JP2004044752A - 潤滑剤の給油脂状態監視センサ及び給油脂状態監視装置 - Google Patents

潤滑剤の給油脂状態監視センサ及び給油脂状態監視装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回転機械の軸受け等の潤滑個所に供給される潤滑剤の給油脂状態を、各潤滑個所近傍において安価に監視することのできる潤滑剤の給油脂状態監視センサ及び給油脂状態監視装置を提供する。
【解決手段】給油脂時の潤滑剤の流れにより曲げ変形を受ける部材(6)と、曲げ変形によりこの部材に発生する歪を感知して電気信号に変換する信号変換手段とを備えた潤滑剤の給油脂状態監視センサである。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転機械の軸受け等の潤滑個所に供給される潤滑剤の供給状態を監視するためのセンサ及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場などに備えられている生産設備には回転機械が多く用いられ、これと共に、回転機械の軸受等に一定時間間隔でグリースなどの潤滑剤を給油脂するための自動集中潤滑装置が多数使用されている。一方、回転機械の設備異常の主な原因の一つとして潤滑不良が挙げられており、それぞれの設備に潤滑剤が適正に給油脂されていることを監視することの重要性が指摘されている。
【0003】
自動集中潤滑装置からの潤滑剤の供給状態を監視する方法として、次の2つの方法が知られている。
その1つは、潤滑剤が一定時間間隔で供給されるときに分配弁が動作することを利用し、所定時間内の分配弁の作動回数をカウントして、潤滑剤の供給が適正に行われているかどうかを確認するものである。
【0004】
他の1つは、分配弁から軸受け等の潤滑剤供給機械部品への供給状態を確認する方法で、各潤滑個所直近の給油脂管に取り付けた圧力センサを用いて潤滑剤の供給状態を確認するものである。この圧力センサ方式には、該圧力センサで測定した各給油脂管内の潤滑剤の圧力と予め設定した設定圧力とをコントローラで比較し、その比較結果に応じて潤滑剤の不供給、あるいは圧力センサの異常を判定して警報を発する方法が知られている(特開2001−164916)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、分配弁の作動回数をカウントして潤滑剤の供給状態を確認する方法では、分配弁以降の経路における潤滑剤の供給状態については知ることができないため、分配弁から軸受け等までの間で発生する給油脂配管の破損、詰り等による潤滑剤の供給不良については監視することができない。
【0006】
また、圧力センサを利用する方式では、各潤滑個所直近の各給油脂配管に圧力センサを取り付け、更に該圧力センサに電源を供給する必要がある。従って、生産工場などでの数千個所に及ぶ監視ポイントをこの圧力センサ方式で構成しようとした場合には、監視装置が大掛かりとなり、設置費用も高価なものとなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、回転機械の軸受け等の潤滑個所に供給される潤滑剤の給油脂状態を、各潤滑個所近傍において安価に監視することのできる潤滑剤の給油脂状態監視センサ及び給油脂状態監視装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するための本発明は、給油脂時の潤滑剤の流れにより曲げ変形を受ける部材と、曲げ変形によりこの部材に発生する歪を感知して電気信号に変換する信号変換手段とを備えた潤滑剤の給油脂状態監視センサである。
【0009】
また本発明は、上記記載の発明である潤滑剤の給油脂状態監視センサにおいて、部材は、信号変換手段を兼ねる圧電素子である潤滑剤の給油脂状態監視センサである。
【0010】
また本発明は、上記記載の発明である潤滑剤の給油脂状態監視センサにおいて、部材は、信号変換手段を兼ねる圧電素子を被覆材で覆って形成される潤滑剤の給油脂状態監視センサである。
