JP2004040720A - 衛星通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することが可能な衛星通信装置を提供する。
【解決手段】複素乗算回路224は、周波数差検出回路223にて検出した送受の周波数差を、送信データ信号ItおよびQtに複素乗算する。これによりデータ信号ItおよびQtは、e−jΔωtなる周波数項が複素乗算され、上記周波数差だけ位相回転されたIt1,Qt1となる。そして、上記It1,Qt1に対して、制御部22cが求めたタップ係数に基づく重み付けを重み付け回路225が行って、It2,Qt2とし、これを加算器204a,204bにて上記I信号とQ信号にそれぞれ乗算する。この結果、上記I信号とQ信号から送信信号干渉成分として−Δωなる周波数成分の項が除去された受信信号Ir,Qrが得られる。
【選択図】 図2
【解決手段】複素乗算回路224は、周波数差検出回路223にて検出した送受の周波数差を、送信データ信号ItおよびQtに複素乗算する。これによりデータ信号ItおよびQtは、e−jΔωtなる周波数項が複素乗算され、上記周波数差だけ位相回転されたIt1,Qt1となる。そして、上記It1,Qt1に対して、制御部22cが求めたタップ係数に基づく重み付けを重み付け回路225が行って、It2,Qt2とし、これを加算器204a,204bにて上記I信号とQ信号にそれぞれ乗算する。この結果、上記I信号とQ信号から送信信号干渉成分として−Δωなる周波数成分の項が除去された受信信号Ir,Qrが得られる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、人工衛星と通信する衛星通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、地上局と人工衛星との間で通信を行う衛星通信システムは、一般に地上局の通信装置の周波数誤差より人口衛星の局部発振器の周波数誤差の方が大きく、両者の間に生じる周波数ずれは、実力で数kHz、仕様上では数十kHzのずれとなってしまう。
【0003】
また、音声などを主体とする衛星通信システムでは、35kbps程度の小容量通信であることから、チャネル間隔も50kHz程度と狭い。
したがって、図7に示すように、送信チャネルと受信チャネルの周波数が近接する場合、衛星の局部発振器の周波数ずれにより、地上局では送信信号と受信信号が重なってしまう虞があり、このように、地上局内で送信信号から受信信号への干渉があった場合、復調できないという致命的な問題が発生する。
【0004】
この問題を解決するために従来は、地上局の通信装置に、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたり、送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策が行われてきた。
しかしながら、このような従来の対策では、装置のコストが高騰するだけでなく、大型化し、また周波数帯域の制限を行う必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、従来の地上局の衛星通信装置では、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたり、送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策が行われてきたが、このような対策では、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行う必要があるという問題があった。
【0006】
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することが可能な衛星通信装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は、人工衛星と通信する衛星通信装置において、人工衛星に向けた送信信号に重み付けを行う重み付け手段と、この重み付け手段にて重み付けされた送信信号を、人工衛星から受信した受信信号に加算する加算手段とを具備して構成するようにした。
【0008】
上記構成の衛星通信装置では、人工衛星に向けた送信信号に重み付けを行い、この重み付けされた送信信号を人工衛星から受信した受信信号に加算して、受信信号に含まれる送信信号の干渉成分を除去するようにしている。
【0009】
したがって、上記構成の衛星通信装置によれば、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたりする必要がなく、また送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策も必要ないので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる地上局の衛星通信装置の構成を示すものである。
【0011】
衛星局Sから送信された、14GHzあるいは12GHzの無線信号は、アンテナ(ANT)1にて受信され、屋外装置(ODU)10に入力され、まず分離回路(OMT)11にて偏波別の信号に分離される。
【0012】
屋外装置10は、低雑音周波数変換器(LNC)12を備えており、これにより上記分離回路11より受信信号を1GHz帯(Lバンド)の信号にダウンコンバートして、屋内装置(IDU)20の受信系に出力する。
【0013】
また、屋外装置10は、送信機(Tx)13を備えており、これにより屋内装置20の送信系から入力される送信信号を増幅し、この信号を分離回路11およびアンテナ1を通じて衛星局Sに向けて送信する。
【0014】
屋内装置20は、周波数変換回路(COMB)21、複数のモデム回路(MODEM)22−1〜22−n、データ通信アダプタ23を備えて、Ether回線を通じて保守端末PCなどに接続される。
【0015】
周波数変換回路21は、屋外装置10から入力される受信信号を中間周波信号に変換し、モデム回路(MODEM)22−1〜22−nのいずれかに選択的に出力する。
【0016】
また、周波数変換回路21は、モデム回路22−1〜22−nから変調波信号が入力され、これを高周波信号に変換して、送信信号として屋外装置10の送信機13に出力する。
【0017】
モデム回路22−1〜22−nは、主たる構成要素として、変調回路(MOD)100、復調回路(DEM)200、ベースバンド回路(BB)22a、通信回路(Ether)22b、制御部(CPU)22cなどを備える。
【0018】
変調回路100は、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号(It,Qt)に基づいて、搬送波キャリアを変調し、変調波信号を生成するものである。
【0019】
復調回路200は、周波数変換回路21より入力される中間周波信号を復調するもので、復調によって得たベースバンドの受信信号(Ir,Qr)をベースバンド回路22aに出力する。
【0020】
ベースバンド回路22aは、復調回路200により得られた受信信号(Ir,Qr)を受信データに復号する。また、ベースバンド回路22aは、通信回路22bより入力される送信データに基づいて、データ信号(It,Qt)を生成する。
