JP2002228638A - レーザー超音波検査装置及びレーザー超音波検査方法 - Google Patents

レーザー超音波検査装置及びレーザー超音波検査方法

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JP2002228638A
JP2002228638A JP2001021503A JP2001021503A JP2002228638A JP 2002228638 A JP2002228638 A JP 2002228638A JP 2001021503 A JP2001021503 A JP 2001021503A JP 2001021503 A JP2001021503 A JP 2001021503A JP 2002228638 A JP2002228638 A JP 2002228638A
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Yasuaki Nagata
泰昭 永田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波発生用及び超音波検出用のレーザービ
ームを検査対象の表面上で走査させるタイプのレーザー
超音波検査装置及びレーザー超音波検査方法において、
欠陥検出の感度を向上させる。 【解決手段】 ガルバノミラー14を、鋼材30の幅方
向のある位置で、鋼材から高さ1mのところに設置し、
鋼材の幅方向においてレーザービーム21の照射位置を
変えたときにガルバノミラーに達する散乱光の光量がど
のように変化するかを示す関数をFとする。この場合、
鋼材の幅方向におけるガルバノミラーの設置位置をx、
レーザービーム21を照射する位置をyとすると、関数
Fは二変数関数F(x,y)である。{Fmax(x,y)
−Fmix(x,y)}の値が最小となるxの値xをもと
に、スキャン時の検出光量のばらつきが一番少なくなる
ガルバノミラーの設置位置を決める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検査対象内部の欠
陥を非破壊で検出することができるレーザー超音波検査
装置及びレーザー超音波検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種材料の内部欠陥等を非破壊で、か
つ、検査対象に非接触で検出する方法として、次のよう
なレーザー超音波法が知られている。まず、検査対象の
表面にレーザービームを照射し、検査対象の表面又は内
部に超音波を励起させる。この超音波が検査対象を伝播
する過程で欠陥に当たると、そこで超音波の反射エコー
が生じる。検査対象には、超音波発生用のレーザービー
ムとは別に、超音波検出用のレーザービームを照射す
る。この照射部位に欠陥からの反射エコーが到達する
と、その表面には超音波振動が生じるので、レーザービ
ームの反射波はドップラーシフトを受け、その光周波数
が変位する。この光周波数の変位を、例えばファブリ・
ペロー干渉計で透過光強度の変位に変換し、光検出器に
入射させる。その結果、検査対象内部の欠陥は、光検出
器の出力信号の変化として検出することが可能となる。
【0003】なお、レーザー超音波法に関しては、中野
英俊著『実用化に近づいたレーザ超音波探傷技術』(日
本設備管理学会誌第8巻第2(1996))に、一般的な説明
がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、超音波発生
用のレーザービームと超音波検出用のレーザービームを
検査対象の表面上で走査させる構成のレーザー超音波装
置の場合、レーザー光源の出力が同じだとすると、検査
対象の寸法が大きくなるほど欠陥検出感度が低下する。
さらに、検査対象が、例えば鉄鋼製造プロセスの中間生
成物であるスラブのように高温だと、レーザービームを
所定位置に照射するための光学要素が熱の影響を受けな
いよう、検査対象から十分に離間させる必要があるが、
その場合にも、検査対象からの距離が大きくなるほど、
感度が低下する。
【0005】本発明は、このような技術的背景のもとで
なされたものであり、その目的は、超音波発生用及び超
音波検出用のレーザービームを検査対象の表面上で走査
させるタイプのレーザー超音波検査装置及びレーザー超
音波検査方法において、欠陥検出の感度を向上させるこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明であるレーザー超音波検査装
置は、検査対象に超音波を発生させるための第一のレー
