JP2004040472A - 誘電体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化及び低背化に適し、面付け実装が可能で、共振周波数の調整の可能な誘電体装置を提供する。
【解決手段】共振部Q1の貫通孔41は、誘電体基体1の主面21からその対向面22に向かい、主面21及び対向面22に開口し、内部に第1の内導体61を備える。非貫通孔51は、貫通孔41から間隔D1を隔てて誘電体基体1に設けられ、主面21で開口し、底部が閉じていて、第2の内導体81を備える。第2の内導体81は、主面21において第1の内導体61に連続する。第2の共振部Q2は、第1の共振部Q1と隣接し、第2の内導体51と電気的に結合している。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共振器、発振器、誘電体フィルタまたはデュプレクサ等を広くカバーする誘電体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の誘電体装置は、準マイクロ波帯、マイクロ波帯、ミリ波帯またはサブミリ波帯等の高周波領域において用いられる。より具体的な適用例としては、衛星通信機器、移動体通信機器、無線通信機器、高周波通信機器またはこれらの通信機器のための基地局等を挙げることができる。
【0003】
従来のこの種の誘電体装置は、その典型例として誘電体フィルタを例にとると、セラミック誘電体を共用して、複数の共振部を構成し、複数の共振部を容量結合もしくは誘導結合により段間結合し、所定の周波数成分を抽出するようになっている。セラミック誘電体は、複数の共振部において共用され、主面を除く外面の大部分が、導体によって覆われている。
【0004】
共振部のそれぞれは、主面から、主面と向き合う対向面まで貫通する貫通孔を有している。セラミック誘電体の主面から短絡面までの高さは、中心周波数波長をλとして、一般には、(λ/4)となるように選択してあり、従って、貫通孔も約(λ/4)の長さになる。
【0005】
しかし、この種の装置が用いられる衛星通信機器、移動体通信機器、無線通信機器及び高周波通信機器には、低背化、小型化及び軽量化の強い要請があり、セラミック誘電体の主面から短絡面までの高さを、(λ/4)を基準にして設定する従来技術では、この要請に応えることができない。
【0006】
誘電体フィルタの小型化を目的とした先行技術文献として、特公平7−32321号公報が知られている。この公知文献に開示された誘電体フィルタは、概念的には、約(λ/4)の高さを持つセラミック誘電体を、(λ/4)の半分である(λ/8)の位置で切断し、得られた2つの半片を、切断面が同一面側となるような関係で並列的に配置し、更に、切断面上で、2分された貫通導体を連続させるようにしたものと考えることができる。
【0007】
しかし、この従来技術の場合、共振波長を定める貫通導体が、セラミック誘電体の高さに一致し、その寸法に固定されているため、共振周波数の調整が困難であるという問題点があった。
【0008】
また、開放端面(主面)と短絡端面とが、切断面とは反対側の面において、それぞれ、半分づつの面積を占めるような関係で現れる。このため、入出力端子の外部接続構造を、実際の要望に適合させることが困難であった。
【0009】
即ち、この種の誘電体フィルタでは、小型化及び低背化の要請から、回路基板に面付けし得るような入出力端子構造をとらなければならない。
【0010】
ところが、上述した従来技術の場合、開放端面と短絡端面とが、切断面とは反対側の面において、それぞれ、半分づつの面積を占めるような関係で現れるから、開放端面と短絡端面の存在する面を上に向け、開放端面に現れた貫通導体に、リード線を接続する構造を採らざるを得ず、面付け構造を採用することが困難である。
【0011】
更に、従来の誘電体装置において、複数の共振部相互間の結合(段間結合)は、主面にスクリーン印刷等の手段によって、種々のパターンを有する導体パターンを形成し、この導体パターンによる誘導結合または容量結合を利用していた。
【0012】
しかし、この方法によると、各共振部間に、結合用の導体パターンを形成するためのスペースを確保しなければならないこととなり、誘電体装置の小型化を図る上で障害となっていた。
【0013】
しかも、結合用導体パターンは、スクリーン印刷工程を経て形成される。前記スクリーン印刷工程は正確性を要求される精密な工程である為、製造コスト削減の障害となっていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、小型化及び低背化に適した誘電体装置、具体的には、誘電体共振器、誘電体フィルタ、デュプレクサを提供することである。
【0015】
本発明のもう一つの課題は、共振周波数の調整の可能な誘電体装置、具体的には、誘電体共振器、誘電体フィルタ、デュプレクサを提供することである。
【0016】
本発明の更にもう一つの課題は、共振器間の電気的結合の調整の可能な誘電体装置、誘電体フィルタ及びデュプレクサを提供することである。
【0017】
本発明の更にもう一つの課題は、製造コストの安価な誘電体装置、具体的には、誘電体共振器、誘電体フィルタ、デュプレクサを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係る誘電体装置は、誘電体基体と、第1の共振部と、第2の共振部とを含む。前記誘電体基体は、主面を除く外面が外導体によって覆われている。
【0019】
前記第1の共振部は、貫通孔と、非貫通孔とを含む。前記貫通孔は、前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面及び前記対向面に開口し、内部に第1の内導体を備え、前記第1の内導体は前記対向面において前記外導体に連続している。
【0020】
前記非貫通孔は、前記貫通孔から間隔を隔てて前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面に開口し、底部が閉じていて、内部に第2の内導体を備え、前記第2の内導体は、前記主面において、前記第1の内導体に連続している。
【0021】
前記第2の共振部は、前記第1の共振部と隣接し、前記第2の内導体と電気的に結合する。
【0022】
上述のように、第1の共振部において、貫通孔は、誘電体基体に設けられ、主面からその対向面に向かい、主面及び対向面に開口するとともに、第1の内導体を備えている。第1の内導体は、貫通孔の内面に付着された導体によって構成され、対向面にある外導体に連続する。また、非貫通孔は、貫通孔から間隔D1を隔て、貫通孔とほぼ平行に配置されている。非貫通孔は、主面からその対向面に向かい、主面でのみ開口しており、非貫通孔の底面と対向面との間には、誘電体層が存在する。非貫通孔は、第2の内導体を備える。第2の内導体は、非貫通孔が開口する主面において、さらに導体によって第1の内導体に連続している。第2の内導体は、非貫通孔の内面に付着された導体によって構成される。
【0023】
第1の共振部の上記構造によると、共振部において、共振波長を定める共振器長は、誘電体基体の主面からその対向面までの高さに対応する貫通孔の長さH1と、主面からその対向面に向かう非貫通孔の深さ(高さ)H2と、非貫通孔から貫通孔までの間隔D1との和(H1+H2+D1)となる。
【0024】
これは、第1の共振部において、所定の共振波長を得るのに、誘電体基体の主面からその対向面までの高さH1を、非貫通孔の深さH2と、非貫通孔から貫通孔までの間隔D1との和(H2+D1)の分だけ縮小できることを意味する。したがって、誘電体基体を低背化し、小型化することができる。
【0025】
具体例として、共振波長(λ/4)の誘電体フィルタの場合、和(H2+D1)=(λ/8)とすれば、誘電体基体の主面からその対向面までの高さH1も(λ/8)となり、その高さを、通常要求される(λ/4)から、(λ/8)へと半減できる。
【0026】
しかも、非貫通孔は、対向面では開口せず閉じており、非貫通孔と対向面との間には、非貫通孔の深さH2と、誘電体基体の高さH1との差分(H1ーH2)に対応する厚さの誘電体層が存在する。従って、この誘電体層の厚さを利用して、非貫通孔の深さH2を調整し、もって共振周波数を調整することができる。
【0027】
更に、本発明に係る誘電体装置は、第2の共振部を含む。第2の共振部は、第1の共振部と隣接し、第2の内導体と電気的に結合するから、第1の共振部に対して、第2の共振部を結合させるに当たって、従来と異なって、主面に導体パターンを形成する必要がなくなる。このため、誘電体装置の小型化が容易になる。また、スクリーン印刷工程は不要であるから、製造コストが安価になる。
【0028】
第2の共振部は、第1の共振部と同様に、貫通孔と、非貫通孔とを含むことができる。貫通孔および非貫通孔は、第1の共振部のそれと同じである。即ち、貫通孔は、誘電体基体に設けられ、主面からその対向面に向かい、主面及び対向面に開口し、内部に第1の内導体を備え、第1の内導体は対向面において前記外導体と連続する。
【0029】
