JP2004043486A - neu遺伝子産物の検出 - Google Patents
neu遺伝子産物の検出 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004043486A JP2004043486A JP2003294484A JP2003294484A JP2004043486A JP 2004043486 A JP2004043486 A JP 2004043486A JP 2003294484 A JP2003294484 A JP 2003294484A JP 2003294484 A JP2003294484 A JP 2003294484A JP 2004043486 A JP2004043486 A JP 2004043486A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- neu
- antibody
- gene product
- human
- gene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/68—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/435—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
- C07K14/705—Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
- C07K14/71—Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for growth factors; for growth regulators
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K16/00—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
- C07K16/18—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
- C07K16/32—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against translation products of oncogenes
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/68—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
- C12Q1/6876—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
- C12Q1/6883—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
- C12Q1/6886—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q2600/00—Oligonucleotides characterized by their use
- C12Q2600/158—Expression markers
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Zoology (AREA)
- Immunology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Oncology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Pathology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Public Health (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Toxicology (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Hospice & Palliative Care (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Saccharide Compounds (AREA)
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
【課題】 腫瘍細胞中のneuプロトオンコジーンまたはオンコジーンの増幅および過剰発現の検出方法を提供する。
【解決手段】 哺乳類起源のneuプロトオンコジーンまたはオンコジーン中に存在するヌクレオチド配列と特異的に反応する核酸プローブを用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 哺乳類起源のneuプロトオンコジーンまたはオンコジーン中に存在するヌクレオチド配列と特異的に反応する核酸プローブを用いる。
【選択図】 なし
Description
ヒト発癌の誘導に於て、体細胞の変異が重要な原因となつていることを示唆する証拠が増加しつつある。これらの体細胞の変異は、それまで正常であつた細胞のゲノムに蓄積し、そのうちいくつかは悪性の増殖につながる表現型を示す。このような癌遺伝子の変異は、欠失、転座、増幅及び点ヌクレオチド変化など多くの異なるタイプのDNA構造変化を含み得る。点ヌクレオチド変化は点突然変異とも言われ、そのような変異を引きおこす変異原性の化学物質による発癌に、しばしば関与している。さらに、このような変異はDNA複製に於けるミスによつて、自発的にも生じ得る。
点突然変異はヒト腫瘍の10−15%の原因に直接関与していることが示されている。これらの腫瘍は、正常な細胞のプロトオンコジーンがその遺伝子内のいくつかの場所に生じた点突然変異によつて変化した、ras遺伝子フアミリーの癌遺伝子を持つ。これらの突然変異は腫瘍細胞ゲノムの質的変化として示され、これによつて腫瘍細胞は正常細胞と区別され、又、腫瘍の遺伝的起源を診断する基礎となる。活性型癌遺伝子を生じさせた変異を同定することは、腫瘍発生の診断上及び予後の手がかりとなる。例えば、ras癌遺伝子の12番目のコドンには多くの変異が見つかつているが、これは通常あるべきグリシンが他の様々なアミノ酸残基に置換したことによる。これらのアミノ酸置換はそれぞれ等価ではない。ある置換(例えばバリン)は強いトランスフオーム活性をもつ一方、他の置換(例えばプロリン)は細胞の表現型にごく限られた影響を及ぼすのみである。このように、特定のヌクレオチド置換が腫瘍細胞のふるまいを強く決定付ける(例えば、増殖速度、侵襲性など)。以上のことから、変異癌遺伝子のDNAプローブは臨床腫瘍学に於ける診断用試薬として裏付けがある。
このようなプローブは有用ではあるが、注目している遺伝子中の、点突然変異が生じ易い領域のみが同定されている。もしこのような領域が同定されなかつた場合、限られた大きさ(例えば10−20ヌクレオチド長)のヌクレオチドプローブを用いて、優に30,000塩基対又はそれ以上の長さをもつ遺伝子全体を検索するのは実際的ではない。例えば、もし全長33,000塩基対の遺伝子を15ヌクレオチドのプローブで検索した場合、3000−5000の別個のプローブが必要である。
[発明が解決しようとする課題]
[発明が解決しようとする課題]
このように、変異癌遺伝子のDNAプローブは診断上の手段としての素質を持つてはいるが、癌遺伝子機能活性化の原因に関係した別個の変異領域が同定されている場合を除いては、有効に用いることはできない。変異による活性化の領域が決定されていなければ、点突然変異に対するDNAプローブの利用は非実用的である。
プロトオンコジーンの増幅及び(又は)過剰発現もヒト腫瘍の原因として示唆されている。プロトオンコジーンC−myc及びN−mycはそれぞれ肺及び神経芽細胞での小細胞腫で増幅されている。N−mycプロトオンコジーンは多くの第II、第III、及び第IV段階の腫瘍に於て3−300倍に増幅していることが見い出された。N−mycプロトオンコジーンの増幅は、その増幅の度合いとは必ずしも比例しない、遺伝子産物の発現増加を常に伴う。より重要なことに、一次的な、未処理の神経芽細胞中のN−myc遺伝子のコピー数は、段階にかかわらず、予後の要素として臨床上重要である。(シーガーら(Seegeret al.)、N Engl J Med.,1985;313:1111−6)ゲノム内での増幅と腫瘍の進行の早さの間には顕著な相関がある。このように、核酸ハイブリダイゼーシヨン技術を用いたプロトオンコジーンの増幅又はそのmRNA発現の検出、或いは免疫学的手法を用いた癌遺伝子産物蛋白質の過剰発現の検出は予後のための重要な価値をもつことは明白である。
[課題を解決するための手段]
[課題を解決するための手段]
この発明は細胞DNAの評価に関連し、neu遺伝子の過剰発現又はプロトオンコジーンの活性化及び癌遺伝子への変化をもたらす遺伝子の損傷或いは増幅を含む変化が生じているかを決定するものである。活性化変異を含む領域のヌクレオチド配列に特異的な核酸プローブが記述され、その利用法として、neuフアミリー癌遺伝子の存在を決定するのに用いられることが示される。さらに、neuプロトオンコジーンmRNA及び遺伝子産物の発現レベルの決定に用いることができる。neuプロトオンコジーン又はneu遺伝子産物をそれぞれ認識する核酸プローブ及びモノクローナル抗体と、それらの使用法が記述される。
点ヌクレオチド変化又は点突然変異によつて癌遺伝子に変化した、増殖因子受容体類似の蛋白質をコードするラツトneuプロトオンコジーンが決定された。この点突然変異は当初、胎盤を通じて発癌性物質(例えばエチルニトロソウレア)を作用させたラツトの神経芽細胞に見られ、そのDNAがコードするp185の膜貫通領域のアミノ酸配列に影響していることが見い出された。それは、正常蛋白質のバリンがグルタミン酸残基に置換されていた。
同様な点突然変異を検査するために用いた核酸プローブから、それぞれ別個に発生し、独立に腫瘍を生じさせた、さらに7つのneu癌遺伝子の存在が推測されたが、7つすべてのneu癌遺伝子に同じ活性化変異が存在することが証明された。これらの細胞では、同じアミノ酸置換(バリンからグルタミン酸への置換)が生じていた。さらに、neu遺伝子と相同な核酸を用いて分析を行つたところ、変異原のメチルニトロソウレアは神経系の腫瘍形成を誘導し、エチルニトロソウレアにより誘導された腫瘍と同じ位置でneu遺伝子の活性化を起こしていることが証明された。
ヒトneu遺伝子ホモログ(c−erbB2又はHER2としても知られる)は同様な機構を通じて癌遺伝子化状態になると思われる。即ち、正常な細胞のDNA塩基配列(プロトオンコジーン)の点ヌクレオチドの変化が癌遺伝子の活性化をもたらす。ラツトとヒトのneu遺伝子の塩基配列には違いがあるため、同じ変異(バリンからグルタミン酸へ)は1塩基の変化では生じない。このバリンからグルタミン酸への置換は2塩基の変化を必要とし、確率的には非常に起こりにくい。ヒトneu遺伝子のこの位置で一塩基の変化によりグルタミン酸以外のアミノ酸へ置換を起こした時の影響は、知られてはいないが、あると期待される。一方、neuプロトオンコジーンの癌遺伝子としての活性は、遺伝子の増幅又は他の要因によるneuプロトオンコジーンの過剰発現によつて活性化されるであろう。
自然に生ずるヒト腫瘍の多様なDNAに於て活性化を引き起こす変化は、ヒトneu遺伝子領域に特異的に反応し、かつラツトneu癌遺伝子に於て活性化を起こす変異を含む領域に対応するよう構築された核酸プローブを使うことによつて同定され得る。ヒト腫瘍細胞に於てプロトオンコジーンからneu癌遺伝子への変化の原因となる活性化点突然変異を同定することは、ヒト腫瘍DNAにneu癌遺伝子活性化の原因となる点突然変異が存在するか否かを検査するのに有効な核酸ハイブリダイゼーシヨンプローブを作成する基礎となり得る。これらのハイブリダイゼーシヨンプローブは細胞内でneuプロトオンコジーンやneu癌遺伝子が生じているのを検出したり、ヒト腫瘍試料での癌遺伝子活性化の概要を決定するのに用いることができる。このような核酸プローブが通常のヌクレオチドプローブ同様に記述され、それを用いて腫瘍細胞中にneu癌遺伝子が存在するか否かを検出する方法が示される。さらに、neuプロトオンコジーン又は癌遺伝子の増幅及び(或いは)過剰発現を検出するための核酸プローブも記述されている。neu癌遺伝子又はプロトオンコジーンの出現を検出するのに利用できる、neu癌遺伝子にコードされるp185蛋白質に特異的な抗体も記述されている。ヒト血清、血しよう又は尿、或いは正常な前腫瘍形成細胞又は腫瘍形成細胞のような生理溶液中でヒトneu抗原を検出するための特別な"補捉"イミユノアツセイ法が記述されている。
neu癌遺伝子は最初、胎盤を通して発癌物質エチルニトロソウレアを作用させて誘導したラツト神経芽細胞腫から単離された。活性化はプロトオンコジーンのバリンからグルタミン酸残基に置換させる1つの点突然変異である。neu癌遺伝子のヒトホモログもクローニングされ、その癌遺伝子としての能力は、2つの隣接した点突然変異が必要ではあるが、活性化したラツトの遺伝子で見い出されたのと同じ変異を生ずることによつて活性化される。さらに、ヒトの遺伝子は変異による変化が全く無い場合でも、過剰発現により癌原性を示す。このことは、変異を生じていないラツトのneu遺伝子がいかなるレベルで発現してもトランスフオーミング活性を示さないのとは著しく異なる。ヒトneu遺伝子活性化の第3の機構は、トランケーシヨンによるものである。ヒトneuプロトオンコジーンのアミノ末端が欠失した場合、トランスフオーミング活性を示す。
ヒトの腫瘍形成に於けるプロトオンコジーンの関与は十分に証明されている。プロトオンコジーンが悪性過程に寄与する機構は多様である。これらの機構には、プロトオンコジーン本来の塩基配列の変化や発現の制御も含まれる。発現制御の変化は以前から存在していた遺伝子の発現増加や、遺伝子コピー数の増加(遺伝子増幅)によつて起こり得る。関与している癌遺伝子及びその活性化の様式を決定することは、診断、予後及び療法上重要な意味をもつ。最近、ヒト胸部癌に於てneuプロトオンコジーンが増幅していることが示された。30%の胸部腫瘍で2倍から20倍以上のneuが増幅されていた。増幅したneuの存在は全体的な生存期間と病状のぶり返しの時間を予知する重要な指標となる(スレイモンら(Slamon et al.)、Science1987;235:177−182)。
突然変異による活性化
今日ではras遺伝子を除く細胞性遺伝子が点突然変異によつて癌遺伝子に変わり得ることが知られている。最近、増殖因子受容体類似の蛋白質をコードするラツトのneuプロトオンコジーンも1個のヌクレオチド変化により癌遺伝子に変化し得ることが示された。このように、neuプロトオンコジーン(すなわち、正常な非腫瘍細胞の正常なゲノムに存在するヌクレオチド配列)は、1個のヌクレオチド置換から、変異による活性化を経て、対応する癌遺伝子(すなわち、細胞内での発現によつて正常細胞から腫瘍細胞へと変化させるようなヌクレオチド配列)となることが示された。この点突然変異は当初、胎盤を通じてエチルニトロソウレアを作用させることにより誘導されたラツト神経芽細胞腫で証明されたものであるが、個別にエチルニトロソウレアを作用させることにより独立して誘導された7個の別のneuオンコジーンでも生じていることが示された。点突然変異の検出は、活性化変異を含むことが初めに示された領域に特異的な核酸プローブの利用によつた。すべてのケースで、同じアミノ酸置換が起こつており、コードされるp185蛋白質の膜貫通部に通常存在するバリンがグルタミン酸残基に置換されていた。この発見は、neuプロトオンコジーンの限られた数のサイトでのヌクレオチド置換の結果、活性型癌遺伝子を生ずることを示唆している。
今日ではras遺伝子を除く細胞性遺伝子が点突然変異によつて癌遺伝子に変わり得ることが知られている。最近、増殖因子受容体類似の蛋白質をコードするラツトのneuプロトオンコジーンも1個のヌクレオチド変化により癌遺伝子に変化し得ることが示された。このように、neuプロトオンコジーン(すなわち、正常な非腫瘍細胞の正常なゲノムに存在するヌクレオチド配列)は、1個のヌクレオチド置換から、変異による活性化を経て、対応する癌遺伝子(すなわち、細胞内での発現によつて正常細胞から腫瘍細胞へと変化させるようなヌクレオチド配列)となることが示された。この点突然変異は当初、胎盤を通じてエチルニトロソウレアを作用させることにより誘導されたラツト神経芽細胞腫で証明されたものであるが、個別にエチルニトロソウレアを作用させることにより独立して誘導された7個の別のneuオンコジーンでも生じていることが示された。点突然変異の検出は、活性化変異を含むことが初めに示された領域に特異的な核酸プローブの利用によつた。すべてのケースで、同じアミノ酸置換が起こつており、コードされるp185蛋白質の膜貫通部に通常存在するバリンがグルタミン酸残基に置換されていた。この発見は、neuプロトオンコジーンの限られた数のサイトでのヌクレオチド置換の結果、活性型癌遺伝子を生ずることを示唆している。
メチルニトロソウレアにより誘導された、10個の神経系腫瘍から調製したDNAより生じたトランスフエクタントは活性型neu遺伝子を含み、トランスフオーミング活性をもつ遺伝子に対応するオリゴヌクレオチドプローブに対するハイブリダイゼーシヨンの差から判断するとそれらはDNA中に同じ変化を持ち、エチルニトロソウレアによつて誘導された腫瘍に存在するのと同じ塩基配列の変化を持つと考えられた。このように、neu遺伝子と相似な核酸プローブはメチルニトロソウレアを作用させることによつて誘導された腫瘍中の活性型neu遺伝子の検出にも使用できることが示された。さらにこのことはどちらの変異原も同じ位置でneu遺伝子を活性化し、活性化neu遺伝子はBDIXラツト(エチルニトロソウレアで誘導した腫瘍)及びBuffalo ラツト(メチルニトロソウレアで誘導した腫瘍)の両方に生ずることが証明された。
ラツトneu遺伝子に対応するヒト遺伝子が単離され、c−erbB2又はHER2と呼ばれている。ヤマモト,T.ら(Yamamoto,T.et al.)、Nature,319:230−234(1986);コーセンス,L.ら(Coussens,L.et al.,Science,230:1132−1139(1985)ラツト及びヒトのクローンのDNA塩基配列から、いずれもneu遺伝子産物の1260アミノ酸の蛋白質が予想される。ここではヒトneu癌遺伝子と呼ぶが、ラツトneu遺伝子のヒトホモログの変異による活性化は同様な機構、即ちヒトneu遺伝子内での1つのヌクレオチド置換又は点突然変異によつて生ずるらしい。1つのヌクレオチド置換は、ラツトneu癌遺伝子に於て活性化変異を含むことが示された領域に対応するヒトneuプロトオンコジーンの領域で起きているということがかなり確実である。neu癌遺伝子に特有の領域又はそれに対応するneuプロトオンコジーンに特有な領域にそれぞれ特異的に反応する核酸プローブの利用により、多様な、自発的に生じたヒト腫瘍のDNAに活性化をもたらす損傷が存在するか否かを決定することが可能である。つまり、neu癌遺伝子又はそれに対応するプロトオンコジーンのそれぞれに(しかし、両方にではなく)生じているヌクレオチド配列と反応(ハイブリダイズ)するハイブリダイゼーシヨンプローブを作成できる。そのようなプローブはヒト腫瘍DNAに於てneu癌遺伝子を活性化する点突然変異を検査するのに用いることができる。例えば、臨床上対象としているヒト腫瘍のneu癌遺伝子活性化を検出するのに、サザンブロツトハイブリダイゼーシヨン法で放射線標識した核酸プローブを用いることができる。
増幅/過剰発現ヒトneuプロトオンコジーンの増幅は、ヒトneuプロトオンコジーンの癌遺伝子としての性質を活性化するもう一つの機構であろう。ヒトneuプロトオンコジーンの増幅は、neu遺伝子のいずれの部分由来のハイブリダイゼーシヨンプローブを用いても検出できる。これらのプローブは癌遺伝子とプロトオンコジーンを区別する必要はない。このような手法は神経芽細胞腫中でのヒトN−myc遺伝子の増幅を検出するのに有効に利用されている。いくつかの種類の腫瘍で、ヒト癌遺伝子の増幅が見い出されている。最も良く報告されているのは、神経芽細胞腫に於けるN−mycの増幅である。この遺伝子は多くの第II、第III及び第IV段階の腫瘍で3−300倍の増幅が見い出された。さらに重要なことに、一次的な、未処理の神経芽細胞腫中のN−mycコピー数は、段階とは無関係に予後の要素として臨床上重要である。(シーガーら、N.Engl.J.Med.1985;313:1111−6)ゲノムの増幅と腫瘍の進行の早さとの間には顕著な相関関係がある。遺伝子増幅を伴わないN−myc遺伝子の過剰発現も予後に同様な関係があることを示す証拠もある。癌遺伝子の増幅は、他の種々の腫瘍でも検出されている。その中には網膜芽細胞腫(N−myc)、急性前骨髄球白血病、結腸、胸部、肺及び胃の癌腫(c−myc)がその他多くのものと同様に含まれる。
neu遺伝子の増幅及び/又は過剰発現の検出はホニユウ類細胞中の癌の存在を検査するのに利用できる。増幅や過剰発現はDNA、RNA又は蛋白質レベルで測定できる。このような検査の1つの具体例は、テストされる細胞から調製した核酸(DNA又はRNA)について、neu遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な、放射線標識した核酸プローブとを結合させることである。プローブは試料に存在する相補的塩基配列のneu遺伝子とハイブリダイズする。このようなハイブリダイゼーシヨンの程度は、オートラジオグラフイーとその後の濃度計測定のような、良く知られた技術によつて測定される。対照と比較して高いレベルのハイブリダイゼーシヨンはneu遺伝子の増幅を示唆し、腫瘍の原因として示唆されてきた。このように、ハイブリダイゼーシヨンのレベルは細胞中の癌の存在を暗示する。以下に示されるneu遺伝子の1.6キロベースのEcoRI制限酵素断片は、neu遺伝子の他のどの部分とも同様に、ハイブリダイゼーシヨンプローブとして用いることができる。過剰発現の検出は、蛋白質レベルでも行われる。neu癌遺伝子にコードされるp185蛋白質はそれに対応するプロトオンコジーンにコードされる蛋白質とは異なり、このため、これらの蛋白質中の、変化した又は正常なアミノ酸配列に特異的なポリクローナル抗体やモノクローナル抗体などの血清学的試薬を開発することが可能である。これらの試薬は、変異や変化を起こした遺伝子産物を検出することにより、neu癌遺伝子が存在するか否かを高感度で検査するのに用いられ得る。血清学的試薬を用いて、免疫組織化学技術により細胞表面の、又、イミユノアツセイ技術により生理学溶液中のneu遺伝子にコードされる蛋白質を検出できる。これらの検査には、前述のアミノ酸配列又はneuがコードする産物のアミノ酸配列の一部に特異的な抗体が用いられる。免疫ペルオキシダーゼ染色法のような免疫組織化学技術により、ヒト組織標本(例えば生検試料)のneu遺伝子の発現を検査できる。或いは、免疫螢光法も用いられる。これらの検査では、neu遺伝子産物に特異的な抗体は、抗体がneu遺伝子産物に結合するのに適当な条件下で、組織試料(細胞)と接触する。好ましい抗体はneu遺伝子産物の細胞外ドメインに特異的なものである。細胞に対する結合の程度(標準的な免疫組織化学又は免疫螢光技術により決定できる)は、neu遺伝子産物の発現レベルを示唆する。
免疫学的検査法で、生理的溶液中でneu遺伝子産物を検出できる。それらはコンペテイテイブアツセイや免疫学的計量法(放射免疫計量法又は酵素計量法)による検査を含む。生理的溶液(即ち、血液、唾液)はテストするべき検体から調製する。試料中の抗体とneu遺伝子産物の複合体形成ができる条件下で、試料をneu遺伝子産物に特異的な抗体と接触させる。複合体形成(抗体/抗原反応)の程度は試料中のneu遺伝子産物の量を示唆する。抗体−抗原複合体の量は広く知られている方法によつて測定する。例えば、免疫計量法では、抗体/抗原複合体の定量に二次標識抗体が使われる。
血清や体液中のヒトneu抗原を検出する免疫計量法検査は、正常な前腫瘍形成及び腫瘍形成細胞中のものと同様に、実施例7Aから7Cに記述されている。"捕捉"免疫検査法は、実施例に詳細に記述されているように行い、概略的には、その方法に従つて行つたヒト生理溶液中のヒトneu抗原を検出するための捕捉イミユノアツセイは次のようなものを含む。
a.モノクローナル又はポリクローナルの抗neu一次抗体で固相のインキユベーシヨン混合液を用意する。
b.抗neu抗体が固相に結合するのに適した条件で混合液をインキユベーシヨンする。