【0011】
また本発明は、上記記載の発明である潤滑剤の給油脂状態監視センサにおいて、部材は、信号変換手段を兼ねる圧電素子とこの圧電素子に当接する当接部材とを被覆材で覆って形成される潤滑剤の給油脂状態監視センサである。
【0012】
また本発明は、上記記載の発明である潤滑剤の給油脂状態監視センサにおいて、信号変換手段は、歪ゲージである潤滑剤の給油脂状態監視センサである。
【0013】
また本発明は、上記記載の発明である潤滑剤の給油脂状態監視センサにおいて、部材に歪ゲージを配設した潤滑剤の給油脂状態監視センサである。
【0014】
また本発明は、部材の形状を長方形状とした潤滑剤の給油脂状態監視センサである。
【0015】
また本発明は、上記記載の発明である潤滑剤の給油脂状態監視センサにおいて、部材と信号変換手段とを給油脂配管に接続するT型継手内部に配設した潤滑剤の給油脂状態監視センサである。
【0016】
また本発明は、潤滑給油脂が必要となる機器に直接、または給油脂配管に接続された上記記載の潤滑剤の給油脂状態監視センサと、この給油脂状態監視センサから出力される給油脂時の部材の曲げ歪の検知信号から機器への給油脂回数をカウントするカウント装置とを備えた給油脂状態監視装置である。
【0017】
また本発明は、上記記載の発明である給油脂状態監視装置において、一定期間毎に信号を発生するタイマー装置と、この一定期間内に給油脂状態監視センサが検知した給油脂回数が予め定めた給油脂回数よりも少ない場合に警報を発生する警報装置とを備えた給油脂状態監視装置である。
【0018】
また本発明は、上記記載の発明である給油脂状態監視装置において、給油脂配管の上流にある分配弁の作動を検出する検出装置と、この検出装置で分配弁の作動を検出した信号を給油脂信号として取り込みこの給油脂信号を検出してから所定期間内に給油脂状態監視センサからの給油脂を示す出力がないまたは小さい場合に警報を発生する警報装置とを備えた給油脂状態監視装置である。
【0019】
また本発明は、上記記載の発明である給油脂状態監視装置において、給油脂配管に潤滑剤を圧送する給油脂ポンプと、この給油脂ポンプの起動信号を給油脂信号として取り込みこの給油脂信号を検出してから所定期間内に給油脂状態監視センサからの給油脂を示す出力がないまたは小さい場合に警報を発生する警報装置とを備えた給油脂状態監視装置である。
【0020】
また本発明は、上記記載の発明である給油脂状態監視装置において、給油脂状態監視センサからの出力信号または給油脂回数のカウント装置からの出力信号または分配弁の作動信号または給油脂ポンプの起動信号の少なくとも1の信号を取り込んで無線で発信する無線装置と、発信された信号を受信して収集するデータ収集装置とを備えた給油脂状態監視装置である。
【0021】
また本発明は、上記記載の発明である給油脂状態監視装置において、給油脂状態監視センサからの出力信号または給油脂回数のカウント装置からの出力信号または分配弁の作動信号または給油脂ポンプの起動信号の少なくとも1の信号を収集するデータ収集装置と、収集されたデータをケーブルまたは無線または電話回線またはLANにより伝送する伝送装置と、伝送されたデータを記憶、分析または評価するデータ処理装置とを備えた給油脂状態監視装置である。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る、第1の実施の形態の給油脂状態監視センサの構成を示す断面図である。
給油脂状態監視センサ1は、給油脂管に接続するT型管継手2の継手にニップル3を接続するとともに、そのニップル3の反対側に、プラグ4を挿入したソケット5を接続し、更にセンシング素子を有する板状の検出部6をプラグ4に設けた開孔からT型管継手2に挿入した構成である。ここで、プラグ4の上部部分は図1に示すように、樹脂7で固めて検出部6の片端を固定するとともに、T型管継手2からの潤滑剤の漏れを防止している。
【0023】