また、第2の共振部において、非貫通孔は、貫通孔から間隔を隔てて誘電体基体に設けられ、主面からその対向面に向かい、主面に開口し、底部が閉じていて、内部に第2の内導体を備え、第2の内導体は、主面において、第1の内導体に連続する。
【0030】
第1の共振部に対する第2の共振部の結合に当たっては、第2の共振部の第1の内導体を、第1の共振部の第2の内導体と容量結合させる。
【0031】
この構成によれば、第2の共振部について、第1の共振部について述べた誘電体基体の低背化および小型化、並びに、非貫通孔の深さ調整による共振周波数の調整等の利点が得られる。
【0032】
また、第1の共振部に対する第2の共振部の結合に当たって、第2の共振部の第1の内導体を、第1の共振部の第2の内導体と容量結合させる構成であるから、第1の共振部に対して、第2の共振部を結合させるに当たって、従来と異なって、主面に導体パターンを形成する必要がなくなる。このため、誘電体装置の小型化が容易になる。また、スクリーン印刷工程は不要であるから、製造コストが安価になる。
【0033】
第1の共振部に対する第2の共振部の結合の別の態様として、第2の共振部の第2の内導体を、第1の共振部の第1の内導体と容量結合させてもよい。この場合も上述した作用効果を奏する。
【0034】
上述した誘電体装置は、少なくとも1つの端子を備えることができる。端子は、誘電体基体の外面に備えられ、誘電体基体を介して、第1の共振部の第2の内導体と容量結合する。この構成によれば、第2の内導体と端子との間の誘電体基体の厚み選定、端子形状の選定および端子の位置の選択等の自由度が増すので、基板への実装に当たって要求される設計に柔軟に対応し得る。
【0035】
端子構造については、第1の端子と、第2の端子とを含むこともできる。この場合、第1の端子は、誘電体基体を介して、第1の共振部の第2の内導体と容量結合させる。第2の端子は、誘電体基体を介して、第2の共振部の第2の内導体と容量結合させる。
【0036】
この構造によれば、第1の端子および第2の端子を入出力端子として用いることができる他、第1の端子と、第1の共振部の第2の内導体との間、および、第2の端子と第2の共振部の第2の内導体との間において、誘電体基体の厚み選定、端子形状の選定および端子の位置の選択等の自由度が増すので、要求される設計に柔軟に対応し得る。
【0037】
また、第1及び第2の共振部の貫通孔及び非貫通孔の相対的配置や、非貫通孔の深さを変えることにより、第1及び第2の共振部の間の電気的結合を変化させ、容量性結合または誘導性結合等の強さを任意に設計することができる。
【0038】
更に、共振部の少なくとも1つは、非貫通孔が複数であってもよい。また、対向面が外導体によって覆われていない構造とすることにより、共振波長が(λ/2)の共振部を有する誘電体装置を実現することができる。
【0039】
本発明は、共振器、発振器、誘電体フィルタまたはデュプレクサに広く適用することができる。誘電体フィルタまたはデュプレクサに用いる場合は、共振部は複数である。共振部が複数設けられた場合、各共振部は誘電体基体を介して一体化される。
【0040】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照して、更に詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲がこれらの図示実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0041】
【発明の実施の形態】
図1は共振部の共振波長が(λ/4)である誘電体装置の斜視図、図2は図1に示した誘電体装置の平面図、図3は図2の3−3線に沿った断面図である。図示された誘電体装置は、誘電体共振器として用いるもので、誘電体基体1と、第1の共振部Q1と、第2の共振部Q2とを含む。
【0042】
誘電体基体1は、主面21を除く外面が外導体3によって覆われている。誘電体基体1は、周知の誘電体セラミックスを用いて、6面21〜26を有する略6面体状に形成され、主面21となる一面を除いて、外面22〜26の大部分が、外導体3によって覆われている。外導体3は、一般に、Cu、Ag等を主成分とする導電材料を、焼き付けし、または、メッキする等の手段によって形成される。
【0043】
第1の共振部Q1は、貫通孔41と、非貫通孔51とを含んでいる。貫通孔41は、主面21からその対向面22に向かい、主面21及び対向面22に開口する。貫通孔41の内部には、第1の内導体61が備えられる。第1の内導体61は、外導体3と同様の材料及び手段によって形成され、対向面22にある外導体3に連続する。
【0044】
非貫通孔51は、貫通孔41から間隔D1を隔てて、貫通孔41とほぼ平行に配置されている。非貫通孔51は、主面21からその対向面22に向かい、主面21でのみ開口している。非貫通孔51は、主面21と向き合う対向面22の側では閉じており、非貫通孔51の底面と対向面22との間には、厚みd1の誘電体基体1の層71が存在する(図3参照)。
【0045】
図面表示上、貫通孔41と、非貫通孔51との識別を容易にするため、非貫通孔51にクロス印を付してある。また、貫通孔には2桁目の数字が「4」である参照符号を用い、異なる貫通孔は1桁目の数字を変えることによって表示する。非貫通孔には、2桁目の数字が「5」である参照符号を用い、異なる非貫通孔は1桁目の数字を変えることによって表示する。貫通孔及び非貫通孔に関するこれらの表示方法は、特に言及がなくとも、全ての添付図面において、統一して用いられる。
【0046】
非貫通孔51は、第2の内導体81を備えている。第2の内導体81は主面21において、導体91によって第1の内導体61に連続している。第2の内導体81は、非貫通孔51の内面に付着された導体によって構成されている。第2の内導体81は、第1の内導体61と同様の材料及び手段によって形成される。
【0047】
第2の共振部Q2は、貫通孔42を備える。貫通孔42は、第1の共振部Q1の非貫通孔51から間隔を隔てて、誘電体基体1に設けられ、主面21に開口し、内部に内導体62を備えている。内導体62は、誘電体基体1を介して、第1の内導体81と容量結合している。内導体62は、第1の内導体61及び第2の内導体81と同様の材料及び手段によって形成される。
【0048】
また、誘電体基体1の面25には、第1の端子11及び第2の端子12が備えられている。第1の端子11は、非貫通孔51とは誘電体基体1を介して対向する位置に設けられ、外導体3から絶縁ギャップg1によって電気的に絶縁されている。
【0049】
第2の端子12は、第2の共振部Q2の内導体62に誘電体基体1を介して対向し、外導体3から絶縁ギャップg2によって電気的に絶縁されている。
【0050】
第1の端子11と、非貫通孔51の内導体81との間には、その間の誘電体基体1の厚さ、誘電率及び対向面積によって定まる結合容量が発生する。第1の端子11は、非貫通孔51の内導体81と部分的に対向し、または、対向しない位置に設けてあってもよい。また、絶縁ギャップg1、g2は一つのギャップとして連続させてもよい。
【0051】
上述のように、貫通孔41は、誘電体基体1に設けられ、主面21からその対向面22に向かい、主面21及び対向面22に開口するとともに、第1の内導体61を備えている。第1の内導体61は、貫通孔41の内面に付着された導体によって構成され、対向面22にある外導体3に連続する。
【0052】
非貫通孔51は、貫通孔41から間隔D1を隔て、貫通孔41とほぼ平行に配置されている。非貫通孔51は、主面21からその対向面22に向かい、主面21でのみ開口しており、非貫通孔51の底面と対向面22との間には、誘電体基体1による誘電体層71が存在する。非貫通孔51は、第2の内導体81を備える。第2の内導体81は、非貫通孔51が開口する主面21において、さらに、導体91によって第1の内導体61に連続している。第2の内導体81は、非貫通孔51の内面に付着された導体によって構成される。
【0053】
上記構造によると、第1の内導体61は外導体3に連続し、非貫通孔51は第2の内導体81と導体91との接続によって第1の内導体61に連続するから、第1の共振部Q1において、共振波長を定める共振器長は、誘電体基体1の主面21からその対向面22までの高さに対応する貫通孔の長さH1と、主面21からその対向面22に向かう非貫通孔51の深さ(高さ)H21と、非貫通孔51から貫通孔41までの間隔D1との和(H1+H21+D1)となる。
【0054】
このことは、所定の共振波長を得るのに、誘電体基体1の主面21からその対向面22までの高さH1を、非貫通孔51の深さH21と、非貫通孔51から貫通孔41までの間隔D1との和(H21+D1)の分だけ縮小できることを意味する。したがって、誘電体基体1を低背化し、小型化することができる。
【0055】
具体例として、共振波長(λ/4)の誘電体共振器の場合、和(H21+D1)=(λ/8)とすれば、誘電体基体1の主面21からその対向面22までの高さH1も(λ/8)となり、その高さを、通常要求される(λ/4)から、(λ/8)へと半減できる。
【0056】