c.液体試科から固相を分離し、抗neu抗体を含まない固相上のサイトを排除(即ち、ブロツキング)する。
d.抗neu抗体を含む免疫吸収剤とneu抗原を含む、ヒト生理溶液のインキユベーシヨン混合液を用意する。
e.溶液中のヒトneu抗原が免疫吸収剤と結合するのに十分な時間、適当な条件でインキユベートする。
f.液体試料から免疫吸収剤を分離する。
g.免疫吸収剤を標識した抗neuモノクローナル二次抗体とインキユベートし、h.良く知られた技法を用いて免疫吸収剤に結合したラベルの量を検出する。
a.モノクローナル又はポリクローナルの抗neu一次抗体で固相のインキユベーシヨン混合液を用意する。
b.抗neu抗体が固相に結合するのに適した条件で混合液をインキユベーシヨンする。
c.液体試科から固相を分離し、抗neu抗体を含まない固相上のサイトを排除(即ち、ブロツキング)する。
d.抗neu抗体を含む免疫吸収剤とneu抗原を含む、ヒト生理溶液のインキユベーシヨン混合液を用意する。
e.溶液中のヒトneu抗原が免疫吸収剤と結合するのに十分な時間、適当な条件でインキユベートする。
f.液体試料から免疫吸収剤を分離する。
g.免疫吸収剤を標識した抗neuモノクローナル二次抗体とインキユベートし、h.良く知られた技法を用いて免疫吸収剤に結合したラベルの量を検出する。
特に、neu抗原は実施例7に詳述される新しい捕捉イミユノアツセイにより検出できる。簡単に述べれば、生物標本からneu抗原を捕捉する目的で、ポリスチレンプレートを抗neuモノクローナル抗体又は抗neuモノクローナル抗体の化合物でコートする。一度コートした後は、捕捉抗体と結合しないサイトは緩衝液のウシ血清アルブミンでブロツクされる。neu抗原を含む又は含む疑いのある試料をインキユベートし、ビオチン標識した抗neu抗体が加えられる。ビオチンを検出するため、ストレプトアビジンホースラデイツシユペルオキシダーゼ溶液を酵素の基質と共に加え、反応産物の光学密度を測定する。neu抗原の量は試料の光学密度を、予め測定しておいた標準neu抗原の量とその光学密度との関係と比較することにより決定する。この検査法により、三重の複合体が形成され、それらは、1)抗neu一次抗体 2)neu遺伝子産物("neu抗原")及び 3)抗neu二次抗体から成る。この二次抗体は複合体形成前又は後で標識される。標識は良く知られたいずれかの方法で抗体に直接又は間接に付けられる。例えば、抗体とビオチンの複合体を形成させ得る。本発明のイミユノアツセイは一次抗体が抗neuモノクローナル抗体でも、抗neuモノクローナル抗体の混合物でも或いは抗neuポリクローナル抗体でもneu抗原を検出できる。
複合体はそれが固相に固定される以前に形成され得る。他の体系を用いれば、複合体は形成されると同時に固相に固定され得る。好ましい検査に於いては、neu遺伝子産物は、それを特異的に"捕捉"又は結合する免疫吸着剤に固定される。この免疫吸着剤はneu遺伝子産物のあるイデイオトープに特異的な抗体の付着によつて形成される。このように、ほとんどの目的で、免疫吸着剤及び標識抗体の形成に2つの異なる抗neu抗体が用いられる。
捕捉アツセイはフオワード、リバース及び同時のモードで行える。neu遺伝子産物に対するフオワード捕捉アツセイでは、抗neu抗体は固相に付けられる。テストされる液体試科は免疫吸着剤とインキユベートされる。インキユベーシヨンは液体試料中のneu遺伝子産物が、免疫吸着剤上に固定された抗neu抗体に結合するのに十分な時間行われる。この最初のインキユベーシヨンの後、固相の免疫吸着剤を試料から分離する。液体試料中に存在する可能性がある非結合抗原や非特異的結合蛋白質のような阻害物質を除去するため、免疫吸着剤を洗浄する。固定された抗体に結合した、neu抗原を含む免疫吸着剤は、続いて、標識抗neu抗体とインキユベートされ、固定化抗体−neu抗原−標識抗体の三重の複合体を形成する。インキユベーシヨンは標識抗neu抗体がneu抗原に確実に結合する時間と条件で行われる。二度目のインキユベーシヨンの後、固相の免疫吸着剤から結合していない標識を除くため、もう一度洗浄する。固相の免疫吸着剤に結合した標識抗neu抗体を測定し、検出されたラベルの量は液体試料中に存在したneu抗原の量の直接の測定結果を与える。
このサンドウイツチ型のイミユノアツセイはリバース及び同時のモードでも行うことができる。リバースモードでは、インキユベーシヨン混合液は検査される液体試料と可溶性の標識抗neu抗体から成る。混合液をインキユベートし、同じ或いは異なる抗体を持つ固相の免疫吸着剤に接触させる。さらにインキユベートした後、混合液から免疫吸着剤を分離し、液体試料中に存在したneu抗原の量を示す、免疫吸着剤に結合したラベルを測定する。同時モードでは、インキユベーシヨン混合液は測定されるneu抗原を含む液体試料と、標識抗neu抗体、及び固相の免疫吸着剤より成る。三重の複合体を形成させる適切なインキユベーシヨンの後、混合液から固相の免疫吸着剤を分離し、免疫吸着剤に結合したラベルを測定して液体試料中のneu抗原の量のデータを得る。
腫瘍の治療neu
遺伝子産物に特異的な抗体は腫瘍の治療に用いることができる。治療としては、抗体は単独で受動免疫療法に、又は免疫毒の一成分として用いることができる。受動免疫療法では、腫瘍に対抗する量のモノクローナル抗体を生理学的に適切な媒体(例えば、通常の塩水)に入れて、neu遺伝子産物を発現する腫瘍に苦しむ患者に投与する(実施例8を見よ)。例えば、neu遺伝子産物の細胞外ドメインに特異的な抗体が腫瘍の治療に用いられる。免疫毒療法では、抗体は抗癌剤やサイトトキシンと結合させて免疫毒を作る。多様な医薬、細胞毒性をもつ試薬が共有結合又は非共有結合で抗体と結合できる。便利な治療用試薬の例としては、放射性化合物(例えばホウ素やレニウムの同位元素)、アルキル化剤や抗生物質のようなDNA結合試薬(例えばダウノマイシン、アドリアマイシン、クロラムブチル)、代謝阻害剤(例えば、メトトレキサート)、及び蛋白質合成阻害剤(例えば、ジフテリア毒素、毒性植物蛋白質)などを含む。 ここに記述した治療上の利用には、neu遺伝子産物に対する抗体はキメラ抗体として設計することもできる。キメラ抗体はヒト以外(例えばマウス)の可変領域(抗原結合領域)とヒト由来の不変領域をもつ。キメラ抗体はヒト由来の部分が優勢なため、ヒト体内で免疫原性は低く、ヒトへの外来蛋白質の投与に伴う諸問題を解消し得る。
この発明は、さらに以下の実施例で説明される。
遺伝子産物に特異的な抗体は腫瘍の治療に用いることができる。治療としては、抗体は単独で受動免疫療法に、又は免疫毒の一成分として用いることができる。受動免疫療法では、腫瘍に対抗する量のモノクローナル抗体を生理学的に適切な媒体(例えば、通常の塩水)に入れて、neu遺伝子産物を発現する腫瘍に苦しむ患者に投与する(実施例8を見よ)。例えば、neu遺伝子産物の細胞外ドメインに特異的な抗体が腫瘍の治療に用いられる。免疫毒療法では、抗体は抗癌剤やサイトトキシンと結合させて免疫毒を作る。多様な医薬、細胞毒性をもつ試薬が共有結合又は非共有結合で抗体と結合できる。便利な治療用試薬の例としては、放射性化合物(例えばホウ素やレニウムの同位元素)、アルキル化剤や抗生物質のようなDNA結合試薬(例えばダウノマイシン、アドリアマイシン、クロラムブチル)、代謝阻害剤(例えば、メトトレキサート)、及び蛋白質合成阻害剤(例えば、ジフテリア毒素、毒性植物蛋白質)などを含む。 ここに記述した治療上の利用には、neu遺伝子産物に対する抗体はキメラ抗体として設計することもできる。キメラ抗体はヒト以外(例えばマウス)の可変領域(抗原結合領域)とヒト由来の不変領域をもつ。キメラ抗体はヒト由来の部分が優勢なため、ヒト体内で免疫原性は低く、ヒトへの外来蛋白質の投与に伴う諸問題を解消し得る。
この発明は、さらに以下の実施例で説明される。
実 施 例 1:neu cDNAクローンとneu遺伝子産物の単離
A.neu遺伝子族
周産期のBDIXラツトに、アルキル化剤であるエチルニトロソウレアを1回投与する事により神経外胚葉性腫瘍が高い効率で生起される。ラジユースキー,M.F.ら、Origins of Human Cancer,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー,709−726(1977);ラジユースキー,M.F.,Recent Results in Cancer Research 84:63−76(1983)。妊娠15日後に胎盤経由で変異処理を行うか、誕生後10日間にわたつてエチルニトロソウレアを直接注射した動物の95%は、投与量および株ごとの潜伏期を経た後、中枢および末梢神経系の腫瘍を誘起するだろう。これらの腫瘍由来のこれらの腫瘍および細胞系列は、広範な種類の神経細胞およびグリア細胞タイプの特徴を示す。シユバート,D.,Nature,294:224−227(1974)。この細胞タイプの、独立に由来した4つの腫瘍細胞系列から単離したDNAはNIH3T3フオーカス形成アツセイにおいて検出され得る活性化されたガン遺伝子を含んでいる。このアツセイで検出されるガン遺伝子の大部分は、ras遺伝子に密接に関連した3つのうちのひとつが、遺伝的に変化したものである事が示されている(バーマス,1984)。しかし、これらの神経/グリア芽腫由来の遺伝子はras遺伝子に関連しておらず、neuと呼ばれている。neuは、はじめ、トランスフエクトした細胞表面に示される185000Daの腫瘍抗原p185との結合より、特異な遺伝子である事が認められた。neuは、上皮成長因子(EGF)受容体をコードする。earB遺伝子のDNA配列に関連しており、EGF受容体に対する抗血清がp185といくらかの交差反応性を示す。しかし、詳細な分析により、neuは、earBに対してごく限られた相同性しかもつておらず、この2つの遺伝子が異なる染色体上に位置する事が示されている。シエクター,A.L.ら、Science,229:976−978(1985)。したがつて、neu遺伝子は、EGF受容体をコードする遺伝子に関連しているが、異なるものである。neuガン遺伝子のcDNAクローンは、この遺伝子によりトランスフオームされた細胞系列から単離した。バーグマン,C.I.ら、Nature,319:226−230(1986)。ヒトのこれと同じ遺伝子も単離されており、c−erbBあるいはHER2など、様々に呼ばれている。これらラツトおよびヒトクローンのDNA配列は、neu遺伝子のタンパク質産物が1260アミノ酸からなることを推定し、これは、EGF受容体で推定されるアミノ酸配列に対し並列的であり、50%同一である。EGF受容体からの類推により、neu産物は、650アミノ酸のシステインが豊富な細胞外領域および、膜貫通ドメイン、チロシンキナーゼドメイン部分を含む580アミノ酸の細胞内領域からなる膜貫通タンパク質と考えられる。p185タンパク質に関する生化学的研究はこの結論を支持している。p185は、グリコシル化されており、無傷の細胞においても抗血清と反応する事ができ、これは、このタンパク質が細胞表面に局在する事に合致する。また、このタンパク質は、関連するチロシン特異的タンパク質リン酸化活性を有している。しかし、p185はEGFを結合せず、そのため未同定の成長因子に対する受容体ではないかと考えられる。
B. ラツトneu遺伝子の正常型およびトランスフオーム型アリルクローンの単離
ラツトneu遺伝子の正常型およびトランスフオーム型アリルの、生物学的に活性のあるゲノムクローンが最近単離された。ハングM.−C,ら、Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.,83:261−264(1986)。これらのクローンの構造的比較からは、大幅な組換えが起きたという証拠は一切示されず、このことは、わずかな遺伝的改変がneuガン遺伝子の活性化の原因である事を示唆している。正常型アリルを含むトランスフオームされていない細胞および、変異型アリルを含むトランスフオームされた細胞系列において発現されたp185の 相対的 レベルが示され、これは、neuの活性化の原因となる改変は、この遺伝子の発現の調節を失わせないことを示唆するものである。この結果はトランスフオームの原因がコードされているp185タンパク質内にあり、それはこの遺伝子のcDNAにおいて示されるであろう。
C. 正常型neu遺伝子のcDNAクローンとトランスフオーム型cDNAクローンの比較
neu遺伝子の活性化の原因となる改変の効果を調べるために、すでに単離されていたトランスフオーム型c DNAクローン、エチルニトロソウレアにより誘導された3種の異なる活性型neu遺伝子由来のDNA、およびneu正常型アリルのcDNAクローンの比較が行われた。
正常型neu cDNAクローンの単離
まず、正常型neu cDNAクローンを単離することが必要とされた。そのために、細胞系列DHFR G8由来のRNAを用いてcDNAを構築した。ハングM.−C,ら、Proceedings of the National Academy ofSciences,U.S.A.,83:261−264(1986)。DHFR細胞系列は、ラツトのBDIX株由来の完全な正常型neu遺伝子を含むゲノムコスミドクローンを、NIH 3T3細胞にトランスフエクトすることにより作成された。これらの細胞は、トランスフエクトした遺伝子から高レベルのneu遺伝子産物であるp185と高レベルのneuRNAを発現する。cDNAクローンはS1スナツプバツク法で、ターミナル・トランスフエラーゼを用いてdCTPによりテイリングし、dGテイルをもつたpBR322のPstI部位に挿入することにより作成された。neuプローブと反応する30個の組換え体プラスミドが単離された。これらのプラスミドクローンは、制限酵素地図により、活性型neuガン遺伝子の全長cDNAクローンと比較された。これらの正常型cDNAクローンは、すでに同定されているトランスフオーム型cDNAクローンと共通の配列をもつているが、どれもneuの全コード領域を含んではいなかつた。しかし、neuの全コード領域を含むクローンは、ユニークなNaeI部位を共通にもつ、部分的に重複した2つのクローンをin vitroで組換えることにより構築された。これにより生じたクローンの5′末端について、neuがコードするp185タンパク質に対する開始コドンの存在を調べるためにその配列を決定した。第1図に示されるように、この正常型neuクローンをpSV2発現ベクターに挿入してpSV2neuNを作成した。マリガン,R.C.ら、Nature,277:108−114(1979)B104−1−1細胞系列由来のトランスフオーム型neucDNAクローンは、活性型ラツトneu遺伝子の2次トランスフエクタントであるが、これをpSV2に挿入してpSV2neuTと呼ばれるプラスミドを構築した(第1図)。pSV2neuTは、NIH3T3細胞あるいはRat1繊維芽細胞におけるフオーカス形成アツセイにおいて高い活性を示した。このアツセイは、トランスフエクシヨンによつて細胞に導入されたDNA分子が、単層で生育しているこれらの細胞をトランスフオームした状態に転換し、その子孫が、細胞単層上に形態的にトランスフオームした細胞の集塊あるいはフオーカスを形成せしむ能力を測定するものである。しかし、同様にpSV2ベクターに挿入された正常型neu cDNAを同一の条件でNIH 3T3細胞にトランスフエクトした場合、フオーカスはいつさい観察されなかつた。
トランスフオーム型細胞および非トランスフオーム型細胞による、p185産生の比較。
pSV2neuNおよびpSV2neuT プラスミドを含む細胞系列は、pSV2neo(以下、neo−rマーカーと呼ぶ)とのコトランスフエクシヨンおよびG418の選択により単離された。サザン,P.J.とP.バーグ,Journal of Molecular and Applied Genetics, 1:327−341(1982)。pSV2neuTを発現している細胞系列は、形態的にトランスフオームし、レフラクタイルになる;pSV2neuNを含む細胞系列は、形態的には偏平で非トランスフオーム型である。これらの細胞系列を32P正リン酸により代謝的に標識し、その細胞破砕液をラツトneu遺伝子産物を特異的に沈澱させるモノクローナル抗体とともにインキユベーシヨンした。第2B図のレーンc,dおよびiに示されているように、標識されたp185のレベルは、トランスフオーム型細胞と非トランスフオーム型細胞とで同等であつた。この結果は、neuは発現の非調節化というよりはむしろ、コード領域における突然変異によつて活性化されることを示唆する初期の研究と合致するものである。ハングM.−C,ら、Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.,83:261−264(1986)。
A.neu遺伝子族
周産期のBDIXラツトに、アルキル化剤であるエチルニトロソウレアを1回投与する事により神経外胚葉性腫瘍が高い効率で生起される。ラジユースキー,M.F.ら、Origins of Human Cancer,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー,709−726(1977);ラジユースキー,M.F.,Recent Results in Cancer Research 84:63−76(1983)。妊娠15日後に胎盤経由で変異処理を行うか、誕生後10日間にわたつてエチルニトロソウレアを直接注射した動物の95%は、投与量および株ごとの潜伏期を経た後、中枢および末梢神経系の腫瘍を誘起するだろう。これらの腫瘍由来のこれらの腫瘍および細胞系列は、広範な種類の神経細胞およびグリア細胞タイプの特徴を示す。シユバート,D.,Nature,294:224−227(1974)。この細胞タイプの、独立に由来した4つの腫瘍細胞系列から単離したDNAはNIH3T3フオーカス形成アツセイにおいて検出され得る活性化されたガン遺伝子を含んでいる。このアツセイで検出されるガン遺伝子の大部分は、ras遺伝子に密接に関連した3つのうちのひとつが、遺伝的に変化したものである事が示されている(バーマス,1984)。しかし、これらの神経/グリア芽腫由来の遺伝子はras遺伝子に関連しておらず、neuと呼ばれている。neuは、はじめ、トランスフエクトした細胞表面に示される185000Daの腫瘍抗原p185との結合より、特異な遺伝子である事が認められた。neuは、上皮成長因子(EGF)受容体をコードする。earB遺伝子のDNA配列に関連しており、EGF受容体に対する抗血清がp185といくらかの交差反応性を示す。しかし、詳細な分析により、neuは、earBに対してごく限られた相同性しかもつておらず、この2つの遺伝子が異なる染色体上に位置する事が示されている。シエクター,A.L.ら、Science,229:976−978(1985)。したがつて、neu遺伝子は、EGF受容体をコードする遺伝子に関連しているが、異なるものである。neuガン遺伝子のcDNAクローンは、この遺伝子によりトランスフオームされた細胞系列から単離した。バーグマン,C.I.ら、Nature,319:226−230(1986)。ヒトのこれと同じ遺伝子も単離されており、c−erbBあるいはHER2など、様々に呼ばれている。これらラツトおよびヒトクローンのDNA配列は、neu遺伝子のタンパク質産物が1260アミノ酸からなることを推定し、これは、EGF受容体で推定されるアミノ酸配列に対し並列的であり、50%同一である。EGF受容体からの類推により、neu産物は、650アミノ酸のシステインが豊富な細胞外領域および、膜貫通ドメイン、チロシンキナーゼドメイン部分を含む580アミノ酸の細胞内領域からなる膜貫通タンパク質と考えられる。p185タンパク質に関する生化学的研究はこの結論を支持している。p185は、グリコシル化されており、無傷の細胞においても抗血清と反応する事ができ、これは、このタンパク質が細胞表面に局在する事に合致する。また、このタンパク質は、関連するチロシン特異的タンパク質リン酸化活性を有している。しかし、p185はEGFを結合せず、そのため未同定の成長因子に対する受容体ではないかと考えられる。
B. ラツトneu遺伝子の正常型およびトランスフオーム型アリルクローンの単離
ラツトneu遺伝子の正常型およびトランスフオーム型アリルの、生物学的に活性のあるゲノムクローンが最近単離された。ハングM.−C,ら、Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.,83:261−264(1986)。これらのクローンの構造的比較からは、大幅な組換えが起きたという証拠は一切示されず、このことは、わずかな遺伝的改変がneuガン遺伝子の活性化の原因である事を示唆している。正常型アリルを含むトランスフオームされていない細胞および、変異型アリルを含むトランスフオームされた細胞系列において発現されたp185の 相対的 レベルが示され、これは、neuの活性化の原因となる改変は、この遺伝子の発現の調節を失わせないことを示唆するものである。この結果はトランスフオームの原因がコードされているp185タンパク質内にあり、それはこの遺伝子のcDNAにおいて示されるであろう。
C. 正常型neu遺伝子のcDNAクローンとトランスフオーム型cDNAクローンの比較
neu遺伝子の活性化の原因となる改変の効果を調べるために、すでに単離されていたトランスフオーム型c DNAクローン、エチルニトロソウレアにより誘導された3種の異なる活性型neu遺伝子由来のDNA、およびneu正常型アリルのcDNAクローンの比較が行われた。
正常型neu cDNAクローンの単離
まず、正常型neu cDNAクローンを単離することが必要とされた。そのために、細胞系列DHFR G8由来のRNAを用いてcDNAを構築した。ハングM.−C,ら、Proceedings of the National Academy ofSciences,U.S.A.,83:261−264(1986)。DHFR細胞系列は、ラツトのBDIX株由来の完全な正常型neu遺伝子を含むゲノムコスミドクローンを、NIH 3T3細胞にトランスフエクトすることにより作成された。これらの細胞は、トランスフエクトした遺伝子から高レベルのneu遺伝子産物であるp185と高レベルのneuRNAを発現する。cDNAクローンはS1スナツプバツク法で、ターミナル・トランスフエラーゼを用いてdCTPによりテイリングし、dGテイルをもつたpBR322のPstI部位に挿入することにより作成された。neuプローブと反応する30個の組換え体プラスミドが単離された。これらのプラスミドクローンは、制限酵素地図により、活性型neuガン遺伝子の全長cDNAクローンと比較された。これらの正常型cDNAクローンは、すでに同定されているトランスフオーム型cDNAクローンと共通の配列をもつているが、どれもneuの全コード領域を含んではいなかつた。しかし、neuの全コード領域を含むクローンは、ユニークなNaeI部位を共通にもつ、部分的に重複した2つのクローンをin vitroで組換えることにより構築された。これにより生じたクローンの5′末端について、neuがコードするp185タンパク質に対する開始コドンの存在を調べるためにその配列を決定した。第1図に示されるように、この正常型neuクローンをpSV2発現ベクターに挿入してpSV2neuNを作成した。マリガン,R.C.ら、Nature,277:108−114(1979)B104−1−1細胞系列由来のトランスフオーム型neucDNAクローンは、活性型ラツトneu遺伝子の2次トランスフエクタントであるが、これをpSV2に挿入してpSV2neuTと呼ばれるプラスミドを構築した(第1図)。pSV2neuTは、NIH3T3細胞あるいはRat1繊維芽細胞におけるフオーカス形成アツセイにおいて高い活性を示した。このアツセイは、トランスフエクシヨンによつて細胞に導入されたDNA分子が、単層で生育しているこれらの細胞をトランスフオームした状態に転換し、その子孫が、細胞単層上に形態的にトランスフオームした細胞の集塊あるいはフオーカスを形成せしむ能力を測定するものである。しかし、同様にpSV2ベクターに挿入された正常型neu cDNAを同一の条件でNIH 3T3細胞にトランスフエクトした場合、フオーカスはいつさい観察されなかつた。
トランスフオーム型細胞および非トランスフオーム型細胞による、p185産生の比較。
