JP2004037795A - 反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】低屈折率でかつ高硬度な反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜の提供。
【解決手段】屈折率が1.4以下で結晶化度が0.14〜0.63であることを特徴とする反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜
【選択図】 選択図なし
【解決手段】屈折率が1.4以下で結晶化度が0.14〜0.63であることを特徴とする反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜
【選択図】 選択図なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低屈折率の反射防止膜用の薄膜に関する。更に詳しく述べるならば、光学フィルム上に成膜された、光高透過性で、且つ、低屈折率の反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学部品、眼鏡、ディスプレイ装置などに被覆される反射防止被膜としては、単層または複数層からなるものが知られているが、単層および2層からなるものは、残存反射率が大きく、効率が悪く、屈折率の異なる3層を重層したものが好ましいと言われている。しかし、3層を積層させるのは、公知の真空蒸着法、ディップコーティング法等いずれの方法でも、煩雑であるとともに生産性が低いという欠点があった。
【0003】
そこで、一般的に基材の屈折率がns、単層膜の屈折率がnの場合の反射率Rは(ns−n2)2/(ns+n2)2で表されることが知られている(但し、ns>n)。従って、n2=nsのとき、すなわちn=(ns)1/2のときが反射率Rが最小となるため、単層膜の屈折率nが(ns)1/2に近いほど反射率は低減されると言える。更に、一般的な光透過性光学基材はガラス(ns=1.52程度)やポリメチルメタクリレート(ns=1.49程度)、ポリエチレンテレフタレート(ns=1.54程度)、トリアセチルセルロース(ns=1.49程度)なので、単層膜の目標屈折率nは上記反射率式より1.23〜1.24となる。従って、単層膜で反射率を低減させる為には、その単層膜の屈折率が1.23〜1.24に限りなく近い低屈折率のものがより好ましいことになる。
【0004】
低屈折率の多孔性のシリカ薄膜を成膜する方法としては、(1)予めシリカ多孔質微粒子を調製しておいて、それを薄膜層に固定化することにより、薄膜中に多孔質構造を導入し、屈折率を下げる方法(特開平3−78946号公報、特開平6−345487号公報、特開平7−48527号公報)、(2)微粒子ゾルから成る薄膜を成膜しておいて、硬化する際に、微粒子ゾルが微粒子ゲルに成長することにより、微粒子間に空隙を導入する方法(特開2001−115028号公報)、(3)複数の成分からなる薄膜を調製しておいて、硬化時における各成分の収縮率の差を利用して空隙を導入する方法(特開昭62−17044号公報、特開平8−319109号公報)等が開示されているが、これらの方法では、いずれもバインダーを用いるために空隙率を上げることができず、低屈折率の薄膜が得られないといった問題、また、薄膜の硬度が充分でなく、表面に傷がつきやすいという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、本発明は、光学フィルム上に成膜された、低屈折率でかつ硬度の高い、反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜およびその塗布組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、屈折率が1.4以下で結晶化度が0.14〜0.63であることを特徴とする多孔性シリカゼオライト薄膜が反射防止膜に特に優れていることを見出した。そして該シリカゼオライト薄膜は特定構造のアルコキシシランとその加水分解物、重縮合物から選ばれる少なくとも一種以上の化合物からなるシリカ前駆体と、有機溶媒を含む組成物であって、かつ、組成物の結晶化度を0.14〜0.63とする組成物を用いることによってのみ成膜されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明の上記およびその他の諸目的、諸特性ならびに諸利益は、以下に述べる詳細な説明および請求範囲の記載から明らかになる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の多孔性シリカゼオライト薄膜(以下、多孔性シリカ薄膜と称す)の第一の特徴は、屈折率が1.4以下と低く透明であることである。
このように低屈折率であると、光学フィルム上に成膜した該薄膜の効果によって、反射率が従来膜に比べて著しく改善される。屈折率が1.3以下であるとその効果はさらに大きくなり、より好ましい。
【0008】
尚、本発明において透明とは透過率が80%以上のことである。
本発明の多孔性シリカ薄膜の第二の特徴は、該薄膜の結晶化度が0.14〜0.63であることである。薄膜の結晶化度がこの範囲にあると、薄膜の硬度が従来膜よりも一段と向上し、スチールウールなどで擦っても傷がつきにくいという、実用面で重要な耐久性を発現する。
結晶化度が0.14未満であれば、薄膜の硬度が低すぎるし、0.63を超えると後述するようにシリカゼオライト微粒子の粒子径が大きくなりすぎて、得られた薄膜の表面平滑性が損なわれてしまう。より好ましい結晶化度の範囲は0.21〜0.56である。
【0009】
本発明の多孔性シリカ薄膜は、下記の一般式(3)で表されたものを主成分とした多孔質のものであることを特徴とする。
RxSiOy (3)
(Rは炭素数1〜8の直鎖状、分岐上および環状のアルキル基、アリール基を表し、0≦x<2、1<y≦2である)。
本発明の多孔性シリカ薄膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、例えば一層の反射防止膜用の場合、50〜1000nmの範囲内の値であることが好ましい。膜厚が50nm未満となると、反射防止効果が低下する場合があるためであり、一方、膜厚が1000nmを超えると、光の位相のずれが乱雑になり干渉による反射防止効果が低下する場合があるためである。したがって、反射防止膜が一層の場合、その膜厚を50〜500nmの範囲内の値とすることがより好ましく、60〜200nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0010】
次に本発明の多孔性シリカ薄膜の製造方法について説明する。
本発明の多孔性シリカ薄膜は、本発明の特定の塗布組成物からのみ成膜されるが、この塗布組成物は特定のアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物から選ばれる化合物を少なくとも含有し、さらに特定構造の4官能性アルコキシシランの重縮合物であるゼオライトを特定量含むシリカ前駆体および有機溶媒とを含有することを特徴とする。
【0011】
そこで先ず最初に本発明に用いる塗布組成物について説明する。
本発明において、4官能性のアルコキシシランとは先記した一般式(1)でn=4のアルコキシシラン、即ち、Si(OR2)4の構造を持つものを言う。
そして、本発明では一般式(1)でnが1の場合、即ちR1(Si)(OR2)3を3官能性のアルコキシシラン、nが2の場合、即ち R1 2(Si)(OR2)2を2官能性のアルコキシシラン、nが3の場合、即ちR1 3(Si)(OR2)を1官能性のアルコキシシランとする。
【0012】
一方、一般式(2)で表されるアルコキシシランにおいては、たとえばm=q=1でR3(R4O)2Si−(R7)p−Si(OR5)2R6の化合物を4官能性のアルコキシシラン、m=0、q=1またはm=1、q=0で、(R4O)3Si−(R7)p−Si(OR5)2R6の化合物を5官能性のアルコキシシラン、m=q=0で(R4O)3Si−(R7)p−Si(OR5)3の化合物を6官能性のアルコキシシランとし、一般式(2)でm=q=2、すなわちR3 2(R4O)Si−(R7)p−Si(OR5)R6 2を2官能性のアルコキシシラン、m=2、q=1またはm=1、q=2で、R3 2(R4O)Si−(R7)p−Si(OR5)2R6 の化合物を3官能性のアルコキシシランとする。
【0013】
本発明では上記のアルコシキシランを出発物質として得られるシリカ前駆体を含有することを特徴とする。
シリカ前駆体に含まれるゼオライトの原料である特定構造の4官能性アルコキシシランは上記一般式(1)で表されるアルコキシシランのうち4官能性のものから選ばれる。具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどである。
【0014】
本発明では、上記の特定構造の4官能性アルコキシシランの重縮合物たるゼオライトを塗布組成物中に含有することを特徴とするが、ここで重縮合物とはアルコキシシランが完全に重縮合した、いわゆるシリカゼオライトのことである。本発明で用いるシリカゼオライトは結晶微粒子であり、その慣性半径は通常1nm〜1000nm、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは3nm〜100nmである。粒子径が1000nmを超えると、薄膜強度が低下するので好ましくない。
【0015】
尚、本発明のシリカ前駆体は上記ゼオライトに用いたアルコキシシラン以外の特定のアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物から選ばれる化合物も含有するが、ゼオライトに用いたアルコキシシランおよびその加水分解物が一部含有されていてもかまわない。
以下に、本発明のシリカ前駆体の上記ゼオライトに用いたアルコキシシラン以外に用いることのできるアルコキシシランについて具体的に例示する。
尚、上記のアルコキシシランは一般式(1)および/または(2)に記載の化合物中、珪素原子に少なくとも1個の1価の有機基を直接珪素原子に結合した構造を有することを特徴とする。
【0016】
まず一般式(1)で表されるアルコキシシランのうち、まず3官能性のアルコキシシランが挙げられる。
具体的にはトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシランなどが挙げられる。
尚、本発明ではアルコキシシラン類の部分加水分解物を原料としてもよい。
【0017】
次に一般式(1)の2官能性のアルコキシシランの具体的な例として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ(n−プロポキシ)シラン、ジメチルジ(i−プロポキシ)シラン、ジメチルジ(n−ブトキシ)シラン、ジメチルジ(sec−ブトキシ)シラン、ジメチルジ(tert−ブトキシシラン)、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ(n−プロポキシ)シラン、ジエチルジ(i−プロポキシ)シラン、ジエチルジ(n−ブトキシ)シラン、ジエチルジ(sec−ブトキシ)シラン、ジエチルジ(tert−ブトキシシラン)、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ(n−プロポキシ)シラン、ジフェニルジ(i−プロポキシ)シラン、ジフェニルジ(n−ブトキシ)シラン、ジフェニルジ(sec−ブトキシ)シラン、ジフェニルジ(tert−ブトキシシラン)、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジ(n−プロポキシ)シラン、メチルエチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルエチルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルエチルジ(sec−ブトキシ)シラン、メチルエチルジ(tert−ブトキシシラン)、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルプロピジ(n−プロポキシ)シラン、メチルプロピルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルプロピルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルプロピルジ(sec−ブトキシ)シラン、メチルプロピルジ(tert−ブトキシシラン)、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジ(n−プロポキシ)シラン、メチルフェニルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルフェニルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルフェニルジ(sec−ブトキシ)シラン、メチルフェニルジ(tert−ブトキシシラン)、エチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジ(n−プロポキシ)シラン、エチルフェニルジ(i−プロポキシ)シラン、エチルフェニルジ(n−ブトキシ)シラン、エチルフェニルジ(sec−ブトキシ)シラン、エチルフェニルジ(tert−ブトキシシラン)、などのケイ素原子上に2個のアルキル基またはアリール基が結合したアルキルシランなどがあげられる。
【0018】
また、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジ(n−プロポキシ)シラン、メチルビニルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルビニルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルビニルジ(sec−ブトキシ)シラン、メチルビニルジ(tert−ブトキシシラン)、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ(n−プロポキシ)シラン、ジビニルジ(i−プロポキシ)シラン、ジビニルジ(n−ブトキシ)シラン、ジビニルジ(sec−ブトキシ)シラン、ジビニルジ(tert−ブトキシシラン)、などケイ素原子上に1ないし2個のビニル基が結合したアルキルシランなども好適である。
【0019】