しかも、非貫通孔51は、対向面22では開口せず閉じており、非貫通孔51と対向面22との間には、非貫通孔51の深さH2と、誘電体基体1の高さH1との差分(H1−H21)に対応する厚さd1の誘電体基体1による誘電体層71が存在する。従って、この誘電体基体1による誘電体層71の厚さd1を利用して、非貫通孔51の深さH2を調整し、もって共振周波数を調整することができる。
【0057】
更に、本発明に係る誘電体装置は、第2の共振部Q2を有する。第2の共振部Q2は貫通孔42を備える。貫通孔42は非貫通孔51から間隔を隔てて誘電体基体1に設けられ、主面21に開口し、内部に内導体62を備えている。内導体62は、誘電体基体1を介して、第2の内導体81と容量結合している。したがって、第1の共振部Q1に含まれる非貫通孔51の内部の第2の内導体81と、第2の共振部Q2の内導体62との間に、誘電体基体1による容量結合が形成されることになるから、結合手段として、主面21に導体パターンを形成する必要がなくなる。このため、誘電体装置の小型化が容易になる。また、スクリーン印刷工程は不要であるから、製造コストが安価になる。
【0058】
また、第1の端子11は、誘電体基体1を介して、第1の共振部Q1の第2の内導体81と容量結合しており、第2の端子12は、誘電体基体1を介して、第2の共振部Q2の内導体62と容量結合しているから、第1の端子11および第2の端子12を入出力端子として用いることができる他、第1の端子11と、第2の内導体81との間、および、第2の端子12と内導体62との間において、誘電体基体1の厚み選定、端子形状の選定および端子の位置の選択等の自由度が増すので、例えば、面実装の端子構造等、要求される設計に柔軟に対応し得る。
【0059】
次に、誘電体フィルタの具体例について、図4〜図42を参照して説明する。図において、先に表示される図面と同一の構成部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は省略することがある。
【0060】
まず、図4は本発明に係る誘電体フィルタの斜視図、図5は図4に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図、図6は図4の6−6線に沿った断面図、図7は図4の7−7線に沿った断面図、図8は図4の8−8線に沿った断面図、図9は図4〜図8に示した誘電体フィルタの平面図である。これらの図は、2つの第1及び第2の共振部Q1、Q2を有する誘電体フィルタの例を示している。
【0061】
第1および第2の共振部Q1、Q2のそれぞれは、誘電体基体1を共用し、誘電体基体1を介して一体化されている。誘電体基体1は、周知の誘電体セラミックスを用いて、6面21〜26を有する略6面体状に形成され、主面21となる一面を除いて、外面の大部分が外導体3によって覆われている。外導体3は、一般に、Cu、Ag等を主成分とする導電材料を、焼き付け、メッキ等の手段によって形成される。
【0062】
第1の共振部Q1は、貫通孔41と、非貫通孔51とを含んでいる。貫通孔41は、主面21からその対向面22に向かい、主面21及び対向面22に開口する。貫通孔41の内部には、第1の内導体61が備えられる。第1の内導体61は、外導体3と同様の材料及び手段によって形成され、対向面22にある外導体3に連続する。第1の内導体61は、貫通孔41の一部または全体を埋めるように充填されていてもよい。
【0063】
非貫通孔51は、貫通孔41から間隔D1を隔てて、貫通孔41とほぼ平行に配置されている。非貫通孔51は、主面21からその対向面22に向かい、主面21でのみ開口している。非貫通孔51は、主面21と向き合う対向面22の側では閉じており、非貫通孔51の底面と対向面22との間には、厚みd1の誘電体基体1による誘電体層71が存在する。
【0064】
非貫通孔51は、第2の内導体81を備えている。第2の内導体81は主面21において、導体91によって第1の内導体61に連続している。第2の内導体81は、非貫通孔51の内面に付着された導体によって構成されている。第2の内導体81は、第1の内導体61と同様の材料及び手段によって形成される。
【0065】
第2の共振部Q2は、貫通孔42と、非貫通孔52とを含んでいる。貫通孔42は、主面21からその対向面22に向かい、主面21及び対向面22に開口する。貫通孔42は、内部に第1の内導体62を備えている。第1の内導体62は、対向面22にある外導体3に連続する。
【0066】
非貫通孔52は、貫通孔42から間隔D2を隔てて、貫通孔42とほぼ平行に配置されている。非貫通孔52は、主面21からその対向面22に向かい、主面21でのみ開口している。非貫通孔52は、主面21と向き合う対向面22の側では閉じており、非貫通孔52の底面と対向面22との間には、厚みd2の誘電体層72が存在する。
【0067】
非貫通孔52は、第2の内導体82を備えている。第2の内導体82は、主面21において、導体92によって第1の内導体62に連続している。第2の内導体82は、非貫通孔52の内面に付着された導体によって構成されている。
【0068】
第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2は、貫通孔41、42及び非貫通孔51、52により、互いに容量結合する。具体的には、第1の共振部Q1の貫通孔41と、第2の共振部Q2の非貫通孔52とが容量結合し、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の貫通孔42とが互いに容量結合する。
【0069】
また、誘電体基体1の対向面22には、入出力端子となる第1の端子11及び第2の端子12が備えられている。第1の端子11は、非貫通孔51の底部と、厚みd1の誘電体基体の層71を介して対向しており、外導体3から絶縁ギャップg1によって電気的に絶縁されている。
【0070】
第2の端子12は、非貫通孔52の底部と、厚みd2の誘電体1の層72を介して対向しており、外導体3から絶縁ギャップg2によって電気的に絶縁されている。具体的には、第1及び第2の端子11、12は、主面21とは反対側の対向面22に備えられている。
【0071】
第1及び第2の端子11、12と、非貫通孔51、52の内導体81、82との間には、その間の誘電体基体1の層71、72の厚さd1、d2、誘電率及び対向面積によって定まる結合容量が発生する。第1及び第2の端子11、12は、非貫通孔51、52の内導体81、82と重なる必要はない。部分的に対向し、または、対向しない位置に設けてあってもよい。また、絶縁ギャップg1、g2は一つのギャップとして連続させてもよい。
【0072】
次に、図示した誘電体フィルタの利点について、第1の共振部Q1を参照して説明する。第2の共振部Q2は、第1の共振部Q1と同じ構造であり、第1の共振部Q1についての説明がそのまま当てはまる。
【0073】
既に述べたように、第1の共振部Q1において、貫通孔41は、誘電体基体1の主面21からその対向面22に向かい、主面21及び対向面22に開口する。この貫通孔41は、第1の内導体61を備えている。第1の内導体61は、対向面22にある外導体3に連続する。非貫通孔51は、貫通孔41から間隔D1を隔てて、貫通孔41とほぼ平行に配置され、主面21からその対向面22に向かう。非貫通孔51は、第2の内導体81を備えており、第2の内導体81は主面21において第1の内導体61に連続している。
【0074】
従って、第1の共振部Q1において、共振波長を定める共振器長は、誘電体基体1の主面21からその対向面22までの高さに対応する貫通孔41の長さH1と、主面21からその対向面22に向かう非貫通孔51の深さ(高さ)H21と、非貫通孔51から貫通孔41までの間隔D1との和(H1+H21+D1)となる。
【0075】
このことは、所定の共振波長を得るのに、誘電体基体1の主面21からその対向面22までの高さH1を、非貫通孔51の深さH21と、非貫通孔51から貫通孔41からまでの間隔D1との和(H21+D1)の分だけ縮小できることを意味する。従って、誘電体基体1を低背化し、小型化することができる。
【0076】
具体例として、共振波長(λ/4)の誘電体フィルタの場合、和(H21+D1)=(λ/8)とすれば、誘電体基体1の主面21からその対向面22までの高さH1も(λ/8)となり、その高さを、通常要求される(λ/4)から、(λ/8)へと半減できる。第1の共振部Q1と同じ構成を有する第2の共振部Q2においても同様である。
【0077】
しかも、非貫通孔51は、対向面22では開口せず、閉じており、非貫通孔51と対向面22との間には、非貫通孔51の深さH21と、誘電体基体1の高さH1との差分(H1−H21)に対応する厚さd1の誘電体基体1による誘電体層71が存在する。従って、この誘電体基体1による誘電体層71の厚さd1を利用して、非貫通孔51の深さH21を調整し、もって共振周波数を調整することができる。
【0078】
