JP2004039559A - 雌型端子金具及びコネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は弾性接触片の塑性変形を回避し、タブに対する十分な接圧を得ることができる雌型端子金具及びこれを用いたコネクタを提供する。
【解決手段】雄型端子金具10のタブ部11が挿入される角筒部21を備え、その角筒部21の開口端部から延びる弾性接触片25が角筒部21内へ折返し状態となっている雌型端子金具20において、タブ部11が角筒部21に挿入されたときに、角筒部21のうち弾性接触片先端部26が当接する部分に、弾性接触片25からの力を受けて変形する弾性変形部33を設けた。この結果、弾性接触片25に加わる応力が弾性変形部33に分散されるので、弾性接触片25が塑性変形することが防止される。また、タブ部11には、弾性接触片25の弾発力に加えて、弾性変形部33の弾発力も加わるので、タブ部11が角筒部21に弾接されるために必要な接圧を得ることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】雄型端子金具10のタブ部11が挿入される角筒部21を備え、その角筒部21の開口端部から延びる弾性接触片25が角筒部21内へ折返し状態となっている雌型端子金具20において、タブ部11が角筒部21に挿入されたときに、角筒部21のうち弾性接触片先端部26が当接する部分に、弾性接触片25からの力を受けて変形する弾性変形部33を設けた。この結果、弾性接触片25に加わる応力が弾性変形部33に分散されるので、弾性接触片25が塑性変形することが防止される。また、タブ部11には、弾性接触片25の弾発力に加えて、弾性変形部33の弾発力も加わるので、タブ部11が角筒部21に弾接されるために必要な接圧を得ることができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雌型端子金具及びこれを用いたコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾性接触片を備えた雌型端子金具として図8に示すものが知られている。この雌型端子金具1は、雄型端子金具2のタブ部3が挿入される角筒部4を備え、その角筒部4の開口部5から延びる弾性接触片6が前記角筒部4内へ折返し状態となっている。この弾性接触片6は側方から見て全体に山形に形成され、その頂点部分がタブ部3との接点部7とされる。この雌型端子金具1の角筒部4内にタブ部3を挿入すると、タブ部3によって弾性接触片6が押し下げられ、弾性接触片6の基端部8と、接点部7とが弾性変形する。このようにして発生した弾発力により、雄型端子金具2のタブ部3は角筒部4の内壁面9に弾接される。
なお、このような雌側端子金具の一例が特開平4−115475号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような構造では、弾性接触片の基端部と、接点部とに応力が集中するため、特に応力集中の著しい接点部において塑性変形が生じる結果、タブ部への接圧が低下することがあった。
【0004】
この問題を解決するためには、弾性接触片の基端部、及び接点部に集中する応力を分散させればよい。しかしながら、雌型端子金具の構造上、上記以外の部分に応力を分散させることが困難であると考えられていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、弾性接触片の塑性変形を回避し、タブに対する十分な接圧を得ることができる雌型端子金具及びこれを用いたコネクタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、雄型端子金具のタブ部が挿入される角筒部を備えると共に、その角筒部内に前記タブ部と接触する折り返し状の弾性接触片を設けてなる雌型端子金具において、前記タブ部が前記角筒部に挿入されたときに前記角筒部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する部分に、前記弾性接触片からの力を受けて変形する弾性変形部を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の雌型端子金具において、前記弾性変形部は、前記角筒部の壁部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する領域を弾性接触片の両側から挟む位置に2本のスリットを設けることにより形成された両持ち状の板バネ部からなることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の雌型端子金具において、前記弾性変形部は、前記角筒部の壁部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する領域を囲むコ字型のスリットを設けることにより形成された片持ち状の板バネ部からなることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の雌型端子金具において、前記片持ち状の板バネ部は、前記弾性接触片の先端部側を自由端としていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、雌型端子金具を挿入可能なキャビティが形成された合成樹脂製のコネクタハウジングを備えたコネクタであって、前記雌型端子金具は、雄型端子金具のタブ部が挿入される角筒部を備えると共に、その角筒部内に前記タブ部と接触する折返し状の弾性接触片を設けてなる雌型端子金具において、前記タブ部が前記角筒部に挿入されたときに前記角筒部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する部分に、前記弾性接触片からの力を受けて変形する弾性変形部が設けられており、前記コネクタハウジングの前記キャビティには、前記雌型端子金具に設けられた前記弾性変形部と対向する壁面に凹部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、雌型端子金具の角筒部内にタブ部が挿入されると、タブ部に押し下げられることにより、弾性接触片の先端部は角筒部の内壁面に押さえ付けられた状態になる。