一般式(1)で表される1官能性のアルコキシシランの具体例として、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル(n−プロポキシ)シラン、トリメチル(i−プロポキシ)シラン、トリメチル(n−ブトキシ)シラン、トリメチル(sec−ブトキシ)シラン、トリメチル(tert−ブトキシシラン)、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチル(n−プロポキシ)シラン、トリエチル(i−プロポキシ)シラン、トリエチル(n−ブトキシ)シラン、トリエチル(sec−ブトキシ)シラン、トリエチル(tert−ブトキシシラン)、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピル(n−プロポキシ)シラン、トリプロピル(i−プロポキシ)シラン、トリプロピル(n−ブトキシ)シラン、トリプロピル(sec−ブトキシ)シラン、トリプロピル(tert−ブトキシシラン)、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニル(n−プロポキシ)シラン、トリフェニル(i−プロポキシ)シラン、トリフェニル(n−ブトキシ)シラン、トリフェニル(sec−ブトキシ)シラン、トリフェニル(tert−ブトキシシラン)、メチルジエチルメトキシシラン、メチルジエチルエトキシシラン、メチルジエチル(n−プロポキシ)シラン、メチルジエチル(i−プロポキシ)シラン、メチルジエチル(n−ブトキシ)シラン、メチルジエチル(sec−ブトキシ)シラン、メチルジエチル(tert−ブトキシシラン)、メチルジプロピルメトキシシラン、メチルジプロピルエトキシシラン、メチルジプロピル(n−プロポキシ)シラン、メチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、メチルジプロピル(n−ブトキシ)シラン、メチルジプロピル(sec−ブトキシ)シラン、メチルジプロピル(tert−ブトキシシラン)、メチルジフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルエトキシシラン、メチルジフェニル(n−プロポキシ)シラン、メチルジフェニル(i−プロポキシ)シラン、メチルジフェニル(n−ブトキシ)シラン、メチルジフェニル(sec−ブトキシ)シラン、メチルジフェニル(tert−ブトキシシラン)、エチルジメチルメトキシシラン、エチルジメチルエトキシシラン、エチルジメチル(n−プロポキシ)シラン、エチルジメチル(i−プロポキシ)シラン、エチルジメチル(n−ブトキシ)シラン、エチルジメチル(sec−ブトキシ)シラン、エチルジメチル(tert−ブトキシシラン)、エチルジプロピルメトキシシラン、エチルジプロピルエトキシシラン、エチルジプロピル(n−プロポキシ)シラン、エチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、エチルジプロピル(n−ブトキシ)シラン、エチルジプロピル(sec−ブトキシ)シラン、エチルジプロピル(tert−ブトキシシラン)、エチルジフェニルメトキシシラン、エチルジフェニルエトキシシラン、エチルジフェニル(n−プロポキシ)シラン、エチルジフェニル(i−プロポキシ)シラン、エチルジフェニル(n−ブトキシ)シラン、エチルジフェニル(sec−ブトキシ)シラン、エチルジフェニル(tert−ブトキシシラン)、プロピルジメチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、プロピルジメチル(n−プロポキシ)シラン、プロピルジメチル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジメチル(n−ブトキシ)シラン、プロピルジメチル(sec−ブトキシ)シラン、プロピルジメチル(tert−ブトキシシラン)、プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジエチルエトキシシラン、プロピルジエチル(n−プロポキシ)シラン、プロピルジエチル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジエチル(n−ブトキシ)シラン、プロピルジエチル(sec−ブトキシ)シラン、プロピルジエチル(tert−ブトキシシラン)、プロピルジフェニルメトキシシラン、プロピルジフェニルエトキシシラン、プロピルジフェニル(n−プロポキシ)シラン、プロピルジフェニル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジフェニル(n−ブトキシ)シラン、プロピルジフェニル(sec−ブトキシ)シラン、プロピルジフェニル(tert−ブトキシシラン)フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジメチル(n−プロポキシ)シラン、フェニルジメチル(i−プロポキシ)シラン、フェニルジメチル(n−ブトキシ)シラン、フェニルジメチル(sec−ブトキシ)シラン、フェニルジメチル(tert−ブトキシシラン)、フェニルジエチルメトキシシラン、フェニルジエチルエトキシシラン、フェニルジエチル(n−プロポキシ)シラン、フェニルジエチル(i−プロポキシ)シラン、フェニルジエチル(n−ブトキシ)シラン、フェニルジエチル(sec−ブトキシ)シラン、フェニルジエチル(tert−ブトキシシラン)、フェニルジプロピルメトキシシラン、フェニルジプロピルエトキシシラン、フェニルジプロピル(n−プロポキシ)シラン、フェニルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、フェニルジプロピル(n−ブトキシ)シラン、フェニルジプロピル(sec−ブトキシ)シラン、フェニルジプロピル(tert−ブトキシシラン)などが挙げられる。
【0020】
また、ケイ素原子上に1〜3個のビニル基が結合したアルキルシランなども好適である。具体的には、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、トリビニル(n−プロポキシ)シラン、トリビニル(i−プロポキシ)シラン、トリビニル(n−ブトキシ)シラン、トリビニル(sec−ブトキシ)シラン、トリビニル(tert−ブトキシシラン)、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチル(n−プロポキシ)シラン、ビニルジメチル(i−プロポキシ)シラン、ビニルジメチル(n−ブトキシ)シラン、ビニルジメチル(sec−ブトキシ)シラン、ビニルジメチル(tert−ブトキシシラン)、ビニルジエチルメトキシシラン、ビニルジエチルエトキシシラン、ビニルジエチル(n−プロポキシ)シラン、ビニルジエチル(i−プロポキシ)シラン、ビニルジエチル(n−ブトキシ)シラン、ビニルジエチル(sec−ブトキシ)シラン、ビニルジエチル(tert−ブトキシシラン)、ビニルジプロピルメトキシシラン、ビニルジプロピルエトキシシラン、ビニルジプロピル(n−プロポキシ)シラン、ビニルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、ビニルジプロピル(n−ブトキシ)シラン、ビニルジプロピル(sec−ブトキシ)シラン、ビニルジプロピル(tert−ブトキシシラン)などが挙げられる。
【0021】
次に本発明において用いることができる一般式(2)で表されるアルコキシシラン等は、その出発原料であるアルコキシシランが6、5、4、3および2官能性のものである。
一般式(2)で表されるアルコキシシランのうち、R7が−(CH2)n−の化合物で6、5、4、3、2官能性のアルコキシシランの具体例として、6官能性のアルコキシランの例としてビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、 1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン。
【0022】
5官能性のアルコキシシランとして、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−i−プロポキシシリル)メタン、 1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメ チルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−i−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−t−ブトキシシリル)エタンなどが挙げられる。
【0023】
4官能性のアルコキシシランの例としてビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)エタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(ジメトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメトキシフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシフェニルシリル)プロパンなどが挙げられる。
【0024】
3官能性のアルコキシシランとして、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(メトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(エトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(n−プロポキジメチルシリル)メタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−1−(i−プロポキシジメチルシリル)メタン、 1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(n−ブトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(sec−ブトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(t−ブトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(メトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(エトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメ チルシリル)−2−(n−プロポキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−2−(i−プロポキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(n−ブトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(sec−ブトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(t−ブトキシジメチルシリル)エタンなどが挙げられる。
【0025】
2官能性のアルコキシシランの具体例として、ビス(メトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(メトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(メトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(メトキシジフェニルシリル)エタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(メトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス (エトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス (メトキシジフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス (エトキシジフェニルシリル)プロパンなどが挙げられる。
【0026】
一般式(2)でR7が酸素原子の化合物で6官能性のアルコキシシランとしてはヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、5官能性のアルコキシシランとして1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−フェニルジシロキサン、4官能性のアルコキシシランとして1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、 1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジ シロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3 −ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエ トキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、3官能性のアルコキシシランとして1,1,3 −トリメトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサ ン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、2官能性のアルコキシシランとして1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ サン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメ チルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを挙げることができる。
【0027】
一般式(2)で、pが0の化合物で6,5,4、3および2官能性のアルコキシシランの具体例として、6官能性のアルコキシシランの具体例としてヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、5官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、4官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,2,2−テトラメ トキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、3官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,2−トリメトキシ−1,2,2 −トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ− 1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、2官能性のアルコキシシランの具体例として1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを挙げることができる。
【0028】
また、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのケイ素原子に直接水素原子が結合したものも用いることもできる。
さらに、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)エタン、1,3−ビス (エトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス (エトキシジフェニルシリル)プロパン、3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを用いることもできる。
【0029】
これらの中で特に好ましいアルコキシシランとして、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシランが挙げられる。
【0030】
本発明ではシリカ前駆体中に存在する全珪素原子のモル数に対して、珪素原子上に少なくとも一個の一価の有機基が結合している珪素原子のモル数の割合は1〜90モル%であることが好ましく、このシリカ前駆体を有する塗布組成物から製造された多孔性シリカ薄膜の吸湿性は著しく低下する。
本発明では塗布組成物中に含有される重縮合物を塗布組成物の結晶化度で表している。
【0031】
本発明の塗布組成物の結晶化度は、IR分光分析により、以下の方法により求めることができる。
本発明の塗布組成物中のシリカ前駆体は440cm− 1〜480cm− 1付近に吸収を示す一方で、550cm− 1〜650cm− 1付近にゼオライトを主成分とする縮合物たる結晶構造に由来する特徴的なピークが発現するので、これら2つのピーク面積比をもって本発明の塗布組成物の結晶化度とした。
【0032】
尚、ゼオライトの結晶性をIR分光分析により測定する方法についてはJ. Chem. Soc., Chem. Commun. 1982, 1413に開示されている。