ザービームを発生する第一のレーザー光源と、検査対象
内部を伝播した前記超音波のエコーを検出するための第
二のレーザービームを発生する第二のレーザー光源と、
前記第二のレーザービームが検査対象で反射されるとき
に前記超音波のエコーに起因して生じる光周波数の変位
を検出する光周波数変位検出手段と、ミラーの反復回転
により、当該ミラーで反射した前記第一及び第二のレー
ザービームを検査対象の所定の走査範囲において走査さ
せるとともに、検査対象で反射された前記第二のレーザ
ービームの反射光を前記ミラーで反射して前記光周波数
変位検出手段へ導くビーム走査手段とを具備し、前記ビ
ーム走査手段の位置を前記走査範囲内で変えたときに、
前記第二のレーザービームの検査対象からの反射光のう
ち前記ミラーにより有効に前記光周波数変位検出手段へ
導かれる光の強度がどのように変化するかを予め解析的
に求め、その解析結果に基づいて、前記ビーム走査手段
の設置位置を決定したことを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載のレ
ーザー超音波検査装置において、第二のレーザービーム
の検査対象からの反射光のうち前記ミラーにより有効に
前記光周波数変位検出手段へ導かれる光の強度がどのよ
うに変化するかを予め求めた解析結果に基づいて、その
最大値と最小値との差が最小となるよう、前記ビーム走
査手段の設置位置を決定したことを特徴とする。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載のレーザー超音波検査装置において、前記検査対象は
スラブであり、少なくとも前記ビーム走査手段は、検査
上スラブからの熱による影響を受けない距離だけ、前記
スラブから離間させて配置してあることを特徴とする。
【0009】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の
うちいずれか一項記載のレーザー超音波検査装置におい
て、前記ビーム走査手段の設置位置を決定する際に求め
た解析結果を用いて、前記光周波数変位検出手段の出力
信号を補正することを特徴とする。
【0010】請求項5記載の発明であるレーザー超音波
検査方法は、第一のレーザービームを検査対象に照射し
て超音波を発生させ、第二のレーザービームを検査対象
に照射し、前記第二のレーザービームが反射するときに
超音波振動によって受ける光周波数の変化に基づいて検
査対象内部の欠陥を検出するレーザー超音波検査方法に
おいて、ビーム走査手段のミラーの反復回転により、当
該ミラーで反射した前記第一及び第二のレーザービーム
を検査対象の所定の走査範囲において走査させるととも
に、検査対象で反射された前記第二のレーザービームの
反射光を前記ミラーで反射して前記光周波数変位検出手
段へ導き、前記ビーム走査手段の位置を前記走査範囲内
で変えたときに、前記第二のレーザービームの検査対象
からの反射光のうち前記ミラーにより有効に前記光周波
数変位検出手段へ導かれる光の強度がどのように変化す
るかを予め解析的に求め、その解析結果に基づいて、前
記ビーム走査手段の設置位置を決定することを特徴とす
る。
【0011】請求項6記載の発明は、請求項5記載のレ
ーザー超音波検査方法において、前記ビーム走査手段の
設置位置を決定する際に求めた解析結果を用いて、前記
光周波数変位検出手段の出力信号を補正することを特徴
とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の
実施の一形態について説明する。
【0013】図1は、本実施形態に係るレーザー超音波
検査装置の全体構成を概略的に示した図である。図1に
おいて、検査対象となる鋼材30として、ここでは鉄鋼
製造工程の中間生成物であるスラブを想定しいている。
鋼材30は、図1の紙面と垂直に裏から表に向かう方向
に、一例として毎分2.5mの定速で搬送される。鋼材
30の寸法は、一例として幅2000mm、厚さ250
mmである。
【0014】超音波発生用レーザー10は、鋼材30内
に超音波を励起させるためのレーザーである。超音波発
生用レーザー10としては、たとえばYAGレーザーや
CO レーザーなどの高エネルギーパルスレーザーを使
用する。超音波検出用レーザー11は、超音波発生用レ
ーザー10の照射によって鋼材30内に発生し、鋼材3
0内を伝播してきた超音波を検出するためのレーザーで
ある。超音波検出用レーザー11としては、たとえば単
一波長のアルゴンレーザーを使用する。超音波検出用レ
ーザー11は、パルスレーザーでもよいし、連続発振
(CW)レーザーであってもよい。