この弾性接触片の先端部が当接している部分は、弾性変形部となっているので、弾性接触片からの力を受けて弾性変形する。このため、タブ部が角筒部内に挿入されることにより、弾性接触片の基端部、及び接点部へ集中していた応力が、弾性変形部に分散されることになる。この結果、接点部が塑性変形することが防止される。
【0012】
そして、タブ部には、弾性接触片の基端部の弾発力と、接点部の弾発力と、弾性変形部の弾発力とが加わっているので、タブ部に対する必要な接圧を得ることができる。
【0013】
以上より、請求項1の発明によれば、タブ部を角筒部に挿入した場合、弾性接触片が塑性変形することが防止されるとともに、タブ部に対する必要な接圧を与える雌型端子金具を得ることができる。
【0014】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、弾性変形部として、角筒部の壁部のうち弾性接触片の先端部が当接する領域を弾性接触片の両側から挟む位置に2本のスリットを設けることにより、両持ち状の板バネ部が形成されているから、簡単な構造で弾性変形部を構成できる。
【0015】
この構造では、タブ部が角筒部に差し込まれるにしたがって、弾性接触片の先端部は、板バネとなっている角筒の内壁面と当接しながら、次第にタブ部の挿入方向に移動する。このとき、弾性接触片の先端部が、撓みにくい板バネ支点部分から、撓みやすい板バネ中央部分へと移動するようにすれば、タブ部が角筒に挿入されるにしたがって、板バネは次第に弾性変形しやすくなる。このため、タブが深く挿入されて接点部に加わる応力が増大しても、板バネの変形量が次第に増加することになるので、弾性接触片が接点部において塑性変形することが防止される。このとき、タブ部には接触片の基端部、及び接点部の弾発力に加えて、板バネの弾発力も伝えられるので必要な接圧を得ることができる。
【0016】
以上より請求項2の発明によれば、タブ部が深く挿入されて、接点部に加わる応力が増大した場合でも、弾性接触片が塑性変形することが防止され、タブ部に対する必要な接圧を与える雌型端子金具を得ることができる。
【0017】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、弾性変形部として、角筒部の壁部のうち弾性接触片の先端部が当接する領域を囲むコ字型のスリットを設けることにより、片持ち状の板バネ部が形成されている。
【0018】
片持ち状の板バネは自由端を有するため、両持ち状の板バネと比べて撓み変形量を大きくとることができる。このため、タブ部を挿入する際に、何らかの理由で弾性接触片が過度に押し下げられる事態が生じても、片持ち状の板バネにより応力が効果的に分散されるので、このような場合でも弾性接触片が塑性変形することを防止できるとともに、タブに対する必要な接圧を与える雌型端子金具を得ることができる。
【0019】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、請求項3記載の雌型端子金具において、片持ち状の板バネ部は、弾性接触片の先端部側を自由端とする。
【0020】
タブ部が角筒に差し込まれるにしたがって、弾性接触片の先端部は、板バネとなっている角筒の内壁面と当接しながら、次第にタブの挿入方向に移動する。このとき、弾性接触片の先端部は、撓みにくい板バネ支点部分から、撓みやすい板バネ自由端へと移動することになるので、タブ部が角筒に差し込まれるにしたがって、板バネは次第に弾性変形しやすくなる。このため、タブが深く挿入されて接点部に加わる応力が増大しても、板バネの変形量が次第に増加することになるので、弾性接触片が接点部において塑性変形することが防止される。このとき、タブ部には接触片の基端部、及び接点部の弾発力に加えて、板バネの弾発力も伝えられるので必要な接圧を得ることができる。
【0021】
また、片持ち状の板バネは自由端を有するため、両持ち状の板バネと比べて撓み変形量を大きくとることができる。このため、タブ部を挿入する際に、何らかの理由で弾性接触片が過度に押し下げられる事態が生じても、片持ち状の板バネにより応力が効果的に分散されるので、このような場合でも弾性接触片が塑性変形することを防止できるとともに、タブに対する必要な接圧を得ることができる。
【0022】
以上より、請求項4の発明によれば、何らかの理由で弾性接触片が正常な位置よりも押し下げられる状態で、タブ部が深く挿入されて接点部に加わる応力が増大した場合でも、弾性接触片が塑性変形することが防止できるとともに、タブ部に対する必要な接圧を確保しうる雌型端子金具を得ることができる。
【0023】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、雌型端子金具を挿入可能なキャビティが形成されたコネクタハウジングを備えたコネクタにおいて、このキャビティには、雌型端子金具に設けられた弾性変形部と対向する壁面に凹部が設けられている。このため、弾性変形部はコネクタハウジングの壁面と接触することなく容易に弾性変形できる。弾性変形部が容易に弾性変形できるので、雌型端子金具の角筒部内にタブ部が挿入された場合、弾性接触片に集中していた応力が弾性変形部に効果的に分散される結果、弾性接触片が塑性変形することが防止される。また、タブ部には弾性接触片の弾発力と、弾性変形部の弾発力とが加わるので、タブ部に対して必要な接圧を得ることができる。