本発明の塗布組成物の結晶化度(440cm− 1〜480cm− 1付近のピーク面積に対する550cm− 1〜650cm− 1付近のピークの面積比)は0.14〜0.63が好ましく、より好ましくは0.21〜0.56である。0.14未満であると、本発明の塗布組成物より製造された膜の機械強度が十分でないし、0.63を超えるとシリカゼオライト微粒子の粒子径分布が大きくなりすぎて、得られた薄膜の表面平滑性が損なわれてしまう。
【0033】
また、本発明において、得られる多孔質シリカ薄膜を改質するために、低屈折率の性能を損なわない範囲で、Si以外の金属アルコキシド等を添加することは好ましく、アルミニウム、チタン、ジルコニアのアルコキシド等であり、具体的にはトリメトキシアルミ、トリエトキシアルミ、トリプロポキシアルミ、トリブトキシアルミ、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムを用いても良い。これらのSi以外の金属アルコキシドを添加する量は、Si原子の全モル数1に対して、0.5モル以下となるようにする。0.5モルを超えると、成膜した際に高透過性が得られない場合や低屈折率性が得られない場合がある。
【0034】
次に本発明の塗布組成物を構成する有機溶媒(B)について説明する。
有機溶媒の種類は塗布組成物の貯蔵安定性、塗布性能および薄膜性能をより向上させるなどの目的からアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒およびエステル系溶媒が好ましい。具体的にはエタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、アセトン、メチル エチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル− n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチ ルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n− ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i− ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4 −ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノ ン、ホルムアミド、N −メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ ド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルム アミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N, N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、 N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリ ン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジ ン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジ ン、N−アセチルピロリジンジエチルカーボ ネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピ ル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブ チル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸 3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エ チルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸 n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコール モノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ− n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメ チルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテ ルなどが挙げられる。
【0035】
上記の有機溶媒(B)は後述するようにアルコキシシランの加水分解、重縮合反応前後に全量加えていてもよいし、少量ずつ添加してもよい。
塗布組成物中の有機溶媒の量は70重量%〜99.9重量%が好ましく、より好ましくは50重量%〜99.9重量%であり使用目的に応じて適宜調整される。有機溶媒がこの範囲にあることによって、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性も優れるものである。
尚、本発明の有機溶媒の量は、既知量の塗布組成物から、その中に含有されるアルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応して得られるシロキサン化合物の重量%を差し引いた値として求められる。
【0036】
本発明では塗布組成物の結晶化度を0.14〜0.63とするために、一般式(1)で表されるアルコキシシランのうち特定の4官能性アルコキシシランを重縮合して得られるゼオライトを主成分とするシリカ前駆体1をあらかじめ調製した後、ゼオライトに用いたアルコキシシラン以外のアルコキシシランを用いて加水分解、重縮合したシリカ前駆体2と混合することで製造することができる。
先ず、シリカ前駆体1の製造方法について説明する。
【0037】
シリカ前駆体1は上記一般式(1)で表される特定の4官能性のアルコキシシランにゼオライト結晶化調整剤としての有機アミンと水とを混合して所定の温度、時間反応させて得ることができる。
ここで、ゼオライト結晶化調整剤である有機アミンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニアなどを挙げることができる。その中にテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。有機アミンの添加量はアルコキシシラン1モルに対して0.01〜5モル、好ましくは0.1〜2モル、より好ましくは0.2〜0.6モルである。この有機アミンの量が0.01モル未満または5モルを超えると、ゼオライトが生成しない場合があるので好ましくない。
【0038】
また、アルコキシシランの加水分解に必要な水は液体のまま、あるいはアルコール等の水溶液として加えるのが一般的であるが、水蒸気の形で加えてもかまわない。水の添加を急激に行うと、アルコキシシランの種類によっては加水分解と縮合が速すぎて沈殿を生じる場合があるため、水の添加に充分な時間をかけることが好ましい。従って液体で添加する場合アルコキシシランが均一に水と接するようにアルコールなどの溶媒を共存させたり、低温で添加するなどの手法を単独または組み合わせて用いることが好ましい。
【0039】
水の添加量は原料として仕込み量のアルコキシシラン基1モル当たり、0.1モル〜50モルの範囲が好ましい。より好ましくは1〜20モルである。水の添加量がこの範囲にあると、以下の反応が円滑に進行するので好ましい。
シリカ前駆体1を得るための反応温度は、0〜150℃、好ましくは20〜150℃、より好ましくは20〜120℃である。0℃よりも低いとゼオライトの結晶化と加水分解の進行が十分でないし、逆に150℃を超えると反応が急激に進行しすぎて、ゼオライト粒子が大きすぎる場合があり好ましくない。
【0040】
反応時間は、反応温度にもよるが通常1時間〜10日、好ましくは4時間〜10日、より好ましくは1日〜5日である。
以上の方法で得られたシリカ前駆体1中には、結晶性のゼオライト以外に、当然として出発原料であるアルコキシシラン、その加水分解物、縮合物で結晶性を示さないものも含まれる場合がある。
尚、本発明のシリカ前駆体1を製造する場合に、アルコキシシランと、ゼオライト結晶化調整剤、水および/または有機溶媒を反応開始前に全量添加しても良いし、一部を段階的に添加してもかまわない。
【0041】
次にシリカ前駆体2の製造方法、すなわち珪素原子上に少なくとも1個の一価の有機基を直接結合する構造を有するアルコキシシランを用いて、水の存在下にて加水分解、縮合反応させて得られるシリカ前駆体2の製造方法について説明する。
シリカ前駆体2には、上記アルコキシシランの加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものが含まれるが、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などを表す。すなわちアルコキシシランそのものおよび部分加水分解物、部分重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を部分的に含んでいても良い。
【0042】
水を添加する形態、添加方法および添加量およびシリカ前駆体を加水分解、縮合反応させる温度条件は前述のシリカ前駆体1を製造する場合と同様の条件を採用することができる。
シリカ前駆体2を得るための反応温度については、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは0〜80℃で処理すればよい。0℃よりも低いと加水分解の進行が十分でないし、逆に150℃を超えると反応が急激に進行しすぎて、組成物全体がゲル化してしまう場合があり、好ましくない。
【0043】
なお、シリカ前駆体2を製造する場合もシリカ前駆体1と同様にアルコキシシランと水および/または有機溶媒とを反応開始前に全量添加して良いし、一部ずつ段階的に添加してもよい。
以上のようにして、シリカ前駆体1と、シリカ前駆体2を製造することができる。
本発明の塗布組成物に含有されるシリカ前駆体は上記したシリカ前駆体1とシリカ前駆体2の混合物であるが、シリカ前駆体1とシリカ前駆体2とは別々に製造してから混合しても良いし、シリカ前駆体1を製造しておいてから、そこにシリカ前駆体2製造用のアルコキシシランを添加した後に所定時間反応させて、シリカ前駆体2を製造してもよい。
【0044】
以上の製造法によりシリカ前駆体を得ることができるが、シリカ前駆体1とシリカ前駆体2の混合割合は、シリカ前駆体中の全珪素原子のモル数に対して、珪素原子上に少なくとも一個の一価の有機基が結合している珪素原子のモル数の割合が1〜90モル%となるようにすることが好ましい。より好ましくは10〜80モル%、さらに好ましくは10〜70モル%である。
1モル%未満であると、得られた薄膜の吸湿性が著しくなり好ましくないし、逆に90モル%を超えると薄膜の強度が低下してしまう。
【0045】
このように少なくとも一個の一価の有機基が結合している珪素原子のモル数を上記のように制御することによって、得られた多孔性シリカ薄膜のヤングモジュラスを損なうことなく、従来の欠点であった吸水性が著しく改善され、屈折率が低くかつ安定した薄膜を製造することができる。
本発明では上記のシリカ前駆体1およびシリカ前駆体2を調製する際に、アルコキシシランの加水分解や縮合反応を加速させるために下記の酸および/または塩基を添加しても良いし、シリカ前駆体1またはシリカ前駆体2を調整後、あるいはシリカ前駆体1と2を混合後の塗布組成物中に下記の酸および/または塩基を添加しても良い。
【0046】
本発明で用いることができる酸の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、トリポリリン酸、ホスフォン酸、ホスフィン酸などの無機酸を挙げることができる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、イソニコチン酸などを挙げることができる。
【0047】
尚、本発明の塗布組成物を基板上に塗布した後で酸として機能するような化合物も上記の酸に含まれる。具体的には芳香族スルホン酸エステルやカルボン酸エステルのような、加熱または光により分解して酸を発生する化合物が挙げられる。
一方、塩基の具体例としては、本発明で使用することのできる塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モノエタノー ルアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノ ールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロ ノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアン モニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアン モニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアン モニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアン モニウムハイドロオキサイド、アンモニア、メチルアミ ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、 N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、 N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどを挙げることができる。
【0048】
これらの酸および塩基の添加量は出発原料として仕込まれる一般式(1)および(2)のアルコキシラン基1モルに対し1モル以下、好ましくは0.1モル以下が適当である。1モルより多いと沈殿物が生成し、均質な多孔質のケイ素酸化物からなる塗膜が得られ難くなる場合がある。
酸および塩基は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明における塗布組成物の全固形分濃度は、0.1〜30重量%が好ましいが、使用目的に応じて適宜調整される。塗布組成物の全固形分濃度が0.1〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れるものである。
【0049】
本発明の全固形分濃度の調整は、シリカ前駆体製造時に有機溶媒をあらかじめ混合しておくことも可能であるが、シリカ前駆体製造後にあらためて有機溶媒を添加することも可能である。さらに、必要であれば濃縮で調整することも可能である。
尚、本発明の全固形分濃度は既知量の塗布組成物に対するアルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応して得られるシロキサン化合物の重量%として求められる。
【0050】
本発明では以上のようにして得られる塗布組成物を塗布液として用い、その中のシリカ前駆体を硬化させることによって、屈折率の十分に低い多孔性シリカ薄膜を得ることができるが、さらに屈折率を下げるために、後述するようにシリカ前駆体が硬化する過程または硬化後に、水や有機溶媒により抽出することにより多孔薄膜中に空孔を形成し、該膜の屈折率を低下させる作用をするような有機ポリマー(C)を用いることができる。
【0051】
有機ポリマー(C)の主鎖骨格構造は特別限定されることはないが、具体例としてポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリジエン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルアミド、ポリビニルアミン、ポリビニルエステル、ポリビニルアルコール、ポリハロゲン化ビニル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリイミン、ポリイミド、セルロース、およびこれらの誘導体を主なる構成成分とするポリマーが挙げられる。
【0052】
