JP2004042554A - 筐体部品とその射出成形方法 - Google Patents

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Norihiko Furuya
古谷 紀彦
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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂組成物による筐体部品設計の自由度を損なわず、熱可塑性樹脂の平均分子量、樹脂組成、金型構造を制限することなく、樹脂温度、金型温度を必要以上に高くすることなく、射出成形を実施する。
【解決手段】溶融状態にある該熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、キャビティの全体、または任意に選択された部分が、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティへ充填することにより得られるものであることを特徴とする筐体部品。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物による筐体部品とその射出成形方法に関する。さらに詳しくは、溶融状態にある該熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、キャビティの全体、または、任意に選択された部分が、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティへ充填することにより得られる熱可塑性樹脂組成物による筐体部品とその射出成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱可塑性樹脂に二酸化炭素を吸収させることにより、熱可塑性樹脂の可塑剤として働き、ガラス転移温度を低下させることが知られ、J.Appl.Polym.Sci.,Vol.30,2633(1985)など、多くの文献に示されている。しかし、現在まで、熱可塑性樹脂の成形加工に広く応用されるには至っていない。
【0003】
特開平5−318541号公報には、二酸化炭素や窒素などのガスを熱可塑性樹脂中に含ませ、キャビティ内のガスを除去しながら該樹脂をキャビティに充填することで、熱可塑性樹脂の流動性を向上させた上で、熱可塑性樹脂筐体部品を得る方法が示されている。
しかし、この方法は、ガスに二酸化炭素を使用した場合、最大でも約0.18重量%と熱可塑性樹脂中に含まれるガスの量が少なく、十分な流動性向上の効果を得ることは難しいため、高い寸法精度と寸法安定性を有する筐体部品を得ることは難しいといえる。
【0004】
また、上記公報による射出成形方法は、大気圧、40℃でガス体となる化合物を含有する熱可塑性樹脂を、大気に開放された状態、または、減圧された状態にある金型キャビティへ射出する方法である。上記化合物を含有する熱可塑性樹脂を、大気圧または減圧環境下にある金型キャビティへ射出すると、ガス体が発泡するため、得られた筐体部品の表面には発泡模様が発生する。この発泡模様は、微細な凹凸形状であるため、光沢のない外観であるほか、破壊の起点となりやすい。
【0005】
また、WO98/52734号公報には、熱可塑性樹脂の射出成形において、二酸化炭素を0.2重量%以上溶解して粘度を低下させた溶融樹脂を、あらかじめ溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きない圧力以上に二酸化炭素などのガスにより加圧状態に保った金型キャビティに充填する方法が示され、型表面の再現性、光沢度の向上、ウェルドラインが目立たなくなる、型表面のシャープエッジの再現性、微細な型表面の凹凸の再現性などに対して効果的であることが記載されている。
【0006】
しかし、溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きない圧力以上に、二酸化炭素などのガスによって加圧状態に保つための金型シール構造は、金型のパーティング面、型板間、スプルー・ブッシュなどの隙間からガスが漏洩しないよう、Oリングなどで密着させる必要があるほか、エジェクター・ピンなどからのガス漏洩を防止するために、Uパッキンなどによりそのシール構造を確保することが必要である。
【0007】
上記射出成形方法においては、射出成形工程後、金型を開き、筐体部品を金型キャビティから取り出すが、金型を開く前に金型キャビティ内を加圧状態に保っていた加圧ガスを金型外に排出することが必要である。これは、加圧ガスが金型キャビティに残留した場合には、Oリングの破損、金型自体の破損を引き起こす恐れがあるためである。
従って、金型キャビティから金型外へ加圧ガスを排出するためのガス流路は、常にガスの流動が良好であるように配慮する必要があり、バリによってガス流路が塞がれること、モールド・デポジット(MD)と呼ばれる樹脂から発生する分解物が滞留することなどに気を配ることが必要となる。
【0008】
一方、加圧されたガスによって金型キャビティ内を加圧状態に保つことにより、この加圧ガスは金型を開こうとする力を発生させる。この力が型締め力を上回ると、金型が開いてしまうため、型締め力を下回る範囲であることが必要である。
従って、金型キャビティ内を加圧する範囲(投影面積)は、小さいことが好ましく、また、加圧ガスの圧力は低いことが好ましいと言える。従って、筐体部品の大きさ、加圧ガスの圧力には、上限があると言える。
また、スライド・コア構造などを有する金型においては、シール構造を確保することが困難であるため、製品デザインに制約がある。
また、熱可塑性樹脂と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物は、通常の射出成形法と比較して、金型キャビティ内に充填された樹脂から発生するガスの量が多い。このため、通常の金型より金型キャビティからガスが抜けやすい構造であることが好ましい。
【0009】
この発生ガスは、金型キャビティのウェルド部分、流動末端部分、金型へ加圧ガスを供給することと、排気するためのガス配管部分に溜まりやすい。
従って、金型キャビティのウェルド部分、流動末端部分へ充填された熱可塑性樹脂は金型キャビティ壁面に密着しにくく、また、ヤケなどが発生することがある。この結果、同部分とその周辺部分の外観特性は悪化する傾向にあり、寸法精度は低下する傾向にある。
【0010】
また、金型へ加圧ガスを供給することと、排気するためのガス配管部分に溜まった分解ガスは固化した後、次の成形サイクルにおいて、金型キャビティへ供給される加圧ガスにより、再び金型キャビティへ戻され、金型キャビティ表面へ付着しMDとなる、これも筐体部品の外観不良の原因となりやすい。
一方、従来から、熱可塑性樹脂による筐体部品は、電気・電子機器、自動車、一般機械、精密機械、工業部品などの各分野において、機構部品、内外装部品として幅広く利用されている。最近の傾向としては、生産性に優れる、軽量である、錆びない、リサイクルが容易という理由から、その利用範囲は拡大している。
【0011】
さらに、各分野のハイテク化、高精度化、高機能化、小型化、製品デザインの複雑化、塗装の省略など、熱可塑性樹脂による筐体部品に対する寸法精度、外観特性への要求が高度化してきているほか、可能な限り肉厚の薄い筐体部品が望まれている。これらの要望に応えることが技術的な課題となっている。
熱可塑性樹脂による筐体部品の精度を向上させるためには、金型構造を工夫することが考えられる。例えば、流動末端部分まで短時間で充填でき、金型キャビティ内に充填された樹脂の圧力分布を均一化するためにゲート点数を多くすることが考えられる。
【0012】
しかし、ゲート点数の多い金型により射出成形された筐体部品は、少なからずウェルド部が発生する。このため、筐体部品表面にウェルド・ラインと呼ばれる線状の外観不良が発生するほか、ウェルド部分は強度が低下するため好ましくない。
