JP2004042283A - 液滴検出方法、液滴検出装置および該装置を有するインクジェット記録装置 - Google Patents
液滴検出方法、液滴検出装置および該装置を有するインクジェット記録装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】熱容量の小さなインク滴を非接触で高感度に検出することが可能であり、かつその性能を長期間に渡って維持する。
【解決手段】インク滴の通過経路の途中のインク滴に非接触な位置に、電磁波検出素子10と、電磁波検出素子にインク滴の電磁波を集光する電磁波集光手段12とが配備され、インク滴の電磁波を効率的に集光し、電磁波検出素子10の出力の変化を11に示す検出回路にて検出することでインク滴の通過を高感度で検出する。また、電磁波集光手段12の表面には、インク滴に伴って生成され集光面に付着したミストを化学的に分解する光触媒の層が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】インク滴の通過経路の途中のインク滴に非接触な位置に、電磁波検出素子10と、電磁波検出素子にインク滴の電磁波を集光する電磁波集光手段12とが配備され、インク滴の電磁波を効率的に集光し、電磁波検出素子10の出力の変化を11に示す検出回路にて検出することでインク滴の通過を高感度で検出する。また、電磁波集光手段12の表面には、インク滴に伴って生成され集光面に付着したミストを化学的に分解する光触媒の層が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液滴検出方法、液滴検出装置および該装置を有するインクジェット記録装置に関し、特に、液滴から放射される電磁波を検出して非接触で液滴を検出する液滴検出方法、液滴検出装置および該装置を有するインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行う記録装置(プリンタ)がある。
【0003】
その記録方式としては様々な方式が知られているが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、カラー化が容易である、静粛性に富む、等の理由でインクジェット方式が近年特に注目されており、又その構成としては所望される記録情報に応じてインクを吐出する記録ヘッドを装着すると共に用紙等の記録媒体の送り方向と直角な方向に往復走査しながら記録を行なうシリアル記録方式が安価で小型化が容易などの点から一般的に広く用いられている。
【0004】
近年、OA機器の普及に伴いカラー画像を出力する機会が増えており、カラー画像の出力機器として、例えばインクジェット方式、電子写真方式などの記録方式が開発されている。中でもインクジェット方式のカラー記録装置は、吐出されるインク滴の容量を小さくすることによる高解像度化が急速に進んでおり、安価に高画質なカラー出力が行える記録装置として急速に普及してきている。
【0005】
しかしながら、上記吐出されるインク滴の小液滴化は、吐出の信頼性確保を困難にする要因となっている。ノズル内に滞在するインクは時間の経過とともに水分が蒸発しノズル内で増粘していく。更に、小液滴化によりノズル径も微細化が進み、インク増粘による影響を受け易くなってきている。
【0006】
この問題を解決するために一般的なインクジェット記録装置では、適宜もしくは必要に応じて外部からノズル内のインクを強制的に吸引して、インクの吐出不良を回復する方法が取られている。しかしながら、この回復動作は一度に多量のインクを排出してしまうため、無駄なインクの消費を抑制するために、その回数を必要最小限とすることが要望されている。
【0007】
回復動作の回数を抑制する目的で、ノズルの吐出状態を判断すべくノズルから吐出されるインク滴を検出するいくつかの方式が提案されている。このようなインク滴検出方式は、大きくは「光学検出方式」、「熱検出方式」、「振動検出方式」の3つに分類できる。夫々の方式について以下で一例を上げて説明する。
【0008】
光学検出方式としては、発光素子から受光素子に向けて照射された光路中を吐出インク滴を通過させ、光の遮断を検出する事によりインク滴の吐出を検出する方法が、特公昭59−6231号公報等に開示されている。また光源にレーザー光を用いた方法が、特開平10−119307号公報に開示されている。
【0009】
熱検出方式としては、感温素子に向けてインク滴を吐出してその昇温からインクの吐出を検出する方法が、特開昭54−161938号公報に開示されており、インクが蒸発する時の気化熱を検出する方法が、特開平08−323993号公報に、更には吐出駆動時にインクが有る場合と無い場合の記録ヘッドの昇温傾向の差を検出する方法が、特開平04−6549号公報等に開示されている。
【0010】
振動検出方式としては、振動検出板にインク滴を衝突させてその時の振動を検出することによりインクの吐出を確認する方式が、特開平08−336986号公報に、発泡消泡時に記録ヘッドに伝播される振動(衝撃波)を検出する方法が、特開平09−201967号公報等に開示されている。
【0011】
更に近年では、特願平11−100494号明細書等に記載されているような、インク滴から放射される電磁波をインク滴の通過経路の途中で非接触に検出する、上記光学検出方式と熱検出方式を組み合わせた熱光学検出方式が新たに提案されてきている。
【0012】
以下図面を参照してこの熱光学検出方式について、インク滴の通過を検出する様子を示す図7を参照して具体的に説明する。図7において、5はインクジェット記録装置における記録ヘッドである。記録ヘッド内にはインクが充填されており、51で示すインクを吐出するためのノズルが配備されている。ノズル内には52で示す、所定のタイミングでインクを吐出するべく駆動信号が供給されるヒータがノズル毎に配備されており、このヒータが発熱することによりノズル内のインク中に気泡を発生させその圧力によりノズル開口方向にインク滴が吐出される。
【0013】
53は吐出されたインク滴を示し、このインク滴の通過経路に非接触の位置に10で示す電磁波検出素子を配備して、インク滴の通過を検出する。53で示す吐出されたインク滴は、吐出の際にヒータ52により加熱されているので、インク滴が放出する電磁波の中では赤外波長帯の強度が高い。よって該赤外波長帯の電磁波を検出する赤外線センサを電磁波検出素子として用いている。代表的な赤外線センサとしては、赤外波長の波により電位変化を生じさせる焦電素子を用いた焦電型赤外線センサが知られている。10の赤外線センサからの出力、即ち吐出されたインク滴が通過する事に起因して起こる出力の変化は11の検出回路で検出されインク滴の通過の有無が検出される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のインク滴検出方式では以下のような問題が生じる。
【0015】
光学検出方式では、記録密度向上のためにインク滴が小液滴化されるのに伴って、受光素子内に到達する全光量に対してインク滴により遮られる光量が占める割合が小さくなるため、検出感度が低下する。これにより近年の小液滴ドットでは十分な検出性能を得ることが難しくなってきている。
【0016】
熱検出方式では、インクジェット記録インクには一般的に不揮発性溶剤が含まれているため、感温素子にインクを直接吹き付けた後に吹き付けたインクを清掃する手段が必要となり構成が複雑になってしまう。
【0017】
振動検出方式では、外部の振動検出板にインク滴を衝突させる方式では、熱検出方式と同様にインクを清掃する手段が必要となり、構成が複雑になってしまう。また発泡消泡時に記録ヘッド内を伝わる微少な振動を検出する方式では、それ以外の振動源による振動を全て排除する必要があり、制振対策のために構造が複雑となりコストもかかるので、一般的な記録装置には適用が困難である場合が多い。
【0018】
一方、熱光学検出方式では、非接触での検出であるので上記清掃の必要がない。更に吐出されるインクの温度を上げておく事で液滴体積が小さくても検出感度を向上させる事ができ、今後インク滴が更に小液滴化されることを考慮すると、極めて有効な方法の1つと言える。
【0019】
しかしながら、検出感度の向上の為にインク温度を意図的に上げる事は記録速度の高速化の観点からは必ずしも望ましいことではない。インクジェット記録装置では記録に伴ってヘッドが自己昇温する。記録ヘッドが昇温するとインク滴の吐出は不安定となるので、高画質化の為に記録ヘッドは昇温しないように駆動制御されているのが通例である。
【0020】
以上の通り、更なる高解像度化および高速化に対する技術開発が進められているインクジェット記録装置においては、吐出したインク滴の通過を非接触で検出でき、かつインク滴の小液滴化や小熱容量化に対しても高感度で検出が可能な検出方法が求められている。