上記のポリマーの中でも好適に用いられるものは、シリカ前駆体およびシリカとの相溶性に優れるだけでなく、水や有機溶媒による抽出によって除去されて、多孔性シリカゼオライト薄膜に容易に変換する、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリアンハイドライドを主なる構成成分とするポリマーである。
また、直鎖状または分岐状の2元以上のブロックコポリマーで、ブロック部が炭素数1〜8の直鎖状および環状のオキシアルキレン基を繰り返し単位とする有機ポリマーも好適に用いることができる。具体的なブロックコポリマーとしては、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールのような2元ブロックコポリマー、さらにポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールポリエチレングリコールなどの直鎖状の3元ブロックコポリマーのようなポリエーテルブロックコポリマーが挙げられる。さらに、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、ペントース、ヘキシトール、ヘキソース、ヘプトースなどに代表される糖鎖に含まれるヒドロキシル基のうちの少なくとも3つとポリマー鎖が結合した構造、及び/又はヒドロキシル酸に含まれるヒドロキシル基とカルボキシル基のうち少なくとも3つがブロックコポリマー鎖が結合した構造であることが好ましい。具体的には分岐状のグリセロールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、エリスリトールポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコールなどが含まれる。
【0053】
さらに本発明では、脂肪族高級アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合させた直鎖状の高級脂肪族/アルキレンオキサイドブロックコポリマーも使用することが可能である。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテルなどが挙げられる。
【0054】
以上の有機ポリマーの末端基は特に限定されないが、水酸基はじめ、直鎖状および環状のアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基およびトリアルキルシリル基変性された基であることが好ましい。
これらのポリマーの構成単位であるモノマーどうしの共重合体や、その他の任意のモノマーとの共重合体を用いてもよい。また有機ポリマーは1種類でも2種類以上を併用してもよい。
【0055】
またポリマーの主鎖は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の任意の繰り返し単位を有するポリマー鎖を含んでいてもよい。
本発明において有機ポリマーを添加する場合のその添加量は、出発原料であるアルコキシシランの仕込み全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られるシロキサン1重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。有機ポリマーの添加量が0.01重量部より少ないと薄膜の屈折率が低くならず、また10重量部より多くても、十分な機械強度を有する多孔性シリカが得られず、実用性に乏しい。
【0056】
尚、アルコキシシランの仕込み全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られるシロキサンとは一般式(1)、(2)のSiOR2基、SiOR4基またはSiOR5基が100%加水分解されてSiOHになり、さらに100%縮合してシロキサン構造になったものを言う。
本発明で有機ポリマーを添加する時期については上記した塗布組成物の製造工程のいずれの段階で添加してもかまわない。
【0057】
また、本発明では、有機ポリマーの分子内に重合性の官能基、たとえば(メタ)アクリレート基を有していてもよく、その場合には組成物中に、アゾ系やパーオキサイド系等のラジカル重合開始剤、またはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類や、光増感剤として、ケタール類、アントラキノン類などの光ラジカル重合開始剤を添加しておくことが好ましい。上記の重合性の官能基を含む組成物は塗布後の熱硬化処理の前、或いは同時に電子線照射または紫外線照射により活線エネルギー照射処理を行うことになる。この活性エネルギ−照射処理により、分子内の重合性官能基の重合度が向上する。尚、活性エネルギー照射処理は場合によっては系内の酸素を窒素等の不活性ガスと置換して行う。
【0058】
更に、本発明では有機ポリマーの分子内にエポキシ基を有していてもよくその場合に、当官能基の反応を促進する触媒として、先記のシリカ前駆体用の塩基化合物を用いることができる。その中で、特に3級アミンが好ましい。
従って、有機ポリマーの分子中にエポキシ基を有する場合は、保存安定性の面で上記の反応促進触媒を組成物の塗布直前に添加することが好ましく、2種以上の溶液を混合して塗布できる塗布設備を用いることが望ましい。
【0059】
本発明の反射防止膜用のシリカゼオライト薄膜は、以下の光学基板上に塗布、成膜された積層膜として通常使用される。
本発明の光学基板は透明なものが好ましく、例えば、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアセテート系フィルム、延伸したポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ノルボネン系フィルム、ポリアリレート系フィルムおよびポリスルフォン系フィルムが好ましい。特にセルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、ポリカーボネートフィルム、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0060】
通常のガラス基板も光学基板として好適に使用される。
本発明の塗布はディッピング、スピンコーター、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーター等の公知の塗布機を用いて実施することができる。これらのうち連続塗布が可能な方法が好ましく用いられる。
【0061】
本発明の反射防止膜構造体とは、上記の光学基板上に本発明の多孔性シリカ薄膜が形成された複合膜からなる構造体で、必要に応じてハードコート膜や防汚膜なども積層された多層構造体を意味する。
本発明は該光学基板の熱変形温度より低い温度にて該基板上に組成物を塗布し、該基板の熱変形温度より低い温度にて該シリカ前駆体を硬化することにより成膜することを特徴とする。
【0062】
塗布組成物中に有機ポリマーを使用する場合には、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜が一旦成膜され、そのあとで有機ポリマーを後述する方法により除去して成膜する。
硬化を行う温度は、該光学基板の耐熱性に依存して変更することができるが、60〜150℃、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜120℃である。60℃未満では多孔質、且つ、密着性の良い膜が得られず、また、150℃を超えると基材が変形する危険性がある。
【0063】
本発明の効果の一つは、硬化時間が短くてよく、生産性が良いことである。硬化を行う時間は、1時間以内、好ましくは10分以内、より好ましくは2分以内である。1時間を超えると生産性の面で効率が低下する。
有機ポリマーを含有する塗布組成物を用いて成膜する場合には、先述したように、一旦シリカ/有機ポリマー複合体が形成されるが、この場合には該複合体薄膜を成膜した光学基板を抽出溶剤に接触させることにより、有機ポリマーを除去して多孔化する。接触方法としては、抽出溶剤に浸漬する方法でも良いし、抽出溶剤を該薄膜表面に流す洗浄方法でも良い。抽出溶剤としては、脂肪族ポリエーテルを溶解しうる溶剤であれば特に限定されず、前記のシリカ前駆体/脂肪族ポリエーテル組成物に用いる溶媒を用いることが可能である。好ましくは水や炭素数1〜6の一価アルコールであり、より好ましくは、水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、水−エタノール混合溶剤、水−イソプロパノール混合溶剤である。
【0064】
抽出温度は、該光学フィルムが変形しない温度であれば、特に限定されないが、100℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは40℃以下である。また抽出時間が早いことも本発明の特徴であり、抽出時間は10分以内、好ましくは5分以内、より好ましくは1分以内、さらに好ましくは20秒以内である。抽出は速やかに完了するので、10分を超えては生産性が低下する。
本発明における抽出後の乾燥は、前記の硬化条件と同様に、該光学フィルムの耐熱性に依存して変更することができるが、60〜150℃、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜120℃である。乾燥することにより、抽出溶剤を除去するだけでなく、得られる多孔質シリカ薄膜の強度が向上するため、該光学フィルムが変形しない範囲で、できるだけ高温で乾燥する。なお、コート後の硬化の際にシラノ−ル基の縮合が十分に進行していないと、抽出乾燥後に得られる薄膜の空隙率が減少したものになり、低屈折率を示す薄膜が得られない。乾燥に要する時間は乾燥温度により異なるが、1時間以内、好ましくは10分以内、より好ましくは2分以内である。1時間を超えると生産性の面で効率が低下する。
【0065】
抽出法以外に有機ポリマーを除去する方法として、有機ポリマーを過熱により揮発または分解してガス化することによっても行なうことができる。該ポリマーが揮発もしくはガスを発生する温度は大気圧下、0〜500℃の範囲であり、好ましくは50〜400℃である。
本発明の成膜法によって得られる多孔性シリカ薄膜は、例えば、メガネレンズ、ゴーグル、コンタクトレンズ等のメガネ分野;車の窓、インパネメーター、ナビゲーションシステム等の自動車分野;窓ガラス等の住宅・建築分野;ハウスの光透過性フィルムやシート等の農芸分野;太陽電池、光電池、レーザー等のエネルギー分野;TVブラウン管、ノートパソコン、電子手帳、タッチパネル、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、車載用テレビ、液晶ビデオ、プロジェクションテレビ、光ファイバー、光ディスク等の電子情報機器分野;照明グローブ、蛍光灯、鏡、時計等の家庭用品分野;ショーケース、額、半導体リソグラフィー、コピー機器等の業務用分野;液晶ゲーム機器、パチンコ台ガラス、ゲーム機等の娯楽分野などにおいて、映り込みの防止及び/又は光透過性の向上を必要としている光透過性光学基材の表面塗装に用いられる。
【0066】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例、比較例を用いて更に具体的に説明する。
光学基板は東洋紡績株式会社製コスモシャインA4300、188ミクロン膜厚、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。透過率および入射角12°での絶対反射率は(株)島津製作所製分光光度計MPC−2200を用いて測定した。空隙率および屈折率はJOBIN YVON社製分光エリプソメータを用いてシリコンウェハー上に同じ条件でコートして測定した。
また、本発明の薄膜の硬度は、鉛筆硬度(JIS5400の鉛筆引っかき値で試験機法による値)で評価した。
【0067】
【実施例1】
テトラエトキシシラン32.0g、エタノール30.5g、水12.1g、の混合物に、20−25%テトラ(n−)プロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)水溶液45.5gを加え、室温で1日攪拌した後に80℃で5日間攪拌し反応させてゼオライトのサスペンションを得た。
得られたサスペンションに、メチルトリエトキシシラン2.8gを添加し、80℃で8時間攪拌した。引き続き、遠心分離機を使って、回転数5000rpmで0.5時間処理して沈降粒子を除去した後で、粒子径が60nm以下のゼオライトサスペンションを得た。結晶化度は0.42であった。最後に溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテル24gを添加し本発明の塗布組成物を得た。
【0068】
塗布組成物を光学基板および屈折率を測定するためにシリコン基板上に各々3ml滴下し、室温にてスピンコート法により、3000rpmの回転下でそれぞれ成膜した。続いて熱風循環乾燥機にて、100℃、1分間の乾燥を行った。光学基板の場合には、裏面にも同様にコーティングして、同様に乾燥した。その後で光学基板およびシリコンウエハーを室温で10秒間、水−エタノール(50/50重量部)抽出溶剤に漬け、再度100℃、1分間乾燥を行って、膜厚が0.15μmの多孔性シリカ薄膜を有する光学基板およびシリコンウエハーを得た。多孔性シリカ薄膜の結晶化度は0.42であった。
【0069】
光学基板の入射角12°での絶対反射率測定において、540nmにおいて最小反射率を示し、薄膜コートのない場合に8.2%であったものが、0.1%に抑制された。また屈折率は1.31と低く、かつ鉛筆硬度は2Hと反射防止膜として優れたものであった。
【0070】
【比較例1】
実施例1において、室温で1日攪拌した後に80℃で1日間だけ攪拌し反応させてゼオライトのサスペンションを得た以外は、実施例1と同様の操作を行い、塗布組成物を得た。塗布組成物の結晶化度は0.11であった。
得られた組成物を実施例1と同様の操作により、膜厚が0.18μmの多孔性ゼオライト薄膜を得た。
得られた薄膜の屈折率は1.4と高すぎて反射防止膜としては適当ではなかった。
【0071】
【実施例2】
実施例1において、メチルトリエトキシシランを使用しない以外は実施例1と同様の操作を行い、塗布組成物を得た。塗布組成物の結晶化度は0.48であった。
得られた組成物を実施例1と同様の操作により、膜厚が0.11μmの多孔性ゼオライト薄膜を得た。多孔性シリカ薄膜の結晶化度は0.48であった。
光学基板の入射角12°での絶対反射率測定において、540nmにおいて最小反射率を示し、薄膜コートのない場合に9.5%であったものが、0.2%に抑制された。また屈折率は1.23で鉛筆硬度は3Hであり、反射防止膜として優れた性能を発現した。
【0072】
【発明の効果】
本発明の組成物から成膜された多孔性のシリカゼオライト薄膜は、低屈折率でかつ高硬度であるため、反射防止膜として最適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低屈折率の反射防止膜用の薄膜に関する。更に詳しく述べるならば、光学フィルム上に成膜された、光高透過性で、且つ、低屈折率の反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学部品、眼鏡、ディスプレイ装置などに被覆される反射防止被膜としては、単層または複数層からなるものが知られているが、単層および2層からなるものは、残存反射率が大きく、効率が悪く、屈折率の異なる3層を重層したものが好ましいと言われている。しかし、3層を積層させるのは、公知の真空蒸着法、ディップコーティング法等いずれの方法でも、煩雑であるとともに生産性が低いという欠点があった。
【0003】