一方、射出成形時の条件を工夫することによって、成形後に発生する反り、変形、歪みが少なく、高い寸法精度を維持する方法、また、肉厚の薄い筐体部品を得る方法が考えられる。
【0013】
例えば、樹脂温度を高く設定することにより、金型キャビティへ充填する際の溶融粘度を低下させる、また、金型温度を高く設定することにより、金型キャビティ内に充填された樹脂の粘度低下速度を鈍化させることが考えられる。
しかし、樹脂温度を高くする方法はその条件に、ある程度の範囲があり、限界がある。
例えば、樹脂温度が高すぎる場合には樹脂の分解を促すため、樹脂の劣化など、不具合の発生が心配される。また、筐体部品の表面にシルバー(または「銀条痕」)と呼ばれる外観不良が発生するほか、熱可塑性樹脂から発生した分解ガスにより金型の汚れが発生しやすくなる。これらは、作業環境の悪化、金型の分解掃除作業の発生など、作業性の低下を招くため好ましくない。
【0014】
また、樹脂温度を高くすることは、冷却、固化の過程において、樹脂自体の容積変化量が大きくなるため、ヒケ、ボイドなどの発生原因になりやすいほか、樹脂の冷却に時間を要するため、生産性の低下が懸念される。
一方、金型温度を高くした場合には、金型内に充填された樹脂の冷却時間が長くなるため、必然的に成形サイクル時間が長くなるほか、取り出し時の筐体部品寸法が小さくなるといった問題が発生しやすい。
【0015】
また、金型温度を高めた射出成形で、冷却時間が十分でなく、樹脂の冷却が不十分である場合には、取り出し時の筐体部品の温度が高い状態にある。このため、金型から筐体部品を取り出した後、この筐体部品自体の温度が雰囲気温度まで、徐々に温度が下がる間に、体積収縮や、自重による変形を発生する恐れがある。これは寸法精度を悪化させる原因となる。
肉厚をできるだけ均一にするなど、筐体部品の製品設計を工夫することによって、成形後の変形を抑え、収縮が均一になるよう配慮されることも一般的である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物による筐体部品設計の自由度を損なわず、熱可塑性樹脂の平均分子量、樹脂組成、金型構造を制限することなく、樹脂温度、金型温度を必要以上に高くすることなく、射出成形を実施することを課題とする。具体的には、本発明は、熱可塑性樹脂を金型キャビティへ充填することが容易であり、ウェルド・ラインが目立たず、金型転写性が良好であり、流動長の長く確保でき、軽量化が可能である筐体部品とその射出成形方法を得ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、熱可塑性樹脂組成物による筐体部品設計の自由度を損なわず、熱可塑性樹脂の平均分子量、樹脂組成、金型構造を制限することなく、樹脂温度、金型温度を必要以上に高くすることなく、熱可塑性樹脂を金型キャビティへ充填することが容易であり、ウェルド・ラインが目立たず、金型転写性の良好な筐体部品を得ることを可能とすべく、検討した。
【0018】
その結果、溶融状態にある該熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、キャビティの全体、または、任意に選択された部分が、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティへ充填することにより得られるものであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物による筐体部品が、熱可塑性樹脂組成物による筐体部品の生産性を向上させることを可能とすることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0019】
即ち、本発明は、
1. 溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、キャビティの全体、または任意に選択された部分が、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティへ充填することにより得られるものであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物による筐体部品、
2. 熱可塑性樹脂組成物が、非晶性樹脂組成物であることを特徴とする上記1に記載の筐体部品、
3. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくとも非晶性樹脂成分と無機系、および/または有機系である充填剤により構成されていることを特徴とする上記1または2に記載の筐体部品、
4. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくともポリフェニレンエーテル樹脂成分を含むポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする上記1から3のいずれかに記載の筐体部品、
【0020】
5. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくともポリフェニレンエーテル樹脂成分と少なくとも1種類の他の樹脂成分とをブレンド、またはグラフト重合させることにより変性させた変性ポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする上記1から4のいずれかに記載の筐体部品、
6. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくともポリカーボネート樹脂成分を含むポリカーボネート系樹脂であることを特徴とする上記1から3のいずれかに記載の筐体部品、
7. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくともアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体成分を含むABS系樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の筐体部品、
8. 熱可塑性樹脂組成物による筐体部品が、内部に発泡部分を有することを特徴とする上記1から7のいずれかに記載の筐体部品、
9. 熱可塑性樹脂組成物による筐体部品が、電子機器、電気機器の筐体部品であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の筐体部品、
【0021】
10. 熱可塑性樹脂組成物による筐体部品が、二次電池の筐体部品であることを特徴とする上記1から8のいずれかに記載の筐体部品、
11. 熱可塑性樹脂組成物による筐体部品が、記憶媒体の筐体部品であることを特徴とする上記1から8のいずれかに記載の筐体部品、
12. 溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、キャビティの全体、または任意に選択された部分が、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得ることを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法、
13. 成形機の加熱筒内において、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、キャビティの全体、または任意に選択された部分が、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得ることを特徴とする上記12に記載の射出成形方法、
14. 熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素の混合物を、金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得る射出成形方法であって、該金型キャビティの全体、または任意に選択された部分が、1層の厚さが0.001mmから3mmの範囲にある少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティであることを特徴とする上記12または13に記載の射出成形方法、