【0015】超音波発生用レーザー10から射出された
レーザービーム20は、ハーフミラー12を透過し、ミ
ラー13の中央に設けられた穴開き部分を通過して、ガ
ルバノミラー14に入射する。一方、超音波検出用レー
ザー11から射出されたレーザービーム21は、ハーフ
ミラー12において反射され、ミラー13の穴開き部分
を通過して、ガルバノミラー14に入射する。各光学要
素は、ハーフミラー12以降の経路においてビーム20
とビーム21の光軸が一致するように設定されている。
【0016】ガルバノミラー14には、周知のように駆
動部が設けられており、外部から与えられる信号に従っ
て、図1に示したミラー面が、紙面に垂直な直線を軸と
してある角度範囲内で周期的に反復回転させることがで
きる。この反復回転する角度範囲と回転周期は、外部か
ら与える電気的な信号によって制御することができる。
予め分かっているビーム20及び21のガルバノミラー
14への入射角及びガルバノミラー14と鋼材30との
相対位置に基づいて、ガルバノミラー14の反復回転の
角度範囲を適切に制御すれば、鋼材30の表面上におい
て、ビーム20及び21を幅方向(図1の左右方向)の
ほぼ全体にわたってスキャン(走査)させることができ
る。
【0017】超音波発生用レーザー10から射出された
レーザービーム20が鋼材30の表面に照射されると、
この点には熱的応力又は蒸発反力によって超音波が発生
する。この超音波は鋼材30の内部を伝播するが、この
伝播経路に内部欠陥が存在すると、超音波はこの内部欠
陥でも反射・散乱され、エコーとして表面に戻る。鋼材
30の表面には、超音波発生用レーザー10からのビー
ム20の他に、前述のように超音波検出用レーザー11
からのビーム21が照射されている。鋼材30の表面は
粗面であるため、このビーム21は鋼材30の表面にお
いてほぼ等方的に散乱される。超音波エコーが戻ってき
た部分にレーザービーム21が照射されていると、その
散乱光は、表面の超音波振動に起因するドップラーシフ
トを受けて光周波数が変化する。
【0018】図1のレーザー超音波装置では、ガルバノ
ミラー14のミラー面として、直径が200mmの円形
のものを使用する。鋼材30の表面で散乱されたレーザ
ービーム21のうち、照射点を頂点としガルバノミラー
14のミラー面を見込む立体角の内側に含まれる散乱光
は、このミラー面で反射され、さらにミラー13によっ
て反射されたのち、ファブリ・ペロー干渉計15に入射
する。
【0019】ファブリ・ペロー干渉計15は、入射した
光の光周波数と透過する光の強度との間に、図2の曲線
で示すような関係がある。図2において、横軸は入射す
る光の光周波数νを、縦軸は透過光強度Iを示してい
る。図2に示すように、ファブリ・ペロー干渉計15の
透過光強度Iは、特定の光周波数において急峻なピーク
を示すが、ピークの前後では速やかに低下する。このピ
ークを示す光周波数は、ファブリ・ペロー干渉計15の
共振器長を調節することによって変えることができる。
そこで、図2に示す曲線の傾きが最大となる光周波数
(たとえば図2のA点)が、ちょうどレーザービーム2
1の光周波数と一致するよう予め共振器長が調節されて
いれば、光周波数の僅かな変化±Δνを、相対的に大き
な透過光強度の変化±ΔIに変換することができる。
【0020】内部欠陥によって反射された超音波エコー
が鋼材30の表面に戻ると、表面の超音波振動に起因し
て、レーザービーム21の散乱光はドップラーシフトを
受け、光周波数が変化する。この光周波数の変化は、フ
ァブリ・ペロー干渉計15の透過光強度の変化となって
現れる。透過光強度は、光検出器16を用いて電気信号
に変換されるので、超音波エコーは、最終的に電気的な
信号として捉えられる。この信号は、例えばオシロスコ
ープ17に表示され、必要に応じて波形が記録される。
また、この信号をA/D変換し、そのデータをパーソナ
ルコンピュータなどによりディジタル的に処理してもよ
い。
【0021】ここでは、検査対象となる鋼材30とし
て、前述のように厚さ250mm程度のものを想定して
いるが、鋼材30の厚さがこの程度になると、裏側で反
射された超音波エコーの強度は極めて低くなるので、現
状のレーザー超音波装置の感度ではほとんど検出されな
い。一方、鋼材30の表面から数十mm程度までの範囲
に内部欠陥が存在すれば、ここで反射又は散乱された超
音波エコーは十分に検出できる。したがって、超音波エ
コーが観測された場合には、鋼材30の比較的浅い部分
に欠陥が存在することが分かる。
【0022】超音波エコーが検出されたときは、ビーム
21の照射位置と、検出タイミングと、予め分かってい