【0024】
以上より、請求項5の発明によれば、タブ部を角筒部に挿入した場合、弾性接触片が塑性変形することが防止されるとともに、タブ部に対して必要な接圧を与えるコネクタを得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図6によって説明する。本実施形態は、本発明になる雌型端子金具20をコネクタハウジング50(以下、単にハウジング50という)内に収容したものである。なお、以下では、図1及び図3における左方を前方とし、右方を後方として説明する。
【0026】
ハウジング50は合成樹脂製とされており、その内部には、雌型端子金具20を挿入可能なキャビティ51が形成されている。キャビティ51の上面側には雌型端子金具20を保持するためのランス52が設けられている。ランス52の前端部は、キャビティ51内に正規深さまで挿入された雌型端子金具20と係止可能に形成されている。
【0027】
ランス52の前方には、ハウジング50の成形時にランス52を型抜きするための型抜き孔53が開口して形成されている。この型抜き孔53と連通する形態で、キャビティ51の前壁55には、雄型端子金具10のタブ部11が前方からキャビティ51内に侵入するのを許容するタブ挿通孔54が開設されている。また、タブ挿通孔54の孔縁前部には、タブ部11をキャビティ51内に誘い込むためのテーパ状の誘導面が設けられている。
【0028】
ハウジング50に挿入される雌型端子金具20は、金属板を所定形状に打ち抜いたものに曲げ加工等を施すことにより、前後方向に細長い形状に作製される。雌型端子金具20の前端部には、雄型端子金具10のタブ部11が挿入される角筒部21が形成され、後端部には、電線40がかしめ付けられるバレル部22が形成されている。
【0029】
バレル部22には、前後一対ずつのかしめ片22A、22Bが、それぞれ対向して設けられている。前側の両かしめ片22Aは、電線40の芯線41をかしめ付けており、後ろ側の両かしめ片22Bは、電線40の被覆42をかしめ付けている。
【0030】
角筒部21は、前後に細長い底壁(内壁面に相当する)28と、底壁28の両側縁から立ち上がる側壁29、30と、一方の側壁29の上端縁から底壁28と対向するように形成されている天井壁31と、他方の側壁30の上端縁から、天井壁31の外側に重ね合わされるように形成されている外壁32とから構成される。このうち底壁28の前端部には、板状の弾性接触片25が設けられている。
【0031】
弾性接触片25は、底壁28の前端部と連なる弾性接触片基端部24から角筒部21内へ折返し状態となっている。この弾性接触片25は、側方から見て全体が略山形に屈曲した状態に形成されている。弾性接触片25の中央部付近には頂点部分が形成されており、この頂点部分には接点部23が上方へ打ち出し成形されている。
【0032】
接点部23は、上方から見て略菱形をした基部23Aと、基部23Aの中央にあって上方から見て円形をした接点部23Bとからなり、接点部23Bには、その前後方向の直径部分に溝部23Cが形成されている。
【0033】
弾性接触片先端部26は、底壁28に当接しており、雄型端子金具10のタブ部11が角筒部21に挿入されるにつれて、底壁28と当接しながら、後方へ変位する構造となっている。
【0034】
さて、底壁28には、タブ部11が角筒部21に挿入された際に、弾性接触片先端部26が変位する領域を、弾性接触片25の両側から挟む位置に2本のスリット27が設けられている。この結果、2本のスリット27に挟まれた領域は、両持ち状の板バネ33となっている。弾性接触片先端部26は、弾性接触片25が自然状態の時には板バネ33の前端部付近に位置し、タブ部11が正規深さにまで挿入された時には、板バネ33の中央部付近に位置する。なお、板バネ33が容易に変位可能となるよう、ハウジング50内のキャビティ51の下面側には、凹部56が設けられている。
【0035】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。雄型端子金具10のタブ部11を雌型端子金具20の角筒部21に挿入すると、まず、タブ部11と接点部23とが接触し、タブ部11が接点部23を押し下げる。すると、弾性接触片先端部26が角筒部21の底壁28に押しつけられる。これらの結果、弾性接触片基端部24が撓み変形し、また、接点部23が、弾性接触片基端部24、及び弾性接触片先端部26とを支点として拡開変形する。これらの変形により、弾発力が発生し、この弾発力が接点部23を介してタブ部11に加わり、タブ部11は天井壁31に弾接される。
【0036】
さらにタブ部11が挿入されるにつれて、弾性接触片25には押圧力が加わり、拡開変形量が大きくなる。同時に、弾性接触片先端部26は、拡開変形量の増大に伴って、底壁28と当接しながら後方へ変位する。底壁28において、弾性接触片先端部26が当接しながら変位する領域は、2本のスリット27に挟まれて両持ち状の板バネ33となっている。このため、タブ部11が挿入されるに従って、弾性接触片25を接点部において拡開変形させようとする応力は増大するものの、この応力は、板バネ33が撓み変形することにより分散される。この結果、接点部において弾性接触片25が塑性変形することが防止される。このとき、ハウジング50内のキャビティ51の下面側には、凹部56が設けられているので、板バネ33はハウジング50と接触することなく撓み変形することができる。
【0037】
また、タブ部11には、接点部23を介して、弾性接触片基端部24からの弾発力と、接点部23における弾発力と、板バネ33の弾発力とが加わるので、タブ部11が天井壁31に弾接されるために必要とされる接圧を得ることができる。