【0022】
15. 熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素の混合物を、金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得る射出成形方法であって、該金型キャビティの全体、または任意に選択された部分が、熱伝導率が1.0(J/m・sec・K)以下である、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティであることを特徴とする上記12から14のいずれかに記載の射出成形方法、
16. 熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素の混合物を、金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得る射出成形方法であって、該金型キャビティの全体、または任意に選択された部分が、熱伝導率が0.85(J/m・sec・K)以下である、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティであることを特徴とする上記12から15のいずれかに記載の射出成形方法、
である。
【0023】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物とは、加熱すると軟化して可塑性を示し、冷却すると固化する特徴を有する熱可塑性樹脂を主成分とした樹脂組成物を指すものである。
【0024】
具体的には、ポリアセタールまたはポリオキシメチレン(以下POMと略す)系樹脂、ポリアミド(以下PAと略す)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す)系樹脂、ポリイミド(以下PIと略す)系樹脂、ポリアミドイミド(以下PAIと略す)系樹脂、ポリエーテルイミド(以下PEIと略す)系樹脂、ポリアリレート(以下PARと略す)系樹脂、ポリスルフォン(以下PSFと略す)系樹脂ポリエーテルスルフォン(以下PES)系樹脂、高密度ポリエチレン(以下HDPEと略す)系樹脂、低密度ポリエチレン(以下LDPEと略す)系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(以下LLDPEと略す)系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(以下PEEKと略す)系樹脂、ポリプロピレン(以下PPと略す)系樹脂、ポリスチレン(以下PSと略す)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(以下PPEと略す)系樹脂、PPE系樹脂を他の樹脂とブレンド、または、グラフト重合させて変性させた変性PPE(以下mPPEと略す)系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(以下ABS系樹脂と略す)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(以下AS系樹脂と略す)、ポリカーボネート(以下PCと略す)系樹脂、ポリメチルメタクリルレート(以下PMMAと略す)系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと略す)系樹脂、液晶ポリマー(以下LCPと略す)などを挙げることができる。
【0025】
本発明において、熱可塑性樹脂組成物は、結晶性樹脂、非晶性樹脂の区別なく実施が可能であるが、成形収縮率が小さいこと、寸法安定性に優れていること、湿度や温度による寸法変化が小さいこと、非ハロゲン系難燃剤による難燃化が容易であること、広い樹脂温度範囲で射出成形時することができることを考慮すると、非晶性樹脂を主成分とした熱可塑性樹脂組成物であることが好ましい。
本発明において、非晶性樹脂組成物とは、熱可塑性樹脂を主成分とした樹脂組成物のうち、結晶状態をとりえないか、結晶化しても結晶化度が極めて低い熱可塑性樹脂成分を含む樹脂組成物を指すものである。
【0026】
さらに詳しくは、アモルファス、アモルファス・ポリマーとも呼ばれ、あり、原子または分子が三次元的に規則正しい空間格子をとらずに、それらが全く不規則に集合した固体状態で、無定形とも呼ばれる。無定形状態には、ガラス状態とゴム状態があり、ガラス転移点(Tg)以下では硬いガラス状を示すが、Tg以上では軟らかいゴム状を示す特徴を有する。
具体的には、PS、PPE、mPPE、ABS、AS、PC、PMMAなどの樹脂成分を主成分とした非晶性樹脂組成物を挙げることができる。
【0027】
また、本発明における熱可塑性樹脂組成物は、上記主成分となる熱可塑性樹脂と、特性の異なった2種類以上の熱可塑性樹脂が物理的、化学的に混合された複合樹脂材料であるポリマー・アロイであってもよい。
上記主成分となる熱可塑性樹脂と混合して用いることのできる特性の異なった樹脂は、該主成分となる熱可塑性樹脂と同一の分子構造をもつ樹脂成分であって、分子量、分子量分布が異なる樹脂成分であってもよいし、分子構造が異なる他の樹脂成分でもよい。
【0028】
上記主成分となる熱可塑性樹脂と混合して用いることのできる特性の異なった樹脂成分は、該主成分となる熱可塑性樹脂と相溶可能であれば特に制限はなく、例えば、POM、PP、PA、PET、PBT、PEEK、PE、PS、ABS樹脂、PC、PPE、mPPE、PPS、PI、PAI、PEI、PAR、PSF、PES、LCP、PTFE、熱可塑性エラストマー、ポリ四フッ化エチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなどを挙げることができる。
【0029】
上記、ポリマー・アロイの例としては、PA系樹脂とPPE系樹脂のポリマー・アロイ(以下PA/PPE系ポリマー・アロイと略す)、PP系樹脂とPPE系樹脂のポリマー・アロイ(以下PP/PPE系ポリマー・アロイと略す)、PPS系樹脂とPPE系樹脂のポリマー・アロイ(以下PPS/PPE系ポリマー・アロイと略す)、PC系樹脂とABS系樹脂によるポリマー・アロイ(以下PC/ABS系ポリマー・アロイと略す)などを挙げることができる。
【0030】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物には、比重を調整すること、強度を付与すること、寸法精度を確保すること、特長のある筐体部品外観を得ること、反りなどの変形を抑制することなどを目的とした改質剤として、無機系または有機系の充填剤を添加することができる。
これら無機系または有機系の充填剤の形状は限定されるものではなく、繊維状、板状、鱗片状、球状などが任意に選択でき、これらは中空であってもよい。
【0031】
上記に示した、無機系または有機系の充填剤としては、硫酸バリウム、ベンガラ、タングステン粉など、無機系である塩、酸化物、金属などのほか、ガラス、炭素、アラミド、チタン酸カリウム、アスベスト、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタルパルジャイト、ウオラストナイト、スラグ繊維、フェライト、ケイ素、カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、酸化亜鉛、石膏、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、アルミナなどが考えられる。
【0032】
また、上記の無機系または有機系の充填剤は、2種類以上を併用することが可能であるほか、必要に応じて、シラン系、チタン系などのカップリング剤で、予備処理して使用することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に添加される無機系または有機系の充填剤の添加量は限定されるものではないが、該熱可塑性樹脂組成物の比重を調整すること、強度を付与すること、寸法精度を確保すること、特長のある筐体部品外観を得ること、反りなどの変形を抑制するなど、添加剤を添加することによる効果を十分に得るためには、5重量%以上の添加量が好ましく、10重量%以上の添加量であることがさらに好ましい。
