JP2004039444A - 事前警報付回路遮断器 - Google Patents

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【課題】事前警報ピックアップ電流値は負荷の仕様に定められた負荷電流を概算して裕度を考慮して設定していたので、実際の負荷電流とは差異が生じ負荷電流の異常を監視するには適切でない場合があった。
【解決手段】通電電流が予め設定されたピックアップ電流値を超えたとき警報を出す事前警報手段10と、実通電電流の移動平均電流値を計測してその最大値を記憶保持する最大電流計測手段11を備え、所定のインターバルで記憶保持された最大移動平均電流値を基にした電流値を新ピックアップ電流値にする。また、新ピックアップ電流値が回路遮断器の定格電流値を超える場合は、ピックアップ電流値を定格電流値にして事前警報とは別の警報を出す。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、事前警報付の回路遮断器の警報ピックアップ値の設定に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、例えば特開平4−218229号公報に示された従来の事前警報付電子式回路遮断器のブロック図である。図において、1は配線電路、2は開閉接点、3は配線電路1に流れる負荷電流を検出する変流器、4は変流器3の二次側に設けられた電流検出回路であり、整流回路4aと負担回路4b及び最大相選択回路4cより構成されている。5は電流検出回路4のアナログ出力をデジタル信号に変換するA/D変換回路、6はマイクロコンピュータを含めて構成される制御部であり、A/D変換された負荷電流と後述の定格電流から定められる反時限特性及び事前警報ピックアップ設定値との対比判定をする。
7は引外し回路であり、制御部6からの指令により開閉接点2を開離して配線電路1の負荷電流を遮断する。8は特性設定部であり、制御部6の遮断器引外し特性、定格電流値の設定及び事前警報の電流ピックアップ値を設定するデップスイッチ等からなる。9はメモリ手段であり、特性設定部8から設定された遮断器引外し特性値及び事前警報のピックアップ電流値を記憶しておく。10は事前警報出力回路であり、制御部6からの事前警報のピックアップ設定値オーバー情報により、LED点灯や接点出力等の警報装置を駆動する。
【0003】
回路遮断器はその定格電流(通電許容電流)以下では遮断動作はなされず、定格電流オーバーの比率で遮断動作までの時間を短くする反時限特性を持たせている。少々の定格電流オーバー通電状態が短時間の継続では回路遮断器の遮断動作はしないが、新たな負荷電流が通電に加わると遮断動作が不意に行われる。パソコンなどの電子機器では不意の遮断動作はメモリの記憶内容の消失など不都合が発生するので、負荷電流の定格電流オーバーを事前に知る事前警報が備えられるようになってきている。また、事前警報は、事前警報ピックアップ電流値を適宜に設定することで負荷電流の異常チェックに使用される。
事前警報は負荷電流が設定された定格電流近傍(事前警報ピックアップ電流値)になったことを電気機器利用者に知らせ、不要機器の通電切断等を促せて回路遮断器の不意の遮断を防止させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の事前警報付回路遮断器は、接続される負荷設備の仕様に定められた負荷電流を概算して、負荷電流値に対して裕度を考慮した多少大きめの電流値を事前警報ピックアップ電流値として回路遮断器に設定していたため、実際の負荷電流とは差異があり、負荷電流の異常を監視するための事前警報ピックアップ電流値の選定設定としては適切でない場合が多々あった。事前警報ピックアップ電流値は回路遮断器の定格電流以下に設定するのが一般的であり、ピックアップ電流値が定格電流を超えることに注意を促す必要があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、従来では使用者が適当に選定していた事前警報ピックアップ電流値を、回路遮断器の通電実績を基準して設定させることにより、実負荷電流と事前警報ピックアップ電流値の差異を少なくして、適切な事前警報発令がおこなえる事前警報付回路遮断器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る事前警報付回路遮断器は、通電電流が予め設定される定格電流値以下のピックアップ電流値を超えたとき警報を出す事前警報手段と、実通電電流の移動平均電流値を計測してその最大値を記憶する最大電流計測手段を備え、外部からの付与信号により記憶保持された最大移動平均電流値を基本とした電流値を新ピックアップ電流値とするものである。