【0021】
通信回路22bは、ベースバンド回路22aにて得られた受信データをEther回線を通じて所望の相手に送信したり、あるいはEther回線を通じてデータを受信し、これを送信データとしてベースバンド回路22aする。
【0022】
制御部22cは、当該モデム回路22−1〜22−nの各部を統括して制御するものであって、ベースバンド信号の変復調、受信データの復号、送信データの符号化、Ether回線を通じた通信など種々の制御を行う。
【0023】
データ通信アダプタ23は、種々の機器が接続され、これらの機器がEther回線を通じて通信するためのアダプタである。
【0024】
次に、図2を参照して、モデム回路22−1〜22−nの構成について、詳細に説明する。なお、以下の説明では、この発明に関わる部分を中心に説明する。
変調回路100は、D/A変換器101a,101b、位相変調器102a,102b、合成器103を備える。
【0025】
ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Itは、D/A変換器101aと後述する複素乗算回路224に入力される。
同様に、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Qtは、D/A変換器101bと複素乗算回路224に入力される。
【0026】
D/A変換器101aは、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Itをアナログ信号に変換し、位相変調器102aに出力する。
同様に、D/A変換器101bは、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Qtをアナログ信号に変換し、位相変調器102bに出力する。
【0027】
位相変調器102aは、D/A変換器101aから与えられるアナログ信号を用いて、後述する90゜分配器222から与えられる搬送波キャリアを位相変調する。この変調結果は、合成器103に出力される。
【0028】
同様に、位相変調器102bは、D/A変換器101bから与えられるアナログ信号を用いて、90゜分配器222から与えられる搬送波キャリアを位相変調する。この変調結果は、合成器103に出力される。
【0029】
合成器103は、位相変調器102aから与えられる変調結果と、位相変調器102bから与えられる変調結果とを合成する。この合成結果は、変調波信号として周波数変換回路21に出力される。
【0030】
水晶発振器221は、搬送波信号を生成するもので、生成した搬送波信号を90゜分配器222と周波数差検出回路223に出力する。
90゜分配器222は、水晶発振器221から与えられる搬送波信号に基づいて、互いに位相が90゜ずれた2つの搬送波キャリアを生成し、それぞれ位相変調器102aと位相変調器102bに出力する。
【0031】
周波数差検出回路223は、後述する電圧制御発振器226にて生成されたローカル信号と、上記水晶発振器221から与えられる搬送波信号との周波数差を検出する。ここで検出された周波数差は、複素乗算回路224に出力される。
【0032】
複素乗算回路224は、周波数差検出回路223にて検出した周波数差を、データ信号ItおよびQtに複素乗算して、これによりデータ信号ItおよびQtを上記周波数差だけ位相回転させる。このようにして位相回転したデータ信号ItおよびQtは、それぞれIt1およびQt1として、重み付け回路225に出力される。
【0033】
図3に複素乗算回路224の構成例を示す。
複素乗算回路224は、NCO(Numerically Controlled Oscillator)回路2241と乗算器2242〜2245および加算器2246,2247で構成される。
【0034】
NCO回路2241は、周波数差検出回路223にて検出した周波数差に基づいて位相回転させるための信号を生成し、これを乗算器2242〜2245および加算器2246,2247を用いて、データ信号ItおよびQtに与え、送受間の位相を一致させる制御を行って、It1およびQt1を得る。
重み付け回路225は、複素乗算回路224より与えられるIt1およびQt1を、シンボル周期T毎に遅延させ、この遅延した信号にタップ係数Cij,Cqxj,Cqj,Cixj(j=1〜n)を乗算した後、加算することで、干渉成分を除去するためのIt2およびQt2を生成する。
【0035】
図4に重み付け回路225の構成例を示す。
なお、タップ係数Cij,Cqxj,Cqj,Cixjは、制御部22cが、後述する受信信号Ir,Qrが収束点に収束するように、収束点からの誤差ベクトルを算出することで求めることができる。
【0036】
復調回路200は、分配器201、位相検波器202a,202b、A/D変換器203a,203b、加算器204a,204b、およびキャリア誤差判定回路205を備える。
分配器201は、周波数変換回路21より入力される中間周波信号を2分配し、これを位相検波器202aおよび202bに出力する。
【0037】
位相検波器202aは、後述する90゜分配器227から与えられるローカル信号を用いて、分配器201を通じて入力される中間周波信号の位相検波を行う。この検波結果は、A/D変換器203aに出力される。
【0038】
同様に、位相検波器202bは、90゜分配器227から与えられるローカル信号を用いて、分配器201を通じて入力される中間周波信号の位相検波を行う。この検波結果は、A/D変換器203bに出力される。
【0039】
A/D変換器203aは、位相検波器202aの検波結果をディジタル信号に変換し、この変換結果をI信号として加算器204aに出力する。
同様に、A/D変換器203bは、位相検波器202bの検波結果をディジタル信号に変換し、この変換結果をQ信号として加算器204bに出力する。
【0040】
加算器204aは、A/D変換器203aから与えられるI信号に、後述する重み付け回路225から与えられる重み係数It2を加算することで、干渉成分を除去し、これによって得た受信信号Irをキャリア誤差判定回路205に出力する。
【0041】
同様に、加算器204bは、A/D変換器203bから与えられるQ信号に、重み付け回路225から与えられる重み係数Qt1を加算することで、干渉成分を除去し、これによって得た受信信号Qrをキャリア誤差判定回路205に出力する。
【0042】
キャリア誤差判定回路205は、加算器204aおよび加算器204bにより得られた受信信号Ir,Qrに基づいて、それぞれの受信信号の収束点より位相平面上における位相誤差を求める。このようにして求めた位相誤差は、電圧制御発振器226に出力される。
【0043】
電圧制御発振器226は、キャリア誤差判定回路205から与えられる位相誤差に応じた電圧に基づいて、その位相誤差が極小となるような周波数でローカル信号を発振する。このローカル信号は、受信信号の搬送波キャリアを再生したものであって、周波数差検出回路223と90゜分配器227に出力される。
【0044】
90゜分配器227は、電圧制御発振器226から与えられるローカル信号に基づいて、互いに位相が90゜ずれた2つのローカル信号を生成し、それぞれ位相検波器202aと位相検波器202bに出力する。