ここで、無機系または有機系充填剤の添加量とは、添加される無機系または有機系充填剤が1種類の場合にはその添加量を指し、2種類以上の場合にはそれらの総加量を指す。また、無機系または有機系充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂成分、無機系または有機系充填剤、その他の添加剤の総量を100重量%としたときの割合を指すものである。
【0033】
本発明における熱可塑性樹脂組成物には、通常使用する添加剤、例えば、酸化防止剤、難燃化剤、離型剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、防錆剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、防カビ剤などを必要に応じて、1種類以上添加することができる。
また、その他の添加剤として、炭素繊維、金属繊維、黒鉛のうちの1種類以上を選択することにより熱可塑性樹脂組成物の電気抵抗値を下げることができる。これは、埃などの小さな粉体が、熱可塑性樹脂組成物による筐体部品に静電気によって付着することを防止できるため、好適である。
【0034】
本発明において、熱可塑性樹脂組成物による筐体部品とは、自動車、電気機器、電子機器、一般機械、精密機械、工業用品、輸送機器、住宅分野などの各機器に用いられる熱可塑性樹脂組成物による筐体部品のうち、該機器の外装品を指すものであり形状は限定されるものではなく、複数の筐体部品を組み合わせることによって、目的の形状を得ることも可能である。
また、筐体部品は「ハウジング」とも呼ばれ、底板、天板、側板など複数の筐体部品を組み合わせることにより、最終形状は箱形状であることが一般的である。
本発明による筐体部品は、近年、難燃化、薄肉化の傾向が強い電子機器、電気機器、二次電池、記憶媒体の筐体には好適に用いられる。
上記に示した電子機器の筐体部品としては、各種プリンター、ファックス、コピー機、スキャナーなどとこれらの機能を複数有する複合機のほか、デスク・トップ型パソコン、ノート型パソコンなどの筐体部品を挙げることができる。
【0035】
また、電気機器の筐体部品としては、掃除機、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、乾燥機、加湿器などの各種家庭用電気機器のほか、CD、MD、DVD、LDなど各種ディスク・プレーヤー、テレビ、ビデオ・テープ・レコーダー、オーディオ・アンプ、チューナー、ナビゲーション・システムなど、車載用を含む各種AV機器の筐体部品を挙げることができる。また、家庭用、民生用に限定されることなく、事業用の電気機器へ用いてもよい。例えば、自動販売機、電光式の掲示板、商品陳列用の冷蔵庫などを挙げることができる。
【0036】
一方、本発明において二次電池とは、蓄電池とも呼ばれ、放電した後、充電することにより繰り返し使用できる電池を指す。
具体的には、電気機器、電子機器に用いられる二次電池を挙げることができ、特に携帯型の電気機器、電子機器に用いられる二次電池であって、「電池パック」、「バッテリー・パック」とも呼ばれ、例えば、携帯電話、ノート型パソコン、電子手帳、ビデオカメラ、デジタル・カメラ、スチル・カメラ、各種オーディオ機器などに用いられる充電可能な電池、バッテリー、バッテリー・パックなどが挙げられる。
【0037】
また、本発明において記憶媒体とは、ICチップ、ROM、RAMなど、主に電子情報を記憶する機能を有する記憶媒体を指すものであり、これら、電子情報の内容、記憶方法、記憶容量は限定されるものではない。
特に携帯しやすいように小型化、薄型化された記憶媒体が好ましく、FD、MO、MDなどのほか、「メモリー・スティック」、「スマート・メディア」、「コンパクト・フラッシュ」などとも呼ばれ、具体的には、ICカード、携帯電話、パソコン、電子手帳、ビデオカメラ、デジタル・カメラ、スチル・カメラ、各種オーディオ機器に用いられる記憶媒体が挙げられる。
【0038】
本発明による、熱可塑性樹脂組成物による筐体部品は、印刷機能を有するOA機器に用いられる引き出し式の紙カセットに見られるように、筐体としての機能以外の機能を有することは好ましい形状であるといえる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物による筐体部品は、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、該混合物を金型キャビティへ充填することを特徴とするが、二酸化炭素を大気圧以上に加圧することにより、溶融状態にある熱可塑性樹脂は、該二酸化炭素を効率良く分散、吸収することができる。
【0039】
本発明における熱可塑性樹脂組成物による筐体部品は、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素との混合物を金型キャビティへ充填することを特徴とするが、これは、該熱可塑性樹脂組成物に二酸化炭素を混合させることにより、通常の射出成形における熱可塑性樹脂組成物と比較して、該熱可塑性樹脂組成物の粘度が低下するためである。これは、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素を混合させることによって、二酸化炭素が熱可塑性樹脂組成物の可塑剤として効率よく分散するためと想像される。
【0040】
従って、流動性を向上させることを目的に、樹脂温度、金型温度を高くする必要がない。このため、熱可塑性樹脂組成物の熱分解による劣化、成形サイクルが長くなるといった不具合が発生しにくい。
また、従来の技術では射出成形することが困難であるような、耐熱温度の高い熱可塑性樹脂組成物、無機系または有機系の充填剤の充填量が多い熱可塑性樹脂組成物、平均分子量が大きい熱可塑性樹脂組成物による筐体部品を容易に得ることが可能となる。
【0041】
一方、熱可塑性樹脂組成物の粘度が低下することにより、必要以上に樹脂温度を高くせずに、流動距離を大きくすることができるので、低い充填圧で金型キャビティへ熱可塑性樹脂組成物を充填することができる。従って、得られた筐体部品には残留歪みが残りにくいため成形後に発生する反りなどが低減される傾向にある。
また、未充填部分が残りにくいため連続成形時における不良の発生率が低く、生産性が向上すると思われる。
【0042】
従来の射出成形方法では、熱可塑性樹脂組成物を充填することが困難であったために、筐体部品の肉厚は一定値より小さくできなかったが、二酸化炭素を混合させることによって熱可塑性樹脂組成物の粘度を低下させることにより、流動距離を大きくなることを利用して、より薄肉である筐体部品を得ることが可能となるほか、ゲート点数を低減できる可能性、成形機の型締め力を小さくできる可能性がある。
【0043】
本発明における筐体部品は、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素との混合物を金型キャビティへ充填することにより得られることを特徴とするが、その方法としては、射出成形機の加熱筒内で溶融状態の該熱可塑性樹脂組成物に混合させる方法、成形機のノズル部から溶融状態の該熱可塑性樹脂組成物に混合させる方法、金型と成形機のノズルの間に二酸化炭素の供給のための設備を設け溶融状態の該熱可塑性樹脂組成物に混合させる方法、予め溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物に二酸化炭素を混合した状態で樹脂ペレットを造粒したものを用いて射出成形する方法などが考えられる。
【0044】