る鋼材30の音速から、その欠陥の位置を計算で求める
ことができる。すなわち、鋼材の比較的浅い部分に関し
て、非破壊で検査対象の内部欠陥を検出し、かつ、その
位置を特定することが可能となる。
【0023】図3は、鋼材30を上から見た平面図であ
り、ビーム20及び21を鋼材30の幅方向にスキャン
させたときに、鋼材30上でどういう点が検査されるか
を示している。前述のように、ガルバノミラー14のミ
ラー面は図1の紙面に垂直な直線を軸として反復回転す
るが、鋼材30は図1の紙面と垂直な方向に一定速度で
搬送されるので、鋼材30上でビーム20及び21がス
キャンされる経路は、図1に破線40で示すように、鋼
材30の幅方向からやや傾いた直線となる。ただし、破
線40は実際のスキャン経路よりも傾きをやや誇張して
描いている。図3において、多数の黒丸41は、超音波
発生用レーザー10から発せられる高エネルギーパルス
レーザーが照射される点を示している。このように超音
波発生用のレーザーは、一定間隔で飛び飛びの位置に照
射される。ただし、図3では、黒丸41同士の間隔を、
実際にレーザービームが照射される間隔よりも広く示し
ている。
【0024】ところで、レーザー超音波装置は、図1に
示すように、超音波の発生・検出のいずれについても検
査対象に非接触で行うことができるという利点がある
が、さらに、スラブのように非常に高温の鋼材30を検
査対象とする場合には、レンズやミラーなどの光学要素
が熱による影響を受けないようにするために、装置全体
を検査対象から1m程度以上離したいという要請があ
る。
【0025】一方、前述のように、レーザービーム21
の散乱光のうち内部欠陥の検出に寄与するのは照射点か
らガルバノミラー14のミラー面を見込む立体各の内側
に含まれる散乱光であるが、この立体角は検査対象から
離れるに従って小さくなるため、ガルバノミラー14を
鋼材30から離す距離が大きくなるほど、欠陥検出感度
は低下する。もっとも、ガルバノミラー14のミラー面
を大きくすればそれだけ捕らえられる散乱光の光量は増
えるが、ミラー面が直径200mmを超える程度に大き
くなると、幅2000mmの鋼材30の全幅をカバーす
るような大きな角度で、高速(例えば1秒間に15往
復)かつ安定した周期で反復回転させることは難しくな
る。
【0026】さらに、図1に示した装置では、超音波検
出用レーザー11から発せられたレーザービーム21
は、鋼材30の左側から鋼材30の表面に平行に進んだ
後にガルバノミラー14に入射する。このような構成で
は、前述の立体角は、レーザービーム21の照射点の位
置によって異なる。このため、鋼材30の表面で散乱さ
れてガルバノミラー14のミラー面に達する散乱光の光
量は鋼材30の幅方向において均一ではなく、したがっ
て、内部欠陥の検出感度は場所によって変動する。この
ため、ガルバノミラー14を鋼材30から1m程度離す
と、もともと検出感度が低い場所では、鋼材30の表面
近くに内部欠陥が存在しても、それを捉えることができ
ないことが考えられる。
【0027】そこで、本実施形態では、レーザービーム
21の照射位置による散乱光の光量の不均一さを是正す
るために、次のような方法を採用する。
【0028】図4は、ガルバノミラー14を、鋼材30
の幅方向の中央で、かつ、鋼材30からの高さが1mの
ところに設置し、鋼材30の幅方向においてレーザービ
ーム21の照射位置を変えたときに、ガルバノミラー1
4に達する散乱光の光量がどのように変化するかをシミ
ュレーションした結果を示している。図4において、横
軸は、鋼材30の左端を原点とする幅方向の位置であ
り、ここでは鋼材30の幅を2000mmとしているの
で、中央に置かれたガルバノミラー14の位置(GM)
は横軸の1000mmのところにくる。縦軸は、レーザ
ービーム21の鋼材30の表面における強度を1Wと
し、このうち表面から1mの距離にある直径200mm
のガルバノミラー14に到達する散乱光の強度を示して
いる。この場合、散乱光の強度は、散乱光がレーザービ
ーム21の照射点から等方的に散乱されるものと仮定
し、レーザービーム21の照射位置と、この照射位置か
ら1メートルの高さにある直径200mmのミラー面
(この照射位置にレーザービーム21が照射されるよう
な角度に傾いているものとする)を見込む立体角に基づ
いて、純粋に幾何学的に計算して得られた値とする。
【0029】図4から分かるように、ガルバノミラー1
4に達する散乱光の光量が最大となるのは、レーザービ
ーム21を、鋼材30の幅方向中央部からやや左よりの
位置に照射したときであり、欠陥検出感度はこの点で最
