JP2004043927A - コーティングされた鋼鉄製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐腐蝕性、耐久性、熱反射性、塗装性に優れた鉄鋼材料のコーテイング組成物の提供。
【解決手段】本発明においては、板やシートのような鋼鉄製品に、アルミニウム亜鉛コーティング合金によるコーティングを施す。コーティング合金融液は、微粒子化合物成分を添加されている。有効な量の微粒子化合物成分によって、コーティング製品のスパングルファセット寸法を小さくし、張力・曲げ・錆・傷特性を改善し、ブラシをかけたときの外観を改善し、塗装性を改善する。微粒子化合物成分は、ホウ化チタニウム、ホウ化アルミニウムのようなホウ化物、炭化チタニウムのような炭化物、チタニウムアルミナイドのようなアルミナイドを含む。本発明のコーティング方法によれば、塗装のためにコーティングを施した鋼鉄製品を調質圧延にかける必要がない。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明においては、板やシートのような鋼鉄製品に、アルミニウム亜鉛コーティング合金によるコーティングを施す。コーティング合金融液は、微粒子化合物成分を添加されている。有効な量の微粒子化合物成分によって、コーティング製品のスパングルファセット寸法を小さくし、張力・曲げ・錆・傷特性を改善し、ブラシをかけたときの外観を改善し、塗装性を改善する。微粒子化合物成分は、ホウ化チタニウム、ホウ化アルミニウムのようなホウ化物、炭化チタニウムのような炭化物、チタニウムアルミナイドのようなアルミナイドを含む。本発明のコーティング方法によれば、塗装のためにコーティングを施した鋼鉄製品を調質圧延にかける必要がない。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング組成、コーティングされた鋼鉄製品及びコーティング方法に関し、特にアルミニウム亜鉛コーティング組成であって、張力・曲げ・錆・傷特性を高め、塗装板の外観を良くし、スパングルファセットの寸法を小さくするために有効な量の微粒子化合物を採用したコーティング組成に関する。ここに、スパングルファセット寸法とは、切片の長さの平均値である(ASTM E112−96)。
【0002】
【従来の技術】
鋼鉄をアルミニウム主体の合金でコーティングすることは、ホットディップコーティングと呼ばれ良く知られている。コーティング用合金の一つのタイプには、BIEC International, Inc., 所有のGalvalume(ガルバルム)という登録商標が与えられ、代表的なアルミニウム亜鉛合金である。
【0003】
これらの材料は、特に壁や屋根を造るためのビルディング用材料として利点があり、耐腐食性、耐久性、熱反射性、塗装性に優れている。これらの材料は、シート上又は板上の鋼鉄製品をアルミニウム、亜鉛、シリコンからなるコーティング組成物の溶融合金のたまりを通過させることによって製造される。鋼鉄製品へのコーティング量は、ふき取りによって制御され、それから鋼鉄製品は、冷却される。鋼鉄製品に施されるコーティングの特徴は、グレインサイズ、すなわちスパングルファセットの寸法である。
【0004】
Borzillo等の米国特許第3,343,930、Willis等の米国特許第5,049,202、Maki等の米国特許第5,789,089には、これらのアルミニウム亜鉛合金でコーティングされた鋼鉄シートの製造方法が開示されている。
【0005】
Komatsu等の欧州特許出願No. 0 905270 A2には、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムを利用した他のコーティングプロセスが開示されている。この出願においては、合金要素としてのマグネシウムを含む溶液に関連した腐食の問題を解決しようとしている。さらに、マグネシウムを含有する溶液で生じる望ましくない帯状パターンは、マグネシウムを含有しない溶液では生じないことも開示されている。
【0006】
Choの米国特許第5,571,566には、アルミニウム・亜鉛・シリコン合金を使用する鋼鉄シートのコーティング方法が開示されている。この特許の目的は、より効率的なコーティング方法を提供することである。この目的は、スパングルの寸法を均一に最小化することによって、すなわちたくさんのスパングル粒子を導入してスパングルの連続的成長を制限することによって達成される。何故なら、スパングル粒子はそれぞれの成長に干渉しその結果スパングルファセットの寸法が小さくなるからである。溶解したコーティング組成物の一部としてチタニウムを用いてもこのような種効果(seed effect)が得られる。
【0007】
スパングルファセットの寸法を最小化するためにコーティング溶液中にチタニウムを使用することは、INTERZAC 94 Conference in Canadain 1994 のために提出されたChoの論文 ”コーティング溶液へのチタニウム添加によるGalvalumeスパングルファセットの寸法の最小化” にも開示されている。この論文においては、チタニウム、ボロン、クロミウムのような元素は、Galvalumeコーティングにおいて、より細かなスパングルを生成することが示されている。この論文の開示は、Choの特許の開示と一致する。
【0008】
Choによる改善にもかかわらず、現在使われているコーティングされた鋼鉄製品には欠点がある。一つの欠点は、コーティングされた鋼鉄製品を塗装するときには、その準備として製品を平坦にするために焼き戻し圧延を行う必要があるということである。もう一つの問題は、製品がシートであり曲げられたときにクラックが生じることである。このシート製品が曲げられるとき、コーティングにクラックが生じることがあり、クラックのために鋼鉄が環境に晒され、腐食が早まる。現在入手できるコーティングされた鋼鉄シートには大きなクラックができることがあり、シート製品の耐腐食性が弱まる。
【0009】
従来の技術にこのような欠点があるため、アルミニウム亜鉛コーティングされた鋼鉄製品の曲げ特性を改善し、スパングルファセットの寸法を小さくし、塗装面の外観を良くする必要がある。本発明は、この必要を解決するために、鋼鉄製品のコーティング方法、コーティング組成物、及びコーティングされた鋼鉄製品を提供する。本発明においては、コーティングされた鋼鉄製品は、曲げによって表面にクラックが生じても耐腐食性を有し、塗装のための焼き戻し圧延を必要としない。コーティング組成物は、ホウ化チタニウム、ホウ化アルミニウムのような1以上の微粒子化合物によって修飾される。
【0010】
また、たとえば、ドアキックプレート、台所のはね水よけ、キャビネット、家具等の機能的装飾的な応用等の建築への応用において、高価格のアルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料の外観を与える製品を、より低価格にする必要が長い間渇望されている。本発明は、この必要を解決するために、ブラシをかけた55%Al及びZn合金をコーティングされた鋼鉄製品を提供する。この鋼鉄製品は、ブラシをかけたステンレス鋼製品又はブラシをかけたアルミニウム製品のような外観を呈する。従来の55%Al及びZn合金をコーティングされた鋼鉄製品では、そのようなブラシをかけた金属のような外観は得られなかった。
【0011】
【発明の概要】
従って、本発明の第1の目的は、鋼鉄製品のための改良されたホットディップコーティング組成物を提供することである。
もう一つの目的は、修飾されたアルミニウム亜鉛コーティング合金を使用して鋼鉄製品をコーティングする方法を提供することである。
さらにもう一つの目的は、張力・曲げ・錆・傷及び塗装の外観が向上したコーティングされた鋼鉄製品を提供することである。
さらにもう一つの目的は、修飾されたコーティング合金組成物を採用した鋼鉄製品を提供することである。
さらにもう一つの目的は、鋼鉄製品をコーティングし塗装する方法であって、塗装前に焼き戻し圧延を必要としない方法を提供することである。
さらにもう一つの目的は、従来のブラシをかけたGalvalumeコーティングと比較して改善された外観を持つブラシをかけたAl−Zn合金を提供することである。
さらにもう一つの目的は、改善された外観を持つブラシをかけたAl−Zn合金でコーティングされた製品を提供し、より高価なブラシをかけたアルミニウムやブラシをかけたステンレススチールを代替することである。
本発明の他の目的や利点は、明細書の中で明らかになる。
【0012】
上述した目的や利点に関し、本発明は、アルミニウム亜鉛コーティング組成物を使用して鋼鉄製品にホットディップコーティングを施す技術の改良である。アルミニウム亜鉛合金は、有効な量の1以上の微粒子化合物であってチタニウム、アルミニウムの一つを有するホウ化物、チタニウム、鉄を含むアルミナイド、チタニウム、バナジウム、タングステン、鉄を含む炭化物を含むグループから選択された微粒子化合物成分によって修飾される。微粒子化合物成分は、好適には、TiC、TiB2、AlB2、AlB12、TiAl3である。
【0013】
微粒子化合物成分は、修飾ステップの一部として、たとえば、アルミニウムを主成分とする前駆合金又はマスター合金のインゴット又は溶液の一部としていろいろなやり方で準備される。マスター合金は、必要な比率でアルミニウム亜鉛溶液に加えられ、修飾成分として使用される結果、本発明に適した最終的な溶液組成に到達する。
【0014】