pSV2neuNおよびpSV2neuT プラスミドを含む細胞系列は、pSV2neo(以下、neo−rマーカーと呼ぶ)とのコトランスフエクシヨンおよびG418の選択により単離された。サザン,P.J.とP.バーグ,Journal of Molecular and Applied Genetics, 1:327−341(1982)。pSV2neuTを発現している細胞系列は、形態的にトランスフオームし、レフラクタイルになる;pSV2neuNを含む細胞系列は、形態的には偏平で非トランスフオーム型である。これらの細胞系列を32P正リン酸により代謝的に標識し、その細胞破砕液をラツトneu遺伝子産物を特異的に沈澱させるモノクローナル抗体とともにインキユベーシヨンした。第2B図のレーンc,dおよびiに示されているように、標識されたp185のレベルは、トランスフオーム型細胞と非トランスフオーム型細胞とで同等であつた。この結果は、neuは発現の非調節化というよりはむしろ、コード領域における突然変異によつて活性化されることを示唆する初期の研究と合致するものである。ハングM.−C,ら、Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.,83:261−264(1986)。
実 施 例 2: neu遺伝子の遺伝的解析
A.neu遺伝子の活性化の原因となるDNA配列の同定
pSV2neuTクローンのトランスフオーム活性を担う配列の同定は、このクローンと正常型アリルを担うpSV2neuNとの組換え体を用いることにより行われた。この組換え体は、クローン化された適当なDNA断片をライゲーシヨンする事によつて構築された。第1図は、活性化型変異を担うneuの領域を明らかにする一連のクローンの構造を示している。ここに示されるそれぞれの組換え体クローンの構造は、制限酵素地図によつて評価された。各例において、少なくとも2つの単離されたプラスミドに関して、NIH3T3細胞を形態的にトランスフオームする能力を試験した。全ての組換え体クローンは、neo−rマーカーとともにコトランスフエクシヨンされ、得られたG418耐性コロニーの形態が記録された。形態的にトランスフオームしていないコロニーは、獲得したcDNAクローンから、構造的に無傷のp185タンパク質を発現していることを確認するために試験された。クローンpSV2neuFおよびpSV2neuBは、 正常型クローンの残りの部分の配列に融合したトランスフオーム型クローンの、それぞれ、はじめの719と1899ヌクレオチドを含んでおり(第1図)、それらはp185の合成を指示することができるにもかかわらずトランスフオーム活性を示さなかつた。この遺伝子の5′末端からヌクレオチド2387まではトランスフオーム型neu配列を含み、それ以後は正常型neu配列を含むクローンpSV2neuHは、トランスフエクシヨンによりフオーカスを形成し、もとのpSV2neuTクローンによつて形成されるコロニーと区別できないトランスフオームしたコロニーを生ずる。pSV2neuCもまた、トランスフオーム能をもつていた。これは正常型neu遺伝子のヌクレオチド2337からヌクレオチド3534までのXbaI断片を含み、これにより対応するトランスフオーム型cDNAの部分が置換されている。この結果は、正常型cDNAとトランスフオーム型cDNAが、ヌクレオチド1889から2337の間の配列において異なつており、トランスフオーム型クローン中にこの配列が存在することがトランスフオーメーシヨンに必須であることを示している。この配列がトランスフオーメーシヨンの生起に充分であることを証明するために、相互的コンストラクトであるpSV2neuTNとpSV2neuNT(第1図)が構築され、NIH3T3細胞およびRat I繊維芽細胞へのトランスフエクシヨンによつて試験された。pSV2neuTNは、Nde IとBglIにより規定される、正常型neuクローン由来のヌクレオチド1899から2387を除いてはトランスフオーム型cDNA全長を含んでいる。pSV2neuNTは、トランスフオーム型クローン由来の配列により置換された、対応する488ヌクレオチドを除く全長の正常型neu cDNA配列を含んでいる。比較実験において、pSV2neuNTはもとのトランスフオーム型クローンであるpSV2neuTと同等の数のフオーカスを与え;pSV2neuTN、pSV2neuN および偽トランスフエクシヨンでは、フオーカスはいつさい見られなかつた。この実験は、正常型とトランスフオーム型クローンの間の、基本的な遺伝的差異はこの488ヌクレオチドからなる断片に存在することを示している。第2図に示されているデータはこれらの結論を指示するものである。psV2neuプラスミドと選択neo−r遺伝子のコトランスフエクシヨンにより単離されたG418耐性細胞系列は、第2A図に示されている。pSV2neuTNおよびpSV2neuNを含む系列は、形態的に偏平で、neo−r遺伝子のみでトランスフエクシヨンした系列と区別することができない。それとは対照的に、pSV2neuNTおよびpSV2neuTを含む細胞は、非常にレフラクタイルで、形態的にお互い極めて類似している。これらの細胞系列は32P正リン酸により代謝的に標識し、その細胞破砕液を抗p185モノクローナル抗体16.4とともにインキユベーシヨンした。ドレビン,J.A.ら、Nature,312:545−548(1984)。第2B図は、pSV2neuN(レーンcとd)、pSV2neuT(レーンi)、pSV2neuTN(レーンeとf)およびpSV2neuNT(レーンgとh)を含む典型的な細胞系列で発現しているp185のレベルを示している。正常型およびトランスフオーム型cDNAが単離された細胞系列であるDHFRG8とB104−1−1細胞(レーンbとj)由来の細胞破砕液についても分析を行つた。それぞれの細胞クローンは広範なp185レベルを示すが、正常型およびトランスフオーム型細胞両方においてp185発現が似た範囲にあることは明かである。neo−rマーカークローンのみでトランスフエクシヨンした系列において、p185は全く見いだされない(レーンa)。したがつて、これらの細胞における相違は、それらが発現しているp185の性質に関する。内在性の違いによると説明されねばならない。
B.正常型neuアリルと活性型neu遺伝子を区別する変異の定義
トランスフオーム型neu cDNAの コード領域の完全なDNA配列が決定されている。バーグマン,C.I.ら、Nature,319:226−230(1986)。この2つのアリルを区別する厳密な変異を定義するために、ヌクレオチド1899から2387の間の領域のDNA配列が正常型neu cDNAについて決定された。この配列とすでに決定されていたトランスフオーム型クローンの配列の間には、ただ1つの違いしか見つからなかつた。ヌクレオチド1012の位置に、発ガン遺伝子型クローンではAが存在するが、一方、正常型はこの位置にTをもつていた。この結果、コードされるp185の残基644に存在することが推定されるアミノ酸が影響を受ける;正常型タンパク質で見られるバリンが発ガン型では、グルタミン酸によつて置換されている。第3図は、正常型neu 遺伝子とトランスフオーム型neu遺伝子両方について、ヌクレオチド1968から2073のDNA配列および推定されるアミノ酸配列を示している。予想される変異は、neu遺伝子産物p185で推定される膜貫通ドメイン内に帰属している。neuの正常型およびトランスフオーム型アリルのゲノムクローンは、すでに単離されている。これらのクローンはcDNAにみられるヌクレオチドの相違を見るために独立に用いられた。このような共同研究からのデータは、cDNAで観察される差異が、cDNAクローニングにおいて生じたものである可能性を除外するために役だつている。この2つのアリルをゲノムからサブクローニングし、配列を決定することにより、同様なTからAへの置換がこれらのゲノムクローンにおいても存在することを確証した。これは、TからAへの変換という変異がB104神経芽細胞腫瘍あるいは細胞系列を生成する際に、体細胞において生起することを示している。
A.neu遺伝子の活性化の原因となるDNA配列の同定
pSV2neuTクローンのトランスフオーム活性を担う配列の同定は、このクローンと正常型アリルを担うpSV2neuNとの組換え体を用いることにより行われた。この組換え体は、クローン化された適当なDNA断片をライゲーシヨンする事によつて構築された。第1図は、活性化型変異を担うneuの領域を明らかにする一連のクローンの構造を示している。ここに示されるそれぞれの組換え体クローンの構造は、制限酵素地図によつて評価された。各例において、少なくとも2つの単離されたプラスミドに関して、NIH3T3細胞を形態的にトランスフオームする能力を試験した。全ての組換え体クローンは、neo−rマーカーとともにコトランスフエクシヨンされ、得られたG418耐性コロニーの形態が記録された。形態的にトランスフオームしていないコロニーは、獲得したcDNAクローンから、構造的に無傷のp185タンパク質を発現していることを確認するために試験された。クローンpSV2neuFおよびpSV2neuBは、 正常型クローンの残りの部分の配列に融合したトランスフオーム型クローンの、それぞれ、はじめの719と1899ヌクレオチドを含んでおり(第1図)、それらはp185の合成を指示することができるにもかかわらずトランスフオーム活性を示さなかつた。この遺伝子の5′末端からヌクレオチド2387まではトランスフオーム型neu配列を含み、それ以後は正常型neu配列を含むクローンpSV2neuHは、トランスフエクシヨンによりフオーカスを形成し、もとのpSV2neuTクローンによつて形成されるコロニーと区別できないトランスフオームしたコロニーを生ずる。pSV2neuCもまた、トランスフオーム能をもつていた。これは正常型neu遺伝子のヌクレオチド2337からヌクレオチド3534までのXbaI断片を含み、これにより対応するトランスフオーム型cDNAの部分が置換されている。この結果は、正常型cDNAとトランスフオーム型cDNAが、ヌクレオチド1889から2337の間の配列において異なつており、トランスフオーム型クローン中にこの配列が存在することがトランスフオーメーシヨンに必須であることを示している。この配列がトランスフオーメーシヨンの生起に充分であることを証明するために、相互的コンストラクトであるpSV2neuTNとpSV2neuNT(第1図)が構築され、NIH3T3細胞およびRat I繊維芽細胞へのトランスフエクシヨンによつて試験された。pSV2neuTNは、Nde IとBglIにより規定される、正常型neuクローン由来のヌクレオチド1899から2387を除いてはトランスフオーム型cDNA全長を含んでいる。pSV2neuNTは、トランスフオーム型クローン由来の配列により置換された、対応する488ヌクレオチドを除く全長の正常型neu cDNA配列を含んでいる。比較実験において、pSV2neuNTはもとのトランスフオーム型クローンであるpSV2neuTと同等の数のフオーカスを与え;pSV2neuTN、pSV2neuN および偽トランスフエクシヨンでは、フオーカスはいつさい見られなかつた。この実験は、正常型とトランスフオーム型クローンの間の、基本的な遺伝的差異はこの488ヌクレオチドからなる断片に存在することを示している。第2図に示されているデータはこれらの結論を指示するものである。psV2neuプラスミドと選択neo−r遺伝子のコトランスフエクシヨンにより単離されたG418耐性細胞系列は、第2A図に示されている。pSV2neuTNおよびpSV2neuNを含む系列は、形態的に偏平で、neo−r遺伝子のみでトランスフエクシヨンした系列と区別することができない。それとは対照的に、pSV2neuNTおよびpSV2neuTを含む細胞は、非常にレフラクタイルで、形態的にお互い極めて類似している。これらの細胞系列は32P正リン酸により代謝的に標識し、その細胞破砕液を抗p185モノクローナル抗体16.4とともにインキユベーシヨンした。ドレビン,J.A.ら、Nature,312:545−548(1984)。第2B図は、pSV2neuN(レーンcとd)、pSV2neuT(レーンi)、pSV2neuTN(レーンeとf)およびpSV2neuNT(レーンgとh)を含む典型的な細胞系列で発現しているp185のレベルを示している。正常型およびトランスフオーム型cDNAが単離された細胞系列であるDHFRG8とB104−1−1細胞(レーンbとj)由来の細胞破砕液についても分析を行つた。それぞれの細胞クローンは広範なp185レベルを示すが、正常型およびトランスフオーム型細胞両方においてp185発現が似た範囲にあることは明かである。neo−rマーカークローンのみでトランスフエクシヨンした系列において、p185は全く見いだされない(レーンa)。したがつて、これらの細胞における相違は、それらが発現しているp185の性質に関する。内在性の違いによると説明されねばならない。
B.正常型neuアリルと活性型neu遺伝子を区別する変異の定義
トランスフオーム型neu cDNAの コード領域の完全なDNA配列が決定されている。バーグマン,C.I.ら、Nature,319:226−230(1986)。この2つのアリルを区別する厳密な変異を定義するために、ヌクレオチド1899から2387の間の領域のDNA配列が正常型neu cDNAについて決定された。この配列とすでに決定されていたトランスフオーム型クローンの配列の間には、ただ1つの違いしか見つからなかつた。ヌクレオチド1012の位置に、発ガン遺伝子型クローンではAが存在するが、一方、正常型はこの位置にTをもつていた。この結果、コードされるp185の残基644に存在することが推定されるアミノ酸が影響を受ける;正常型タンパク質で見られるバリンが発ガン型では、グルタミン酸によつて置換されている。第3図は、正常型neu 遺伝子とトランスフオーム型neu遺伝子両方について、ヌクレオチド1968から2073のDNA配列および推定されるアミノ酸配列を示している。予想される変異は、neu遺伝子産物p185で推定される膜貫通ドメイン内に帰属している。neuの正常型およびトランスフオーム型アリルのゲノムクローンは、すでに単離されている。これらのクローンはcDNAにみられるヌクレオチドの相違を見るために独立に用いられた。このような共同研究からのデータは、cDNAで観察される差異が、cDNAクローニングにおいて生じたものである可能性を除外するために役だつている。この2つのアリルをゲノムからサブクローニングし、配列を決定することにより、同様なTからAへの置換がこれらのゲノムクローンにおいても存在することを確証した。これは、TからAへの変換という変異がB104神経芽細胞腫瘍あるいは細胞系列を生成する際に、体細胞において生起することを示している。
実 施 例 3:neuガン遺伝子の活性化
A.独立のneuガン遺伝子活性化の決定。
初期の結果は、6つの神経/グリア芽種細胞系列の内、4つから調製したDNAがNIH 3T3フオーカス形成アツセイにおいて活性型のneuガン遺伝子を示すことを明らかにしていた。シー,C.ら:Nature,290:261−264(1981)。これら6つの細胞系列はエチルニトロソウレアを用いて、BDIXラツト胚を胎盤を介して変異源処埋することによつて得られたものである。これらの独立な活性型neu遺伝子は、それらが同じ活性型変異を含んでいるかで評価された。これらのneu遺伝子を含むコランスフエクタント由来のDNAについて、neu遺伝子のひとつあるいは他のアリルを優先的に認識する核酸プローブを用いてハイブリダイゼーシヨンを行つた。この方法は、ras遺伝子の種々の活性型アリルを同定する際に用いられ、成功している。ボス,J.L.ら、Nature,315:726−730(1985);ザーブル,J.ら、Nature,315:382−385(1985)。neu遺伝子の野生型あるいは変異型neuいずれかの配列に対応する核酸が合成された。これらの2つの20−merの配列が第4図に示されている。これらの20−merを、次に、適当な制限酵素で切断したDNAを含む、乾燥したアガロースゲルに対して厳しい条件(完全な2重鎖について計算されたTmよりも2℃低い温度)下でハイブリダイゼーシヨンさせた。野生型配列に対応する20−merは、pSV2neuTにハイブリダイゼーシヨンする場合に比べ、pSV2neuN に対し約10倍強くハイブリダイゼーシヨンした。それとは対照的に、トランスフオーム型アリル由来の配列をもつ核酸は、同じ比率で優先的にpSV2neuT とハイブリダイゼーシヨンした。DNAは、上述の4つの独立な活性型neuガン遺伝子をもつたトランスフエクタントから単離され、HindIIIで切断した。それにより生じた断片を1%アガロースゲルで分離した。このアガロースゲルを、第4図で示される、上述のクローン化されたDNAの分析で用いられたものと同一の条件下でインキユベーシヨンした。DHFR G8からのDNAは、正常のゲノムneu遺伝子をゲノムあたり約50コピー含んでおり、対照として含まれている。第5A図は、トランスフエクタントDNAと野生型配列に対応する核酸とのハイブリダイゼーシヨンを示している。DHFR G8 DNAに強いシグナルが現れ、これは導入された正常型neu遺伝子のものである(レーンb)。neuでトランスフオームしたトランスフエクタントDNA(レーンc−f)および、トランスフエクシヨンしていないNIT 3T3細胞(レーンa)を含むレーンに有意な弱いシグナルがみられた。第5B図は、変異配列を含む核酸をプローブとして、同じゲルについてハイブリダイゼーシヨンを行つた結果を示している。DHFR G8 DNAはこのプローブとわずかに弱く反応したが(レーンb)、neuによりトランスフオームしたトランスフエクタントDNA(レーンcからf)は、いずれもこのプローブにより強いシグナルを生じた。レーンdに示されているトランスフエクタントDNAは、トランスフオームに用いた遺伝子の3′末端が欠けているために、他のトランスフエクタントよりも小さいneu−相同HindIII断片をもつている。野生型のプローブとトランスフエクタントとの反応性の低さは、同じプローブを用いたクローン化pSV2neuTの分析の際に見られるシグナルと同程度であるため、(第4図のレーンbとdを、第5A図および第5B図にあるレーンc−fと比較のこと)このプローブの交差反応性に起因するものであろう。DNAのロード量とトランスフエクタントのコピー数によるシグナル強度の違いを調節するために、5Bのゲルからプローブをはがし、neu遺伝子の異なる部分由来の核酸プローブを用いて再びハイブリダイゼーシヨンを行つた。トランスフエクタント細胞系列はトランスフエクシヨンの際の種々の増幅により、異なるコピー数のラツトneu遺伝子を含んでいるかもしれない。このハイブリダイゼーシヨンの結果は第5C図に示されている。第5A図、第5B図、第5C図において、それぞれ対応するレーンを比較すると、全てのneuガン遺伝子トランスフエクタントは、野生型プローブに比べ変異型プローブと強いハイブリダイゼーシヨンを示し、変異型プローブとそれらのハイブリダイゼーシヨンの程度は、種々のDNA中に存在するneu遺伝子のコピー数と良い相関を見せることが判る。このデータは、調べられた活性型neu遺伝子は、全て同一のヌクレオチドの位置で改変をもつていることを強く示唆するにもかかわらず、全ての例において変異が同一のTからAへの転換を含んでいるのかは明かではなかつた。TからGへの転換は、それにより野生型核酸とA/Gのミスマツチを生じ、変異型核酸とは比較的安定なG/Tミスマツチを生ずるために、おそらく同じハイブリダイゼーシヨンのパターンを与えるだろう。この可能性を調べるため、第4図に示される配列をもつた第3の20−merを合成した。この核酸は、第5A図で分析したゲルから初めに用いたプローブを除去した後に、このゲルとハイブリダイゼーシヨン条件下でインキユベーシヨンした。この核酸は、厳しい条件下ではトランスフエクタントDNAと優先的にハイブリダイゼーシヨンしなかつた(第5D図)。したがつて、これらの活性型neu遺伝子それぞれにおける改変は、おそらく同じTからAへの転換であろう。点突然変異は腫瘍形成時に生じ、そのため、ラツトゲノムに最初から存在していた多型性、あるいはトランスフエクシヨン過程における活性化を反映しているわけではないこともまた確証された。DNAは、BDIXラツト肝および、BDIXラツトに由来し、トランスフエクシヨンアツセイにおいて活性型neu遺伝子を与える4種のラツト腫瘍細胞系列から単離された。2連でゲルを作成し、野生型核酸あるいは変異型核酸いずれかをプローブとして用いた(第6図)。BDIX肝DNAは野生型核酸と良く反応したが、変異型核酸とは反応しない(第6図、レーンaとf)。これとは対照的に、4つの腫瘍細胞系列は変異型核酸とのみ反応した(第6図、レーンb−eおよびi−l)。このことは、ヌクレオチド2012でのTからAへの転換は、腫瘍あるいは腫瘍細胞系列の生成時に生起したことを示している。また、腫瘍細胞系列は、neu遺伝子の活性型アリルに関してヘミ接合あるいはホモ接合型のようである。正常型アリルの欠失が腫瘍形成時あるいは、腫瘍細胞系列の途上で起こるのかも知れない。正常型rasアリルの同じ様な欠失あるいは発現の低下はこれらのras遺伝子の発ガン型を含むいくつかの腫瘍、および腫瘍細胞系列で観察されている。カボンらNature,304:507−513(1983):ジエレロ,IらProceedingsof the NationalAcademy of Sciences,U.S.A.,82:7810−7814(1985)。
A.独立のneuガン遺伝子活性化の決定。
初期の結果は、6つの神経/グリア芽種細胞系列の内、4つから調製したDNAがNIH 3T3フオーカス形成アツセイにおいて活性型のneuガン遺伝子を示すことを明らかにしていた。シー,C.ら:Nature,290:261−264(1981)。これら6つの細胞系列はエチルニトロソウレアを用いて、BDIXラツト胚を胎盤を介して変異源処埋することによつて得られたものである。これらの独立な活性型neu遺伝子は、それらが同じ活性型変異を含んでいるかで評価された。これらのneu遺伝子を含むコランスフエクタント由来のDNAについて、neu遺伝子のひとつあるいは他のアリルを優先的に認識する核酸プローブを用いてハイブリダイゼーシヨンを行つた。この方法は、ras遺伝子の種々の活性型アリルを同定する際に用いられ、成功している。ボス,J.L.ら、Nature,315:726−730(1985);ザーブル,J.ら、Nature,315:382−385(1985)。neu遺伝子の野生型あるいは変異型neuいずれかの配列に対応する核酸が合成された。これらの2つの20−merの配列が第4図に示されている。これらの20−merを、次に、適当な制限酵素で切断したDNAを含む、乾燥したアガロースゲルに対して厳しい条件(完全な2重鎖について計算されたTmよりも2℃低い温度)下でハイブリダイゼーシヨンさせた。野生型配列に対応する20−merは、pSV2neuTにハイブリダイゼーシヨンする場合に比べ、pSV2neuN に対し約10倍強くハイブリダイゼーシヨンした。それとは対照的に、トランスフオーム型アリル由来の配列をもつ核酸は、同じ比率で優先的にpSV2neuT とハイブリダイゼーシヨンした。DNAは、上述の4つの独立な活性型neuガン遺伝子をもつたトランスフエクタントから単離され、HindIIIで切断した。それにより生じた断片を1%アガロースゲルで分離した。このアガロースゲルを、第4図で示される、上述のクローン化されたDNAの分析で用いられたものと同一の条件下でインキユベーシヨンした。DHFR G8からのDNAは、正常のゲノムneu遺伝子をゲノムあたり約50コピー含んでおり、対照として含まれている。第5A図は、トランスフエクタントDNAと野生型配列に対応する核酸とのハイブリダイゼーシヨンを示している。DHFR G8 DNAに強いシグナルが現れ、これは導入された正常型neu遺伝子のものである(レーンb)。neuでトランスフオームしたトランスフエクタントDNA(レーンc−f)および、トランスフエクシヨンしていないNIT 3T3細胞(レーンa)を含むレーンに有意な弱いシグナルがみられた。第5B図は、変異配列を含む核酸をプローブとして、同じゲルについてハイブリダイゼーシヨンを行つた結果を示している。DHFR G8 DNAはこのプローブとわずかに弱く反応したが(レーンb)、neuによりトランスフオームしたトランスフエクタントDNA(レーンcからf)は、いずれもこのプローブにより強いシグナルを生じた。レーンdに示されているトランスフエクタントDNAは、トランスフオームに用いた遺伝子の3′末端が欠けているために、他のトランスフエクタントよりも小さいneu−相同HindIII断片をもつている。野生型のプローブとトランスフエクタントとの反応性の低さは、同じプローブを用いたクローン化pSV2neuTの分析の際に見られるシグナルと同程度であるため、(第4図のレーンbとdを、第5A図および第5B図にあるレーンc−fと比較のこと)このプローブの交差反応性に起因するものであろう。DNAのロード量とトランスフエクタントのコピー数によるシグナル強度の違いを調節するために、5Bのゲルからプローブをはがし、neu遺伝子の異なる部分由来の核酸プローブを用いて再びハイブリダイゼーシヨンを行つた。トランスフエクタント細胞系列はトランスフエクシヨンの際の種々の増幅により、異なるコピー数のラツトneu遺伝子を含んでいるかもしれない。このハイブリダイゼーシヨンの結果は第5C図に示されている。第5A図、第5B図、第5C図において、それぞれ対応するレーンを比較すると、全てのneuガン遺伝子トランスフエクタントは、野生型プローブに比べ変異型プローブと強いハイブリダイゼーシヨンを示し、変異型プローブとそれらのハイブリダイゼーシヨンの程度は、種々のDNA中に存在するneu遺伝子のコピー数と良い相関を見せることが判る。このデータは、調べられた活性型neu遺伝子は、全て同一のヌクレオチドの位置で改変をもつていることを強く示唆するにもかかわらず、全ての例において変異が同一のTからAへの転換を含んでいるのかは明かではなかつた。TからGへの転換は、それにより野生型核酸とA/Gのミスマツチを生じ、変異型核酸とは比較的安定なG/Tミスマツチを生ずるために、おそらく同じハイブリダイゼーシヨンのパターンを与えるだろう。この可能性を調べるため、第4図に示される配列をもつた第3の20−merを合成した。この核酸は、第5A図で分析したゲルから初めに用いたプローブを除去した後に、このゲルとハイブリダイゼーシヨン条件下でインキユベーシヨンした。この核酸は、厳しい条件下ではトランスフエクタントDNAと優先的にハイブリダイゼーシヨンしなかつた(第5D図)。したがつて、これらの活性型neu遺伝子それぞれにおける改変は、おそらく同じTからAへの転換であろう。点突然変異は腫瘍形成時に生じ、そのため、ラツトゲノムに最初から存在していた多型性、あるいはトランスフエクシヨン過程における活性化を反映しているわけではないこともまた確証された。DNAは、BDIXラツト肝および、BDIXラツトに由来し、トランスフエクシヨンアツセイにおいて活性型neu遺伝子を与える4種のラツト腫瘍細胞系列から単離された。2連でゲルを作成し、野生型核酸あるいは変異型核酸いずれかをプローブとして用いた(第6図)。BDIX肝DNAは野生型核酸と良く反応したが、変異型核酸とは反応しない(第6図、レーンaとf)。これとは対照的に、4つの腫瘍細胞系列は変異型核酸とのみ反応した(第6図、レーンb−eおよびi−l)。このことは、ヌクレオチド2012でのTからAへの転換は、腫瘍あるいは腫瘍細胞系列の生成時に生起したことを示している。また、腫瘍細胞系列は、neu遺伝子の活性型アリルに関してヘミ接合あるいはホモ接合型のようである。正常型アリルの欠失が腫瘍形成時あるいは、腫瘍細胞系列の途上で起こるのかも知れない。正常型rasアリルの同じ様な欠失あるいは発現の低下はこれらのras遺伝子の発ガン型を含むいくつかの腫瘍、および腫瘍細胞系列で観察されている。カボンらNature,304:507−513(1983):ジエレロ,IらProceedingsof the NationalAcademy of Sciences,U.S.A.,82:7810−7814(1985)。