大となる。一方、散乱光の光量が最小になるのは、鋼材
30の右端部であり、この点の散乱光の光量は、最大値
からみて約7分の1に低下する。したがって、この位置
における欠陥検出の感度も、最大感度の位置からみて同
程度に悪化すると考えられ、この場所の内部に欠陥が存
在しても、これを検出できずに見逃す可能性が高くな
る。
【0030】図5は、ガルバノミラー14を、鋼材30
の左端から1500mmの位置(GM)の真上1mの高
さに配置し、図4と同様に鋼材30上におけるレーザー
ビーム21の照射位置を変えたときに、ガルバノミラー
14に達する散乱光の光量がどのように変化するかをシ
ミュレーションした結果を示している。その他の条件
は、図4の場合と同じである。
【0031】図5の場合には、ガルバノミラー14に達
する散乱光の光量が最大となるのは、レーザービーム2
1を、ガルバノミラー14の真下(鋼材30の左端から
1500mmの点)に照射したときであり、欠陥検出感
度もこのときに最大となる。一方、散乱光の光量が最小
になるのは、図4の場合と同じく鋼材30の右端部(鋼
材30の左端から2000mmの点)であるが、この点
における値は図4の同じ点の値よりもずっと大きく、ま
た、最大値からみた光量の低下の仕方も、最大値の約2
分の1程度に抑えられている。すなわち、図5の場合に
は、ガルバノミラー14に達する散乱光の光量の不均一
さは、図4の場合に比べて大幅に改善され、かつ、光量
の最小値も大幅に引き上げられている。したがって、光
量が最小値となる位置での欠陥検出感度が向上し、単純
にガルバノミラー14を中央に置いた場合に比べて、よ
り微小な欠陥でも検出することが可能となる。
【0032】ここで、ガルバノミラー14を設置する最
適な位置を解析的に求める方法について説明する。ま
ず、図4及び図5に示した曲線を関数Fとする。すなわ
ち、関数Fは、鋼材30の真上1mの高さに設置したガ
ルバノミラー14に達する散乱光の光量を示している。
この場合、鋼材30の幅方向におけるガルバノミラー1
4の設置位置をx(0≦x≦2000mm)、レーザー
ビーム21を照射する位置をy(0≦y≦2000m
m)とすれば、関数Fは、二変数の関数F(x,y)で
ある。
【0033】続いて、変数xを0に固定し、変数yをΔ
yずつ変えて0から2000までスキャンさせ、その最
大値と最小値を求めてその差を算出する。次に、xの値
をΔxだけ変え、同様に変数yについて0から2000
までΔyずつスキャンさせ、その最大値と最小値を求
め、その差を算出する。以下、同様にしてxの値をΔx
ずつ変えてyの値をスキャンさせ、それぞれの最大値と
最小値を求めてその差を算出するという処理を、xの値
が2000になるまで行う。そして、{Fmax(x,
y)−Fmix(x,y)}の値が最小となるxの値x
を決定する。なおこのような最小化のための関数Fに
ついては、上記の方法で求める以外に、数学的に式とし
て求める事も可能である。この値xが、ガルバノミラ
ー14を設置するのに最適な位置となる。ガルバノミラ
ー14をこのxの位置に置くと、y=0の点における
散乱光の光量と、y=2000の点における散乱光の光
量は、等しくなる。
【0034】ただし、本発明は、ガルバノミラー14を
置く位置として、{Fmax(x,y)−F
mix(x,y)}の値が最小となる点に限定されるも
のではない。たとえば、{Fmax(x,y)−F
mix(x,y)}が最小となる点以外でも、上のよう
な計算を行って、最小値と最大値の差がある一定の許容
範囲(例えば最小値が最大値の2分の1以上となる範
囲)に含まれるよう、ガルバノミラー14の設置位置を
決定するような場合も、本発明の技術的範囲に含まれ
る。
【0035】次に、欠陥検出の感度を更に高める方法に
ついて説明する。前述のように、図1の装置は、鋼材内
部の欠陥に起因するファブリ・ペロー干渉計15の透過
光強度の変化を電気的に捉えることによって欠陥を検出
する。すなわち、この内部欠陥を示す信号は、前述のよ
うに、図2のA点におけるファブリ・ペロー干渉計15
の透過光強度に対応する信号レベルからの変化として現
れる。この透過光強度の変化は微弱であるため、A点に
おける元々の信号に埋もれて明確に認識できない場合が
ある。
【0036】そこで、鋼材内部の欠陥に起因するA点の
信号レベルからの変化の検出能を高めるために、ガルバ
ノミラーの最適位置を決めるために得られた解析データ
を利用する。例えば、図5との関連で説明した方法によ
ってガルバノミラー14の最適位置を求め、その位置に
ガルバノミラー14を置いたときのたときの散乱光の光