【0045】
次に、上記構成の衛星通信装置の動作について説明する。
受信系において、キャリア誤差判定回路205が受信信号Ir,Qrに基づいて位相誤差を検出し、この位相誤差に応じた周波数のローカル信号を電圧制御発振器226が生成することで、受信信号の搬送波キャリアを再生する。
【0046】
このようにして再生された受信信号の搬送波キャリアは、90゜分配器227によって、互いに位相が90゜ずれた2つの信号となり、それぞれ位相検波器202aと位相検波器202bにて、受信信号の位相検波に用いられる。
【0047】
位相検波器202aと位相検波器202bの位相検波の結果は、それぞれ対応するA/D変換器203a,203bにてディジタル信号に変換され、受信信号としてI信号とQ信号が得られる。
【0048】
ところで、送信搬送波のキャリア角周波数をωとすると、変調回路100にて生成される変調波は、次式にように表すことができる。なお、次式において、Atmは、送信信号の変調振幅であり、Φtmは、送信信号の変調位相である。
【0049】
【数1】
【0050】
また、受信信号は、送信搬送波キャリアに比較して、周波数がΔωだけずれていたものとすると、次式にように表すことができる。なお、次式において、Armは、受信信号の変調振幅であり、Φrmは、受信信号の変調位相である。
【0051】
【数2】
【0052】
したがって、受信信号にαだけ送信信号が干渉した場合、受信信号は次式にように表すことができる。
【0053】
【数3】
【0054】
また前述したように、受信信号の搬送波キャリアを再生し、これを位相検波に用いて受信信号I、Qを得ているので、A/D変換器203a,203bにより得られるI信号とQ信号は次式にように表すことができる。なお、次式において、*は共役複素数を示す。
【0055】
【数4】
【0056】
すなわち、上記I信号とQ信号における送信信号干渉成分は、−Δωなる周波数成分の項が残っている。
【0057】
これに対して、図2に示す構成では、複素乗算回路224が、周波数差検出回路223にて検出した送受の周波数差を、送信データ信号ItおよびQtに複素乗算する。
【0058】
これによりデータ信号ItおよびQtは、e−jΔωtなる周波数項が複素乗算され、上記周波数差だけ位相回転されたIt1,Qt1となる。
そして、上記It1,Qt1に対して、制御部22cが求めたタップ係数に基づく重み付けを重み付け回路225が行って、It2,Qt2とし、これを加算器204a,204bにて上記I信号とQ信号にそれぞれ乗算する。
この結果、上記I信号とQ信号から送信信号干渉成分として−Δωなる周波数成分の項が除去された受信信号Ir,Qrが得られる。
【0059】
以上のように、上記構成の衛星通信装置では、送信信号を分岐して重み付けをし、これを受信信号に加算することで、受信信号に含まれる送信信号の干渉成分を除去するようにしている。
【0060】
したがって、上記構成の衛星通信装置によれば、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたりする必要がなく、また送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策も必要ないので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することができる。
【0061】
また、上記構成の衛星通信装置では、周波数差検出回路223により送信信号と受信信号のキャリア周波数の差を、複素乗算回路224にて上記分岐した送信信号の複素乗算するようにしている。
【0062】
したがって、上記構成の衛星通信装置によれば、衛星の局部発振器の周波数ずれなどにより受信信号に周波数ずれが生じた場合でも、送信信号の干渉成分を除去することができる。
【0063】
尚、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、モデム回路22−1〜22−nは、図2に示す変調回路100および復調回路200を用いた構成としたが、これに代わって例えば、図5に示すような変調回路110および復調回路210を用いた構成であってもよい。
【0064】
以下、図5に示す構成について説明する。
変調回路110は、D/A変換器111a,111b、位相変調器112a,112b、合成器113を備える。
【0065】
ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Itは、D/A変換器111aと後述する重み付け回路229に入力される。
同様に、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Qtは、D/A変換器111bと重み付け回路229に入力される。
【0066】
D/A変換器111aは、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Itをアナログ信号に変換し、位相変調器112aに出力する。
同様に、D/A変換器111bは、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Qtをアナログ信号に変換し、位相変調器112bに出力する。
【0067】
位相変調器112aは、D/A変換器111aから与えられるアナログ信号を用いて、後述する90゜分配器228から与えられる搬送波キャリアを位相変調する。この変調結果は、合成器113に出力される。
【0068】
同様に、位相変調器112bは、D/A変換器111bから与えられるアナログ信号を用いて、90゜分配器228から与えられる搬送波キャリアを位相変調する。この変調結果は、合成器113に出力される。
【0069】
合成器113は、位相変調器112aから与えられる変調結果と、位相変調器112bから与えられる変調結果とを合成する。この合成結果は、変調波信号として周波数変換回路21に出力される。
【0070】
水晶発振器221は、搬送波信号を生成するもので、生成した搬送波信号を90゜分配器228に出力する。
90゜分配器228は、水晶発振器221から与えられる搬送波信号に基づいて、互いに位相が90゜ずれた2つの搬送波キャリアを生成し、それぞれ位相変調器102aと位相変調器102b、そして位相検波器202aと202bに出力する。
【0071】
重み付け回路229は、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号ItおよびQtを、シンボル周期T毎に遅延させ、この遅延した信号にタップ係数Cij,Cqxj,Cqj,Cixj(j=1〜n)を乗算した後、加算することで、干渉成分を除去するためのIt1およびQt1を生成する。
【0072】
なお、重み付け回路229は、図4に示した構成例が適用でき、前述の実施形態と同様に、タップ係数Cij,Cqxj,Cqj,Cixjは、制御部22cが、後述する受信信号Ir,Qrが収束点に収束するように、収束点からの誤差ベクトルを算出することで求めることができる。
【0073】
復調回路210は、分配器211、位相検波器212a,212b、A/D変換器213a,213b、およびキャリア再生回路214を備える。