より具体的には、コーティング溶液の組成を修飾するには;(1)粉末としての粒子をコーティング溶液(bath)又はコーティング溶液(bath)に供給する溶融前ポットに直接添加することによる;または、(2)必要な粒子を含むインゴット、たとえば粒子を有するアルミニウムインゴット、粒子を有する亜鉛インゴットと、粒子を有する亜鉛アルミニウム合金インゴットを添加することによる。インゴットは、主たるコーティングポット又は溶融前ポットに加えてもよい;または、(3)必要な粒子を有する溶液を添加することによる。ここに、溶液は、粒子を有するアルミニウム溶液、粒子を有する亜鉛溶液、粒子を有する亜鉛アルミニウム溶液等であってもよい;または、(4)主たるポット又は溶融前ポットにおけるその場(in−situ)反応、たとえば、アルミニウム溶解物中でのチタニウムとボロンの反応、又は供給された溶解物のポット上での塩の反応による粒子の生成反応による。
【0015】
コーティング溶液中の粒子の寸法は、好適には約0.01から25マイクロメートルである。本発明によれば、コーティングされた製品のスパングルファセットの寸法は、0.05mmから2.0mmである。
【0016】
粒子成分の有効な量は、コーティングされた製品のスパングルファセットの寸法を小さくする量であり、従来のアルミニウム亜鉛コーティングされた製品より小さなクラック寸法を保ちながらクラックの数を増加させる量であり、塗装に際して焼き戻し圧延を必要としない量である。粒子成分、すなわちホウ化物、炭化物、アルミナイドの総重量は、合金溶液に対して、約0.0005から3.5%の間である。粒子組成がホウ化物であるときは、ホウ化物は、コーティング溶液に対して0.001から0.5重量%が好適である。粒子成分が炭化物であるときは、炭化物は、0.0005から0.01重量%が好適である。
【0017】
本発明は、鋼鉄製品に応用されるコーティング組成物のみならず微粒子化合物組成を含むコーティング合金によってコーティングされた鋼鉄製品をも提供する。鋼鉄製品は、好適には、建築用途の鋼鉄シート又は板である。
【0018】
【発明の好適な実施の形態】
本発明は、鋼鉄製品特に鋼鉄板製品又はシート製品をアルミニウム亜鉛合金溶液たとえばGalvalume溶液を使用してホットディップコーティングする技術を改良するものである。本発明によれば、コーティング溶液は、微粒子化合物によって修飾され、コーティングされた鋼鉄製品のスパングルファセット寸法を小さくする。粒子成分の添加によって、コーティングされた鋼鉄製品の張力・曲げ・錆・傷についても特性が向上する。張力・曲げ・錆・傷は、塗装前の圧延で形成されたビルディング用のパネルの畝に沿って走る表面の赤い錆による離散的なパターンに依存する。このパターンは、金属コーティング及び塗料のクラックによるものである。
【0019】
コーティング鋼鉄製品の表面従来のGalvalume製品よりも優れた塗装外観を呈する。このため、焼き戻し圧延を行わなくても平滑にコーティングされた鋼鉄製品を得ることができる。焼き戻し圧延のような付加的な処理をなくすことは、エネルギー消費を低減し、廃棄物をなくし、生産工程を単純化する。
【0020】
本発明の最も広い実施形態は、鋼鉄製品のコーティングのための新規な組成物、そのようなコーティングを施す方法、そのような方法で製造された製品を含む。
【0021】
アルミニウム亜鉛コーティング溶液で鋼鉄製品をコーティングする時、所望の組成の溶液を造り、鋼鉄製品をその溶液に通す処理ステップは、良く知られている。従って、この従来のコーティングを行う方法や装置についてこれ以上説明することは、本発明の理解にとって必要ではない。
【0022】
従来のアルミニウム亜鉛合金溶液の組成は、上述したBorzillo等の特許、Choの特許、Choの刊行物に開示され良く知られている。この溶液は、約55%のアルミニウム、一般的には約1.6重量%の一定のシリコン、及び残部を亜鉛とする組成である。組成についての他の変形は、本発明の範囲内であり、当業者には従来知られている。
【0023】
本発明によれば、アルミニウム亜鉛溶液は、微粒子化合物成分によって修飾され、スパングルファセット寸法を小さくし、表面仕上げを改良し、クラック寸法を小さくし、張力・曲げ・錆・傷を改善する。微粒子化合物成分は、ホウ化物、炭化物、アルミナイドである。好適には、ホウ化物は、ホウ化チタニウム(TiB2)、ホウ化アルミニウム(AlB2及びAlB12)を含む。炭化物としての微粒子化合物成分は、炭化チタニウム、炭化バナジウム、炭化タングステン、炭化鉄であってもよく、アルミナイドとしては、チタニウムアルミナイド(TiAl3)、鉄アルミナイドであってもよい。微粒子化合物成分は、チタニウム元素の有無にかかわらず、従来よりスパングルファセット寸法を有効に小さくすることができる量に設定される。この有効量は、選択する元素に依存するが、炭素、硼素、アルミナイドの量が0.0005%から3.5重量%の間である。炭素に関しては、溶液の0.005重量%から0.10重量%の間である。チタニウム濃度に関しては、ホウ化チタニウムを含むコーティング溶液のチタニウム濃度は、溶液に対して約0.001重量%から0.1重量%の間である。ホウ化物に関しては、溶液中のボロンは、0.001重量%から0.5重量%の間である。
【0024】
表1には、単一の種類の粒子の添加を仮定したときの粒子添加の広い範囲を示す。
【表1】
【0025】
たとえば、溶液100グラムに対して、TiB2粒子添加量は、0.007から3.5グラムである。
【0026】
表1の値は、粒子添加の好適な又は最適な範囲を示す:
【0027】
表2には、微粒子添加の好適な範囲又は最適な範囲を示す:
【表2】
【0028】
粒子の寸法は、約0.01から約25マイクロメートルの範囲である。ここに、粒子の寸法とは、粒子を球と近似したときの直径である。本発明の方法によって鋼鉄製品をコーティングすれば、スプラングルファセット寸法は、0.05から2.0mmの範囲になる。
【0029】
鋼鉄製品をコーティングするために修飾されたアルミニウム亜鉛合金を含む溶液は、いろいろなやり方で用意される。一つの方法は、アルミニウムのマスター合金が用意され、微粒子化合物成分によって修飾される。この溶液は、アルミニウム亜鉛合金溶液に加えられ、2つの溶液の比率が計算され、有効な微粒子化合物成分を含有した目標の溶液組成に到達する。修飾された溶液は、このタイプのコーティング溶液の従来のアルミニウム、亜鉛、シリコンの重量百分率、たとえば、55%のアルミニウム、1〜2%のシリコン、残部亜鉛という百分率のままである。何故なら、微粒子化合物成分の量は、溶液全体に対して比較的小さな重量百分率しか持たないからである。マスター合金の製造方法は、Young等の米国特許第5,415,708、米国特許第3,785,807に記載されている。
【0030】
第2に、粒子を含むマスター合金が、固体のインゴットの形で、コーティング溶液に加えられてもよい。インゴットは、主としてAl、主としてZn、又はZn,al、及び/又はSiを含む合金であって、これらにはスパングルを細かくする粒子が一緒に含まれている。
【0031】
または、微粒子化合物成分は、鋼鉄製品をコーティングするに先立って、アルミニウム亜鉛溶液に直接添加してもよい。
【0032】
溶液の修飾にホウ化アルミニウムを使用する時は、ボロン粒子はアルミニウムマスター合金に添加し、粒子が溶液に容易に取り込まれるようにし、溶液中均一に粒子が分布させる。または、適量のホウ化アルミニウムを、アルミニウム亜鉛溶液に添加してもよい。
【0033】
ホウ化チタニウムのような微粒子化合物成分を有するアルミニウムマスター合金を製造する時は、いくらか過剰にチタニウムを溶液中に入れてもよい。この過剰のチタニウムは、加えたボロンの全質量に対して0.01%から10%の範囲である。化学量論的には、チタニウム1モルとボロン2モルに対して過剰に添加するチタニウムは、0.002から4.5モルである。過剰なチタニウムは、ホウ化チタニウムの形であれ炭化チタニウムのような他のチタニウム含有化合物であれ、本発明によるスパングル微細化のために必要であるとは考えられていない
。
【0034】
コーティングのための合金溶液を用意する際に、微粒子化合物成分を粉末として溶液に導入してもよいし、微粒子化合物成分を溶液の中で形成するようにしてもよい。たとえば、ホウ化チタニウム粉末を適当な重量百分率でアルミニウム溶液の中に加えてもよい。または、チタニウム元素とボロン元素をアルミニウム溶液の中に加え、充分高い温度で加熱してホウ化チタニウムを形成するようにしてもよい。マスター合金に化合物微粒子を加える方が、エネルギー消費の点でより有効である。炭化物、アルミナイドの場合も同様である。
【0035】
ホウ化チタニウムのような微粒子化合物を添加することと比較すれば、コーティング溶液中にチタニウムとボロンが存在することだけがグレイン微細化の原因ではないと考えられる。アルミニウム鋳造においては、チタニウムとボロンをアルミニウム溶液の中に別々に添加しても、1000℃(1832°F)より低い温度では、ホウ化チタニウムが形成されないことが報告されている。そのかわり、チタニウムは、アルミニウムと反応してTiAl3粒子を形成する。コーティングは、一般的にもっと低い温度たとえば593℃(1100°F)で行われるので、元素の形でチタニウムとボロンをAl−Znコーティング溶液に添加しても、上述のような結果になる。さらに、チタニウムとボロン溶解の運動学を考えると、コーティングが行われるような低温では反応は非常に遅いであろう。かくして、溶液の中でホウ化チタニウムを形成するときは、従来の溶解パラメータを超えて本発明に使用するのに必要な粒子を得ることが必要である。