【0021】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、熱容量の小さなインク滴を非接触で高感度に検出することが可能であり、かつその性能を長期間に渡って維持することができる、液滴検出方法、液滴検出装置および該装置を有するインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の液滴検出方法は、通過する液滴を非接触で検出する液滴検出方法であって、
液滴から放射される電磁波を検出する検出素子を前記液滴の通過経路に設ける工程と、
前記電磁波を集光手段によって前記検出素子の検出面に集光する集光工程と、前記検出素子の出力の変化に基づいてインク滴の通過を検出する検出工程と、前記液滴に伴って生成され前記集光手段の表面に付着したミストを化学的に分解するインクミスト分解工程とを備えている。
【0023】
また、上記目的を達成する本発明の液滴検出装置は、通過する液滴を非接触で検出する液滴検出装置であって、
液滴の通過経路に設けられ、前記液滴から放射される電磁波を検出する検出素子と、
前記電磁波を前記検出素子の検出面に集光する集光手段と、
前記検出素子の出力の変化に基づいてインク滴の通過を検出する検出回路と、前記液滴に伴って生成され前記集光手段の表面に付着したミストを化学的に分解するインクミスト分解手段とを備えている。
【0024】
更に、前記液滴検出装置をインクジェット記録ヘッドから吐出されたインク滴の検出に用いるインクジェット記録装置によっても上記目的は達成される。
【0025】
すなわち、通過する液滴を非接触で検出する際に、液滴から放射される電磁波を検出する検出素子を液滴の通過経路に設け、電磁波を集光手段によって検出素子の検出面に集光し、検出素子の出力の変化に基づいてインク滴の通過を検出するようにし、液滴に伴って生成され集光手段の表面に付着したミストを化学的に分解する。
【0026】
これによれば、検出する液滴のサイズが小さい場合でも、液滴から放射される電磁波を検出素子の検出面に集光して高感度で検出することが可能となり、かつ集光手段に付着したミストを化学的に分解して除去することができるので、経時的な集光効率の低下を抑制し、検出性能を長期間に渡って維持することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0028】
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0029】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0030】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0031】
[第1の実施形態]
図5は本発明が通用される画像記録システムの構成を示すブロック図である。図においてホスト201はCPUと、メモリと、外部記憶と、入力部と、記録装置とのインターフェイスとを備えている。CPUはメモリに格納されたプログラムを実行する。このプログラムは外部記憶に記憶され、或いは外部装置から供給される。ホスト201はインターフェイスを介して記録装置202と接続されており、記録画像データは記録装置202に送信され記録が行われる。
【0032】
<記録装置概要>
図2は、記録装置202としてのインクジェット方式の記録装置の記録に関する構成を示す部分斜視図である。
【0033】
先ず記録装置の全体構成を説明すると、図2に於いて1は紙或いはプラスチックシートよりなる記録媒体であって、カセット等に複数枚積載された状態から給紙ローラ(不図示)によって一枚ずつ供給され、一定間隔を隔てて配置され、夫々個々のステッピングモータ(図示せず)によって駆動する第1搬送ローラ対3及び第2搬送ローラ対4によって矢印A方向に搬送されるように構成されている。
【0034】
5は前記記録媒体1にインク滴を吐出して記録を行うためのインクジェット式の記録ヘッドである。インクは不図示のインクカートリッジより供給され、ノズルから画像データに応じて吐出される。この記録ヘッド5及びインクカートリッジはキャリッジ6に搭載され、該キャリッジ6にはベルト7及びプーリ8a,8bを介してキャリッジモータ23が連結されている。従って、前記キャリッジモータ23の駆動により前記キャリッジ6がガイドシャフト9に沿って往復走査するように構成されている。
【0035】
前記構成により、記録ヘッド5が矢印B方向に移動しながら画像データに応じてインクを記録媒体1に吐出して画像を記録し、必要に応じて記録ヘッド5はホームポジションに戻ってインク回復装置2によりノズルの目づまりを解消すると共に、搬送ローラ対3,4が駆動して記録媒体1を矢印A方向に1行分搬送する。これを繰り返すことによって記録媒体1に所定記録を行うものである。
【0036】
次に前記記録装置の各部材を駆動させる為の制御系について説明する。
【0037】
この制御系は図3のブロック図に示すように、例えばマイクロプロセッサ等のCPU20a,該CPU20aの制御プログラムや各種データを格納しているROM20b、及びCPU20aのワークエリアとして使用されると共に、記録画像データなどの各種データの一時保管等を行うRAM20c等を備えた制御部20、インターフェイス21、操作パネル22、各モータ(キャリッジ駆動用のモータ23、給紙モータ駆動用のモータ24、第1搬送ローラ対駆動用のモータ25、第2搬送ローラ対駆動用のモータ26)を駆動するためのドライバー27、及び記録ヘッド駆動用ドライバー28からなる。
【0038】
上記制御部20はインターフェイス21を介して操作パネル22からの各種情報(例えば文字ピッチ、文字種類等)や、外部装置29との画信号などのI/O(情報の入出力)を行う。また前記制御部20はインターフェイス21を介して各モータ23〜26を駆動させるためのON、OFF信号、及び画信号を出力し、該画信号によって各部材を駆動させる。
【0039】
<ヘッド駆動信号>
次に、記録ヘッドに供給される駆動信号の詳細について説明する。
【0040】
図11は本実施形態で駆動信号として使用するパルス波形を説明するための図である。
【0041】
同図において、V0Pは駆動電圧、P1は複数の分割されたヒートパルスの最初のパルス(以下、プレヒートパルスという)のパルス幅、P2はインターバルタイム、P3は2番目のパルス(以下、メインヒートパルスという)のパルス幅である。T1,T2,T3はP1,P2,P3を決めるための時間を示している。
【0042】
駆動電圧V0Pは、この電圧を印加される電気熱変換体がヒータボードと天板とによって構成されるインク液路内のインクに熱エネルギーを発生させるために必要な電気エネルギーを示すものの一つである。その値は電気熱変換体の面積,抵抗値,膜構造や記録ヘッドの液路構造によって決まる。
【0043】
分割パルス幅変調駆動法は、P1,P2,P3の幅で順次パルスを与えるものであり、プレヒートパルスは、主に液路内のインク温度を制御するためのパルスであり吐出量制御の重要な役割を荷っている。このプレヒートパルス幅はその印加によって電気熱変換体が発生する熱エネルギーによってインク中に発泡現象が生じないような値に設定される。
【0044】
インターバルタイムは、プレヒートパルスとメインヒートパルスとの相互干渉を避けるため、およびインク液路内インクの温度分布を均一化するために設けられる。メインヒートパルスは液路内のインク中に発泡を生ぜしめ、吐出口よりインクを吐出させるためのものであり、その幅P3は電気熱変換体の面積,抵抗値,膜構造や記録ヘッドのインク液路の構造によって決まる。
【0045】
例えば、図9(A)および(B)に示すような構造の記録ヘッドにおけるプレヒートパルスの作用について説明する。同図(A)および(B)は、本発明を適用可能な記録ヘッドの一構成例を示すそれぞれインク液路に沿った概略縦断面図および概略正面図である。
【0046】
同図において、電気熱変換体(吐出ヒータ)は上記分割パルスの印加によって熱を発生する。この電気熱変換体はこれに分割パルスを印加するための電極配線等とともにヒータボード上に配設される。ヒータボードはシリコンにより形成され、記録ヘッドの基板をなすアルミ板によって支持される。天板には、インク液路等を構成するための溝が形成されており、天板とヒータボード(アルミ板)とが接合することによりインク液路や、これにインクを供給する共通液室が構成される。また、天板には吐出ロが形成され、それぞれの吐出口にはインク液路が連通している。
【0047】