分配器211は、周波数変換回路21より入力される中間周波信号を2分配し、これを位相検波器212aおよび212bに出力する。
【0074】
位相検波器212aは、90゜分配器228から与えられる搬送波キャリアを用いて、分配器211を通じて入力される中間周波信号の位相検波を行う。この検波結果は、A/D変換器213aに出力される。
【0075】
同様に、位相検波器212bは、90゜分配器228から与えられる搬送波キャリアを用いて、分配器211を通じて入力される中間周波信号の位相検波を行う。この検波結果は、A/D変換器213bに出力される。
【0076】
A/D変換器213aは、位相検波器212aの検波結果をディジタル信号に変換し、この変換結果をI信号としてキャリア再生回路214に出力する。
同様に、A/D変換器213bは、位相検波器212bの検波結果をディジタル信号に変換し、この変換結果をQ信号としてキャリア再生回路214に出力する。
【0077】
キャリア再生回路214は、重み付け回路229から与えられるIt1およびQt1を用いて、A/D変換器213a,213bにて得られたI信号およびQ信号から送信信号の干渉波成分を除去するとともに、送受間の位相を一致させる制御を行って、受信信号Ir,Qrを得る。
【0078】
図6にキャリア再生回路214の構成例を示す。
キャリア再生回路214は、加算器2140a,2140b、NCO(Numerically Controlled Oscillator)回路2141、乗算器2142〜2245および加算器2146,2147で構成される。
【0079】
加算器2140a,2140bは、それぞれ重み付け回路229から与えられるIt1およびQt1を、A/D変換器213a,213bにて得られたI信号およびQ信号に加算して、送信信号の干渉波成分を除去する。
【0080】
NCO回路2141は、キャリア誤差判定回路2148にて検出した位相誤差に基づいて位相回転させるための信号を生成し、これを乗算器2142〜2145および加算器2146,2147を用いて、加算器2140a,2140bの加算結果に与え、送受間の位相を一致させる制御を行って、受信信号Ir,Qrを得る。
【0081】
キャリア誤差判定回路2148は、上記受信信号Ir,Qrに基づいて、それぞれの受信信号の収束点より位相平面上における位相誤差を求め、これをNCO回路2141に与える。
【0082】
以上のように、上記構成の衛星通信装置では、位相変調器112a,112bと位相検波器212a,212bとで用いる搬送波キャリアを、同一の水晶発振器221にて発振する構成としているので、A/D変換器213a,213bにて得られたI信号およびQ信号における送信信号の干渉波成分に、Δωの周波数ずれはない。このため、前述の実施形態のように、複素乗算回路224を用いて搬送波キャリアを複素乗算する必要がない。
【0083】
そして、キャリア再生回路214において、重み付け回路229で生成したIt1およびQt1を用いて、上記I信号およびQ信号から送信信号の干渉波成分を除去した後、送受間の位相を一致させる制御を行って、受信信号Ir,Qrを得るようにしている。
【0084】
したがって、上記構成の衛星通信装置であっても、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたりする必要がなく、また送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策も必要ないので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することができる。
【0085】
また、上記構成の衛星通信装置では、変調回路110および復調回路210で水晶発振器221を共用し、復調回路210におけるキャリア除去をディジタル段で行うようにしているので、前述の衛星通信装置に比べて回路構成を簡単にすることができる。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【0086】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明では、重み付けされた送信信号を、人工衛星から受信した受信信号に加算して、受信信号に含まれる送信信号の干渉成分を除去するようにしている。
【0087】
したがって、この発明によれば、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたりする必要がなく、また送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策も必要ないので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することが可能な衛星通信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる衛星通信装置の一実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した衛星通信装置のモデム回路の構成を示す回路ブロック図。
【図3】図2に示したモデム回路の複素乗算回路の構成を示す回路ブロック図。
【図4】図2に示したモデム回路の重み付け回路の構成を示す回路ブロック図。
【図5】この発明に係わる衛星通信装置のモデム回路の別の構成を示す回路ブロック図。
【図6】図5に示したモデム回路のキャリア再生回路の構成を示す回路ブロック図。
【図7】送信チャネルと受信チャネルの周波数が近接する場合に、周波数ずれが生じた様子を示す図。
【符号の説明】
1…アンテナ(ANT)
10…屋外装置(ODU)
11…分離回路(OMT)
12…低雑音周波数変換器(LNC)
13…送信機(Tx)
20…屋内装置(IDU)
21…周波数変換回路(COMB)
22−1〜22−n…モデム回路(MODEM)
22a…ベースバンド回路
22b…Ether通信回路
22c…制御部(CPU)
23…データ通信アダプタ
100,110…変調回路(MOD)
101a,101b,111a,111b…D/A変換器(D/A)
102a,102b,112a,112b…位相変調器
200,210…復調回路(DEM)
202a,202b,212a,212b…位相検波器
203a,203b,213a,213b…A/D変換器(A/D)
205,2148…キャリア誤差判定回路
214…キャリア再生回路
221…水晶発振器
222,227,228…90゜分配器
223…周波数差検出回路
224…複素乗算回路
225,229…重み付け回路
226…電圧制御発振器
2141,2241…NCO回路
S…衛星局
【発明の属する技術分野】
この発明は、人工衛星と通信する衛星通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、地上局と人工衛星との間で通信を行う衛星通信システムは、一般に地上局の通信装置の周波数誤差より人口衛星の局部発振器の周波数誤差の方が大きく、両者の間に生じる周波数ずれは、実力で数kHz、仕様上では数十kHzのずれとなってしまう。
【0003】
また、音声などを主体とする衛星通信システムでは、35kbps程度の小容量通信であることから、チャネル間隔も50kHz程度と狭い。