【0036】
本発明のコーティング方法においては、コーティングは、粒子成分を添加したコーティング組成を有する。コーティングされた製品は、焼き戻し圧延又はskinpassingを必要とせず、公知技術によって塗装される。
【0037】
ホウ化チタニウム、ホウ化アルミニウム、チタニウムアルミナイドをスパングル微細化因子として例示したが、炭化バナジウム、炭化タングステン炭化鉄のような炭化物、鉄アルミナイドのようなアルミナイドも本発明の範囲内である。
【0038】
本発明の予期しない効果を説明するために、アルミニウムチタニウムマスター合金を使用した鋼鉄製品とホウ化アルミニウムチタニウムマスター合金を使用した鋼鉄製品を比較する。これらのマスター合金はアルミニウム亜鉛コーティング合金に加えられ、試験用鋼鉄のためのコーティング溶液に加えられた。図1は、上述したマスター合金に基づいた2つのカーブを比較している。これらのカーブは、スパングルファセット寸法と溶液のチタニウム重量%の関係を示す。図1から明らかなように、ホウ化チタニウムを有するマスター合金は、チタニウムの添加量が小さい場合でも、スパングルファセット寸法を顕著に微細化している。たとえば、チタニウム含有量が0.02重量%において、スパングルファセット寸法は0.3mmであるが、チタニウムだけを使用したときはスパングルファセット寸法は1.4mmである。かくして、ホウ化物修飾因子は、スパングルファセット寸法を小さくするだけでなく、チタニウムの量を低減することによって製造コストを低減する。
【0039】
図2は、ホウ化チタニウムを含むマスター合金とアルミニウムとボロンのマスター合金を比較する。図2に示すように、アルミニウムとボロンのマスター合金に比べると、ホウ化チタニウム微細化因子はボロン量が約0.03重量%になるまで、スパングルファセット寸法をより小さくしている。また、図1と図2を比較すると、ホウ化アルミニウム微粒子化合物成分は、チタニウムだけの場合より、スパングルファセット寸法を小さくする効果がより大きい。
【0040】
図3は、炭化チタニウムで修飾したコーティング組成物の特性を示すグラフであるが、特性は図1に示したTiB2で修飾した場合と同様である。
【0041】
本発明に従って微粒子化合物成分を使用すると、スパングルファセット寸法を最小化するだけでなく、コーティングされた鋼鉄製品がクラックを生じることなくより厳しい曲げに耐えられるようにもなる。図4を参照すると、チタニウムだけを有するコーティング溶液と0.05重量%のホウ化チタニウムを有するコーティング溶液が比較されている。ホウ化チタニウムを使用すると、スパングルファセット寸法は1.5mmから0.1mmに減少する。コーティングされた製品を円錐曲げ試験にかける時、製品のコーティング厚をクラックが生じない半径に対してプロットした。円錐曲げ試験は、ASTM D522−93aに従って行う試験である。コーティング溶液中の微粒子化合物成分としてホウ化チタニウムを採用した組成物では、クラックを生じない半径が23%減少した。
【0042】
本発明の予期しないもう一つの効果は、鋼鉄シートの従来のアルミニウム亜鉛合金コーティングと比較すると、より小さなクラックが多数形成されることである。図5から分かるように、ホウ化チタニウム修飾アルミニウム亜鉛コーティングされた鋼鉄製品は、従来のアルミニウム亜鉛より顕著に大きい数のクラックを有する。しかし、ホウ化チタニウム修飾製品と比較すると、従来の製品のクラック面積は顕著に大きい。本発明のように、より小さいがより均一に分布したクラックによって、塗装被膜のクラックが架橋されている。従来のアルミニウム亜鉛コーティングの大きなクラッキングと比較すると、この架橋によって腐食生成物をより迅速に妨害することを用意にする。かくして、ホウ化チタニウムをコーティングした鋼鉄製品は、従来製品に比べて耐腐食性が向上する。
【0043】
図5のグラフは、コーティングされたサンプルを1/16インチの円筒状に曲げた場合の結果を示す。クラック寸法曲げた後に測定された。また、19.71平方ミリメートルの表面部分についてクラックの数と大きさが調べられた。本発明製品の最大クラック寸法は、従来製品の最大クラック寸法の半分以下(41%)であった。最悪のクラックが張力・曲げ・錆・傷に影響すると考えられるため、この挙動は、張力・曲げ・錆・傷を防止又は低減するのに有利である。
【0044】
本発明において他に重要な点は、コーティングされた鋼鉄製品の表面の品質と改善された塗装適性である。表3は、従来のアルミニウム亜鉛でコーティングされた製品とホウ化チタニウム修飾アルミニウム亜鉛合金でコーティングされた製品の多数について、プロフィール測定を行った結果である。従来製品は、表3ではGalvalumeコーティングと記載している。この表によれば、コーティングされた本発明製品の波打ち(Wca)は、そのまま又は焼き戻し圧延後コーティングされた従来のGalvalume製品より実質的に低い。ここに、波打ち(Wca)とは、とは、選択した帯域内での一つの波長において、平均線からのずれの全てを平均したものである(ASME B46.1−1995)。そのままホウ化チタニウム修飾合金でコートされたシートの平均の波打ちは、そのままコーティングされた従来のGalvalume製品より、同じ条件下で67%良好である。最小スパングルの本発明製品の波打ちは、より大きなスパングルの焼き戻し圧延製品より、50%良好である。ホウ化チタニウム修飾により最小のスパングルを持つ製品では、波打ちを低減するために焼き戻し圧延を行う必要はない。そのまま又は焼き戻し圧延後コーティングされた大きなスパングルを持つ従来製品の塗装された外観に比べて、本発明製品の塗装された外観は、より優れている。なお、表3中にRtとあるのは、平均線からの山又は谷までへの距離の最大値である(ASME B46.1−1995)。
【表3】
【0045】
図6a乃至図9cは、スパングルファセット寸法について本発明と従来技術を比較する。図6a乃至図6cは、Al−5%Ti−1%Bの形でTiB2を添加した効果を示す。従来のGalvalumeコーティングに比べて、本発明ではスパングルファセット寸法が顕著に微細化されている。同様に図8a乃至図8cは、炭化チタニウム添加の場合の、図9a乃至図9cは、ホウ化アルミニウム添加の場合の、スパングルファセット微細化を示す。最も重要なことは、図6a乃至図6cと図7a乃至図7c、特に図6cと図7cを比較すると、チタニウムだけの添加では、スパングルファセット寸法を微細化する効果が生じないということである。実際、TiB2添加に比べて、チタニウムを添加してもスプラングルファセット寸法はほんのわずかしか減少しない。
【0046】
図10を参照すると、従来のホットディップコーティングにおいて従来のGalvalumeコーティングされた製品にブラシをかけると、表面の外観は、不均一で劣悪であり、低品質のいわゆるオレンジピールを呈している。また、ブラシをかけたGalvalumeコーティング製品では、ホットディップコーティング製品に存在し得る表面の不規則性が際だつ。このように際だった不規則性によって、コーティングされた製品の表面の品質は低下する。
【0047】
図11を参照すると、本発明に従ってホットディップされ最小のスパングルを持つAl−Znコーティング製品にブラシをかけると、あたかもブラシをかけたステンレススチール、ブラシをかけたアルミニウム等のように望ましく仕上げられた表面になる。こうしてできた望ましく仕上げられた表面には、ブラシをかけた従来のGalvalumeに見られるオレンジピール又は目立った表面不規則性がない。Galvalume製品にブラシをかけると望ましくない外観が生じるという過去の経験に照らすと、この結果は、全く予期できないことである。一層驚くことは、最小のスパングルを持つ本発明製品の表面にブラシをかけると、ブラシをかけたステンレススチール、ブラシをかけたアルミニウム、又はブラシをかけた他の金属材料を代替する低価格の製品になるということである。このことは、予期しない発見であり、長年待ち望んでいたことである。
【0048】
たとえば3M Scotch Brite(登録商標)ブラシのような不織懸濁研磨ブラシによって、又はワイヤブラシのようなファイバーブラシによって、最小のスパングルを持つ本発明製品にブラシをかければ、ブラシをかけたステンレススチールやブラシをかけたアルミニウムを模した製品を造ることが見出された。図11の写真に示すように、ブラシをかけると、ブラシをかけたステンレススチールシートやブラシをかけたアルミニウムシートに似た均一で銀のような金属仕上げが得られる。最小のスパングルを持つコーティングは、55%Al、Zn、及び上述したいろいろな化合物からなり、長期の耐腐食性だけでなく、従来のコーティングされたGalvalume製品にブラシをかけても模倣することができない改善された外観も有する。上述したように、従来のコーティングされたGalvalume製品にブラシをかけても、オレンジピールが生じ、コーティングされた表面の美感を損ねるだけである。これに対して、本発明製品の表面にブラシをかければ、均一な外観を呈し、ブラシで引っ掻いたパターンが見えるに過ぎない。ブラシをかける方法を異ならせて、いろいろなブラシの引っ掻きパターンをコーティングされた表面上に選択的に作り出してもよい。以下に述べる実施例によって、最小のスパングルを持つAl−Zn合金をコーティングされた本発明製品上に、ブラシによる異なる引っ掻きパターンを造るための異なる2つの方法について説明する。
