JP2004035422A - 皮膚の劣化の予防および/または低減における次没食子酸ビスマスの使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】皮膚の劣化の予防および/または低減における次没食子酸ビスマスの新しい使用法を提供すること。
【解決手段】本発明は、皮膚の劣化の予防および/または低減に使用するための次没食子酸ビスマスの新しい使用法を開示する。また、皮膚の劣化の予防および/または低減におけるボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスの相乗作用での効能も開示する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、皮膚の劣化の予防および/または低減に使用するための次没食子酸ビスマスの新しい使用法を開示する。また、皮膚の劣化の予防および/または低減におけるボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスの相乗作用での効能も開示する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚の劣化の予防および/または低減における次没食子酸ビスマスの新しい使用法に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚は、皮膚障害、環境からの害(風、空調、セントラルヒーティング)、または正常な加齢プロセス(経時老化)を通して劣化を受け、その経時老化は、皮膚が日光に当たることで促進され得る(光老化)。皮膚は、老化するにつれて魅力的な若々しい外観を失う。老化は、単に年月を重ねていく経過でもあり、日光に当たることで引き起こされる光老化でもある。風、雨、または他の環境ストレスは、加齢による衰えを引き起こす、または進行させる可能性がある。にきび、シワ、小ジワ、にきび丘疹、にきびによる外傷、はれもの、乾癬、シミ、皮膚変色などの様々な皮膚の状態も、皮膚の劣化の原因となる。米国特許第6,147,121号、同第5,910,490号、同第6,008,454号、同第6,287,553号、同第5,561,158号、同第5,869,540号で開示されているものなど、皮膚の劣化に対処するために多くの材料が開発されている。
【0003】
次没食子酸ビスマスは、没食子酸、氷酢酸、および硝酸ビスマスの間の反応による生成物であり、分子式C7H5BiO6で表される。次没食子酸ビスマスは、急性または慢性の下痢の治療に有効な経口抗下痢剤として知られており、その作用は、異常な発酵によって腸管に大量に存在するH2Sと反応し、そのためガスが腸管を刺激して引き起こされる下痢および痛みを緩和できることである。次没食子酸ビスマスは、そのベンゼン誘導体としての性質ゆえに消毒剤として使用することもできる。
【0004】
次没食子酸ビスマスおよびボルネオールを含む創傷治療用の薬剤組成物が、米国特許第6,232,341号に開示されている。しかし、皮膚の劣化の予防および/または低減における次没食子酸ビスマスの新しい使用法を教示または提唱している従来技術はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一目的は、皮膚の劣化を予防/または低減するのに十分な有効な量の次没食子酸ビスマスを皮膚に塗布することを含む、皮膚の劣化を予防および/または低減する方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、皮膚の劣化を予防および/または低減するための次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な有効な量だけ含む、皮膚の劣化の予防および/または低減に使用するための薬剤組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の好ましい実施形態によれば、その方法は、ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な、相乗作用に有効な量だけ皮膚に塗布することを含む。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の薬剤組成物は、皮膚の劣化を相乗作用で予防および/または低減するためにボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な、相乗作用に有効な量だけ含む。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面の簡単な説明
図1は、それぞれ次没食子酸ビスマス(a)およびボルネオール(b)が角化細胞の増殖に及ぼす影響を示す図である。
【0010】
図2は、ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスが線維芽細胞の増殖に及ぼす影響を示す図である。
【0011】
図3は、ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスのチロシンに関する阻害百分率を示す。
【0012】
図4は、ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスのラインウィーバー・バークのプロットを示す図である。
【0013】
老いた皮膚では、若い皮膚に比べて、角化細胞に含まれる細胞内のケラトヒアリン顆粒および細胞レベル下の細胞小器官が少ないことが知られている。線維芽細胞は、細胞外マトリックスタンパク質(プロテオグリカン、膠原線維、および他の構造糖タンパク質)の合成において活性であるので、真皮組織の主な構成要素となっている。さらに、チロシナーゼ阻害剤が化粧品用の美白剤として使用できることも当技術分野で知られている(Shimizu等、1998年、Planta Medica64、408から412;Kojima等、1995年、Biol.Pharm.Bull.18(8)、1076から1080)。したがって、角化細胞および線維芽細胞を増殖させ、チロシナーゼを阻害することにより、皮膚の劣化した状態を改善することができる。
【0014】