neuの多様な独立の活性化
見かけ上ランダムに作用する試薬により刺激することによる化学的発ガンは、それにより生じた腫瘍細胞中に特異的な遺伝的変化をしばしばもたらす。neuは、分析されたトランスフオーム型neuアリルの4種それぞれにおいて、同一のヌクレオチドの変化によつて活性化されているようである。これらのアリルはそれぞれ、アルキル化試薬であるエチルニトロソウレアを胎盤経由で与えることにより生じた、神経芽細胞腫あるいはグリア芽細胞腫から単離された。シユバート,D.ら、Nature,249:224−227(1974)。neuは、関連したアルキル化試薬メチルニトロソウレアによつて生じた、4種の独立の神経系腫瘍においても同じ残基で活性化されている。メチルニトロソウレアによる、Buf/Nラツトにおける乳ガンの生起に関する、同じ様な広範な研究により、約100例の独立に生起した腫瘍にはすべて、残基35で同一のGからAへの転換によつて活性化されたH−ras発ガン遺伝子が含まれていることが示されている。スクマー,S.ら、Nature,306:658−661(1983);ザーブル,H.ら、Nature,315:382−385(1985)。活性化の特異性に関するそのほかの例には、遺伝的に感受性のSencarマウスにおける、ジメチルベンザトラセンにより誘導された乳頭腫が活性型H−ras遺伝子を有していることや、ガンマ線照射あるいはメチルニトロソウレアにより誘導される胸腺リンパ腫が、それぞれトランスフエクシヨン能をもつK−rasおよびN−rasを生ずるなどの例が含まれている。バルメイン,AとI.A.プラグネル、Nature,303:72−74(1983);グレロ,I.ら、Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.,81:202−205(1984)。前者で検出されるK−ras発ガン遺伝子は調べた4つの腫瘍のうち少なくとも3つにおいて同じ活性型変異を有しているようである。異なる条件下での、同じ変異誘起剤、つまりメチルニトロソウレアの投与が、乳腺腫瘍ではH−rasを特異的に活性化し、胸腺リンパ腫ではN−rasを、神経外胚葉腫ではneuを特異的に活性化する点は興味深い。グレロ,I.ら、Science,225:1159−1162(1984)。これらの腫瘍をそれぞれ誘導する催奇剤は、はじめ、細胞のDNAに広範な損傷を与えるはずである。しかし、最終的に検出される変異は極めて特異的である。明らかに、多段階のガン化過程において、強力な生物学的な圧力が、確立した腫瘍中で観察される遺伝的損傷を坦つた細胞の成長に選択的に働くはずである。細胞内の遺伝子のわずかな部分のみが生物学的に活性な発ガン遺伝子に転換され得るようである。これらの遺伝子のひとつでは、多くの可能な変異のいくつかのみがトランスフオーム活性をもつた発ガン遺伝子を生ずる。発ガン遺伝子を生ずる相対的にまれな変異は、まず腫瘍に対し選択的な優位性をもつていなくてはならないために、また後に、フオーカス形成アツセイにおいて検出され得るために濃縮されるのである。ひとつの腫瘍型における特異的な損傷が繰り返し現れることにより、可能な活性型変異の間で他の選択圧も存在することが示唆される。活性型変異の性質は、催奇剤の化学的反応性によつて強い影響を受ける。例えば、胸腺腫を誘起するために用いられた異なる変異誘起剤は、生じた腫瘍において異なる遺伝子の活性化を引き起こす。同様に、ジメチルベンズアントラセンによつて誘起された乳ガンは、メチルニトロソウレアによつて誘起されたものとは異なる特異的な改変を含んでいる。前述の神経芽細胞腫を誘起する薬剤である、エチルニトロソウレアの反応性はDNAに多数の異なる副次的障害を形成させる。シンガー,B.とJ.T.カスマーレク、Annual Review of Biochemistry,52:655−693(1982)。これらのうち、GからAへの転移を起こす障害については、詳しい記載がなされている。ラジユースキー,M.F.,Recent Results in Cancer Research,84:63−76(1983)。 こういつた変異は、関連した催奇剤であるメチルニトロソウレアによつて誘起された乳ガンの、H−ras発ガン遺伝子中の活性型障害として繰り返し見いだされている。ザーブル,H.ら、Nature,315:382−385(1985)。しかし、ここで述べている変異はTからAへの転換であり、その生起は、これらのアルキル化剤の投与の後に形成される多くの別の損傷を含む、他の機構によつて説明されねばならない。この種の変異は先例がないわけではない:生殖系列の変異誘起処理後に単離された、他の2つのエチルニトロソウレアによつて生じた変異もまた、TからAへの転換であることが示されている。ポツプ,R.A.ら、Genetics,105:157−167(1983);ルイス,S.E.ら、Proceeding of the National Academy of Sciences,U.S.A.,82:5829−5831(1985)。メチルニトロソウレアによつて誘導されたリンパ腫から単離したN−ras発ガン遺伝子は、CからAへの転換によつて活性化されていることが見いだされており、これは、アルキル化剤によつて誘起されるいくつかの異なる付随的障害が、変異を起こし得ることを示唆している。グレロ,I.ら、Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.,82:7810−7814(1985)。
見かけ上ランダムに作用する試薬により刺激することによる化学的発ガンは、それにより生じた腫瘍細胞中に特異的な遺伝的変化をしばしばもたらす。neuは、分析されたトランスフオーム型neuアリルの4種それぞれにおいて、同一のヌクレオチドの変化によつて活性化されているようである。これらのアリルはそれぞれ、アルキル化試薬であるエチルニトロソウレアを胎盤経由で与えることにより生じた、神経芽細胞腫あるいはグリア芽細胞腫から単離された。シユバート,D.ら、Nature,249:224−227(1974)。neuは、関連したアルキル化試薬メチルニトロソウレアによつて生じた、4種の独立の神経系腫瘍においても同じ残基で活性化されている。メチルニトロソウレアによる、Buf/Nラツトにおける乳ガンの生起に関する、同じ様な広範な研究により、約100例の独立に生起した腫瘍にはすべて、残基35で同一のGからAへの転換によつて活性化されたH−ras発ガン遺伝子が含まれていることが示されている。スクマー,S.ら、Nature,306:658−661(1983);ザーブル,H.ら、Nature,315:382−385(1985)。活性化の特異性に関するそのほかの例には、遺伝的に感受性のSencarマウスにおける、ジメチルベンザトラセンにより誘導された乳頭腫が活性型H−ras遺伝子を有していることや、ガンマ線照射あるいはメチルニトロソウレアにより誘導される胸腺リンパ腫が、それぞれトランスフエクシヨン能をもつK−rasおよびN−rasを生ずるなどの例が含まれている。バルメイン,AとI.A.プラグネル、Nature,303:72−74(1983);グレロ,I.ら、Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.,81:202−205(1984)。前者で検出されるK−ras発ガン遺伝子は調べた4つの腫瘍のうち少なくとも3つにおいて同じ活性型変異を有しているようである。異なる条件下での、同じ変異誘起剤、つまりメチルニトロソウレアの投与が、乳腺腫瘍ではH−rasを特異的に活性化し、胸腺リンパ腫ではN−rasを、神経外胚葉腫ではneuを特異的に活性化する点は興味深い。グレロ,I.ら、Science,225:1159−1162(1984)。これらの腫瘍をそれぞれ誘導する催奇剤は、はじめ、細胞のDNAに広範な損傷を与えるはずである。しかし、最終的に検出される変異は極めて特異的である。明らかに、多段階のガン化過程において、強力な生物学的な圧力が、確立した腫瘍中で観察される遺伝的損傷を坦つた細胞の成長に選択的に働くはずである。細胞内の遺伝子のわずかな部分のみが生物学的に活性な発ガン遺伝子に転換され得るようである。これらの遺伝子のひとつでは、多くの可能な変異のいくつかのみがトランスフオーム活性をもつた発ガン遺伝子を生ずる。発ガン遺伝子を生ずる相対的にまれな変異は、まず腫瘍に対し選択的な優位性をもつていなくてはならないために、また後に、フオーカス形成アツセイにおいて検出され得るために濃縮されるのである。ひとつの腫瘍型における特異的な損傷が繰り返し現れることにより、可能な活性型変異の間で他の選択圧も存在することが示唆される。活性型変異の性質は、催奇剤の化学的反応性によつて強い影響を受ける。例えば、胸腺腫を誘起するために用いられた異なる変異誘起剤は、生じた腫瘍において異なる遺伝子の活性化を引き起こす。同様に、ジメチルベンズアントラセンによつて誘起された乳ガンは、メチルニトロソウレアによつて誘起されたものとは異なる特異的な改変を含んでいる。前述の神経芽細胞腫を誘起する薬剤である、エチルニトロソウレアの反応性はDNAに多数の異なる副次的障害を形成させる。シンガー,B.とJ.T.カスマーレク、Annual Review of Biochemistry,52:655−693(1982)。これらのうち、GからAへの転移を起こす障害については、詳しい記載がなされている。ラジユースキー,M.F.,Recent Results in Cancer Research,84:63−76(1983)。 こういつた変異は、関連した催奇剤であるメチルニトロソウレアによつて誘起された乳ガンの、H−ras発ガン遺伝子中の活性型障害として繰り返し見いだされている。ザーブル,H.ら、Nature,315:382−385(1985)。しかし、ここで述べている変異はTからAへの転換であり、その生起は、これらのアルキル化剤の投与の後に形成される多くの別の損傷を含む、他の機構によつて説明されねばならない。この種の変異は先例がないわけではない:生殖系列の変異誘起処理後に単離された、他の2つのエチルニトロソウレアによつて生じた変異もまた、TからAへの転換であることが示されている。ポツプ,R.A.ら、Genetics,105:157−167(1983);ルイス,S.E.ら、Proceeding of the National Academy of Sciences,U.S.A.,82:5829−5831(1985)。メチルニトロソウレアによつて誘導されたリンパ腫から単離したN−ras発ガン遺伝子は、CからAへの転換によつて活性化されていることが見いだされており、これは、アルキル化剤によつて誘起されるいくつかの異なる付随的障害が、変異を起こし得ることを示唆している。グレロ,I.ら、Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.,82:7810−7814(1985)。
実 施 例 4:核酸プローブを用いたneu発ガン遺伝子の検出
A.neu遺伝子に相同な核酸プローブを用いたバツフアロー・ラツト由来の腫瘍DNAに関する検討
スクマーとバーバシツド(米国国立ガン研究所、ベセスダ)は、活性型neu遺伝子を含む10種のメチルニトロソウレアによつて誘起された述経系腫瘍を単離した。これらの腫瘍DNAから得られたトランスフエクタントは、これらのneu遺伝子中の変異が、すでに記載のある腫瘍で見つかるものと同じであるか決定するために検定された。これは以下のようにして行われた;10種の独立な活性型neu遺伝子を含む14のトランスフエクタントが第7図に示されている(トラツク1−14)。ゲルを2連で作成し、上述の核酸プローブにより検索した。すなわち、それらは、正常型(第7図、上)あるいはトランスフオーム型遺伝子に相当する核酸(第7図、下)により検索された。NIH DNA(トラツクN)、DHFRG8 DNA(トラツクG)(高コピーの正常型neu遺伝子)、B104−1−1 DNA (トラツクB)(高コピーのトランスフオーム型neu遺伝子)および、活性型neu遺伝子を含まない2つのバツフアロー・ラツト腫瘍(トラツクc1とc2)が対照として含まれていた。トランスフエクシヨンされたneu遺伝子は全て、上述のトランスフオーム型neucDNAクローンが取られた細胞系列である、B104−1−1 DNA と同じ改変をもつていた。トランスフオーム型遺伝子に対応した核酸に対するハイブリダイゼーシヨンの違いに基づいて、トランスフエクシヨンしたneu遺伝子は、B104−1−1 neu遺伝子と同じ配列の変化を有していると推定される。これらの結果は、この核酸によつて検出される活性型neu遺伝子に関する、10種の独立な事例を与えるものであり;第2の変異誘起剤であるメチルニトロソウレアが、エチルニトロソウレアと同様な機作でこの位置においてneu遺伝子を活性化に導いたことを示し;活性型neu遺伝子がBDIXラツトと同様に、バツフアロー・ラツトにおいても生じることを示している。
A.neu遺伝子に相同な核酸プローブを用いたバツフアロー・ラツト由来の腫瘍DNAに関する検討
スクマーとバーバシツド(米国国立ガン研究所、ベセスダ)は、活性型neu遺伝子を含む10種のメチルニトロソウレアによつて誘起された述経系腫瘍を単離した。これらの腫瘍DNAから得られたトランスフエクタントは、これらのneu遺伝子中の変異が、すでに記載のある腫瘍で見つかるものと同じであるか決定するために検定された。これは以下のようにして行われた;10種の独立な活性型neu遺伝子を含む14のトランスフエクタントが第7図に示されている(トラツク1−14)。ゲルを2連で作成し、上述の核酸プローブにより検索した。すなわち、それらは、正常型(第7図、上)あるいはトランスフオーム型遺伝子に相当する核酸(第7図、下)により検索された。NIH DNA(トラツクN)、DHFRG8 DNA(トラツクG)(高コピーの正常型neu遺伝子)、B104−1−1 DNA (トラツクB)(高コピーのトランスフオーム型neu遺伝子)および、活性型neu遺伝子を含まない2つのバツフアロー・ラツト腫瘍(トラツクc1とc2)が対照として含まれていた。トランスフエクシヨンされたneu遺伝子は全て、上述のトランスフオーム型neucDNAクローンが取られた細胞系列である、B104−1−1 DNA と同じ改変をもつていた。トランスフオーム型遺伝子に対応した核酸に対するハイブリダイゼーシヨンの違いに基づいて、トランスフエクシヨンしたneu遺伝子は、B104−1−1 neu遺伝子と同じ配列の変化を有していると推定される。これらの結果は、この核酸によつて検出される活性型neu遺伝子に関する、10種の独立な事例を与えるものであり;第2の変異誘起剤であるメチルニトロソウレアが、エチルニトロソウレアと同様な機作でこの位置においてneu遺伝子を活性化に導いたことを示し;活性型neu遺伝子がBDIXラツトと同様に、バツフアロー・ラツトにおいても生じることを示している。
B.オリゴヌクレオチドによる変異導入
オリゴヌクレオチドによる変異導入は、通常アミノ酸の第664番目に見いだされるバリン残基をグルタミン残基に置換するために用いられた。この変異neu遺伝子を発現ベクターに挿入し、受容細胞にトランスフエクシヨンあるいは感染させると、生じた安定な細胞系列は100%ガン化した。(それとは対照的に、アミノ酸第664番目にバリン残基を含むタンパク質をコードする正常型neu遺伝子(ガン原遺伝子)でトランスフオームした受容細胞は、0.1%がガン化しただけである。)したがつて、グルタミン酸と同様に、第664番目のグルタミンもまたトランスフオーム型neu遺伝子を生じ、グルタミンを認識する核酸プローブで検出される変異は、トランスフオーム型変異であることが予想される。第664番目におけるアスパラギン酸への置換は、ガン化していない細胞へトランスフエクシヨンあるいは感染することにより、受容細胞の2−3%にガン化した形質を生ずる。これは、ガン化を生起するためには、その変異と共に、過剰発現を伴わねばならないような弱いトランスフオーム型のneu遺伝子アリルを表していると考えられる。
オリゴヌクレオチドによる変異導入は、通常アミノ酸の第664番目に見いだされるバリン残基をグルタミン残基に置換するために用いられた。この変異neu遺伝子を発現ベクターに挿入し、受容細胞にトランスフエクシヨンあるいは感染させると、生じた安定な細胞系列は100%ガン化した。(それとは対照的に、アミノ酸第664番目にバリン残基を含むタンパク質をコードする正常型neu遺伝子(ガン原遺伝子)でトランスフオームした受容細胞は、0.1%がガン化しただけである。)したがつて、グルタミン酸と同様に、第664番目のグルタミンもまたトランスフオーム型neu遺伝子を生じ、グルタミンを認識する核酸プローブで検出される変異は、トランスフオーム型変異であることが予想される。第664番目におけるアスパラギン酸への置換は、ガン化していない細胞へトランスフエクシヨンあるいは感染することにより、受容細胞の2−3%にガン化した形質を生ずる。これは、ガン化を生起するためには、その変異と共に、過剰発現を伴わねばならないような弱いトランスフオーム型のneu遺伝子アリルを表していると考えられる。
C.ヒトneu遺伝子における活性型変異の同定
すでに記載された実験と同様に、この点に関する議論は、ラツトneu発ガン遺伝子の活性化の原因となる点突然変異に関連しているが、ヒト腫瘍細胞DNAにある、それに相当するヒトneu遺伝子における活性型変異の同定と、neu発ガン遺伝子(あるいは、それに相当するガン原遺伝子)の存在の検出に同様な研究法を用いることは可能である。例えば、ラツトneu発ガン遺伝子の活性化の原因である点突然変異を含むことが示されている領域に相当する、ヒトneu遺伝子の領域と特異的に反応する核酸プローブを構築することが可能である。構築可能なプローブの例としては、neu発ガン遺伝子とそのガン原遺伝子の間で異なる、1ヌクレオチドに基づいたものであり、この1ヌクレオチドの改変は、neuガン原遺伝子を活性型発ガン遺伝子に転換する原因である。これらのプローブは、どのような長さのものも可能であるが、一般に15から20ヌクレオチド長であり、ラツトneu発ガン遺伝子について上述されたように、腫瘍細胞ゲノムを分析し、neu発ガン遺伝子中に損傷(変異)があるかを決定し、またその正確な配置を決定するために用いることができる。
すでに記載された実験と同様に、この点に関する議論は、ラツトneu発ガン遺伝子の活性化の原因となる点突然変異に関連しているが、ヒト腫瘍細胞DNAにある、それに相当するヒトneu遺伝子における活性型変異の同定と、neu発ガン遺伝子(あるいは、それに相当するガン原遺伝子)の存在の検出に同様な研究法を用いることは可能である。例えば、ラツトneu発ガン遺伝子の活性化の原因である点突然変異を含むことが示されている領域に相当する、ヒトneu遺伝子の領域と特異的に反応する核酸プローブを構築することが可能である。構築可能なプローブの例としては、neu発ガン遺伝子とそのガン原遺伝子の間で異なる、1ヌクレオチドに基づいたものであり、この1ヌクレオチドの改変は、neuガン原遺伝子を活性型発ガン遺伝子に転換する原因である。これらのプローブは、どのような長さのものも可能であるが、一般に15から20ヌクレオチド長であり、ラツトneu発ガン遺伝子について上述されたように、腫瘍細胞ゲノムを分析し、neu発ガン遺伝子中に損傷(変異)があるかを決定し、またその正確な配置を決定するために用いることができる。
D.neu発ガン遺伝子の存在の検出neu
ガン原遺伝子からneu発ガン遺伝子への変異を引き起こすガン化を検出するためのアツセイは、ガン原遺伝子あるいは発ガン遺伝子中に存在し、他のものには存在しない(あるいは転写される)ヌクレオチド配列に対し特異的な、標識された核酸を用いることからなるものである。ヒト細胞におけるガン化のアツセイは、検定する細胞からDNAを単離し、このDNAを、発ガンあるいはガン原遺伝子のDNA配列のいずれかに特異的な、標識したポリヌクレオチドプローブと接触させ、その後、どちらのプローブがDNAにハイブリダイゼーシヨンしたかを決定することによつて行うことができる。放射性同位体により標識すると、これらのプローブは、例えば点突然変異の生起などについて、腫瘍細胞DNAを検定するためのサザンブロツト法に用いることができる。このタイプのアツセイは、ヒト腫瘍DNA中で活性化されている発ガン遺伝子の性質を決定するための診断法として、臨床的に用いることができる。このアツセイ法は、neu族遺伝子の1ヌクレオチドの改変を検出することができ、アツセイされる腫瘍細胞に関して極めて決定的な情報を供給することができるため、非常に特異的なものとなるだろう。これらのプローブを用いるための試薬は、キツトに収めることが可能である。したがつて、キツトは、プローブに加え1種以上の緩衝液、プローブの標識試薬および、サザンあるいは他のブロツトに用いる試薬などを含むだろう。発ガン遺伝子によりコードされる産物から、ガン原遺伝子によつてコードされる産物タンパク質のアミノ酸配列へ変化するために、特異的な血清試薬によつてもそれぞれを検出することが可能である。この血清試薬は、タンパク質のこの部位において、正常型のneuガン原遺伝子に特定されるアミノ酸配列に特異的なものか、あるいはタンパク質のこの部位において、改変された発ガン遺伝子を特定するアミノ酸配列に特異的なものを用いることができる。改変されていないタンパク質の領域と反応し、その結果、コードされたタンパク質の正常型あるいは異常型と反応できるような、他の血清学的試薬も用いることができる。クローニング技術を用いることにより、ガン原遺伝子の正常な部位、あるいは発ガン遺伝子の改変された部位によつてコードされる、有意な量のタンパク質を単離することができる。このような部分的タンパク質は、通常の抗体生産法によつて抗体を生産するために用いることができる。したがつて、ポリクローナル抗体を生産するために、このようなタンパク質が、ウサギあるいはラツトなどの宿主を免疫するために用いられ、このタンパク質に対する抗体は宿主から得られる血清から回収されるだろう。別の用法としては、ハイブリドーマ細胞を形成する典型的な細胞融合法により、単離された遺伝子部分によつて産生されるタンパク質に対する抗体を生産する細胞を用いることによつて、モノクローナル抗体を生産することができる。基本的には、これらの技術は、抗体産生細胞を不死性を有するミエローマ細胞などと融合し、不死性と求められる抗体(この場合、単離された遺伝子部分によつてコードされる、正常型あるいは改変型タンパク質部分に対する抗体)を産生することのできる融合雑種細胞を与えることを含んでいる。この雑種細胞は、次に抗体産生を促す条件下で培養され、その後、抗体は細胞培養液から回収される。モノクローナル抗体産生のためのこのような技術は、文献に詳しく記載されている。参照するものとしては、例えば、ヒラリー・コプロウスキーらによつて提出された、米国特許第4,172,124号明細書および第4,196,265号明細書などがあり、これから得られた点については参考文献に加えられている。