【0049】
実施例1
シート上の鋼鉄試料にホットディップコーティングを施して、本発明にいう最小スパングルを持つコーティングを形成した。ホットディップコーティング試料に3回ブラシをかけ、サテン仕上げの引っ掻きパターンを造った。試料は、3M Scotch Brite 7S SFN Clean&Finish Flap の間を、線速度約50ft/mmで送り、ブラシをかける表面に連続水流を供給した。水流は、潤滑剤、冷却材、ブラシがけによる表面からの破片を除去する洗剤として機能する。ブラシは、試料幅当たり約0.3hp/inの電力源を使用して約3600ft/mmで回転された。
【0050】
実施例2
同様に、実施例2においては、シート上の鋼鉄試料にホットディップコーティングを施して、本発明にいう最小スパングルを持つコーティングを形成した。ホットディップコーティング試料に3回ブラシをかけ、荒い仕上げの引っ掻きパターンを造った。試料は、3M Scotch Brite 7A Med Cut&Polish Flap の間を、線速度約50ft/mmで送り、ブラシをかける表面に連続水流を供給した。水流は、潤滑剤、冷却材、ブラシがけによる表面からの破片を除去する洗剤として機能する。ブラシは、試料幅当たり約0.3hp/inの電力源を使用して約3600ft/mmで回転された。
【0051】
ブラシをかけた後、実施例1と実施例2の試料の表面特性を測定した。ブラシをかけた表面に沿った波打ち(Wca)は、試料に依存して、又ブラシがけにより与えられた粗度に依存して、約20から45μin(マイクロインチ)であった。また、ブラシをかけた表面に沿った粗度(Ra)は、約24.0から34.0μinであり、ピークカウント(PC)は、70から120ppiであった。ここに、ピークとしてカウントされる基準は、ピークと谷の間の高さが50μin以上であることである(ASME B46.1−1995)。実施例1、実施例2のブラシがけ処理によって除去されたコーティング質量は、コーティング面当たり55%Al及びZn合金の5%以上ではなかった。しかし、ブラシがけ処理によって除去されるコーティング質量は、ブラシがけパラメータの最適化によって、さらに最小化され得る。また、そのようなブラシがけ処理を変更することによって、ブラシをかけた後の表面の仕上がりは:Wca=10.0〜57.0μin;Ra=20.0〜50.0μin;PC=45〜200ppiとなり、外観上許容できる。
【0052】
実施例1及び実施例2のブラシをかけた表面を、ブラシをかけた従来のGalvalumeコーティング試料と比較し、2つのグループについての波打ち測定を平均し図12に示す棒グラフを得た。表面の波打ちは、オレンジピールを定量化するために使用される方法の一つである。Galvalumeコーティング試料は、上述したのと同じブラシがけによって3回ブラシがけされた。図12からはっきり分かるように、最小スパングルを持つ本発明のシートは、従来のGalvalumeコーティング製品に比べて、ブラシをかけた表面に沿った波打ちが26%小さい。
【0053】
外観を定量化するのは困難であるが、ブラシをかけたステンレススチール試料、ブラシをかけた最小スパングル試料、ブラシをかけた従来のGalvalume試料を用意し、鉄鋼産業の専門家とホットディップコーティング分野の専門家に見せて、外観の順位を付けてもらい、たとえば冷蔵庫のような家庭用品の製造業者に好まれるのはどの試料であるかを考えてもらった。順位付けのスケールは、1から10までであり、1は不可、10は優である。専門家のランク付けを平均した結果を、図13の棒グラフに示す。ステンレススチール試料は、最も高い9.2であり、最小スパングル試料は7.2であった。従来のGalvalume試料は、最低の5.1であった。専門家の調査結果は、最小スパングルを持つ本発明のAl−Znコーティング製品にブラシをかけたものは、従来のGalvalumeコーティング製品にブラシをかけたものより、外観が改善されていることを示している。また、上述した専門家の順位付けを考慮すると、最小スパングルを持つ本発明製品にブラシをかけたものは、ブラシをかけたステンレススチールの外観に近づいており、従って、最小スパングルを持つ本発明製品にブラシをかけたものは、種々の材料の応用分野において、より高価なブラシをかけたステンレススチール製品、ブラシをかけたアルミニウム製品の低価格の代替品となると考えられる。
【0054】
以上、本発明の目的を達成する好適な実施形態に従って、新規で改善されたコーティングされた鋼鉄製品、コーティング組成物及びその製造方法について説明した。
もちろん、本発明の開示からの種々の変更、修飾、代替も、本発明の精神を逸脱することなく実施することができる。本発明は、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホットディップコーティングのための溶融添加物としてのホウ化チタニウムとチタニウムの使用を比較するグラフであって、スパングルファセット寸法とチタニウム含有量との関係を表す。
【図2】ホットディップコーティングのための溶融添加物としてのホウ化チタニウムとホウ化アルミニウムの使用を比較するグラフであって、スパングルファセット寸法とボロン含有量との関係を表す。
【図3】ホットディップコーティングのための溶融添加物としての炭化チタニウムの使用を比較するグラフであって、スパングルファセット寸法と炭素含有量との関係を表す。
【図4】チタニウム、ホウ化チタニウムで修飾したコーティング組成を比較するための曲げ試験結果を示すグラフである。
【図5】ホウ化チタニウムでコートした鋼鉄製品と従来のコーティングされた鋼鉄製品についてクラック面積とクラック数の関係を比較するグラフである。
【図6a】従来のコート製品とTiB2修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図6b】従来のコート製品とTiB2修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図6c】従来のコート製品とTiB2修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図7a】チタニウムの有無による従来のコート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図7b】チタニウムの有無による従来のコート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図7c】チタニウムの有無による従来のコート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図8a】従来のコート製品とTiC修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図8b】従来のコート製品とTiC修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図8c】従来のコート製品とTiC修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図9a】従来のコート製品とAlB2−AlB12修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図9b】従来のコート製品とAlB2−AlB12修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図9c】従来のコート製品とAlB2−AlB12修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図10】TiB2無添加の従来の55%AlとZnの合金(Galvalume)でコーティングされた製品の表面外観の写真である。
【図11】TiB2を添加した55%Al及びZnの合金(Galvalume)でコーティングされた製品の表面外観の写真である。
【図12】ブラシをかけスパングルを最小化したAl−ZnコーティングとGalvalumeコーティングを比較する棒グラフである。
【図13】ブラシをかけスパングルを最小化したAl−Znコーティング、Galvalumeコーティング、ブラシをかけたステンレススチールを比較する棒グラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング組成、コーティングされた鋼鉄製品及びコーティング方法に関し、特にアルミニウム亜鉛コーティング組成であって、張力・曲げ・錆・傷特性を高め、塗装板の外観を良くし、スパングルファセットの寸法を小さくするために有効な量の微粒子化合物を採用したコーティング組成に関する。ここに、スパングルファセット寸法とは、切片の長さの平均値である(ASTM E112−96)。
【0002】
【従来の技術】
鋼鉄をアルミニウム主体の合金でコーティングすることは、ホットディップコーティングと呼ばれ良く知られている。コーティング用合金の一つのタイプには、BIEC International, Inc., 所有のGalvalume(ガルバルム)という登録商標が与えられ、代表的なアルミニウム亜鉛合金である。
【0003】