尚、ニップル3とソケット5は、検出部6の長さを調整するために設けたもので、給油脂状態監視センサ1に必ずしも必要とされるものではないが、後に説明するように、センサの感度を良くするためにはある程度の長さが必要となるため、設けることが望ましい。
【0024】
また、T型管継手2以外にも、Y型管継手やクロスにプラグを取り付けた継手を用いるものであっても良い。但し、構成のし易さからT型管継手2を用いることが望ましい。
【0025】
図2は、検出部6の構成を示す側面から見た断面図である。
検出部6は、長方形状を有する角板形圧電材料であるピエゾ素子8を中心に設け、そのピエゾ素子8の表裏両面を補強板9で挟み、更に全体を弾力性のある被覆材10で覆った構成である。
【0026】
そして、ピエゾ素子8の表面と裏面に設けた端部電極には、ピエゾ素子8で発生した電荷を取り出すためのリード線11がハンダ付けなどで接続されている。このため、図2において、左右方向に曲げ応力が作用して歪が生じた場合、リード線の両端には電圧が発生する。
【0027】
ここで、ピエゾ素子8を補強板9で挟むのは、曲げ応力によるピエゾ素子8の破損を起こしにくくするためである。補強板9としては、所定の曲げ応力に対してピエゾ素子8の破損を防止できる材料であれば良く、ピエゾ素子8と絶縁されていれば鉄などの金属あるいはプラスチックなどの高分子材料であっても良い。尚、補強板9は、ピエゾ素子8の両面に設けなくとも片面に設けるものであっても良い。
【0028】
また、被覆材10で全体を覆うのは、ピエゾ素子8と補強板9とを1体として形成して保護するとともに、もしピエゾ素子8が破損した場合であっても、潤滑剤中に破損片が混入して設備異常を発生させることのないように配慮したものである。尚、被覆材10は、ピエゾ素子8に対する防湿、電気的絶縁を強化する働きも有しているため、検出部6の構成要素として用いることが望ましい。
【0029】
尚、ピエゾ素子8の材質、使用条件などにより、補強板9及び被覆材10は、一層で構成しても良く、多層で構成するものであっても良い。ピエゾ素子8は、圧電セラミックスや高分子圧電フィルム等が適しているが、他の圧電性物質であっても良い。また、ピエゾ素子8の形状は、潤滑剤の流れによる曲げを受けるようにある程度の長さがあれば、棒状でも、管を半割にした樋形等どのような形状でも良いが、取り扱い易さや製造コストを勘案すると長方形状が望ましい。
【0030】
尚、本実施の形態では、ピエゾ素子8と補強板9と被覆材10とを用いて検出部6を形成したが、この形態に限定されず、補強板9を用いずに、ピエゾ素子8と被覆材10とを用いて検出部6を形成するものであっても良い。
【0031】
またピエゾ素子8は、板状のピエゾ素子を2枚貼合わせて、これを力Fによって屈曲させると一方の素子が伸び他方の素子が縮むことによって両素子が共に電荷を発生するように構成されたバイモルフ型エレメントを用いるものであっても良い。さらに板状のピエゾ素子を複数枚貼合わせて構成するものであっても良い。
【0032】
図3は、給油脂状態監視センサを給油脂回路に組込んだ構成例を示す図である。
給油脂状態監視センサ1は、一定間隔で潤滑剤を供給する自動集中潤滑装置で構成される給油脂回路の一部に組み込まれている。具体的には、分配弁12から分岐される給油脂配管13の途中に設置するが、潤滑個所への潤滑剤の供給を監視できるためには、潤滑個所である軸受け14の直近あるいは軸受け14自体に取り付けることが望ましい。
【0033】
このようにして設置された給油脂状態監視センサ1に潤滑剤が供給されたときは、図1に示す検出部6に矢印の方向に潤滑剤の流れが発生する。そうすると、検出部6は、樹脂7により固定された部分を支点として流れの下流方向に曲げられる。この結果、ピエゾ素子8の表裏面にそれぞれ逆の電荷が発生してリード線11の両端に電圧が発生する。
【0034】
図4は、給油脂状態監視センサ1の出力波形を示す図である。