ガン原遺伝子からneu発ガン遺伝子への変異を引き起こすガン化を検出するためのアツセイは、ガン原遺伝子あるいは発ガン遺伝子中に存在し、他のものには存在しない(あるいは転写される)ヌクレオチド配列に対し特異的な、標識された核酸を用いることからなるものである。ヒト細胞におけるガン化のアツセイは、検定する細胞からDNAを単離し、このDNAを、発ガンあるいはガン原遺伝子のDNA配列のいずれかに特異的な、標識したポリヌクレオチドプローブと接触させ、その後、どちらのプローブがDNAにハイブリダイゼーシヨンしたかを決定することによつて行うことができる。放射性同位体により標識すると、これらのプローブは、例えば点突然変異の生起などについて、腫瘍細胞DNAを検定するためのサザンブロツト法に用いることができる。このタイプのアツセイは、ヒト腫瘍DNA中で活性化されている発ガン遺伝子の性質を決定するための診断法として、臨床的に用いることができる。このアツセイ法は、neu族遺伝子の1ヌクレオチドの改変を検出することができ、アツセイされる腫瘍細胞に関して極めて決定的な情報を供給することができるため、非常に特異的なものとなるだろう。これらのプローブを用いるための試薬は、キツトに収めることが可能である。したがつて、キツトは、プローブに加え1種以上の緩衝液、プローブの標識試薬および、サザンあるいは他のブロツトに用いる試薬などを含むだろう。発ガン遺伝子によりコードされる産物から、ガン原遺伝子によつてコードされる産物タンパク質のアミノ酸配列へ変化するために、特異的な血清試薬によつてもそれぞれを検出することが可能である。この血清試薬は、タンパク質のこの部位において、正常型のneuガン原遺伝子に特定されるアミノ酸配列に特異的なものか、あるいはタンパク質のこの部位において、改変された発ガン遺伝子を特定するアミノ酸配列に特異的なものを用いることができる。改変されていないタンパク質の領域と反応し、その結果、コードされたタンパク質の正常型あるいは異常型と反応できるような、他の血清学的試薬も用いることができる。クローニング技術を用いることにより、ガン原遺伝子の正常な部位、あるいは発ガン遺伝子の改変された部位によつてコードされる、有意な量のタンパク質を単離することができる。このような部分的タンパク質は、通常の抗体生産法によつて抗体を生産するために用いることができる。したがつて、ポリクローナル抗体を生産するために、このようなタンパク質が、ウサギあるいはラツトなどの宿主を免疫するために用いられ、このタンパク質に対する抗体は宿主から得られる血清から回収されるだろう。別の用法としては、ハイブリドーマ細胞を形成する典型的な細胞融合法により、単離された遺伝子部分によつて産生されるタンパク質に対する抗体を生産する細胞を用いることによつて、モノクローナル抗体を生産することができる。基本的には、これらの技術は、抗体産生細胞を不死性を有するミエローマ細胞などと融合し、不死性と求められる抗体(この場合、単離された遺伝子部分によつてコードされる、正常型あるいは改変型タンパク質部分に対する抗体)を産生することのできる融合雑種細胞を与えることを含んでいる。この雑種細胞は、次に抗体産生を促す条件下で培養され、その後、抗体は細胞培養液から回収される。モノクローナル抗体産生のためのこのような技術は、文献に詳しく記載されている。参照するものとしては、例えば、ヒラリー・コプロウスキーらによつて提出された、米国特許第4,172,124号明細書および第4,196,265号明細書などがあり、これから得られた点については参考文献に加えられている。
実 施 例 5:ヒトneu遺伝子のクローニング
ヒトneu遺伝子は、高レベルのneuRNAを発現している2つの頸部ガン細胞系列(SW1710、ME180)のpoly A+ RNA由来のラムダgt11 cDNAライブラリーからクローニングされた。ラツトneuチロシンキナーゼドメインの1300bp Pst I断片を、SW1710cDNAライブラリーを検索するためにプローブとして用いた。2つの組換え体プラークが、制限酵素部位の分析と部分的な配列決定により、ヒトneuとして同定された。組換え体配列は、ヌクレオチド849から始まり、neuタンパク質のはじめの225から1255アミノ酸全てをコードしている。ヒトneu遺伝子の、この欠けた領域は、SW1710 neu cDNAクローンの5′Eco RI断片をプローブとして用いて、ME180 cDNAライブラリーから単離された。この2つのクローンの、サブクローニングされた領域とヒトneu遺伝子の全長の構成を表した図は、第8図に示されている。
ヒトneu遺伝子は、高レベルのneuRNAを発現している2つの頸部ガン細胞系列(SW1710、ME180)のpoly A+ RNA由来のラムダgt11 cDNAライブラリーからクローニングされた。ラツトneuチロシンキナーゼドメインの1300bp Pst I断片を、SW1710cDNAライブラリーを検索するためにプローブとして用いた。2つの組換え体プラークが、制限酵素部位の分析と部分的な配列決定により、ヒトneuとして同定された。組換え体配列は、ヌクレオチド849から始まり、neuタンパク質のはじめの225から1255アミノ酸全てをコードしている。ヒトneu遺伝子の、この欠けた領域は、SW1710 neu cDNAクローンの5′Eco RI断片をプローブとして用いて、ME180 cDNAライブラリーから単離された。この2つのクローンの、サブクローニングされた領域とヒトneu遺伝子の全長の構成を表した図は、第8図に示されている。
A. neu発現ベクターの構築
neuをコードする全配列を、発現ベクターpLJ(ロバートら、1985,J.Virol.,56:404−413)および、pMax(無条件でバーナード・マシユー−プレボツトから譲り受けた、第9図に示されている)にクローニングした。これらのベクターはどちらも、neu遺伝子をモロニー・ミユーリン・白血病ウイルスプロモーターおよびエンハンサー(LTR)による転写調節下に置いている。pLJベクターでは、SV40プロモーターからneoRも発現されている。
neuをコードする全配列を、発現ベクターpLJ(ロバートら、1985,J.Virol.,56:404−413)および、pMax(無条件でバーナード・マシユー−プレボツトから譲り受けた、第9図に示されている)にクローニングした。これらのベクターはどちらも、neu遺伝子をモロニー・ミユーリン・白血病ウイルスプロモーターおよびエンハンサー(LTR)による転写調節下に置いている。pLJベクターでは、SV40プロモーターからneoRも発現されている。
B.膜貫通領域の点突然変異の構築
オリゴによる変異の導入は、アマシヤム社のサイトーデイレクテツド・ミユータゲネシス・キツトを用い、以下のオリゴヌクレオチドを用いて、キツトの指示にしたがつて行い、CTGCGGTGGAGGGCATTCTGこの中で、下線を施したヌクレオチドは正常型ヒトneuアリルと異なるものである。点突然変異の存在は、デイフアレンシヤル・ハイブリダイゼーシヨンおよび、プロメガ社の2重鎖配列決定キツトを用い、キツトの指示にしたがつて配列を分析することによつて決定された。
オリゴによる変異の導入は、アマシヤム社のサイトーデイレクテツド・ミユータゲネシス・キツトを用い、以下のオリゴヌクレオチドを用いて、キツトの指示にしたがつて行い、CTGCGGTGGAGGGCATTCTGこの中で、下線を施したヌクレオチドは正常型ヒトneuアリルと異なるものである。点突然変異の存在は、デイフアレンシヤル・ハイブリダイゼーシヨンおよび、プロメガ社の2重鎖配列決定キツトを用い、キツトの指示にしたがつて配列を分析することによつて決定された。
C.短縮されたneuアリルの構築
pMαxベクターは、第9図に示されるように、ポリリンカーに唯一の切断部位を有するNco Iにより切断し、クレノーにより末端を埋めて平滑末端とした。CATGCATCGATC の配列をもつ12塩基対のSph Iリンカー(N.E.B#1115)をこの部位に挿入し、ポリリンカー中に唯一のPphI部位を導入した。この特定のリンカーは、3つの読み枠全てに翻訳開始シグナル(ATG)を与えるために選ばれた。これによつて生じたベクターは、pMax−Sphとして第9図に示されている。pMax−Sphは、Sph−I部位とXho I部位(いずれもポリリンカー内)で切断された。遺伝子のまさに5′の膜貫通領域から、3′末端のneu cDNAを含む、2225塩基対のSph I/SalI断片が、ヒトneu cDNA全体を含むプラスミド(第9図ではpAbT565として示されている)から単離された。制限酵素によつて切断されたベクターおよび単離された断片は、ライゲーシヨンされ、バクテリア株HB101にトランスフオーメーシヨンされた。これにより生じたプラスミドは第9図に示されており、pMαxデルタneuあるいはpAbT5011と呼ばれている。
pMαxベクターは、第9図に示されるように、ポリリンカーに唯一の切断部位を有するNco Iにより切断し、クレノーにより末端を埋めて平滑末端とした。CATGCATCGATC の配列をもつ12塩基対のSph Iリンカー(N.E.B#1115)をこの部位に挿入し、ポリリンカー中に唯一のPphI部位を導入した。この特定のリンカーは、3つの読み枠全てに翻訳開始シグナル(ATG)を与えるために選ばれた。これによつて生じたベクターは、pMax−Sphとして第9図に示されている。pMax−Sphは、Sph−I部位とXho I部位(いずれもポリリンカー内)で切断された。遺伝子のまさに5′の膜貫通領域から、3′末端のneu cDNAを含む、2225塩基対のSph I/SalI断片が、ヒトneu cDNA全体を含むプラスミド(第9図ではpAbT565として示されている)から単離された。制限酵素によつて切断されたベクターおよび単離された断片は、ライゲーシヨンされ、バクテリア株HB101にトランスフオーメーシヨンされた。これにより生じたプラスミドは第9図に示されており、pMαxデルタneuあるいはpAbT5011と呼ばれている。
D.細胞のトランスフエクシヨン
neuを発現するベクターは、通常のリン酸カルシウム法によつてNIH3T3細胞にトランスフエクシヨンされた。簡単に述べると、第1日目は、細胞を10cmの組織培養皿当たり、5×105プレーテイングする。2日目は、細胞に再び栄養を与え、4時間後にDNAの沈澱を加え、細胞を6時間インキユベーシヨンし、再度栄養を与える。後日、細胞をG418を含む培地に分配し、10−14時間インキユベーシヨンする。NIH3T3DNAをキヤリアーとして用い、pSV−2 neo を選択マーカーとして用いた。
neuを発現するベクターは、通常のリン酸カルシウム法によつてNIH3T3細胞にトランスフエクシヨンされた。簡単に述べると、第1日目は、細胞を10cmの組織培養皿当たり、5×105プレーテイングする。2日目は、細胞に再び栄養を与え、4時間後にDNAの沈澱を加え、細胞を6時間インキユベーシヨンし、再度栄養を与える。後日、細胞をG418を含む培地に分配し、10−14時間インキユベーシヨンする。NIH3T3DNAをキヤリアーとして用い、pSV−2 neo を選択マーカーとして用いた。
E.RNAの単離
細胞の全RNAは、グアニジウム・イソチオシアネート/CsCl法により単離された。培養中の細胞からRNAを単離する際には、溶解緩衝液(4Mグアニジウム・イソチオシアネート、50mM Tris−HCl pH7.5、10mM EDTA、0.5%ザルコシル、0.1M BME)を組織培養皿に直接加えた。凍結組織を開始材料とするときは、組織を溶解緩衝液中で、組織ホモジナイザー(バイオスペツク・プロダクツ INC.)によつて直接ホモジナイズした。次に、細胞溶解液を18ゲージの注射針に通し、SW50.1ベツクマン・ポリアロマー・チユーブに作成した1.2mlの5.7M CsCl、0.1M EDTA溶液上に重層した。これを、35,000rpmで最低12時間遠心する。つぎに、RNAペレツトを1%SDSを含むTEに再溶解する。
細胞の全RNAは、グアニジウム・イソチオシアネート/CsCl法により単離された。培養中の細胞からRNAを単離する際には、溶解緩衝液(4Mグアニジウム・イソチオシアネート、50mM Tris−HCl pH7.5、10mM EDTA、0.5%ザルコシル、0.1M BME)を組織培養皿に直接加えた。凍結組織を開始材料とするときは、組織を溶解緩衝液中で、組織ホモジナイザー(バイオスペツク・プロダクツ INC.)によつて直接ホモジナイズした。次に、細胞溶解液を18ゲージの注射針に通し、SW50.1ベツクマン・ポリアロマー・チユーブに作成した1.2mlの5.7M CsCl、0.1M EDTA溶液上に重層した。これを、35,000rpmで最低12時間遠心する。つぎに、RNAペレツトを1%SDSを含むTEに再溶解する。
F.ハイブリダイゼーシヨンプローブ
細胞外ドメインの一部と、膜貫通ドメインおよびチロシン・キナーゼドメインのわずかな部分を含む1.6kbのEcoRI断片を、第10図に示されるように、プロメガ社のpGEMデユアル・トランスクリプシヨン・ベクターにサブクローニングした。ハイブリダイゼーシヨンに用いるための標識したRNA転写物は、プロメガ社の指示にしたがつて作成した。
細胞外ドメインの一部と、膜貫通ドメインおよびチロシン・キナーゼドメインのわずかな部分を含む1.6kbのEcoRI断片を、第10図に示されるように、プロメガ社のpGEMデユアル・トランスクリプシヨン・ベクターにサブクローニングした。ハイブリダイゼーシヨンに用いるための標識したRNA転写物は、プロメガ社の指示にしたがつて作成した。
G.RNAスロツト・ブロツト分析
RNA試料は、6×SSC、7.4%ホルムアミドにより1μg/mlに希釈され、65℃で15分間加熱し、その後氷上に置かれた。スロツト・ブロツトは、SSSスロツト・ブロツト装置と、制作社の指示にしたがつて供給されているプレカツトBA 85ニトロセルロース・シートを用いて行われた。フイルターは、あらかじめ水、次に10×SSCで浸潤させ、200μlの容量において、200ng/スロツトから開始して、2倍希釈系列としてRNAを加えた。スロツトを次に200μlの10×SSCで洗い、フイルターを真空オーブン中、80℃で2時間加熱した。次に、このフイルターを10×SSCで浸潤させ、ハイブリダイゼーシヨン緩衝液(50%ホルムアミド、5×SSC、50mMリン酸ナトリウム、250μg/mlサケ精子DNA、5×デンハルト)中で2時間プレハイブリダイゼーシヨンを行つた。次に、ハイブリダイゼーシヨン溶液をヒトneuに特異的な、1−2×106cmp/mlの、変性させた32P標識RNAプローブを含む新しい溶液と交換した。このフイルターを次に、65℃で一晩インキユベーシヨンした。翌朝、このフイルターを、0.1×SSC、0.1%SDS、80℃、20分間、3回洗つた。
RNA試料は、6×SSC、7.4%ホルムアミドにより1μg/mlに希釈され、65℃で15分間加熱し、その後氷上に置かれた。スロツト・ブロツトは、SSSスロツト・ブロツト装置と、制作社の指示にしたがつて供給されているプレカツトBA 85ニトロセルロース・シートを用いて行われた。フイルターは、あらかじめ水、次に10×SSCで浸潤させ、200μlの容量において、200ng/スロツトから開始して、2倍希釈系列としてRNAを加えた。スロツトを次に200μlの10×SSCで洗い、フイルターを真空オーブン中、80℃で2時間加熱した。次に、このフイルターを10×SSCで浸潤させ、ハイブリダイゼーシヨン緩衝液(50%ホルムアミド、5×SSC、50mMリン酸ナトリウム、250μg/mlサケ精子DNA、5×デンハルト)中で2時間プレハイブリダイゼーシヨンを行つた。次に、ハイブリダイゼーシヨン溶液をヒトneuに特異的な、1−2×106cmp/mlの、変性させた32P標識RNAプローブを含む新しい溶液と交換した。このフイルターを次に、65℃で一晩インキユベーシヨンした。翌朝、このフイルターを、0.1×SSC、0.1%SDS、80℃、20分間、3回洗つた。
H.ヒトneuアリルのクローニングとトランスフオーム活性試験
高レベルのneuRNAを発現する頸部ガン細胞系列から作成された2つのcDNAライブラリーは、ラツトneucDNAのチロシン・キナーゼドメイン由来のプローブによりスクリーニングされた。制限酵素地図および、部分的な配列データと発表されたデータとの比較から、このスクリーニングから単離された、もともとのクローンから構築された、本来のヒトneuクローンの同一性が確証された。このヒトneucDNAは、つぎにLTRにより発現されるベクターに移された。このヒトneuコンストラクトによりトランスフエクシヨンされた細胞は、ヒト乳ガン細胞系列SKBR−3によつて発現されたヒトの本来のneuと区別できない、185,000Daのタンパク質を発現した。この正常型ヒトneuクローン(第10図に示されるpMax neu)をNIH 3T3細胞にトランスフエクシヨンすると、それらはガン化した。これは、ラツトneu遺伝子について記載されたデータと完全に対照的なものである。ラツトでは、発現レベルにかかわらず、正常型ラツトneuアリルはトランスフオーム活性をもたなかつた。これより低いレベルでneuを発現する、他の発現ベクターにおける正常型ヒトneu遺伝子の発現は、NIH 3T3細胞にガン化を引き起こさなかつた。しかし、もし、ヒトneu遺伝子が、ラツトにおいてグルタミン酸に転換されたバリンと相同なアミノ酸に変異を生じたなら、この遺伝子はどの発現ベクターにおいても細胞をガン化するだろう。短縮したヒトneuアリルをどちらかの発現ベクターにより発現すると、これもまたNIH 3T3細胞をガン化する。これらの結果は、デイ・フイオリら、Science,1987;237:178−182によつて報告されたものと一致する。要約すると、正常型neuに関してはより高い発現レベルが必要とされるが、正常型および変異型ヒトneuアリルはいずれも、NIH 3T3細胞をガン化することができる。
高レベルのneuRNAを発現する頸部ガン細胞系列から作成された2つのcDNAライブラリーは、ラツトneucDNAのチロシン・キナーゼドメイン由来のプローブによりスクリーニングされた。制限酵素地図および、部分的な配列データと発表されたデータとの比較から、このスクリーニングから単離された、もともとのクローンから構築された、本来のヒトneuクローンの同一性が確証された。このヒトneucDNAは、つぎにLTRにより発現されるベクターに移された。このヒトneuコンストラクトによりトランスフエクシヨンされた細胞は、ヒト乳ガン細胞系列SKBR−3によつて発現されたヒトの本来のneuと区別できない、185,000Daのタンパク質を発現した。この正常型ヒトneuクローン(第10図に示されるpMax neu)をNIH 3T3細胞にトランスフエクシヨンすると、それらはガン化した。これは、ラツトneu遺伝子について記載されたデータと完全に対照的なものである。ラツトでは、発現レベルにかかわらず、正常型ラツトneuアリルはトランスフオーム活性をもたなかつた。これより低いレベルでneuを発現する、他の発現ベクターにおける正常型ヒトneu遺伝子の発現は、NIH 3T3細胞にガン化を引き起こさなかつた。しかし、もし、ヒトneu遺伝子が、ラツトにおいてグルタミン酸に転換されたバリンと相同なアミノ酸に変異を生じたなら、この遺伝子はどの発現ベクターにおいても細胞をガン化するだろう。短縮したヒトneuアリルをどちらかの発現ベクターにより発現すると、これもまたNIH 3T3細胞をガン化する。これらの結果は、デイ・フイオリら、Science,1987;237:178−182によつて報告されたものと一致する。要約すると、正常型neuに関してはより高い発現レベルが必要とされるが、正常型および変異型ヒトneuアリルはいずれも、NIH 3T3細胞をガン化することができる。
I.ヒト細胞系列および乳ガンにおけるneuRNAレベルの分析
細胞の全RNAは、グアニジウム・イソチオシアネート法により、種々のヒト細胞系列および乳ガンから単離された。次に、RNAをヒトneuに特異的なプローブ、すなわち、細胞外ドメインの一部、膜貫通ドメインおよびチロシン・キナーゼドメインの一部を含む1.6kbのEcoRI断片を用いたスロツト・ブロツト分析にかけた。また、全てのRNA試料は、フイルター上にあるRNA量を補正するために、アルフア・チユーブリンを用いてハイブリダイゼーシヨンした。ヒト乳細胞系列HBL100(ATCC HTB 124)は、対照として用いられ、全ての結果は、HBL100との相対的なレベルを表している。E.ガフニー、Cell Tissue Res.,229:563−568(1982)。neuの発現レベルは、HBL100のレベルの1から64倍まで変動した。これらの結果は第1表に示されている。
細胞の全RNAは、グアニジウム・イソチオシアネート法により、種々のヒト細胞系列および乳ガンから単離された。次に、RNAをヒトneuに特異的なプローブ、すなわち、細胞外ドメインの一部、膜貫通ドメインおよびチロシン・キナーゼドメインの一部を含む1.6kbのEcoRI断片を用いたスロツト・ブロツト分析にかけた。また、全てのRNA試料は、フイルター上にあるRNA量を補正するために、アルフア・チユーブリンを用いてハイブリダイゼーシヨンした。ヒト乳細胞系列HBL100(ATCC HTB 124)は、対照として用いられ、全ての結果は、HBL100との相対的なレベルを表している。E.ガフニー、Cell Tissue Res.,229:563−568(1982)。neuの発現レベルは、HBL100のレベルの1から64倍まで変動した。これらの結果は第1表に示されている。
実 施 例 6.:neu特異的モノクローナル抗体の作製
A.ハイブリドーマの作製
後に記すハイブリドーマは、neu癌遺伝子にコードされた全長のタンパク質を発現している生細胞(後に記す18−3−7細胞系統)を用いてマウスを免疫処理することにより得られた。このことはモノクローナル抗体産生に関して、他のアプローチとは重要な違いである。生細胞により提示された全長タンパク質を免疫原として用いることで、そのタンパク質の細胞質外ドメインの全体に及ぶ特異性をもつモノクローナル抗体を収集することができるのである。このことは、もとのタンパク質から、限られた数のエピトープしか、提示できず、それ故に限られた特異性の免疫反応を上げるという、ペプチドの免疫原や、原核生物のシステムにより作られた短いポリペプチドを用いるのとは反対のものである。更にタンパク質の抗原を本来の状態で提示することにより、その免疫システムは、後にその抗体を診断あるいは治療上の応用に用いる時に見られるであろうものと非常によく似た抗原とも反応してくれることだろう。
A.ハイブリドーマの作製
後に記すハイブリドーマは、neu癌遺伝子にコードされた全長のタンパク質を発現している生細胞(後に記す18−3−7細胞系統)を用いてマウスを免疫処理することにより得られた。このことはモノクローナル抗体産生に関して、他のアプローチとは重要な違いである。生細胞により提示された全長タンパク質を免疫原として用いることで、そのタンパク質の細胞質外ドメインの全体に及ぶ特異性をもつモノクローナル抗体を収集することができるのである。このことは、もとのタンパク質から、限られた数のエピトープしか、提示できず、それ故に限られた特異性の免疫反応を上げるという、ペプチドの免疫原や、原核生物のシステムにより作られた短いポリペプチドを用いるのとは反対のものである。更にタンパク質の抗原を本来の状態で提示することにより、その免疫システムは、後にその抗体を診断あるいは治療上の応用に用いる時に見られるであろうものと非常によく似た抗原とも反応してくれることだろう。
B.18−3−7細胞の作製
