JP2004042843A - 車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム、データ書込み可能な車両用電子制御装置、サーバコンピュータおよびクライアントコンピュータ - Google Patents
車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム、データ書込み可能な車両用電子制御装置、サーバコンピュータおよびクライアントコンピュータ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】書込みデータの異なるECUを効率的に管理できるECUへのデータ書込みシステムを提供する。
【解決手段】本発明のECUへのデータ書込みシステムは、データを不揮発性状態で書込むことができるECU(10)と、書込むデータを格納したECUメーカ側のサーバコンピュータ(20)と、そのデータをサーバコンピュータからダウンロードすると共にECUへ送信する組付メーカ側のクライアントコンピュータ(30)とからなるECUへのデータ書込みシステムであって、
前記ECUは、ECUメーカから組付メーカへ納入される段階では仕様を標準化した標準化ECUであり、クライアントコンピュータがサーバコンピュータから取得した機種毎に異なる機種別データを標準化ECUに書込むことにより機種毎に異なる機種別ECU(11等)となることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のECUへのデータ書込みシステムは、データを不揮発性状態で書込むことができるECU(10)と、書込むデータを格納したECUメーカ側のサーバコンピュータ(20)と、そのデータをサーバコンピュータからダウンロードすると共にECUへ送信する組付メーカ側のクライアントコンピュータ(30)とからなるECUへのデータ書込みシステムであって、
前記ECUは、ECUメーカから組付メーカへ納入される段階では仕様を標準化した標準化ECUであり、クライアントコンピュータがサーバコンピュータから取得した機種毎に異なる機種別データを標準化ECUに書込むことにより機種毎に異なる機種別ECU(11等)となることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
インターネット等を利用して取得したデータを、組付メーカ側で車両用電子制御装置へ書込みできる車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム、そのシステムで使用されるデータ書込み可能な車両用電子制御装置、サーバコンピュータおよびクライアントコンピュータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の自動車、二輪車等の車両には、多くの車両用電子制御装置(以下、適宜、「ECU」という。)が使用されている。代表的なものはエンジンの点火タイミングや燃料噴射量等を制御するエンジン用ECUである。この他にも、AT(オートマチック・トランスミッション)用ECU、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)用ECU、車輪制御用ECU等、種々のものがある。しかも、これらのECUは、搭載する車種、形式、グレード等が異なる毎に、内部のメモリ等に書込まれている情報がそれぞれ異なるのが通常である。
例えば、エンジン用ECUを観ると、そこに書込まれる点火タイミングや燃料噴射量等のマップデータは、エンジン形式毎に異なるのは勿論のこと、同じエンジン形式であっても、そのエンジンが搭載される車種毎にも異なる。このため、ECUをソフト面から観ると、非常に多くの異なるECUが存在することになる。
【0003】
もっとも、ECUをハード面から観ると、その構成が共通していることが多い。このため、従来は図2に示すように、ECUメーカが、仕様を標準化した標準化ECUを用意し、そこに機種別に異なるデータを書込み、機種別に異なるECU(例えば、品番A、B、C・・・)として、検査、在庫、出荷等していた。そして、そのECUを車両に組み付ける車両メーカでも、各品番毎にECUを受入、在庫等して、異なる各車両に組付けていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、書込みデータが相違するのみであるにも拘わらず、ECUメーカでは、多くの品番を用意して各品番毎にECUを生産、検査、在庫、出荷等しなければならず、管理コスト等が上昇していた。
さらに、車両メーカ等でも、異なる品番毎にECUを管理し車両に組み付けなければならないため、やはり同様の管理コストの上昇等を招いていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、書込みデータの異なるECUを効率的に管理でき、ECUの管理コストや車両の生産コスト等の低減を図れる、ECUへのデータ書込みシステムおよびデータ書込み可能なECUを提供することを目的とする。
なお、特開2002−138895号公報には、エンジン用ECUへ書込むデータの通信システムについて開示されている。しかし、この公報に開示されたシステムは、市場に出た車両に既に組付けられているECUのデータを、補給部品の特性に応じて書換えるものである。従って、ECUメーカからECUが出荷される段階を考えると、書込まれるデータ別にECUが管理されていたことに何ら変わりがなく、上記課題を何ら解決するものではなく、また、その示唆を与えるものでもない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、仕様を標準化したECUを組付メーカへ納入し、組付メーカが通信回線を介して取得した機種別のデータをそのECUに書き込むことを思いつき、本発明を完成するに至ったものである。
(車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム:請求項1)