また、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2は、第1の共振部Q1の貫通孔41と、第2の共振部Q2の非貫通孔52とが、容量結合し、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の貫通孔42とが、互いに容量結合する。したがって、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2の結合手段として、主面21に導体パターンを形成する必要がなくなる。このため、誘電体装置の小型化が容易になる。また、導体パターン形成用スクリーン印刷工程は不要であるから、製造コストが安価になる。
【0079】
更に、第1及び第2の端子11、12と、非貫通孔51、52の内導体81、82との間には、その間の誘電体基体1の層71、72の厚さd1、d2、誘電率及び対向面積によって定まる結合容量が発生するから、入出力結合容量を、必要な値に容易に調整できる。第1及び第2の端子11、12は、大部分が、外導体3によって覆われていて、短絡面となる対向面22に設けられているから、面実装タイプとして用いることができる。
【0080】
図10は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。図示実施例において、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2は、直線状に配置されている。具体的には、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の貫通孔42とが、間隔を隔てて隣接する関係で、直線状に配置されており、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の貫通孔42とが容量結合する。したがって、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2の結合手段として、主面21に導体パターンを形成する必要がなくなる。このため、誘電体装置の小型化が容易になる。また、導体パターン形成用スクリーン印刷工程は不要であるから、製造コストが安価になる。
【0081】
図11は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。図示実施例において、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2は、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の非貫通孔52とが、間隔を隔てて隣接する関係で、直線状に配置されており、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の非貫通孔52とが容量結合する。したがって、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2の結合手段として、主面21に導体パターンを形成する必要がなくなる。このため、誘電体装置の小型化が容易になる。また、導体パターン形成用スクリーン印刷工程は不要であるから、製造コストが安価になる。
【0082】
図12は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。図示実施例において、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2は、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の貫通孔42との間の間隔が、第1の共振部Q1の貫通孔41と、第2の共振部Q2の非貫通孔52との間の間隔よりも小さくなる関係で、互いに傾斜して併設されている。したがって、主として、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の貫通孔42とが、容量結合することになる。
【0083】
図13は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。図示実施例において、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2は、第1の共振部Q1の貫通孔41と、第2の共振部Q2の非貫通孔52との間の間隔が、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の貫通孔42との間の間隔よりも小さくなる関係で、互いに傾斜して併設されている。したがって、主として、第1の共振部Q1の貫通孔41と、第2の共振部Q2の非貫通孔52とが、容量結合することになる。
【0084】
図14は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。図示実施例において、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2は、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の非貫通孔52との間の間隔が、第1の共振部Q1の貫通孔41と、第2の共振部Q2の貫通孔42との間の間隔よりも小さくなる関係で、互いに傾斜して併設されている。したがって、主として、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の非貫通孔52とが、容量結合することになる。
【0085】
図15は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。図示実施例において、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2は、貫通孔41、42が互いに向き合い、非貫通孔51、52が互いに向き合う関係で、ほぼ平行に配置されている。貫通孔41は面23、26と近接した位置にあり、貫通孔42は面24および面26と近接した位置にある。また、非貫通孔51は面23および面25と近接した位置にあり、非貫通孔52は面24および面25と近接した位置にある。この配置により、貫通孔41の第1の内導体61−外導体3−貫通孔42の第1の内導体62の経路、並びに、非貫通孔51の第2の内導体81−外導体3−非貫通孔52の第2の内導体82の経路に、誘導性結合が発生する。したがって、第1の共振部Q1および第2の共振部Q2は、この誘導性結合によって結合されることになる。
【0086】
図16は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。図示実施例において、第1の共振部Q1は、2つの非貫通孔51、52を有している。非貫通孔51、52は、貫通孔41を間に挟んで、面25、26の方向に配置されている。
【0087】
第2の共振部Q2も、2つの非貫通孔53、54を有している。非貫通孔53、54は、貫通孔42を間に挟んで、面25、26の方向に配置されている。
【0088】
次に、シミュレーションデータを挙げて、本発明の効果を具体的に説明する。図17はシミュレーションに供された誘電体フィルタの斜視図、図18は図17に示した誘電体フィルタの正面断面図である。図において、図1〜図16に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。
【0089】
図17及び図18に示された誘電体フィルタにおいて、第1及び第2の共振部Q1、Q2は、第1の共振部Q1の貫通孔41と、第2の共振部Q2の非貫通孔52とが、間隔を隔てて隣接する関係で、直線状に配置されている。
【0090】
図17及び図18に示した構造において、貫通孔41、42の長さH1を3mmに固定し、非貫通孔51、52の深さ(高さ)H21を、0.02mm、0.25mm、0.5mm、0.75mm、1.00mm、1.25mm、1.50mm、2.00mm、2.50mm、2.75mmとした10個のサンプル1〜10について、周波数−伝送特性をシミュレーションによって求めた。
【0091】
図19は、上述したシミュレーションによって得られた周波数−伝送特性を示す図である。横軸に周波数(MHz)を取り、縦軸に第1の共振部Q1から第2の共振部Q2への伝送特性である減衰量S21(dB)をとってある。
【0092】
曲線L1はH21=0.02mmとしたサンプル1の周波数−伝送特性、曲線L3はH21=0.50mmとしたサンプル3の周波数−伝送特性、曲線L5はH21=1.00mmとしたサンプル5の周波数−伝送特性、曲線L7はH21=1.50mmとしたサンプル7の周波数−伝送特性、曲線L9はH21=2.50mmとしたサンプル9の周波数−伝送特性、曲線L10はH21=2.75mmとしたサンプル10の周波数−伝送特性をそれぞれ示している。
【0093】
図19に示すように、非貫通孔51、52の深さH21が深くなるにつれて、周波数−伝送特性が低域側にシフトし、共振周波数が低下して行き、反対に、非貫通孔51、52の深さH21が浅くなると、共振周波数が高くなる。即ち、非貫通孔51、52の深さH21を調整することによって、周波数−伝送特性を変化させ、共振周波数を調整することができる。図19において、第1の極PK1は通過帯域より低域側の減衰極に対応し、第2の極PK2は通過帯域より高域側の減衰極に対応する。