【0038】
そして、弾性接触片先端部26は、底壁28と当接しながら後方へ変位する際、板バネ33が撓み変形しにくい支点部から、撓み変形しやすい中央部へと変位する。このため、タブ部11が深く挿入されて接点部23に加わる応力が増大した場合でも、板バネ33は撓みやすい状態にあるので、応力が効果的に分散される結果、弾性接触片25の塑性変形が防止される。しかも、板バネ33の弾発力はタブ部11に加わるので、必要な接圧を得ることができる。
【0039】
上述のように本実施形態においては、雌型端子金具20の底壁28に、2本のスリット27を、弾性接触片先端部26が底壁28と当接しながら変位する領域を囲むように形成することにより板バネ部33を形成した。これにより、弾性接触片の接点部23に加わる応力を効果的に分散することができるので、弾性接触片25の塑性変形を回避し、タブ部11に対して十分な接圧を加えることのできる雌型端子金具20、及びこの雌型端子金具20を用いたコネクタ57を得ることができる。
【0040】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図7によって説明する。第1実施形態との相違は、スリットの形状をコ字状することにより片持ち状の板バネを形成し、この片持ち状の板バネ部の自由端を、前記弾性接触片の先端部側するように形成したところにあり、その他は前記実施形態と同様である。前記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
第2実施形態では、タブ部11が角筒部21に挿入されるにつれて弾性接触片先端部26が底壁28と当接しながら後方へ変位する領域を囲んでコ字状にスリット27が形成されることにより、片持ち状の板バネ33が形成されている。そして、片持ち状の板バネ33の自由端は、弾性接触片先端部26の側に形成された構造となっている。
【0042】
板バネ33が片持ち状となっているため、板バネ33の変位量を、両持ち状の場合と比べて大きくとることができる。この結果、弾性接触片25が何らかの原因で過度に押し下げられた場合でも、接点部23に加わる応力を、板バネ33の撓み変形により効果的に分散することができるので、弾性接触片25が塑性変形するのを防止することができる。また、このとき、タブ部11には、弾性接触片25の弾発力のみならず、板バネ33の弾発力をも加わるので、タブ部11が天井壁に弾接されるために必要な接圧を得ることができる。
【0043】
そして、弾性接触片先端部26は、底壁28と当接しながら後方へ変位する際、板バネ33が撓み変形しにくい支点部から、撓み変形しやすい自由端へと変位する。このため、タブ部11が深く挿入されて接点部23に加わる応力が増大した場合でも、板バネ33は撓みやすい状態にあるので、応力が効果的に分散される結果、弾性接触片25の塑性変形が防止される。しかも、板バネ33の弾発力はタブ部11に加わるので、必要な接圧を得ることができる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0045】
(1)上記した実施形態では、角筒部において、天井壁の上に外壁が重なって形成されていたが、これに限られず、角筒部の上部壁面が天井壁のみで形成されている雌型端子金具にも適用することができる。
【0046】
(2)上記した実施形態では、弾性接触片は、角筒部の開口端部から延びて、角筒部内へ折返し状態となっているものとしたが、これに限られず、角筒部の開口端部から延びて、角筒部内へ折返し状態とした後、更に弾性接触片の先端部を再び開口部に向かって下向きに折返した状態のものとしても構わない。また本発明は、角筒部の底壁から開口部とは反対側に向かって延び、開口部へ向かって折り返された状態となる弾性接触片にも適用することができる。
【0047】
(3)上記した第1実施形態では、底壁に設けた2本のスリットの幅は均一なものとしたが、これに限られず、スリットの幅を変化させることにより板バネに幅狭部を設け、容易に撓み変形する部位を形成してもよい。
【0048】
(4)上記した第2実施形態では、底壁に設けたスリットはコ字状としたが、これに限られず、例えばU字状としてもよい。また、スリットの幅を変化させることにより、板バネに幅狭部を設け、容易に撓み変形する部位を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る雌型端子金具の部分平断面図
【図2】雌型端子金具にタブ部が挿入される途中の状態を示す部分平断面図
【図3】コネクタハウジング及び雌形端子金具の部分側断面図
【図4】雌形端子金具がコネクタハウジングに装着された状態を示す側断面図
【図5】コネクタハウジングに装着された雌形端子金具にタブ部が挿入される途中の状態を示す側断面図
【図6】図5のA−A断面図
【図7】本発明の第2実施形態に係る雌形端子金具の部分平断面図
【図8】従来の雌形端子金具の斜視図
【符号の説明】
10…雄型端子金具
11…タブ
20…雌型端子金具
21…角筒部
23…接点部
24…弾性接触片基端部
25…弾性接触片
26…弾性接触片先端部
27…スリット
28…底壁
33…板バネ
50…コネクタハウジング
51…キャビティ
