンジへのシフトの切り換えが指令される(ステップ104)。
本ステップ104の処理が実行されると、以後、走行パターン設定部32によって、シフト位置の切り換えを要求する走行パターンが設定され、ダイナモメータ28により発生される負荷トルクに、その切り換えに伴う変化が反映される。
【0057】
エンスト評価部32では、次に、ニュートラルレンジからドライブレンジへシフト位置が切り換えられた後、機関回転数NEが最低値となるまでの所要時間T2が検出される(ステップ106)。
【0058】
図6に示す手順では、次に、走行パターン設定部34に対して、PSシステムを非作動状態からロック状態に変化させる指令が発せられる(ステップ108)。本ステップ108の処理が実行されると、以後、走行パターン設定部32によって、PSの状態変化を要求する走行パターンが設定され、ダイナモメータ28により発生される負荷トルクに、その状態変化に伴う変化が反映される。
【0059】
エンスト評価部32では、PSの状態が非作動状態からロック状態に変化した後、機関回転数NEが最低値となるまでの所要時間T3が検出される(ステップ110)。
【0060】
次に、上記ステップ102,106および110で検出された所要時間T1〜T3に基づいて、レーシング、シフト切り換え、およびPSの状態変化の影響を重畳的に発生させる走行パターン、すなわち、機関回転数NEの落ち込み幅ΔNEtotalを最大とする落ち込み幅最大パターンが生成される(ステップ112)。
落ち込み幅最大パターンは、より具体的には、レーシングの終了後(アクセル開度全閉後)T1−T2の時間が経過した時点でシフトの切り換えが行われ、また、レーシングの終了後T1−T3の時間が経過した時点でPSの状態が切り換えられるように設定される(上記図5参照)。
【0061】
図6に示す手順では、次に、走行パターン設定部34に対して、上記の如く生成された落ち込み幅最大パターンを走行パターンとする旨の指令が発せられる(ステップ114)。
本ステップ114の処理が実行されると、以後、走行パターン設定部32によって、落ち込み幅最大パターンが走行パターンとして設定される。その結果、内燃機関10にとって最もストールし易い条件が形成される。
【0062】
エンスト評価部32では、上記の条件下で機関回転数NEに生ずる最大落ち込み幅ΔNEtotalを測定する(ステップ116)。
本実施形態のシステムを用いた内燃機関10の評価方法では、以後、上記ステップ116において測定されたΔNEtotalに基づいて、自動的な手法で、或いは、手動的な手法で、内燃機関10にストールが生ずるか否かが判断される。
【0063】
以上説明した通り、本実施形態のシステムによれば、エンジンストールの発生に関して、内燃機関10にとって最も厳しい条件を容易に見つけだすと共に、その条件下で生ずる機関回転数NEの落ち込み幅ΔNEtotalを容易かつ精度良く検出することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、動力伝達装置に連結された環境下で内燃機関10にストールが生ずるか否かを、短時間で、容易かつ精度よく評価することができる。
【0064】
ところで、上述した説明においては、本実施形態のシステムが、レーシングに伴うアクセル開度の急激な減少、ニュートラルレンジからドライブレンジへのシフト切り換え、およびPSの非作動状態からロック状態への変化の3つを、機関回転数NEを低下させる主要な要因変化と捉えているものとしているが、機関回転数NEを低下させる要因変化は、これらに限定されるものではない。
【0065】
例えば、内燃機関10に加わる負荷トルクは、オルタネータやエアコンシステムの動作状態が変化することによっても、PSの状態が変化した場合と同様に変化する。このため、オルタネータの状態変化や、エアコンシステムの状態変化も、機関回転数NEの低下を伴う要因変化として捉えることとしてもよい。
【0066】
上述した評価方法により内燃機関10のストール性を評価した結果、内燃機関10にストールが生ずる可能性があると評価された場合は、ストールの発生を防ぐための対策を講ずる必要が生ずる。本実施形態では、その対策の必要性が認められた場合、何れかの要因変化に関して、それぞれ以下に示す事項に修正が施される。
・レーシング:ダッシュポット制御の内容
・シフト切り換え:吸入空気量Gaの補正量
・PSの状態変化:吸入空気量Gaの補正量
・オルタネータの状態変化:吸入空気量Gaの補正量
・エアコンシステムの状態変化:吸入空気量Gaの補正量
【0067】
何れかの要因変化に対して上記の修正が施された場合は、その修正の効果を確認することが必要である。修正の効果は、修正の内容を車両モデル40や内燃機関10の構成に反映させた上で、上記の落ち込み幅最大パターンを用いた評価を再び実行することで容易に確認することができる。つまり、その評価の結果得られた回転数落ち込み幅ΔNEtotalが、ストールを生じさせる可能性のない値となっているか否かを見ることで、修正の効果を容易に確認することができる。このため、本実施形態の評価装置、或いは評価方法によれば、内燃機関10の開発効率を顕著に高めることができる。
【0068】
尚、上述した実施の形態1においては、走行パターン設定部34が前記第1の発明における「走行パターン設定手段」に、負荷トルク演算部44が前記第1の発明における「負荷トルク演算手段」に、ダイナモメータ20が前記第1の発明における「負荷発生装置」に、それぞれ相当していると共に、エンスト評価部32が、上記ステップ100,104,108の処理を実行することにより前記第1の発明における「要因変化指令手段」が、上記ステップ102,106,110の処理を実行することにより前記第1の発明における「落ち込み時間検出手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第1の発明における「落ち込み幅最大パターン生成手段」が、上記ステップ114の処理を実行することにより前記第1の発明における「落ち込み幅最大パターン指令手段」が、それぞれ実現されている。
【0069】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
第1または第3の発明によれば、機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるように走行パターンを設定し、その走行パターンに伴って生ずる負荷トルクを内燃機関に印加することができる。そのうえで、個々の要因変化について、その変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求めることができる。そして、個々の要因変化に起因する機関回転数の低下が重畳的に現れるように、全ての要因変化を適当に発生させる落ち込み幅最大パターンを生成することができる。このようにして生成された落ち込み幅最大パターンが走行パターンとして設定されることにより、エンジンストールに関して内燃機関にとって最も厳しい条件を実現(形成、または再現)することができる。
【0070】