したがって、図7に示すように、送信チャネルと受信チャネルの周波数が近接する場合、衛星の局部発振器の周波数ずれにより、地上局では送信信号と受信信号が重なってしまう虞があり、このように、地上局内で送信信号から受信信号への干渉があった場合、復調できないという致命的な問題が発生する。
【0004】
この問題を解決するために従来は、地上局の通信装置に、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたり、送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策が行われてきた。
しかしながら、このような従来の対策では、装置のコストが高騰するだけでなく、大型化し、また周波数帯域の制限を行う必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く、従来の地上局の衛星通信装置では、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたり、送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策が行われてきたが、このような対策では、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行う必要があるという問題があった。
【0006】
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することが可能な衛星通信装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は、人工衛星と通信する衛星通信装置において、人工衛星に向けた送信信号に重み付けを行う重み付け手段と、この重み付け手段にて重み付けされた送信信号を、人工衛星から受信した受信信号に加算する加算手段とを具備して構成するようにした。
【0008】
上記構成の衛星通信装置では、人工衛星に向けた送信信号に重み付けを行い、この重み付けされた送信信号を人工衛星から受信した受信信号に加算して、受信信号に含まれる送信信号の干渉成分を除去するようにしている。
【0009】
したがって、上記構成の衛星通信装置によれば、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたりする必要がなく、また送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策も必要ないので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる地上局の衛星通信装置の構成を示すものである。
【0011】
衛星局Sから送信された、14GHzあるいは12GHzの無線信号は、アンテナ(ANT)1にて受信され、屋外装置(ODU)10に入力され、まず分離回路(OMT)11にて偏波別の信号に分離される。
【0012】
屋外装置10は、低雑音周波数変換器(LNC)12を備えており、これにより上記分離回路11より受信信号を1GHz帯(Lバンド)の信号にダウンコンバートして、屋内装置(IDU)20の受信系に出力する。
【0013】
また、屋外装置10は、送信機(Tx)13を備えており、これにより屋内装置20の送信系から入力される送信信号を増幅し、この信号を分離回路11およびアンテナ1を通じて衛星局Sに向けて送信する。
【0014】
屋内装置20は、周波数変換回路(COMB)21、複数のモデム回路(MODEM)22−1〜22−n、データ通信アダプタ23を備えて、Ether回線を通じて保守端末PCなどに接続される。
【0015】
周波数変換回路21は、屋外装置10から入力される受信信号を中間周波信号に変換し、モデム回路(MODEM)22−1〜22−nのいずれかに選択的に出力する。
【0016】
また、周波数変換回路21は、モデム回路22−1〜22−nから変調波信号が入力され、これを高周波信号に変換して、送信信号として屋外装置10の送信機13に出力する。
【0017】
モデム回路22−1〜22−nは、主たる構成要素として、変調回路(MOD)100、復調回路(DEM)200、ベースバンド回路(BB)22a、通信回路(Ether)22b、制御部(CPU)22cなどを備える。
【0018】
変調回路100は、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号(It,Qt)に基づいて、搬送波キャリアを変調し、変調波信号を生成するものである。
【0019】
復調回路200は、周波数変換回路21より入力される中間周波信号を復調するもので、復調によって得たベースバンドの受信信号(Ir,Qr)をベースバンド回路22aに出力する。
【0020】
ベースバンド回路22aは、復調回路200により得られた受信信号(Ir,Qr)を受信データに復号する。また、ベースバンド回路22aは、通信回路22bより入力される送信データに基づいて、データ信号(It,Qt)を生成する。
【0021】
通信回路22bは、ベースバンド回路22aにて得られた受信データをEther回線を通じて所望の相手に送信したり、あるいはEther回線を通じてデータを受信し、これを送信データとしてベースバンド回路22aする。
【0022】
制御部22cは、当該モデム回路22−1〜22−nの各部を統括して制御するものであって、ベースバンド信号の変復調、受信データの復号、送信データの符号化、Ether回線を通じた通信など種々の制御を行う。
【0023】
データ通信アダプタ23は、種々の機器が接続され、これらの機器がEther回線を通じて通信するためのアダプタである。
【0024】
次に、図2を参照して、モデム回路22−1〜22−nの構成について、詳細に説明する。なお、以下の説明では、この発明に関わる部分を中心に説明する。
変調回路100は、D/A変換器101a,101b、位相変調器102a,102b、合成器103を備える。
【0025】
ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Itは、D/A変換器101aと後述する複素乗算回路224に入力される。
同様に、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Qtは、D/A変換器101bと複素乗算回路224に入力される。
【0026】
D/A変換器101aは、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Itをアナログ信号に変換し、位相変調器102aに出力する。
同様に、D/A変換器101bは、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Qtをアナログ信号に変換し、位相変調器102bに出力する。
【0027】
位相変調器102aは、D/A変換器101aから与えられるアナログ信号を用いて、後述する90゜分配器222から与えられる搬送波キャリアを位相変調する。この変調結果は、合成器103に出力される。
【0028】