本発明では、驚いたことに、次没食子酸ビスマスは、角化細胞および線維芽細胞を増殖させ、チロシナーゼを阻害するのに有用であり、それによって皮膚の劣化を予防および/または低減できることが判明した。さらに、次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合せると、皮膚の劣化の予防および/または低減に相乗効果を示すことが判明した。
【0015】
定義
本明細書では、用語「次没食子酸ビスマス」は、没食子酸、氷酢酸、および硝酸ビスマスの間の反応による生成物を指し、分子式C7H5BiO6で表される。
【0016】
本明細書では、用語「ボルネオール」は、リュウノウジュなどから単離される生成物を指し、分子式C10H17OHで表される。
【0017】
本明細書では、用語「有効な量」は、皮膚の劣化の予防および/または低減において改善をもたらすのに十分な量を指す。
【0018】
本明細書では、用語「皮膚の劣化」は、皮膚老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、にきび丘疹、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、皮膚変色、肌荒れ、および乾燥肌といった状態を指す。
【0019】
皮膚の劣化を予防および/または低減する方法および組成物
本発明の一目的は、皮膚の劣化を予防/または低減するのに十分な有効な量の次没食子酸ビスマスを皮膚に塗布することを含む、皮膚の劣化を予防および/または低減する方法を提供することである。
【0020】
本発明によれば、本発明の方法で使用する次没食子酸ビスマスの有効な量は、0.03から40重量パーセントの範囲である。より好ましくは、次没食子酸ビスマスの有効な量は、0.5から20重量パーセントの範囲である。最も好ましくは、次没食子酸ビスマスの有効な量は、1.5から10重量パーセントの範囲である。
【0021】
好ましい一実施形態では、本発明は、ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な、相乗作用に有効な量だけ皮膚に塗布することを含む、皮膚の劣化を予防および/または低減する方法を提供する。
【0022】
本発明によれば、本発明の方法で使用する、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合わせる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ0.01から30重量パーセントおよび0.05から10重量パーセントの範囲である。より好ましくは、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合わせる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ0.1から15重量パーセントおよび0.1から5重量パーセントの範囲である。最も好ましくは、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合わせる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ、2から6重量パーセントおよび0.5から1重量パーセントの範囲である。
【0023】
本発明の別の目的は、皮膚の劣化を予防および/または低減する次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な有効な量だけ含む、皮膚の劣化の予防および/または低減に使用するための組成物を提供することである。
【0024】
本発明によれば、本発明の組成物に使用する次没食子酸ビスマスの有効な量は、0.03から40重量パーセントの範囲である。より好ましくは、次没食子酸ビスマスの有効な量は、0.5から20重量パーセントの範囲である。最も好ましくは、次没食子酸ビスマスの有効な量は、1.5から10重量パーセントの範囲である。
【0025】
別の実施形態では、本発明は、皮膚の劣化を相乗作用で予防および/または低減することに使用するためにボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な、相乗作用に有効な量だけ含む、皮膚の劣化の予防および/または低減に使用するための組成物を提供する。
【0026】
本発明によれば、本発明の組成物に使用する、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合せる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ、0.01から30重量パーセントおよび0.05から10重量パーセントの範囲である。より好ましくは、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合せる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ、0.1から15重量パーセントおよび0.1から5重量パーセントの範囲である。最も好ましくは、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合せる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ、2から6重量パーセントおよび0.5から1重量パーセントの範囲である。
【0027】
上述の活性成分のほかに、本発明による組成物は、皮膚老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、皮膚変色などの皮膚の劣化を予防および/または低減するのに役立つ他の従来の薬品をさらに含んでよい。たとえば、α−ヒドロキシ酸、抗酸化剤、トレチノインからなる群から選択された薬品を使用することができる。
【0028】