56…凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は、雌型端子金具及びこれを用いたコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾性接触片を備えた雌型端子金具として図8に示すものが知られている。この雌型端子金具1は、雄型端子金具2のタブ部3が挿入される角筒部4を備え、その角筒部4の開口部5から延びる弾性接触片6が前記角筒部4内へ折返し状態となっている。この弾性接触片6は側方から見て全体に山形に形成され、その頂点部分がタブ部3との接点部7とされる。この雌型端子金具1の角筒部4内にタブ部3を挿入すると、タブ部3によって弾性接触片6が押し下げられ、弾性接触片6の基端部8と、接点部7とが弾性変形する。このようにして発生した弾発力により、雄型端子金具2のタブ部3は角筒部4の内壁面9に弾接される。
なお、このような雌側端子金具の一例が特開平4−115475号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような構造では、弾性接触片の基端部と、接点部とに応力が集中するため、特に応力集中の著しい接点部において塑性変形が生じる結果、タブ部への接圧が低下することがあった。
【0004】
この問題を解決するためには、弾性接触片の基端部、及び接点部に集中する応力を分散させればよい。しかしながら、雌型端子金具の構造上、上記以外の部分に応力を分散させることが困難であると考えられていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、弾性接触片の塑性変形を回避し、タブに対する十分な接圧を得ることができる雌型端子金具及びこれを用いたコネクタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、雄型端子金具のタブ部が挿入される角筒部を備えると共に、その角筒部内に前記タブ部と接触する折り返し状の弾性接触片を設けてなる雌型端子金具において、前記タブ部が前記角筒部に挿入されたときに前記角筒部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する部分に、前記弾性接触片からの力を受けて変形する弾性変形部を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の雌型端子金具において、前記弾性変形部は、前記角筒部の壁部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する領域を弾性接触片の両側から挟む位置に2本のスリットを設けることにより形成された両持ち状の板バネ部からなることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の雌型端子金具において、前記弾性変形部は、前記角筒部の壁部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する領域を囲むコ字型のスリットを設けることにより形成された片持ち状の板バネ部からなることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の雌型端子金具において、前記片持ち状の板バネ部は、前記弾性接触片の先端部側を自由端としていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、雌型端子金具を挿入可能なキャビティが形成された合成樹脂製のコネクタハウジングを備えたコネクタであって、前記雌型端子金具は、雄型端子金具のタブ部が挿入される角筒部を備えると共に、その角筒部内に前記タブ部と接触する折返し状の弾性接触片を設けてなる雌型端子金具において、前記タブ部が前記角筒部に挿入されたときに前記角筒部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する部分に、前記弾性接触片からの力を受けて変形する弾性変形部が設けられており、前記コネクタハウジングの前記キャビティには、前記雌型端子金具に設けられた前記弾性変形部と対向する壁面に凹部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、雌型端子金具の角筒部内にタブ部が挿入されると、タブ部に押し下げられることにより、弾性接触片の先端部は角筒部の内壁面に押さえ付けられた状態になる。この弾性接触片の先端部が当接している部分は、弾性変形部となっているので、弾性接触片からの力を受けて弾性変形する。このため、タブ部が角筒部内に挿入されることにより、弾性接触片の基端部、及び接点部へ集中していた応力が、弾性変形部に分散されることになる。この結果、接点部が塑性変形することが防止される。
【0012】
そして、タブ部には、弾性接触片の基端部の弾発力と、接点部の弾発力と、弾性変形部の弾発力とが加わっているので、タブ部に対する必要な接圧を得ることができる。
【0013】
以上より、請求項1の発明によれば、タブ部を角筒部に挿入した場合、弾性接触片が塑性変形することが防止されるとともに、タブ部に対する必要な接圧を与える雌型端子金具を得ることができる。
【0014】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、弾性変形部として、角筒部の壁部のうち弾性接触片の先端部が当接する領域を弾性接触片の両側から挟む位置に2本のスリットを設けることにより、両持ち状の板バネ部が形成されているから、簡単な構造で弾性変形部を構成できる。
【0015】
この構造では、タブ部が角筒部に差し込まれるにしたがって、弾性接触片の先端部は、板バネとなっている角筒の内壁面と当接しながら、次第にタブ部の挿入方向に移動する。このとき、弾性接触片の先端部が、撓みにくい板バネ支点部分から、撓みやすい板バネ中央部分へと移動するようにすれば、タブ部が角筒に挿入されるにしたがって、板バネは次第に弾性変形しやすくなる。このため、タブが深く挿入されて接点部に加わる応力が増大しても、板バネの変形量が次第に増加することになるので、弾性接触片が接点部において塑性変形することが防止される。このとき、タブ部には接触片の基端部、及び接点部の弾発力に加えて、板バネの弾発力も伝えられるので必要な接圧を得ることができる。