二酸化炭素が熱可塑性樹脂組成物に均一かつ短時間で分散しやすいこと、混合量の調整が容易であること、成形前の段取りが煩雑でないことを考慮すると、射出成形機の加熱筒内、成形機のノズル部、成形機のノズル部と金型の間のいずれかの位置に、二酸化炭素供給のための設備を設けることにより、溶融状態の該熱可塑性樹脂組成物に二酸化炭素を混合させる方法が好ましい。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素を混合させることによって、二酸化炭素は該熱可塑性樹脂組成物に溶解または吸収されるが、その溶解量または吸収量は限定されるものではない。
【0045】
熱可塑性樹脂組成物を金型キャビティへ充填する際の流動性を向上させ、充填圧の上昇を抑えることが可能となるために必要な溶解量または吸収量は0.2重量%以上であり、0.4重量%以上であることがさらに好ましい。
二酸化炭素の溶解量または吸収量が0.2重量%未満である場合には、二酸化炭素を溶解または吸収させたことによる流動性向上効果を得ることが難しく、十分な寸法精度と寸法安定性を得ることは困難となるため好ましくない。
【0046】
また溶解量または吸収量の測定は、以下の方法により行うものとする。
(1)成形直後に筐体部品の重量を測定する(これをM1とする)。
(2)上記筐体部品は、室温を超え、好ましくは60℃以上であって、用いられる熱可塑性樹脂組成物の熱変形温度を超えない範囲の、任意の温度に保温された熱風乾燥機中に48時間以上放置し、二酸化炭素を放散させた後、熱風乾燥機から取り出し、再度、重量を測定する(これをM2とする)。
(3)二酸化炭素溶解量または吸収量(重量%)を、(M1−M2)÷M2×100から算出する。
ここで、熱可塑性樹脂組成物の熱変形温度とは、ASTM規格「D648」に従い、荷重1.82MPaにおける荷重たわみ温度を指す。
通常、金型キャビティ面は、充填される熱可塑性樹脂組成物の固化温度より低い温度に保たれている。金型キャビティに充填された溶融状態の熱可塑性樹脂により、瞬間的に固化温度を超える温度を超える可能性はあるが、成形サイクル全体としては、熱可塑性樹脂の固化温度より低い温度に保たれる。
【0047】
熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物を金型キャビティへ充填した場合、該混合物が発泡性を有することにより、該混合物は金型キャビティ内、特に流動の先端部分においては、発泡しやすい環境にある。
従って、通常用いられる金型キャビティへ熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物を充填した場合、その充填初期段階において、該混合物は、金型キャビティ内において発泡しつつ、固化し始める。充填の進行と共に、該混合物が金型キャビティ面に圧接されることにより、発泡は潰される形で充填が完了する。このため、得られた筐体部品表面には「スワール・マーク」と呼ばれる発泡ガス跡が残りやすい。
【0048】
本発明において、キャビティの全体、または、任意に選択された部分は、少なくとも1層の断熱層により被覆されていることを特徴とするが、このことにより、発泡性を有する混合物の充填初期段階から充填完了までの間、金型キャビティ内に充填された混合物の表面温度をその固化温度を超える範囲に保つことができる。
このため、金型キャビティへ熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素の混合物を充填する場合、その充填初期段階において、該混合物は、金型キャビティ内において発泡すると考えられるが、充填完了までの間、金型キャビティ内に充填された該混合物の表面温度をその固化温度を超える範囲に保つことができるため、該混合物は溶融状態を保ったまま金型キャビティ面に圧接されることにより、発泡は潰される形で充填が完了した際に、スワール・マークが残りにくいと思われる。従って、得られた筐体部品の表層部分には、発泡部分のない非発泡層が形成される。
【0049】
本発明において、キャビティの全体、または、任意に選択された部分は、少なくとも1層の断熱層により被覆されていることを特徴とするが、該断熱層を構成する材質と、厚さは限定されるものではない。
しかし、金型キャビティへ充填された熱可塑性樹脂と二酸化炭素の混合物の冷却を抑えることにより、金型キャビティへ該混合物を充填する初期段階から、充填完了までの間、金型キャビティ内に充填された該混合物の表面温度をその固化温度を超える範囲に保つことができることが必要である。
【0050】
断熱層の構成する断熱材の好ましい熱伝導率は、1.0(J/m・sec・K)以下の範囲にあることであり、さらに好ましくは、0.85(J/m・sec・K)以下の範囲にあることである。熱伝導率が1.0(J/m・sec・K)を超える範囲にあると、熱可塑性樹脂と二酸化炭素の混合物の冷却速度を十分に抑えることが困難であるため好ましくない。
また、断熱層の構成する断熱材の好ましい厚さは、0.001〜3mmの範囲にあることである。断熱層の厚さが0.001mm未満であると、熱可塑性樹脂と二酸化炭素の混合物の冷却速度を十分に抑えることが困難であるため好ましくない。また、断熱層の厚さが3mmを超えると該混合物の冷却が進行せず、成形サイクルが長くなるため好ましくない。
【0051】
上記断熱層は、例えば特開平5−162172号公報に示されているように、ポリイミドの皮膜を形成することで行うことができる。また、断熱層表面の傷つき防止や、シボまたはマット加工を容易にするため、断熱層の表面にめっき加工を施しておくことも可能である。
また、該断熱層は、金型キャビティ全体を被覆する必要はなく、意匠面など、選択された任意の箇所のみ被覆することによっても実施することが可能である。
【0052】
本発明において熱可塑性樹脂組成物の射出成形方法とは、通常行われている熱可塑性樹脂の成形加工方法であって、最も一般的な射出成形法のほか、中空射出成形法、ガスアシスト成形法、ブロー成形法、射出・圧縮成形法などが含まれる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物による筐体部品には、内部、特に周辺の肉厚と比較して厚肉である部分に発泡部分を有することが好ましい。該発泡部分は、金型キャビティ内で熱可塑性樹脂組成物が冷却、固化し、体積収縮を起こす際に、熱可塑性樹脂組成物中に溶解または吸収している二酸化炭素が、適度に発泡することにより形成されると想像される。
【0053】
該発泡部分が筐体部品の比較的厚肉である部分の内部に形成されることにより、該熱可塑性樹脂組成物の体積収縮分が筐体部品の内部から補われ、該筐体部品の表面にヒケなど、成形後に発生する不具合の発生が抑制される。このことにより、部分的に厚肉部を有する筐体部品への応用が可能となり、製品デザインの自由度が増すことが期待できる。また、該発泡部分は、熱可塑性樹脂組成物に発泡剤を添加することにより得られるものとは異なるものである。
【0054】
通常の射出成形法では、熱可塑性樹脂組成物を金型キャビティへ充填した後、さらにキャビティ内の熱可塑性樹脂組成物を加圧保持する工程を有する。この工程を「保圧工程」、その圧力の程度を「保圧力」、保圧工程の設定時間を「保圧時間」というが、該非発泡層の厚さは、保圧力、保圧時間により調整できる。
この保圧工程を省略することによって、筐体部品の表層部分に形成される非発泡層が薄く、任意の断面において発泡部分の占める割合の高い、高発泡筐体部品を得ることができる。
【0055】
一方、保圧力が高いほど、また、保圧時間が長いほど、筐体部品表層部分に形成される非発泡層は厚くなる傾向にあり、任意の断面において発泡部分部分の占める割合は小さくなり、得られる筐体部品は低発泡筐体部品となる。
しかし、保圧力が高すぎる場合、保圧時間が長すぎる場合には、金型キャビティ内で熱可塑性樹脂組成物が冷却、固化する際に、該熱可塑性樹脂組成物中に溶解している二酸化炭素が、筐体部品内部に発泡部分を形成しにくく、筐体部品表面にヒケを生じる恐れがある。
【0056】
また、保圧時間は限定されるものではないが、極端に保圧時間が短い場合には、金型キャビティへ充填する以前に熱可塑性樹脂組成物に混合させた二酸化炭素が膨張することにより、筐体部品に膨れ現象が発生する恐れがあるため好ましくない。