図9に示される記録ヘッドにおいて、駆動電圧V0P=18.0(V),メインヒートパルス幅P3=4.114[μsec]とし、プレヒートパルス幅P1を0〜3.000[μsec]の範囲で変化させた場合、図10に示すような吐出量Vd[ng/dot]とプレヒートパルス幅P1[μsec]との関係が得られる。
【0048】
即ち図10は吐出量のプレヒートパルス依存性を示すグラフであり、図において、V0はP1=0[μsec]のときの吐出量を示し、この値は図9に示すヘッド構造によって定まる。因に、本実施形態でのV0は環境温度TR=25℃の場合でV0=18.0[ng/dot]であった。図10の曲線aに示されるように、プレヒートパルスのパルス幅P1の増加に応じて、吐出量Vdはパスル幅P1が0からP1LMTまで線形性を有して増加し、パルス幅P1がP1LMTより大きい範囲ではその変化が線形性を失い、パルス幅P1MAXで飽和し最大となる。
【0049】
このように、パルス幅P1の変化に対する吐出量Vdの変化が線形性を示すパルス幅P1LMTまでの範囲は、パルス幅P1を変化させることによる吐出量の制御を容易に行える範囲として有効である。因に、曲線aに示す本実施形態ではP1LMT=1.87(μs)であり、このときの吐出量はVLMT=24.0[ng/dot]であった。また、吐出量Vdが蝕和状態となるときのパルス幅P1MAXは、P1MAX=2.1[μs]であり、このときの吐出量VMAX=25.5[ng/dot]であった。
【0050】
パルス幅がP1MAXより大きい場合、吐出量VdはVMAXより小さくなる。この現象は上記範囲のパルス幅を有するプレヒートパルスが印加されると電気熱変換体上に微小な発泡(膜沸騰の直前状態)を生じ、この気泡が消泡する前に次のメインヒートパルスが印加され、上記微小気泡がメインヒートパルスによる発泡を乱すことによって吐出量が小さくなる。この領域をプレ発泡領域と呼びこの領域ではプレヒートパルスを媒介にした吐出量制御は困難なものとなるので本実施形態では使用しない。以上の通り記録ヘッドの駆動波形の決定(設定)を行い記録ヘッドの駆動を行う。
【0051】
<インク滴検出方法の原理>
図1は本発明のインク滴検出方法の原理を表わす図である。図1において5はインクジェット記録装置における記録ヘッドである。記録ヘッド内にはインクが充填されており、51で示すインクを吐出するためのノズルが配備されている。ノズル内には所定のタイミングでインクを吐出するための前記駆動信号が供給される不図示のヒータがノズル毎に配備されており、このヒータを加熱することによりノズル内のインク中に気泡を発生させその押圧力によりノズル開口方向にインク滴が吐出される。
【0052】
53は吐出後のインク滴である。このインク滴の通過経路の途中の該インク滴に非接触な位置に、10で示す電磁波検出素子と、該電磁波検出素子にインク滴の電磁波を集光する電磁波集光手段12とが配備され、インク滴の電磁波を効率的に集光している。また電磁波検出素子10の出力は吐出されたインク滴が通過する度に変化するが、この変化を11に示す検出回路にて検出することでインク滴の通過を高感度で検出する。
【0053】
電磁波集光手段12の形状は、図示されたようなコの字型の3つの壁面を有する形状以外に、直径が電磁波検出素子10の検出面の幅とほぼ等しい曲面を有するU字型の形状や2つの壁面を有するV字型などが考えられる。いずれにしても、通過するインク滴から放射される電磁波を電磁波検出素子の検出面に効率良く導くような形状とする。
【0054】
尚、吐出後のインク滴53は、吐出時に前記ヒータの熱により加熱されているので電磁波の中でも赤外波長帯の電磁波を強く放出している。よって本実施形態では赤外波長帯の電磁波を検出する赤外線センサを電磁波検出素子として用いている。また、代表的な赤外線センサとしては、赤外波長の波により電位変化を生じさせる焦電素子を用いた焦電型赤外線センサが知られている。
【0055】
インクジェット記録方式によるインク滴吐出時には、1ドットを吐出するに際し主滴となるドットの他にサテライトと呼ばれる微小ドットがミスト状に複数形成され該主滴と共に吐出される。これを図8を用いて説明する。
【0056】
図8において51はノズル、52は吐出ヒータである。定常状態の(a)から吐出ヒータ52のヒートが行われると、吐出ヒータ52上で発泡が起こる(b)。該発泡により生じた圧力により吐出ヒータ52の吐出口側のインクは該吐出口から押し出され(c)、インク滴として飛翔する(d)。
【0057】
吐出口から押し出された直後、該インク滴は細長い形状で飛翔し始めるが、該インク滴は自身の表面張力により球状に丸まろうとする。この時図8(d)に記す様に、前記細長形状のインク滴は複数に分断され複数の液滴になって飛翔する事となる。最先方のドット53は主滴と呼ばれ、最も体積が大きく記録媒体上で記録ドットを形成する。しかし主滴以降に形成されたサテライトドット54は体積、質量が小さく、飛翔方向の運動エネルギーが小さいので、記録媒体に届いて記録ドットを形成してしまう場合もあるが多くはミストとして記録装置内に浮遊する。
【0058】
よってインク滴から放射される電磁波を集光する集光手段を前記の通り配備すると、該集光手段の集光面に前記ミストが付着し、経時的に集光効率の低下を招いてしまう。本実施形態ではこれを防止するため、集光面に付着した該ミストを水と二酸化炭素にして分解して蒸発させる機能を有しており、経時的な集光効率の低下を抑制するように構成されている。以下図面を参照して具体的に説明する。
【0059】
図4は本実施形態の集光手段の集光面でのミストが分解される様子を示す図である。図4において122は集光手段の基材であり本実施形態では鉄を用いているが、その他の金属(ステンレス、アルミ、スズ、銅など)やガラス(ソーダガラス、石英ガラスなど)、合成樹脂(アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネートなど)更には陶磁器(セラミックなど)など、様々な機材が使用できる。54は集光手段の集光面に付着した上記のサテライトドットからなるミスト(図中向かって左側が集光面)であり、図4(a)のように本実施形態では、該ミスト54と集光手段の基材122の間にインクミスト分解手段121が配されている。
【0060】
該インクミスト分解手段121は具体的には光触媒であり、該光触媒に紫外線が当ると電子が励起され、ホールが発生する。該電子は空気中の酸素をスーパーオキサイドイオンに変化させ、該ホールは水(空気中の水分)を水酸基ラジカルに変化させる。該スーパーオキサイドイオン、該水酸基ラジカルは共に強い酸化力を持ち、例えばインク中の水性染料や溶剤などの有機物が該光触媒の表面に付着すると、該スーパーオキサイドイオンや該水酸基ラジカルが「炭素−酸素」結合や「炭素−水素」結合を切断し中間生成物を経て二酸化炭素や水に分解する。
【0061】
該二酸化炭素や水などに分解されたミストは、(b)および(c)に示すように蒸発、拡散し、最終的には(d)に示すように集光面から無くなる。よって集光面に付着したミストが該集光面に付着して増粘し、インク滴からの電磁波が吸収されて集光手段の機能を劣化させることが防止され、長期間に渡って集光手段の機能を維持する事が可能となる。
【0062】
尚、本実施形態における光触媒は、酸化チタン(TiO2)の粒子を光触媒半導体として用いて溶剤に分散処理しゾルとし、吹き付けもしくはディッピングによって前記基材122にコーティングした後、50〜500℃で焼結して形成する。(該TiO2は商品名「ST−01」「ST−31」(石原産業株式会社)としてゾルの状態で販売されている。)前記光触媒半導体としては、ZnO,SrTio3,CdS,CdO,CaP,InP,In2O3,CaAs,BaTio3,K2NbO3,Fe2O3,TaO5,WO3SaO2,Bi2O3,NiO,Cu2O,SiC,SiO2,MoS2,MoS3,InPb,RuO2,CeO2、などインクの特性に応じて様々な選択を行う事ができる。
【0063】
以上のように本実施形態によれば、インク滴の電磁波を検出する電磁波検出素子と、該インク滴から放射される電磁波を該電磁波検出素子に集光する集光面にインクミストを分解するインクミスト分解手段がコートされた集光手段とを、該インク滴の通過経路の途中の該インク滴とは非接触な位置に配備したことにより、インク滴の大きさや熱容量が小さい場合でも、通過するインク滴を高精度で検出することができ、かつその性能を容易に長期間維持することができる。
【0064】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の部分に関しては説明を省略する。
【0065】
第2の実施形態は、インク滴から放射される赤外線をより効果的に反射させる集光面を有するものである。第1の実施形態では、集光面に付着したミストをミスト分解手段によって分解、蒸発、拡散させて集光効率の低下を抑制するものである。本実施形態では、更に集光面に赤外光を反射する赤外反射膜を具備しており、これにより集光効率を更に向上させるものである。