これらの材料は、特に壁や屋根を造るためのビルディング用材料として利点があり、耐腐食性、耐久性、熱反射性、塗装性に優れている。これらの材料は、シート上又は板上の鋼鉄製品をアルミニウム、亜鉛、シリコンからなるコーティング組成物の溶融合金のたまりを通過させることによって製造される。鋼鉄製品へのコーティング量は、ふき取りによって制御され、それから鋼鉄製品は、冷却される。鋼鉄製品に施されるコーティングの特徴は、グレインサイズ、すなわちスパングルファセットの寸法である。
【0004】
Borzillo等の米国特許第3,343,930、Willis等の米国特許第5,049,202、Maki等の米国特許第5,789,089には、これらのアルミニウム亜鉛合金でコーティングされた鋼鉄シートの製造方法が開示されている。
【0005】
Komatsu等の欧州特許出願No. 0 905270 A2には、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムを利用した他のコーティングプロセスが開示されている。この出願においては、合金要素としてのマグネシウムを含む溶液に関連した腐食の問題を解決しようとしている。さらに、マグネシウムを含有する溶液で生じる望ましくない帯状パターンは、マグネシウムを含有しない溶液では生じないことも開示されている。
【0006】
Choの米国特許第5,571,566には、アルミニウム・亜鉛・シリコン合金を使用する鋼鉄シートのコーティング方法が開示されている。この特許の目的は、より効率的なコーティング方法を提供することである。この目的は、スパングルの寸法を均一に最小化することによって、すなわちたくさんのスパングル粒子を導入してスパングルの連続的成長を制限することによって達成される。何故なら、スパングル粒子はそれぞれの成長に干渉しその結果スパングルファセットの寸法が小さくなるからである。溶解したコーティング組成物の一部としてチタニウムを用いてもこのような種効果(seed effect)が得られる。
【0007】
スパングルファセットの寸法を最小化するためにコーティング溶液中にチタニウムを使用することは、INTERZAC 94 Conference in Canadain 1994 のために提出されたChoの論文 ”コーティング溶液へのチタニウム添加によるGalvalumeスパングルファセットの寸法の最小化” にも開示されている。この論文においては、チタニウム、ボロン、クロミウムのような元素は、Galvalumeコーティングにおいて、より細かなスパングルを生成することが示されている。この論文の開示は、Choの特許の開示と一致する。
【0008】
Choによる改善にもかかわらず、現在使われているコーティングされた鋼鉄製品には欠点がある。一つの欠点は、コーティングされた鋼鉄製品を塗装するときには、その準備として製品を平坦にするために焼き戻し圧延を行う必要があるということである。もう一つの問題は、製品がシートであり曲げられたときにクラックが生じることである。このシート製品が曲げられるとき、コーティングにクラックが生じることがあり、クラックのために鋼鉄が環境に晒され、腐食が早まる。現在入手できるコーティングされた鋼鉄シートには大きなクラックができることがあり、シート製品の耐腐食性が弱まる。
【0009】
従来の技術にこのような欠点があるため、アルミニウム亜鉛コーティングされた鋼鉄製品の曲げ特性を改善し、スパングルファセットの寸法を小さくし、塗装面の外観を良くする必要がある。本発明は、この必要を解決するために、鋼鉄製品のコーティング方法、コーティング組成物、及びコーティングされた鋼鉄製品を提供する。本発明においては、コーティングされた鋼鉄製品は、曲げによって表面にクラックが生じても耐腐食性を有し、塗装のための焼き戻し圧延を必要としない。コーティング組成物は、ホウ化チタニウム、ホウ化アルミニウムのような1以上の微粒子化合物によって修飾される。
【0010】
また、たとえば、ドアキックプレート、台所のはね水よけ、キャビネット、家具等の機能的装飾的な応用等の建築への応用において、高価格のアルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料の外観を与える製品を、より低価格にする必要が長い間渇望されている。本発明は、この必要を解決するために、ブラシをかけた55%Al及びZn合金をコーティングされた鋼鉄製品を提供する。この鋼鉄製品は、ブラシをかけたステンレス鋼製品又はブラシをかけたアルミニウム製品のような外観を呈する。従来の55%Al及びZn合金をコーティングされた鋼鉄製品では、そのようなブラシをかけた金属のような外観は得られなかった。
【0011】
【発明の概要】
従って、本発明の第1の目的は、鋼鉄製品のための改良されたホットディップコーティング組成物を提供することである。
もう一つの目的は、修飾されたアルミニウム亜鉛コーティング合金を使用して鋼鉄製品をコーティングする方法を提供することである。
さらにもう一つの目的は、張力・曲げ・錆・傷及び塗装の外観が向上したコーティングされた鋼鉄製品を提供することである。
さらにもう一つの目的は、修飾されたコーティング合金組成物を採用した鋼鉄製品を提供することである。
さらにもう一つの目的は、鋼鉄製品をコーティングし塗装する方法であって、塗装前に焼き戻し圧延を必要としない方法を提供することである。
さらにもう一つの目的は、従来のブラシをかけたGalvalumeコーティングと比較して改善された外観を持つブラシをかけたAl−Zn合金を提供することである。
さらにもう一つの目的は、改善された外観を持つブラシをかけたAl−Zn合金でコーティングされた製品を提供し、より高価なブラシをかけたアルミニウムやブラシをかけたステンレススチールを代替することである。
本発明の他の目的や利点は、明細書の中で明らかになる。
【0012】
上述した目的や利点に関し、本発明は、アルミニウム亜鉛コーティング組成物を使用して鋼鉄製品にホットディップコーティングを施す技術の改良である。アルミニウム亜鉛合金は、有効な量の1以上の微粒子化合物であってチタニウム、アルミニウムの一つを有するホウ化物、チタニウム、鉄を含むアルミナイド、チタニウム、バナジウム、タングステン、鉄を含む炭化物を含むグループから選択された微粒子化合物成分によって修飾される。微粒子化合物成分は、好適には、TiC、TiB2、AlB2、AlB12、TiAl3である。
【0013】
微粒子化合物成分は、修飾ステップの一部として、たとえば、アルミニウムを主成分とする前駆合金又はマスター合金のインゴット又は溶液の一部としていろいろなやり方で準備される。マスター合金は、必要な比率でアルミニウム亜鉛溶液に加えられ、修飾成分として使用される結果、本発明に適した最終的な溶液組成に到達する。
【0014】
より具体的には、コーティング溶液の組成を修飾するには;(1)粉末としての粒子をコーティング溶液(bath)又はコーティング溶液(bath)に供給する溶融前ポットに直接添加することによる;または、(2)必要な粒子を含むインゴット、たとえば粒子を有するアルミニウムインゴット、粒子を有する亜鉛インゴットと、粒子を有する亜鉛アルミニウム合金インゴットを添加することによる。インゴットは、主たるコーティングポット又は溶融前ポットに加えてもよい;または、(3)必要な粒子を有する溶液を添加することによる。ここに、溶液は、粒子を有するアルミニウム溶液、粒子を有する亜鉛溶液、粒子を有する亜鉛アルミニウム溶液等であってもよい;または、(4)主たるポット又は溶融前ポットにおけるその場(in−situ)反応、たとえば、アルミニウム溶解物中でのチタニウムとボロンの反応、又は供給された溶解物のポット上での塩の反応による粒子の生成反応による。
【0015】
コーティング溶液中の粒子の寸法は、好適には約0.01から25マイクロメートルである。本発明によれば、コーティングされた製品のスパングルファセットの寸法は、0.05mmから2.0mmである。
【0016】
粒子成分の有効な量は、コーティングされた製品のスパングルファセットの寸法を小さくする量であり、従来のアルミニウム亜鉛コーティングされた製品より小さなクラック寸法を保ちながらクラックの数を増加させる量であり、塗装に際して焼き戻し圧延を必要としない量である。粒子成分、すなわちホウ化物、炭化物、アルミナイドの総重量は、合金溶液に対して、約0.0005から3.5%の間である。粒子組成がホウ化物であるときは、ホウ化物は、コーティング溶液に対して0.001から0.5重量%が好適である。粒子成分が炭化物であるときは、炭化物は、0.0005から0.01重量%が好適である。
【0017】
本発明は、鋼鉄製品に応用されるコーティング組成物のみならず微粒子化合物組成を含むコーティング合金によってコーティングされた鋼鉄製品をも提供する。鋼鉄製品は、好適には、建築用途の鋼鉄シート又は板である。
【0018】
【発明の好適な実施の形態】
本発明は、鋼鉄製品特に鋼鉄板製品又はシート製品をアルミニウム亜鉛合金溶液たとえばGalvalume溶液を使用してホットディップコーティングする技術を改良するものである。本発明によれば、コーティング溶液は、微粒子化合物によって修飾され、コーティングされた鋼鉄製品のスパングルファセット寸法を小さくする。粒子成分の添加によって、コーティングされた鋼鉄製品の張力・曲げ・錆・傷についても特性が向上する。張力・曲げ・錆・傷は、塗装前の圧延で形成されたビルディング用のパネルの畝に沿って走る表面の赤い錆による離散的なパターンに依存する。このパターンは、金属コーティング及び塗料のクラックによるものである。
【0019】