縦軸はリード線11に発生する電圧を示し、横軸は左から右に経過する時間を示している。間欠的な潤滑剤の圧送流が検出部6に作用して生ずる曲げによってパルス状の電圧17が発生する。そして、潤滑剤の流れが停止すると検出部6はピエゾ素子8と補強板9の弾性力により元の状態に復元する。このとき、加えられていた曲げ歪が減少する結果、逆の極性をもつパルス状の電圧18が発生する。
【0035】
このように、間欠的な潤滑剤の流れによって正負の対になった電圧が発生し、図4に示すように、ノイズの少ない波形が得られる。従って、検出部6の長さが長ければ曲げ歪が大きくなるため大きな発生電圧が得られる。本実施の形態の給油脂状態監視センサ1においては、これらの原理に基づいて設計しているため、発生する電圧も大きく信号処理する際にも特別な増幅処理、ノイズ除去処理を必要としないレベルである。したがって、安価に処理回路を構成することが可能となる。
【0036】
また、この原理によれば流れる潤滑剤の量が多くなれば検出部6の曲げ歪は大きくなるため、発生する電圧17のピークも大きくなることがわかる。従って、電圧17が一定以上の大きさであれば十分な量の潤滑剤が供給され、逆に、電圧17が一定以下であれば供給される潤滑剤の量は不十分であると判定することができる。
【0037】
尚、本実施の形態では、検出部6にピエゾ素子8を用いているため電源を供給する必要がなく、給油脂状態監視センサ1を小型、安価とすることができる。
【0038】
図5は、本発明に係る、第2の実施の形態の給油脂状態監視センサ1の構成を示す断面図である。
第2の実施の形態の給油脂状態監視センサ1は、給油脂管に接続するT型管継手2の継手をニップル3で接続するとともに、そのニップル3の反対側に、更に別のT型管継手2を接続した構成である。そして、継ぎ足したT型管継手2の、ニップル3と接続していない他の2個所の端部にはそれぞれプラグ4を挿入し、更にセンシング素子を有する板状の検出部6を一方のプラグ4に設けた開孔からT型管継手2に挿入し、両端のプラグ4で受けて支持している。ここで、一方の端部は図5に示すように樹脂7で固めて検出部6の片端を固定するとともに、T型管継手2からの潤滑剤の漏れを防止している。
【0039】
このようにして設置された給油脂状態監視センサ1に潤滑剤が供給されたときは、図5に示す検出部6に矢印の方向に潤滑剤の流れが発生し、流れの一部は分岐され検出部6を加圧する。そうすると、検出部6はプラグ4によって両端を支持されているため、その中心付近に応力を受けて曲げられ歪を発生する。この結果、ピエゾ素子8の表裏面にそれぞれ逆の電荷が発生してリード線11の両端に電圧が発生する。
【0040】
第2の実施の形態の給油脂状態監視センサ1は、潤滑剤の給油脂配管中に設置していないため、もし給油脂状態監視センサ1が破損した場合であっても設備異常の発生を回避することができる。
【0041】
図6は、本発明に係る、第3の実施の形態の給油脂状態監視センサの構成を示す断面図である。
第3の実施の形態の給油脂状態監視センサ1は、第1の実施の形態と同様の構成であるが、検出部6にピエゾ素子8に替えて歪検出素子を用いた点が異なっている。
【0042】
図7は、検出部6の構成を示す側面から見た断面図である。
検出部6は、歪検出素子として歪ゲージ15を用い、その歪ゲージ15を補強板9に貼付し、更に全体を弾力性のある被覆材10で覆った構成である。そして、歪ゲージ15の端部に設けられた電極にはリード線11がハンダ付けなどで接続されている。
【0043】
ここで、補強板9は、所定の曲げ応力に対して歪を発生できる材料であれば良く、鉄などの金属あるいはプラスチックなどの高分子材料であっても良い。
【0044】
また、歪ゲージ15の取り付けは、補強板9の片側のみでなく、両側に貼付しても良い。さらに、ダミーゲージを用いて温度変化を補償するように構成しても良く、通常歪測定方法として公知である各種の手法を用いて構成しても良い。
【0045】