本発明によれば、本発明の方法または組成物で使用する次没食子酸ビスマス、またはボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスは、乳剤、パスタ剤、クリーム剤、軟膏剤、およびゲル状パスタ剤などの形で、局所投与用に製剤することができる。次没食子酸ビスマスまたはボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスの製剤に使用する適切な担体は、それだけに限らないが、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(ラクトース、アミロース、デンプンなど)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘着性のパラフィン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを含む。
【0029】
担体は非常に様々な形をとることができ、希釈剤、賦形剤、レシピエントなどの形にして、薬剤組成物の混合物を調製するのに使用することができる。たとえば、それだけに限らないが、水中油、油中水、水中油中水、およびシリコーン中水中油型エマルジョンを含めたエマルジョン担体が、本明細書では有用である。このようなエマルジョンは、たとえば約100cpsから約200,000cpsという広範な粘性率をカバーすることができ、また機械式ポンプ容器または従来の噴射剤を使用する加圧エアロゾル容器を用いるスプレーの形で送達することができる。このような担体は、ムースの形で送達することもできる。他の適切な局所用担体は、油、アルコール、シリコーンなどの無水の液体溶媒(たとえば、鉱油、エタノール、イソプロパノール、ジメチコン、シクロメチコンなど);水性ベースの単一相液体溶媒(たとえば、水/アルコール溶媒系);およびこれらの無水溶媒および水性ベースの単一相溶媒を濃くしたもの(たとえば、適切なゴム、樹脂、ロウ、ポリマー、塩などを加えることによって溶媒の粘性率を増大させて、固体または半固体を形成させた場合)が含まれる。
【0030】
本発明によれば、本発明の方法で使用する活性成分の適切な用量、および本発明の組成物の適切な用量は、医療従事者または他の技術者によってごく普通に決定することができ、上述の次没食子酸ビスマスおよびボルネオールを開示する先行技術で議論されているそれぞれの用量を含む。その開示を参照により本明細書に組み込む。いずれの場合も、医師または他の技術者によって、個人に最も適する実際の投与量が決定され得るであろう。
【0031】
有用性
本発明は、皮膚老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、にきび丘疹、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、皮膚変色、肌あれ、および乾燥肌などの皮膚の劣化を予防および/または低減するのに使用できる方法および組成物を提供する。より好ましくは、皮膚の劣化は、にきび、にきび丘疹、シワ、シミ、および皮膚変色を含む。さらに、本発明で開示する組成物は、薬として製剤することも化粧品として製剤することもできる。上述のことを考えれば、本発明の組成物により、荒れた肌および乾燥肌の調子を整え、にきびおよびにきび丘疹を低減し、皮膚老化を先送りにし、皮膚の再生を増進し、毛穴を引き締めることができる。
【0032】
実施例
以下の実施例によってさらに本発明を例示するが、これは本発明の範囲を限定するものではない。当分野の技術者に知られている変更形態および代用形態はなお、本発明の範囲および意図のうちに含まれる。
【0033】
実施例1
次没食子酸ビスマスおよびボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスが角化細胞の増殖に及ぼす影響
老いた皮膚では、若い皮膚に比べて、角化細胞に含まれる細胞内のケラトヒアリン顆粒およびサブセルの細胞小器官が少ないことが知られている。したがって、角化細胞を増殖させることで皮膚の劣化した状態を改善することができる。
【0034】
角化細胞を以下の薬品群、すなわち(a)次没食子酸ビスマス0.7μg/ml、7μg/ml、70μg/ml、および700μg/ml、(b)ボルネオール0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、および1000μg/ml、(c)次没食子酸ビスマス0.7μg/mlとボルネオール0.1μg/mlの組合せ、次没食子酸ビスマス7μg/mlとボルネオール1μg/mlの組合せ、次没食子酸ビスマス70μg/mlとボルネオール10μg/mlの組合せ、および次没食子酸ビスマス700μg/mlとボルネオール100μg/mlの組合せと共にそれぞれ培養した。細胞をそれぞれ2、4、6、8、10、12日間に培養した後、細胞数を書き留めて細胞の増殖を評価した。図1(a)に示すように、次没食子酸ビスマスと共に培養した細胞は、角化細胞の増殖において顕著な増加を示す。たとえば、次没食子酸ビスマス70μg/mlと共に培養した細胞は、12日目にその数が対照細胞の2倍にまでなった。図1(b)は、ボルネオールが角化細胞の増殖にあまり影響を及ぼさないことを示している。さらに、次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合せると、角化細胞に対して相乗的な増殖効果を示す(図1(c)を参照のこと)。
【0035】
実施例2
次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合わせた場合の線維芽細胞の増殖に対する相乗効果
さらに、線維芽細胞の増殖に関する研究を行って、次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合わせた場合の皮膚への効果を評価した。線維芽細胞は、細胞外マトリックスタンパク質(プロテオグリカン、膠原線維、および他の糖タンパク質)の合成において活性であるので、真皮組織の主な構成要素となっている。試験した線維芽細胞は、中華民国台湾省台北のMackay Memorial Hospitalから入手した。
【0036】
線維芽細胞を、次没食子酸ビスマス3.4μg/mlとボルネオール0.6μg/ml、没食子酸ビスマス35μg/mlとボルネオール5μg/ml、没食子酸ビスマス87μg/mlとボルネオール13μg/ml、および没食子酸ビスマス347μg/mlとボルネオール53μg/mlと共にそれぞれ培養した。細胞をそれぞれ2、4、6、8、10、12日間に培養した後、細胞数を書き留めて細胞の増殖を評価した。図2に示すように、ボルネオールと組み合わせた低濃度の次没食子酸ビスマスと共に培養した細胞は、線維芽細胞の増殖において顕著な増加を示す。たとえば、次没食子酸ビスマス35μg/mlとボルネオール5μg/mlと共に培養した細胞は、2日目にその数が対照細胞の2倍にまでなっている。