すなわち、本発明の車両用電子制御装置(ECU)へのデータ書込みシステムは、データを少なくとも受信できる装置側受信手段と該装置側受信手段を介して取得したデータを不揮発性状態で記憶する装置側記憶手段とを有し、車両または該車両の構成装置に組付けられる車両用電子制御装置と、該装置側記憶手段へ書込むデータを発信するサーバ側発信手段を有するサーバコンピュータと、該サーバ側発信手段からデータを受信するクライアント側受信手段と該クライアント側受信手段の受信した該データを前記装置側受信手段へ発信するクライアント側発信手段と該クライアント側発信手段から発信されたデータを前記装置側記憶手段に書込むクライアント側書込手段とを有するクライアントコンピュータとを備える車両用電子制御装置へのデータ書込みシステムであって、
前記車両用電子制御装置は、前記車両用電子制御装置メーカから前記組付メーカへ納入される段階では仕様を標準化した標準化車両用電子制御装置であり、前記クライアントコンピュータが前記サーバコンピュータから取得した機種毎に異なる機種別データを該標準化車両用電子制御装置に書込むことにより機種毎に異なる機種別車両用電子制御装置となることを特徴とする。
【0007】
本発明のシステムによると、ECUメーカは、組付メーカへ標準化車両用電子制御装置(標準化ECU)を納入するだけで良い。このため、多数の品番が付されたECUを生産したり、検査、在庫、出荷等の煩雑な管理が軽減され、その分コスト削減ができる。組付メーカにとっても、納入されるのは標準化ECUのみであるため、ECUの受入、在庫管理等が簡便化される。さらに、組付メーカでは、ECUを各機種に組付ける際にも、品番等により細分化されたECUを管理しつつ該当機種に組付ける必要がないため、ECUの組付けを効率的に行うことができる。
【0008】
ところで、この標準化ECUにも、最終的には機種別に異なるデータを書込む必要がある。本発明の場合、このデータの書込みが組付メーカ側のクライアントコンピュータで行われることになる。
このとき、サーバコンピュータとクライアントコンピュータとの間のデータのやりとりは、CD、DVD、FD(フロッピーディスク)、フラッシュメモリ等の記録媒体を介して、直接受渡したり郵送等により行うことができる。従って、それらが必ずしも通信回線に接続されている必要はない。しかし、有線、無線を問わず、インターネットやオンライン等の通信回線で、それらが接続されていると、データの発信、受信を簡易に、低コストで、迅速に行うことができる。特に、本発明のシステムの場合、ECUメーカの管理下にあるサーバコンピュータに記憶(アップロード)された所望の書込みデータを、組付メーカが必要に応じて、組付メーカの管理下にあるクライアントコンピュータへダウンロードすることで、クライアントコンピュータは最新の書込みデータを即座に入手できる。そして、組付メーカ側のクライアントコンピュータは、その取込んだデータを標準化ECUへ書込む。こうして標準化ECUは機種別ECUとなる。なお、この書込みは、組付メーカ側で為される限り、標準化ECUを該当機種に組付ける前でも、標準化ECUを組付けた後でも良い。
【0009】
このように、本発明のシステムによれば、ECUメーカおよび組付メーカにおけるECUの取扱いが簡便になると共に、書込みデータ等の変更にも即応できる。従って、低コストでジャスト・イン・タイムなECUの提供が可能となる。
従って、前記サーバ側発信手段と前記クライアント側受信手段とは、通信手段からなると好適である(請求項2)。
【0010】
また、本発明では、前記サーバコンピュータの管理体制まで問わないが、変更データの提供が容易であることから、そのサーバコンピュータが前記車両用電子制御装置の供給者側の管理下にあると好適である。(請求項3)。なお、言うまでもなく、クライアントコンピュータは、車両用電子制御装置の市場関係者側にある。
【0011】
(データ書込み可能な車両用電子制御装置:請求項5)
本発明は、上記ECUへのデータ書込みシステムのみならず、その利用を前提としたECUとしても把握できる。
すなわち、本発明は、上記システムで使用される車両用電子制御装置であって、
前記車両用電子制御装置メーカから前記組付メーカへ納入される段階では仕様を標準化した標準化車両用電子制御装置であり、該組付メーカが前記サーバコンピュータから取得した機種毎に異なる機種別データを該標準化車両用電子制御装置に書込むことにより機種毎に異なる機種別車両用電子制御装置となることを特徴とするデータ書込み可能な車両用電子制御装置として把握しても良い。
【0012】
(クライアントコンピュータ:請求項6)
本発明は、上記ECUのデータ変更システムの利用を前提としたクライアントコンピュータとしても把握できる。
すなわち、本発明は、データを発信するサーバ側発信手段を有するサーバコンピュータと、該サーバ側発信手段から発信されたデータを記憶する装置側記憶手段を有する車両用電子制御装置との間に設けられ、前記データを前記サーバ側発信手段から前記装置側記憶手段に書込むクライアント側書込手段を有することを特徴とするクライアントコンピュータと把握しても良い。
この場合、クライアントコンピュータがクライアント側書込手段により書込みを行うので、ECU自体が書込みを行う必要がなく、ECUの構成を簡素にできる。
【0013】
(サーバコンピュータ:請求項7)
本発明は、上記ECUのデータ変更システムの利用を前提としたサーバコンピュータとしても把握できる。
すなわち、本発明は、受信したデータを格納する装置側記憶手段を有する車両用電子制御装置に、データを発信して前記装置側記憶手段に書込むクライアントコンピュータに対して、前記データを発信するサーバ側発信手段を有することを特徴とするサーバコンピュータと把握しても良い。
この場合、サーバコンピュータが変更データを発信するので、クライアントコンピュータは不要なデータを保管しておく必要がなく、システムの簡素化を図れる。
【0014】
