JP2005042754A - 潤滑剤の給油脂状態監視方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】潤滑給油脂が必要となる機器またはこの機器に接続された給油脂配管にセンサを取付けて、この機器への給油脂状態を監視する潤滑剤の給油脂状態監視方法であって、前記センサを給油脂時の潤滑剤の流れにより曲げ変形を受けるように設け、潤滑剤の流れによる曲げ変形により前記センサによって発生した歪を電気信号に変換し、この電気信号に基づき潤滑剤の給油脂が必要な機器への給油脂回数をカウントし、このカウントされた給油脂回数があらかじめ設定された定時間内での給油脂回数を下回った際に、給油脂状態が異常であると判定することを特徴とする潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転機械の軸受等の潤滑個所に供給される潤滑剤の給油脂状態を監視する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工場などに備えられている生産設備には回転機械が多く用いられ、軸受等にグリースなどの潤滑剤を給油脂するための自動供給装置が多数使用されている。にもかかわらず、回転機械の設備異常の主な原因の一つが軸受の潤滑不良であり、設備に潤滑剤が適正に給油脂されていることを監視することの重要性が指摘されている。
【0003】
自動供給装置を使用した場合に潤滑剤の供給状態を監視する方法として、次の2つの方法が知られている。
【0004】
その1つは、潤滑剤が一定時間間隔で供給されるときに作動する分配弁の所定時間内の作動回数をカウントして、潤滑剤の供給が適正に行われているかどうかを確認するものである。
【0005】
他の1つは、分配弁から軸受等の潤滑剤供給機械部品への供給状態を確認する方法で、各潤滑個所直近の給油脂管に取り付けた圧力センサを用いて潤滑剤の供給状態を確認するものである。この圧力センサ方式には、該圧力センサで測定した各給油脂管内の潤滑剤の圧力と予め設定した設定圧力とをコントローラで比較し、その比較結果に応じて潤滑剤の不供給、あるいは圧力センサの異常を判定して警報を発することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−164916号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、分配弁の作動回数をカウントして潤滑剤の供給状態を確認する方法では、分配弁以降の経路における潤滑剤の供給状態については知ることができないため、分配弁から軸受等までの間で発生する給油脂配管の破損、詰り等による潤滑剤の供給不良については監視することができない。
【0008】
また、圧力センサを利用する方式では、各潤滑個所直近の各給油脂配管に圧力センサを取り付け、更に該圧力センサに電源を供給する必要がある。したがって、生産工場などでの数千個所に及ぶ監視ポイントをこの圧力センサ方式で構成しようとした場合には、監視装置が大掛かりとなり、設置費用も高価なものとなってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、回転機械の軸受等の潤滑個所に供給される潤滑剤の給油脂状態を、各潤滑個所近傍において安価且つ容易に監視することのできる潤滑剤の給油脂状態監視方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明の潤滑剤の給油脂状態監視方法は以下のような特徴を有する。
【0011】
(1)潤滑給油脂が必要となる機器またはこの機器に接続された給油脂配管にセンサを取付けて、この機器への給油脂状態を監視する潤滑剤の給油脂状態監視方法であって、前記センサを給油脂時の潤滑剤の流れにより曲げ変形を受けるように設け、潤滑剤の流れによる曲げ変形により前記センサによって発生した歪を電気信号に変換し、この電気信号に基づき潤滑剤の給油脂が必要な機器への給油脂回数をカウントし、このカウントされた給油脂回数があらかじめ設定された定時間内での給油脂回数を下回った際に、給油脂状態が異常であると判定することを特徴とする潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【0012】