このようにして設置された給油脂状態監視センサ1に潤滑剤が供給されたときは、図6に示す矢印の方向に潤滑剤の流れが発生する。そうすると、検出部6は、樹脂7により固定された部分を支点として流れ下流方向に曲げられる。この結果、歪ゲージ15の素線が変形してその抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を図示していないホイーストンブリッジ回路により電圧の変化として検出することで歪量を測定することができる。
【0046】
図8は、給油脂状態監視センサ1の出力波形を示す図である。
縦軸は歪量を示し、横軸は左から右に経過する時間を示している。3度にわたる間欠的な潤滑剤の圧送流が検出部6に作用して生ずる曲げ歪によって、3個の山形の歪量波形19a、19b、19cが得られている。そして、潤滑剤の流れが停止すると検出部6は補強板9の弾性力により元の状態に復元する。この結果歪量は元の状態に向かって復元を始める。このように、間欠的な潤滑剤の流れによって山形の歪量波形が得られ、この波形はノイズの少ない波形となっている。
【0047】
ここで、図5の波形において山形の歪量波形が連続しているのは補強板9の弾性力により元の状態に復元するまでに時間を要するためであり、補強板9をより弾性力の高い材料に選定すればこの現象は生じない。もっとも、数時間毎に潤滑剤を供給する自動集中潤滑装置に適用する場合にはこの現象は問題とはならない。
【0048】
また、歪ゲージ15のもつ欠点として潤滑剤が温度変化した場合の零点のドリフトがあげられるが、前述の温度補償の適用あるいはハイパスフィルタを用いた信号処理によって解決を図ることが可能である。
【0049】
更に、給油脂状態監視センサ1は検出部6に歪ゲージ15を用いるだけの簡単な構造である。従って、圧力センサを適用することと比較すると、小型、安価な給油脂状態監視センサ1を得ることができる。
【0050】
図9は、本発明に係る、第4の実施の形態の給油脂状態監視センサ1の構成を示す断面図である。
第4の実施の形態の給油脂状態監視センサ1は、第2の実施の形態の給油脂状態監視センサ1と同じ構成であり、検出部6をピエゾ素子8に替えて歪ゲージ15を用いて構成した点が異なっている。
【0051】
このようにして設置された給油脂状態監視センサ1に潤滑剤が供給されたときは、図9に示す検出部6に矢印の方向に潤滑剤の流れが発生し、流れの一部は分岐され検出部6を加圧する。そうすると、検出部6はプラグ4によって両端を支持されているため、その中心付近に応力を受けて曲げられ歪を発生する。この結果、歪ゲージ15の抵抗値が変化するため、図示していないホイーストンブリッジ回路により歪量を電圧の変化として検出することができる。
【0052】
第4の実施の形態の給油脂状態監視センサ1は、潤滑剤の給油脂配管中に設置していないため、もし給油脂状態監視センサ1が破損した場合であっても設備異常の発生を回避することができる。
【0053】
続いて、以上説明した本給油脂状態監視センサ1を用いて給油脂状態を監視するための監視装置の構成について説明する。
【0054】
図10は、給油脂状態監視装置の第1の実施の形態を示す構成図である。
第1の実施の形態の給油脂状態監視装置は、給油脂状態監視センサ1にカウンタ装置25を設けたもので、給油脂状態監視センサ1のリード線11とカウンタ装置25の入力端子を接続して構成したものである。
【0055】
潤滑剤の流れが発生する度に、その流れを検出部6で検出し、給油脂された回数をカウンタ装置25によってカウントして表示する。そこで、カウンタ装置25の初期カウント数を記録しておき、ある一定時間経過した後に、該カウンタ装置25に表示されたカウント数を確認して、差し引き演算をすることにより、その一定時間内に供給される潤滑剤の供給回数を算定することができる。ここで、カウントされない場合は、潤滑剤が供給されていないかあるいは供給量が少ない場合である。従って、この算定回数を、一定時間内に供給されるべき潤滑剤の供給回数と比較することにより、潤滑剤が正常に供給されているか否かを判定することができる。
【0056】