【0094】
次に、サンプル1〜10について、シミュレーションによって得られた通過帯域の中心周波数fc、第1の極PK1を生じる周波数、第2の極PK2を生じる周波数、両極の周波数差(PK2−PK1)、及び、10dB降下のバンド幅BW10を、表1に示す。
Figure 2004040472
【0095】
図20は表1のデータの理解の助けのために、表1に記載された中心周波数fc、第1の極PK1を生じる周波数、第2の極PK2を生じる周波数及び両極の周波数差(PK2−PK1)をグラフ化して示す図である。図20において、横軸に非貫通孔51、52の深さH21をとり、縦軸に周波数(MHz)をとってある。
【0096】
図20を参照すると、中心周波数fc、第1の極PK1を生じる周波数及び第2の極PK2を生じる周波数は、非貫通孔51、52の深さH21が浅くなるにつれて高くなり、深くなるにつれて低くなる。
【0097】
第1の極PK1及び第2の極PK2の間の周波数差(PK2−PK1)は、中心周波数fc、第1の極PK1及び第2の極PK2の変化とは異なる変化を示す。即ち、周波数差(PK2−PK1)は、深さH21が1mm前後で最大となり、その両側の1mmを超える深さ、及び、1mmよりも小さくなる深さでは、小さくなる変化特性を示す。
【0098】
図20に示す周波数差(PK2−PK1)の変化特性は、深さH21の単位変化量に対する第1の極PK1及び第2の極PK2の周波数変化量(変化率)を見ることによって明らかになる。次にこの点について述べる。
【0099】
表2は表1に表示されたデータを利用して得られたものである。表2において、符号dxは貫通孔の深さH21の変化量(mm)である。符号dp1は第1の極PK1の周波数変化量(MHz)、符号(dp1/dx)は周波数変化量dp1を深さH21の変化量dxで除した値(周波数変化率)をそれぞれ表す。同様に、符号dp2は第2の極PK2の周波数変化量(MHz)、符号(dp2/dx)は周波数変化量dp2を深さH21の変化量dxで除した値(周波数変化率)をそれぞれ表す。
Figure 2004040472
【0100】
図21は第1の極PK1の周波数変化率特性、及び、第2の極PK2の周波数変化率特性をそれぞれ示している。この周波数変化率特性は、表2のデータをグラフ化したものである。
【0101】
図21は、周波数差(PK2−PK1)が図20に示すような変化特性を示す根拠を明確に表示している。即ち、図21に示すように、第1の極PK1及び第2の極PK2の周波数変化率は、深さH21(mm)が、1.5mmから2mmに変化する範囲で等しくなる。そして、この領域を境界にして、深さH21(mm)が深くなるにつれて、第2の極PK2の周波数変化率が、第1の極PK1の周波数変化率よりも大きくなり、逆に、深さH21(mm)が浅くなるにつれて、第1の極PK1の周波数変化率が、第2の極PK2の周波数変化率よりも大きくなる。換言すれば、深さH21(mm)が深くなるにつれて、第2の極PK2の周波数が第1の極PK1の周波数よりも大きく変化し、逆に、深さH21(mm)が浅くなるにつれて、第1の極PK1の周波数が、第2の極PK2の周波数よりも大きく変化する。これはバンド幅BW10に影響を与える。
【0102】
図22は図17及び図18に示した誘電体フィルタにおいて、非貫通孔51、52の深さH21を変えた時のバンド幅BW10の変化特性をグラフ化して示す図、図23は図22に示したデータの取り方を説明する図である。
【0103】
バンド幅BW10は、図23に示すように、共振波形のピーク値から10(dB)だけ低下した位置におけるバンド幅である。図22に示すように、バンド幅BW10は、非貫通孔51、52の深さH21が1.00(mm)を超える領域では、深さH21が浅くなるにつれて広くなり、1.00(mm)よりも小さい領域では、深さH21が浅くなるにつれて狭くなる。従って、貫通孔51、52の深さH21を調整することによってバンド幅BW10を調整することができる。
【0104】
図24は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図、図25は図24に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図である。図において、先に示された図面に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。この実施例では、対向面22の貫通孔41、42の開口する位置に、段差△H1の凹部27を設けたことである。凹部27は溝状であってもよい。この実施例は、貫通孔41、42の長さH1を変えることによって、周波数−伝達特性を調整できることを示している。
【0105】
図26は、図24及び図25に示した誘電体フィルタの周波数−伝送特性を示す図である。図において、横軸に周波数(MHz)を取り、縦軸に第1の共振部Q1から第2の共振部Q2への伝送特性である減衰量S21(dB)をとってある。曲線L21は段差△H1を、△H1=0、即ち、凹部27を持たない構成とし、貫通孔41、42の長さH1をH1=3mmとした場合の特性である。非貫通孔51、52の深さH21は1.0mmとした。曲線L22は段差△H1=2.2mmで、貫通孔41、42の長さH1を、H1=0.8mmとし、非貫通孔51、52の深さH21をH21=2.0mmとしたの場合の特性を示している。
【0106】
特性L21と特性L22とを対比するに、特性L21における非貫通孔51、52の深さH21=1.0mmは、特性L22における非貫通孔51、52の深さH21=2.0mmの半分であるから、図19及び図20の教示に従えば、特性L21の中心周波数fc1は特性L22の中心周波数fc2よりも高くなければならない。即ち、fc1<fc2でなければならない。
【0107】
ところが、図26では、これとは逆に、fc1>fc2となっている。その理由は、特性L21では、貫通孔41、42の深さH1=3.0mmであるのに対し、特性L22では、貫通孔41、42の深さH1=0.8mmに縮小されているため、非貫通孔51、52の深さH21の縮小による影響をキャンセルした上で、さらに、非貫通孔が深くなったことにより、誘導結合が強くなり、特性L22の中心周波数fc2が特性L21の中心周波数fc1よりも高くなったものである。
【0108】
図27は、本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図、図28は図27に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図である。図において、先に図示された図面に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は省略する。この実施例の特徴は、対向面22に外導体膜を持たない点にある。この構造によれば、共振波長(λ/2)の誘電体フィルタを得ることができる。
【0109】
図29は図27及び図28に示した誘電体フィルタの周波数−伝送特性を示す図である。曲線L32は図27及び図28に示した誘電体フィルタの周波数−伝送特性、曲線L31は対向面22に外導体膜を持つ共振波長(λ/4)の誘電体フィルタの周波数−伝送特性を示す。曲線L31を曲線L32と対比すると明らかなように、対向面22に外導体膜を持たない構造によれば、共振波長(λ/2)の誘電体フィルタを得ることができる。
【0110】
図30は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図、図31は図30に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図、図32は図30の32−32線に沿った断面図である。
【0111】
図示実施例の誘電体フィルタは3つの第1〜第3の共振部Q1〜Q3を有する。第1〜第3の共振部Q1〜Q3のそれぞれは、誘電体基体1を共用し、誘電体基体1を介して一体化されている。第1及び第2の共振部Q1、Q2に関しては、これまで説明した通りである。
【0112】
第3の共振部Q3は、貫通孔43と、非貫通孔53とを含む。貫通孔43は、主面21からその対向面22に向かい、主面21及び対向面22に開口する。貫通孔43の内部には、第1の内導体63を備えている。第1の内導体63は、対向面22にある外導体3に連続し、貫通孔43の内面に付着された導体によって構成されている。第1の内導体63は、貫通孔43の一部または全体を埋めるように充填されていてもよい。
【0113】
非貫通孔53は、貫通孔43から間隔D3(図30参照)を隔てて、貫通孔43とほぼ平行に配置されている。非貫通孔53は、主面21からその対向面22に向かい、主面21でのみ開口している。非貫通孔53は、主面21と向き合う対向面22の側では、深さH23の位置で閉じており、非貫通孔53の底面と対向面22との間には、厚みd3の誘電体基体1による誘電体層73が存在する(図32参照)。
【0114】