量変化が図6の曲線のようになっていたとする。この場
合、散乱光の光量は、鋼材30の両端部の値が等しくな
る。図6において、GMで示す点が、ガルバノミラーの
位置である。図6の曲線は、実際の欠陥検出を行う前に
予め求められたものであり、得られた各点における値
は、予め格納しておく。この曲線の縦軸の値は、横軸の
各点において欠陥が存在しないと仮定した場合におけ
る、図2のA点の信号レベルに対応する。
【0037】図7は、実際の測定によって得られる信号
波形の一例を示している。図7の各信号に付した番号
は、図6の曲線上に付した点の番号に対応する。図7の
各信号は、超音波検出用レーザー11からのビーム21
を例えば60μsecずつの期間にわたって取り込んで
得られる。図7の場合には、2番目の信号と4番目の信
号に、欠陥からの超音波エコーに起因すると考えられる
波形が見出される。
【0038】そこで、本実施形態では、図7のように、
実際に得られた信号から、その点に対応する図6の曲線
上の値(予めメモリ等に格納されている)を差し引く演
算を行って補正する。こうして得られる補正値は、図7
に示す各信号から、その直流成分を差し引いたものであ
る。鋼材内部に欠陥がなければ、この値はほぼゼロとな
る。一方、欠陥が存在すれば、この値は、ほとんど欠陥
からの超音波エコーに起因する信号分だけが残り、その
他の部分はほぼゼロとある。図8は、図7の2番目の信
号から、図6の対応する点での縦軸の値を差し引いて得
られる信号を示している。すなわち、このような補正処
理を行うと、得られた信号から余分な信号が取り除か
れ、欠陥が存在する場合には、ほぼその欠陥に起因する
信号だけが抽出される。このため欠陥検出のS/Nを高
めることができ、より微小な欠陥の検出が可能となる。
更に他の実施形態として、あらかじめ測定で求めておい
た検出光量と基準超音波エコーのSNとの関係(使用す
る検出器や干渉計の特性に依存)から、関数F値に基づ
き検出信号のSNを補正する事により実際の欠陥サイズ
に対応した探傷結果を得る事も可能になる。
【0039】以上、本発明の実施の一形態について説明
してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではなく、その要旨の範囲内において、種々の変更が可
能である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
検査対象内部を伝播した超音波のエコーを検出するため
の第二のレーザービームの検査対象からの反射光のう
ち、ビーム走査手段のミラーにより有効に光周波数変位
検出手段へ導かれる光の強度が、どのように変化するか
を予め解析的に求め、その解析結果に基づいて、前記ビ
ーム走査手段の設置位置を決定することにより、欠陥検
出の感度を向上させることである。さらに、ビーム走査
手段の設置位置を決定する際に求めた解析結果を用い
て、光周波数変位検出手段の出力信号を補正することに
より、欠陥検出の感度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係るレーザー超音波検
査装置の全体構成を概略的に示した図である。
【図2】ファブリ・ペロー干渉計に入射した光の光周波
数と透過する光の強度との関係を示した図である。
【図3】ビーム20及び21を鋼材30の幅方向にスキ
ャンさせたときに、鋼材30上でどういう点が検査され
るかを示した、鋼材30の平面図である。
【図4】ガルバノミラー14を、鋼材30の幅方向の中
央で、かつ、鋼材30からの高さが1mのところに設置
し、鋼材30の幅方向においてレーザービーム21の照
射位置を変えたときに、ガルバノミラー14に達する散
乱光の光量がどのように変化するかをシミュレーション
した結果を示した図である。
【図5】ガルバノミラー14を、鋼材30の左端から1
500mmの位置の真上1mの高さに配置し、図4と同
様に鋼材30上におけるレーザービーム21の照射位置
を変えたときに、ガルバノミラー14に達する散乱光の
光量がどのように変化するかをシミュレーションした結
果を示した図である。
【図6】ガルバノミラー14が最適位置に置かれたとき
の、散乱光の光量変化の様子を示した図である。
【図7】際の測定によって得られる信号波形の一例を示
した図である。
【図8】図7の2番目の信号から、図6の対応する点で
の縦軸の値を差し引いて得られる信号を示した図であ
る。
【符号の説明】
10…超音波発生用レーザー, 11…超音波検出用レ
ーザー, 12…ハーフミラー, 13…ミラー, 1
4…ガルバノミラー, 15…ファブリ・ペロー干渉