そこで、一般的に基材の屈折率がns、単層膜の屈折率がnの場合の反射率Rは(ns−n2)2/(ns+n2)2で表されることが知られている(但し、ns>n)。従って、n2=nsのとき、すなわちn=(ns)1/2のときが反射率Rが最小となるため、単層膜の屈折率nが(ns)1/2に近いほど反射率は低減されると言える。更に、一般的な光透過性光学基材はガラス(ns=1.52程度)やポリメチルメタクリレート(ns=1.49程度)、ポリエチレンテレフタレート(ns=1.54程度)、トリアセチルセルロース(ns=1.49程度)なので、単層膜の目標屈折率nは上記反射率式より1.23〜1.24となる。従って、単層膜で反射率を低減させる為には、その単層膜の屈折率が1.23〜1.24に限りなく近い低屈折率のものがより好ましいことになる。
【0004】
低屈折率の多孔性のシリカ薄膜を成膜する方法としては、(1)予めシリカ多孔質微粒子を調製しておいて、それを薄膜層に固定化することにより、薄膜中に多孔質構造を導入し、屈折率を下げる方法(特開平3−78946号公報、特開平6−345487号公報、特開平7−48527号公報)、(2)微粒子ゾルから成る薄膜を成膜しておいて、硬化する際に、微粒子ゾルが微粒子ゲルに成長することにより、微粒子間に空隙を導入する方法(特開2001−115028号公報)、(3)複数の成分からなる薄膜を調製しておいて、硬化時における各成分の収縮率の差を利用して空隙を導入する方法(特開昭62−17044号公報、特開平8−319109号公報)等が開示されているが、これらの方法では、いずれもバインダーを用いるために空隙率を上げることができず、低屈折率の薄膜が得られないといった問題、また、薄膜の硬度が充分でなく、表面に傷がつきやすいという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、本発明は、光学フィルム上に成膜された、低屈折率でかつ硬度の高い、反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜およびその塗布組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、屈折率が1.4以下で結晶化度が0.14〜0.63であることを特徴とする多孔性シリカゼオライト薄膜が反射防止膜に特に優れていることを見出した。そして該シリカゼオライト薄膜は特定構造のアルコキシシランとその加水分解物、重縮合物から選ばれる少なくとも一種以上の化合物からなるシリカ前駆体と、有機溶媒を含む組成物であって、かつ、組成物の結晶化度を0.14〜0.63とする組成物を用いることによってのみ成膜されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明の上記およびその他の諸目的、諸特性ならびに諸利益は、以下に述べる詳細な説明および請求範囲の記載から明らかになる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の多孔性シリカゼオライト薄膜(以下、多孔性シリカ薄膜と称す)の第一の特徴は、屈折率が1.4以下と低く透明であることである。
このように低屈折率であると、光学フィルム上に成膜した該薄膜の効果によって、反射率が従来膜に比べて著しく改善される。屈折率が1.3以下であるとその効果はさらに大きくなり、より好ましい。
【0008】
尚、本発明において透明とは透過率が80%以上のことである。
本発明の多孔性シリカ薄膜の第二の特徴は、該薄膜の結晶化度が0.14〜0.63であることである。薄膜の結晶化度がこの範囲にあると、薄膜の硬度が従来膜よりも一段と向上し、スチールウールなどで擦っても傷がつきにくいという、実用面で重要な耐久性を発現する。
結晶化度が0.14未満であれば、薄膜の硬度が低すぎるし、0.63を超えると後述するようにシリカゼオライト微粒子の粒子径が大きくなりすぎて、得られた薄膜の表面平滑性が損なわれてしまう。より好ましい結晶化度の範囲は0.21〜0.56である。
【0009】
本発明の多孔性シリカ薄膜は、下記の一般式(3)で表されたものを主成分とした多孔質のものであることを特徴とする。
RxSiOy (3)
(Rは炭素数1〜8の直鎖状、分岐上および環状のアルキル基、アリール基を表し、0≦x<2、1<y≦2である)。
本発明の多孔性シリカ薄膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、例えば一層の反射防止膜用の場合、50〜1000nmの範囲内の値であることが好ましい。膜厚が50nm未満となると、反射防止効果が低下する場合があるためであり、一方、膜厚が1000nmを超えると、光の位相のずれが乱雑になり干渉による反射防止効果が低下する場合があるためである。したがって、反射防止膜が一層の場合、その膜厚を50〜500nmの範囲内の値とすることがより好ましく、60〜200nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0010】
次に本発明の多孔性シリカ薄膜の製造方法について説明する。
本発明の多孔性シリカ薄膜は、本発明の特定の塗布組成物からのみ成膜されるが、この塗布組成物は特定のアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物から選ばれる化合物を少なくとも含有し、さらに特定構造の4官能性アルコキシシランの重縮合物であるゼオライトを特定量含むシリカ前駆体および有機溶媒とを含有することを特徴とする。
【0011】
そこで先ず最初に本発明に用いる塗布組成物について説明する。
本発明において、4官能性のアルコキシシランとは先記した一般式(1)でn=4のアルコキシシラン、即ち、Si(OR2)4の構造を持つものを言う。
そして、本発明では一般式(1)でnが1の場合、即ちR1(Si)(OR2)3を3官能性のアルコキシシラン、nが2の場合、即ち R1 2(Si)(OR2)2を2官能性のアルコキシシラン、nが3の場合、即ちR1 3(Si)(OR2)を1官能性のアルコキシシランとする。
【0012】
一方、一般式(2)で表されるアルコキシシランにおいては、たとえばm=q=1でR3(R4O)2Si−(R7)p−Si(OR5)2R6の化合物を4官能性のアルコキシシラン、m=0、q=1またはm=1、q=0で、(R4O)3Si−(R7)p−Si(OR5)2R6の化合物を5官能性のアルコキシシラン、m=q=0で(R4O)3Si−(R7)p−Si(OR5)3の化合物を6官能性のアルコキシシランとし、一般式(2)でm=q=2、すなわちR3 2(R4O)Si−(R7)p−Si(OR5)R6 2を2官能性のアルコキシシラン、m=2、q=1またはm=1、q=2で、R3 2(R4O)Si−(R7)p−Si(OR5)2R6 の化合物を3官能性のアルコキシシランとする。
【0013】
本発明では上記のアルコシキシランを出発物質として得られるシリカ前駆体を含有することを特徴とする。
シリカ前駆体に含まれるゼオライトの原料である特定構造の4官能性アルコキシシランは上記一般式(1)で表されるアルコキシシランのうち4官能性のものから選ばれる。具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどである。
【0014】
本発明では、上記の特定構造の4官能性アルコキシシランの重縮合物たるゼオライトを塗布組成物中に含有することを特徴とするが、ここで重縮合物とはアルコキシシランが完全に重縮合した、いわゆるシリカゼオライトのことである。本発明で用いるシリカゼオライトは結晶微粒子であり、その慣性半径は通常1nm〜1000nm、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは3nm〜100nmである。粒子径が1000nmを超えると、薄膜強度が低下するので好ましくない。
【0015】
尚、本発明のシリカ前駆体は上記ゼオライトに用いたアルコキシシラン以外の特定のアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物から選ばれる化合物も含有するが、ゼオライトに用いたアルコキシシランおよびその加水分解物が一部含有されていてもかまわない。
以下に、本発明のシリカ前駆体の上記ゼオライトに用いたアルコキシシラン以外に用いることのできるアルコキシシランについて具体的に例示する。
尚、上記のアルコキシシランは一般式(1)および/または(2)に記載の化合物中、珪素原子に少なくとも1個の1価の有機基を直接珪素原子に結合した構造を有することを特徴とする。
【0016】
まず一般式(1)で表されるアルコキシシランのうち、まず3官能性のアルコキシシランが挙げられる。
具体的にはトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシランなどが挙げられる。
尚、本発明ではアルコキシシラン類の部分加水分解物を原料としてもよい。
【0017】
次に一般式(1)の2官能性のアルコキシシランの具体的な例として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ(n−プロポキシ)シラン、ジメチルジ(i−プロポキシ)シラン、ジメチルジ(n−ブトキシ)シラン、ジメチルジ(sec−ブトキシ)シラン、ジメチルジ(tert−ブトキシシラン)、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ(n−プロポキシ)シラン、ジエチルジ(i−プロポキシ)シラン、ジエチルジ(n−ブトキシ)シラン、ジエチルジ(sec−ブトキシ)シラン、ジエチルジ(tert−ブトキシシラン)、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ(n−プロポキシ)シラン、ジフェニルジ(i−プロポキシ)シラン、ジフェニルジ(n−ブトキシ)シラン、ジフェニルジ(sec−ブトキシ)シラン、ジフェニルジ(tert−ブトキシシラン)、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジ(n−プロポキシ)シラン、メチルエチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルエチルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルエチルジ(sec−ブトキシ)シラン、メチルエチルジ(tert−ブトキシシラン)、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルプロピジ(n−プロポキシ)シラン、メチルプロピルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルプロピルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルプロピルジ(sec−ブトキシ)シラン、メチルプロピルジ(tert−ブトキシシラン)、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジ(n−プロポキシ)シラン、メチルフェニルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルフェニルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルフェニルジ(sec−ブトキシ)シラン、メチルフェニルジ(tert−ブトキシシラン)、エチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジ(n−プロポキシ)シラン、エチルフェニルジ(i−プロポキシ)シラン、エチルフェニルジ(n−ブトキシ)シラン、エチルフェニルジ(sec−ブトキシ)シラン、エチルフェニルジ(tert−ブトキシシラン)、などのケイ素原子上に2個のアルキル基またはアリール基が結合したアルキルシランなどがあげられる。
【0018】
また、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジ(n−プロポキシ)シラン、メチルビニルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルビニルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルビニルジ(sec−ブトキシ)シラン、メチルビニルジ(tert−ブトキシシラン)、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ(n−プロポキシ)シラン、ジビニルジ(i−プロポキシ)シラン、ジビニルジ(n−ブトキシ)シラン、ジビニルジ(sec−ブトキシ)シラン、ジビニルジ(tert−ブトキシシラン)、などケイ素原子上に1ないし2個のビニル基が結合したアルキルシランなども好適である。
【0019】
一般式(1)で表される1官能性のアルコキシシランの具体例として、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル(n−プロポキシ)シラン、トリメチル(i−プロポキシ)シラン、トリメチル(n−ブトキシ)シラン、トリメチル(sec−ブトキシ)シラン、トリメチル(tert−ブトキシシラン)、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチル(n−プロポキシ)シラン、トリエチル(i−プロポキシ)シラン、トリエチル(n−ブトキシ)シラン、トリエチル(sec−ブトキシ)シラン、トリエチル(tert−ブトキシシラン)、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピル(n−プロポキシ)シラン、トリプロピル(i−プロポキシ)シラン、トリプロピル(n−ブトキシ)シラン、トリプロピル(sec−ブトキシ)シラン、トリプロピル(tert−ブトキシシラン)、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニル(n−プロポキシ)シラン、トリフェニル(i−プロポキシ)シラン、トリフェニル(n−ブトキシ)シラン、トリフェニル(sec−ブトキシ)シラン、トリフェニル(tert−ブトキシシラン)、メチルジエチルメトキシシラン、メチルジエチルエトキシシラン、メチルジエチル(n−プロポキシ)シラン、メチルジエチル(i−プロポキシ)シラン、メチルジエチル(n−ブトキシ)シラン、メチルジエチル(sec−ブトキシ)シラン、メチルジエチル(tert−ブトキシシラン)、メチルジプロピルメトキシシラン、メチルジプロピルエトキシシラン、メチルジプロピル(n−プロポキシ)シラン、メチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、メチルジプロピル(n−ブトキシ)シラン、メチルジプロピル(sec−ブトキシ)シラン、メチルジプロピル(tert−ブトキシシラン)、メチルジフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルエトキシシラン、メチルジフェニル(n−プロポキシ)シラン、メチルジフェニル(i−プロポキシ)シラン、メチルジフェニル(n−ブトキシ)シラン、メチルジフェニル(sec−ブトキシ)シラン、メチルジフェニル(tert−ブトキシシラン)、エチルジメチルメトキシシラン、エチルジメチルエトキシシラン、エチルジメチル(n−プロポキシ)シラン、エチルジメチル(i−プロポキシ)シラン、エチルジメチル(n−ブトキシ)シラン、エチルジメチル(sec−ブトキシ)シラン、エチルジメチル(tert−ブトキシシラン)、エチルジプロピルメトキシシラン、エチルジプロピルエトキシシラン、エチルジプロピル(n−プロポキシ)シラン、エチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、エチルジプロピル(n−ブトキシ)シラン、エチルジプロピル(sec−ブトキシ)シラン、エチルジプロピル(tert−ブトキシシラン)、エチルジフェニルメトキシシラン、エチルジフェニルエトキシシラン、エチルジフェニル(n−プロポキシ)シラン、エチルジフェニル(i−プロポキシ)シラン、エチルジフェニル(n−ブトキシ)シラン、エチルジフェニル(sec−ブトキシ)シラン、エチルジフェニル(tert−ブトキシシラン)、プロピルジメチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、プロピルジメチル(n−プロポキシ)シラン、プロピルジメチル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジメチル(n−ブトキシ)シラン、プロピルジメチル(sec−ブトキシ)シラン、プロピルジメチル(tert−ブトキシシラン)、プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジエチルエトキシシラン、プロピルジエチル(n−プロポキシ)シラン、プロピルジエチル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジエチル(n−ブトキシ)シラン、プロピルジエチル(sec−ブトキシ)シラン、プロピルジエチル(tert−ブトキシシラン)、プロピルジフェニルメトキシシラン、プロピルジフェニルエトキシシラン、プロピルジフェニル(n−プロポキシ)シラン、プロピルジフェニル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジフェニル(n−ブトキシ)シラン、プロピルジフェニル(sec−ブトキシ)シラン、プロピルジフェニル(tert−ブトキシシラン)フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジメチル(n−プロポキシ)シラン、フェニルジメチル(i−プロポキシ)シラン、フェニルジメチル(n−ブトキシ)シラン、フェニルジメチル(sec−ブトキシ)シラン、フェニルジメチル(tert−ブトキシシラン)、フェニルジエチルメトキシシラン、フェニルジエチルエトキシシラン、フェニルジエチル(n−プロポキシ)シラン、フェニルジエチル(i−プロポキシ)シラン、フェニルジエチル(n−ブトキシ)シラン、フェニルジエチル(sec−ブトキシ)シラン、フェニルジエチル(tert−ブトキシシラン)、フェニルジプロピルメトキシシラン、フェニルジプロピルエトキシシラン、フェニルジプロピル(n−プロポキシ)シラン、フェニルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、フェニルジプロピル(n−ブトキシ)シラン、フェニルジプロピル(sec−ブトキシ)シラン、フェニルジプロピル(tert−ブトキシシラン)などが挙げられる。