非貫通孔53は、第2の内導体83を備えている。第2の内導体83は、主面21において、導体93によって第1の内導体63に連続している。第2の内導体83は、非貫通孔53の内面に付着された導体によって構成されている。
【0115】
第1の共振部Q1に含まれる非貫通孔51には、対向面22に設けられた第1の端子11が、誘電体基体1による誘電体層71を介して、容量結合されている。この場合の容量結合の詳細は、既に説明した通りである。
【0116】
第3の共振部Q3の非貫通孔53には、誘電体基体1の対向面22の側に設けられた第2の端子12が、誘電体基体1による誘電体層層73を介して、容量結合されている。第2の端子12は、対向面22において、絶縁ギャップg2によって外導体3から電気絶縁した状態で、配置されている(図31、図32参照)。
【0117】
上記構成によれば、第1及び第2の端子11、12を実装基板上に面付けすることが可能になる。また、非貫通孔51〜53の深さ、及び、第1〜第3の共振部Q1〜Q3のそれぞれにおける孔間隔を調整することによって共振波長を調整し、共振周波数を所定値に高精度であわせ込むことができる。
【0118】
また、図示実施例の第1〜第3の共振部Q1〜Q3の配置によると、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2の間では、第1の共振部Q1の非貫通孔51と、第2の共振部Q2の貫通孔42とが容量結合し、第1の共振部Q1の貫通孔41と第2の共振部Q2の非貫通孔52とが容量結合する。また、第2の共振部Q2及び第3の共振部Q3の間では、第2の共振部Q2の非貫通孔52と、第3の共振部Q3の貫通孔43とが容量結合し、第2の共振部Q2の貫通孔42と、第3の共振部Q3の非貫通孔53とが容量結合する。
【0119】
図30〜図32に示した実施例は、図4〜図16に示した実施例に対して、第3の共振部Q3を追加した点が異なるだけであり、同様の作用効果を奏する。
【0120】
図33は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図、図34は図33の34−34線に沿った断面図である。図示実施例では、第1〜第3の共振部Q1〜Q3が設けられている。第2の共振部Q2は、非貫通孔52、貫通孔42及び非貫通孔53を、間隔を隔てて、同一直線上に配置した構造を持つ。非貫通孔52の第2の内導体82は導体92を介して、貫通孔42の第1の内導体62に電気的に導通される。貫通孔42の第1の内導体62は、導体93を介して、非貫通孔53の第2の内導体83に電気的に導通する。
【0121】
更に、第2の共振部Q2の非貫通孔52と、第1の共振部Q1の貫通孔41が容量結合し、第2の共振部Q2の非貫通孔53と、第3の共振部Q3の貫通孔43とが容量結合している。
【0122】
図35は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。図示実施例の特徴は、第1の端子11及び第2の端子12が、主面21に隣接する誘電体基体1の側面25に形成されていることである。第1の端子11は、ギャップg1によって外導体3から電気絶縁され、非貫通孔51の内導体81と容量結合している。第2の端子12は、ギャップg2によって外導体3から電気絶縁され、非貫通孔54の内導体と容量結合する。
【0123】
第1の端子11及び第2の端子12を誘電体基体1の側面に設ける場合、種々の態様が考えられる。図35の実施例では、一例として、第1の端子11及び第2の端子12を、上端縁が主面21に沿うようにして、誘電体基体1の側面25に設けてある。
【0124】
上述構成による作用及び効果については、上述した図4〜図16と同様であるので、重複説明を省略する。
【0125】
図36は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。図示実施例において、第1〜第3の共振部Q1〜Q3を有する。第1の共振部Q1は、貫通孔41を中心にして、非貫通孔51及び非貫通孔52を、それぞれ直角方向に配置し、貫通孔41の第1の内導体61に対して、非貫通孔51の第2の内導体81を、導体91により接続し、非貫通孔52の第2の内導体82を導体92により接続してある。
【0126】
第3の共振部Q3は、貫通孔43を中心にして、非貫通孔53及び非貫通孔54を、それぞれ直角方向に配置し、貫通孔43の第1の内導体63に対して、非貫通孔53の第2の内導体83を導体93により接続し、非貫通孔54の第2の内導体84を導体94により接続してある。
【0127】
第2の共振部Q2は、第1の共振部Q1の非貫通孔52と、第3の共振部Q3の非貫通孔53との間に、貫通孔42として設けられている。第2の共振部Q2を構成する貫通孔42は内導体62を有している。第1の共振部Q1は非貫通孔52により第2の共振部Q2に容量結合し、第3の共振部Q3は、非貫通孔53により、第2の共振部Q2に容量結合する。
【0128】
上述構成による作用及び効果については、図4〜図16と同様であるので、重複説明を省略する。
【0129】
図37は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。第1の共振部Q1は、側面25−26間の方向に配置された貫通孔41及び非貫通孔51を有し、貫通孔41の第1の内導体61と、非貫通孔51の第2の内導体81を、主面21に設けられた導体91によって接続するとともに、主面21において、内導体91から延長された導体92を有している。
【0130】
第3の共振部Q3は、側面25−26間の方向に配置された貫通孔43及び非貫通孔54を有し、貫通孔43の第1の内導体63と、非貫通孔54の第2の内導体84を、主面21に設けられた導体96によって接続するとともに、主面21において、導体96から延長された導体95を有している。
【0131】
第2の共振部Q2は、非貫通孔52、貫通孔42及び非貫通孔53を、間隔を隔てて、同一直線上に配置した構造を持つ。非貫通孔52の第2の内導体82は、導体93を介して、貫通孔42の第1の内導体62に電気的に導通される。貫通孔42の第1の内導体62は、更に、導体94を介して、非貫通孔53の第2の内導体83に電気的に導通する。
【0132】
この第2の共振部Q2は、第1の共振部Q1と、第3の共振部Q3との間に配置されており、第2の共振部Q2の非貫通孔52が、第1の共振部Q1の貫通孔41、及び、導体92に容量結合し、更に、第2の共振部Q2の非貫通孔53が、第3の共振部Q3の貫通孔43、及び、導体95と容量結合している。
【0133】
上述構成による作用及び効果については、図4〜図16と実質的に同様であるので、重複説明を省略する。
【0134】
図38は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。この実施例は、基本的には、図33〜図35に図示したものと同じである。図33〜図35に示した実施例と異なる点は、非貫通孔52、53の孔径が、中間の貫通孔42よりも小孔径となっていることである。非貫通孔52、53の孔径を変更することにより、容量結合度を調整できることを示唆するものである。
【0135】
図39は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図、図40は図39に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図である。図39及び図40に示した実施例では、第1の共振部Q1の非貫通孔51、及び、第3の共振部Q3の非貫通孔52は、折れ線状の溝形状となっている。この実施例は、非貫通孔51及び52の形状変更の可能性を示唆するものであり、それによって、結合容量を調整できる。
【0136】
第1の共振部Q1と第3の共振部Q3とを、中間に設けた第2の共振部Q2によって容量結合する点は、図36に図示した実施例と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0137】
図41は本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。この実施例では、第1の共振部Q1の非貫通孔51、及び、第3の共振部Q3の非貫通孔52は、コ字状の溝形状となっている。すなわち、非貫通孔51及び52も形状変更が可能である。貫通孔41〜43及び非貫通孔51、52は、この他にも、楕円形状等、種々の口形を取ることができる。
【0138】
図42は、本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。図示実施例の第1の共振部Q1において、第2の共振部Q2との間の主面21の面上には、導体301が設けられている。導体301は、Cu、Ag等を主成分とする導電材料を、塗布し、またはメッキ等することによって形成することができる。第2の共振部Q2及び第3の共振部Q3は、第2の共振部Q2の非貫通孔52と、第3の共振部Q3の貫通孔43との容量結合によって、結合される。
【0139】
以上の実施例は、主として、共振器長が(λ/4)の場合の誘電体フィルタの例を示す。共振器長が(λ/2)の誘電体フィルタを得るには、各実施例において、対向面22が外導体3によって覆われていない構造とすればよい。