コーティング鋼鉄製品の表面従来のGalvalume製品よりも優れた塗装外観を呈する。このため、焼き戻し圧延を行わなくても平滑にコーティングされた鋼鉄製品を得ることができる。焼き戻し圧延のような付加的な処理をなくすことは、エネルギー消費を低減し、廃棄物をなくし、生産工程を単純化する。
【0020】
本発明の最も広い実施形態は、鋼鉄製品のコーティングのための新規な組成物、そのようなコーティングを施す方法、そのような方法で製造された製品を含む。
【0021】
アルミニウム亜鉛コーティング溶液で鋼鉄製品をコーティングする時、所望の組成の溶液を造り、鋼鉄製品をその溶液に通す処理ステップは、良く知られている。従って、この従来のコーティングを行う方法や装置についてこれ以上説明することは、本発明の理解にとって必要ではない。
【0022】
従来のアルミニウム亜鉛合金溶液の組成は、上述したBorzillo等の特許、Choの特許、Choの刊行物に開示され良く知られている。この溶液は、約55%のアルミニウム、一般的には約1.6重量%の一定のシリコン、及び残部を亜鉛とする組成である。組成についての他の変形は、本発明の範囲内であり、当業者には従来知られている。
【0023】
本発明によれば、アルミニウム亜鉛溶液は、微粒子化合物成分によって修飾され、スパングルファセット寸法を小さくし、表面仕上げを改良し、クラック寸法を小さくし、張力・曲げ・錆・傷を改善する。微粒子化合物成分は、ホウ化物、炭化物、アルミナイドである。好適には、ホウ化物は、ホウ化チタニウム(TiB2)、ホウ化アルミニウム(AlB2及びAlB12)を含む。炭化物としての微粒子化合物成分は、炭化チタニウム、炭化バナジウム、炭化タングステン、炭化鉄であってもよく、アルミナイドとしては、チタニウムアルミナイド(TiAl3)、鉄アルミナイドであってもよい。微粒子化合物成分は、チタニウム元素の有無にかかわらず、従来よりスパングルファセット寸法を有効に小さくすることができる量に設定される。この有効量は、選択する元素に依存するが、炭素、硼素、アルミナイドの量が0.0005%から3.5重量%の間である。炭素に関しては、溶液の0.005重量%から0.10重量%の間である。チタニウム濃度に関しては、ホウ化チタニウムを含むコーティング溶液のチタニウム濃度は、溶液に対して約0.001重量%から0.1重量%の間である。ホウ化物に関しては、溶液中のボロンは、0.001重量%から0.5重量%の間である。
【0024】
表1には、単一の種類の粒子の添加を仮定したときの粒子添加の広い範囲を示す。
【表1】
【0025】
たとえば、溶液100グラムに対して、TiB2粒子添加量は、0.007から3.5グラムである。
【0026】
表1の値は、粒子添加の好適な又は最適な範囲を示す:
【0027】
表2には、微粒子添加の好適な範囲又は最適な範囲を示す:
【表2】
【0028】
粒子の寸法は、約0.01から約25マイクロメートルの範囲である。ここに、粒子の寸法とは、粒子を球と近似したときの直径である。本発明の方法によって鋼鉄製品をコーティングすれば、スプラングルファセット寸法は、0.05から2.0mmの範囲になる。
【0029】
鋼鉄製品をコーティングするために修飾されたアルミニウム亜鉛合金を含む溶液は、いろいろなやり方で用意される。一つの方法は、アルミニウムのマスター合金が用意され、微粒子化合物成分によって修飾される。この溶液は、アルミニウム亜鉛合金溶液に加えられ、2つの溶液の比率が計算され、有効な微粒子化合物成分を含有した目標の溶液組成に到達する。修飾された溶液は、このタイプのコーティング溶液の従来のアルミニウム、亜鉛、シリコンの重量百分率、たとえば、55%のアルミニウム、1〜2%のシリコン、残部亜鉛という百分率のままである。何故なら、微粒子化合物成分の量は、溶液全体に対して比較的小さな重量百分率しか持たないからである。マスター合金の製造方法は、Young等の米国特許第5,415,708、米国特許第3,785,807に記載されている。
【0030】
第2に、粒子を含むマスター合金が、固体のインゴットの形で、コーティング溶液に加えられてもよい。インゴットは、主としてAl、主としてZn、又はZn,al、及び/又はSiを含む合金であって、これらにはスパングルを細かくする粒子が一緒に含まれている。
【0031】
または、微粒子化合物成分は、鋼鉄製品をコーティングするに先立って、アルミニウム亜鉛溶液に直接添加してもよい。
【0032】
溶液の修飾にホウ化アルミニウムを使用する時は、ボロン粒子はアルミニウムマスター合金に添加し、粒子が溶液に容易に取り込まれるようにし、溶液中均一に粒子が分布させる。または、適量のホウ化アルミニウムを、アルミニウム亜鉛溶液に添加してもよい。
【0033】
ホウ化チタニウムのような微粒子化合物成分を有するアルミニウムマスター合金を製造する時は、いくらか過剰にチタニウムを溶液中に入れてもよい。この過剰のチタニウムは、加えたボロンの全質量に対して0.01%から10%の範囲である。化学量論的には、チタニウム1モルとボロン2モルに対して過剰に添加するチタニウムは、0.002から4.5モルである。過剰なチタニウムは、ホウ化チタニウムの形であれ炭化チタニウムのような他のチタニウム含有化合物であれ、本発明によるスパングル微細化のために必要であるとは考えられていない
。
【0034】
コーティングのための合金溶液を用意する際に、微粒子化合物成分を粉末として溶液に導入してもよいし、微粒子化合物成分を溶液の中で形成するようにしてもよい。たとえば、ホウ化チタニウム粉末を適当な重量百分率でアルミニウム溶液の中に加えてもよい。または、チタニウム元素とボロン元素をアルミニウム溶液の中に加え、充分高い温度で加熱してホウ化チタニウムを形成するようにしてもよい。マスター合金に化合物微粒子を加える方が、エネルギー消費の点でより有効である。炭化物、アルミナイドの場合も同様である。
【0035】
ホウ化チタニウムのような微粒子化合物を添加することと比較すれば、コーティング溶液中にチタニウムとボロンが存在することだけがグレイン微細化の原因ではないと考えられる。アルミニウム鋳造においては、チタニウムとボロンをアルミニウム溶液の中に別々に添加しても、1000℃(1832°F)より低い温度では、ホウ化チタニウムが形成されないことが報告されている。そのかわり、チタニウムは、アルミニウムと反応してTiAl3粒子を形成する。コーティングは、一般的にもっと低い温度たとえば593℃(1100°F)で行われるので、元素の形でチタニウムとボロンをAl−Znコーティング溶液に添加しても、上述のような結果になる。さらに、チタニウムとボロン溶解の運動学を考えると、コーティングが行われるような低温では反応は非常に遅いであろう。かくして、溶液の中でホウ化チタニウムを形成するときは、従来の溶解パラメータを超えて本発明に使用するのに必要な粒子を得ることが必要である。
【0036】
本発明のコーティング方法においては、コーティングは、粒子成分を添加したコーティング組成を有する。コーティングされた製品は、焼き戻し圧延又はskinpassingを必要とせず、公知技術によって塗装される。
【0037】
ホウ化チタニウム、ホウ化アルミニウム、チタニウムアルミナイドをスパングル微細化因子として例示したが、炭化バナジウム、炭化タングステン炭化鉄のような炭化物、鉄アルミナイドのようなアルミナイドも本発明の範囲内である。
【0038】
本発明の予期しない効果を説明するために、アルミニウムチタニウムマスター合金を使用した鋼鉄製品とホウ化アルミニウムチタニウムマスター合金を使用した鋼鉄製品を比較する。これらのマスター合金はアルミニウム亜鉛コーティング合金に加えられ、試験用鋼鉄のためのコーティング溶液に加えられた。図1は、上述したマスター合金に基づいた2つのカーブを比較している。これらのカーブは、スパングルファセット寸法と溶液のチタニウム重量%の関係を示す。図1から明らかなように、ホウ化チタニウムを有するマスター合金は、チタニウムの添加量が小さい場合でも、スパングルファセット寸法を顕著に微細化している。たとえば、チタニウム含有量が0.02重量%において、スパングルファセット寸法は0.3mmであるが、チタニウムだけを使用したときはスパングルファセット寸法は1.4mmである。かくして、ホウ化物修飾因子は、スパングルファセット寸法を小さくするだけでなく、チタニウムの量を低減することによって製造コストを低減する。
【0039】
図2は、ホウ化チタニウムを含むマスター合金とアルミニウムとボロンのマスター合金を比較する。図2に示すように、アルミニウムとボロンのマスター合金に比べると、ホウ化チタニウム微細化因子はボロン量が約0.03重量%になるまで、スパングルファセット寸法をより小さくしている。また、図1と図2を比較すると、ホウ化アルミニウム微粒子化合物成分は、チタニウムだけの場合より、スパングルファセット寸法を小さくする効果がより大きい。
【0040】
図3は、炭化チタニウムで修飾したコーティング組成物の特性を示すグラフであるが、特性は図1に示したTiB2で修飾した場合と同様である。
【0041】
本発明に従って微粒子化合物成分を使用すると、スパングルファセット寸法を最小化するだけでなく、コーティングされた鋼鉄製品がクラックを生じることなくより厳しい曲げに耐えられるようにもなる。図4を参照すると、チタニウムだけを有するコーティング溶液と0.05重量%のホウ化チタニウムを有するコーティング溶液が比較されている。ホウ化チタニウムを使用すると、スパングルファセット寸法は1.5mmから0.1mmに減少する。コーティングされた製品を円錐曲げ試験にかける時、製品のコーティング厚をクラックが生じない半径に対してプロットした。円錐曲げ試験は、ASTM D522−93aに従って行う試験である。コーティング溶液中の微粒子化合物成分としてホウ化チタニウムを採用した組成物では、クラックを生じない半径が23%減少した。