【0066】
図6は本実施形態の集光手段の構成を説明する図である。図6において122は集光手段の基材であり本実施形態でも第1の実施形態同様に鉄を用いる。121は集光手段の集光面に具備されたインクミスト分解手段であり第1の実施形態同様に光触媒である。本実施形態では集光手段の基材122とインクミスト分解手段121に挟まれて電磁波反射手段123として赤外反射膜が配備されている。次に該赤外反射膜について説明する。
【0067】
本実施形態における該赤外反射膜は金(Au)を主体とする膜厚150〜280μmの金属薄膜である。その他の例としては、アルミニウム、銀、ロジウム、ニッケルかもしくはこれらの金属の少なくとも1種を添加して構成する事が出来る。また赤外反射膜としては、TiO2−Sio2膜などの誘電体多層膜を用いる方法、In2O3:Sn,SnO2(:Sb)などの導電膜を用いる方法、Agなどの金属とTiO2などの導電体膜を組み合わせた複合膜を用いる方法などが知られているが、本発明ではそのいずれをも用いる事が出来る。
【0068】
また電磁波反射手段として他の構成を用いても良い。例えば、特開平07−43526号公報で開示されているように、1辺が反射したい電磁波(ここでは赤外波長)の波長の約1/2の長さである略正方形の穴を複数有する格子を、電磁波反射手段として基材122の表面に形成する。具体的には一辺2μm、幅0.13μmからなる格子を、0.5μm厚のTiN膜で構成し、電磁波反射膜123として配備する。
【0069】
このような格子が特定波長を反射する原理はMaxwellの電磁方程式から導かれる。Maxwellの電磁方程式によれば、管径aに対して波長λはλ=a/2を堺にそれ以上の波長は反射される。よって本実施形態では反射波長は4μmであり、4μm以上の赤外光は反射されるので、インク滴から放射される赤外波長を効果的に集光する事が可能となる。
【0070】
電磁波反射手段以外の他の構成及び作用効果は第1の実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0071】
[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、上記第1および第2の実施形態と同様の部分に関しては説明を省略する。
【0072】
第3の実施形態は、上記実施形態の構成に加えて、インクミスト分解手段である光触媒に対して積極的に紫外線を照射する手段を具備するものであり、これにより、集光効率の低下を更に抑制するものである。
【0073】
光触媒半導体が示す光触媒機能は、紫外線で励起されることはそのメカニズムと共に公知の技術として知られている。つまり光触媒がインクミストを分解する分解速度は、入光される紫外線量と相関する。よって記録装置のプリントボリュームや、記録ヘッドから生じるミストの量によっては光触媒によるミストの分解が間に合わず、ミストの蓄積を招き集光効率の低下が起こる場合がある。
【0074】
本実施形態では、光触媒に対して積極的に紫外線を照射する手段として電磁波集光手段12の内側に不図示の紫外線放射管(ブラックライト)を備えている。ブラックライトの代わりに発光スペクトル中に紫外線領域の波長を有する蛍光管や水銀管を用いる事も出来る。
【0075】
本実施形態では該ブラックライトを記録装置の電源がonの間照射する事で光触媒を活性しミストの分解を促進するが、定期的にon/offする仕様であっても良く、記録比率に応じてon/offする制御であっても勿論良い。
【0076】
[その他の実施形態]
以上の実施形態は、本発明の液滴検出装置がインクジェット記録装置に内蔵され、吐出不良検出に使用されるものであるが、本発明の液滴検出装置は、もちろん他の用途に使用することも可能である。
【0077】
また、以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0078】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。
【0079】
この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0080】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0081】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書に記載された構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0082】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0083】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0084】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0085】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0086】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0087】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0088】
このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0089】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0090】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0091】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、検出する液滴のサイズが小さい場合でも、液滴から放射される電磁波を検出素子の検出面に集光して高感度で検出することが可能となり、かつ集光手段に付着したミストを化学的に分解して除去することができるので、経時的な集光効率の低下を抑制し、検出性能を長期間に渡って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によりインク滴の通過を検出する原理を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態としての記録装置の構成を説明する斜視図である。
【図3】図2の記録装置の制御系を説明するブロック図である。
【図4】インクミスト分解手段でミストが分解される様子を示す図である。
【図5】本発明が通用される画像記録システムの構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態の集光手段の構成を示す図である。
【図7】熱光学検出方式によりインク滴の通過を検出する原理を説明する図である。
【図8】ノズルからインク滴が吐出される様子を説明する図である。
【図9】記録ヘッドの構成を示す図である。
【図10】吐出量のプレヒートパルス依存性を示すグラフである。
【図11】駆動信号として使用するパルス波形を説明するための図である。
【符号の説明】
5 記録ヘッド
53 インク滴
54 ミスト
10 電磁波検出素子
11 検出回路
12 電磁波集光手段
121 インクミスト分解手段
123 電磁波反射手段
【発明の属する技術分野】
本発明は液滴検出方法、液滴検出装置および該装置を有するインクジェット記録装置に関し、特に、液滴から放射される電磁波を検出して非接触で液滴を検出する液滴検出方法、液滴検出装置および該装置を有するインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行う記録装置(プリンタ)がある。
【0003】
その記録方式としては様々な方式が知られているが、用紙等の記録媒体に非接触記録が可能である、カラー化が容易である、静粛性に富む、等の理由でインクジェット方式が近年特に注目されており、又その構成としては所望される記録情報に応じてインクを吐出する記録ヘッドを装着すると共に用紙等の記録媒体の送り方向と直角な方向に往復走査しながら記録を行なうシリアル記録方式が安価で小型化が容易などの点から一般的に広く用いられている。
【0004】