ところで、本発明を、どのように把握する場合であれ、前記サーバコンピュータおよび/または前記クライアントコンピュータは、前記サーバ側発信手段から前記クライアント側受信手段へのデータの送受信を規制する第1送受信規制手段を有し、該クライアントコンピュータおよび/または前記車両用電子制御装置は、前記クライアント側発信手段から前記装置側受信手段へのデータの送受信を規制する第2送受信規制手段を有すると好適である(請求項4)。
例えば、ECUメーカ側のサーバコンピュータにアクセスできるものは、そのECUメーカから標準化ECUが納入されている組付メーカに限定する。何ら関係のないものがそのサーバコンピュータにアクセスしてデータを取得することは、機密上または安全上から考えて不都合だからである。そこで、ECUメーカ側のサーバコンピュータと組付メーカ側のクライアントコンピュータとの間でデータの送受信が第1送受信規制手段によって規制される。
【0015】
また、ECUメーカは、1社の組付メーカへECUを納入している場合に限らず、複数の組付メーカへECUを納入している場合も多い。このような場合、ある組付メーカへ納入されている標準化ECUへ書込まれるデータを、別の組付メーカのクライアントコンピュータがダウンロード等することをも回避しなければならない。そこで、前記第1送受信規制手段は、標準化ECUが納入されている組付メーカであっても、特定のデータにのみアクセス権限を与えるように規制するものとしても良い。
【0016】
次に、1社の組付メーカであっても、複数種の標準化ECUが納入されていることも多い。この場合、納入された各標準化ECUとそこに書込み可能なデータ群とが対応していなければならない。そこで、例えば、それぞれの標準化ECUへ書込み可能なデータの送受信を、前記第2送受信規制手段がそのECUとクライアントコンピュータとの間で規制する。これにより、非対応なデータ群中のデータを誤って標準化ECUへ書込み、不具合が発生することが防止される。
【0017】
なお、これらの規制手段は、例えば、パスワードや暗証番号、コード等の認証または確認によりなされる。また、上記第1送受信規制手段はサーバコンピュータ側に、上記第2送受信規制手段はECU側に設けられるのが通常である。
本発明でいう組付メーカは、車両の組立メーカには限らず、各種アッセンブリメーカも該当する。例えば、エンジンメーカ、ATメーカ、ブレーキメーカ等でも良い。さらには、車両関連メーカでなくても良い。
標準化ECUは、電子回路等の主要ハード構成が基本的に共通するものであれば良い。末端の細かな素子の有無やその種類、ケースの形状等が異なっているECUであっても、この標準化ECUに含めて考えて良い。その装置側記憶手段には、デフォルト状態のデータが既に書込まれていても良いし、何も書込まれていない状態でも良い。
【0018】
記憶手段は、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の他、ハードディスクやCD、DVD、FD(フロッピーディスク)等の記録媒体でも良い。もっとも、装置側記憶手段の場合、不揮発性で、高い応答性、搭載性(コンパクト性)等が要求されることが多いため、EEPROMやフラッシュメモリ等が好適である。一方、サーバ側記憶手段は、多機種に対応して多くのデータを格納でき、また、データ更新等も容易なハードディスクが好適である。
【0019】
ECU、サーバコンピュータおよびクライアントコンピュータは、通常、コンピュータとしての基本機能を有するものであることは言うまでもない。すなわち、演算処理装置であるCPU、基本プログラム等の各種プログラムを記憶したROM等を当然に備える。さらに本発明の場合、ECU、サーバコンピュータおよびクライアントコンピュータが相互に通信可能であることから、各通信手段として、LANカード等の通信インターフェイスおよび通信ケーブル等の通信路を備える。なお、本発明でいう通信は、無線通信でも有線通信でも良い。
【0020】
サーバコンピュータとクライアントコンピュータとの間の通信は、専用のオンラインにより行われても良いが、インターネットの通信網を利用することで、国内間は勿論、外国との間であっても、低コストでデータの送受信が可能となる。クライアントコンピュータとECUとの間は、例えば、RS232C等の汎用通信路を介して行っても良いし、専用の通信路を別途設けても良い。また、ECUの入出力端子を通信端子として併用しても良い。その端子に、別途アダプター等を介して汎用通信ケーブル等を利用しても良い。
【0021】
なお、本発明でいうクライアントコンピュータは、パソコン等のコンピュータ1台に限らず、組付メーカの管理下にある一連の複数のコンピュータから構成されても良い。例えば、サーバ側発信手段と接続されるクライアント側受信手段は、組付メーカ側のホストコンピュータに設けられ、標準化ECUの装置側受信手段に接続されるクライアント側発信手段は、そのホストコンピュータにLAN等で接続された個々のコンピュータに設けられていても良い。
本発明でいうデータは、マップ情報やパラメータ情報のような単なる数値情報(制御データ)に限らず、ECUを作動させる制御プログラム等をも含む。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
本発明の実施形態であるECUへのデータ書込みシステムS(以下、単に「システムS」という。)の全体概略図を図1に示す。
このシステムSは、ECUメーカで製作された標準化ECU10と、そのECUメーカ内に設けられたサーバコンピュータ20と、標準化ECU10の納入先である車両メーカ(組付メーカ)内に設けられたクライアントコンピュータ30と、サーバコンピュータ20とクライアントコンピュータ30との通信を可能とするインターネット網Iからなる。
【0023】
標準化ECU10は、エンジン制御用のコンピュータであり、CPU、ROMおよびRAM等を備えて、コンピュータとしての基本機能を果す。さらに、エンジンの点火時期、燃料噴射量等のマップ情報(データ)が、不揮発性で電気的に書換え可能なEEPROM(装置側記憶手段)に格納されるようになっている。ECUメーカから標準化ECU10が出荷される段階では、このEEPROMにデフォルトのデータが書込んである。
【0024】