18−3−7細胞は、ヒト乳癌細胞系統のSKBR−3と同じかそれ以上の水準で、全長の通常のヒトneuを発現しているトランスフエクトされたNIH3T3細胞系統である。ヒトneu遺伝子はネズミ白血病ウイルスLTR(プロモーター及びエンハンサー)によつて発現している。この細胞系統は形質転換されたNIH3T3細胞の全ての特徴を示す。それは、軟寒天でも成長し、ヌード・マウス(nude mouse)で腫瘍を形成するし、変わつた形態学的特徴も示す。この細胞系統を、抗neu特異的モノクローナル抗体の単離のための免疫原として用いた。pLJレトロウイルスのベクター(pLJ retroviral vector)を改変して、ポリオーマ(Polyoma)の初期領城を取り除くことで、pLJ ベクターの内因的な形質転換活性を排除した。改変したベクターの構成を図11に示す。改変は、pLJをApaIで制限酵素処理して、6300塩基対の断片を分離して、それをT4リガーゼ(T4 ligase)で再び環状にすることでなされた。その結果できたプラスミド(pデルタLJ=pΔLJもしくはAbT5009;図11参照)を唯一のBamHI サイトで分解し、クレノー(Klenow)でフイル・イン(fillin)して、ヒトneuタンパク質のコーデイング領域全体をもつNco I−HindIIIをフイル・インした断片とライゲーシヨンさせた。その結果できたプラスミド(pΔLJneuもしくはpAbT577;図11参照)をカルシウムリン酸−沈澱法によりNIH3T3細胞にトランスフエクトした。トランスフエクトされた細胞をG418(pΔLJはSV40でプロモートされるネオマイシン耐性遺伝子(SV40promoted neoR)を持つている)で選択した。そのコロン−をRNAドツトブロツト(RNA dotblots)によりneu発現性に対し、スクリーニングにかけた。18−3−7はスクリーニングしたおよそ50のうちで最も高い発現細胞の1つであつた。
18−3−7細胞は、ヒト乳癌細胞系統のSKBR−3と同じかそれ以上の水準で、全長の通常のヒトneuを発現しているトランスフエクトされたNIH3T3細胞系統である。ヒトneu遺伝子はネズミ白血病ウイルスLTR(プロモーター及びエンハンサー)によつて発現している。この細胞系統は形質転換されたNIH3T3細胞の全ての特徴を示す。それは、軟寒天でも成長し、ヌード・マウス(nude mouse)で腫瘍を形成するし、変わつた形態学的特徴も示す。この細胞系統を、抗neu特異的モノクローナル抗体の単離のための免疫原として用いた。pLJレトロウイルスのベクター(pLJ retroviral vector)を改変して、ポリオーマ(Polyoma)の初期領城を取り除くことで、pLJ ベクターの内因的な形質転換活性を排除した。改変したベクターの構成を図11に示す。改変は、pLJをApaIで制限酵素処理して、6300塩基対の断片を分離して、それをT4リガーゼ(T4 ligase)で再び環状にすることでなされた。その結果できたプラスミド(pデルタLJ=pΔLJもしくはAbT5009;図11参照)を唯一のBamHI サイトで分解し、クレノー(Klenow)でフイル・イン(fillin)して、ヒトneuタンパク質のコーデイング領域全体をもつNco I−HindIIIをフイル・インした断片とライゲーシヨンさせた。その結果できたプラスミド(pΔLJneuもしくはpAbT577;図11参照)をカルシウムリン酸−沈澱法によりNIH3T3細胞にトランスフエクトした。トランスフエクトされた細胞をG418(pΔLJはSV40でプロモートされるネオマイシン耐性遺伝子(SV40promoted neoR)を持つている)で選択した。そのコロン−をRNAドツトブロツト(RNA dotblots)によりneu発現性に対し、スクリーニングにかけた。18−3−7はスクリーニングしたおよそ50のうちで最も高い発現細胞の1つであつた。
C.マウスの免疫処理
一匹あたり、1.4×106のNIH3T3生細胞を用いて、雌バルブ・シーマウス(Balb/c mouse)の成体2匹を腹膜組織内で(intraperitoneally=I.P.)免疫処理した。これに続き、すぐにシクロホスフアミド(cyclophosphamide)水溶液(30mg/kgH2O)をI.P.に注射した。シクロホスフアミド処理は最初の注射から24、48時間後にくり返された。免疫処理後14日目に、1.5×106の18−3−7生細胞をマウスにI.P.で注射した。更に14日間休ませた後、再び、NIH3T3細胞、シクロホスフアミドそして18−3−7細胞の注射という一連の操作をくり返した。2回目の18−3−7細胞の注射後4日後にその動物は犠牲にされ、その脾臓が、最初の融合用に採られた。これとはまた別に、4匹の雌バルブ・シーマウスと4匹の雌のCB6(Balb/c×C57BL/6)マウスを用いて初めのラウンドは一匹あたり1.8×106のNIB3T3細胞、4.8×106の18−3−7細胞を2回目では8.5×106のNIH3T3細胞、2.7×106の18−3−7細胞を免疫処理に用いて、全く同じ実験を行なつた。
一匹あたり、1.4×106のNIH3T3生細胞を用いて、雌バルブ・シーマウス(Balb/c mouse)の成体2匹を腹膜組織内で(intraperitoneally=I.P.)免疫処理した。これに続き、すぐにシクロホスフアミド(cyclophosphamide)水溶液(30mg/kgH2O)をI.P.に注射した。シクロホスフアミド処理は最初の注射から24、48時間後にくり返された。免疫処理後14日目に、1.5×106の18−3−7生細胞をマウスにI.P.で注射した。更に14日間休ませた後、再び、NIH3T3細胞、シクロホスフアミドそして18−3−7細胞の注射という一連の操作をくり返した。2回目の18−3−7細胞の注射後4日後にその動物は犠牲にされ、その脾臓が、最初の融合用に採られた。これとはまた別に、4匹の雌バルブ・シーマウスと4匹の雌のCB6(Balb/c×C57BL/6)マウスを用いて初めのラウンドは一匹あたり1.8×106のNIB3T3細胞、4.8×106の18−3−7細胞を2回目では8.5×106のNIH3T3細胞、2.7×106の18−3−7細胞を免疫処理に用いて、全く同じ実験を行なつた。
D.ハイブリドーマの方法論
ハイブリドーマは、免疫処理されたマウスからの細胞をSP2/0骨髄腫細胞(myeloma cell)とをポリエチレングリコール(polyethylene glycol=PEG)法に従つて融合させることにより作られた。脾臓を免疫処理したマウスから無菌的に採取して、脾臓を無血清培地(DME)で培養することにより、脾臓細胞の単一細胞懸濁液(single cell suspension)を得た。脾臓細胞とSP2/0細胞(対数相(logphase)培養液より採取)を、脾臓細胞:骨髄腫細胞=5:1の比でまぜあわせた。それを200×gで4℃にて10分間遠心して上清を吸引により取り除いた。チユーブの底を軽くたたくことで、細胞のペレツトを緩めた後、1mlの滅菌した37℃の10% PEG/DME 溶液を一滴ずつ加えた。1.5分以上の間隔で、PEGを加えながら、チユーブを穏やかに振つた(swirl)。更に37℃の無血清DME10mlを一滴ずつ加えて、その後、更に20mlの培地を加えた。それから懸濁液を200×gで室温下10分間遠心した。培地を吸引により、細胞のペレツトから取り除き、20%の胎児ウシ血清、0.2mMヒポキサンチン(hypoxanthine)、0.4μMアミノプテリン(aminopterin)、0.032mMチミジン(thymidine)の存在下で腹膜のマクロフアージを含む(2×104細胞/ml)培地(HAT培地)を用いて、細胞のペレツトを再び懸濁した。(腹膜のマクロフアージは、融合して用いられる細胞に従つて、Balb/cまたはCB6の免疫処理をしていないマウスから得た。注射してすぐに無血清培地を安楽死させた動物の腹膜へ移すことで、こうした細胞が得られた。)融合後の細胞を(腹膜マクロフアージを含めないで)最終細胞濃度で5×105細胞/mlに再び懸濁した。この細胞混合液の1mlを24ウエル・プレート(well plate)の各ウエル(well)に分配した。
ハイブリドーマは、免疫処理されたマウスからの細胞をSP2/0骨髄腫細胞(myeloma cell)とをポリエチレングリコール(polyethylene glycol=PEG)法に従つて融合させることにより作られた。脾臓を免疫処理したマウスから無菌的に採取して、脾臓を無血清培地(DME)で培養することにより、脾臓細胞の単一細胞懸濁液(single cell suspension)を得た。脾臓細胞とSP2/0細胞(対数相(logphase)培養液より採取)を、脾臓細胞:骨髄腫細胞=5:1の比でまぜあわせた。それを200×gで4℃にて10分間遠心して上清を吸引により取り除いた。チユーブの底を軽くたたくことで、細胞のペレツトを緩めた後、1mlの滅菌した37℃の10% PEG/DME 溶液を一滴ずつ加えた。1.5分以上の間隔で、PEGを加えながら、チユーブを穏やかに振つた(swirl)。更に37℃の無血清DME10mlを一滴ずつ加えて、その後、更に20mlの培地を加えた。それから懸濁液を200×gで室温下10分間遠心した。培地を吸引により、細胞のペレツトから取り除き、20%の胎児ウシ血清、0.2mMヒポキサンチン(hypoxanthine)、0.4μMアミノプテリン(aminopterin)、0.032mMチミジン(thymidine)の存在下で腹膜のマクロフアージを含む(2×104細胞/ml)培地(HAT培地)を用いて、細胞のペレツトを再び懸濁した。(腹膜のマクロフアージは、融合して用いられる細胞に従つて、Balb/cまたはCB6の免疫処理をしていないマウスから得た。注射してすぐに無血清培地を安楽死させた動物の腹膜へ移すことで、こうした細胞が得られた。)融合後の細胞を(腹膜マクロフアージを含めないで)最終細胞濃度で5×105細胞/mlに再び懸濁した。この細胞混合液の1mlを24ウエル・プレート(well plate)の各ウエル(well)に分配した。
E.エライザ(ELISA)の手順と予備のスクリーニング
融合操作後、成長したハイブリドーマについて、18−3−7細胞の細胞ライセート(cell lysate)上でエライザアツセイにより、抗neu抗体の分泌に対するスクリーニングを先ず行なつた。新しく採取した18−3−7細胞を低張性の溶解緩衝液(10mMトリス、10mM KCl、5mM EDTA、pH8.0)存在下で培養することにより、ライセートを調製し、その後トライトンX−100(Triton X−100)を最終濃度1%になるように加えた。NIH3T3細胞のライセートを負のコントロールとして用いるため、同様に調製した。マイクロタイタープレート(microtiter plate)(ヌンク,イムノプレートII;Nunc,Immunoplate II)を、総タンパク質濃度500μg/mlなるライセート50μlを用いて室温で夜通しコートした。結合していない抗原を吸引して取り除いた後抗原でコートしたマイクロタイターウエル中のハイブリドーマの生コロニーから得た培養液の上清50μlをまずインキユベートすることから、エライザを行なつた。37℃で3時間保温した後、洗浄緩衝液(0.5%ツイーン20;Tween20、20mMトリス、pH7.6)で3回洗いそれから、ホースラデイツシユ ペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)で標識したヤギ抗マウスイムノグロブリン(Ig)G+IgA+IgM(HRP−GAM−GAM)50μl と共に37℃で1時間保温した。ウエルを洗浄緩衝液で再度、3回洗つて、更にテトラメチルベンジヂン(tetramethyl benzidine=TMB)溶液を50μl加えることでアツセイを展開した。この溶液は、ジメチルサルフオキシド(dimethyl sulfoxide=DMSO)1mlにTMB10mgを溶かし、その内100μl をTMB緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム;クエン酸でpH6.0にしたもの)5mlに、3%過酸化水素10μlと共に加えることで調製された。発色を5分間行ない、次いで2N硫酸(H2SO4)50μlを加えることで酵素反応を止めた。その結果現れた黄呈色の光学密度(optical density=OD)をマイクロタイタープレートリーダー(microtiter plate reader)で450nmにて読んだ。NIH3T3細胞でコートされたウエル上でよりも、18−3−7細胞でコートされたウエル上の方が、黄発色が強いことで示されるように、正反応は培養液上清中に、neu癌遺伝子産物を認識する抗体があることを表していた。
融合操作後、成長したハイブリドーマについて、18−3−7細胞の細胞ライセート(cell lysate)上でエライザアツセイにより、抗neu抗体の分泌に対するスクリーニングを先ず行なつた。新しく採取した18−3−7細胞を低張性の溶解緩衝液(10mMトリス、10mM KCl、5mM EDTA、pH8.0)存在下で培養することにより、ライセートを調製し、その後トライトンX−100(Triton X−100)を最終濃度1%になるように加えた。NIH3T3細胞のライセートを負のコントロールとして用いるため、同様に調製した。マイクロタイタープレート(microtiter plate)(ヌンク,イムノプレートII;Nunc,Immunoplate II)を、総タンパク質濃度500μg/mlなるライセート50μlを用いて室温で夜通しコートした。結合していない抗原を吸引して取り除いた後抗原でコートしたマイクロタイターウエル中のハイブリドーマの生コロニーから得た培養液の上清50μlをまずインキユベートすることから、エライザを行なつた。37℃で3時間保温した後、洗浄緩衝液(0.5%ツイーン20;Tween20、20mMトリス、pH7.6)で3回洗いそれから、ホースラデイツシユ ペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)で標識したヤギ抗マウスイムノグロブリン(Ig)G+IgA+IgM(HRP−GAM−GAM)50μl と共に37℃で1時間保温した。ウエルを洗浄緩衝液で再度、3回洗つて、更にテトラメチルベンジヂン(tetramethyl benzidine=TMB)溶液を50μl加えることでアツセイを展開した。この溶液は、ジメチルサルフオキシド(dimethyl sulfoxide=DMSO)1mlにTMB10mgを溶かし、その内100μl をTMB緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム;クエン酸でpH6.0にしたもの)5mlに、3%過酸化水素10μlと共に加えることで調製された。発色を5分間行ない、次いで2N硫酸(H2SO4)50μlを加えることで酵素反応を止めた。その結果現れた黄呈色の光学密度(optical density=OD)をマイクロタイタープレートリーダー(microtiter plate reader)で450nmにて読んだ。NIH3T3細胞でコートされたウエル上でよりも、18−3−7細胞でコートされたウエル上の方が、黄発色が強いことで示されるように、正反応は培養液上清中に、neu癌遺伝子産物を認識する抗体があることを表していた。
F.ハイブリドーマのサブクローニング
最初のスクリーニングで正の結果を得たハイブリドーマを、限界希釈により広げてクローン化して、細胞及びその抗体を確実にモノクローナルなものとした。生後6週の免疫処理していないマウスから胸腺細胞を得て、HAT培地で2×104細胞/mlの濃度になるよう単一細胞懸濁液を作ることでフイーダー細胞群(feeder cell population)を最初に調製した。neu遺伝子産物に対する抗体の有無での試験で正とされたハイブリドーマのコロニーを、胸腺細胞を含んだ培地に5ハイブリドーマ細胞/mlの濃度になるように希釈した。それから、この液200ulを、96ウエルマイクロタイタープレートの各ウエルに分けた。一度コロニーを成長させてから、その上清を再び、neu癌遺伝子産物の有無に関して試験した。先に記したエライザアツセイで試験して、その結果が正であれば、そのコロニーを再度限界希釈してクローン化した。初めの融合について上記の方法で得られたハイブリドーマは、モノクローナル抗体を分泌しており、BD5−2d、TA1−1c、RC1−1c、NA3−6a、OD3−10jと名付けられている。2回目の融合についても、ハイブリドーマが得られ、PB−3、RC6−2、NB3、ID5、IB3−4と名のついた抗体を分泌している。
最初のスクリーニングで正の結果を得たハイブリドーマを、限界希釈により広げてクローン化して、細胞及びその抗体を確実にモノクローナルなものとした。生後6週の免疫処理していないマウスから胸腺細胞を得て、HAT培地で2×104細胞/mlの濃度になるよう単一細胞懸濁液を作ることでフイーダー細胞群(feeder cell population)を最初に調製した。neu遺伝子産物に対する抗体の有無での試験で正とされたハイブリドーマのコロニーを、胸腺細胞を含んだ培地に5ハイブリドーマ細胞/mlの濃度になるように希釈した。それから、この液200ulを、96ウエルマイクロタイタープレートの各ウエルに分けた。一度コロニーを成長させてから、その上清を再び、neu癌遺伝子産物の有無に関して試験した。先に記したエライザアツセイで試験して、その結果が正であれば、そのコロニーを再度限界希釈してクローン化した。初めの融合について上記の方法で得られたハイブリドーマは、モノクローナル抗体を分泌しており、BD5−2d、TA1−1c、RC1−1c、NA3−6a、OD3−10jと名付けられている。2回目の融合についても、ハイブリドーマが得られ、PB−3、RC6−2、NB3、ID5、IB3−4と名のついた抗体を分泌している。
G.抗体のアイソタイプ(isotype)及びサブクラス(subclass)の決定
ハイブリドーマによつて生産される抗体のアイソタイプ及び軽鎖のクラスを決定するため、また、IgGサブクラスを決定するため、エライザ・アツセイを行なつた。この目的のため、ボエリンガー マンハイム(Boehringer Manheim)(インデイアナポリス;Indianapolis=IN)より、 必要な免疫試薬全てが入つているキツトを調達した。クローン化したハイブリドーマのコロニーから得た組織培養液の上清を、先に記した様に、18−3−7細胞のライセート上で保温した。この後、種々のマウスイムノグロブリンアイソタイプ、軽鎖クラス、IgGサブクラスに特異的な種々のヤギ抗血清と共に保温してから、2次抗体としてのホースデイツシユペルオキシダーゼで標識したブタ抗ヤギIgGと共に保温した。メーカーの教えにより、ABTS(2,2′−アジノ−ビス−〔3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸〕;2,2′−azino−bis−〔3−ethylbenzthiazoline−6−sulfonic aoid〕)を用いてアツセイを展開して、その結果生じた緑呈色のODを405nmで読んだ。この方法を用いることで、最初の融合からのモノクローナル抗体のうち、3つ(BD5−2d、RC1−4c、TA1−1c)が、IgG1/カツパ(kappa)抗体であり、NA3−6a、OD3−10jはIgM/カツパ抗体であることが決定された。また、2回目の融合で得られたRC6−2、NB3、ID5、IB3−4のモノクローナル抗体は、IgG1/カツパであり、抗体PB3はIgG2a/ラムダ(lambda)である。
ハイブリドーマによつて生産される抗体のアイソタイプ及び軽鎖のクラスを決定するため、また、IgGサブクラスを決定するため、エライザ・アツセイを行なつた。この目的のため、ボエリンガー マンハイム(Boehringer Manheim)(インデイアナポリス;Indianapolis=IN)より、 必要な免疫試薬全てが入つているキツトを調達した。クローン化したハイブリドーマのコロニーから得た組織培養液の上清を、先に記した様に、18−3−7細胞のライセート上で保温した。この後、種々のマウスイムノグロブリンアイソタイプ、軽鎖クラス、IgGサブクラスに特異的な種々のヤギ抗血清と共に保温してから、2次抗体としてのホースデイツシユペルオキシダーゼで標識したブタ抗ヤギIgGと共に保温した。メーカーの教えにより、ABTS(2,2′−アジノ−ビス−〔3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸〕;2,2′−azino−bis−〔3−ethylbenzthiazoline−6−sulfonic aoid〕)を用いてアツセイを展開して、その結果生じた緑呈色のODを405nmで読んだ。この方法を用いることで、最初の融合からのモノクローナル抗体のうち、3つ(BD5−2d、RC1−4c、TA1−1c)が、IgG1/カツパ(kappa)抗体であり、NA3−6a、OD3−10jはIgM/カツパ抗体であることが決定された。また、2回目の融合で得られたRC6−2、NB3、ID5、IB3−4のモノクローナル抗体は、IgG1/カツパであり、抗体PB3はIgG2a/ラムダ(lambda)である。
H.放射免疫沈降反応
neu癌遺伝子産物の予想される分子量である185kdの分子量のタンパク質を抗体が認識するか否かを決めるために、各モノクローナル抗体を用いて、放射性標識された18−3−7細胞の免疫沈降を行なつた。10cmペトリ皿(petri dish)内の18−3−7細胞(もしくはNIH3T3細胞)のほとんど混じ合つている単層を、500μCiの35Sで標識したシステインを含む培地で、夜通し、培養した。翌朝、細胞を採取し、プロテアーゼ阻害剤PMSF及び、大豆トリプソン阻害剤の入つた洗浄性緩衝液(IP緩衝液:1%トライトンX−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、10mMトリス、0.65M NaCl、pH 7.2)中で溶解させた。およそ、1μCiの標識細胞標本を各ハイブリドーマ由来の培養液上清500μlと共に4℃で夜通しインキユベートした。この間に、精製したウサギ抗マウスIgG(キルケガード及びペリー ラボ;Kirkegaard & perry Labs)50μg をIP緩衝液中のプロテイン A−セフアロース(ProteinA−Sepharose)(フアルマシア;Pharmacia )1:1のスラリー(slurry)50μlと4℃で夜通し混ぜた。過剰のウサギ抗体をIP緩衝液でプロテイン A−セフアロースを1回洗うことで取り除き、それから、標識細胞と、モノクローナル抗体を含んだ培養混合液に、そのスラリーを加えた。この混合液を4℃で夜通し反応させた。プロテイン A−セフアロースを遠心してペレツトにし、IP緩衝液で4回洗い、次いでTBS(10mMトリス、150mM NaCl、pH8.2)で1回洗つてからペレツトを乾かした。SDSゲル用の試料用緩衝液(10mM トリス、4%SDS、20%グリセロール、10% 2−メルカプトエタノール;2−mercaptoethanol、0.04% ブロモフエノール ブルー;brom phenol blue)50μlに各ペレツトを再び懸濁した。4.5%アクリルアミド重層用ゲル及び7%分離用ゲルを用いて、各試料の半分をSDSポリアクリルアミドゲル(SDS polyacrylamide gel)にかけた。ゲルを乾かし、オートラジオグラフイーにかけた。全てのモノクローナル抗体はNIH3T3細胞には見られない。18−3−7細胞中の約185kd の分子量を持つタンパク質を認識することが、免疫沈降反応の結果から示された。このことは、標準タンパク質マーカーにより示される様に185kd の分子量を持つタンパク質がゲル内で移動する距離に相当するバンドが、オートラジオグラフで存在したことにより決定された。同様の実験が、SKBR−3細胞(ヒト肺癌)及びA431細胞(ヒトの類表皮性癌)を用いてなされた。SKBR−3細胞は他の研究者たちにより、ヒトneu癌遺伝子産物を高水準で発現していることが示されていたが、上に記したモノクローナル抗体を用いた免疫沈降反応では、これを確かなものとする結果を得た。観察されたバンドは、18−3−7標識細胞から、沈降されたバンドと等しい距離だけ移動していた。一方、A431細胞系統は、ヒト表皮成長因子受容体(EGFR)を非常に高い水準で発現していることで知られているが、EGFRは170kdのタンパク質で、ヒトneu癌遺伝子産物と、タンパク質のチロシンキナーゼドメインで、重要な相同性を持つている。これは、もし抗体が、チロシンキナーゼ領域を認識していれば、neu遺伝子産物と交差反応を起こすかもしれないタンパク質なのである。しかしながら、上記のモノクローナル抗体を用いたA431細胞の免疫沈降反応は、185kdの所も170kdの所も反応性を示さなかつた。ヒトEGFRに特異的な、コントロールの抗体は予想通り、A431細胞のタンパク質とうまく反応して、観察されたバンドは、170kdの分子量に相当した。18−3−7細胞に対して生じたモノクローナル抗体を用いるとA431との反応性が見られなかつたことから、抗体はヒトneu癌遺伝子産物に特異的であり、ヒト表皮成長因子受容体とは交差反応しないということが、結論づけられた。