同様に、位相変調器102bは、D/A変換器101bから与えられるアナログ信号を用いて、90゜分配器222から与えられる搬送波キャリアを位相変調する。この変調結果は、合成器103に出力される。
【0029】
合成器103は、位相変調器102aから与えられる変調結果と、位相変調器102bから与えられる変調結果とを合成する。この合成結果は、変調波信号として周波数変換回路21に出力される。
【0030】
水晶発振器221は、搬送波信号を生成するもので、生成した搬送波信号を90゜分配器222と周波数差検出回路223に出力する。
90゜分配器222は、水晶発振器221から与えられる搬送波信号に基づいて、互いに位相が90゜ずれた2つの搬送波キャリアを生成し、それぞれ位相変調器102aと位相変調器102bに出力する。
【0031】
周波数差検出回路223は、後述する電圧制御発振器226にて生成されたローカル信号と、上記水晶発振器221から与えられる搬送波信号との周波数差を検出する。ここで検出された周波数差は、複素乗算回路224に出力される。
【0032】
複素乗算回路224は、周波数差検出回路223にて検出した周波数差を、データ信号ItおよびQtに複素乗算して、これによりデータ信号ItおよびQtを上記周波数差だけ位相回転させる。このようにして位相回転したデータ信号ItおよびQtは、それぞれIt1およびQt1として、重み付け回路225に出力される。
【0033】
図3に複素乗算回路224の構成例を示す。
複素乗算回路224は、NCO(Numerically Controlled Oscillator)回路2241と乗算器2242〜2245および加算器2246,2247で構成される。
【0034】
NCO回路2241は、周波数差検出回路223にて検出した周波数差に基づいて位相回転させるための信号を生成し、これを乗算器2242〜2245および加算器2246,2247を用いて、データ信号ItおよびQtに与え、送受間の位相を一致させる制御を行って、It1およびQt1を得る。
重み付け回路225は、複素乗算回路224より与えられるIt1およびQt1を、シンボル周期T毎に遅延させ、この遅延した信号にタップ係数Cij,Cqxj,Cqj,Cixj(j=1〜n)を乗算した後、加算することで、干渉成分を除去するためのIt2およびQt2を生成する。
【0035】
図4に重み付け回路225の構成例を示す。
なお、タップ係数Cij,Cqxj,Cqj,Cixjは、制御部22cが、後述する受信信号Ir,Qrが収束点に収束するように、収束点からの誤差ベクトルを算出することで求めることができる。
【0036】
復調回路200は、分配器201、位相検波器202a,202b、A/D変換器203a,203b、加算器204a,204b、およびキャリア誤差判定回路205を備える。
分配器201は、周波数変換回路21より入力される中間周波信号を2分配し、これを位相検波器202aおよび202bに出力する。
【0037】
位相検波器202aは、後述する90゜分配器227から与えられるローカル信号を用いて、分配器201を通じて入力される中間周波信号の位相検波を行う。この検波結果は、A/D変換器203aに出力される。
【0038】
同様に、位相検波器202bは、90゜分配器227から与えられるローカル信号を用いて、分配器201を通じて入力される中間周波信号の位相検波を行う。この検波結果は、A/D変換器203bに出力される。
【0039】
A/D変換器203aは、位相検波器202aの検波結果をディジタル信号に変換し、この変換結果をI信号として加算器204aに出力する。
同様に、A/D変換器203bは、位相検波器202bの検波結果をディジタル信号に変換し、この変換結果をQ信号として加算器204bに出力する。
【0040】
加算器204aは、A/D変換器203aから与えられるI信号に、後述する重み付け回路225から与えられる重み係数It2を加算することで、干渉成分を除去し、これによって得た受信信号Irをキャリア誤差判定回路205に出力する。
【0041】
同様に、加算器204bは、A/D変換器203bから与えられるQ信号に、重み付け回路225から与えられる重み係数Qt1を加算することで、干渉成分を除去し、これによって得た受信信号Qrをキャリア誤差判定回路205に出力する。
【0042】
キャリア誤差判定回路205は、加算器204aおよび加算器204bにより得られた受信信号Ir,Qrに基づいて、それぞれの受信信号の収束点より位相平面上における位相誤差を求める。このようにして求めた位相誤差は、電圧制御発振器226に出力される。
【0043】
電圧制御発振器226は、キャリア誤差判定回路205から与えられる位相誤差に応じた電圧に基づいて、その位相誤差が極小となるような周波数でローカル信号を発振する。このローカル信号は、受信信号の搬送波キャリアを再生したものであって、周波数差検出回路223と90゜分配器227に出力される。
【0044】
90゜分配器227は、電圧制御発振器226から与えられるローカル信号に基づいて、互いに位相が90゜ずれた2つのローカル信号を生成し、それぞれ位相検波器202aと位相検波器202bに出力する。
【0045】
次に、上記構成の衛星通信装置の動作について説明する。
受信系において、キャリア誤差判定回路205が受信信号Ir,Qrに基づいて位相誤差を検出し、この位相誤差に応じた周波数のローカル信号を電圧制御発振器226が生成することで、受信信号の搬送波キャリアを再生する。
【0046】
このようにして再生された受信信号の搬送波キャリアは、90゜分配器227によって、互いに位相が90゜ずれた2つの信号となり、それぞれ位相検波器202aと位相検波器202bにて、受信信号の位相検波に用いられる。
【0047】
位相検波器202aと位相検波器202bの位相検波の結果は、それぞれ対応するA/D変換器203a,203bにてディジタル信号に変換され、受信信号としてI信号とQ信号が得られる。
【0048】
ところで、送信搬送波のキャリア角周波数をωとすると、変調回路100にて生成される変調波は、次式にように表すことができる。なお、次式において、Atmは、送信信号の変調振幅であり、Φtmは、送信信号の変調位相である。
【0049】
【数1】
【0050】
また、受信信号は、送信搬送波キャリアに比較して、周波数がΔωだけずれていたものとすると、次式にように表すことができる。なお、次式において、Armは、受信信号の変調振幅であり、Φrmは、受信信号の変調位相である。
【0051】
【数2】
【0052】
したがって、受信信号にαだけ送信信号が干渉した場合、受信信号は次式にように表すことができる。
【0053】
【数3】
【0054】
また前述したように、受信信号の搬送波キャリアを再生し、これを位相検波に用いて受信信号I、Qを得ているので、A/D変換器203a,203bにより得られるI信号とQ信号は次式にように表すことができる。なお、次式において、*は共役複素数を示す。
【0055】
【数4】
【0056】
すなわち、上記I信号とQ信号における送信信号干渉成分は、−Δωなる周波数成分の項が残っている。
【0057】
これに対して、図2に示す構成では、複素乗算回路224が、周波数差検出回路223にて検出した送受の周波数差を、送信データ信号ItおよびQtに複素乗算する。
【0058】