(2)潤滑給油脂が必要となる機器またはこの機器に接続している給油脂配管にセンサを取付けて、この機器への給油脂状態を監視する潤滑剤の給油脂状態監視方法であって、前記センサを給油脂時の潤滑剤の流れにより曲げ変形を受けるように設け、潤滑剤の流れによる曲げ変形により前記センサによって発生した歪を電気信号に変換し、この電気信号からピークホールド処理により電気信号のピーク電圧を測定し、このピ−ク電圧があらかじめ設定された範囲外となった際に、給油脂状態が異常であると判定することを特徴とする潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【0013】
(3)ピーク電圧にあらかじめ下限しきい値と上限しきい値とを設定し、ピ−ク電圧が下限しきい値未満となった際に、給油脂量減少または停止と判定し、ピ−ク電圧が上限しきい値を超えた際に、センサより下流側の詰りであると判定することを特徴とする上記(2)に記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【0014】
(4)センサには、圧電素子を用いることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【0015】
(5)センサとして圧電素子を用いる場合には、給油脂状態の監視を開始した後にセンサの静電容量を測定し、このセンサの静電容量があらかじめ設定されたしきい値よりも減少した際に、センサが異常であると判定し、該センサ異常の判定に基づいて、給油脂回数のカウントに基づいて給油脂状態が異常であると判定した場合のうちから、センサ異常に基づくものを取り除くことを特徴とする上記(1)に記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【0016】
(6)センサとして圧電素子を用いる場合には、給油脂状態の監視を開始した後にセンサの静電容量を測定し、このセンサの静電容量があらかじめ設定されたしきい値よりも減少した際に、センサが異常であると判定し、該センサ異常の判定に基づいて、ピーク電圧に基づいて給油脂状態が異常であると判定した場合のうちから、センサ異常に基づくものを取り除くことを特徴とする上記(2)または(3)に記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【0017】
(7)センサには、被覆材で覆って形成された圧電素子を用いることを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【0018】
(8)センサには、被覆材で覆って形成された圧電素子とこの圧電素子に当接する当接部材とを用いることを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【0019】
(9)センサには、歪ゲージを用いることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施に供される給油脂状態監視装置の構成を示す断面図である。
【0021】
図1に示す給油脂状態監視装置1は、給油脂管に接続するT型管継手2の継手にニップル3を接続するとともに、そのニップル3の反対側に、プラグ4を挿入したソケット5を接続し、更にセンシング素子を有する板状のセンサ6をプラグ4に設けた開孔からT型管継手2に挿入した構成である。ここで、プラグ4の上部部分は図1に示すように、樹脂7で固めてセンサ6の片端を固定するとともに、T型管継手2からの潤滑剤の漏れを防止している。
【0022】
前記ニップル3とソケット5は、センサ6の長さを調整するために設けたもので、給油脂状態監視装置1に必ずしも必要とされるものではなく、図2に示すように、直接T型管継手2上部にプラグ4を挿入し、更にそのプラグ4に設けた開口からセンサ6をT型管継手2内部に挿入し、プラグ4の上部部分を樹脂7で固めて、センサ6の片端を固定するとともに、T型管継手2からの潤滑剤の漏れを防止するように構成してもよいが、センサの感度をよくするためにはある程度の長さが必要となるため、設けることが望ましい。
【0023】
また、図3に示すように、プラグ4を挿入したニップル3をT型管継手2の継手に接続し、そのプラグ4に設けた開口からセンサ6をT型管継手2内部に挿入し、プラグ4の上部部分を樹脂7で固めて、センサ6の片端を固定するとともに、T型管継手2からの潤滑剤の漏れを防止するように構成してもよい。