近年、OA機器の普及に伴いカラー画像を出力する機会が増えており、カラー画像の出力機器として、例えばインクジェット方式、電子写真方式などの記録方式が開発されている。中でもインクジェット方式のカラー記録装置は、吐出されるインク滴の容量を小さくすることによる高解像度化が急速に進んでおり、安価に高画質なカラー出力が行える記録装置として急速に普及してきている。
【0005】
しかしながら、上記吐出されるインク滴の小液滴化は、吐出の信頼性確保を困難にする要因となっている。ノズル内に滞在するインクは時間の経過とともに水分が蒸発しノズル内で増粘していく。更に、小液滴化によりノズル径も微細化が進み、インク増粘による影響を受け易くなってきている。
【0006】
この問題を解決するために一般的なインクジェット記録装置では、適宜もしくは必要に応じて外部からノズル内のインクを強制的に吸引して、インクの吐出不良を回復する方法が取られている。しかしながら、この回復動作は一度に多量のインクを排出してしまうため、無駄なインクの消費を抑制するために、その回数を必要最小限とすることが要望されている。
【0007】
回復動作の回数を抑制する目的で、ノズルの吐出状態を判断すべくノズルから吐出されるインク滴を検出するいくつかの方式が提案されている。このようなインク滴検出方式は、大きくは「光学検出方式」、「熱検出方式」、「振動検出方式」の3つに分類できる。夫々の方式について以下で一例を上げて説明する。
【0008】
光学検出方式としては、発光素子から受光素子に向けて照射された光路中を吐出インク滴を通過させ、光の遮断を検出する事によりインク滴の吐出を検出する方法が、特公昭59−6231号公報等に開示されている。また光源にレーザー光を用いた方法が、特開平10−119307号公報に開示されている。
【0009】
熱検出方式としては、感温素子に向けてインク滴を吐出してその昇温からインクの吐出を検出する方法が、特開昭54−161938号公報に開示されており、インクが蒸発する時の気化熱を検出する方法が、特開平08−323993号公報に、更には吐出駆動時にインクが有る場合と無い場合の記録ヘッドの昇温傾向の差を検出する方法が、特開平04−6549号公報等に開示されている。
【0010】
振動検出方式としては、振動検出板にインク滴を衝突させてその時の振動を検出することによりインクの吐出を確認する方式が、特開平08−336986号公報に、発泡消泡時に記録ヘッドに伝播される振動(衝撃波)を検出する方法が、特開平09−201967号公報等に開示されている。
【0011】
更に近年では、特願平11−100494号明細書等に記載されているような、インク滴から放射される電磁波をインク滴の通過経路の途中で非接触に検出する、上記光学検出方式と熱検出方式を組み合わせた熱光学検出方式が新たに提案されてきている。
【0012】
以下図面を参照してこの熱光学検出方式について、インク滴の通過を検出する様子を示す図7を参照して具体的に説明する。図7において、5はインクジェット記録装置における記録ヘッドである。記録ヘッド内にはインクが充填されており、51で示すインクを吐出するためのノズルが配備されている。ノズル内には52で示す、所定のタイミングでインクを吐出するべく駆動信号が供給されるヒータがノズル毎に配備されており、このヒータが発熱することによりノズル内のインク中に気泡を発生させその圧力によりノズル開口方向にインク滴が吐出される。
【0013】
53は吐出されたインク滴を示し、このインク滴の通過経路に非接触の位置に10で示す電磁波検出素子を配備して、インク滴の通過を検出する。53で示す吐出されたインク滴は、吐出の際にヒータ52により加熱されているので、インク滴が放出する電磁波の中では赤外波長帯の強度が高い。よって該赤外波長帯の電磁波を検出する赤外線センサを電磁波検出素子として用いている。代表的な赤外線センサとしては、赤外波長の波により電位変化を生じさせる焦電素子を用いた焦電型赤外線センサが知られている。10の赤外線センサからの出力、即ち吐出されたインク滴が通過する事に起因して起こる出力の変化は11の検出回路で検出されインク滴の通過の有無が検出される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のインク滴検出方式では以下のような問題が生じる。
【0015】
光学検出方式では、記録密度向上のためにインク滴が小液滴化されるのに伴って、受光素子内に到達する全光量に対してインク滴により遮られる光量が占める割合が小さくなるため、検出感度が低下する。これにより近年の小液滴ドットでは十分な検出性能を得ることが難しくなってきている。
【0016】
熱検出方式では、インクジェット記録インクには一般的に不揮発性溶剤が含まれているため、感温素子にインクを直接吹き付けた後に吹き付けたインクを清掃する手段が必要となり構成が複雑になってしまう。
【0017】
振動検出方式では、外部の振動検出板にインク滴を衝突させる方式では、熱検出方式と同様にインクを清掃する手段が必要となり、構成が複雑になってしまう。また発泡消泡時に記録ヘッド内を伝わる微少な振動を検出する方式では、それ以外の振動源による振動を全て排除する必要があり、制振対策のために構造が複雑となりコストもかかるので、一般的な記録装置には適用が困難である場合が多い。
【0018】
一方、熱光学検出方式では、非接触での検出であるので上記清掃の必要がない。更に吐出されるインクの温度を上げておく事で液滴体積が小さくても検出感度を向上させる事ができ、今後インク滴が更に小液滴化されることを考慮すると、極めて有効な方法の1つと言える。
【0019】
しかしながら、検出感度の向上の為にインク温度を意図的に上げる事は記録速度の高速化の観点からは必ずしも望ましいことではない。インクジェット記録装置では記録に伴ってヘッドが自己昇温する。記録ヘッドが昇温するとインク滴の吐出は不安定となるので、高画質化の為に記録ヘッドは昇温しないように駆動制御されているのが通例である。
【0020】
以上の通り、更なる高解像度化および高速化に対する技術開発が進められているインクジェット記録装置においては、吐出したインク滴の通過を非接触で検出でき、かつインク滴の小液滴化や小熱容量化に対しても高感度で検出が可能な検出方法が求められている。
【0021】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、熱容量の小さなインク滴を非接触で高感度に検出することが可能であり、かつその性能を長期間に渡って維持することができる、液滴検出方法、液滴検出装置および該装置を有するインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の液滴検出方法は、通過する液滴を非接触で検出する液滴検出方法であって、
液滴から放射される電磁波を検出する検出素子を前記液滴の通過経路に設ける工程と、
前記電磁波を集光手段によって前記検出素子の検出面に集光する集光工程と、前記検出素子の出力の変化に基づいてインク滴の通過を検出する検出工程と、前記液滴に伴って生成され前記集光手段の表面に付着したミストを化学的に分解するインクミスト分解工程とを備えている。
【0023】
また、上記目的を達成する本発明の液滴検出装置は、通過する液滴を非接触で検出する液滴検出装置であって、
液滴の通過経路に設けられ、前記液滴から放射される電磁波を検出する検出素子と、
前記電磁波を前記検出素子の検出面に集光する集光手段と、
前記検出素子の出力の変化に基づいてインク滴の通過を検出する検出回路と、前記液滴に伴って生成され前記集光手段の表面に付着したミストを化学的に分解するインクミスト分解手段とを備えている。
【0024】
更に、前記液滴検出装置をインクジェット記録ヘッドから吐出されたインク滴の検出に用いるインクジェット記録装置によっても上記目的は達成される。
【0025】
すなわち、通過する液滴を非接触で検出する際に、液滴から放射される電磁波を検出する検出素子を液滴の通過経路に設け、電磁波を集光手段によって検出素子の検出面に集光し、検出素子の出力の変化に基づいてインク滴の通過を検出するようにし、液滴に伴って生成され集光手段の表面に付着したミストを化学的に分解する。
【0026】
これによれば、検出する液滴のサイズが小さい場合でも、液滴から放射される電磁波を検出素子の検出面に集光して高感度で検出することが可能となり、かつ集光手段に付着したミストを化学的に分解して除去することができるので、経時的な集光効率の低下を抑制し、検出性能を長期間に渡って維持することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0028】
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0029】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0030】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0031】