ここで発泡部分とは、熱可塑性樹脂組成物による薄肉筐体部品の任意断面を光学顕微鏡などにより10〜200倍に拡大、観察した際に、発泡によるボイドまたは、白化現象が確認される部分を指し、非発泡層とは発泡によるボイドまたは、白化現象が確認されない部分を指す。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物による薄肉筐体部品のみかけ比重は限定されるものではないが、該熱可塑性樹脂組成物による薄肉筐体部品の見かけ比重が、該結晶性樹脂組成物の有する比重の99.5%以下であることが好ましい。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
射出成形に使用した熱可塑性樹脂組成物は、mPPE系樹脂(旭化成(株)社製「ザイロン X331V」、「X1763」)、PC/ABS系ポリマー・アロイ(日本ジーイープラスチック(株)社製「サイコロイ MC5400」)であり、いずれも成形前はペレット状である。
成形機は、(株)ソディック プラステック社製「TUPARL TR50S2」射出成形機、住友重機械工業(株)社製「SG125M−HP」射出成形機を使用した。これら、2種類の成形機は、加熱筒中央部にガス供給部を設けてあり、大気圧以上に加圧された二酸化炭素を供給することにより、溶融状態の熱可塑性樹脂と二酸化炭素を混合することができる構造である。
【0058】
【実施例1、および2】
図1に示したような、ダンベル型引張試験片を射出成形できる金型を用意し、mPPE系樹脂「ザイロン X331V」を用いて射出成形を行った。
該ダンベル型引張試験片の形状は、JIS規格のプラスチック−引張特性の試験方法「K 7161(ISO 527−1)」に準じた形状であるが、試験片厚さを2mmである。
【0059】
金型はダンベル型引張試験片の両端にゲートを有する構造となっている。このため、ダンベル型引張試験片の中央部分にはウェルド部が発生する。また、金型キャビティには、厚さ0.065mmであるポリイミド・フィルムを貼り付け、これを断熱層とした。
成形機は「TUPARL TR50S2」を用い、加熱筒の温度は260℃に設定した。また、金型の温度調節は、媒体温度を70℃とすることにより、行った。
【0060】
二酸化炭素は、14.5MPa、50℃に調節した後、減圧弁を通すことにより、圧力4.2MPa、8.4MPaに減圧し、成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給部から、加熱筒内部の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物に供給することにより混合させた後、金型キャビティへ充填することにより図1に示したダンベル型引張試験片を得た。
このとき、保圧力は98MPa、保圧時間は7秒、冷却時間は20秒とした。
【0061】
10回連続で射出成形を実施し、射出成形機のモニターに表示される最高充填圧値を記録した。この平均値を充填圧とした。
表面粗さ形状測定機((株)東京精密社製「サーフコム 570A」)を用いて、図1に示した表面粗さ測定位置、測定距離10mmにおけるRmax値を5サンプルについて各々測定し、ダンベル型引張試験片の表面粗さとした。また、ウェルド部分についても、同様にRmax値を5サンプルについて各々測定し、ウェルド部分の凹み量とした。
また、スワール・マーク(発泡模様)、ウェルド・ラインの有無を目視にて観察した。
【0062】
得られたダンベル型引張試験片は、JIS「K 7161(ISO 527−1)」に準じた試験方法により、引張試験を行い、引張強度を測定した。10サンプルについて引張試験を実施し、この平均値を引張強度とした。
射出成形時の充填圧、ダンベル型引張試験片の表面粗さ、ウェルド・ラインの凹み量の測定結果、スワール・マークの有無、ウェルド・ラインの有無を目視により判断した結果、引張強度の測定結果を表1に示す。
【0063】
【実施例3、および4】
ポリイミドによる断熱層の厚さを0.11mmとし、成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給部に供給した二酸化炭素の圧力を4.2MPa、6.0MPaとした以外は、実施例1、2と同様の方法にて、図1に示したようなダンベル型引張試験片を得た。
実施例1、2と同様に、射出成形時の充填圧、ダンベル型引張試験片の表面粗さ、ウェルド・ラインの凹み量の測定結果、スワール・マークの有無、ウェルド・ラインの有無を目視により判断した結果、引張強度の測定結果を表1に示す。
【0064】
【比較例1、および2】
金型キャビティにはポリイミドによる断熱層を有さず、また、成形機の加熱筒中央部から二酸化炭素供給を行わない通常の射出成形の工程により、図1に示したようなダンベル型引張試験片を得た。
比較例1では、射出成形機の加熱筒の温度を260℃としたが、充填圧が250MPaを超える状況であるため、充填できなかった。このため、比較例2では、加熱筒温度を280℃とした。
実施例1、2と同様に、射出成形時の充填圧、ダンベル型引張試験片の表面粗さ、ウェルド・ラインの凹み量の測定結果、スワール・マークの有無、ウェルド・ラインの有無を目視により判断した結果、引張強度の測定結果を表1に示す。
【0065】
【比較例3】
金型キャビティにはポリイミドによる断熱層を有さず、成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給部に供給した二酸化炭素の圧力を8.4MPaとした以外は、実施例1、2と同様の方法にて、図1に示したようなダンベル型引張試験片を得た。
実施例1、2と同様に、射出成形時の充填圧、ダンベル型引張試験片の表面粗さ、ウェルド・ラインの凹み量の測定結果、スワール・マークの有無、ウェルド・ラインの有無を目視により判断した結果、引張強度の測定結果を表1に示す。
【0066】
【実施例5〜8】
図2に示したような、肉厚が2.5mmである平板形状成形品を射出成形できる金型を用意し、mPPE系樹脂「ザイロン X1763」を用いて射出成形を行った。
また、ゲートは、幅4mm、厚さ2.5mmであるサイド・ゲートとし、同形状のゲートを2ヶ所設けた。また、金型キャビティには、厚さ0.12mmであるポリイミドによる断熱層で被覆した。
成形機は「SG125M−HP」を用い、加熱筒の温度は280℃に設定した。また、金型の温度調節は、媒体温度を80℃とすることにより、行った。
【0067】
二酸化炭素は、14.5MPa、50℃に調節した後、減圧弁を通すことにより、圧力4.2MPa、8.0MPaに減圧し、成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給部から、加熱筒内部の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物に供給することにより混合させた後、金型キャビティへ充填することにより、図2に示したような平板形状成形品を得た。
このとき保圧力の設定は、実施例5、7においては59MPa、実施例6、8においては78MPaとし、保圧時間はそれぞれ7秒、冷却時間は20秒とした。
【0068】
一方、10回連続で射出成形を実施し、射出成形機のモニターに表示される最高充填圧値を記録した。この平均値を充填圧とした。
また、図2に示した表面粗さ測定位置において、測定距離10mmにおけるRmax値を5サンプルについて各々測定し、平板形状成形品の表面粗さとした。また、スワール・マーク、ウェルド・ラインの有無を目視にて観察した。
【0069】
成形後、平板形状成形品を室温23℃、湿度50%RHである恒温恒湿室に1週間保管した後、落錘衝撃試験を行った。落錘衝撃試験機の概要を図3に示す。
今回行った落錘衝撃試験は、重量が6.5kgfであり、ロード・セルが組み込まれている落錘を1.0mの高さから落下させ、試験片(平板形状成形品)を破壊することにより実施した。このとき、試験片を破壊するために要するエネルギーをロード・セルにより測定した。