また、標準化ECU10は、当然に外部と入出力を行う入出力端子を備え、この入出力端子の一部は通信端子となっており通信インターフェイス(I/F)に連なる。これを介して外部との間で信号の送受信が可能となっており、これは、EEPROMへデータを書込む際に使用される。こうして装置側受信手段が構成される。
サーバコンピュータ20は、ECUメーカで開発作成された種々のデータ群(データA、データB、データC・・・)等を格納したハードディスク(HDD:サーバ側記憶手段)と、インターネットIに接続してデータの送受信を行うための通信I/F(サーバ側発信手段)と、CPU、ROMおよびRAM等のコンピュータとしての基本構成とを備える。なお、HDDからの各データの読込みは、ROMに格納された読込プログラムおよびCPUにより行われる(サーバ側読込手段)。
【0025】
クライアントコンピュータ30は、車両メーカの生産ライン等に設けられたパソコンからなる。具体的には、インターネットIに接続してデータの送受信を行うための第1通信I/F(クライアント側受信手段)と、CPU、ROMおよびRAM等のコンピュータとしての基本構成と、標準化ECU10に接続してデータの送受信をするための第2通信I/F(クライアント側発信手段)とを備える。また、エンジンECU10のEEPROMへのデータ書込みは、ROMに格納された書込プログラムおよびCPUにより行われる(クライアント側書込手段)。
【0026】
さらに、サーバコンピュータ20は、HDD内に格納されている各データ群毎に、アクセス権限を規制するパスワードによる認証手段(第1送受信規制手段)を備える。これにより、クライアントコンピュータ30がサーバコンピュータ20から或るデータ(例えば、データA)をダウンロードするには、予め認証されたパスワードを入力、送信することが必要となる。なお、この認証手段は、HDD等に記憶されている認証プログラムをCPUが実行することでおこなわれる。
【0027】
また、標準化ECU10も、アクセス権限を規制する認証手段(第2送受信規制手段)を備える。これにより、例えば、甲社(車両メーカ)に納入された標準化ECU10には、甲社側のクライアントコンピュータ30しかアクセスできず、しかも、その標準化ECU10に対応したデータ群中のデータしか、その標準化ECU10には書込みできないようになっている。なお、この認証手段は、ROM内に格納されたコードとクライアントコンピュータ30から送信されるデータコードとをCPUが対比判断することにより行える。
【0028】
次に、ECU本体の流れについて説明する。
先ず、ECUメーカは、上記標準化ECU10を生産し、検査、在庫、出荷をする。このとき、細かな品番別にECUを分類、管理する必要がないため、各工程で要する工数、労力が軽減される。
次に、車両メーカは、その標準化ECU10を受入、在庫する。そして、車両の組立ラインへその標準化ECU10を搬送する。このとき、エンジンの機種とは関係なく、共通の標準化ECU10を受入、在庫、管理、搬送すれば良いから、ECUメーカ同様に車両メーカも、各工程で要する工数、労力が軽減される。
【0029】
そして、車両メーカは、車両の機種(例えば、車両A、B、C・・・)が異なる場合でも、共通の標準化ECU10を組付け、搭載する。そして、上記システムS(特に、クライアントコンピュータ30)により、各車両に搭載されているエンジンに対応した機種別データ(データA、B、C・・・)が、標準化ECU10へ書込まれる。こうして、標準化ECU10が、各種の車両に対応した機種別ECU11、12、13・・・となる。
【0030】
なお、上記実施例では、サーバコンピュータ1台からクライアントコンピュータ1台に直接データを受渡すシステムとなっているが、その中間に、データの受渡しを行うコンピュータが何台介在しても良い。
また、上記実施例では、サーバコンピュータは1台であるが、複数のサーバコンピュータがそれぞれ全体のデータの一部を担当して送り出しても良い。
また、上記実施例では、クライアントコンピュータは1台であるが、複数のクライアントコンピュータがそれぞれ全体のデータの一部を担当して受取り、ECUに書込んでも良い。
また、上記実施例では、クライアントコンピュータ1台が、ECU1台にデータを書込んでいるが、クライアントコンピュータ1台で、複数のECUへデータを書込んでも良い。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、書込みデータの異なるECUを効率的に管理でき、ECUの管理コストや車両の生産コスト等の低減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるECUへのデータ書込みシステム全体を示すブロック図である。
【図2】従来のECUのデータ書込みおよび納入形態を説明するブロック図である。
【符号の説明】
10 標準化ECU(標準化車両用電子制御装置)
11、12、13 機種別ECU
20 サーバコンピュータ
30 クライアントコンピュータ
I インターネット網
S ECUへのデータ書込みシステム
【発明の属する技術分野】
インターネット等を利用して取得したデータを、組付メーカ側で車両用電子制御装置へ書込みできる車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム、そのシステムで使用されるデータ書込み可能な車両用電子制御装置、サーバコンピュータおよびクライアントコンピュータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の自動車、二輪車等の車両には、多くの車両用電子制御装置(以下、適宜、「ECU」という。)が使用されている。代表的なものはエンジンの点火タイミングや燃料噴射量等を制御するエンジン用ECUである。この他にも、AT(オートマチック・トランスミッション)用ECU、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)用ECU、車輪制御用ECU等、種々のものがある。しかも、これらのECUは、搭載する車種、形式、グレード等が異なる毎に、内部のメモリ等に書込まれている情報がそれぞれ異なるのが通常である。