【0020】
また、ケイ素原子上に1〜3個のビニル基が結合したアルキルシランなども好適である。具体的には、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、トリビニル(n−プロポキシ)シラン、トリビニル(i−プロポキシ)シラン、トリビニル(n−ブトキシ)シラン、トリビニル(sec−ブトキシ)シラン、トリビニル(tert−ブトキシシラン)、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチル(n−プロポキシ)シラン、ビニルジメチル(i−プロポキシ)シラン、ビニルジメチル(n−ブトキシ)シラン、ビニルジメチル(sec−ブトキシ)シラン、ビニルジメチル(tert−ブトキシシラン)、ビニルジエチルメトキシシラン、ビニルジエチルエトキシシラン、ビニルジエチル(n−プロポキシ)シラン、ビニルジエチル(i−プロポキシ)シラン、ビニルジエチル(n−ブトキシ)シラン、ビニルジエチル(sec−ブトキシ)シラン、ビニルジエチル(tert−ブトキシシラン)、ビニルジプロピルメトキシシラン、ビニルジプロピルエトキシシラン、ビニルジプロピル(n−プロポキシ)シラン、ビニルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、ビニルジプロピル(n−ブトキシ)シラン、ビニルジプロピル(sec−ブトキシ)シラン、ビニルジプロピル(tert−ブトキシシラン)などが挙げられる。
【0021】
次に本発明において用いることができる一般式(2)で表されるアルコキシシラン等は、その出発原料であるアルコキシシランが6、5、4、3および2官能性のものである。
一般式(2)で表されるアルコキシシランのうち、R7が−(CH2)n−の化合物で6、5、4、3、2官能性のアルコキシシランの具体例として、6官能性のアルコキシランの例としてビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリフェノキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリフェノキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、 1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリフェノキシシリル)プロパン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン。
【0022】
5官能性のアルコキシシランとして、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−i−プロポキシシリル)メタン、 1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−t−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメ チルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−i−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−t−ブトキシシリル)エタンなどが挙げられる。
【0023】
4官能性のアルコキシシランの例としてビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)メタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、ビス(ジメトキシフェニルシリル)エタン、ビス(ジエトキシフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(ジメトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシメチルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジメトキシフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス(ジエトキシフェニルシリル)プロパンなどが挙げられる。
【0024】
3官能性のアルコキシシランとして、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(メトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(エトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(n−プロポキジメチルシリル)メタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−1−(i−プロポキシジメチルシリル)メタン、 1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(n−ブトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(sec−ブトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−1−(t−ブトキシジメチルシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(メトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(エトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメ チルシリル)−2−(n−プロポキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−i−プロポキシメチルシリル)−2−(i−プロポキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(n−ブトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(sec−ブトキシジメチルシリル)エタン、1−(ジ−t−ブトキシメチルシリル)−2−(t−ブトキシジメチルシリル)エタンなどが挙げられる。
【0025】
2官能性のアルコキシシランの具体例として、ビス(メトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(メトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(メトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(メトキシジフェニルシリル)エタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)エタン、1,3−ビス(メトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス (エトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス (メトキシジフェニルシリル)プロパン、1,3−ビス (エトキシジフェニルシリル)プロパンなどが挙げられる。
【0026】
一般式(2)でR7が酸素原子の化合物で6官能性のアルコキシシランとしてはヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、ヘキサフェノキシジシロキサン、5官能性のアルコキシシランとして1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−メチルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタメトキシ−3−フェニルジシロキサン、1,1,1,3,3−ペンタエトキシ−3−フェニルジシロキサン、4官能性のアルコキシシランとして1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、 1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジ シロキサン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3 −ジフェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエ トキシ−1,3−ジフェニルジシロキサン、3官能性のアルコキシシランとして1,1,3 −トリメトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサ ン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリメチルジシロキサン、1,1,3−トリメトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、1,1,3−トリエトキシ−1,3,3−トリフェニルジシロキサン、2官能性のアルコキシシランとして1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ サン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメ チルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサンなどを挙げることができる。
【0027】
一般式(2)で、pが0の化合物で6,5,4、3および2官能性のアルコキシシランの具体例として、6官能性のアルコキシシランの具体例としてヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、5官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、4官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,2,2−テトラメ トキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、3官能性のアルコキシシランの具体例として1,1,2−トリメトキシ−1,2,2 −トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ− 1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、2官能性のアルコキシシランの具体例として1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを挙げることができる。
【0028】
また、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシランなどのケイ素原子に直接水素原子が結合したものも用いることもできる。
さらに、ビス(エトキシジメチルシリル)メタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、ビス(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エトキシジフェニルシリル)エタン、1,3−ビス (エトキシジメチルシリル)プロパン、1,3−ビス (エトキシジフェニルシリル)プロパン、3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシ−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシランなどを用いることもできる。
【0029】
これらの中で特に好ましいアルコキシシランとして、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシランが挙げられる。
【0030】
本発明ではシリカ前駆体中に存在する全珪素原子のモル数に対して、珪素原子上に少なくとも一個の一価の有機基が結合している珪素原子のモル数の割合は1〜90モル%であることが好ましく、このシリカ前駆体を有する塗布組成物から製造された多孔性シリカ薄膜の吸湿性は著しく低下する。
本発明では塗布組成物中に含有される重縮合物を塗布組成物の結晶化度で表している。
【0031】
本発明の塗布組成物の結晶化度は、IR分光分析により、以下の方法により求めることができる。
本発明の塗布組成物中のシリカ前駆体は440cm− 1〜480cm− 1付近に吸収を示す一方で、550cm− 1〜650cm− 1付近にゼオライトを主成分とする縮合物たる結晶構造に由来する特徴的なピークが発現するので、これら2つのピーク面積比をもって本発明の塗布組成物の結晶化度とした。
【0032】
尚、ゼオライトの結晶性をIR分光分析により測定する方法についてはJ. Chem. Soc., Chem. Commun. 1982, 1413に開示されている。
本発明の塗布組成物の結晶化度(440cm− 1〜480cm− 1付近のピーク面積に対する550cm− 1〜650cm− 1付近のピークの面積比)は0.14〜0.63が好ましく、より好ましくは0.21〜0.56である。0.14未満であると、本発明の塗布組成物より製造された膜の機械強度が十分でないし、0.63を超えるとシリカゼオライト微粒子の粒子径分布が大きくなりすぎて、得られた薄膜の表面平滑性が損なわれてしまう。
【0033】