この給油脂状態監視装置の検出部6に、ピエゾ素子8を使用した場合は、検出部6に電源供給を行う必要はなく、カウンタ装置25にのみ電源を供給すればよいので、カウンタ装置25に小型電池等を使用することにより、装置全体として小型でかつ安価な装置とすることができる。
【0057】
図11は、給油脂状態監視装置の第2の実施の形態を示す構成図である。
第2の実施の形態の給油脂状態監視装置は、給油脂状態監視センサ1にカウンタ装置25とタイマー装置26及び警報装置27を設けたものである。
【0058】
カウンタ装置25によりカウントされた潤滑剤の供給回数とタイマー装置26の時間情報により、図示していない演算装置で、所定時間内に潤滑剤が供給されたか否かを判定し、所定時間内に潤滑剤が供給されていない場合あるいは供給量が少ない場合は、警報装置27により警報する。
【0059】
第2の実施の形態の給油脂状態監視装置は比較的小型の装置で潤滑剤の供給不良を監視し警報することができる。従って、カウンタ装置25とタイマー装置26及び警報装置27を一体として構成しても良く、それぞれを分離して信号線で接続するように構成しても良い。
【0060】
また、警報装置27は、光、音などによって警報を発しても良く、電子的にデスプレイ表示するのみでなく機械的に切り替えて警報を表示するものであっても良い。
【0061】
図12は、給油脂状態監視装置の第3の実施の形態を示す構成図である。
第3の実施の形態の給油脂状態監視装置は、給油脂状態監視センサ1、カウンタ装置25、警報装置27及び分配弁変位センサ28を設けたものである。
【0062】
分配弁変位センサ28は分配弁12の作動を検出し、分配弁12が作動したタイミングを潤滑剤の給油脂タイミングとして取り込む。そして、分配弁12が作動してから所定時間内にカウンタ装置25のカウントが増加しない場合は、潤滑剤の給油脂不良と判定して警報装置27により警報する。
【0063】
第3の実施の形態の給油脂状態監視装置は、第2の実施の形態の給油脂状態監視装置のタイマー装置26に替えて分配弁変位センサ28を設け、分配弁の変位を検出して分配弁12の作動時に潤滑剤の給油脂状態を監視するものである。従って、タイマー装置26を用いるよりも早く異常を検出することができる。
【0064】
図13は、給油脂状態監視装置の第4の実施の形態を示す構成図である。
第4の実施の形態の給油脂状態監視装置は、給油脂状態監視センサ1、カウンタ装置25、警報装置27及び給油脂ポンプ起動信号29で構成される。
【0065】
給油脂ポンプ起動信号29がONしてから所定時間内にカウンタ装置25のカウントが増加しない場合は、潤滑剤の給油脂不良と判定して警報装置27により警報する。
【0066】
第4の実施の形態の給油脂状態監視装置は、第2の実施の形態の給油脂状態監視装置のタイマー装置26に替えて給油脂ポンプ起動信号29を設け、給油脂ポンプ起動信号29のONを検出して潤滑剤の給油脂状態を監視するものである。従って、タイマー装置26を用いるよりも早く異常を検出することができる。
【0067】
図14は、給油脂状態監視装置の第5の実施の形態を示す構成図である。
第5の実施の形態の給油脂状態監視装置は、第1または第2の実施の形態の給油脂状態監視装置に無線装置30とデータ収集装置31を設けたものである。
【0068】
安全上の問題などで、設備の稼動中に容易に近づくことができない設備に対しても潤滑剤の給油脂状態に関するデータを収集して監視することができる。この場合の収集されるデータは、カウンター値であっても良く、給油脂状態の判定結果であっても良い。
【0069】
図15は、給油脂状態監視装置の第6の実施の形態を示す構成図である。
第6の実施の形態の給油脂状態監視装置は、オンラインモニタリングシステムとして構成される。給油脂状態監視センサ1は、リード線11を介してカウンタ装置25及びデータ収集監視装置35と接続され、更に図示していないケーブル、無線、電話回線、LAN等を利用してパソコン36に潤滑剤の給油脂状態に関するデータを伝送する。
【0070】