[第1の実施形態]
図5は本発明が通用される画像記録システムの構成を示すブロック図である。図においてホスト201はCPUと、メモリと、外部記憶と、入力部と、記録装置とのインターフェイスとを備えている。CPUはメモリに格納されたプログラムを実行する。このプログラムは外部記憶に記憶され、或いは外部装置から供給される。ホスト201はインターフェイスを介して記録装置202と接続されており、記録画像データは記録装置202に送信され記録が行われる。
【0032】
<記録装置概要>
図2は、記録装置202としてのインクジェット方式の記録装置の記録に関する構成を示す部分斜視図である。
【0033】
先ず記録装置の全体構成を説明すると、図2に於いて1は紙或いはプラスチックシートよりなる記録媒体であって、カセット等に複数枚積載された状態から給紙ローラ(不図示)によって一枚ずつ供給され、一定間隔を隔てて配置され、夫々個々のステッピングモータ(図示せず)によって駆動する第1搬送ローラ対3及び第2搬送ローラ対4によって矢印A方向に搬送されるように構成されている。
【0034】
5は前記記録媒体1にインク滴を吐出して記録を行うためのインクジェット式の記録ヘッドである。インクは不図示のインクカートリッジより供給され、ノズルから画像データに応じて吐出される。この記録ヘッド5及びインクカートリッジはキャリッジ6に搭載され、該キャリッジ6にはベルト7及びプーリ8a,8bを介してキャリッジモータ23が連結されている。従って、前記キャリッジモータ23の駆動により前記キャリッジ6がガイドシャフト9に沿って往復走査するように構成されている。
【0035】
前記構成により、記録ヘッド5が矢印B方向に移動しながら画像データに応じてインクを記録媒体1に吐出して画像を記録し、必要に応じて記録ヘッド5はホームポジションに戻ってインク回復装置2によりノズルの目づまりを解消すると共に、搬送ローラ対3,4が駆動して記録媒体1を矢印A方向に1行分搬送する。これを繰り返すことによって記録媒体1に所定記録を行うものである。
【0036】
次に前記記録装置の各部材を駆動させる為の制御系について説明する。
【0037】
この制御系は図3のブロック図に示すように、例えばマイクロプロセッサ等のCPU20a,該CPU20aの制御プログラムや各種データを格納しているROM20b、及びCPU20aのワークエリアとして使用されると共に、記録画像データなどの各種データの一時保管等を行うRAM20c等を備えた制御部20、インターフェイス21、操作パネル22、各モータ(キャリッジ駆動用のモータ23、給紙モータ駆動用のモータ24、第1搬送ローラ対駆動用のモータ25、第2搬送ローラ対駆動用のモータ26)を駆動するためのドライバー27、及び記録ヘッド駆動用ドライバー28からなる。
【0038】
上記制御部20はインターフェイス21を介して操作パネル22からの各種情報(例えば文字ピッチ、文字種類等)や、外部装置29との画信号などのI/O(情報の入出力)を行う。また前記制御部20はインターフェイス21を介して各モータ23〜26を駆動させるためのON、OFF信号、及び画信号を出力し、該画信号によって各部材を駆動させる。
【0039】
<ヘッド駆動信号>
次に、記録ヘッドに供給される駆動信号の詳細について説明する。
【0040】
図11は本実施形態で駆動信号として使用するパルス波形を説明するための図である。
【0041】
同図において、V0Pは駆動電圧、P1は複数の分割されたヒートパルスの最初のパルス(以下、プレヒートパルスという)のパルス幅、P2はインターバルタイム、P3は2番目のパルス(以下、メインヒートパルスという)のパルス幅である。T1,T2,T3はP1,P2,P3を決めるための時間を示している。
【0042】
駆動電圧V0Pは、この電圧を印加される電気熱変換体がヒータボードと天板とによって構成されるインク液路内のインクに熱エネルギーを発生させるために必要な電気エネルギーを示すものの一つである。その値は電気熱変換体の面積,抵抗値,膜構造や記録ヘッドの液路構造によって決まる。
【0043】
分割パルス幅変調駆動法は、P1,P2,P3の幅で順次パルスを与えるものであり、プレヒートパルスは、主に液路内のインク温度を制御するためのパルスであり吐出量制御の重要な役割を荷っている。このプレヒートパルス幅はその印加によって電気熱変換体が発生する熱エネルギーによってインク中に発泡現象が生じないような値に設定される。
【0044】
インターバルタイムは、プレヒートパルスとメインヒートパルスとの相互干渉を避けるため、およびインク液路内インクの温度分布を均一化するために設けられる。メインヒートパルスは液路内のインク中に発泡を生ぜしめ、吐出口よりインクを吐出させるためのものであり、その幅P3は電気熱変換体の面積,抵抗値,膜構造や記録ヘッドのインク液路の構造によって決まる。
【0045】
例えば、図9(A)および(B)に示すような構造の記録ヘッドにおけるプレヒートパルスの作用について説明する。同図(A)および(B)は、本発明を適用可能な記録ヘッドの一構成例を示すそれぞれインク液路に沿った概略縦断面図および概略正面図である。
【0046】
同図において、電気熱変換体(吐出ヒータ)は上記分割パルスの印加によって熱を発生する。この電気熱変換体はこれに分割パルスを印加するための電極配線等とともにヒータボード上に配設される。ヒータボードはシリコンにより形成され、記録ヘッドの基板をなすアルミ板によって支持される。天板には、インク液路等を構成するための溝が形成されており、天板とヒータボード(アルミ板)とが接合することによりインク液路や、これにインクを供給する共通液室が構成される。また、天板には吐出ロが形成され、それぞれの吐出口にはインク液路が連通している。
【0047】
図9に示される記録ヘッドにおいて、駆動電圧V0P=18.0(V),メインヒートパルス幅P3=4.114[μsec]とし、プレヒートパルス幅P1を0〜3.000[μsec]の範囲で変化させた場合、図10に示すような吐出量Vd[ng/dot]とプレヒートパルス幅P1[μsec]との関係が得られる。
【0048】
即ち図10は吐出量のプレヒートパルス依存性を示すグラフであり、図において、V0はP1=0[μsec]のときの吐出量を示し、この値は図9に示すヘッド構造によって定まる。因に、本実施形態でのV0は環境温度TR=25℃の場合でV0=18.0[ng/dot]であった。図10の曲線aに示されるように、プレヒートパルスのパルス幅P1の増加に応じて、吐出量Vdはパスル幅P1が0からP1LMTまで線形性を有して増加し、パルス幅P1がP1LMTより大きい範囲ではその変化が線形性を失い、パルス幅P1MAXで飽和し最大となる。
【0049】
このように、パルス幅P1の変化に対する吐出量Vdの変化が線形性を示すパルス幅P1LMTまでの範囲は、パルス幅P1を変化させることによる吐出量の制御を容易に行える範囲として有効である。因に、曲線aに示す本実施形態ではP1LMT=1.87(μs)であり、このときの吐出量はVLMT=24.0[ng/dot]であった。また、吐出量Vdが蝕和状態となるときのパルス幅P1MAXは、P1MAX=2.1[μs]であり、このときの吐出量VMAX=25.5[ng/dot]であった。
【0050】
パルス幅がP1MAXより大きい場合、吐出量VdはVMAXより小さくなる。この現象は上記範囲のパルス幅を有するプレヒートパルスが印加されると電気熱変換体上に微小な発泡(膜沸騰の直前状態)を生じ、この気泡が消泡する前に次のメインヒートパルスが印加され、上記微小気泡がメインヒートパルスによる発泡を乱すことによって吐出量が小さくなる。この領域をプレ発泡領域と呼びこの領域ではプレヒートパルスを媒介にした吐出量制御は困難なものとなるので本実施形態では使用しない。以上の通り記録ヘッドの駆動波形の決定(設定)を行い記録ヘッドの駆動を行う。
【0051】
<インク滴検出方法の原理>
図1は本発明のインク滴検出方法の原理を表わす図である。図1において5はインクジェット記録装置における記録ヘッドである。記録ヘッド内にはインクが充填されており、51で示すインクを吐出するためのノズルが配備されている。ノズル内には所定のタイミングでインクを吐出するための前記駆動信号が供給される不図示のヒータがノズル毎に配備されており、このヒータを加熱することによりノズル内のインク中に気泡を発生させその押圧力によりノズル開口方向にインク滴が吐出される。
【0052】
