JP2004042138A - 中空ブロックの偏心の決定方法と装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、縦軸線Lの方向に並進運動する中空ブロック1が圧延機を通過する前、通過するときあるいは通過した後で、中空ブロック1の縦方向位置と周方向位置で中空ブロックの壁厚sを測定可能である少なくとも1個の測定装置によって、中空ブロックの偏心を決定するための方法に関する。測定装置2は測定中中空ブロック1の縦軸線L方向および/または周方向に動かされ、この場合運動中に複数回の壁厚測定が行われる。本発明は更に、特に上記方法を実施するための装置に関する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空ブロックがその縦軸線の方向に並進運動し、中空ブロックの縦方向位置と周方向位置で中空ブロックの壁厚を測定可能である少なくとも1個の測定装置を含んでいる、中空ブロックが圧延機を通過する前、通過するときあるいは通過した後で、中空ブロックの偏心を決定するための方法に関する。本発明は更に、中空ブロックの偏心を決定するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
技術の多くの分野で、鋼製の管が必要である。この管は例えば、傾斜圧延機において軸方向に固定されたマンドレルを用いて円筒状に形成された出発材料を管状の中空ブロックに変形する方法で製作される。円筒状の形成された出発材料を継目なし管に変形するために、出発材料はマンドレルを介して圧延される。このような方法は例えば特許文献1によって知られている。
【特許文献1】
EP0940193A2
【0003】
継目なし鋼管のストレッチ圧延機と絞り圧延機およびサイジング圧延機の場合、加工すべき管は圧延機列を通過する。この圧延機列では、或る数の圧延スタンドが管の搬送方向に配置されている。各々の圧延スタンドにはロールが支承されている。このロールは圧延時にそれぞれ所定の周方向区間だけ管に接触する。その際、各々の圧延スタンドにおいて複数個のロール、例えば3個のロールが協働し、管のほぼ全周にロールが接触する。それによって、管は圧延されて縮小した直径になり、その際正確な形になる。
【0004】
管は圧延後理想的な形を有するようにすべきである。すなわち外周の円筒状輪郭と、内周の円筒状輪郭は、2つの同心的な円を形成すべきである。しかしながら実際には、仕上げ管が常に誤差を有するので、外周の円輪郭に対して内周の円輪郭の或る程度の偏心が存在する。
【0005】
管製造時の重要な品質パラメータは管の壁厚である。この壁厚は製造プロセスで測定および監視される。管の壁厚を測定するために超音波測定方法が知られている。パルスエコー方法による超音波厚さ測定方法は、超音波パルスの走行時間から壁厚を求める。
【0006】
中空ブロックとその中間製品のきわめて重要な他の特性パラメータまたは他の重要な品質判断基準は中空ブロックの偏心である。できるだけ早い製品状態でこの特性パラメータを得るために、上記の壁厚測定装置が使用される。この場合例えば、傾斜圧延機の出口にこのような壁厚測定装置が位置決めされる。それによって、プロセスにおいて、比較的に少ないコストで壁厚を測定することができる。中空ブロックが傾斜圧延機の出口で回転するので、このような壁厚測定装置によって、中空ブロックの外周にわたって或る数の壁厚測定点で測定可能である。この測定点の数は偏心の測定に基づいて選択可能である。
【0007】
この偏心は、中空ブロックの内径に対する中空ブロックの外径の偏心ずれ(このずれは中空ブロックの縦座標に沿って一定であるかまたは場所的に一定のままである)だけでなく、中空ブロックの外面に対する中空ブロックの内面のらせん部状の変化を生じるように、中空ブロックの縦座標の方向に“変化する”偏心も含む。この偏心の変化は傾斜圧延機の圧延プロセスに起因するので、回転特性がコルク栓抜きに類似して生じる。この偏心の変化はいわゆる主内側らせん部によって決定される。この主内側らせん部のピッチまたはリードは傾斜圧延機におけるプロセスと、傾斜圧延機の送り角度から生じる。偏心の変化はリードと共に周期的に繰り返される。大きなピッチまたは低い周波数の回転測定の他の偏心は、例えば回転炉床炉内でのブロックの不均一な加熱によって重ね合わされて生じる。
【0008】
中空ブロッの縦座標にわたる偏心の変化の測定、すなわち中空ブロックの縦座標にわたる中空ブロックの外側表面と相対的な中空ブロックの内側表面の検出は、次の理由から問題がある。
【0009】