計, 16…光検出器, 17…オシロスコープ, 2
0,21…レーザービーム, 30…鋼材,

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検査対象に超音波を発生させるための第
    一のレーザービームを発生する第一のレーザー光源と、 検査対象内部を伝播した前記超音波のエコーを検出する
    ための第二のレーザービームを発生する第二のレーザー
    光源と、 前記第二のレーザービームが検査対象で反射されるとき
    に前記超音波のエコーに起因して生じる光周波数の変位
    を検出する光周波数変位検出手段と、 ミラーの反復回転により、当該ミラーで反射した前記第
    一及び第二のレーザービームを検査対象の所定の走査範
    囲において走査させるとともに、検査対象で反射された
    前記第二のレーザービームの反射光を前記ミラーで反射
    して前記光周波数変位検出手段へ導くビーム走査手段
    と、を具備し、 前記ビーム走査手段の位置を前記走査範囲内で変えたと
    きに、前記第二のレーザービームの検査対象からの反射
    光のうち前記ミラーにより有効に前記光周波数変位検出
    手段へ導かれる光の強度がどのように変化するかを予め
    解析的に求め、その解析結果に基づいて、前記ビーム走
    査手段の設置位置を決定したことを特徴とするレーザー
    超音波検査装置。
  2. 【請求項2】 第二のレーザービームの検査対象からの
    反射光のうち前記ミラーにより有効に前記光周波数変位
    検出手段へ導かれる光の強度がどのように変化するかを
    予め求めた解析結果に基づいて、その最大値と最小値と
    の差が最小となるよう、前記ビーム走査手段の設置位置
    を決定したことを特徴とする請求項1記載のレーザー超
    音波検査装置。
  3. 【請求項3】 前記検査対象はスラブであり、少なくと
    も前記ビーム走査手段は、検査上スラブからの熱による
    影響を受けない距離だけ、前記スラブから離間させて配
    置してあることを特徴とする請求項1又は2記載のレー
    ザー超音波検査装置。
  4. 【請求項4】 前記ビーム走査手段の設置位置を決定す
    る際に求めた解析結果を用いて、前記光周波数変位検出
    手段の出力信号を補正することを特徴とする請求項1乃
    至3のうちいずれか一項記載のレーザー超音波検査装
    置。
  5. 【請求項5】 第一のレーザービームを検査対象に照射
    して超音波を発生させ、第二のレーザービームを検査対
    象に照射し、前記第二のレーザービームが反射するとき
    に超音波振動によって受ける光周波数の変化に基づいて
    検査対象内部の欠陥を検出するレーザー超音波検査方法
    において、 ビーム走査手段のミラーの反復回転により、当該ミラー
    で反射した前記第一及び第二のレーザービームを検査対
    象の所定の走査範囲において走査させるとともに、検査
    対象で反射された前記第二のレーザービームの反射光を
    前記ミラーで反射して前記光周波数変位検出手段へ導
    き、 前記ビーム走査手段の位置を前記走査範囲内で変えたと
    きに、前記第二のレーザービームの検査対象からの反射
    光のうち前記ミラーにより有効に前記光周波数変位検出
    手段へ導かれる光の強度がどのように変化するかを予め
    解析的に求め、その解析結果に基づいて、前記ビーム走
    査手段の設置位置を決定することを特徴とするレーザー
    超音波検査方法。
  6. 【請求項6】 前記ビーム走査手段の設置位置を決定す
    る際に求めた解析結果を用いて、前記光周波数変位検出
    手段の出力信号を補正することを特徴とする請求項5記
    載のレーザー超音波検査方法。
JP2001021503A 2001-01-30 2001-01-30 レーザー超音波検査装置及びレーザー超音波検査方法 Withdrawn JP2002228638A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007271288A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Graduate School For The Creation Of New Photonics Industries レーザ励起超音波画像装置

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