【0016】
以上より請求項2の発明によれば、タブ部が深く挿入されて、接点部に加わる応力が増大した場合でも、弾性接触片が塑性変形することが防止され、タブ部に対する必要な接圧を与える雌型端子金具を得ることができる。
【0017】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、弾性変形部として、角筒部の壁部のうち弾性接触片の先端部が当接する領域を囲むコ字型のスリットを設けることにより、片持ち状の板バネ部が形成されている。
【0018】
片持ち状の板バネは自由端を有するため、両持ち状の板バネと比べて撓み変形量を大きくとることができる。このため、タブ部を挿入する際に、何らかの理由で弾性接触片が過度に押し下げられる事態が生じても、片持ち状の板バネにより応力が効果的に分散されるので、このような場合でも弾性接触片が塑性変形することを防止できるとともに、タブに対する必要な接圧を与える雌型端子金具を得ることができる。
【0019】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、請求項3記載の雌型端子金具において、片持ち状の板バネ部は、弾性接触片の先端部側を自由端とする。
【0020】
タブ部が角筒に差し込まれるにしたがって、弾性接触片の先端部は、板バネとなっている角筒の内壁面と当接しながら、次第にタブの挿入方向に移動する。このとき、弾性接触片の先端部は、撓みにくい板バネ支点部分から、撓みやすい板バネ自由端へと移動することになるので、タブ部が角筒に差し込まれるにしたがって、板バネは次第に弾性変形しやすくなる。このため、タブが深く挿入されて接点部に加わる応力が増大しても、板バネの変形量が次第に増加することになるので、弾性接触片が接点部において塑性変形することが防止される。このとき、タブ部には接触片の基端部、及び接点部の弾発力に加えて、板バネの弾発力も伝えられるので必要な接圧を得ることができる。
【0021】
また、片持ち状の板バネは自由端を有するため、両持ち状の板バネと比べて撓み変形量を大きくとることができる。このため、タブ部を挿入する際に、何らかの理由で弾性接触片が過度に押し下げられる事態が生じても、片持ち状の板バネにより応力が効果的に分散されるので、このような場合でも弾性接触片が塑性変形することを防止できるとともに、タブに対する必要な接圧を得ることができる。
【0022】
以上より、請求項4の発明によれば、何らかの理由で弾性接触片が正常な位置よりも押し下げられる状態で、タブ部が深く挿入されて接点部に加わる応力が増大した場合でも、弾性接触片が塑性変形することが防止できるとともに、タブ部に対する必要な接圧を確保しうる雌型端子金具を得ることができる。
【0023】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、雌型端子金具を挿入可能なキャビティが形成されたコネクタハウジングを備えたコネクタにおいて、このキャビティには、雌型端子金具に設けられた弾性変形部と対向する壁面に凹部が設けられている。このため、弾性変形部はコネクタハウジングの壁面と接触することなく容易に弾性変形できる。弾性変形部が容易に弾性変形できるので、雌型端子金具の角筒部内にタブ部が挿入された場合、弾性接触片に集中していた応力が弾性変形部に効果的に分散される結果、弾性接触片が塑性変形することが防止される。また、タブ部には弾性接触片の弾発力と、弾性変形部の弾発力とが加わるので、タブ部に対して必要な接圧を得ることができる。
【0024】
以上より、請求項5の発明によれば、タブ部を角筒部に挿入した場合、弾性接触片が塑性変形することが防止されるとともに、タブ部に対して必要な接圧を与えるコネクタを得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図6によって説明する。本実施形態は、本発明になる雌型端子金具20をコネクタハウジング50(以下、単にハウジング50という)内に収容したものである。なお、以下では、図1及び図3における左方を前方とし、右方を後方として説明する。
【0026】
ハウジング50は合成樹脂製とされており、その内部には、雌型端子金具20を挿入可能なキャビティ51が形成されている。キャビティ51の上面側には雌型端子金具20を保持するためのランス52が設けられている。ランス52の前端部は、キャビティ51内に正規深さまで挿入された雌型端子金具20と係止可能に形成されている。
【0027】
ランス52の前方には、ハウジング50の成形時にランス52を型抜きするための型抜き孔53が開口して形成されている。この型抜き孔53と連通する形態で、キャビティ51の前壁55には、雄型端子金具10のタブ部11が前方からキャビティ51内に侵入するのを許容するタブ挿通孔54が開設されている。また、タブ挿通孔54の孔縁前部には、タブ部11をキャビティ51内に誘い込むためのテーパ状の誘導面が設けられている。
【0028】
ハウジング50に挿入される雌型端子金具20は、金属板を所定形状に打ち抜いたものに曲げ加工等を施すことにより、前後方向に細長い形状に作製される。雌型端子金具20の前端部には、雄型端子金具10のタブ部11が挿入される角筒部21が形成され、後端部には、電線40がかしめ付けられるバレル部22が形成されている。
【0029】
バレル部22には、前後一対ずつのかしめ片22A、22Bが、それぞれ対向して設けられている。前側の両かしめ片22Aは、電線40の芯線41をかしめ付けており、後ろ側の両かしめ片22Bは、電線40の被覆42をかしめ付けている。
【0030】