傾斜圧延機の送り角度によってピッチが定められる主偏心、すなわち主内側らせん部は、“測定らせん”と同一である。この測定らせんとは、中空ブロックと壁厚測定装置の接触個所の延長形状であると理解される。中空ブロックが傾斜圧延機の出口で回転し、壁厚測定装置が据え付けられて配置されているので、壁厚測定装置と中空ブロックの接触個所はらせんとして三次元的に変化する。
【0010】
主内側らせん部のリードと“測定らせん”のピッチが同一であることにより、壁厚測定装置を用いて中空ブロックの縦座標にわって偏心を三次元的に検出することは不可能である。壁厚測定装置は測定らせんに沿って生じる多少一定のままである壁厚を測定する。しかしこれから、主内側らせん部の三次元的な変化を推定することはできない。すなわち、この方法によってまたはこのような装置によって、中空ブロックの本質的な偏心を検出することはできない。これによって特に、中空ブロックの縦座標にわたる偏心の三次元的な変化を検出することは不可能である。これはしかし、充分な品質判断のために所望されることであるかまたは必要である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の根底をなす課題は、中空ブロックの縦座標に沿った中空ブロックの偏心の三次元的な変化も検出することができ、特に実際に適切に利用可能な偏心の程度を表すことができる、方法とそれに関連する装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この課題の本発明による解決策は方法においては、測定装置が測定中中空ブロックの縦軸線方向および/または周方向に動かされ、この場合運動中に複数回(もしくは少なくとも1回)の壁厚測定が行われることを特徴とする。
【0013】
すなわち、測定時に、測定装置は定置されないで、圧延機と相対的に動かされる。
これにより、中空ブロックの偏心が、圧延機特に傾斜圧延機の出口範囲で決定されると有利である。傾斜圧延機の場合、中空ブロックが圧延機を通過する前、通過するときあるいは通過した後で、特に圧延機から出るときに、中空ブロックがその縦軸線回りに回転する。
【0014】
測定装置の運動が周期的に繰り返して行われると有利である。
測定装置が測定中、中空ブロックの速度で、特に圧延機から中空ブロックが出る速度で、縦軸線方向に移動させられると有利である。
【0015】
充分なデータ量を検出するために、測定装置が専ら縦軸線の方向に移動する際に、測定装置が往復運動を行い、この往復運動が中空ブロックの偏心(すなわち、主内側らせん部のピッチ)の少なくとも半分のピッチ、特に少なくとも1ピッチに一致していると有利である。同様に、測定装置が専ら中空ブロックの周方向に移動する際に、測定装置が少なくとも180°の揺動運動を行うことができる。
【0016】
本発明に従って測定された壁厚のデータの実際に適した処理が特に重要である。中空ブロックの偏心の変化が、中空ブロックの縦軸線方向に延びる縦座標とこの縦座標の回りの回転角度の関数としての壁厚の変化として、次式
【数3】
従って近似的に求められ、ここで、
【0017】
s0は中空ブロックの平均壁厚、
s1は平均壁厚s0に重ねられた壁厚振幅
δは縦座標に依存する、周方向の偏心の位置角度である。
【0018】
その際、測定装置は中空ブロックの通過時に測定された壁厚をコンピュータに供給し、壁厚の関数的な変化のために縦座標と回転角度の関数として次の形
【数4】
の近似を求めるために、上記コンピュータによって壁厚がフーリエ変換を受け、ここで、
【0019】
s0*とsi,1はフーリエ級数要素の数(n)にわたる合計の際の中空ブロックの壁厚のための求められたフーリエ係数、
piとξi,1はフーリエ級数要素の数(n)にわたる合計(i)の際の初期位置角度またはピッチのためのフーリエ係数である。この場合、周波数円環は測定ヘッド運動によって考慮される。
【0020】
中空ブロックがその縦軸線の方向に並進運動し、装置が中空ブロックの縦方向位置と周方向位置で中空ブロックの壁厚を測定可能である少なくとも1個の測定装置を備えている、中空ブロックが圧延機を通過する前、通過するときあるいは通過した後で、中空ブロックの偏心を決定するための装置は、測定装置が移動要素に連結され、この移動要素が測定中中空ブロックの縦軸線方向および/または周方向に測定装置を動かすことができることを特徴とする。
【0021】
測定装置は好ましくは圧延機、特に傾斜圧延機の出口の範囲に配置されている。
移動要素が中空ブロックの縦軸線方向に延びる直線ガイドと、この直線カイド上を移動可能なキャリッジを備えていると有利である。
【0022】
移動要素は中空ブロックの周方向に延びるガイドとこのカイド上を移動可能なキャリッジを備えることができる。