また、本発明において、得られる多孔質シリカ薄膜を改質するために、低屈折率の性能を損なわない範囲で、Si以外の金属アルコキシド等を添加することは好ましく、アルミニウム、チタン、ジルコニアのアルコキシド等であり、具体的にはトリメトキシアルミ、トリエトキシアルミ、トリプロポキシアルミ、トリブトキシアルミ、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムを用いても良い。これらのSi以外の金属アルコキシドを添加する量は、Si原子の全モル数1に対して、0.5モル以下となるようにする。0.5モルを超えると、成膜した際に高透過性が得られない場合や低屈折率性が得られない場合がある。
【0034】
次に本発明の塗布組成物を構成する有機溶媒(B)について説明する。
有機溶媒の種類は塗布組成物の貯蔵安定性、塗布性能および薄膜性能をより向上させるなどの目的からアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒およびエステル系溶媒が好ましい。具体的にはエタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、アセトン、メチル エチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル− n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチ ルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n− ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i− ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4 −ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノ ン、ホルムアミド、N −メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ ド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルム アミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N, N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、 N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリ ン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジ ン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジ ン、N−アセチルピロリジンジエチルカーボ ネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピ ル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブ チル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸 3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エ チルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸 n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコール モノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ− n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメ チルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテ ルなどが挙げられる。
【0035】
上記の有機溶媒(B)は後述するようにアルコキシシランの加水分解、重縮合反応前後に全量加えていてもよいし、少量ずつ添加してもよい。
塗布組成物中の有機溶媒の量は70重量%〜99.9重量%が好ましく、より好ましくは50重量%〜99.9重量%であり使用目的に応じて適宜調整される。有機溶媒がこの範囲にあることによって、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性も優れるものである。
尚、本発明の有機溶媒の量は、既知量の塗布組成物から、その中に含有されるアルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応して得られるシロキサン化合物の重量%を差し引いた値として求められる。
【0036】
本発明では塗布組成物の結晶化度を0.14〜0.63とするために、一般式(1)で表されるアルコキシシランのうち特定の4官能性アルコキシシランを重縮合して得られるゼオライトを主成分とするシリカ前駆体1をあらかじめ調製した後、ゼオライトに用いたアルコキシシラン以外のアルコキシシランを用いて加水分解、重縮合したシリカ前駆体2と混合することで製造することができる。
先ず、シリカ前駆体1の製造方法について説明する。
【0037】
シリカ前駆体1は上記一般式(1)で表される特定の4官能性のアルコキシシランにゼオライト結晶化調整剤としての有機アミンと水とを混合して所定の温度、時間反応させて得ることができる。
ここで、ゼオライト結晶化調整剤である有機アミンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニアなどを挙げることができる。その中にテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。有機アミンの添加量はアルコキシシラン1モルに対して0.01〜5モル、好ましくは0.1〜2モル、より好ましくは0.2〜0.6モルである。この有機アミンの量が0.01モル未満または5モルを超えると、ゼオライトが生成しない場合があるので好ましくない。
【0038】
また、アルコキシシランの加水分解に必要な水は液体のまま、あるいはアルコール等の水溶液として加えるのが一般的であるが、水蒸気の形で加えてもかまわない。水の添加を急激に行うと、アルコキシシランの種類によっては加水分解と縮合が速すぎて沈殿を生じる場合があるため、水の添加に充分な時間をかけることが好ましい。従って液体で添加する場合アルコキシシランが均一に水と接するようにアルコールなどの溶媒を共存させたり、低温で添加するなどの手法を単独または組み合わせて用いることが好ましい。
【0039】
水の添加量は原料として仕込み量のアルコキシシラン基1モル当たり、0.1モル〜50モルの範囲が好ましい。より好ましくは1〜20モルである。水の添加量がこの範囲にあると、以下の反応が円滑に進行するので好ましい。
シリカ前駆体1を得るための反応温度は、0〜150℃、好ましくは20〜150℃、より好ましくは20〜120℃である。0℃よりも低いとゼオライトの結晶化と加水分解の進行が十分でないし、逆に150℃を超えると反応が急激に進行しすぎて、ゼオライト粒子が大きすぎる場合があり好ましくない。
【0040】
反応時間は、反応温度にもよるが通常1時間〜10日、好ましくは4時間〜10日、より好ましくは1日〜5日である。
以上の方法で得られたシリカ前駆体1中には、結晶性のゼオライト以外に、当然として出発原料であるアルコキシシラン、その加水分解物、縮合物で結晶性を示さないものも含まれる場合がある。
尚、本発明のシリカ前駆体1を製造する場合に、アルコキシシランと、ゼオライト結晶化調整剤、水および/または有機溶媒を反応開始前に全量添加しても良いし、一部を段階的に添加してもかまわない。
【0041】
次にシリカ前駆体2の製造方法、すなわち珪素原子上に少なくとも1個の一価の有機基を直接結合する構造を有するアルコキシシランを用いて、水の存在下にて加水分解、縮合反応させて得られるシリカ前駆体2の製造方法について説明する。
シリカ前駆体2には、上記アルコキシシランの加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものが含まれるが、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などを表す。すなわちアルコキシシランそのものおよび部分加水分解物、部分重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を部分的に含んでいても良い。
【0042】
水を添加する形態、添加方法および添加量およびシリカ前駆体を加水分解、縮合反応させる温度条件は前述のシリカ前駆体1を製造する場合と同様の条件を採用することができる。
シリカ前駆体2を得るための反応温度については、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは0〜80℃で処理すればよい。0℃よりも低いと加水分解の進行が十分でないし、逆に150℃を超えると反応が急激に進行しすぎて、組成物全体がゲル化してしまう場合があり、好ましくない。
【0043】
なお、シリカ前駆体2を製造する場合もシリカ前駆体1と同様にアルコキシシランと水および/または有機溶媒とを反応開始前に全量添加して良いし、一部ずつ段階的に添加してもよい。
以上のようにして、シリカ前駆体1と、シリカ前駆体2を製造することができる。
本発明の塗布組成物に含有されるシリカ前駆体は上記したシリカ前駆体1とシリカ前駆体2の混合物であるが、シリカ前駆体1とシリカ前駆体2とは別々に製造してから混合しても良いし、シリカ前駆体1を製造しておいてから、そこにシリカ前駆体2製造用のアルコキシシランを添加した後に所定時間反応させて、シリカ前駆体2を製造してもよい。
【0044】
以上の製造法によりシリカ前駆体を得ることができるが、シリカ前駆体1とシリカ前駆体2の混合割合は、シリカ前駆体中の全珪素原子のモル数に対して、珪素原子上に少なくとも一個の一価の有機基が結合している珪素原子のモル数の割合が1〜90モル%となるようにすることが好ましい。より好ましくは10〜80モル%、さらに好ましくは10〜70モル%である。
1モル%未満であると、得られた薄膜の吸湿性が著しくなり好ましくないし、逆に90モル%を超えると薄膜の強度が低下してしまう。
【0045】
このように少なくとも一個の一価の有機基が結合している珪素原子のモル数を上記のように制御することによって、得られた多孔性シリカ薄膜のヤングモジュラスを損なうことなく、従来の欠点であった吸水性が著しく改善され、屈折率が低くかつ安定した薄膜を製造することができる。
本発明では上記のシリカ前駆体1およびシリカ前駆体2を調製する際に、アルコキシシランの加水分解や縮合反応を加速させるために下記の酸および/または塩基を添加しても良いし、シリカ前駆体1またはシリカ前駆体2を調整後、あるいはシリカ前駆体1と2を混合後の塗布組成物中に下記の酸および/または塩基を添加しても良い。
【0046】
本発明で用いることができる酸の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、トリポリリン酸、ホスフォン酸、ホスフィン酸などの無機酸を挙げることができる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、イソニコチン酸などを挙げることができる。
【0047】
尚、本発明の塗布組成物を基板上に塗布した後で酸として機能するような化合物も上記の酸に含まれる。具体的には芳香族スルホン酸エステルやカルボン酸エステルのような、加熱または光により分解して酸を発生する化合物が挙げられる。
一方、塩基の具体例としては、本発明で使用することのできる塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モノエタノー ルアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノ ールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロ ノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアン モニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアン モニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアン モニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアン モニウムハイドロオキサイド、アンモニア、メチルアミ ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、 N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、 N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどを挙げることができる。
【0048】
これらの酸および塩基の添加量は出発原料として仕込まれる一般式(1)および(2)のアルコキシラン基1モルに対し1モル以下、好ましくは0.1モル以下が適当である。1モルより多いと沈殿物が生成し、均質な多孔質のケイ素酸化物からなる塗膜が得られ難くなる場合がある。
酸および塩基は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明における塗布組成物の全固形分濃度は、0.1〜30重量%が好ましいが、使用目的に応じて適宜調整される。塗布組成物の全固形分濃度が0.1〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れるものである。
【0049】
本発明の全固形分濃度の調整は、シリカ前駆体製造時に有機溶媒をあらかじめ混合しておくことも可能であるが、シリカ前駆体製造後にあらためて有機溶媒を添加することも可能である。さらに、必要であれば濃縮で調整することも可能である。
尚、本発明の全固形分濃度は既知量の塗布組成物に対するアルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応して得られるシロキサン化合物の重量%として求められる。
【0050】
本発明では以上のようにして得られる塗布組成物を塗布液として用い、その中のシリカ前駆体を硬化させることによって、屈折率の十分に低い多孔性シリカ薄膜を得ることができるが、さらに屈折率を下げるために、後述するようにシリカ前駆体が硬化する過程または硬化後に、水や有機溶媒により抽出することにより多孔薄膜中に空孔を形成し、該膜の屈折率を低下させる作用をするような有機ポリマー(C)を用いることができる。
【0051】
有機ポリマー(C)の主鎖骨格構造は特別限定されることはないが、具体例としてポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリジエン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルアミド、ポリビニルアミン、ポリビニルエステル、ポリビニルアルコール、ポリハロゲン化ビニル、ポリハロゲン化ビニリデン、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリイミン、ポリイミド、セルロース、およびこれらの誘導体を主なる構成成分とするポリマーが挙げられる。
【0052】
上記のポリマーの中でも好適に用いられるものは、シリカ前駆体およびシリカとの相溶性に優れるだけでなく、水や有機溶媒による抽出によって除去されて、多孔性シリカゼオライト薄膜に容易に変換する、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリアンハイドライドを主なる構成成分とするポリマーである。