例えば、エンジン用ECUを観ると、そこに書込まれる点火タイミングや燃料噴射量等のマップデータは、エンジン形式毎に異なるのは勿論のこと、同じエンジン形式であっても、そのエンジンが搭載される車種毎にも異なる。このため、ECUをソフト面から観ると、非常に多くの異なるECUが存在することになる。
【0003】
もっとも、ECUをハード面から観ると、その構成が共通していることが多い。このため、従来は図2に示すように、ECUメーカが、仕様を標準化した標準化ECUを用意し、そこに機種別に異なるデータを書込み、機種別に異なるECU(例えば、品番A、B、C・・・)として、検査、在庫、出荷等していた。そして、そのECUを車両に組み付ける車両メーカでも、各品番毎にECUを受入、在庫等して、異なる各車両に組付けていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、書込みデータが相違するのみであるにも拘わらず、ECUメーカでは、多くの品番を用意して各品番毎にECUを生産、検査、在庫、出荷等しなければならず、管理コスト等が上昇していた。
さらに、車両メーカ等でも、異なる品番毎にECUを管理し車両に組み付けなければならないため、やはり同様の管理コストの上昇等を招いていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、書込みデータの異なるECUを効率的に管理でき、ECUの管理コストや車両の生産コスト等の低減を図れる、ECUへのデータ書込みシステムおよびデータ書込み可能なECUを提供することを目的とする。
なお、特開2002−138895号公報には、エンジン用ECUへ書込むデータの通信システムについて開示されている。しかし、この公報に開示されたシステムは、市場に出た車両に既に組付けられているECUのデータを、補給部品の特性に応じて書換えるものである。従って、ECUメーカからECUが出荷される段階を考えると、書込まれるデータ別にECUが管理されていたことに何ら変わりがなく、上記課題を何ら解決するものではなく、また、その示唆を与えるものでもない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、仕様を標準化したECUを組付メーカへ納入し、組付メーカが通信回線を介して取得した機種別のデータをそのECUに書き込むことを思いつき、本発明を完成するに至ったものである。
(車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム:請求項1)
すなわち、本発明の車両用電子制御装置(ECU)へのデータ書込みシステムは、データを少なくとも受信できる装置側受信手段と該装置側受信手段を介して取得したデータを不揮発性状態で記憶する装置側記憶手段とを有し、車両または該車両の構成装置に組付けられる車両用電子制御装置と、該装置側記憶手段へ書込むデータを発信するサーバ側発信手段を有するサーバコンピュータと、該サーバ側発信手段からデータを受信するクライアント側受信手段と該クライアント側受信手段の受信した該データを前記装置側受信手段へ発信するクライアント側発信手段と該クライアント側発信手段から発信されたデータを前記装置側記憶手段に書込むクライアント側書込手段とを有するクライアントコンピュータとを備える車両用電子制御装置へのデータ書込みシステムであって、
前記車両用電子制御装置は、前記車両用電子制御装置メーカから前記組付メーカへ納入される段階では仕様を標準化した標準化車両用電子制御装置であり、前記クライアントコンピュータが前記サーバコンピュータから取得した機種毎に異なる機種別データを該標準化車両用電子制御装置に書込むことにより機種毎に異なる機種別車両用電子制御装置となることを特徴とする。
【0007】
本発明のシステムによると、ECUメーカは、組付メーカへ標準化車両用電子制御装置(標準化ECU)を納入するだけで良い。このため、多数の品番が付されたECUを生産したり、検査、在庫、出荷等の煩雑な管理が軽減され、その分コスト削減ができる。組付メーカにとっても、納入されるのは標準化ECUのみであるため、ECUの受入、在庫管理等が簡便化される。さらに、組付メーカでは、ECUを各機種に組付ける際にも、品番等により細分化されたECUを管理しつつ該当機種に組付ける必要がないため、ECUの組付けを効率的に行うことができる。
【0008】
ところで、この標準化ECUにも、最終的には機種別に異なるデータを書込む必要がある。本発明の場合、このデータの書込みが組付メーカ側のクライアントコンピュータで行われることになる。
このとき、サーバコンピュータとクライアントコンピュータとの間のデータのやりとりは、CD、DVD、FD(フロッピーディスク)、フラッシュメモリ等の記録媒体を介して、直接受渡したり郵送等により行うことができる。従って、それらが必ずしも通信回線に接続されている必要はない。しかし、有線、無線を問わず、インターネットやオンライン等の通信回線で、それらが接続されていると、データの発信、受信を簡易に、低コストで、迅速に行うことができる。特に、本発明のシステムの場合、ECUメーカの管理下にあるサーバコンピュータに記憶(アップロード)された所望の書込みデータを、組付メーカが必要に応じて、組付メーカの管理下にあるクライアントコンピュータへダウンロードすることで、クライアントコンピュータは最新の書込みデータを即座に入手できる。そして、組付メーカ側のクライアントコンピュータは、その取込んだデータを標準化ECUへ書込む。こうして標準化ECUは機種別ECUとなる。なお、この書込みは、組付メーカ側で為される限り、標準化ECUを該当機種に組付ける前でも、標準化ECUを組付けた後でも良い。
【0009】
このように、本発明のシステムによれば、ECUメーカおよび組付メーカにおけるECUの取扱いが簡便になると共に、書込みデータ等の変更にも即応できる。従って、低コストでジャスト・イン・タイムなECUの提供が可能となる。
従って、前記サーバ側発信手段と前記クライアント側受信手段とは、通信手段からなると好適である(請求項2)。