射出成形時の充填圧、平板形状成形品の表面粗さ、目視により判断したスワール・マークの有無、ウェルド・ラインの有無、平板形状成形品の落錘衝撃強さを測定した結果を表2に示す。
【0070】
【比較例4】
金型キャビティの固定側は、厚さ0.12mmであるポリイミドによる断熱層で被覆した以外は、成形機の加熱筒中央部への供給の供給をしない、通常の射出成形方法により図2に示した平板形状成形品を得た。
このとき、保圧力を98(MPa)、保圧時間は7(秒)の保圧工程を設定し、冷却時間は20(秒)とした。
実施例6〜8と同様に、射出成形時の充填圧、平板形状成形品の表面粗さ、目視により判断したスワール・マークの有無、ウェルド・ラインの有無、平板形状成形品の落錘衝撃強さを測定した結果を表2に示す。
【0071】
【比較例5】
金型キャビティ内をポリイミドによる断熱層で被覆せず、成形機の加熱筒中央部への供給の供給をしない、通常の射出成形方法により図2に示した平板形状成形品を得た。
このとき、保圧力を98(MPa)、保圧時間は7(秒)の保圧工程を設定し、冷却時間は20(秒)とした。
実施例6〜8と同様に、射出成形時の充填圧、平板形状成形品の表面粗さ、目視により判断したスワール・マークの有無、ウェルド・ラインの有無、平板形状成形品の落錘衝撃強さを測定した結果を表2に示す。
【0072】
【比較例6】
金型キャビティ内をポリイミドによる断熱層で被覆せず、14.5MPa、50℃に調節した二酸化炭素を圧力8.4MPaに減圧し、成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給部から、加熱筒内部の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物に供給することにより混合させた後、金型キャビティへ充填することにより図2に示した平板形状成形品を得た。
このとき、保圧力を59(MPa)、保圧時間は7(秒)の保圧工程を設定し、冷却時間は20(秒)とした。
実施例6〜8と同様に、射出成形時の充填圧、平板形状成形品の表面粗さ、目視により判断したスワール・マークの有無、ウェルド・ラインの有無、平板形状成形品の落錘衝撃強さを測定した結果を表2に示す。
【0073】
【実施例9〜12】
図4に示した形状である、スパイラル・フロー成形品を射出成形できる金型を用意した。該スパイラル部分の幅は5mmであり、厚さは0.8mmである。また、金型キャビティは、厚さが0.11mmであるポリイミド層を有している。射出成形は、PC/ABS系ポリマー・アロイ「サイコロイ MC5400」を用いて実施した。
成形機は「TUPARL TR50S2」とし、加熱筒の温度は280℃に設定した。また、金型の温度調節は、媒体温度を80℃とすることによって行った。
【0074】
二酸化炭素は圧力14.0MPa、温度50℃に調節した後、減圧弁を通すことにより、4.0〜13.0MPaの範囲における任意の圧力に減圧し、成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給部から、加熱筒内部の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物に供給することにより混合させた後、図4に示したスパイラル・フロー成形品を射出成形できる金型キャビティへ充填した。
【0075】
VP切り替え値は、スプルー部分を充填でき、かつスパイラル部には充填されないように設定した。このときの射出速度は150mm/secである。VP切り替え後、118MPa、15秒間の保圧工程により、スパイラル部へ樹脂が充填されるようにし、スパイラル・フロー成形品を得た。
射出条件を決定した後、10回連続で射出成形を実施し、スパイラル部の流動先端までの流動長を測定し、平均値を算出するとともに、目視によりスワール・マークの有無を確認した。結果をそれぞれ表3に示す。
【0076】
【比較例7】
金型キャビティにポリイミド層を有さない金型を用いた点以外は、実施例9〜12と同様に射出成形を行った。なお、二酸化炭素は圧力14.0MPa、温度50℃に調節した後、減圧弁を通すことにより、8.4に減圧した後、成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給部から、加熱筒内部の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物に供給することとした。
実施例9〜12と同様、射出条件を決定した後、10回連続で射出成形を実施し、スパイラル部の流動先端までの流動長を測定し、平均値を算出するとともに、目視によりスワール・マークの有無を確認した。結果をそれぞれ表3に示す。
【0077】
【比較例8】
二酸化炭素を、加熱筒内部の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物に供給しないこと以外は、実施例9〜12と同様に射出成形を行った。
実施例9〜12と同様、射出条件を決定した後、10回連続で射出成形を実施し、スパイラル部の流動先端までの流動長を測定し、平均値を算出するとともに、目視によりスワール・マークの有無を確認した。結果をそれぞれ表3に示す。
【0078】
【比較例9】
金型キャビティにポリイミド層を有さない金型を用い、また、二酸化炭素を加熱筒内部の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物に供給することをしない通常の射出成形と同様の条件とした以外は、実施例9〜12と同様に射出成形を行った。
実施例9〜12と同様、射出条件を決定した後、10回連続で射出成形を実施し、スパイラル部の流動先端までの流動長を測定し、平均値を算出するとともに、目視によりスワール・マークの有無を確認した。結果をそれぞれ表3に示す。
【0079】
【実施例13、および14】
図5に示したような、ダンベル型引張試験片を射出成形できる金型を用意し、mPPE系樹脂「ザイロン X1763」を用いて射出成形を行った。
該ダンベル型引張試験片の形状は、JIS規格のプラスチック−引張特性の試験方法「K 7161(ISO 527−1)」に準じた形状である。
また、ゲートは1点であるため、ダンベル型引張試験片の中央部分にはウェルド部の発生はない。また、金型キャビティには、厚さ0.15mmであるポリイミド層を有し、これを断熱層としている。
【0080】
成形機は「TUPARL TR50S2」を用い、加熱筒の温度は280℃に設定した。また、金型の温度調節は、媒体温度を80℃とすることにより、行った。
二酸化炭素は、14.5MPa、50℃に調節した後、減圧弁を通すことにより、圧力7.8MPa、10.6MPaに減圧し、成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給部から、加熱筒内部の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物に供給することにより混合させた後、金型キャビティへ充填することにより図5に示したダンベル型引張試験片を得た。
このとき、射出速度は100mm/secとした。保圧工程は省略し、冷却時間は25秒とした。
スワール・マーク(発泡模様)、ウェルド・ラインの有無を目視にて観察した。
【0081】
成形後、平板形状成形品を室温23℃、湿度50%RHである恒温恒湿室に1週間保管した後、ダンベル型試験片ヒケ量と重量を測定した。
ヒケ量の測定は、表面粗さ形状測定機((株)東京精密社製「サーフコム 570A」)を用いて、図1に示したヒケ量測定位置におけるRmax値を5サンプルについて各々測定し、ダンベル型引張試験片のヒケ量とした。
ダンベル型引張試験片の表面に発生するスワール・マークの有無を目視により判断した結果、ヒケ量、重量を測定した結果を表4に示す。
【0082】
【比較例10】
成形機の加熱筒中央部に設けられたガス供給部からの二酸化炭素の供給を行わず、保圧工程を有するほかは、実施例13、14と同様にして射出成形を行った。
実施例13、14と同様に、ダンベル型引張試験片の表面に発生するスワール・マークの有無を目視により判断した結果、ヒケ量、重量を測定した結果を表4に示す。