角筒部21は、前後に細長い底壁(内壁面に相当する)28と、底壁28の両側縁から立ち上がる側壁29、30と、一方の側壁29の上端縁から底壁28と対向するように形成されている天井壁31と、他方の側壁30の上端縁から、天井壁31の外側に重ね合わされるように形成されている外壁32とから構成される。このうち底壁28の前端部には、板状の弾性接触片25が設けられている。
【0031】
弾性接触片25は、底壁28の前端部と連なる弾性接触片基端部24から角筒部21内へ折返し状態となっている。この弾性接触片25は、側方から見て全体が略山形に屈曲した状態に形成されている。弾性接触片25の中央部付近には頂点部分が形成されており、この頂点部分には接点部23が上方へ打ち出し成形されている。
【0032】
接点部23は、上方から見て略菱形をした基部23Aと、基部23Aの中央にあって上方から見て円形をした接点部23Bとからなり、接点部23Bには、その前後方向の直径部分に溝部23Cが形成されている。
【0033】
弾性接触片先端部26は、底壁28に当接しており、雄型端子金具10のタブ部11が角筒部21に挿入されるにつれて、底壁28と当接しながら、後方へ変位する構造となっている。
【0034】
さて、底壁28には、タブ部11が角筒部21に挿入された際に、弾性接触片先端部26が変位する領域を、弾性接触片25の両側から挟む位置に2本のスリット27が設けられている。この結果、2本のスリット27に挟まれた領域は、両持ち状の板バネ33となっている。弾性接触片先端部26は、弾性接触片25が自然状態の時には板バネ33の前端部付近に位置し、タブ部11が正規深さにまで挿入された時には、板バネ33の中央部付近に位置する。なお、板バネ33が容易に変位可能となるよう、ハウジング50内のキャビティ51の下面側には、凹部56が設けられている。
【0035】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。雄型端子金具10のタブ部11を雌型端子金具20の角筒部21に挿入すると、まず、タブ部11と接点部23とが接触し、タブ部11が接点部23を押し下げる。すると、弾性接触片先端部26が角筒部21の底壁28に押しつけられる。これらの結果、弾性接触片基端部24が撓み変形し、また、接点部23が、弾性接触片基端部24、及び弾性接触片先端部26とを支点として拡開変形する。これらの変形により、弾発力が発生し、この弾発力が接点部23を介してタブ部11に加わり、タブ部11は天井壁31に弾接される。
【0036】
さらにタブ部11が挿入されるにつれて、弾性接触片25には押圧力が加わり、拡開変形量が大きくなる。同時に、弾性接触片先端部26は、拡開変形量の増大に伴って、底壁28と当接しながら後方へ変位する。底壁28において、弾性接触片先端部26が当接しながら変位する領域は、2本のスリット27に挟まれて両持ち状の板バネ33となっている。このため、タブ部11が挿入されるに従って、弾性接触片25を接点部において拡開変形させようとする応力は増大するものの、この応力は、板バネ33が撓み変形することにより分散される。この結果、接点部において弾性接触片25が塑性変形することが防止される。このとき、ハウジング50内のキャビティ51の下面側には、凹部56が設けられているので、板バネ33はハウジング50と接触することなく撓み変形することができる。
【0037】
また、タブ部11には、接点部23を介して、弾性接触片基端部24からの弾発力と、接点部23における弾発力と、板バネ33の弾発力とが加わるので、タブ部11が天井壁31に弾接されるために必要とされる接圧を得ることができる。
【0038】
そして、弾性接触片先端部26は、底壁28と当接しながら後方へ変位する際、板バネ33が撓み変形しにくい支点部から、撓み変形しやすい中央部へと変位する。このため、タブ部11が深く挿入されて接点部23に加わる応力が増大した場合でも、板バネ33は撓みやすい状態にあるので、応力が効果的に分散される結果、弾性接触片25の塑性変形が防止される。しかも、板バネ33の弾発力はタブ部11に加わるので、必要な接圧を得ることができる。
【0039】
上述のように本実施形態においては、雌型端子金具20の底壁28に、2本のスリット27を、弾性接触片先端部26が底壁28と当接しながら変位する領域を囲むように形成することにより板バネ部33を形成した。これにより、弾性接触片の接点部23に加わる応力を効果的に分散することができるので、弾性接触片25の塑性変形を回避し、タブ部11に対して十分な接圧を加えることのできる雌型端子金具20、及びこの雌型端子金具20を用いたコネクタ57を得ることができる。
【0040】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図7によって説明する。第1実施形態との相違は、スリットの形状をコ字状することにより片持ち状の板バネを形成し、この片持ち状の板バネ部の自由端を、前記弾性接触片の先端部側するように形成したところにあり、その他は前記実施形態と同様である。前記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0041】
第2実施形態では、タブ部11が角筒部21に挿入されるにつれて弾性接触片先端部26が底壁28と当接しながら後方へ変位する領域を囲んでコ字状にスリット27が形成されることにより、片持ち状の板バネ33が形成されている。そして、片持ち状の板バネ33の自由端は、弾性接触片先端部26の側に形成された構造となっている。
【0042】