【0010】
また、本発明では、前記サーバコンピュータの管理体制まで問わないが、変更データの提供が容易であることから、そのサーバコンピュータが前記車両用電子制御装置の供給者側の管理下にあると好適である。(請求項3)。なお、言うまでもなく、クライアントコンピュータは、車両用電子制御装置の市場関係者側にある。
【0011】
(データ書込み可能な車両用電子制御装置:請求項5)
本発明は、上記ECUへのデータ書込みシステムのみならず、その利用を前提としたECUとしても把握できる。
すなわち、本発明は、上記システムで使用される車両用電子制御装置であって、
前記車両用電子制御装置メーカから前記組付メーカへ納入される段階では仕様を標準化した標準化車両用電子制御装置であり、該組付メーカが前記サーバコンピュータから取得した機種毎に異なる機種別データを該標準化車両用電子制御装置に書込むことにより機種毎に異なる機種別車両用電子制御装置となることを特徴とするデータ書込み可能な車両用電子制御装置として把握しても良い。
【0012】
(クライアントコンピュータ:請求項6)
本発明は、上記ECUのデータ変更システムの利用を前提としたクライアントコンピュータとしても把握できる。
すなわち、本発明は、データを発信するサーバ側発信手段を有するサーバコンピュータと、該サーバ側発信手段から発信されたデータを記憶する装置側記憶手段を有する車両用電子制御装置との間に設けられ、前記データを前記サーバ側発信手段から前記装置側記憶手段に書込むクライアント側書込手段を有することを特徴とするクライアントコンピュータと把握しても良い。
この場合、クライアントコンピュータがクライアント側書込手段により書込みを行うので、ECU自体が書込みを行う必要がなく、ECUの構成を簡素にできる。
【0013】
(サーバコンピュータ:請求項7)
本発明は、上記ECUのデータ変更システムの利用を前提としたサーバコンピュータとしても把握できる。
すなわち、本発明は、受信したデータを格納する装置側記憶手段を有する車両用電子制御装置に、データを発信して前記装置側記憶手段に書込むクライアントコンピュータに対して、前記データを発信するサーバ側発信手段を有することを特徴とするサーバコンピュータと把握しても良い。
この場合、サーバコンピュータが変更データを発信するので、クライアントコンピュータは不要なデータを保管しておく必要がなく、システムの簡素化を図れる。
【0014】
ところで、本発明を、どのように把握する場合であれ、前記サーバコンピュータおよび/または前記クライアントコンピュータは、前記サーバ側発信手段から前記クライアント側受信手段へのデータの送受信を規制する第1送受信規制手段を有し、該クライアントコンピュータおよび/または前記車両用電子制御装置は、前記クライアント側発信手段から前記装置側受信手段へのデータの送受信を規制する第2送受信規制手段を有すると好適である(請求項4)。
例えば、ECUメーカ側のサーバコンピュータにアクセスできるものは、そのECUメーカから標準化ECUが納入されている組付メーカに限定する。何ら関係のないものがそのサーバコンピュータにアクセスしてデータを取得することは、機密上または安全上から考えて不都合だからである。そこで、ECUメーカ側のサーバコンピュータと組付メーカ側のクライアントコンピュータとの間でデータの送受信が第1送受信規制手段によって規制される。
【0015】
また、ECUメーカは、1社の組付メーカへECUを納入している場合に限らず、複数の組付メーカへECUを納入している場合も多い。このような場合、ある組付メーカへ納入されている標準化ECUへ書込まれるデータを、別の組付メーカのクライアントコンピュータがダウンロード等することをも回避しなければならない。そこで、前記第1送受信規制手段は、標準化ECUが納入されている組付メーカであっても、特定のデータにのみアクセス権限を与えるように規制するものとしても良い。
【0016】
次に、1社の組付メーカであっても、複数種の標準化ECUが納入されていることも多い。この場合、納入された各標準化ECUとそこに書込み可能なデータ群とが対応していなければならない。そこで、例えば、それぞれの標準化ECUへ書込み可能なデータの送受信を、前記第2送受信規制手段がそのECUとクライアントコンピュータとの間で規制する。これにより、非対応なデータ群中のデータを誤って標準化ECUへ書込み、不具合が発生することが防止される。
【0017】
なお、これらの規制手段は、例えば、パスワードや暗証番号、コード等の認証または確認によりなされる。また、上記第1送受信規制手段はサーバコンピュータ側に、上記第2送受信規制手段はECU側に設けられるのが通常である。
本発明でいう組付メーカは、車両の組立メーカには限らず、各種アッセンブリメーカも該当する。例えば、エンジンメーカ、ATメーカ、ブレーキメーカ等でも良い。さらには、車両関連メーカでなくても良い。
標準化ECUは、電子回路等の主要ハード構成が基本的に共通するものであれば良い。末端の細かな素子の有無やその種類、ケースの形状等が異なっているECUであっても、この標準化ECUに含めて考えて良い。その装置側記憶手段には、デフォルト状態のデータが既に書込まれていても良いし、何も書込まれていない状態でも良い。
【0018】
記憶手段は、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の他、ハードディスクやCD、DVD、FD(フロッピーディスク)等の記録媒体でも良い。もっとも、装置側記憶手段の場合、不揮発性で、高い応答性、搭載性(コンパクト性)等が要求されることが多いため、EEPROMやフラッシュメモリ等が好適である。一方、サーバ側記憶手段は、多機種に対応して多くのデータを格納でき、また、データ更新等も容易なハードディスクが好適である。
【0019】
ECU、サーバコンピュータおよびクライアントコンピュータは、通常、コンピュータとしての基本機能を有するものであることは言うまでもない。すなわち、演算処理装置であるCPU、基本プログラム等の各種プログラムを記憶したROM等を当然に備える。さらに本発明の場合、ECU、サーバコンピュータおよびクライアントコンピュータが相互に通信可能であることから、各通信手段として、LANカード等の通信インターフェイスおよび通信ケーブル等の通信路を備える。なお、本発明でいう通信は、無線通信でも有線通信でも良い。