【0083】
【比較例11】
金型キャビティにポリイミドによる断熱層を有さない金型を用いた点以外は、実施例13、14と同様にして射出成形を行った。このとき、成形機の加熱筒中央部に供給した二酸化炭素の圧慮Kは7.8MPaといた。
実施例13、14と同様に、ダンベル型引張試験片の表面に発生するスワール・マークの有無を目視により判断した結果、ヒケ量、重量を測定した結果を表4に示す。
【0084】
【表1】
Figure 2004042554
【0085】
【表2】
Figure 2004042554
【0086】
【表3】
Figure 2004042554
【0087】
【表4】
Figure 2004042554
【0088】
【発明の効果】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物による筐体部品設計の自由度を損なわず、熱可塑性樹脂の平均分子量、樹脂組成、金型構造を制限することなく、樹脂温度、金型温度を必要以上に高くすることなく、射出成形を実施すること、具体的には、本発明は、熱可塑性樹脂を金型キャビティへ充填することが容易であり、ウェルド・ラインが目立たず、金型転写性が良好であり、流動長の長く確保でき、軽量化が可能である筐体部品とその射出成形方法を得ることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダンベル型引張試験片
【図2】平板形状成形品
【図3】落錘衝撃試験模式図
【図4】スパイラル・フロー成形品
【図5】ダンベル型引張試験片
【符号の説明】
1  ダンベル型引張試験片
2  ゲート部
3  ウェルド部
4  平板形状成形品
5  落錘
6  スパイラル・フロー成形品
7  スプルー部
a  表面粗さ測定位置
b  ヒケ量測定位置

Claims (16)

  1. 溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、キャビティの全体、または任意に選択された部分が、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティへ充填することにより得られることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物による筐体部品。
  2. 熱可塑性樹脂組成物が、非晶性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の筐体部品。
  3. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくとも非晶性樹脂成分と無機系、および/または有機系である充填剤により構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体部品。
  4. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくともポリフェニレンエーテル樹脂成分を含むポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の筐体部品。
  5. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくともポリフェニレンエーテル樹脂成分と少なくとも1種類の他の樹脂成分とをブレンド、またはグラフト重合させることにより変性させた変性ポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の筐体部品。
  6. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくともポリカーボネート樹脂成分を含むポリカーボネート系樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の筐体部品。
  7. 熱可塑性樹脂組成物が、少なくともアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体成分を含むABS系樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の筐体部品。
  8. 熱可塑性樹脂組成物による筐体部品が、内部に発泡部分を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の筐体部品。
  9. 熱可塑性樹脂組成物による筐体部品が、電子機器、電気機器の筐体部品であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の筐体部品。
  10. 熱可塑性樹脂組成物による筐体部品が、二次電池の筐体部品であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の筐体部品。
  11. 熱可塑性樹脂組成物による筐体部品が、記憶媒体の筐体部品であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の筐体部品。
  12. 溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、キャビティの全体、または任意に選択された部分が、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得ることを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
  13. 成形機の加熱筒内において、溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物と大気圧以上に加圧された二酸化炭素を混合させた後、キャビティの全体、または任意に選択された部分が、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得ることを特徴とする請求項12に記載の射出成形方法。
  14. 熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素の混合物を、金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得る射出成形方法であって、該金型キャビティの全体、または任意に選択された部分が、1層の厚さが0.001mmから3mmの範囲にある少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティであることを特徴とする請求項12または13に記載の射出成形方法。
  15. 熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素の混合物を、金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得る射出成形方法であって、該金型キャビティの全体、または任意に選択された部分が、熱伝導率が1.0(J/m・sec・K)以下である、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティであることを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の射出成形方法。
  16. 熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素の混合物を、金型キャビティへ充填することにより筐体部品を得る射出成形方法であって、該金型キャビティの全体、または任意に選択された部分が、熱伝導率が0.85(J/m・sec・K)以下である、少なくとも1層の断熱層により被覆されている金型キャビティであることを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載の射出成形方法。
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