中空ブロックの偏心の近似的な変化を求めるために、装置は他の実施形に従い、計算手段を備えている。この計算手段は中空ブロックの偏心の変化を近似的に求めるためのフーリエ変換またはフーリエ分析を行うために適している。
【0023】
更に、1個以上の測定装置を使用してもよい。
中空ブロックの壁厚を効率的に求めるために、測定装置が中空ブロックの表面に超音波信号を供給するための手段を備えていると有効であることが判った。この手段は好ましくはレーザ、特にフラッシュランプ励起のNd−YAGレーザである。更に、2つのエコー超音波信号の間の時間インターバルを測定する手段が設けられ、中空ブロックが超音波信号を供給するために上記エコー超音波信号を放出する。この手段は、レーザ、特に半導体励起のNd−YAGレーザと、光学式分析器、特にファブリ−ペロ干渉計である。
【0024】
提案した技術的な手段または上記の装置によって、中空ブロックの縦座標にわたる偏心の三次元的な変化を求めることができ、更に偏心の大きさと位置に関する実際に有効な情報が得られる。使用される近似法は特に、中空ブロックの品質のための実際に使用可能な判断基準を簡単に導き出すことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図には本発明の実施の形態が示してある。
先ず図3を参照する。中空ブロック1の壁厚の測定方法がこの図3から明らかである。
【0026】
超音波−走行時間測定の古典的な原理に基づくレーザ−超音波−壁厚測定方法が使用される。中空ブロックの材料内の音速cが知られている場合、超音波パルスが中空ブロック1の壁を2回通過する時間から、求めようとする壁厚sが判る。約1000°Cの範囲の温度の高温壁厚測定の場合の超音波を当てるためには、測定ヘッド自体を中空ブロック1に対して熱的に安全な距離にとどめることができる非接触光学方法が励起側でも検出側でも必要である。
【0027】
赤外線範囲内の高エネルギーの光パルスは中空ブロック1の表面で吸収される。この光パルスは中空ブロックの壁の方に向けられるフラッシュランプ励起のNd−YAGレーザ9(励起レーザ)によって発生する。このレーザは10nsよりも短いパルス持続時間の場合、1.064nmの波長を有する。レーザ9によって中空ブロック1の表面に加えられ中空ブロックの壁によって吸収されるエネルギー(超音波信号10)はその一部が非常に薄い表面層の蒸発(nm範囲の材料剥離)をもたらす。蒸発パルスによって、パルス保存のために、超音波パルスが中空ブロック1内に発生する。この超音波パルスは中空ブロックの表面に対して垂直に中空ブロックの壁内に進む。超音波パルスは中空ブロックの内側表面で反射し、中空ブロックの外側表面に戻り、新たに反射され、これが繰り返される。従って、中空ブロックの壁内に、振幅が小さくなる超音波エコー列が発生する。
【0028】
反射した超音波パルスは中空ブロック1の外側表面に振動(サブミニチュア範囲の)を生じる。この振動は第2のレーザ12(検出レーザ)によってドップラー効果を利用して非接触式に検出される。このレーザ12はCWレーザ(連続発振レーザ)、すなわち周波数を2倍にした半導体励起式のNd−YAGレーザである。このレーザは532nmの波長で動作し、励起の個所に向けられている。光周波数と比べて低い周波数の超音波振動は、材料表面で反射した光の周波数変調を生じる。
【0029】
今や超音波信号の“キャリア”である反射した光円錐は、大きな比口径の収束レンズと光ファイバを経て光学式分析器13、すなわち復調器に供給される。この場合特に共焦点のファブリ−ペロ干渉計が使用される。この干渉計の出力信号は既に超音波エコー列を含んでいる。すなわち、時間インターバルΔtを検出するための手段11はレーザ12と光学式分析器13とからなっている。
【0030】
超音波エコー列の更なる増幅、ろ波および信号評価は、普通の電子式超音波評価ユニット14(コンピュータ)によって行われる。評価ユニット14の出力信号は中空ブロック1の壁厚sである。この壁厚は図3に概略的に示すように、音速cと測定された時間インターバルΔtとの積によって求められる。
【0031】
図1には、中空ブロック1の縦方向座標にわたって中空ブロック1の偏心を測定する方法が示してある。中空ブロック1は図示していない傾斜圧延機から回転して出て来る。この場合、中空ブロックは或る回転速度で回転する。中空ブロック1が傾斜圧延機から縦軸線L方向に排出速度vで出て来るので、定置された測定装置2は、中空ブロック1の縦方向座標zの方向にらせん状に延びる軌道に沿って中空ブロックの壁厚sを測定する。
【0032】