この構成により、特に重要な設備に関しては、潤滑剤の給油脂状態を遠隔で常時集中監視することができる。尚、オンラインモニタリングは図15に示す形態に限定されず、第1〜第5の実施の形態と組み合わせて、データ収集監視装置35とパソコン36を備えた構成とすることができ、それぞれの実施の形態で発生するデータをデータ収集監視装置35を用いてモニタリングすることも可能である。更に、給油脂状態監視センサ1の出力信号を直接データ収集監視装置35に接続することも可能である。
【0071】
本発明に係る給油脂状態監視装置は、供給される潤滑剤の給油脂状態を、潤滑個所あるいは給油脂配管に設置した給油脂状態監視センサ1を用いて、ある一定以上の潤滑剤が供給されたか否かを監視するものである。この給油脂状態監視センサ1に必要に応じた各部品、装置を組み合わせて構成することにより、新たな機能を有する給油脂状態監視装置を構築することができる。従って、潤滑個所あるいは潤滑個所直近の給油脂状態を監視することができ、給油脂不良による初期異常を未然に防止することができ、かつ必要十分な装置構成とすることができる。
【0072】
尚、本発明に係る給油脂状態監視センサ、給油脂状態監視装置は、グリースだけでなくオイルなどの潤滑剤についても適用することができる。
【0073】
尚、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれているため、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明を抽出することができる。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、回転機械の軸受け等の潤滑個所に供給される潤滑剤の供給状態を、各潤滑個所近傍において安価に監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る、第1の実施の形態の給油脂状態監視センサの構成を示す断面図
【図2】検出部の構成を示す側面から見た断面図。
【図3】給油脂状態監視センサを給油脂回路に組込んだ構成例を示す図。
【図4】給油脂状態監視センサの出力波形を示す図。
【図5】本発明に係る、第2の実施の形態の給油脂状態監視センサの構成を示す断面図。
【図6】本発明に係る、第3の実施の形態の給油脂状態監視センサの構成を示す断面図。
【図7】検出部の構成を示す側面から見た断面図。
【図8】給油脂状態監視センサの出力波形を示す図。
【図9】本発明に係る、第4の実施の形態の給油脂状態監視センサの構成を示す断面図。
【図10】給油脂状態監視装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図11】給油脂状態監視装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図12】給油脂状態監視装置の第3の実施の形態を示す構成図。
【図13】給油脂状態監視装置の第4の実施の形態を示す構成図。
【図14】給油脂状態監視装置の第5の実施の形態を示す構成図。
【図15】給油脂状態監視装置の第6の実施の形態を示す構成図。
【符号の説明】
1…給油脂状態監視センサ
2…T型管継手
6…検出部
8…ピエゾ素子
9…補強板
10…被覆材
11…リード線
12…分配弁
13…給油脂配管
14…軸受け
15…歪ゲージ
25…カウンタ装置
26…タイマー装置
27…警報装置
28…分配弁変位センサ
29…給油脂ポンプ起動信号
30…無線装置
31…データ収集装置
35…データ収集監視装置
36…パソコン

Claims (14)

  1. 潤滑給油脂が必要となる機器に直接、または給油脂配管に設置されて、この機器への給油脂状態を感知するセンサであって、
    給油脂時の潤滑剤の流れにより曲げ変形を受ける部材と、
    曲げ変形によりこの部材に発生する歪を感知して電気信号に変換する信号変換手段と
    を備えたことを特徴とする潤滑剤の給油脂状態監視センサ。