53は吐出後のインク滴である。このインク滴の通過経路の途中の該インク滴に非接触な位置に、10で示す電磁波検出素子と、該電磁波検出素子にインク滴の電磁波を集光する電磁波集光手段12とが配備され、インク滴の電磁波を効率的に集光している。また電磁波検出素子10の出力は吐出されたインク滴が通過する度に変化するが、この変化を11に示す検出回路にて検出することでインク滴の通過を高感度で検出する。
【0053】
電磁波集光手段12の形状は、図示されたようなコの字型の3つの壁面を有する形状以外に、直径が電磁波検出素子10の検出面の幅とほぼ等しい曲面を有するU字型の形状や2つの壁面を有するV字型などが考えられる。いずれにしても、通過するインク滴から放射される電磁波を電磁波検出素子の検出面に効率良く導くような形状とする。
【0054】
尚、吐出後のインク滴53は、吐出時に前記ヒータの熱により加熱されているので電磁波の中でも赤外波長帯の電磁波を強く放出している。よって本実施形態では赤外波長帯の電磁波を検出する赤外線センサを電磁波検出素子として用いている。また、代表的な赤外線センサとしては、赤外波長の波により電位変化を生じさせる焦電素子を用いた焦電型赤外線センサが知られている。
【0055】
インクジェット記録方式によるインク滴吐出時には、1ドットを吐出するに際し主滴となるドットの他にサテライトと呼ばれる微小ドットがミスト状に複数形成され該主滴と共に吐出される。これを図8を用いて説明する。
【0056】
図8において51はノズル、52は吐出ヒータである。定常状態の(a)から吐出ヒータ52のヒートが行われると、吐出ヒータ52上で発泡が起こる(b)。該発泡により生じた圧力により吐出ヒータ52の吐出口側のインクは該吐出口から押し出され(c)、インク滴として飛翔する(d)。
【0057】
吐出口から押し出された直後、該インク滴は細長い形状で飛翔し始めるが、該インク滴は自身の表面張力により球状に丸まろうとする。この時図8(d)に記す様に、前記細長形状のインク滴は複数に分断され複数の液滴になって飛翔する事となる。最先方のドット53は主滴と呼ばれ、最も体積が大きく記録媒体上で記録ドットを形成する。しかし主滴以降に形成されたサテライトドット54は体積、質量が小さく、飛翔方向の運動エネルギーが小さいので、記録媒体に届いて記録ドットを形成してしまう場合もあるが多くはミストとして記録装置内に浮遊する。
【0058】
よってインク滴から放射される電磁波を集光する集光手段を前記の通り配備すると、該集光手段の集光面に前記ミストが付着し、経時的に集光効率の低下を招いてしまう。本実施形態ではこれを防止するため、集光面に付着した該ミストを水と二酸化炭素にして分解して蒸発させる機能を有しており、経時的な集光効率の低下を抑制するように構成されている。以下図面を参照して具体的に説明する。
【0059】
図4は本実施形態の集光手段の集光面でのミストが分解される様子を示す図である。図4において122は集光手段の基材であり本実施形態では鉄を用いているが、その他の金属(ステンレス、アルミ、スズ、銅など)やガラス(ソーダガラス、石英ガラスなど)、合成樹脂(アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネートなど)更には陶磁器(セラミックなど)など、様々な機材が使用できる。54は集光手段の集光面に付着した上記のサテライトドットからなるミスト(図中向かって左側が集光面)であり、図4(a)のように本実施形態では、該ミスト54と集光手段の基材122の間にインクミスト分解手段121が配されている。
【0060】
該インクミスト分解手段121は具体的には光触媒であり、該光触媒に紫外線が当ると電子が励起され、ホールが発生する。該電子は空気中の酸素をスーパーオキサイドイオンに変化させ、該ホールは水(空気中の水分)を水酸基ラジカルに変化させる。該スーパーオキサイドイオン、該水酸基ラジカルは共に強い酸化力を持ち、例えばインク中の水性染料や溶剤などの有機物が該光触媒の表面に付着すると、該スーパーオキサイドイオンや該水酸基ラジカルが「炭素−酸素」結合や「炭素−水素」結合を切断し中間生成物を経て二酸化炭素や水に分解する。
【0061】
該二酸化炭素や水などに分解されたミストは、(b)および(c)に示すように蒸発、拡散し、最終的には(d)に示すように集光面から無くなる。よって集光面に付着したミストが該集光面に付着して増粘し、インク滴からの電磁波が吸収されて集光手段の機能を劣化させることが防止され、長期間に渡って集光手段の機能を維持する事が可能となる。
【0062】
尚、本実施形態における光触媒は、酸化チタン(TiO2)の粒子を光触媒半導体として用いて溶剤に分散処理しゾルとし、吹き付けもしくはディッピングによって前記基材122にコーティングした後、50〜500℃で焼結して形成する。(該TiO2は商品名「ST−01」「ST−31」(石原産業株式会社)としてゾルの状態で販売されている。)前記光触媒半導体としては、ZnO,SrTio3,CdS,CdO,CaP,InP,In2O3,CaAs,BaTio3,K2NbO3,Fe2O3,TaO5,WO3SaO2,Bi2O3,NiO,Cu2O,SiC,SiO2,MoS2,MoS3,InPb,RuO2,CeO2、などインクの特性に応じて様々な選択を行う事ができる。
【0063】
以上のように本実施形態によれば、インク滴の電磁波を検出する電磁波検出素子と、該インク滴から放射される電磁波を該電磁波検出素子に集光する集光面にインクミストを分解するインクミスト分解手段がコートされた集光手段とを、該インク滴の通過経路の途中の該インク滴とは非接触な位置に配備したことにより、インク滴の大きさや熱容量が小さい場合でも、通過するインク滴を高精度で検出することができ、かつその性能を容易に長期間維持することができる。
【0064】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の部分に関しては説明を省略する。
【0065】
第2の実施形態は、インク滴から放射される赤外線をより効果的に反射させる集光面を有するものである。第1の実施形態では、集光面に付着したミストをミスト分解手段によって分解、蒸発、拡散させて集光効率の低下を抑制するものである。本実施形態では、更に集光面に赤外光を反射する赤外反射膜を具備しており、これにより集光効率を更に向上させるものである。
【0066】
図6は本実施形態の集光手段の構成を説明する図である。図6において122は集光手段の基材であり本実施形態でも第1の実施形態同様に鉄を用いる。121は集光手段の集光面に具備されたインクミスト分解手段であり第1の実施形態同様に光触媒である。本実施形態では集光手段の基材122とインクミスト分解手段121に挟まれて電磁波反射手段123として赤外反射膜が配備されている。次に該赤外反射膜について説明する。
【0067】
本実施形態における該赤外反射膜は金(Au)を主体とする膜厚150〜280μmの金属薄膜である。その他の例としては、アルミニウム、銀、ロジウム、ニッケルかもしくはこれらの金属の少なくとも1種を添加して構成する事が出来る。また赤外反射膜としては、TiO2−Sio2膜などの誘電体多層膜を用いる方法、In2O3:Sn,SnO2(:Sb)などの導電膜を用いる方法、Agなどの金属とTiO2などの導電体膜を組み合わせた複合膜を用いる方法などが知られているが、本発明ではそのいずれをも用いる事が出来る。
【0068】
また電磁波反射手段として他の構成を用いても良い。例えば、特開平07−43526号公報で開示されているように、1辺が反射したい電磁波(ここでは赤外波長)の波長の約1/2の長さである略正方形の穴を複数有する格子を、電磁波反射手段として基材122の表面に形成する。具体的には一辺2μm、幅0.13μmからなる格子を、0.5μm厚のTiN膜で構成し、電磁波反射膜123として配備する。
【0069】
このような格子が特定波長を反射する原理はMaxwellの電磁方程式から導かれる。Maxwellの電磁方程式によれば、管径aに対して波長λはλ=a/2を堺にそれ以上の波長は反射される。よって本実施形態では反射波長は4μmであり、4μm以上の赤外光は反射されるので、インク滴から放射される赤外波長を効果的に集光する事が可能となる。
【0070】
電磁波反射手段以外の他の構成及び作用効果は第1の実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0071】
[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、上記第1および第2の実施形態と同様の部分に関しては説明を省略する。
【0072】
第3の実施形態は、上記実施形態の構成に加えて、インクミスト分解手段である光触媒に対して積極的に紫外線を照射する手段を具備するものであり、これにより、集光効率の低下を更に抑制するものである。
【0073】