傾斜圧延機での圧延プロセスに基づいて、図1に示すように、偏心eはコルク栓抜きのように中空ブロック1の縦座標zの方向にらせん部状に延びている。3つの断面が概略的に示してある。この断面から明らかなように、壁厚sは周期またはピッチまたはリードHで周期的に繰り返される。
【0033】
中空ブロック1の主偏心、すなわち主内側らせん部が周期、すなわちリードまたはピッチHを有することが有することが問題である。この周期は定置された測定装置2の場合に生じる測定らせんの周期と同一である。
【0034】
中空ブロックの縦座標zに沿った偏心eの三次元的な(空間的な)変化を推定できるようにするために、本発明では次のように行われる。
測定装置2は移動要素3上に配置されている。この移動要素は図示していない傾斜圧延機と相対的に測定装置2を動かすことができる。図1に従って、移動要素3は直線ガイド4と、この直線ガイド4上を移動可能なキャリッジ5とからなっている。測定装置2はキャリッジ5上に配置されている。すなわち、中空ブロックの壁厚sを検出可能な測定装置2は、図示していないモータによって、傾斜圧延機からの中空ブロック1の排出方向に対して平行に中空ブロック1の縦座標z方向に移動可能である。
【0035】
測定装置2は周期的に繰り返して傾斜圧延機と相対的に移動する。すなわち、測定装置は先ず最初に速度vで中空ブロック1と平行に直線ガイド4またはキャリッジ5上で移動し、複数の壁厚sを測定する。この壁厚は記憶装置に記憶される。これは図1において、測定装置2が先ず最初に、図示した3つの位置の最も後ろの位置にあり、そして縦座標zの方向に排出速度vで、傾斜圧延機からの中空ブロック1の排出に対して“平行に”摺動させられることを意味する。出発状況(最も後側の位置)のほかに、測定装置2の両端位置の間の中間位置と、測定装置2の最も前側の位置が図示してある。この最も前側の位置に達した後で、測定装置2は再び最も後側の位置に戻され、そして上述のように測定が繰り返される。
【0036】
縦座標zの方向の測定装置2の摺動の代わりに、図2に示すように、中空ブロック1の周方向に測定装置を揺動させることができる。そのために、ガイド6を備えた移動要素3が設けられている。このガイドは中空ブロック1の周りに円状に延びている(一部だけが示してある)。ガイド6上をキャリッジ7が走行する。このキャリッジは中空ブロック1の周りに周方向に測定装置2を移動させることができる。図2には、出発位置(3時の位置)と中央位置(12時の位置)と終端位置(9時の位置)が示してある。
【0037】
終端位置(9時の位置)に達すると、測定装置2は出発位置(3時の位置)に戻る。
中空ブロック1の縦座標zにおける偏心の検出は次のように行われる。
【0038】
測定された壁厚sは上述のように、1つの測定サイクルの間記憶される。壁厚はコンピュータ8に記憶される(図2参照)。このコンピュータにおいて、測定データは数学的に処理される。この場合、測定値はフーリエ分析される。このフーリエ分析は縦座標zと回転角Φ(中空ブロック1の円周角)における壁厚sを、異なる振幅と異なる初期位置角度を有する個々の調和振動の合計として示す(上記の式参照)。図2においてコンピュータ8には、“高速フーリエ変換”FETが概略的に記入されている。この高速フーリエ変換はフーリエ変換に基づく好ましい数学的な処理方法である。その詳細は例えば“ヒュッテ エンジニア科学の基礎(Huette − Die Grundlagen der Ingenierwissenschaften)”29版、S.B34以降に記載されている。測定ヘッドの付加的な相対運動による周波数シフトはコンピュータ(計算手段)8で考慮される。
【0039】
上記の近似法において、“理想的な偏心”の場合の壁厚sは、中空ブロック1の縦座標zに依存する偏心振幅s1(z)で表される。それに関連する周方向分布は余弦関数で示され、回転速度を含む回転特性は実際の偏心位置の角度δ(z)で充分に表される。数学的な近似として、壁厚変化は“偏心振動”を重ね合わせた全体平均壁値によって定められる。一定の角度に関して、慣用のフーリエ級数が“z”で与えられる。その際、縦振動の初期位置角度ξi,1は測定中中空ブロックの位置に依存する(初期角度)。各々の縦座標で近似に対応して角度Φを変化させると、中空ブロック1の偏心の全体の変化が表される。
【0040】
要約すると次のとおりである。主偏心、すなわち中空ブロックの主内側らせん部によって定められる偏心を示すために、測定装置は測定中縦方向に往復移動するかあるいは中空ブロックの周りを揺動し、しかもこの両者の場合、測定装置が主内側らせん部のピッチを完全に走査するような移動振幅で行われる。
【0041】