neu癌遺伝子産物の予想される分子量である185kdの分子量のタンパク質を抗体が認識するか否かを決めるために、各モノクローナル抗体を用いて、放射性標識された18−3−7細胞の免疫沈降を行なつた。10cmペトリ皿(petri dish)内の18−3−7細胞(もしくはNIH3T3細胞)のほとんど混じ合つている単層を、500μCiの35Sで標識したシステインを含む培地で、夜通し、培養した。翌朝、細胞を採取し、プロテアーゼ阻害剤PMSF及び、大豆トリプソン阻害剤の入つた洗浄性緩衝液(IP緩衝液:1%トライトンX−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、10mMトリス、0.65M NaCl、pH 7.2)中で溶解させた。およそ、1μCiの標識細胞標本を各ハイブリドーマ由来の培養液上清500μlと共に4℃で夜通しインキユベートした。この間に、精製したウサギ抗マウスIgG(キルケガード及びペリー ラボ;Kirkegaard & perry Labs)50μg をIP緩衝液中のプロテイン A−セフアロース(ProteinA−Sepharose)(フアルマシア;Pharmacia )1:1のスラリー(slurry)50μlと4℃で夜通し混ぜた。過剰のウサギ抗体をIP緩衝液でプロテイン A−セフアロースを1回洗うことで取り除き、それから、標識細胞と、モノクローナル抗体を含んだ培養混合液に、そのスラリーを加えた。この混合液を4℃で夜通し反応させた。プロテイン A−セフアロースを遠心してペレツトにし、IP緩衝液で4回洗い、次いでTBS(10mMトリス、150mM NaCl、pH8.2)で1回洗つてからペレツトを乾かした。SDSゲル用の試料用緩衝液(10mM トリス、4%SDS、20%グリセロール、10% 2−メルカプトエタノール;2−mercaptoethanol、0.04% ブロモフエノール ブルー;brom phenol blue)50μlに各ペレツトを再び懸濁した。4.5%アクリルアミド重層用ゲル及び7%分離用ゲルを用いて、各試料の半分をSDSポリアクリルアミドゲル(SDS polyacrylamide gel)にかけた。ゲルを乾かし、オートラジオグラフイーにかけた。全てのモノクローナル抗体はNIH3T3細胞には見られない。18−3−7細胞中の約185kd の分子量を持つタンパク質を認識することが、免疫沈降反応の結果から示された。このことは、標準タンパク質マーカーにより示される様に185kd の分子量を持つタンパク質がゲル内で移動する距離に相当するバンドが、オートラジオグラフで存在したことにより決定された。同様の実験が、SKBR−3細胞(ヒト肺癌)及びA431細胞(ヒトの類表皮性癌)を用いてなされた。SKBR−3細胞は他の研究者たちにより、ヒトneu癌遺伝子産物を高水準で発現していることが示されていたが、上に記したモノクローナル抗体を用いた免疫沈降反応では、これを確かなものとする結果を得た。観察されたバンドは、18−3−7標識細胞から、沈降されたバンドと等しい距離だけ移動していた。一方、A431細胞系統は、ヒト表皮成長因子受容体(EGFR)を非常に高い水準で発現していることで知られているが、EGFRは170kdのタンパク質で、ヒトneu癌遺伝子産物と、タンパク質のチロシンキナーゼドメインで、重要な相同性を持つている。これは、もし抗体が、チロシンキナーゼ領域を認識していれば、neu遺伝子産物と交差反応を起こすかもしれないタンパク質なのである。しかしながら、上記のモノクローナル抗体を用いたA431細胞の免疫沈降反応は、185kdの所も170kdの所も反応性を示さなかつた。ヒトEGFRに特異的な、コントロールの抗体は予想通り、A431細胞のタンパク質とうまく反応して、観察されたバンドは、170kdの分子量に相当した。18−3−7細胞に対して生じたモノクローナル抗体を用いるとA431との反応性が見られなかつたことから、抗体はヒトneu癌遺伝子産物に特異的であり、ヒト表皮成長因子受容体とは交差反応しないということが、結論づけられた。
実 施 例 7:生物学的試料におけるp185 neu抗原の検出
今までの実施例は、血清、血漿、尿といつたヒトの体液あるいは前新生細胞、新生細胞におけるヒトneu抗原(約185000ダルトンの分子量;p185と呼ぶ)の検出を説明している。
今までの実施例は、血清、血漿、尿といつたヒトの体液あるいは前新生細胞、新生細胞におけるヒトneu抗原(約185000ダルトンの分子量;p185と呼ぶ)の検出を説明している。
A.キヤプチヤーイムノアツセイ
多様な生物標本からneu抗原を奪取(キヤプチヤー)する目的で、ポリスチレンプレート(コスター社、ケンブリツジ、MA)を1マイクログラム(μg)の抗neuモノクローナル抗体(Mab)、複数の抗neuモノクローナル抗体の混合物、またはポリクローナル抗neu抗体のいずれかでコートした。Mabは炭酸緩衝液(pH=9.6)で希釈し、マイクロタイタープレートの各ウエルに100ulを加えた。次に、プレートを37℃で一晩インキユベートした。インキユベート後、プレートを0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で3回洗浄した。続いて抗neu抗体でコートされていないマイクロタイタープレートのウエル部分をブロツクするために、2.5%のBSAを含むPBS溶液を加えてプレートをインキユベートした。プレートを37℃で1時間インキユベートし、再度PBS/0.1% BSAで3回洗浄した。プレートを使用しない場合には使用時まで4℃で保存した。neu抗原の評価を行う標本は、正常細胞、前腫瘍細胞、腫瘍細胞、または血清、血漿、あるいは尿などの体液である。標本からneu抗原を奪取するために、標本をマイクロタイタープレートのウエル上にコートされた抗neuMabとインキユベートした。標本を25℃で一晩インキユベートした。一晩のインキユベーシヨン後、プレートをPBS/0.1% BSAで6回洗浄して過剰の生物標本を除去した。ビオチンで標識した別の抗neu Mabを各ウエルに加え、37℃で1時間インキユベートした。プレートをPBS/0.1% BSAで6回洗浄した。ビオチン標識した抗neuMabを検出するために、1:4000に希釈したストレプトアビジンホースラデイツシユ−ペルオキシダーゼ溶液を加えて37℃で1時間インキユベートした。プレートをPBS/0.01%BSAで6回洗浄した。反応を完了させるために、基質であるOPDを加えて37℃で15分インキユベートした。反応は硫酸で停止させ、ヌンク(Nunc)プレート読み取り機を用いて波長490nmでの吸光度を決定した。
多様な生物標本からneu抗原を奪取(キヤプチヤー)する目的で、ポリスチレンプレート(コスター社、ケンブリツジ、MA)を1マイクログラム(μg)の抗neuモノクローナル抗体(Mab)、複数の抗neuモノクローナル抗体の混合物、またはポリクローナル抗neu抗体のいずれかでコートした。Mabは炭酸緩衝液(pH=9.6)で希釈し、マイクロタイタープレートの各ウエルに100ulを加えた。次に、プレートを37℃で一晩インキユベートした。インキユベート後、プレートを0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で3回洗浄した。続いて抗neu抗体でコートされていないマイクロタイタープレートのウエル部分をブロツクするために、2.5%のBSAを含むPBS溶液を加えてプレートをインキユベートした。プレートを37℃で1時間インキユベートし、再度PBS/0.1% BSAで3回洗浄した。プレートを使用しない場合には使用時まで4℃で保存した。neu抗原の評価を行う標本は、正常細胞、前腫瘍細胞、腫瘍細胞、または血清、血漿、あるいは尿などの体液である。標本からneu抗原を奪取するために、標本をマイクロタイタープレートのウエル上にコートされた抗neuMabとインキユベートした。標本を25℃で一晩インキユベートした。一晩のインキユベーシヨン後、プレートをPBS/0.1% BSAで6回洗浄して過剰の生物標本を除去した。ビオチンで標識した別の抗neu Mabを各ウエルに加え、37℃で1時間インキユベートした。プレートをPBS/0.1% BSAで6回洗浄した。ビオチン標識した抗neuMabを検出するために、1:4000に希釈したストレプトアビジンホースラデイツシユ−ペルオキシダーゼ溶液を加えて37℃で1時間インキユベートした。プレートをPBS/0.01%BSAで6回洗浄した。反応を完了させるために、基質であるOPDを加えて37℃で15分インキユベートした。反応は硫酸で停止させ、ヌンク(Nunc)プレート読み取り機を用いて波長490nmでの吸光度を決定した。
B.キヤプチヤーアツセイを用いた細胞および腫瘍抽出液由来のneuの検出
生体物質における本アツセイの有用性を評価するために、幾つかのキヤプチヤーイムノアツセイを行つた。第12図は、1次抗体にTA−1、2次抗体にビオチン化NA−3を用いたキヤプチヤーイムノアツセイの結果を示している。細胞抽出液は幾つかのヒト細胞系から調製した。neuRNAレベルは、これらの細胞系の幾つか(SK−BR−3、ZR−75−1、MCF−7)に関して報告されている。本アツセイで検出されるneu抗原の相対的レベルは、報告されているRNAデータと一致する。neu抗原のレベルが既知の細胞系を用いたこれらのアツセイおよび他の幾つかのアツセイ(ここには示していない)の結果から、本アツセイは細胞抽出液中のneu抗原の相対レベルを決定するために使用可能であることが示唆される。neu抗原の発現の違いを第12図に示されている腫瘍細胞系の分類に使用できることも、この結果は示唆している。本アツセイが腫瘍抽出液中のneu抗原を検出できるかどうかを決定するために、ヌードマウス中でneuを発現している腫瘍細胞(X−3−5)またはneuを発現していない腫瘍細胞(3T3−ras)を増殖させた。この二つのNIH3T3由来細胞系は、X−3−5が発現されているヒトneu遺伝子を含むことを除いてはアイソジエニツクである。第13図は、NB−3を1次抗体とし、ビオチン化されたTA−1を検出用抗体として用いたキヤプチヤーイムノアツセイの結果を示している。neu抗原はX−3−5腫瘍抽出液で検出されたが、3T3 ras腫瘍抽出液では検出されず、本アツセイは腫瘍抽出液中のヒトneu抗原を特異的に検出できることを示唆する。何人かの研究者が、多くのヒト乳癌で高レベルで発現されていることを示した。ヒト乳癌中でneuが検出され得るかどうかを決定するために、1個体から2つの試料を調製した。抽出液を1人の患者のヒト乳癌(2747−01−050)および正常胸組織(2747−01−050)から調製した。本アツセイにおいて、TA−1を1次抗体として、ビオチン化したBD−5を検出用抗体として使用した。第14図はneuが腫瘍では検出されるが、正常胸組織では検出されないことを示す。これらのアツセイから、neuキヤプチヤーイムノアツセイは細胞または腫瘍抽出液からヒトneu特異的に検出できることが示された。これらのデータはまた、試料間の相対的なneuレベルもこのアツセイで決定できることを示唆している。
生体物質における本アツセイの有用性を評価するために、幾つかのキヤプチヤーイムノアツセイを行つた。第12図は、1次抗体にTA−1、2次抗体にビオチン化NA−3を用いたキヤプチヤーイムノアツセイの結果を示している。細胞抽出液は幾つかのヒト細胞系から調製した。neuRNAレベルは、これらの細胞系の幾つか(SK−BR−3、ZR−75−1、MCF−7)に関して報告されている。本アツセイで検出されるneu抗原の相対的レベルは、報告されているRNAデータと一致する。neu抗原のレベルが既知の細胞系を用いたこれらのアツセイおよび他の幾つかのアツセイ(ここには示していない)の結果から、本アツセイは細胞抽出液中のneu抗原の相対レベルを決定するために使用可能であることが示唆される。neu抗原の発現の違いを第12図に示されている腫瘍細胞系の分類に使用できることも、この結果は示唆している。本アツセイが腫瘍抽出液中のneu抗原を検出できるかどうかを決定するために、ヌードマウス中でneuを発現している腫瘍細胞(X−3−5)またはneuを発現していない腫瘍細胞(3T3−ras)を増殖させた。この二つのNIH3T3由来細胞系は、X−3−5が発現されているヒトneu遺伝子を含むことを除いてはアイソジエニツクである。第13図は、NB−3を1次抗体とし、ビオチン化されたTA−1を検出用抗体として用いたキヤプチヤーイムノアツセイの結果を示している。neu抗原はX−3−5腫瘍抽出液で検出されたが、3T3 ras腫瘍抽出液では検出されず、本アツセイは腫瘍抽出液中のヒトneu抗原を特異的に検出できることを示唆する。何人かの研究者が、多くのヒト乳癌で高レベルで発現されていることを示した。ヒト乳癌中でneuが検出され得るかどうかを決定するために、1個体から2つの試料を調製した。抽出液を1人の患者のヒト乳癌(2747−01−050)および正常胸組織(2747−01−050)から調製した。本アツセイにおいて、TA−1を1次抗体として、ビオチン化したBD−5を検出用抗体として使用した。第14図はneuが腫瘍では検出されるが、正常胸組織では検出されないことを示す。これらのアツセイから、neuキヤプチヤーイムノアツセイは細胞または腫瘍抽出液からヒトneu特異的に検出できることが示された。これらのデータはまた、試料間の相対的なneuレベルもこのアツセイで決定できることを示唆している。
C.血漿および血清中のneuの検出
これらの実施例は、マウスおよびヒトの有する腫瘍由来の血清および血漿中のneu抗原の検出を例示するものである。neu抗原がヒト血清または血漿中で特異的に認識されるかどうかを決定するために、幾つかのコントロール実験を行つた。neu抗原がヒト血清または血漿中で特異的に検出され得るかどうかを決定するために、幾つかのコントロール実験を行つた。これらには、neuを高レベルで発現する細胞系の培養液上清、および腫瘍を有するヌードマウスの血清中のneu抗原の検出が含まれる。第15図は、NB−3を1次抗体、ビオチン化したTA−1を検出抗体として用いて細胞系の培養液上清のneuのキヤプチヤーイムノアツセイの結果を示している。この結果から、neuを高レベルで発現するマウス細胞系(18−3−7)あるいはヒト細胞系(SK−BR−3)の上清にはneu抗原が検出されたが、neuを発現していない細胞系である3T3−ras、あるいは培地のみには検出されないことが示された。これらの細胞系のうち2つ(18−3−7および3T3−ras)はヌードマウス中で腫瘍として増殖可能である。これらの細胞系をヌードマウスに皮下注射して生じた腫瘍を有するマウスを継代し、TA−1を1次抗体、ビオチン化したBD−5を検出抗体として用いるキヤプチヤーイムノアツセイによつてその血清中のneu抗原の存在を解析した。本アツセイの結果を第16図に示す。細胞や腫瘍抽出液、および培養液上清のみと同様に、腫瘍を持つヌードマウスの血清中にneuが存在することがこのアツセイで示された。正常なヌードマウスの血清および、neuを発現しない腫瘍を持つヌードマウスの血清は、neu抗原の存在は認められなかつた。これらの実験から、neu抗原はneu抗原を発現する腫瘍を持つヌードマウスの血清中で検出されることが示唆される。neu抗原はneuを発現するヒト細胞系(SK−BR−3)およびヌードマウスの腫瘍を引き起こす細胞系の上清で検出される。neuを高レベルで発現する腫瘍の患者はneu抗原を含む血清を持つであろうという仮説を確かめるために、一連のアツセイをおこなつた。一つのアツセイ群では、抗neu Mab TA−1をキヤプチヤー抗体として、ビオチンで標識したBD−5を検出抗体として用いた。分析試料としては、正常なヒト血漿および2人の乳癌患者からの血漿を用いた。この結果から、正常な血漿および患者AJACからの血漿は、本アツセイでは実質的に反応しなかつたが、患者PSULからの血漿は本アツセイで顕著な反応性を示し、p185抗原は乳癌患者PSULの血清中に存在することが示唆された(第17図)。この実験をMab NB−3をキヤプチヤー抗体(固相支持体に固定された物)、ビオチンで標識したMab TA−1を検出抗体として、多数の患者に関して反復して行つた。このアツセイを用いて、37の独立な血漿試料がneu特異的モノクローナル抗体との反応性に関して評価された。これらの標本は、正常な人からの12の血漿試料、良性胸部疾患患者からの6血漿試料、乳癌患者からの19血漿試料が含まれた。第18図は3グループの平均値(neuユニツト)を示している。正常および良性の場合は100−110の平均値を有し、19の乳癌患者は約200のneu平均値を持つていた。表3は各試料に関して得られた個々のデータを示している。乳癌患者の幾つかのneu値は、アツセイの上限を越えており、表3では"500+"として示してある。これらの場合、試料をさらに2倍に希釈し、アツセイを繰り返した。結果は括弧で示してある。
これらの実施例は、マウスおよびヒトの有する腫瘍由来の血清および血漿中のneu抗原の検出を例示するものである。neu抗原がヒト血清または血漿中で特異的に認識されるかどうかを決定するために、幾つかのコントロール実験を行つた。neu抗原がヒト血清または血漿中で特異的に検出され得るかどうかを決定するために、幾つかのコントロール実験を行つた。これらには、neuを高レベルで発現する細胞系の培養液上清、および腫瘍を有するヌードマウスの血清中のneu抗原の検出が含まれる。第15図は、NB−3を1次抗体、ビオチン化したTA−1を検出抗体として用いて細胞系の培養液上清のneuのキヤプチヤーイムノアツセイの結果を示している。この結果から、neuを高レベルで発現するマウス細胞系(18−3−7)あるいはヒト細胞系(SK−BR−3)の上清にはneu抗原が検出されたが、neuを発現していない細胞系である3T3−ras、あるいは培地のみには検出されないことが示された。これらの細胞系のうち2つ(18−3−7および3T3−ras)はヌードマウス中で腫瘍として増殖可能である。これらの細胞系をヌードマウスに皮下注射して生じた腫瘍を有するマウスを継代し、TA−1を1次抗体、ビオチン化したBD−5を検出抗体として用いるキヤプチヤーイムノアツセイによつてその血清中のneu抗原の存在を解析した。本アツセイの結果を第16図に示す。細胞や腫瘍抽出液、および培養液上清のみと同様に、腫瘍を持つヌードマウスの血清中にneuが存在することがこのアツセイで示された。正常なヌードマウスの血清および、neuを発現しない腫瘍を持つヌードマウスの血清は、neu抗原の存在は認められなかつた。これらの実験から、neu抗原はneu抗原を発現する腫瘍を持つヌードマウスの血清中で検出されることが示唆される。neu抗原はneuを発現するヒト細胞系(SK−BR−3)およびヌードマウスの腫瘍を引き起こす細胞系の上清で検出される。neuを高レベルで発現する腫瘍の患者はneu抗原を含む血清を持つであろうという仮説を確かめるために、一連のアツセイをおこなつた。一つのアツセイ群では、抗neu Mab TA−1をキヤプチヤー抗体として、ビオチンで標識したBD−5を検出抗体として用いた。分析試料としては、正常なヒト血漿および2人の乳癌患者からの血漿を用いた。この結果から、正常な血漿および患者AJACからの血漿は、本アツセイでは実質的に反応しなかつたが、患者PSULからの血漿は本アツセイで顕著な反応性を示し、p185抗原は乳癌患者PSULの血清中に存在することが示唆された(第17図)。この実験をMab NB−3をキヤプチヤー抗体(固相支持体に固定された物)、ビオチンで標識したMab TA−1を検出抗体として、多数の患者に関して反復して行つた。このアツセイを用いて、37の独立な血漿試料がneu特異的モノクローナル抗体との反応性に関して評価された。これらの標本は、正常な人からの12の血漿試料、良性胸部疾患患者からの6血漿試料、乳癌患者からの19血漿試料が含まれた。第18図は3グループの平均値(neuユニツト)を示している。正常および良性の場合は100−110の平均値を有し、19の乳癌患者は約200のneu平均値を持つていた。表3は各試料に関して得られた個々のデータを示している。乳癌患者の幾つかのneu値は、アツセイの上限を越えており、表3では"500+"として示してある。これらの場合、試料をさらに2倍に希釈し、アツセイを繰り返した。結果は括弧で示してある。
実 施 例 8:軟寒天中のneuでトランスフオームされた細胞のTA−1阻害
本実施例は抗neuモノクローナル抗体がトランスフオームされた細胞に細胞安定化効果がある可能性があることについて示すものである。ヒトneu遺伝子をトランスフエクトされ、neuを高レベルで発現しているマウス繊維芽細胞(NIH 3T3)は軟寒天中でコロニーを形成する。この性質はneuタンパク質の量およびそれの持つチロシンキナーゼ活性と直接関連する。ヒトneuタンパク質の細胞外部分を認識するモノクローナル抗体(Mab)は、これらのタンパク質を細胞表面上でクラスター化し、パツチを作らせ、続いて細胞中に内在化させて、それによつてチロシンキナーゼ活性を減少させると考えられる。我々は、Mab TA−1を軟寒天中で増殖しているneuでトランスフオームしたNIH 3T3細胞系(17−3−1−3)に加えることにより、濃度に依存してこの細胞系で形成されるコロニー数が減少することを示した。特に、ここで用いた最高濃度のTA−1(150μg/ml)では、形成されるはずのコロニー数の5%以下しか形成されなかつた(未処理のコントロール群では150のコロニーが形成されたのに対し、7コロニー)。TA−1と同じマウスサブタイプ(いずれもIgG1)に適合する非特異的なMabは150μg/mlでも形成されるコロニーの数には影響がなかつた。軟寒天中でコロニーを形成しない細胞は依然として生育可能であることから、この増殖阻害効果は細胞毒性のものではなく、細胞安定化するものだと考えられる。この結果から、ヒトneuタンパク質を過剰発現する腫瘍細胞にたいする抗体による毒性治療が示唆される。
本実施例は抗neuモノクローナル抗体がトランスフオームされた細胞に細胞安定化効果がある可能性があることについて示すものである。ヒトneu遺伝子をトランスフエクトされ、neuを高レベルで発現しているマウス繊維芽細胞(NIH 3T3)は軟寒天中でコロニーを形成する。この性質はneuタンパク質の量およびそれの持つチロシンキナーゼ活性と直接関連する。ヒトneuタンパク質の細胞外部分を認識するモノクローナル抗体(Mab)は、これらのタンパク質を細胞表面上でクラスター化し、パツチを作らせ、続いて細胞中に内在化させて、それによつてチロシンキナーゼ活性を減少させると考えられる。我々は、Mab TA−1を軟寒天中で増殖しているneuでトランスフオームしたNIH 3T3細胞系(17−3−1−3)に加えることにより、濃度に依存してこの細胞系で形成されるコロニー数が減少することを示した。特に、ここで用いた最高濃度のTA−1(150μg/ml)では、形成されるはずのコロニー数の5%以下しか形成されなかつた(未処理のコントロール群では150のコロニーが形成されたのに対し、7コロニー)。TA−1と同じマウスサブタイプ(いずれもIgG1)に適合する非特異的なMabは150μg/mlでも形成されるコロニーの数には影響がなかつた。軟寒天中でコロニーを形成しない細胞は依然として生育可能であることから、この増殖阻害効果は細胞毒性のものではなく、細胞安定化するものだと考えられる。この結果から、ヒトneuタンパク質を過剰発現する腫瘍細胞にたいする抗体による毒性治療が示唆される。
寄託
抗体産生細胞系BD−5−2dは、米国メリーランド州ロツクビルのアメリカン・タイプ・カルチヤー・コレクシヨンに寄託されている。ATCC番号はHB9698である。
抗体産生細胞系BD−5−2dは、米国メリーランド州ロツクビルのアメリカン・タイプ・カルチヤー・コレクシヨンに寄託されている。ATCC番号はHB9698である。
同等のもの
本分野の技術者には理解されるように、通常の実験技術を用いて、ここで特に述べた本発明の個々の態様と同等の多くのものが可能である。このような同等物は以下の請求の範囲に含まれることが意図されるものである。
本分野の技術者には理解されるように、通常の実験技術を用いて、ここで特に述べた本発明の個々の態様と同等の多くのものが可能である。このような同等物は以下の請求の範囲に含まれることが意図されるものである。
Claims (7)
- ヒトneu遺伝子産物の細胞外ドメインに特異的な単離された抗体であって、免疫原としてヒトneuを発現する生存細胞を用いて生成される抗体であって、但し、ヒトneu遺伝子産物の細胞外ドメインはハイブリドーマBD5−2d(ATCC HB9698)により産生されるモノクローナル抗体により認識される、抗体。
- 請求項1記載の抗体を抗腫瘍量含む、neu遺伝子産物を発現する腫瘍に苦しむ患者を治療するための医薬組成物。