【0024】
図4は、センサ6の構成を示す側面から見た断面図である。
【0025】
センサ6は、長方形状を有する角板形圧電材料であるピエゾ素子8を中心に設け、そのピエゾ素子8の表裏両面をピエゾ素子に当接する当接部材である補強板9で挟み、更に全体を弾力性のある被覆材10で覆った構成である。
【0026】
そして、ピエゾ素子8の表面と裏面に設けた端部電極には、ピエゾ素子8で発生した電荷を取り出すためのリード線11がハンダ付けなどで接続されている。このため、図2において、左右方向に曲げ応力が作用して歪が生じた場合、リード線11の両端には電圧が発生する。
【0027】
ここで、ピエゾ素子8を補強板9で挟むのは、曲げ応力によるピエゾ素子8の破損を起こしにくくするためである。補強板9としては、所定の曲げ応力に対してピエゾ素子8の破損を防止できる材料であればよく、ピエゾ素子8と絶縁されていれば鉄などの金属あるいはプラスチックなどの高分子材料であってもよい。
【0028】
さらに、補強板9は、ピエゾ素子8の両面に設けなくとも片面に設けるものであってもよい。
【0029】
また、被覆材10で全体を覆うのは、ピエゾ素子8と補強板9とを一体化して保護するとともに、もしピエゾ素子8が破損した場合であっても、潤滑剤中に破損片が混入して設備異常を発生させることのないように配慮したものである。さらに、被覆材10は、ピエゾ素子8に対する防湿、電気的絶縁を強化する働きも有しているため、センサ6の構成要素として用いることが望ましい。
【0030】
なお、上述した補強板9および被覆材10は、ピエゾ素子8の材質、使用条件などにより、一層で構成してもよく、多層で構成するものであってもよい。
【0031】
ピエゾ素子8は、圧電セラミックスや高分子圧電フィルム等が適しているが、他の圧電性物質であってもよく、その形状は、潤滑剤の流れによる曲げを受けるようにある程度の長さがあれば、棒状でも、管を半割にした樋形等どのような形状でもよいが、取り扱い易さや製造コストを勘案すると長方形状が望ましい。
【0032】
またピエゾ素子8は、板状のピエゾ素子を2枚貼合わせて、これを力Fによって屈曲させると一方の素子が伸び、他方の素子が縮むことによって両素子が共に電荷を発生するように構成されたバイモルフ型エレメントを用いるものであってもよい。さらに板状のピエゾ素子を複数枚貼合わせて構成するものであってもよい。
【0033】
なお、図1〜図3に示す給油脂状態監視装置1ではピエゾ素子8と補強板9と被覆材10とを用いてセンサ6を形成したが、この形態に限定されず、補強板9を用いずに、ピエゾ素子8と被覆材10とを用いてセンサ6を形成するものであってもよい。
【0034】
図5は、本発明の実施に供される給油脂状態監視装置の他の構成を示す断面図である。図5に示す給油脂状態監視装置1は、図1と同様の構成であるが、センサ6にピエゾ素子8に替えて歪検出素子を用いた点が異なっている。
【0035】
図6は、センサ6の構成を示す側面から見た断面図である。
【0036】
センサ6は、歪検出素子として歪ゲージ15を用い、その歪ゲージ15を補強板9に貼付し、更に全体を弾力性のある被覆材10で覆った構成である。そして、歪ゲージ15の端部に設けられた電極にはリード線11がハンダ付けなどで接続されている。
【0037】
ここで、補強板9は、歪ゲージが所定の曲げ応力に対して歪を発生できる材料であればよく、鉄などの金属あるいはプラスチックなどの高分子材料であってもよい。
【0038】
また、歪ゲージ15の取り付けは、補強板9の片側のみでなく、両側に貼付してもよい。さらに、ダミーゲージを用いて温度変化を補償するように構成してもよく、通常歪測定方法として公知である各種の手法を用いて構成してもよい。
【0039】
このようにして給油脂配管に接続された給油脂状態監視装置1に潤滑剤が供給されたときは、図5に示す矢印の方向に潤滑剤の流れが発生する。そうすると、センサ6は、樹脂7により固定された部分を支点として流れ下流方向に曲げられる。この結果、歪ゲージ15の素線が変形してその抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を図示していないホイーストンブリッジ回路により電圧の変化として検出することで歪量を測定することができる。
【0040】
上記、図1〜図3および図5に示す給油脂状態監視装置を使用して本発明法を実施する場合には、給油脂状態監視装置にカウンタ装置やパソコン等の給油脂回数を測定できる装置を設ける。