縦方向における移動振幅が例えば半分のピッチに等しくなるように選択された測定壁厚セットでフーリエ分析を行うと、主変形らせんの振幅が測定装置の移動周波数で得られる。この場合、完全なピッチが1移動サイクルで走査される。
【0042】
データ分析または周波数分析の見地から、この状況が考えられる。壁厚が傾斜圧延機の出口で直接、同じ回転数または同じ送りで走査されることにより、中空ブロック内に生じた偏心振動数に関して、零への周波数シフトが生じる。測定時の回転は周波数範囲内でシフトのように作用する。同じことが周期的な測定装置移動についても当てはまる。
【0043】
プレスで製造された中空ブロックの壁厚をらせん状に走査して測定すると、言わば“固定された”回転しない特性を有する(周波数が零であり、偏心高さが無限である)中空ブロックの偏心が走査回転周波数で正確に得られる。
【0044】
従って、らせん状に走査された測定データのフーリエ分析は、結果的に両周波数の差、すなわち“圧延らせん”と“走査らせん”の相対周波数を提供する。従って、傾斜圧延機の出口においてこの差は零である。その際、周波数0は周波数範囲において平均値を表す。この平均値は主内側らせん部の相対的な初期位置(スタートの位相角)に依存して内側らせん部によって当然誤差を生じる。例えば偏心らせんの“谷”で測定すると、平均値は下方に誤差を生じる。これに対して言わば“山”で測定すると、上方への誤差を生じる。
【0045】
その際、初期位置は中空ブロック毎に偶然に、異なる供給条件およぼ供給個所によって変化する。
本発明による付加的な測定方法では、相対周波数が0ではなく、それによって再び見える範囲に変換される。従って同時に、平均値の誤りが変形らせんによって取り消される。
【0046】
それによって、壁厚の測定値の上記の評価は、周波数シフトや変調のような矯正技術で知られているようなそれ自体公知の解釈法または評価法が使用されることになる。
【0047】
更に述べると、壁厚の測定は上述の超音波測定方法によって、芯棒が中空ブロック内に設けられている場合にも達成可能である。
既に述べたように、1個以上の壁厚測定装置を使用することができる。その際、システムは単チャンネルでも多チャンネルでも実現される。すなわち、複数の壁厚測定装置を中空ブロックの周囲に等間隔に配置可能である。
【0048】
三次元的に延びる偏心を、縦座標zと回転角の関数として充分に正確に表すために、充分に高い走査周波数を維持することが重要である。すなわち、最小の走査周波数をシャノンの走査理論に従って維持することが重要である。これに関する詳細は、“ヒュッテ エンジニア科学の基礎”29版、S.B68以降に記載されている。例えば50Hzサンプリングレートの場合、中空ブロックが回転しないで1m/秒以下で測定ヘッドのそばを移動するときに、中空ブロックの送りらせんの偏心周波数は40mmのピッチによって決定される。
【0049】
上記の実施の形態において、中空ブロックの測定すべき“らせん部”は中空ブロックの内側表面のらせん部状の延長部分として形成されている。上記の方法とそれに関連する装置は全く同様に、“らせん部”が中空ブロックの外側表面にあるときにも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏心を検出するための測定装置と共に偏心を有する中空ブロックを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の代替的な実施の形態を示す図である。
【図3】中空ブロックの壁厚の測定原理を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 中空ブロック
2 測定装置
3 移動要素
4 直線ガイド
5 キャリッジ
6 ガイド
7 キャリッジ
8 計算手段
9 超音波信号を生じる手段(励起レーザ)
10 超音波信号
11 時間インターバルを測定する手段
12 レーザ
13 光学式分析器(ファブリ−ペロ干渉計)
14 コンピュータ
e 偏心
L 縦軸線
s 壁厚
H ピッチ(リード)
v 排出速度
o 回転速度
z 中空ブロックの縦座標
回転角度(中空ブロックの周方向)
s0 中空ブロックの平均壁厚
s1 重ねられた壁厚振幅
位置角度
n フーリエ級数要素の数
s0* 壁厚のフーリエ係数
si,1 壁厚のフーリエ係数(i=1・・・n)
pi ピッチのフーリエ係数(i=1・・・n)
ξi,1 初期位置角度のフーリエ係数(i=1・・・n)
Δt 時間インターバル
c 音速
FET 高速フーリエ変換
Claims (17)