- 細胞上のneu遺伝子産物の細胞発現レベルを検出するためのアッセイ法であって、
(a)請求項1記載の抗体をneu遺伝子産物に結合させるのに適した条件下で細胞と請求項1記載の抗体を接触させ;そして
(b)細胞に結合した抗体のレベルを測定することにより細胞上のneu遺伝産物子の発現のレベルを決定する
ことよりなる、アッセイ法。 - 生物学上の液体中のneu遺伝子産物の過剰発現を検出するためのアッセイ法であって、
(a)請求項1記載の抗体をneu遺伝子産物に結合させるのに適した条件下で生物学上の液体と請求項1記載の抗体を接触させ;そして
(b)そうして結合した抗体のレベルを測定することにより生物学上の液体中のneu遺伝子産物の発現の量を決定する
ことよりなる、アッセイ法。 - 液体中のヒトneu遺伝子産物に関する免疫アッセイ法であって、
(a)(i)請求項1記載の抗体;
(ii)標識されており且つneu遺伝子産物の別の免疫原性領域に特異的な請求項1記載の二次抗体;及び
(iii)neu遺伝子産物
の複合体を形成させ;そして
(b)工程(a)において形成された複合体に結合した標識のレベルを検出して、それにより液体中のヒトneu遺伝子産物の量を測定すること
を含む、アッセイ法。 - ヒトneu遺伝子産物の細胞外ドメインに特異的な単離された抗体であって、免疫原としてヒトneuを発現する生存細胞を用いて生成され、且つ、ハイブリドーマBD5−2d(ATCC HB9698)により産生されるモノクローナル抗体BD5−2dである、抗体。
- 生物学上の液体中のneu遺伝子産物の過剰発現を検出するためのアッセイ法であって、
(a)生物学上の液体を、ハイブリドーマBD5−2d(ATCC HB9698)により産生されるモノクローナル抗体BD5−2dに、抗体がneu遺伝子産物に結合するのに適した条件下で接触させ;そして
(b)そうして結合した抗体のレベルを測定することにより生物学上の液体中のneu遺伝子産物の発現の量を決定する
ことよりなる、アッセイ法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US18250188A | 1988-04-18 | 1988-04-18 | |
US29718889A | 1989-01-13 | 1989-01-13 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11376423A Division JP2000175692A (ja) | 1988-04-18 | 1999-12-08 | neu遺伝子産物の検出 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004043486A true JP2004043486A (ja) | 2004-02-12 |
Family
ID=26878143
Family Applications (3)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1505853A Pending JPH03505964A (ja) | 1988-04-18 | 1989-04-18 | neu遺伝子の発現及び遺伝子産物の検出 |
JP11376423A Pending JP2000175692A (ja) | 1988-04-18 | 1999-12-08 | neu遺伝子産物の検出 |
JP2003294484A Pending JP2004043486A (ja) | 1988-04-18 | 2003-08-18 | neu遺伝子産物の検出 |
Family Applications Before (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1505853A Pending JPH03505964A (ja) | 1988-04-18 | 1989-04-18 | neu遺伝子の発現及び遺伝子産物の検出 |
JP11376423A Pending JP2000175692A (ja) | 1988-04-18 | 1999-12-08 | neu遺伝子産物の検出 |
Country Status (8)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP0412116B1 (ja) |
JP (3) | JPH03505964A (ja) |
KR (1) | KR900700625A (ja) |
AT (1) | ATE130873T1 (ja) |
AU (1) | AU3568289A (ja) |
CA (1) | CA1341191C (ja) |
DE (1) | DE68924979T2 (ja) |
WO (1) | WO1989010412A1 (ja) |
Families Citing this family (45)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3040121B2 (ja) * | 1988-01-12 | 2000-05-08 | ジェネンテク,インコーポレイテッド | 増殖因子レセプターの機能を阻害することにより腫瘍細胞を処置する方法 |
US5720937A (en) * | 1988-01-12 | 1998-02-24 | Genentech, Inc. | In vivo tumor detection assay |
ES2106033T3 (es) | 1989-05-19 | 1997-11-01 | Genentech Inc | Dominio extracelular de her2. |
US7282345B1 (en) | 1989-08-04 | 2007-10-16 | Schering Ag | C-erbB-2 external domain: GP75 |
US6884418B1 (en) * | 1989-08-04 | 2005-04-26 | Berlex Laboratories, Inc. | Use of ligand-mimicking agents and anti-neoplastic drugs in cancer therapy |
DE68926248T2 (de) * | 1989-09-29 | 1996-12-19 | Oncogene Science Inc | p100 "neu" menschlisches Protein and Verwendung dieses Proteins zum Nachweis von preneoplasmatischen- oder neoplasmatischen beim Menschen |
US6673559B1 (en) | 1989-12-27 | 2004-01-06 | The Government Of The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services | Met proto-oncogene and a method for predicting breast cancer progression |
US5348864A (en) * | 1991-01-25 | 1994-09-20 | E. R. Squibb & Sons, Inc. | Mouse vav proto-oncogene DNA and protein sequences |
US5468634A (en) * | 1991-06-24 | 1995-11-21 | The University Of North Carolina At Chapel Hill | Axl oncogene |
US5939531A (en) * | 1991-07-15 | 1999-08-17 | Novartis Corp. | Recombinant antibodies specific for a growth factor receptor |
AU4025193A (en) * | 1992-04-08 | 1993-11-18 | Cetus Oncology Corporation | Humanized C-erbB-2 specific antibodies |
AU4645293A (en) * | 1992-06-26 | 1994-01-24 | United States Of America, Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services, The | The met proto-oncogene and a method for predicting breast cancer progression |
US5783404A (en) * | 1995-04-13 | 1998-07-21 | Amgen Inc. | Methods and compositions for determining HER-2/neu expression using monoclonal antibodies |
US7371376B1 (en) | 1996-10-18 | 2008-05-13 | Genentech, Inc. | Anti-ErbB2 antibodies |
US6709858B1 (en) | 1997-11-03 | 2004-03-23 | The Arizona Board Of Regents On Behalf Of The University Of Arizona | Hyperthermic inducible expression vectors for gene therapy and methods of use thereof |
US7098191B2 (en) | 1997-11-03 | 2006-08-29 | The Arizona Board Of Reagents | Hyperthermic inducible expression vectors for gene therapy and methods of use thereof |
ZA9811162B (en) | 1997-12-12 | 2000-06-07 | Genentech Inc | Treatment with anti-ERBB2 antibodies. |
US20010023241A1 (en) | 1998-02-04 | 2001-09-20 | Sliwkowski Mark X. | Use of heregulin as a growth factor |
US7393823B1 (en) | 1999-01-20 | 2008-07-01 | Oregon Health And Science University | HER-2 binding antagonists |
US7625859B1 (en) | 2000-02-16 | 2009-12-01 | Oregon Health & Science University | HER-2 binding antagonists |
US7396810B1 (en) | 2000-08-14 | 2008-07-08 | Oregon Health Sciences University | Compositions and methods for treating cancer by modulating HER-2 and EGF receptors |
US7041292B1 (en) | 1999-06-25 | 2006-05-09 | Genentech, Inc. | Treating prostate cancer with anti-ErbB2 antibodies |
US6949245B1 (en) | 1999-06-25 | 2005-09-27 | Genentech, Inc. | Humanized anti-ErbB2 antibodies and treatment with anti-ErbB2 antibodies |
DE60139768D1 (de) | 2000-05-19 | 2009-10-15 | Genentech Inc | Gennachweisverfahren zur verbesserung der wahrscheinlichkeit einer wirkungsvollen antwort auf eine k |
US20030188326A1 (en) | 2000-11-03 | 2003-10-02 | Dana Farber Cancer Institute | Methods and compositions for the diagnosis of cancer susceptibilities and defective DNA repair mechanisms and treatment thereof |
AU2003212415A1 (en) | 2002-03-01 | 2003-09-16 | Bayer Corporation | Assays to monitor levels of epidermal growth factor receptor (egfr) extracellular domain (ecd) in cancer patients |
RU2438705C2 (ru) | 2005-01-21 | 2012-01-10 | Дженентек, Инк. | Введение фиксированных доз her-антител |
PL1850874T3 (pl) | 2005-02-23 | 2014-03-31 | Genentech Inc | Wydłużanie czasu do progresji choroby lub przeżycia u chorych na raka jajnika stosujących pertuzumab |
PE20090681A1 (es) | 2007-03-02 | 2009-06-10 | Genentech Inc | Prediccion de respuesta a un inhibidor her |
US9551033B2 (en) | 2007-06-08 | 2017-01-24 | Genentech, Inc. | Gene expression markers of tumor resistance to HER2 inhibitor treatment |
CA3006428A1 (en) | 2007-06-08 | 2008-12-18 | Genentech, Inc. | Gene expression markers of tumor resistance to her2 inhibitor treatment |
BRPI0812682A2 (pt) | 2008-06-16 | 2010-06-22 | Genentech Inc | tratamento de cáncer de mama metastático |
TW201544123A (zh) | 2009-03-20 | 2015-12-01 | Genentech Inc | 抗-her抗體 |
CN102421448A (zh) | 2009-05-29 | 2012-04-18 | 霍夫曼-拉罗奇有限公司 | Her2信号传导调控剂在表达her2的胃癌患者中 |
WO2011103242A1 (en) | 2010-02-18 | 2011-08-25 | Genentech, Inc. | Neuregulin antagonists and use thereof in treating cancer |
WO2011146568A1 (en) | 2010-05-19 | 2011-11-24 | Genentech, Inc. | Predicting response to a her inhibitor |
WO2012069466A1 (en) | 2010-11-24 | 2012-05-31 | Novartis Ag | Multispecific molecules |
JP5766296B2 (ja) | 2010-12-23 | 2015-08-19 | エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft | ポリペプチド−ポリヌクレオチド複合体、およびエフェクター成分の標的化された送達におけるその使用 |
EP2744824A1 (en) | 2011-08-17 | 2014-06-25 | F.Hoffmann-La Roche Ag | Neuregulin antibodies and uses thereof |
WO2013063229A1 (en) | 2011-10-25 | 2013-05-02 | The Regents Of The University Of Michigan | Her2 targeting agent treatment in non-her2-amplified cancers having her2 expressing cancer stem cells |
CN106987620A (zh) | 2011-11-30 | 2017-07-28 | 霍夫曼-拉罗奇有限公司 | 癌症中的erbb3突变 |
EP2788500A1 (en) | 2011-12-09 | 2014-10-15 | F.Hoffmann-La Roche Ag | Identification of non-responders to her2 inhibitors |
CN104220457A (zh) | 2012-03-27 | 2014-12-17 | 霍夫曼-拉罗奇有限公司 | 涉及her3抑制剂的诊断和治疗 |
MX363188B (es) | 2012-11-30 | 2019-03-13 | Hoffmann La Roche | Identificación de pacientes con necesidad de coterapia del inhibidor de pd-l1. |
EP3454863A1 (en) | 2016-05-10 | 2019-03-20 | INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) | Combinations therapies for the treatment of cancer |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4935341A (en) * | 1986-06-04 | 1990-06-19 | Whitehead Institute For Biomedical Research | Detection of point mutations in neu genes |
CA1252046A (en) * | 1982-11-04 | 1989-04-04 | Martin J. Cline | Methods for oncogenic detection |
-
1989
- 1989-04-18 WO PCT/US1989/001636 patent/WO1989010412A1/en active IP Right Grant
- 1989-04-18 DE DE68924979T patent/DE68924979T2/de not_active Expired - Lifetime
- 1989-04-18 EP EP89905846A patent/EP0412116B1/en not_active Expired - Lifetime
- 1989-04-18 CA CA000597017A patent/CA1341191C/en not_active Expired - Lifetime
- 1989-04-18 JP JP1505853A patent/JPH03505964A/ja active Pending
- 1989-04-18 AT AT89905846T patent/ATE130873T1/de not_active IP Right Cessation
- 1989-04-18 AU AU35682/89A patent/AU3568289A/en not_active Abandoned
- 1989-12-15 KR KR1019890702361A patent/KR900700625A/ko not_active Application Discontinuation
-
1999
- 1999-12-08 JP JP11376423A patent/JP2000175692A/ja active Pending
-
2003
- 2003-08-18 JP JP2003294484A patent/JP2004043486A/ja active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
ATE130873T1 (de) | 1995-12-15 |
CA1341191C (en) | 2001-02-27 |
AU3568289A (en) | 1989-11-24 |
EP0412116B1 (en) | 1995-11-29 |
EP0412116A1 (en) | 1991-02-13 |
WO1989010412A1 (en) | 1989-11-02 |
DE68924979D1 (de) | 1996-01-11 |
JP2000175692A (ja) | 2000-06-27 |
JPH03505964A (ja) | 1991-12-26 |
KR900700625A (ko) | 1990-08-16 |
DE68924979T2 (de) | 1996-10-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004043486A (ja) | neu遺伝子産物の検出 | |
US6639060B1 (en) | erbB-3 nucleic acids | |
EP0453560B1 (en) | Localization and characterization of the wilms' tumor gene | |
JP3208427B2 (ja) | ヒトの生物学的流体中のneu関連タンパク質の検出及び定量 | |
EP0491007B1 (en) | Structural alterations of the egf receptor gene in human gliomas | |
US5726288A (en) | Localization and characterization of the Wilms' tumor gene | |
EP0344134B1 (en) | Monoclonal antibody specific to a fibronectin sequence expressed in transformed cells, hybridoma secreting said antibody and use of said monoclonal antibody in the diagnosis of tumors | |
WO2011091716A1 (zh) | 表皮生长因子受体变异体 | |
EP0641385B1 (en) | Development of dna probes and immunological reagents of human tumor associated antigens | |
US6713619B1 (en) | Oncogenes and methods for their detection | |
WO1991013173A1 (en) | PTPase DIAGNOSTICS AND USES THEREOF | |
US5171850A (en) | Intestinal oncofetal gene | |
US6335169B1 (en) | Nucleic acids encoding hBub1, a cell cycle checkpoint gene |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040416 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20040715 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20040721 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20041210 |