これによりデータ信号ItおよびQtは、e−jΔωtなる周波数項が複素乗算され、上記周波数差だけ位相回転されたIt1,Qt1となる。
そして、上記It1,Qt1に対して、制御部22cが求めたタップ係数に基づく重み付けを重み付け回路225が行って、It2,Qt2とし、これを加算器204a,204bにて上記I信号とQ信号にそれぞれ乗算する。
この結果、上記I信号とQ信号から送信信号干渉成分として−Δωなる周波数成分の項が除去された受信信号Ir,Qrが得られる。
【0059】
以上のように、上記構成の衛星通信装置では、送信信号を分岐して重み付けをし、これを受信信号に加算することで、受信信号に含まれる送信信号の干渉成分を除去するようにしている。
【0060】
したがって、上記構成の衛星通信装置によれば、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたりする必要がなく、また送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策も必要ないので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することができる。
【0061】
また、上記構成の衛星通信装置では、周波数差検出回路223により送信信号と受信信号のキャリア周波数の差を、複素乗算回路224にて上記分岐した送信信号の複素乗算するようにしている。
【0062】
したがって、上記構成の衛星通信装置によれば、衛星の局部発振器の周波数ずれなどにより受信信号に周波数ずれが生じた場合でも、送信信号の干渉成分を除去することができる。
【0063】
尚、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、モデム回路22−1〜22−nは、図2に示す変調回路100および復調回路200を用いた構成としたが、これに代わって例えば、図5に示すような変調回路110および復調回路210を用いた構成であってもよい。
【0064】
以下、図5に示す構成について説明する。
変調回路110は、D/A変換器111a,111b、位相変調器112a,112b、合成器113を備える。
【0065】
ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Itは、D/A変換器111aと後述する重み付け回路229に入力される。
同様に、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Qtは、D/A変換器111bと重み付け回路229に入力される。
【0066】
D/A変換器111aは、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Itをアナログ信号に変換し、位相変調器112aに出力する。
同様に、D/A変換器111bは、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号Qtをアナログ信号に変換し、位相変調器112bに出力する。
【0067】
位相変調器112aは、D/A変換器111aから与えられるアナログ信号を用いて、後述する90゜分配器228から与えられる搬送波キャリアを位相変調する。この変調結果は、合成器113に出力される。
【0068】
同様に、位相変調器112bは、D/A変換器111bから与えられるアナログ信号を用いて、90゜分配器228から与えられる搬送波キャリアを位相変調する。この変調結果は、合成器113に出力される。
【0069】
合成器113は、位相変調器112aから与えられる変調結果と、位相変調器112bから与えられる変調結果とを合成する。この合成結果は、変調波信号として周波数変換回路21に出力される。
【0070】
水晶発振器221は、搬送波信号を生成するもので、生成した搬送波信号を90゜分配器228に出力する。
90゜分配器228は、水晶発振器221から与えられる搬送波信号に基づいて、互いに位相が90゜ずれた2つの搬送波キャリアを生成し、それぞれ位相変調器102aと位相変調器102b、そして位相検波器202aと202bに出力する。
【0071】
重み付け回路229は、ベースバンド回路22aより入力されるデータ信号ItおよびQtを、シンボル周期T毎に遅延させ、この遅延した信号にタップ係数Cij,Cqxj,Cqj,Cixj(j=1〜n)を乗算した後、加算することで、干渉成分を除去するためのIt1およびQt1を生成する。
【0072】
なお、重み付け回路229は、図4に示した構成例が適用でき、前述の実施形態と同様に、タップ係数Cij,Cqxj,Cqj,Cixjは、制御部22cが、後述する受信信号Ir,Qrが収束点に収束するように、収束点からの誤差ベクトルを算出することで求めることができる。
【0073】
復調回路210は、分配器211、位相検波器212a,212b、A/D変換器213a,213b、およびキャリア再生回路214を備える。
分配器211は、周波数変換回路21より入力される中間周波信号を2分配し、これを位相検波器212aおよび212bに出力する。
【0074】
位相検波器212aは、90゜分配器228から与えられる搬送波キャリアを用いて、分配器211を通じて入力される中間周波信号の位相検波を行う。この検波結果は、A/D変換器213aに出力される。
【0075】
同様に、位相検波器212bは、90゜分配器228から与えられる搬送波キャリアを用いて、分配器211を通じて入力される中間周波信号の位相検波を行う。この検波結果は、A/D変換器213bに出力される。
【0076】
A/D変換器213aは、位相検波器212aの検波結果をディジタル信号に変換し、この変換結果をI信号としてキャリア再生回路214に出力する。
同様に、A/D変換器213bは、位相検波器212bの検波結果をディジタル信号に変換し、この変換結果をQ信号としてキャリア再生回路214に出力する。
【0077】
キャリア再生回路214は、重み付け回路229から与えられるIt1およびQt1を用いて、A/D変換器213a,213bにて得られたI信号およびQ信号から送信信号の干渉波成分を除去するとともに、送受間の位相を一致させる制御を行って、受信信号Ir,Qrを得る。
【0078】
図6にキャリア再生回路214の構成例を示す。
キャリア再生回路214は、加算器2140a,2140b、NCO(Numerically Controlled Oscillator)回路2141、乗算器2142〜2245および加算器2146,2147で構成される。
【0079】
加算器2140a,2140bは、それぞれ重み付け回路229から与えられるIt1およびQt1を、A/D変換器213a,213bにて得られたI信号およびQ信号に加算して、送信信号の干渉波成分を除去する。
【0080】
NCO回路2141は、キャリア誤差判定回路2148にて検出した位相誤差に基づいて位相回転させるための信号を生成し、これを乗算器2142〜2145および加算器2146,2147を用いて、加算器2140a,2140bの加算結果に与え、送受間の位相を一致させる制御を行って、受信信号Ir,Qrを得る。
【0081】