【0140】
次に、本発明に係る誘電体装置のもう一つの重要な適用例であるデュプレクサについて説明する。図43は本発明に係るデュプレクサを示す斜視図、図44は図43に示したデュプレクサを底面側から見た斜視図である。
【0141】
図示されたデュプレクサは第1〜第6の共振部Q1〜Q6(合計6個)を有する。共振部の個数は任意である。第1〜第6の共振部Q1〜Q6のそれぞれは、誘電体基体1を共用し、誘電体基体1を介して一体化されている。誘電体基体1は、主面21となる一面を除いて、外面22〜26の大部分が外導体3によって覆われている。
【0142】
第1〜第6の共振部Q1〜Q6の内、第1の共振部Q1は貫通孔41と非貫通孔51との組み合わせ、第2の共振部Q2は貫通孔42と非貫通孔52との組み合わせを、第3の共振部Q3は貫通孔43と非貫通孔53との組み合わせを、また、第4の共振部Q4は貫通孔44と非貫通孔54との組み合わせを、それぞれ含む。共振部Q5は貫通孔45と非貫通孔55、56との組み合わせを、また、共振部Q6は貫通孔46と非貫通孔57との組み合わせを、それぞれ含む。
【0143】
貫通孔41〜46と、非貫通孔51〜57の個別的構造、及び、相対関係の詳細は、図1〜図42を参照して説明した通りである。
【0144】
デュプレクサは、アンテナ共用器として用いられるので、第1〜第6の共振部Q1〜Q6は、受信用及び送信用の2つに分けられる。以下、第1〜第3の共振部Q1〜Q3を送信用として用い、第4の共振部Q4〜Q6を受信用として用る場合を例にとって説明する。
【0145】
送信周波数と受信周波数は互いに異なるので、第1〜第3の共振部Q1〜Q3の共振特性は送信周波数に合わせられ、第4〜第6の共振部Q4〜Q6の共振特性は受信周波数に合わせられる。
【0146】
送信側において、第1の共振部Q1と、第2の共振部Q2との間の主面21の面上には、導体302が設けられており、送信側の第2の共振部Q2は第1の共振部Q1に誘導結合されている。但し、第1の共振部Q1及び第2の共振部Q2が容量結合であってもよいことは、これまで説明した点から明らかである。送信側の第2の共振部Q2及び第3の共振部Q3は、非貫通孔52と貫通孔43との容量結合により結合されている。
【0147】
受信側の第4の共振部Q4及び第5の共振部Q5は、貫通孔44と非貫通孔55との容量結合によって結合され、第5の共振部Q5及び第6の共振部Q6は非貫通孔56と貫通孔46との容量結合によって結合される。
【0148】
上記構成によれば、第1〜第6の共振部Q1〜Q6のそれぞれにおいて、所定の共振波長を得るのに、誘電体基体1の主面21からその対向面22までの高さを、非貫通孔51〜57の深さと、非貫通孔51〜57のそれぞれから貫通孔41〜46からまでの間隔との和の分だけ縮小でき、従って、誘電体基体1を低背化し、小型化し得ることは、図1〜図42を参照して説明したところから明らかである。
【0149】
また、第2の共振部Q2及び第3の共振部Q3の結合手段、及び、第4〜第6の共振部Q4〜Q6の結合手段として、主面21に導体パターンを形成する必要がなくなるため、デュプレクサの小型化が容易になること、また、導体パターン形成用スクリーン印刷工程が不要であるから、製造コストが安価になることも、既に述べたとおりである。更に、非貫通孔51〜57の深さ、及び、第1〜第6の共振部Q1〜Q6のそれぞれにおける孔間隔を調整することによって共振波長を調整し、共振周波数を所定値に高精度であわせ込むことができることも、既に述べたとおりである。
【0150】
送信側の第1の共振部Q1に含まれる非貫通孔51には、対向面22に設けられた送信用の第1の端子11が、誘電体基体1による誘電体層を介して、容量結合されている。この場合の容量結合の詳細は、既に説明した通りである。
【0151】
送信側の第3の共振部Q3の非貫通孔53と、受信側の第4の共振部Q4の非貫通孔54には、誘電体基体1の対向面22の側に設けられた第3の端子13が、誘電体基体1による誘電体層を介して、容量結合されている。第3の端子13はアンテナ接続端子として用いられる。
【0152】
第6の共振部Q6の非貫通孔57に対しては、対向面22の側において、第2の端子12が結合される。第2の端子12は受信用として用いられる。第1乃至第3の端子11〜13は、対向面22において、絶縁ギャップg1〜g3によって外導体3から電気絶縁した状態で、配置されている(図44参照)。
【0153】
上述した端子配置によれば、第1乃至第3の端子11〜13を実装基板上に面付けすることが可能になる。
【0154】
図45は、図43に示した表面側構造を有するデュプレクサにおいて採り得る底面側の端子配置を示す斜視図である。図において、図44に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。図示実施例において、第3の共振部Q3に含まれる非貫通孔53には、誘電体基体1の対向面22の側に設けられた第3の端子13が、誘電体基体1による誘電体層を介して、容量結合されている。
【0155】
図46は、本発明に係るデュプレクサの別の実施例を示す斜視図である。図において、図43に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。この実施例では、第1乃至第3の端子11〜13が、誘電体基体1の側面25に設けられている。第1及び第2の端子11、12は、誘電体基体1による誘電体層を介して、非貫通孔51及び57の内導体とそれぞれ容量結合している。アンテナ接続端子となる第3の端子13は、第3の共振部Q3と第4の共振部Q4との間の設けられた導体303に連続している。第3の端子13は、第3の共振部Q3及び第4の共振部Q4に対して容量結合することになる。
【0156】
図47は本発明に係るデュプレクサの更に別の実施例を示す斜視図である。この実施例では、第3の端子13は、誘電体基体1による誘電体層を介して、非貫通孔53の内導体と容量結合している。
【0157】
図示は省略するが、デュプレクサについても、誘電体フィルタで例示した各種の構造を採用することができることは勿論である。
【0158】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)小型化及び低背化に適した誘電体装置、具体的には、誘電体共振器、誘電体フィルタ、デュプレクサを提供することができる。
(b)共振周波数の調整の可能な誘電体装置、具体的には、誘電体共振器、誘電体フィルタ、デュプレクサを提供することができる。
(c)製造コストの安価な誘電体装置、具体的には、誘電体共振器、誘電体フィルタ、デュプレクサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る誘電体装置の斜視図である。
【図2】図1に示した誘電体装置の平面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明に係る誘電体フィルタの斜視図である。
【図5】図4に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図である。
【図6】図4の6−6線に沿った断面図である。
【図7】図4の7−7線に沿った断面図である。
【図8】図4の8−8線に沿った断面図である。
【図9】図4〜図8に示した誘電体フィルタの平面図である。
【図10】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。
【図11】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。
【図12】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。
【図13】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。
【図14】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。
【図15】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。
【図16】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す平面図である。
【図17】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図18】図17に示した誘電体フィルタの正面断面図である。
【図19】図17及び図18に示した誘電体フィルタの周波数−伝送特性のシミュレーションデータをグラフ化して示す図である。
【図20】図17及び図18に示した誘電体フィルタにおいて、非貫通孔の深さH21を変えた時の第1の極PK1、第2の極PK2、中心周波数fc、及び、第1の極PK1と第2の極PK2との差(PK2−PK1)のデータを、グラフ化して示す図である。
【図21】第1の極PK1の周波数変化率特性、及び、第2の極PK2の周波数変化率特性を示す図である。