  2. 前記部材は、前記信号変換手段を兼ねる圧電素子であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤の給油脂状態監視センサ。
  3. 前記部材は、前記信号変換手段を兼ねる圧電素子を被覆材で覆って形成されることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤の給油脂状態監視センサ。
  4. 前記部材は、前記信号変換手段を兼ねる圧電素子とこの圧電素子に当接する当接部材とを被覆材で覆って形成されることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤の給油脂状態監視センサ。
  5. 前記信号変換手段は、歪ゲージであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤の給油脂状態監視センサ。
  6. 前記部材に前記歪ゲージを配設したことを特徴とする請求項5に記載の潤滑剤の給油脂状態監視センサ。
  7. 前記部材の形状を長方形状としたことを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか1の請求項に記載の潤滑剤の給油脂状態監視センサ。
  8. 前記部材と前記信号変換手段とを、前記給油脂配管に接続するT型継手内部に配設したことを特徴とする請求項1乃至7の内いずれか1の請求項に記載の潤滑剤の給油脂状態監視センサ。
  9. 潤滑給油脂が必要となる機器に直接、または給油脂配管に接続された請求項1乃至8の内いずれか1の請求項に記載の潤滑剤の給油脂状態監視センサと、
    この給油脂状態監視センサから出力される、給油脂時の前記部材の曲げ歪の検知信号から、前記機器への給油脂回数をカウントするカウント装置と
    を備えたことを特徴とする給油脂状態監視装置。
  10. 一定期間毎に信号を発生するタイマー装置と、
    この一定期間内に前記給油脂状態監視センサが検知した給油脂回数が、予め定めた給油脂回数よりも少ない場合に警報を発生する警報装置と
    を備えたことを特徴とする請求項9に記載の給油脂状態監視装置。
  11. 前記給油脂配管の上流にある分配弁の作動を検出する検出装置と、
    この検出装置で分配弁の作動を検出した信号を給油脂信号として取り込み、この給油脂信号を検出してから所定期間内に、給油脂状態監視センサからの給油脂を示す出力がないまたは小さい場合に警報を発生する警報装置と
    を備えたことを特徴とする請求項9に記載の給油脂状態監視装置。
  12. 前記給油脂配管に潤滑剤を圧送する給油脂ポンプと、
    この給油脂ポンプの起動信号を給油脂信号として取り込み、この給油脂信号を検出してから所定期間内に、給油脂状態監視センサからの給油脂を示す出力がないまたは小さい場合に警報を発生する警報装置と
    を備えたことを特徴とする請求項9に記載の給油脂状態監視装置。
  13. 給油脂状態監視センサからの出力信号、または給油脂回数のカウント装置からの出力信号、または分配弁の作動信号、または給油脂ポンプの起動信号の少なくとも1の信号を取り込んで無線で発信する無線装置と、
    前記発信された信号を受信して収集するデータ収集装置と
    を備えたことを特徴とする請求項9乃至12の内いずれか1の請求項に記載の給油脂状態監視装置。
  14. 給油脂状態監視センサからの出力信号、または給油脂回数のカウント装置からの出力信号、または分配弁の作動信号、または給油脂ポンプの起動信号の少なくとも1の信号を収集するデータ収集装置と、
    前記収集されたデータをケーブル、または無線、または電話回線、またはLANにより伝送する伝送装置と、
    伝送されたデータを記憶、分析または評価するデータ処理装置と
    を備えたことを特徴とする請求項9乃至12の内いずれか1の請求項に記載の給油脂状態監視装置。
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