【0007】
そして、上記のものに外部からの付与信号を所定のインターバルで発生するタイマー手段を具備させたものである。
【0008】
また、新ピックアップ電流値が回路遮断器の定格電流値を超える場合はピックアップ電流値を定格電流値にして事前警報とは異なる警報を出力するようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す事前警報付回路遮断器のブロック図、図2はこの発明の事前警報付回路遮断器の動作説明フローチャートである。
図において、1〜10は上記従来の装置と同様であるため説明省略する。11は最大電流計測部であり、A/D変換回路5から出力されるサンプリングA/D変換された配線電路1の負荷電流を計測して移動平均電流値を求め、最大電流値を記憶保持する。12はタイマー手段であり、所定のインターバルで(例えば1日、1週間、1ケ月)の間隔で時限信号を出力する。
13はピックアップ電流値変更部であり、特性設定部8からの手動により設定された事前警報ピックアップ電流値、または従前に演算設定したピックアップ電流値に対して当該インターバルでの最大電流計測部11の計測結果から新しくピックアップ電流値を演算設定してメモリ手段9に記憶させる。14は定格電流異常警報出力回路である。
【0010】
次に、本発明の事前警報付回路遮断器の動作について、図2のフローチャートにより説明する。
まず、回路遮断器の工場出荷時のデフォルト値またはユーザーが特性設定部8から手動設定した該回路遮断器の定格電流値及び事前警報ピックアップ電流値を取り込む(ステップ201)。特性設定部8に設けられたピックアップ電流値変更モードにするか、しないかの選択ボタン(図示せず)の選択により、該回路遮断器での定格電流値及び事前警報ピックアップ電流値を、手動設定値またはデフォルト値をそのまま使用するのか、実負荷電流に合わせて変更するようにするのかが選択される。
【0011】
この発明の主旨は実負荷電流に合わせて変更するものであり、このピックアップ電流値変更モードを説明する(ステップ202)。該回路遮断器の初通電ではピックアップ電流値変更モードを選択してあっても上記のデフォルト値またはユーザーが手動設定した定格電流値及び事前警報ピックアップ電流値を使用する。該回路遮断器の通電電流を、最大電流計測部11でサンプリングA/D変換された配線電路1の負荷電流実効値の移動平均値を算出する(ステップ203)。
そして、計測時系列の平均電流値の更新された最大電流値Imaxをメモリ手段9に記録する(ステップ204)。
【0012】
このときの移動平均対象期間は負荷の性質により1〜15分を任意に設定できるように特性設定部8に設定手段を備えている。移動平均にするのは、モータの始動電流等の一時的なピーク電流の影響を排除するためである。
移動平均電流値を求める方法としては、単に移動平均対象期間毎にサンプル電流値総和をサンプリング数nで除算して求める方法、移動平均対象期間の古いサンプル電流値を捨て、最新のサンプル電流値を加えながら移動平均を演算する方法、あるいは重み付け移動平均法(指数平滑法)等であってもよく一時的なピークの影響を排除できればよい。
【0013】
ユーザーが特性設定部8に設けられている手動変更ボタンの押下信号、またはタイマー手段12が計時する一定期間経過(例えば1日、1週間、1月)のインターバル信号による変更指令により事前警報ピックアップ電流値を、上記一定期間内に記録された最大電流値Imaxを基準にした新ピックアップ電流値Ipに置き換えに移る(ステップ205)。新ピックアップ電流値Ipは通常、最大電流値Imaxに裕度(5〜10%)を加味した値を設定する(ステップ206)。このとき、新ピックアップ電流値Ipが該回路遮断器の定格電流値Ik以下であれば、そのまま次からのピックアップ電流値とする(ステップ208、211)。
【0014】