- 縦軸線(L)の方向に並進運動する中空ブロック(1)が圧延機を通過する前、通過するときあるいは通過した後で、中空ブロック(1)の縦方向位置と周方向位置で中空ブロック(1)の壁厚(s)を測定可能である少なくとも1個の測定装置(2)によって、中空ブロック(1)の偏心を決定するための方法において、測定装置(2)が測定中中空ブロック(1)の縦軸線(L)方向および/または周方向に動かされ、この場合運動中に複数回の壁厚測定が行われることを特徴とする方法。
- 中空ブロック(1)の偏心(e)が、圧延機特に傾斜圧延機の出口範囲で決定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 中空ブロック(1)が圧延機を通過する前、通過するときあるいは通過した後で、特に圧延機から出るときに、中空ブロック(1)がその縦軸線(L)回りに回転することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
- 測定装置(2)の運動が周期的に繰り返して行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
- 測定装置(2)が測定中、中空ブロック(1)の速度(v)で、特に圧延機から中空ブロック(1)が出る速度で、縦軸線(L)方向に移動させられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
- 測定装置が専ら縦軸線(L)の方向に移動する際に、測定装置が往復運動を行い、この往復運動が中空ブロック(1)の偏心(e)の少なくとも半分のピッチ(H)、特に少なくとも1ピッチ(H)に一致していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
- 測定装置(2)が専ら中空ブロック(1)の周方向に移動する際に、測定装置が少なくとも180°の揺動運動を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
- 中空ブロック(1)の偏心(e)の変化が、中空ブロック(1)の縦軸線(L)方向に延びる縦座標(z)とこの縦座標(z)の回りの回転角度(o)の関数としての壁厚(s)の変化として、次式
この場合測定装置(1)が中空ブロック(1)の通過時に測定された壁厚をコンピュータ(8)に供給し、壁厚(s)の関数的な変化のために縦座標(z)と回転角度(o)の関数として次の形
- 中空ブロック(1)がその縦軸線(L)の方向に並進運動し、装置が中空ブロック(1)の縦方向位置と周方向位置で中空ブロック(1)の壁厚(s)を測定可能である少なくとも1個の測定装置(2)を備えている、中空ブロック(1)が圧延機を通過する前、通過するときあるいは通過した後で、中空ブロック(1)の偏心を決定するための装置において、測定装置(2)が移動要素(3)に連結され、この移動要素が測定中中空ブロック(1)の縦軸線(L)方向および/または周方向に測定装置(2)を動かすことを特徴とする装置。
- 測定装置(2)が圧延機、特に傾斜圧延機の出口の範囲に配置されていることを特徴とする請求項9記載の装置
- 移動要素(3)が中空ブロック(1)の縦軸線(L)方向に延びる直線ガイド(4)と、この直線カイド上を移動可能なキャリッジ(5)を備えていることを特徴とする請求項9または10記載の装置。
- 移動要素(3)が中空ブロック(1)の周方向に延びるガイド(6)とこのカイド上を移動可能なキャリッジ(7)を備えていることを特徴とする請求項9または10記載の装置。
- 中空ブロック(1)の偏心(e)の変化を近似的に求めるためのフーリエ変換を行うために適した計算手段(8)が設けられていることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載の装置。
- 少なくとも1個の測定装置(2)が中空ブロック(1)の表面に超音波信号(10)を供給するための手段(9)を備えていることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の装置。
- 前記手段がレーザ、特にフラッシュランプ励起のNd−YAGレーザであることを特徴とする請求項14記載の装置
- 少なくとも1個の測定装置(2)が2つのエコー超音波信号の間の時間インターバル(t)を測定する手段(11)を備え、中空ブロック(1)が超音波信号(10)を供給するために前記エコー超音波信号を放出することを特徴とする請求項9〜15のいずれか一つに記載の装置。
- 前記手段(11)がレーザ(12)、特に半導体励起のNd−YAGレーザと、光学式分析器(13)、特にファブリ−ペロ干渉計を備えていることを特徴とする請求項16記載の装置
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