キャリア誤差判定回路2148は、上記受信信号Ir,Qrに基づいて、それぞれの受信信号の収束点より位相平面上における位相誤差を求め、これをNCO回路2141に与える。
【0082】
以上のように、上記構成の衛星通信装置では、位相変調器112a,112bと位相検波器212a,212bとで用いる搬送波キャリアを、同一の水晶発振器221にて発振する構成としているので、A/D変換器213a,213bにて得られたI信号およびQ信号における送信信号の干渉波成分に、Δωの周波数ずれはない。このため、前述の実施形態のように、複素乗算回路224を用いて搬送波キャリアを複素乗算する必要がない。
【0083】
そして、キャリア再生回路214において、重み付け回路229で生成したIt1およびQt1を用いて、上記I信号およびQ信号から送信信号の干渉波成分を除去した後、送受間の位相を一致させる制御を行って、受信信号Ir,Qrを得るようにしている。
【0084】
したがって、上記構成の衛星通信装置であっても、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたりする必要がなく、また送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策も必要ないので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することができる。
【0085】
また、上記構成の衛星通信装置では、変調回路110および復調回路210で水晶発振器221を共用し、復調回路210におけるキャリア除去をディジタル段で行うようにしているので、前述の衛星通信装置に比べて回路構成を簡単にすることができる。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【0086】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明では、重み付けされた送信信号を、人工衛星から受信した受信信号に加算して、受信信号に含まれる送信信号の干渉成分を除去するようにしている。
【0087】
したがって、この発明によれば、送信系と受信系を隔離するために高価なシールドケースを用いたりする必要がなく、また送信信号と受信信号のIF周波数を変更することなどの対策も必要ないので、高コスト化・大型化をまねいたり、周波数帯域の制限を行うことなく、送受信信号間の干渉を防止することが可能な衛星通信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる衛星通信装置の一実施形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した衛星通信装置のモデム回路の構成を示す回路ブロック図。
【図3】図2に示したモデム回路の複素乗算回路の構成を示す回路ブロック図。
【図4】図2に示したモデム回路の重み付け回路の構成を示す回路ブロック図。
【図5】この発明に係わる衛星通信装置のモデム回路の別の構成を示す回路ブロック図。
【図6】図5に示したモデム回路のキャリア再生回路の構成を示す回路ブロック図。
【図7】送信チャネルと受信チャネルの周波数が近接する場合に、周波数ずれが生じた様子を示す図。
【符号の説明】
1…アンテナ(ANT)
10…屋外装置(ODU)
11…分離回路(OMT)
12…低雑音周波数変換器(LNC)
13…送信機(Tx)
20…屋内装置(IDU)
21…周波数変換回路(COMB)
22−1〜22−n…モデム回路(MODEM)
22a…ベースバンド回路
22b…Ether通信回路
22c…制御部(CPU)
23…データ通信アダプタ
100,110…変調回路(MOD)
101a,101b,111a,111b…D/A変換器(D/A)
102a,102b,112a,112b…位相変調器
200,210…復調回路(DEM)
202a,202b,212a,212b…位相検波器
203a,203b,213a,213b…A/D変換器(A/D)
205,2148…キャリア誤差判定回路
214…キャリア再生回路
221…水晶発振器
222,227,228…90゜分配器
223…周波数差検出回路
224…複素乗算回路
225,229…重み付け回路
226…電圧制御発振器
2141,2241…NCO回路
S…衛星局
Claims (3)
- 人工衛星と通信する衛星通信装置において、
前記人工衛星に向けた送信信号に重み付けを行う重み付け手段と、
この重み付け手段にて重み付けされた送信信号を、前記人工衛星から受信した受信信号に加算する加算手段とを具備したことを特徴とする衛星通信装置。 - 人工衛星と通信する衛星通信装置において、
前記人工衛星から受信した受信信号から搬送波の再生を行う搬送波再生手段と、
この搬送波再生手段にて再生した搬送波と、前記人工衛星に向けた送信信号の搬送波との周波数差を求める周波数差検出手段と、
この周波数差遣出力手段にて求めた周波数差を、前記送信信号に複素乗算する乗算手段と、
この乗算手段の乗算結果に重み付けを行う重み付け手段と、
この重み付け手段にて重み付けされた前記乗算結果を、前記人工衛星から受信した受信信号に加算する加算手段とを具備したことを特徴とする衛星通信装置。 - 人工衛星と通信する衛星通信装置において、
搬送波を生成する発振手段と、
この発振手段にて生成した搬送波を用いて、前記人工衛星から受信した受信信号を復調する復調手段と、
前記発振手段にて生成した搬送波を、前記人工衛星に向けた送信信号を用いて変調する変調手段と、
前記送信信号に重み付けを行う重み付け手段と、
この重み付け手段にて重み付けされた送信信号を、前記復調手段が復調した受信信号に加算する加算手段とを具備したことを特徴とする衛星通信装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002198750A JP2004040720A (ja) | 2002-07-08 | 2002-07-08 | 衛星通信装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002198750A JP2004040720A (ja) | 2002-07-08 | 2002-07-08 | 衛星通信装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004040720A true JP2004040720A (ja) | 2004-02-05 |
Family
ID=31706120
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002198750A Withdrawn JP2004040720A (ja) | 2002-07-08 | 2002-07-08 | 衛星通信装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004040720A (ja) |
-
2002
- 2002-07-08 JP JP2002198750A patent/JP2004040720A/ja not_active Withdrawn
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