【0037】
実施例3
ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスがチロシナーゼの阻害に及ぼす影響
チロシナーゼの阻害に関する研究を行って、次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合わせた場合の皮膚への効果を評価した。メラニンの生合成は、メラニン細胞中で起こり、酸化および重合を伴って、チロシンが3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(dopa)に、さらにdopaがメラニンになる。したがって、チロシンの阻害剤は、メラニンの生成を遮断することによって、化粧品用の美白剤として使用することができる。
【0038】
pH6.8の、0.09%のL−DOPA入り0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液であって、ボルネオールと組み合わせた120μM、240μM、400μM、600μM、800μM、および1600μMの次没食子酸ビスマス、および135U/mlのチロシナーゼ50μlを含むもの、あるいは含まないものを使用して、チロシンに関する阻害を試験した。得られた溶液を、37℃で15分間反応させ、次いで分光光度計によって475nmで検出を行った。ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスのチロシナーゼに対する阻害百分率を、以下の式によって計算した。
【0039】
阻害百分率(%)=[(A−B)−(C−D)]/(A−B)×100
A=ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを含まない溶液のOD475
B=ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスおよびチロシンを含まない溶液のOD475
C=ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを含む溶液のOD475
D=ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを含むが、チロシンを含まない溶液のOD475
ボルネオールと組み合わせた120μM、240μM、400μM、600μM、800μM、および1600μMの次没食子酸ビスマスの阻害百分率は、11.1%、14.6%、19.7%、21.5%、29.5%、40.3%であり、IC50値は1600μMを超えていた(図3を参照のこと)。
【0040】
さらに、酵素動力学分析により、ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスが、チロシナーゼの拮抗阻害剤であることが示されている。
【0041】
L−DOPAを様々な濃度で含む0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液50μlと、ボルネオールと組み合わせた120μMの次没食子酸ビスマス50μlを混合し、次いで96ウェルプレートに加えた。135U/mlのチロシナーゼ50μlを、各濃度のL−DOPA溶液に加えた。得られた溶液をプレートに加え、37℃で15分間反応させた。チロシナーゼ阻害において次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合わせた場合のラインウィーバー・バークのプロットを、図4に示した。ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスのKi値は、971μMである。
【0042】
実施例4
ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスの皮膚への適用
A、B、C、D、Eの5人の顔面に、ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを含む組成物を塗布した。ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスの塗布を2ヶ月間行った後、Aではにきびおよびにきび丘疹が低減し、皮膚の色あいが白くなった。Bでは皮膚の色が改善し、Cでは皮膚のキメがより細かくなった。Dでは皮膚の乾燥状態が改善し、Eでは皮膚アレルギーが改善した。
【図面の簡単な説明】
【図1】それぞれ次没食子酸ビスマス(a)およびボルネオール(b)が角化細胞の増殖に及ぼす影響を示す図である。
【図2】ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスが線維芽細胞の増殖に及ぼす影響を示す図である。
【図3】ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスのチロシンに関する阻害百分率を示す。
【図4】ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスのラインウィーバー・バークのプロットを示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚の劣化の予防および/または低減における次没食子酸ビスマスの新しい使用法に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚は、皮膚障害、環境からの害(風、空調、セントラルヒーティング)、または正常な加齢プロセス(経時老化)を通して劣化を受け、その経時老化は、皮膚が日光に当たることで促進され得る(光老化)。皮膚は、老化するにつれて魅力的な若々しい外観を失う。老化は、単に年月を重ねていく経過でもあり、日光に当たることで引き起こされる光老化でもある。風、雨、または他の環境ストレスは、加齢による衰えを引き起こす、または進行させる可能性がある。にきび、シワ、小ジワ、にきび丘疹、にきびによる外傷、はれもの、乾癬、シミ、皮膚変色などの様々な皮膚の状態も、皮膚の劣化の原因となる。米国特許第6,147,121号、同第5,910,490号、同第6,008,454号、同第6,287,553号、同第5,561,158号、同第5,869,540号で開示されているものなど、皮膚の劣化に対処するために多くの材料が開発されている。