【0041】
図7は、図1〜図3および図5に示す給油脂状態監視装置1にカウンタ装置16を設けた一例を示すもので、センサ6および15と接続したリード線11とカウンタ装置16の入力端子を接続するとともに、ニップル3と結合した一体型として構成したものであり、構成は大変容易である。
【0042】
このカウンタ装置16を用いて測定した定時間当たりの給油脂回数の時間に対する変化の一例を図8に示す。
【0043】
図8は、本発明の潤滑剤の給油脂状態監視方法の一実施形態を示すグラフである。
【0044】
本実施形態では、このカウントされた給油脂回数があらかじめ設定された定時間内での給油脂回数を下回った際に、給油脂状態が異常であると判定する。
【0045】
図8の例では、あらかじめ設定された定時間内の給油脂回数は1回/2時間(5回/10時間)で、給油脂状態が40時間までは1回/2時間(5回/10時間)の正常な給油脂回数であったが、40〜50時間にかけて給油脂回数が0回/時間まで減少し、50〜60時間で再度1回/2時間の正常な給油脂回数まで増加した。40〜60時間にかけて給油脂回数が、あらかじめ設定された定時間内の給油脂回数を下回ったが、これは潤滑給油脂が必要となる本機器がライン停止によりストップしたからである。
【0046】
さらに、60〜70時間で再度1回/2時間の正常な給油脂回数を続けるが、80時間であらかじめ設定された定時間内の給油脂回数を下回ったので、給油脂状態が異常であると判定した。
【0047】
図9は、図8に示した定時間当たりの給油脂回数の時間に対する変化を給油脂回数の累積回数に変えて作成し直したグラフである。図9においても図8と同様にして潤滑剤の給油脂状態を監視できる。
【0048】
すなわち、図9においては、グラフは0〜40時間までは一定の傾き(給油脂回数/定時間)を有した直線となり、40〜50時間までの潤滑給油脂が必要となる本機器がライン停止によりストップした時には、グラフが一時水平となる。その後、50〜70時間まで再度0〜40時間までと同じ傾きを有する直線となったが、80時間から傾きが下がったので、給油脂状態が異常であると判定した。
【0049】
次に上記、図1〜図3および図5に示す給油脂状態監視装置を使用して本発明法を実施する場合には、給油脂状態監視装置にピークホールド処理ができる装置を設けたものを用いる。
【0050】
図10は、本発明の潤滑剤の給油脂状態監視方法の他の実施形態として、ピークホールド処理ができる装置を用いて測定したセンサ出力のピーク電圧の時間に対する変化の一例を示している。ピークホールド処理機能が付いているオシロスコープやその他の解析装置にセンサ出力波形を入力すれば、容易にセンサ出力のピーク電圧を得ることができる。
【0051】
本実施形態では、センサ出力波形からピークホールド処理によりセンサ出力のピーク電圧を測定し、このピ−ク電圧があらかじめ設定された範囲外となった際に、給油脂状態が異常であると判定する。
【0052】
具体的には、ピーク電圧にあらかじめ下限しきい値と上限しきい値とを設定し、ピ−ク電圧が下限しきい値未満となった際に、給油脂量減少または停止と判定し、ピ−ク電圧が上限しきい値を超えた際に、センサより下流側の詰りであると判定するとよい。
【0053】
図10の例では、あらかじめ測定された初期電圧をもとに設定されたピーク電圧の下限しきい値は0.15ボルト(以下V)であり、上限しきい値は0.4Vであった。
【0054】
ピーク電圧の下限しきい値および上限しきい値の設定の方法は、データのサンプリング周期を低く抑える場合には、ピークホールド処理にはバラツキが多少発生する可能性があると考えて設定することが好ましい。
【0055】
そこで、図10においては、給油脂状態が30時間まではピーク電圧が0.2Vの正常な給油脂状態であったが、40時間にピーク電圧が下限しきい値の0.15Vを下回って0.1Vとなったので給油脂状態が供給不足と判定した。そして、40〜60時間までピーク電圧が0.1Vの状態が続いた。70時間にピーク電圧がさらに下がり、ピーク電圧はゼロとなったので、ここで給油脂状態は供給なしと判定した。ところが、90時間には、ピーク電圧は急に立ち上がって上限しきい値の0.4Vを超え0.5Vとなったので、ここでセンサより下流側の詰りが発生したと判定した。これは、センサより下流側の詰りが発生するとセンサ部分の圧力が上昇し、ピエゾ素子または歪ゲージに大きな力が加わるためピーク電圧も高くなるからである。