新ピックアップ電流値の設定変更をいちいち人手で行うことは季節、時間帯により変化する負荷電流の変動にピックアップ電流値を追従させることは煩雑であるが、タイマー手段12によるインターバル信号が一定期間毎にピックアップ電流値を更新させるので煩雑を解消できる。
【0015】
また、新ピックアップ電流値Ipが定格電流値Ikを超えるときは、ピックアップ電流値を定格電流値にして、実通電電流から設定しようとした新ピックアップ電流値Ipが定格電流値以上であることをユーザーに知らせる事前警報とは異なった警報を出力する。例えば、事前警報が連続音またはLEDの連続点灯なら新ピックアップ電流値Ipが定格電流値Ikを超えたときは断続音、または音色の変更、LEDを点滅させる(ステップ207〜211)。
【0016】
このようにして、本来ピックアップ電流値として設定する電流値でなく定格電流値をピックアップ電流値にしたことを事前警報とは異なる警報にてユーザーに知らせて、通電電流が定格電流に近くなったこと、場合によっては回路遮断器の定格容量アップの必要を示唆する。
【0017】
一般に、このような事前警報付回路遮断器は電子式回路遮断器が採用される。電子式回路遮断器では、最大通電容量(定格フレーム容量)に対して、それ以下の数段階の定格電流が選択設定できるようになっている。例えば、定格フレーム容量が225Aでは、定格電流は125A、150A、175A、200A、225Aの5段階の選択設定が可能である。
いま、定格電流を200Aに設定していて、ピックアップ電流値が200Aを超える警報が出たときは、定格電流を225Aにユーザーが特性設定部8からの手動により設定させる。この手動による定格電流変更は電子式回路遮断器では自動変更も可能であるが、定格電流変更したことを自覚させるためである。
【0018】
そして、この警報が出ることは日常の使用電流が回路遮断器の定格電流に迫ったこと知らしめるものであり、例えば上記の回路遮断器の定格電流が定格フレーム容量である225Aのとき、同一回路遮断器ではこれ以上の定格電流への変更は不可能であるので、定格フレーム容量アップした回路遮断器へ取り替えを示唆する。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、事前警報付電子式回路が実負荷電流の最大移動平均値を検出し、この実負荷電流を基本に新事前警報ピックアップ電流値を設定することにより、通電電流の異常をより適切に監視できる。
【0020】
また、回路遮断器の定格電流値を新ピックアップ電流値が超える場合は、事前警報とは異なる警報を出して、通電電流が定格電流に近くなったこと、場合によっては回路遮断器の定格容量アップの必要を示唆できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の事前警報付回路遮断器のブロック図である。
【図2】この発明の事前警報付回路遮断器の動作フローチャートである。
【図3】従来の事前警報付電子式回路遮断器のブロック図である。
【符号の説明】
2 開閉接点、  3 変流器、  4 電流検出回路、
5 A/D変換回路、  6 制御部、  7 引外し回路、
8 特性設定部、  9 メモリ手段、  10 事前警報出力回路、
11 最大電流計測部、  12 タイマー手段、
13 ピックアップ電流値変更部、
14 定格電流異常警報出力回路。

Claims (3)

  1. 通電電流が予め設定される定格電流値以下のピックアップ電流値を超えたとき警報を出す事前警報付回路遮断器において、
    実通電電流の移動平均電流値を計測してその最大値を記憶保持する最大電流計測手段を備え、外部からの付与信号により上記記憶保持された最大移動平均電流値を基本とした電流値を新ピックアップ電流値にするようにしたことを特徴とする事前警報付回路遮断器。
  2. 外部からの付与信号を所定のインターバルで発生するタイマー手段を具備させたことを特徴とする請求項1記載の事前警報付回路遮断器。
  3. 新ピックアップ電流値が回路遮断器の定格電流値を超える場合はピックアップ電流値を定格電流値にして事前警報とは異なる警報を出力するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の事前警報付回路遮断器。
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