【0042】
本発明の予期しないもう一つの効果は、鋼鉄シートの従来のアルミニウム亜鉛合金コーティングと比較すると、より小さなクラックが多数形成されることである。図5から分かるように、ホウ化チタニウム修飾アルミニウム亜鉛コーティングされた鋼鉄製品は、従来のアルミニウム亜鉛より顕著に大きい数のクラックを有する。しかし、ホウ化チタニウム修飾製品と比較すると、従来の製品のクラック面積は顕著に大きい。本発明のように、より小さいがより均一に分布したクラックによって、塗装被膜のクラックが架橋されている。従来のアルミニウム亜鉛コーティングの大きなクラッキングと比較すると、この架橋によって腐食生成物をより迅速に妨害することを用意にする。かくして、ホウ化チタニウムをコーティングした鋼鉄製品は、従来製品に比べて耐腐食性が向上する。
【0043】
図5のグラフは、コーティングされたサンプルを1/16インチの円筒状に曲げた場合の結果を示す。クラック寸法曲げた後に測定された。また、19.71平方ミリメートルの表面部分についてクラックの数と大きさが調べられた。本発明製品の最大クラック寸法は、従来製品の最大クラック寸法の半分以下(41%)であった。最悪のクラックが張力・曲げ・錆・傷に影響すると考えられるため、この挙動は、張力・曲げ・錆・傷を防止又は低減するのに有利である。
【0044】
本発明において他に重要な点は、コーティングされた鋼鉄製品の表面の品質と改善された塗装適性である。表3は、従来のアルミニウム亜鉛でコーティングされた製品とホウ化チタニウム修飾アルミニウム亜鉛合金でコーティングされた製品の多数について、プロフィール測定を行った結果である。従来製品は、表3ではGalvalumeコーティングと記載している。この表によれば、コーティングされた本発明製品の波打ち(Wca)は、そのまま又は焼き戻し圧延後コーティングされた従来のGalvalume製品より実質的に低い。ここに、波打ち(Wca)とは、とは、選択した帯域内での一つの波長において、平均線からのずれの全てを平均したものである(ASME B46.1−1995)。そのままホウ化チタニウム修飾合金でコートされたシートの平均の波打ちは、そのままコーティングされた従来のGalvalume製品より、同じ条件下で67%良好である。最小スパングルの本発明製品の波打ちは、より大きなスパングルの焼き戻し圧延製品より、50%良好である。ホウ化チタニウム修飾により最小のスパングルを持つ製品では、波打ちを低減するために焼き戻し圧延を行う必要はない。そのまま又は焼き戻し圧延後コーティングされた大きなスパングルを持つ従来製品の塗装された外観に比べて、本発明製品の塗装された外観は、より優れている。なお、表3中にRtとあるのは、平均線からの山又は谷までへの距離の最大値である(ASME B46.1−1995)。
【表3】
【0045】
図6a乃至図9cは、スパングルファセット寸法について本発明と従来技術を比較する。図6a乃至図6cは、Al−5%Ti−1%Bの形でTiB2を添加した効果を示す。従来のGalvalumeコーティングに比べて、本発明ではスパングルファセット寸法が顕著に微細化されている。同様に図8a乃至図8cは、炭化チタニウム添加の場合の、図9a乃至図9cは、ホウ化アルミニウム添加の場合の、スパングルファセット微細化を示す。最も重要なことは、図6a乃至図6cと図7a乃至図7c、特に図6cと図7cを比較すると、チタニウムだけの添加では、スパングルファセット寸法を微細化する効果が生じないということである。実際、TiB2添加に比べて、チタニウムを添加してもスプラングルファセット寸法はほんのわずかしか減少しない。
【0046】
図10を参照すると、従来のホットディップコーティングにおいて従来のGalvalumeコーティングされた製品にブラシをかけると、表面の外観は、不均一で劣悪であり、低品質のいわゆるオレンジピールを呈している。また、ブラシをかけたGalvalumeコーティング製品では、ホットディップコーティング製品に存在し得る表面の不規則性が際だつ。このように際だった不規則性によって、コーティングされた製品の表面の品質は低下する。
【0047】
図11を参照すると、本発明に従ってホットディップされ最小のスパングルを持つAl−Znコーティング製品にブラシをかけると、あたかもブラシをかけたステンレススチール、ブラシをかけたアルミニウム等のように望ましく仕上げられた表面になる。こうしてできた望ましく仕上げられた表面には、ブラシをかけた従来のGalvalumeに見られるオレンジピール又は目立った表面不規則性がない。Galvalume製品にブラシをかけると望ましくない外観が生じるという過去の経験に照らすと、この結果は、全く予期できないことである。一層驚くことは、最小のスパングルを持つ本発明製品の表面にブラシをかけると、ブラシをかけたステンレススチール、ブラシをかけたアルミニウム、又はブラシをかけた他の金属材料を代替する低価格の製品になるということである。このことは、予期しない発見であり、長年待ち望んでいたことである。
【0048】
たとえば3M Scotch Brite(登録商標)ブラシのような不織懸濁研磨ブラシによって、又はワイヤブラシのようなファイバーブラシによって、最小のスパングルを持つ本発明製品にブラシをかければ、ブラシをかけたステンレススチールやブラシをかけたアルミニウムを模した製品を造ることが見出された。図11の写真に示すように、ブラシをかけると、ブラシをかけたステンレススチールシートやブラシをかけたアルミニウムシートに似た均一で銀のような金属仕上げが得られる。最小のスパングルを持つコーティングは、55%Al、Zn、及び上述したいろいろな化合物からなり、長期の耐腐食性だけでなく、従来のコーティングされたGalvalume製品にブラシをかけても模倣することができない改善された外観も有する。上述したように、従来のコーティングされたGalvalume製品にブラシをかけても、オレンジピールが生じ、コーティングされた表面の美感を損ねるだけである。これに対して、本発明製品の表面にブラシをかければ、均一な外観を呈し、ブラシで引っ掻いたパターンが見えるに過ぎない。ブラシをかける方法を異ならせて、いろいろなブラシの引っ掻きパターンをコーティングされた表面上に選択的に作り出してもよい。以下に述べる実施例によって、最小のスパングルを持つAl−Zn合金をコーティングされた本発明製品上に、ブラシによる異なる引っ掻きパターンを造るための異なる2つの方法について説明する。
【0049】
実施例1
シート上の鋼鉄試料にホットディップコーティングを施して、本発明にいう最小スパングルを持つコーティングを形成した。ホットディップコーティング試料に3回ブラシをかけ、サテン仕上げの引っ掻きパターンを造った。試料は、3M Scotch Brite 7S SFN Clean&Finish Flap の間を、線速度約50ft/mmで送り、ブラシをかける表面に連続水流を供給した。水流は、潤滑剤、冷却材、ブラシがけによる表面からの破片を除去する洗剤として機能する。ブラシは、試料幅当たり約0.3hp/inの電力源を使用して約3600ft/mmで回転された。
【0050】
実施例2
同様に、実施例2においては、シート上の鋼鉄試料にホットディップコーティングを施して、本発明にいう最小スパングルを持つコーティングを形成した。ホットディップコーティング試料に3回ブラシをかけ、荒い仕上げの引っ掻きパターンを造った。試料は、3M Scotch Brite 7A Med Cut&Polish Flap の間を、線速度約50ft/mmで送り、ブラシをかける表面に連続水流を供給した。水流は、潤滑剤、冷却材、ブラシがけによる表面からの破片を除去する洗剤として機能する。ブラシは、試料幅当たり約0.3hp/inの電力源を使用して約3600ft/mmで回転された。
【0051】
ブラシをかけた後、実施例1と実施例2の試料の表面特性を測定した。ブラシをかけた表面に沿った波打ち(Wca)は、試料に依存して、又ブラシがけにより与えられた粗度に依存して、約20から45μin(マイクロインチ)であった。また、ブラシをかけた表面に沿った粗度(Ra)は、約24.0から34.0μinであり、ピークカウント(PC)は、70から120ppiであった。ここに、ピークとしてカウントされる基準は、ピークと谷の間の高さが50μin以上であることである(ASME B46.1−1995)。実施例1、実施例2のブラシがけ処理によって除去されたコーティング質量は、コーティング面当たり55%Al及びZn合金の5%以上ではなかった。しかし、ブラシがけ処理によって除去されるコーティング質量は、ブラシがけパラメータの最適化によって、さらに最小化され得る。また、そのようなブラシがけ処理を変更することによって、ブラシをかけた後の表面の仕上がりは:Wca=10.0〜57.0μin;Ra=20.0〜50.0μin;PC=45〜200ppiとなり、外観上許容できる。
【0052】
実施例1及び実施例2のブラシをかけた表面を、ブラシをかけた従来のGalvalumeコーティング試料と比較し、2つのグループについての波打ち測定を平均し図12に示す棒グラフを得た。表面の波打ちは、オレンジピールを定量化するために使用される方法の一つである。Galvalumeコーティング試料は、上述したのと同じブラシがけによって3回ブラシがけされた。図12からはっきり分かるように、最小スパングルを持つ本発明のシートは、従来のGalvalumeコーティング製品に比べて、ブラシをかけた表面に沿った波打ちが26%小さい。