板バネ33が片持ち状となっているため、板バネ33の変位量を、両持ち状の場合と比べて大きくとることができる。この結果、弾性接触片25が何らかの原因で過度に押し下げられた場合でも、接点部23に加わる応力を、板バネ33の撓み変形により効果的に分散することができるので、弾性接触片25が塑性変形するのを防止することができる。また、このとき、タブ部11には、弾性接触片25の弾発力のみならず、板バネ33の弾発力をも加わるので、タブ部11が天井壁に弾接されるために必要な接圧を得ることができる。
【0043】
そして、弾性接触片先端部26は、底壁28と当接しながら後方へ変位する際、板バネ33が撓み変形しにくい支点部から、撓み変形しやすい自由端へと変位する。このため、タブ部11が深く挿入されて接点部23に加わる応力が増大した場合でも、板バネ33は撓みやすい状態にあるので、応力が効果的に分散される結果、弾性接触片25の塑性変形が防止される。しかも、板バネ33の弾発力はタブ部11に加わるので、必要な接圧を得ることができる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0045】
(1)上記した実施形態では、角筒部において、天井壁の上に外壁が重なって形成されていたが、これに限られず、角筒部の上部壁面が天井壁のみで形成されている雌型端子金具にも適用することができる。
【0046】
(2)上記した実施形態では、弾性接触片は、角筒部の開口端部から延びて、角筒部内へ折返し状態となっているものとしたが、これに限られず、角筒部の開口端部から延びて、角筒部内へ折返し状態とした後、更に弾性接触片の先端部を再び開口部に向かって下向きに折返した状態のものとしても構わない。また本発明は、角筒部の底壁から開口部とは反対側に向かって延び、開口部へ向かって折り返された状態となる弾性接触片にも適用することができる。
【0047】
(3)上記した第1実施形態では、底壁に設けた2本のスリットの幅は均一なものとしたが、これに限られず、スリットの幅を変化させることにより板バネに幅狭部を設け、容易に撓み変形する部位を形成してもよい。
【0048】
(4)上記した第2実施形態では、底壁に設けたスリットはコ字状としたが、これに限られず、例えばU字状としてもよい。また、スリットの幅を変化させることにより、板バネに幅狭部を設け、容易に撓み変形する部位を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る雌型端子金具の部分平断面図
【図2】雌型端子金具にタブ部が挿入される途中の状態を示す部分平断面図
【図3】コネクタハウジング及び雌形端子金具の部分側断面図
【図4】雌形端子金具がコネクタハウジングに装着された状態を示す側断面図
【図5】コネクタハウジングに装着された雌形端子金具にタブ部が挿入される途中の状態を示す側断面図
【図6】図5のA−A断面図
【図7】本発明の第2実施形態に係る雌形端子金具の部分平断面図
【図8】従来の雌形端子金具の斜視図
【符号の説明】
10…雄型端子金具
11…タブ
20…雌型端子金具
21…角筒部
23…接点部
24…弾性接触片基端部
25…弾性接触片
26…弾性接触片先端部
27…スリット
28…底壁
33…板バネ
50…コネクタハウジング
51…キャビティ
56…凹部
Claims (5)
- 雄型端子金具のタブ部が挿入される角筒部を備えると共に、その角筒部内に前記タブ部と接触する折り返し状の弾性接触片を設けてなる雌型端子金具において、タブ部が前記角筒部に挿入されたときに前記角筒部のうち前記弾性接触片の前記先端部が当接する部分に、前記弾性接触片からの力を受けて変形する弾性変形部を設けたことを特徴とする雌型端子金具。
- 前記弾性変形部は、前記角筒部の壁部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する領域を弾性接触片の両側から挟む位置に2本のスリットを設けることにより形成された両持ち状の板バネ部からなることを特徴とする請求項1に記載の雌型端子金具。
- 前記弾性変形部は、前記角筒部の壁部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する領域を囲むコ字型のスリットを設けることにより形成された片持ち状の板バネ部からなることを特徴とする請求項1記載の雌型端子金具。
- 前記片持ち状の板バネ部は、前記弾性接触片の先端部側を自由端とするように形成されていることを特徴とする請求項3記載の雌型端子金具。
- 雌型端子金具を挿入可能なキャビティが形成された合成樹脂製のコネクタハウジングを備えたコネクタであって、
前記雌型端子金具は、雄型端子金具のタブ部が挿入される角筒部を備えると共に、その角筒部内に前記タブ部と接触する折返し状の弾性接触片を設けてなる雌型端子金具において、前記タブ部が前記角筒部に挿入されたときに前記角筒部のうち前記弾性接触片の先端部が当接する部分に、前記弾性接触片からの力を受けて変形する弾性変形部が設けられており、
前記コネクタハウジングの前記キャビティには、前記雌型端子金具に設けられた前記弾性変形部と対向する壁面に凹部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
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Cited By (3)
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-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002197771A patent/JP2004039559A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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