【0056】
なお、ピークホールド処理を行わずに、多少の誤差を含むこともあるが、オシロスコープの画面上で目視によりピーク間電圧を測ってピーク電圧を求めることによっても容易に給油脂状態を判定することが可能である。
【0057】
例えば図11は、試験的にセンサ出力波形をそのままオシロスコープにより観察した画面出力を示したもので、図11の左より右に向かって、正常な給油脂状態と、給油脂状態が供給不足、供給なし、センサより下流側に詰りが発生と判定できる。なお、図11は各状態を5秒間づつ1秒間隔に給油脂を行う試験の結果である。
【0058】
図12(b)は、図1〜3に示すようにセンサにピエゾ素子を用いた給油脂状態監視装置のセンサ部6のみ取り出して、図12(a)に示すピエゾ素子をその先端であるA部から10mmづつ切断し、センサ切断長さが0mm(切断なし)から50mmに至るまでの静電容量を静電容量測定器を用いて実験的に測定したものである。
【0059】
図12(b)によれば、センサを全く切断しないとき(初期値)は静電容量が15300pFであったのに対して、センサをその先端から10mm切断すると静電容量が13200pFとなり、最終的に先端から50mm切断すると2900pFと大きく減少することが判った。つまり、ピエゾ素子の長さと静電容量の大きさとはほぼ比例していることが判った。
【0060】
一般にピエゾ素子を用いたセンサの異常とは、潤滑剤による曲げ応力によって、センサ固定部付近が破損することに起因する場合がほとんどであり、その際はセンサの静電容量を測定すれば大きく減少しているので、センサ固定部の破損の判定は容易となる。
【0061】
これより、本発明では給油脂状態の監視を開始した後に、上述した図8〜11に示す例により異常が発見されたならば、センサの静電容量を測定し、これがあらかじめ設定されたしきい値よりも減少した際に、センサが異常であると判定し、
給油脂回数のカウントに基づく異常判定またはピーク電圧に基づく異常判定のうちからセンサ異常に基づくものを取り除くことが可能である。図12に示す例では、センサがその先端から10mm破損する場合を考慮して、しきい値を2000pFとあらかじめ設定した。
【0062】
つまり、上述した図8〜11に示すような、本発明の潤滑剤の給油脂状態監視方法の実施形態により、給油脂状態が異常であることが判定できるが、図12に示す実験結果より、センサとして圧電素子であるピエゾ素子を用いる場合には、センサの静電容量を測定することによって、簡単に、みかけ上は給油脂状態が異常であっても、給油脂回数のカウントに基づく異常判定またはピーク電圧に基づく異常判定を補正する、すなわち、これらの異常判定のうちからセンサ異常に基づく異常を取り除くことが可能となり好ましい。
【0063】
一方、図5に示すように、センサに歪ゲージを用いた給油脂状態監視装置の場合は、歪ゲージの絶縁抵抗を測定することにより歪ゲージの断線を確認することが可能である。また、静歪測定により歪ゲージが正常であるか否かを確認することが可能である。
【0064】
なお、本発明は、軸受等にグリースなどの潤滑剤を給油脂するための自動供給装置に適用されるのみならず、手動供給装置においても適用が可能である。
【0065】
【発明の効果】
回転機械の軸受等の潤滑個所に供給される潤滑剤の給油脂状態を各潤滑個所近傍において安価かつ容易に監視することができ、早めに潤滑剤不良を発見できてトラブルを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に供される給油脂状態監視装置の構成を示す断面図
【図2】本発明の実施に供される給油脂状態監視装置の他の構成を示す断面図
【図3】本発明の実施に供される給油脂状態監視装置の他の構成を示す断面図
【図4】センサの構成を示す側面から見た断面図
【図5】本発明の実施に供される給油脂状態監視装置の他の構成を示す断面図
【図6】センサの構成を示す側面から見た断面図
【図7】図1〜図3および図5に示す給油脂状態監視装置にカウンタ装置を設けた一例を示す説明図
【図8】本発明の潤滑剤の給油脂状態監視方法の一実施形態を示すグラフで、カウンタ装置を用いて測定した定時間当たりの給油脂回数の時間に対する変化の一例を示すグラフ
【図9】給油脂回数の累積回数と時間との関係の一例を示すグラフ