光触媒半導体が示す光触媒機能は、紫外線で励起されることはそのメカニズムと共に公知の技術として知られている。つまり光触媒がインクミストを分解する分解速度は、入光される紫外線量と相関する。よって記録装置のプリントボリュームや、記録ヘッドから生じるミストの量によっては光触媒によるミストの分解が間に合わず、ミストの蓄積を招き集光効率の低下が起こる場合がある。
【0074】
本実施形態では、光触媒に対して積極的に紫外線を照射する手段として電磁波集光手段12の内側に不図示の紫外線放射管(ブラックライト)を備えている。ブラックライトの代わりに発光スペクトル中に紫外線領域の波長を有する蛍光管や水銀管を用いる事も出来る。
【0075】
本実施形態では該ブラックライトを記録装置の電源がonの間照射する事で光触媒を活性しミストの分解を促進するが、定期的にon/offする仕様であっても良く、記録比率に応じてon/offする制御であっても勿論良い。
【0076】
[その他の実施形態]
以上の実施形態は、本発明の液滴検出装置がインクジェット記録装置に内蔵され、吐出不良検出に使用されるものであるが、本発明の液滴検出装置は、もちろん他の用途に使用することも可能である。
【0077】
また、以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0078】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。
【0079】
この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0080】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0081】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書に記載された構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0082】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0083】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0084】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0085】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0086】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0087】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0088】
このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0089】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0090】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0091】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、検出する液滴のサイズが小さい場合でも、液滴から放射される電磁波を検出素子の検出面に集光して高感度で検出することが可能となり、かつ集光手段に付着したミストを化学的に分解して除去することができるので、経時的な集光効率の低下を抑制し、検出性能を長期間に渡って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によりインク滴の通過を検出する原理を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態としての記録装置の構成を説明する斜視図である。
【図3】図2の記録装置の制御系を説明するブロック図である。
【図4】インクミスト分解手段でミストが分解される様子を示す図である。
【図5】本発明が通用される画像記録システムの構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態の集光手段の構成を示す図である。
【図7】熱光学検出方式によりインク滴の通過を検出する原理を説明する図である。
【図8】ノズルからインク滴が吐出される様子を説明する図である。
【図9】記録ヘッドの構成を示す図である。
【図10】吐出量のプレヒートパルス依存性を示すグラフである。
【図11】駆動信号として使用するパルス波形を説明するための図である。
【符号の説明】
5 記録ヘッド
53 インク滴
54 ミスト
10 電磁波検出素子
11 検出回路
12 電磁波集光手段
121 インクミスト分解手段
123 電磁波反射手段
Claims (11)
- 通過する液滴を非接触で検出する液滴検出方法であって、
液滴から放射される電磁波を検出する検出素子を前記液滴の通過経路に設ける工程と、
前記電磁波を集光手段によって前記検出素子の検出面に集光する集光工程と、前記検出素子の出力の変化に基づいてインク滴の通過を検出する検出工程と、前記液滴に伴って生成され前記集光手段の表面に付着したミストを化学的に分解するインクミスト分解工程とを備えていることを特徴とする液滴検出方法。 - 前記検出素子は、前記液滴からの放射熱を検出する赤外線センサであることを特徴とする請求項1に記載の液滴検出方法。
- 前記インクミスト分解工程は、紫外線によって励起される光触媒を用いて前記ミストを分解することを特徴とする請求項1または2に記載の液滴検出方法。
- 前記光触媒に対して紫外線を含む光を照射する工程を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の液滴検出方法。
- 通過する液滴を非接触で検出する液滴検出装置であって、
液滴の通過経路に設けられ、前記液滴から放射される電磁波を検出する検出素子と、
前記電磁波を前記検出素子の検出面に集光する集光手段と、
前記検出素子の出力の変化に基づいてインク滴の通過を検出する検出回路と、前記液滴に伴って生成され前記集光手段の表面に付着したミストを化学的に分解するインクミスト分解手段とを備えていることを特徴とする液滴検出装置。 - 前記検出素子は、前記液滴からの放射熱を検出する赤外線センサであることを特徴とする請求項5に記載の液滴検出装置。
- 前記集光手段は、前記電磁波を反射させて前記検出素子の検出面に導く反射面を有することを特徴とする請求項5または6に記載の液滴検出装置。
- 前記インクミスト分解手段は、前記反射面に形成された紫外線によって励起される光触媒の層を含むことを特徴とする請求項7に記載の液滴検出装置。
- 前記光触媒の層に対して紫外線を含む光を照射する光照射手段を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の液滴検出装置。
- 請求項5から9のいずれか1項に記載された液滴検出装置を有するインクジェット記録装置であって、前記液滴検出装置をインクジェット記録ヘッドから吐出されたインク滴の検出に用いることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 前記インクジェット記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えていることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
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JP2006082287A (ja) * | 2004-09-14 | 2006-03-30 | Fuji Xerox Co Ltd | インクジェット記録装置 |
JP2011067955A (ja) * | 2009-09-24 | 2011-04-07 | Toshiba Corp | 部材の清浄化方法 |
EP2865526A4 (en) * | 2012-06-21 | 2017-02-15 | Mimaki Engineering Co., Ltd. | Inkjet recording device |
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2002
- 2002-07-08 JP JP2002199209A patent/JP2004042283A/ja not_active Withdrawn
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