【0020】
サーバコンピュータとクライアントコンピュータとの間の通信は、専用のオンラインにより行われても良いが、インターネットの通信網を利用することで、国内間は勿論、外国との間であっても、低コストでデータの送受信が可能となる。クライアントコンピュータとECUとの間は、例えば、RS232C等の汎用通信路を介して行っても良いし、専用の通信路を別途設けても良い。また、ECUの入出力端子を通信端子として併用しても良い。その端子に、別途アダプター等を介して汎用通信ケーブル等を利用しても良い。
【0021】
なお、本発明でいうクライアントコンピュータは、パソコン等のコンピュータ1台に限らず、組付メーカの管理下にある一連の複数のコンピュータから構成されても良い。例えば、サーバ側発信手段と接続されるクライアント側受信手段は、組付メーカ側のホストコンピュータに設けられ、標準化ECUの装置側受信手段に接続されるクライアント側発信手段は、そのホストコンピュータにLAN等で接続された個々のコンピュータに設けられていても良い。
本発明でいうデータは、マップ情報やパラメータ情報のような単なる数値情報(制御データ)に限らず、ECUを作動させる制御プログラム等をも含む。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
本発明の実施形態であるECUへのデータ書込みシステムS(以下、単に「システムS」という。)の全体概略図を図1に示す。
このシステムSは、ECUメーカで製作された標準化ECU10と、そのECUメーカ内に設けられたサーバコンピュータ20と、標準化ECU10の納入先である車両メーカ(組付メーカ)内に設けられたクライアントコンピュータ30と、サーバコンピュータ20とクライアントコンピュータ30との通信を可能とするインターネット網Iからなる。
【0023】
標準化ECU10は、エンジン制御用のコンピュータであり、CPU、ROMおよびRAM等を備えて、コンピュータとしての基本機能を果す。さらに、エンジンの点火時期、燃料噴射量等のマップ情報(データ)が、不揮発性で電気的に書換え可能なEEPROM(装置側記憶手段)に格納されるようになっている。ECUメーカから標準化ECU10が出荷される段階では、このEEPROMにデフォルトのデータが書込んである。
【0024】
また、標準化ECU10は、当然に外部と入出力を行う入出力端子を備え、この入出力端子の一部は通信端子となっており通信インターフェイス(I/F)に連なる。これを介して外部との間で信号の送受信が可能となっており、これは、EEPROMへデータを書込む際に使用される。こうして装置側受信手段が構成される。
サーバコンピュータ20は、ECUメーカで開発作成された種々のデータ群(データA、データB、データC・・・)等を格納したハードディスク(HDD:サーバ側記憶手段)と、インターネットIに接続してデータの送受信を行うための通信I/F(サーバ側発信手段)と、CPU、ROMおよびRAM等のコンピュータとしての基本構成とを備える。なお、HDDからの各データの読込みは、ROMに格納された読込プログラムおよびCPUにより行われる(サーバ側読込手段)。
【0025】
クライアントコンピュータ30は、車両メーカの生産ライン等に設けられたパソコンからなる。具体的には、インターネットIに接続してデータの送受信を行うための第1通信I/F(クライアント側受信手段)と、CPU、ROMおよびRAM等のコンピュータとしての基本構成と、標準化ECU10に接続してデータの送受信をするための第2通信I/F(クライアント側発信手段)とを備える。また、エンジンECU10のEEPROMへのデータ書込みは、ROMに格納された書込プログラムおよびCPUにより行われる(クライアント側書込手段)。
【0026】
さらに、サーバコンピュータ20は、HDD内に格納されている各データ群毎に、アクセス権限を規制するパスワードによる認証手段(第1送受信規制手段)を備える。これにより、クライアントコンピュータ30がサーバコンピュータ20から或るデータ(例えば、データA)をダウンロードするには、予め認証されたパスワードを入力、送信することが必要となる。なお、この認証手段は、HDD等に記憶されている認証プログラムをCPUが実行することでおこなわれる。
【0027】
また、標準化ECU10も、アクセス権限を規制する認証手段(第2送受信規制手段)を備える。これにより、例えば、甲社(車両メーカ)に納入された標準化ECU10には、甲社側のクライアントコンピュータ30しかアクセスできず、しかも、その標準化ECU10に対応したデータ群中のデータしか、その標準化ECU10には書込みできないようになっている。なお、この認証手段は、ROM内に格納されたコードとクライアントコンピュータ30から送信されるデータコードとをCPUが対比判断することにより行える。
【0028】
次に、ECU本体の流れについて説明する。
先ず、ECUメーカは、上記標準化ECU10を生産し、検査、在庫、出荷をする。このとき、細かな品番別にECUを分類、管理する必要がないため、各工程で要する工数、労力が軽減される。
次に、車両メーカは、その標準化ECU10を受入、在庫する。そして、車両の組立ラインへその標準化ECU10を搬送する。このとき、エンジンの機種とは関係なく、共通の標準化ECU10を受入、在庫、管理、搬送すれば良いから、ECUメーカ同様に車両メーカも、各工程で要する工数、労力が軽減される。
【0029】
そして、車両メーカは、車両の機種(例えば、車両A、B、C・・・)が異なる場合でも、共通の標準化ECU10を組付け、搭載する。そして、上記システムS(特に、クライアントコンピュータ30)により、各車両に搭載されているエンジンに対応した機種別データ(データA、B、C・・・)が、標準化ECU10へ書込まれる。こうして、標準化ECU10が、各種の車両に対応した機種別ECU11、12、13・・・となる。