【図10】本発明の潤滑剤の給油脂状態監視方法の他の実施形態を示すグラフで、ピークホールド処理ができる装置を用いて測定したセンサ出力のピーク電圧の時間に対する変化の一例を示すグラフ
【図11】ピークホールド処理を行わずに、センサ出力波形をそのままオシロスコープにより観察した画面出力を示す説明図
【図12】センサにピエゾ素子を用いた給油脂状態監視装置のセンサ部先端の折損に対する静電容量の変化を示すグラフ
【符号の説明】
1 給油脂状態監視装置
2 T型管継手
3 ニップル
4 プラグ
6 センサ
8 ピエゾ素子
9 補強板
10 被覆材
11 リード線
15 歪ゲージ
16 カウンタ装置
Claims (9)
- 潤滑給油脂が必要となる機器またはこの機器に接続された給油脂配管にセンサを取付けて、この機器への給油脂状態を監視する潤滑剤の給油脂状態監視方法であって、
前記センサを給油脂時の潤滑剤の流れにより曲げ変形を受けるように設け、潤滑剤の流れによる曲げ変形により前記センサによって発生した歪を電気信号に変換し、この電気信号に基づき潤滑剤の給油脂が必要な機器への給油脂回数をカウントし、このカウントされた給油脂回数があらかじめ設定された定時間内での給油脂回数を下回った際に、給油脂状態が異常であると判定することを特徴とする潤滑剤の給油脂状態監視方法。 - 潤滑給油脂が必要となる機器またはこの機器に接続している給油脂配管にセンサを取付けて、この機器への給油脂状態を監視する潤滑剤の給油脂状態監視方法であって、
前記センサを給油脂時の潤滑剤の流れにより曲げ変形を受けるように設け、潤滑剤の流れによる曲げ変形により前記センサによって発生した歪を電気信号に変換し、この電気信号からピークホールド処理により電気信号のピーク電圧を測定し、このピ−ク電圧があらかじめ設定された範囲外となった際に、給油脂状態が異常であると判定することを特徴とする潤滑剤の給油脂状態監視方法。 - ピーク電圧にあらかじめ下限しきい値と上限しきい値とを設定し、ピ−ク電圧が下限しきい値未満となった際に、給油脂量減少または停止と判定し、ピ−ク電圧が上限しきい値を超えた際に、センサより下流側の詰りであると判定することを特徴とする請求項2に記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
- センサには、圧電素子を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
- センサとして圧電素子を用いる場合には、給油脂状態の監視を開始した後にセンサの静電容量を測定し、このセンサの静電容量があらかじめ設定されたしきい値よりも減少した際に、センサが異常であると判定し、該センサ異常の判定に基づいて、給油脂回数のカウントに基づいて給油脂状態が異常であると判定した場合のうちから、センサ異常に基づくものを取り除くことを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
- センサとして圧電素子を用いる場合には、給油脂状態の監視を開始した後にセンサの静電容量を測定し、このセンサの静電容量があらかじめ設定されたしきい値よりも減少した際に、センサが異常であると判定し、該センサ異常の判定に基づいて、ピーク電圧に基づいて給油脂状態が異常であると判定した場合のうちから、センサ異常に基づくものを取り除くことを特徴とする請求項2または3に記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
- センサには、被覆材で覆って形成された圧電素子を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
- センサには、被覆材で覆って形成された圧電素子とこの圧電素子に当接する当接部材とを用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
- センサには、歪ゲージを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の潤滑剤の給油脂状態監視方法。
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Cited By (6)
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