また、直鎖状または分岐状の2元以上のブロックコポリマーで、ブロック部が炭素数1〜8の直鎖状および環状のオキシアルキレン基を繰り返し単位とする有機ポリマーも好適に用いることができる。具体的なブロックコポリマーとしては、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールのような2元ブロックコポリマー、さらにポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールポリエチレングリコールなどの直鎖状の3元ブロックコポリマーのようなポリエーテルブロックコポリマーが挙げられる。さらに、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、ペントース、ヘキシトール、ヘキソース、ヘプトースなどに代表される糖鎖に含まれるヒドロキシル基のうちの少なくとも3つとポリマー鎖が結合した構造、及び/又はヒドロキシル酸に含まれるヒドロキシル基とカルボキシル基のうち少なくとも3つがブロックコポリマー鎖が結合した構造であることが好ましい。具体的には分岐状のグリセロールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、エリスリトールポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコールなどが含まれる。
【0053】
さらに本発明では、脂肪族高級アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合させた直鎖状の高級脂肪族/アルキレンオキサイドブロックコポリマーも使用することが可能である。具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテルなどが挙げられる。
【0054】
以上の有機ポリマーの末端基は特に限定されないが、水酸基はじめ、直鎖状および環状のアルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基およびトリアルキルシリル基変性された基であることが好ましい。
これらのポリマーの構成単位であるモノマーどうしの共重合体や、その他の任意のモノマーとの共重合体を用いてもよい。また有機ポリマーは1種類でも2種類以上を併用してもよい。
【0055】
またポリマーの主鎖は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の任意の繰り返し単位を有するポリマー鎖を含んでいてもよい。
本発明において有機ポリマーを添加する場合のその添加量は、出発原料であるアルコキシシランの仕込み全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られるシロキサン1重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。有機ポリマーの添加量が0.01重量部より少ないと薄膜の屈折率が低くならず、また10重量部より多くても、十分な機械強度を有する多孔性シリカが得られず、実用性に乏しい。
【0056】
尚、アルコキシシランの仕込み全量が加水分解および縮合反応したと仮定して得られるシロキサンとは一般式(1)、(2)のSiOR2基、SiOR4基またはSiOR5基が100%加水分解されてSiOHになり、さらに100%縮合してシロキサン構造になったものを言う。
本発明で有機ポリマーを添加する時期については上記した塗布組成物の製造工程のいずれの段階で添加してもかまわない。
【0057】
また、本発明では、有機ポリマーの分子内に重合性の官能基、たとえば(メタ)アクリレート基を有していてもよく、その場合には組成物中に、アゾ系やパーオキサイド系等のラジカル重合開始剤、またはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類や、光増感剤として、ケタール類、アントラキノン類などの光ラジカル重合開始剤を添加しておくことが好ましい。上記の重合性の官能基を含む組成物は塗布後の熱硬化処理の前、或いは同時に電子線照射または紫外線照射により活線エネルギー照射処理を行うことになる。この活性エネルギ−照射処理により、分子内の重合性官能基の重合度が向上する。尚、活性エネルギー照射処理は場合によっては系内の酸素を窒素等の不活性ガスと置換して行う。
【0058】
更に、本発明では有機ポリマーの分子内にエポキシ基を有していてもよくその場合に、当官能基の反応を促進する触媒として、先記のシリカ前駆体用の塩基化合物を用いることができる。その中で、特に3級アミンが好ましい。
従って、有機ポリマーの分子中にエポキシ基を有する場合は、保存安定性の面で上記の反応促進触媒を組成物の塗布直前に添加することが好ましく、2種以上の溶液を混合して塗布できる塗布設備を用いることが望ましい。
【0059】
本発明の反射防止膜用のシリカゼオライト薄膜は、以下の光学基板上に塗布、成膜された積層膜として通常使用される。
本発明の光学基板は透明なものが好ましく、例えば、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアセテート系フィルム、延伸したポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ノルボネン系フィルム、ポリアリレート系フィルムおよびポリスルフォン系フィルムが好ましい。特にセルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、ポリカーボネートフィルム、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0060】
通常のガラス基板も光学基板として好適に使用される。
本発明の塗布はディッピング、スピンコーター、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーター等の公知の塗布機を用いて実施することができる。これらのうち連続塗布が可能な方法が好ましく用いられる。
【0061】
本発明の反射防止膜構造体とは、上記の光学基板上に本発明の多孔性シリカ薄膜が形成された複合膜からなる構造体で、必要に応じてハードコート膜や防汚膜なども積層された多層構造体を意味する。
本発明は該光学基板の熱変形温度より低い温度にて該基板上に組成物を塗布し、該基板の熱変形温度より低い温度にて該シリカ前駆体を硬化することにより成膜することを特徴とする。
【0062】
塗布組成物中に有機ポリマーを使用する場合には、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜が一旦成膜され、そのあとで有機ポリマーを後述する方法により除去して成膜する。
硬化を行う温度は、該光学基板の耐熱性に依存して変更することができるが、60〜150℃、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜120℃である。60℃未満では多孔質、且つ、密着性の良い膜が得られず、また、150℃を超えると基材が変形する危険性がある。
【0063】
本発明の効果の一つは、硬化時間が短くてよく、生産性が良いことである。硬化を行う時間は、1時間以内、好ましくは10分以内、より好ましくは2分以内である。1時間を超えると生産性の面で効率が低下する。
有機ポリマーを含有する塗布組成物を用いて成膜する場合には、先述したように、一旦シリカ/有機ポリマー複合体が形成されるが、この場合には該複合体薄膜を成膜した光学基板を抽出溶剤に接触させることにより、有機ポリマーを除去して多孔化する。接触方法としては、抽出溶剤に浸漬する方法でも良いし、抽出溶剤を該薄膜表面に流す洗浄方法でも良い。抽出溶剤としては、脂肪族ポリエーテルを溶解しうる溶剤であれば特に限定されず、前記のシリカ前駆体/脂肪族ポリエーテル組成物に用いる溶媒を用いることが可能である。好ましくは水や炭素数1〜6の一価アルコールであり、より好ましくは、水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、水−エタノール混合溶剤、水−イソプロパノール混合溶剤である。
【0064】
抽出温度は、該光学フィルムが変形しない温度であれば、特に限定されないが、100℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは40℃以下である。また抽出時間が早いことも本発明の特徴であり、抽出時間は10分以内、好ましくは5分以内、より好ましくは1分以内、さらに好ましくは20秒以内である。抽出は速やかに完了するので、10分を超えては生産性が低下する。
本発明における抽出後の乾燥は、前記の硬化条件と同様に、該光学フィルムの耐熱性に依存して変更することができるが、60〜150℃、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜120℃である。乾燥することにより、抽出溶剤を除去するだけでなく、得られる多孔質シリカ薄膜の強度が向上するため、該光学フィルムが変形しない範囲で、できるだけ高温で乾燥する。なお、コート後の硬化の際にシラノ−ル基の縮合が十分に進行していないと、抽出乾燥後に得られる薄膜の空隙率が減少したものになり、低屈折率を示す薄膜が得られない。乾燥に要する時間は乾燥温度により異なるが、1時間以内、好ましくは10分以内、より好ましくは2分以内である。1時間を超えると生産性の面で効率が低下する。
【0065】
抽出法以外に有機ポリマーを除去する方法として、有機ポリマーを過熱により揮発または分解してガス化することによっても行なうことができる。該ポリマーが揮発もしくはガスを発生する温度は大気圧下、0〜500℃の範囲であり、好ましくは50〜400℃である。
本発明の成膜法によって得られる多孔性シリカ薄膜は、例えば、メガネレンズ、ゴーグル、コンタクトレンズ等のメガネ分野;車の窓、インパネメーター、ナビゲーションシステム等の自動車分野;窓ガラス等の住宅・建築分野;ハウスの光透過性フィルムやシート等の農芸分野;太陽電池、光電池、レーザー等のエネルギー分野;TVブラウン管、ノートパソコン、電子手帳、タッチパネル、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、車載用テレビ、液晶ビデオ、プロジェクションテレビ、光ファイバー、光ディスク等の電子情報機器分野;照明グローブ、蛍光灯、鏡、時計等の家庭用品分野;ショーケース、額、半導体リソグラフィー、コピー機器等の業務用分野;液晶ゲーム機器、パチンコ台ガラス、ゲーム機等の娯楽分野などにおいて、映り込みの防止及び/又は光透過性の向上を必要としている光透過性光学基材の表面塗装に用いられる。
【0066】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例、比較例を用いて更に具体的に説明する。
光学基板は東洋紡績株式会社製コスモシャインA4300、188ミクロン膜厚、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。透過率および入射角12°での絶対反射率は(株)島津製作所製分光光度計MPC−2200を用いて測定した。空隙率および屈折率はJOBIN YVON社製分光エリプソメータを用いてシリコンウェハー上に同じ条件でコートして測定した。
また、本発明の薄膜の硬度は、鉛筆硬度(JIS5400の鉛筆引っかき値で試験機法による値)で評価した。
【0067】
【実施例1】
テトラエトキシシラン32.0g、エタノール30.5g、水12.1g、の混合物に、20−25%テトラ(n−)プロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)水溶液45.5gを加え、室温で1日攪拌した後に80℃で5日間攪拌し反応させてゼオライトのサスペンションを得た。
得られたサスペンションに、メチルトリエトキシシラン2.8gを添加し、80℃で8時間攪拌した。引き続き、遠心分離機を使って、回転数5000rpmで0.5時間処理して沈降粒子を除去した後で、粒子径が60nm以下のゼオライトサスペンションを得た。結晶化度は0.42であった。最後に溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテル24gを添加し本発明の塗布組成物を得た。
【0068】
塗布組成物を光学基板および屈折率を測定するためにシリコン基板上に各々3ml滴下し、室温にてスピンコート法により、3000rpmの回転下でそれぞれ成膜した。続いて熱風循環乾燥機にて、100℃、1分間の乾燥を行った。光学基板の場合には、裏面にも同様にコーティングして、同様に乾燥した。その後で光学基板およびシリコンウエハーを室温で10秒間、水−エタノール(50/50重量部)抽出溶剤に漬け、再度100℃、1分間乾燥を行って、膜厚が0.15μmの多孔性シリカ薄膜を有する光学基板およびシリコンウエハーを得た。多孔性シリカ薄膜の結晶化度は0.42であった。
【0069】
光学基板の入射角12°での絶対反射率測定において、540nmにおいて最小反射率を示し、薄膜コートのない場合に8.2%であったものが、0.1%に抑制された。また屈折率は1.31と低く、かつ鉛筆硬度は2Hと反射防止膜として優れたものであった。
【0070】
【比較例1】
実施例1において、室温で1日攪拌した後に80℃で1日間だけ攪拌し反応させてゼオライトのサスペンションを得た以外は、実施例1と同様の操作を行い、塗布組成物を得た。塗布組成物の結晶化度は0.11であった。
得られた組成物を実施例1と同様の操作により、膜厚が0.18μmの多孔性ゼオライト薄膜を得た。
得られた薄膜の屈折率は1.4と高すぎて反射防止膜としては適当ではなかった。
【0071】
【実施例2】
実施例1において、メチルトリエトキシシランを使用しない以外は実施例1と同様の操作を行い、塗布組成物を得た。塗布組成物の結晶化度は0.48であった。
得られた組成物を実施例1と同様の操作により、膜厚が0.11μmの多孔性ゼオライト薄膜を得た。多孔性シリカ薄膜の結晶化度は0.48であった。
光学基板の入射角12°での絶対反射率測定において、540nmにおいて最小反射率を示し、薄膜コートのない場合に9.5%であったものが、0.2%に抑制された。また屈折率は1.23で鉛筆硬度は3Hであり、反射防止膜として優れた性能を発現した。
【0072】
【発明の効果】
本発明の組成物から成膜された多孔性のシリカゼオライト薄膜は、低屈折率でかつ高硬度であるため、反射防止膜として最適である。
Claims (4)
- 屈折率が1.4以下で結晶化度が0.14〜0.63であることを特徴とする反射防止膜用の多孔性シリカゼオライト薄膜。
- 請求項1に記載の多孔性シリカゼオライト薄膜を含むことを特徴とする反射防止膜構造体。
- 少なくとも下記一般式(1)のn=0で表される4官能性のアルコキシシランの重縮合物を含む下記一般式(1)および/または一般式(2)で表されるアルコキシシランおよびその加水分解物、重縮合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物からなるシリカ前駆体(A)と、
R1 n(Si)(OR2)4−n (1)
(式中、R1、R2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基を表し、nは0〜3の整数である)
R3 m(R4O)3−mSi−(R7)p−Si(OR5)3−qR6 q (2)
(R3,R4,R5およびR6は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ1価の有機基を示し、mおよびqは、同一でも異なっていてもよく、0〜2の数を示し、R7は酸素原子または(CH2)r−で表される基を示し、rは1〜6を、pは0または1を示す。)
有機溶媒(B)と、
を含有し、結晶化度が0.14〜0.63であることを特徴とする反射防止膜製造用塗布組成物。 - 該反射防止膜製造用塗布組成物に更に有機ポリマー(C)を含有することを特徴とする請求項3に記載の反射防止膜製造用塗布組成物。
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2002
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