【図22】図17及び図18に示した誘電体フィルタにおいて、非貫通孔の深さH21を変えた時のBW10の変化特性をグラフ化して示す図である。
【図23】図22に示したデータの取り方を説明する図である。
【図24】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図25】図24に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図である。
【図26】図24及び図25に示した誘電体フィルタの周波数−伝送特性を示す図である。
【図27】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図28】図27に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図である。
【図29】図27及び図28に示した誘電体フィルタの周波数−伝送特性を示す図である。
【図30】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図31】図30に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図である。
【図32】図30の32−32線に沿った断面図である。
【図33】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図34】図33の34−34線に沿った断面図である。
【図35】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図36】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図37】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図38】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図39】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図40】図39に示した誘電体フィルタを底面側から見た斜視図である。
【図41】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図42】本発明に係る誘電体フィルタの更に別の実施例を示す斜視図である。
【図43】本発明に係るデュプレクサを示す斜視図である。
【図44】図43に示したデュプレクサを底面側から見た斜視図である。
【図45】図43に示した表面側構造を有するデュプレクサにおいて採り得る底面側の端子配置を示す斜視図である。
【図46】本発明に係るデュプレクサの別の実施例を示す斜視図である。
【図47】本発明に係るデュプレクサの更に別の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1         誘電体基体
21        主面
22        対向面
3         外導体
41〜46     貫通孔
51〜57     非貫通孔
61〜66     第1の内導体
81〜87     第2の内導体
Q1〜Q6     共振部

Claims (10)

  1. 誘電体基体と、第1の共振部と、第2の共振部とを含む誘電体装置であって、
    前記誘電体基体は、主面を除く外面が外導体によって覆われており、
    前記第1の共振部は、貫通孔と、非貫通孔とを含んでおり、
    前記貫通孔は、
    前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面及び前記対向面に開口し、内部に第1の内導体を備え、前記第1の内導体は前記対向面において前記外導体に連続しており、
    前記非貫通孔は、
    前記貫通孔から間隔を隔てて前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面に開口し、底部が閉じていて、内部に第2の内導体を備え、前記第2の内導体は、前記主面において、前記第1の内導体に連続しており、
    前記第2の共振部は、前記第1の共振部と隣接し、前記第2の内導体と電気的に結合している
    誘電体装置。
  2. 請求項1に記載された誘電体装置であって、
    前記第2の共振部は、貫通孔と、非貫通孔とを含んでおり、
    前記貫通孔は、
    前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面及び前記対向面に開口し、内部に第1の内導体を備え、前記第1の内導体は前記対向面において前記外導体と連続しており、
    前記非貫通孔は、
    前記貫通孔から間隔を隔てて前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面に開口し、底部が閉じていて、内部に第2の内導体を備え、前記第2の内導体は、前記主面において、前記第1の内導体に連続しており、
    前記第2の共振部の前記第1の内導体が、前記第1の共振部の前記第2の内導体と電気的に結合している
    誘電体装置。
  3. 請求項1に記載された誘電体装置であって、
    前記第2の共振部は、貫通孔と、非貫通孔とを含んでおり、
    前記貫通孔は、
    前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面及び前記対向面に開口し、内部に第1の内導体を備え、前記第1の内導体は前記対向面において前記外導体と連続しており、
    前記非貫通孔は、
    前記貫通孔から間隔を隔てて前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面に開口し、底部が閉じていて、内部に第2の内導体を備え、前記第2の内導体は、前記主面において、前記第1の内導体に連続しており、
    前記第2の共振部の前記第2の内導体が、前記第1の共振部の前記第1の内導体と電気的に結合している
    誘電体装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載された誘電体装置であって、少なくとも1つの端子を備えており、前記端子は、前記誘電体基体の前記外面に備えられ、前記誘電体基体を介して、前記第1の共振部の前記第2の内導体と電気的に結合する
    誘電体装置。
  5. 誘電体基体と、第1の共振部と、第2の共振部と、第1の端子と、第2の端子とを含む誘電体装置であって、
    前記誘電体基体は、主面を除く外面が外導体によって覆われており、
    前記第1の共振部および第2の共振部のそれぞれは、貫通孔と、非貫通孔とを含んでおり、
    前記貫通孔は、
    前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面及び前記対向面に開口し、内部に第1の内導体を備え、前記第1の内導体は前記対向面において前記外導体に連続しており、
    前記非貫通孔は、
    前記貫通孔から間隔を隔てて前記誘電体基体に設けられ、前記主面からその対向面に向かい、前記主面に開口し、底部が閉じていて、内部に第2の内導体を備え、前記第2の内導体は、前記主面において、前記第1の内導体に連続しており、
    前記第1の共振部の前記第2の内導体は、前記誘電体基体を介して、前記外導体と容量結合しており、
    前記第2の共振部の前記第2の内導体は、前記誘電体基体を介して、前記外導体と容量結合しており、
    前記第1の端子は、前記誘電体基体を介して、前記第1の共振部の前記第2の内導体と容量結合しており、
    前記第2の端子は、前記誘電体基体を介して、前記第2の共振部の第2の内導体と容量結合している
    誘電体装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載された誘電体装置であって、前記共振部の少なくとも1つは、前記非貫通孔が複数である誘電体装置。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載された誘電体装置であって、前記対向面は、前記外導体によって覆われていない誘電体装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載された装置であって、誘電体フィルタである装置。
  9. 請求項1乃至7の何れかに記載された装置であって、デュプレクサである装置。
  10. 請求項9に記載された装置であって、
    3つ以上の共振部と、第1乃至第3の端子とを含み、
    前記第1の端子は、前記共振部の少なくとも一つに電気的に結合し、
    前記第2の端子は、前記共振部の他の少なくとも一つに電気的に結合し、
    前記第3の端子は、前記共振部の残りの少なくとも一つに電気的に結合されている
    装置。
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