第2または第4の発明によれば、機関回転数を低下させる代表的な要因のうち、少なくとも2つの要因の影響が重畳した条件につき、内燃機関のストール性を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のシステムの構成を説明するための図である。
【図2】レーシングの実行に伴って生ずる現象を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】シフト位置の切り換えに伴って生ずる現象を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】パワーステアリングシステムの状態変化に伴って生ずる現象を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1のシステムが設定する落ち込み幅最大パターンの内容、およびその設定方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】図1に示すエンスト評価部で実行される一連の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
20 ダイナモメータ
30 制御部
32 エンスト評価部
34 走行パターン設定部
36 エンジン制御部
40 車両モデル
42 走行抵抗演算部
44 負荷トルク演算部
46 車速演算部
Claims (4)
- 内燃機関とその内燃機関に連結される動力伝達装置の評価装置であって、
シミュレーションで用いるべき走行パターンを設定する走行パターン設定手段と、
設定された走行パターンに対応して前記内燃機関に加わる負荷トルクを演算する負荷トルク演算手段と、
前記負荷トルクを前記内燃機関に加えるための負荷発生装置と、
機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるように、前記走行パターン設定手段に前記走行パターンを設定させる要因変化指令手段と、
前記要因変化毎に、当該要因変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求める落ち込み時間検出手段と、
個々の要因変化に起因して機関回転数が最低値となる時期が全ての要因変化について一致するように、前記全ての要因変化を適当に発生させる落ち込み幅最大パターンを、上記の所要時間に基づいて生成する落ち込み幅最大パターン生成手段と、
前記走行パターン設定手段に、前記落ち込み幅最大パターンを前記走行パターンとして設定させる落ち込み幅最大パターン指令手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関および動力伝達装置の評価装置。 - 前記要因変化は、
前記内燃機関が無負荷の状態で、スロットルバルブが全開状態から全閉状態となる変化、
前記動力伝達装置に含まれる自動変速機がニュートラルレンジからドライブレンジに切り替わる変化、
前記内燃機関を動力源とするパワーステアリングシステムが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、
前記内燃機関を動力源とするオルタネータが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、および
前記内燃機関を動力源とするエアコンシステムが、非作動状態から作動状態となる変化、のうち少なくとも2つを含むことを特徴とする請求項1記載の内燃機関および動力伝達装置の評価装置。 - 内燃機関とその内燃機関に連結される動力伝達装置の評価方法であって、
シミュレーションで用いるべき走行パターンを設定する走行パターン設定ステップと、
設定された走行パターンに対応して前記内燃機関に加わる負荷トルクを演算する負荷トルク演算ステップと、
前記内燃機関に連結された負荷発生装置に前記負荷トルクを発生させるステップとを含み、
前記走行パターン設定ステップは、機関回転数の変動を伴う複数の要因変化が要因変化毎に順次現れるように前記走行パターンを設定する第1サブステップを含み、
前記要因変化毎に、当該要因変化が生じてから機関回転数が最低値となるまでの所要時間を求める落ち込み時間検出ステップと、
個々の要因変化に起因して機関回転数が最低値となる時期が全ての要因変化について一致するように、前記全ての要因変化を適当に発生させる落ち込み幅最大パターンを、上記の所要時間に基づいて生成する落ち込み幅最大パターン生成ステップとを含み、更に、
前記走行パターン設定ステップは、前記落ち込み幅最大パターンを前記走行パターンとして設定する第2サブステップを含むことを特徴とする内燃機関および動力伝達装置の評価方法。 - 前記要因変化は、
前記内燃機関の吸気通路に配置されるスロットルバルブが全開状態から全閉状態となる変化、
前記動力伝達装置に含まれる自動変速機がニュートラルレンジからドライブレンジに切り替わる変化、
前記内燃機関を動力源とするパワーステアリングシステムが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、
前記内燃機関を動力源とするオルタネータが、負荷最少の状態から負荷最大の状態となる変化、および
前記内燃機関を動力源とするエアコンシステムが、非作動状態から作動状態となる変化、のうち少なくとも2つを含むことを特徴とする請求項3記載の内燃機関および動力伝達装置の評価方法。
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JP2002200934A JP2004045122A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 内燃機関および動力伝達装置の評価装置、並びに評価方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006170944A (ja) * | 2004-12-20 | 2006-06-29 | Nippon Soken Inc | 駆動モータを搭載した車両の走行状態模擬装置および走行模擬試験システム |
JP2006177899A (ja) * | 2004-12-24 | 2006-07-06 | Nippon Soken Inc | 駆動モータを搭載した車両の走行状態模擬装置 |
JP2011107051A (ja) * | 2009-11-20 | 2011-06-02 | Meidensha Corp | パワートレインの試験システム |
JP2011164104A (ja) * | 2010-02-04 | 2011-08-25 | Avl List Gmbh | 車両またはその部分システムをテストするための装置 |
CN109141910A (zh) * | 2018-05-23 | 2019-01-04 | 中国汽车技术研究中心有限公司 | 一种从整车到发动机的测试工况转换方法 |
-
2002
- 2002-07-10 JP JP2002200934A patent/JP2004045122A/ja not_active Withdrawn
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