【0030】
なお、上記実施例では、サーバコンピュータ1台からクライアントコンピュータ1台に直接データを受渡すシステムとなっているが、その中間に、データの受渡しを行うコンピュータが何台介在しても良い。
また、上記実施例では、サーバコンピュータは1台であるが、複数のサーバコンピュータがそれぞれ全体のデータの一部を担当して送り出しても良い。
また、上記実施例では、クライアントコンピュータは1台であるが、複数のクライアントコンピュータがそれぞれ全体のデータの一部を担当して受取り、ECUに書込んでも良い。
また、上記実施例では、クライアントコンピュータ1台が、ECU1台にデータを書込んでいるが、クライアントコンピュータ1台で、複数のECUへデータを書込んでも良い。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、書込みデータの異なるECUを効率的に管理でき、ECUの管理コストや車両の生産コスト等の低減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるECUへのデータ書込みシステム全体を示すブロック図である。
【図2】従来のECUのデータ書込みおよび納入形態を説明するブロック図である。
【符号の説明】
10 標準化ECU(標準化車両用電子制御装置)
11、12、13 機種別ECU
20 サーバコンピュータ
30 クライアントコンピュータ
I インターネット網
S ECUへのデータ書込みシステム
Claims (7)
- データを少なくとも受信できる装置側受信手段と該装置側受信手段を介して取得したデータを不揮発性状態で記憶する装置側記憶手段とを有し、車両または該車両の構成装置に組付けられる車両用電子制御装置と、
該装置側記憶手段へ書込むデータを発信するサーバ側発信手段を有するサーバコンピュータと、
該サーバ側発信手段からデータを受信するクライアント側受信手段と該クライアント側受信手段の受信した該データを前記装置側受信手段へ発信するクライアント側発信手段と該クライアント側発信手段から発信されたデータを前記装置側記憶手段に書込むクライアント側書込手段とを有するクライアントコンピュータとを備える車両用電子制御装置へのデータ書込みシステムであって、
前記車両用電子制御装置は、前記車両用電子制御装置メーカから前記組付メーカへ納入される段階では仕様を標準化した標準化車両用電子制御装置であり、前記クライアントコンピュータが前記サーバコンピュータから取得した機種毎に異なる機種別データを該標準化車両用電子制御装置に書込むことにより機種毎に異なる機種別車両用電子制御装置となることを特徴とする車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム。 - 前記サーバ側発信手段と前記クライアント側受信手段とは、通信手段からなる請求項1に記載の車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム。
- 前記サーバコンピュータは、前記車両用電子制御装置の供給者側の管理下にある請求項1に記載の車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム。
- 前記サーバコンピュータおよび/または前記クライアントコンピュータは、前記サーバ側発信手段から前記クライアント側受信手段へのデータの送受信を規制する第1送受信規制手段を有し、
該クライアントコンピュータおよび/または前記車両用電子制御装置は、前記クライアント側発信手段から前記装置側受信手段へのデータの送受信を規制する第2送受信規制手段を有する請求項1または2に記載の車両用電子制御装置へのデータ書込みシステム。 - データを少なくとも受信できる装置側受信手段と該装置側受信手段を介して取得したデータを不揮発性状態で記憶する装置側記憶手段とを有し、車両または該車両の構成装置に組付けられる車両用電子制御装置と、
該装置側記憶手段へ書込むデータを発信するサーバ側発信手段を有するサーバコンピュータと、
該サーバ側発信手段からデータを受信するクライアント側受信手段と該クライアント側受信手段の受信した該データを前記装置側受信手段へ発信するクライアント側発信手段と該クライアント側発信手段から発信されたデータを前記装置側記憶手段に書込むクライアント側書込手段とを有するクライアントコンピュータとを備える車両用電子制御装置へのデータ書込みシステムに使用され、
前記車両用電子制御装置は、前記車両用電子制御装置メーカから前記組付メーカへ納入される段階では仕様を標準化した標準化車両用電子制御装置であり、前記クライアントコンピュータが前記サーバコンピュータから取得した機種毎に異なる機種別データを該標準化車両用電子制御装置に書込むことにより機種毎に異なる機種別車両用電子制御装置となることを特徴とするデータ書込み可能な車両用電子制御装置。 - データを発信するサーバ側発信手段を有するサーバコンピュータと、該サーバ側発信手段から発信されたデータを記憶する装置側記憶手段を有する車両用電子制御装置との間に設けられ、
前記データを前記サーバ側発信手段から前記装置側記憶手段に書込むクライアント側書込手段を有することを特徴とするクライアントコンピュータ。 - 受信したデータを格納する装置側記憶手段を有する車両用電子制御装置に、データを発信して前記装置側記憶手段に書込むクライアントコンピュータに対して、
前記データを発信するサーバ側発信手段を有することを特徴とするサーバコンピュータ。
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ES2285939A1 (es) * | 2006-05-12 | 2007-11-16 | Ricardo Arrondo Gil | "optimizador electronico para motores de inyeccion de vehiculos". |
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