【0053】
外観を定量化するのは困難であるが、ブラシをかけたステンレススチール試料、ブラシをかけた最小スパングル試料、ブラシをかけた従来のGalvalume試料を用意し、鉄鋼産業の専門家とホットディップコーティング分野の専門家に見せて、外観の順位を付けてもらい、たとえば冷蔵庫のような家庭用品の製造業者に好まれるのはどの試料であるかを考えてもらった。順位付けのスケールは、1から10までであり、1は不可、10は優である。専門家のランク付けを平均した結果を、図13の棒グラフに示す。ステンレススチール試料は、最も高い9.2であり、最小スパングル試料は7.2であった。従来のGalvalume試料は、最低の5.1であった。専門家の調査結果は、最小スパングルを持つ本発明のAl−Znコーティング製品にブラシをかけたものは、従来のGalvalumeコーティング製品にブラシをかけたものより、外観が改善されていることを示している。また、上述した専門家の順位付けを考慮すると、最小スパングルを持つ本発明製品にブラシをかけたものは、ブラシをかけたステンレススチールの外観に近づいており、従って、最小スパングルを持つ本発明製品にブラシをかけたものは、種々の材料の応用分野において、より高価なブラシをかけたステンレススチール製品、ブラシをかけたアルミニウム製品の低価格の代替品となると考えられる。
【0054】
以上、本発明の目的を達成する好適な実施形態に従って、新規で改善されたコーティングされた鋼鉄製品、コーティング組成物及びその製造方法について説明した。
もちろん、本発明の開示からの種々の変更、修飾、代替も、本発明の精神を逸脱することなく実施することができる。本発明は、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホットディップコーティングのための溶融添加物としてのホウ化チタニウムとチタニウムの使用を比較するグラフであって、スパングルファセット寸法とチタニウム含有量との関係を表す。
【図2】ホットディップコーティングのための溶融添加物としてのホウ化チタニウムとホウ化アルミニウムの使用を比較するグラフであって、スパングルファセット寸法とボロン含有量との関係を表す。
【図3】ホットディップコーティングのための溶融添加物としての炭化チタニウムの使用を比較するグラフであって、スパングルファセット寸法と炭素含有量との関係を表す。
【図4】チタニウム、ホウ化チタニウムで修飾したコーティング組成を比較するための曲げ試験結果を示すグラフである。
【図5】ホウ化チタニウムでコートした鋼鉄製品と従来のコーティングされた鋼鉄製品についてクラック面積とクラック数の関係を比較するグラフである。
【図6a】従来のコート製品とTiB2修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図6b】従来のコート製品とTiB2修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図6c】従来のコート製品とTiB2修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図7a】チタニウムの有無による従来のコート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図7b】チタニウムの有無による従来のコート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図7c】チタニウムの有無による従来のコート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図8a】従来のコート製品とTiC修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図8b】従来のコート製品とTiC修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図8c】従来のコート製品とTiC修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図9a】従来のコート製品とAlB2−AlB12修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図9b】従来のコート製品とAlB2−AlB12修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図9c】従来のコート製品とAlB2−AlB12修飾コート製品のスパングルファセット寸法を示す顕微鏡写真である。
【図10】TiB2無添加の従来の55%AlとZnの合金(Galvalume)でコーティングされた製品の表面外観の写真である。
【図11】TiB2を添加した55%Al及びZnの合金(Galvalume)でコーティングされた製品の表面外観の写真である。
【図12】ブラシをかけスパングルを最小化したAl−ZnコーティングとGalvalumeコーティングを比較する棒グラフである。
【図13】ブラシをかけスパングルを最小化したAl−Znコーティング、Galvalumeコーティング、ブラシをかけたステンレススチールを比較する棒グラフである。
Claims (16)
- コーティングされた鋼鉄製品であって、鋼鉄基板と、前記鋼鉄基板上のコーティングであってブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングとを備え、
前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、1以上の微粒子化合物を含み、
前記微粒子化合物は、チタニウム又はアルミニウムのうち一つを有するホウ化物、チタニウム又は鉄のうち一つを有するアルミナイド、チタニウム、バナジウム、タングステンのうち一つを有する炭化物からなるグループから選択され、
前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、均一な外観を有することを特徴とするコーティングされた鋼鉄製品。 - 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、10マイクロインチ以上の波打ちを有することを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、19.0乃至57.0マイクロインチの波打ちを有することを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、20.0乃至45.0マイクロインチの波打ちを有することを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、50マイクロインチ未満の粗度を有することを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、20.0乃至50.0マイクロインチの粗度を有することを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、24.0乃至34.0マイクロインチの粗度を有することを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、200ppi未満のピークカウントを有することを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、45乃至200ppiのピークカウントを有することを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティングは、70乃至120ppiのピークカウントを有することを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記微粒子化合物は、TiC、TiB2、AlB2、AlB12、又はTiAl3であることを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記微粒子化合物の粒子寸法は、0.01乃至25マイクロメートルであることを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記微粒子化合物は、炭化物であり、
前記アルミニウム亜鉛合金の中での前記炭化物の含有量は、0.0005乃至0.01重量%であることを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。 - 前記微粒子化合物は、ホウ化物であり、
前記アルミニウム亜鉛合金の中での前記ホウ化物の含有量は、0.001乃至0.5重量%であることを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。 - アルミニウム亜鉛合金コーティングのスパングルファセット寸法は、0.05乃至2.0mmであることを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
- 前記ブラシをかけられたアルミニウム亜鉛合金コーティング上に塗装面を備えることを特徴とする請求項1記載のコーティングされた鋼鉄製品。
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