【0003】
次没食子酸ビスマスは、没食子酸、氷酢酸、および硝酸ビスマスの間の反応による生成物であり、分子式C7H5BiO6で表される。次没食子酸ビスマスは、急性または慢性の下痢の治療に有効な経口抗下痢剤として知られており、その作用は、異常な発酵によって腸管に大量に存在するH2Sと反応し、そのためガスが腸管を刺激して引き起こされる下痢および痛みを緩和できることである。次没食子酸ビスマスは、そのベンゼン誘導体としての性質ゆえに消毒剤として使用することもできる。
【0004】
次没食子酸ビスマスおよびボルネオールを含む創傷治療用の薬剤組成物が、米国特許第6,232,341号に開示されている。しかし、皮膚の劣化の予防および/または低減における次没食子酸ビスマスの新しい使用法を教示または提唱している従来技術はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一目的は、皮膚の劣化を予防/または低減するのに十分な有効な量の次没食子酸ビスマスを皮膚に塗布することを含む、皮膚の劣化を予防および/または低減する方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、皮膚の劣化を予防および/または低減するための次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な有効な量だけ含む、皮膚の劣化の予防および/または低減に使用するための薬剤組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の好ましい実施形態によれば、その方法は、ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な、相乗作用に有効な量だけ皮膚に塗布することを含む。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の薬剤組成物は、皮膚の劣化を相乗作用で予防および/または低減するためにボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な、相乗作用に有効な量だけ含む。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面の簡単な説明
図1は、それぞれ次没食子酸ビスマス(a)およびボルネオール(b)が角化細胞の増殖に及ぼす影響を示す図である。
【0010】
図2は、ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスが線維芽細胞の増殖に及ぼす影響を示す図である。
【0011】
図3は、ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスのチロシンに関する阻害百分率を示す。
【0012】
図4は、ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスのラインウィーバー・バークのプロットを示す図である。
【0013】
老いた皮膚では、若い皮膚に比べて、角化細胞に含まれる細胞内のケラトヒアリン顆粒および細胞レベル下の細胞小器官が少ないことが知られている。線維芽細胞は、細胞外マトリックスタンパク質(プロテオグリカン、膠原線維、および他の構造糖タンパク質)の合成において活性であるので、真皮組織の主な構成要素となっている。さらに、チロシナーゼ阻害剤が化粧品用の美白剤として使用できることも当技術分野で知られている(Shimizu等、1998年、Planta Medica64、408から412;Kojima等、1995年、Biol.Pharm.Bull.18(8)、1076から1080)。したがって、角化細胞および線維芽細胞を増殖させ、チロシナーゼを阻害することにより、皮膚の劣化した状態を改善することができる。
【0014】
本発明では、驚いたことに、次没食子酸ビスマスは、角化細胞および線維芽細胞を増殖させ、チロシナーゼを阻害するのに有用であり、それによって皮膚の劣化を予防および/または低減できることが判明した。さらに、次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合せると、皮膚の劣化の予防および/または低減に相乗効果を示すことが判明した。
【0015】
定義
本明細書では、用語「次没食子酸ビスマス」は、没食子酸、氷酢酸、および硝酸ビスマスの間の反応による生成物を指し、分子式C7H5BiO6で表される。
【0016】
本明細書では、用語「ボルネオール」は、リュウノウジュなどから単離される生成物を指し、分子式C10H17OHで表される。
【0017】
本明細書では、用語「有効な量」は、皮膚の劣化の予防および/または低減において改善をもたらすのに十分な量を指す。
【0018】
本明細書では、用語「皮膚の劣化」は、皮膚老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、にきび丘疹、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、皮膚変色、肌荒れ、および乾燥肌といった状態を指す。
【0019】
皮膚の劣化を予防および/または低減する方法および組成物
本発明の一目的は、皮膚の劣化を予防/または低減するのに十分な有効な量の次没食子酸ビスマスを皮膚に塗布することを含む、皮膚の劣化を予防および/または低減する方法を提供することである。
【0020】
本発明によれば、本発明の方法で使用する次没食子酸ビスマスの有効な量は、0.03から40重量パーセントの範囲である。より好ましくは、次没食子酸ビスマスの有効な量は、0.5から20重量パーセントの範囲である。最も好ましくは、次没食子酸ビスマスの有効な量は、1.5から10重量パーセントの範囲である。
【0021】
好ましい一実施形態では、本発明は、ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な、相乗作用に有効な量だけ皮膚に塗布することを含む、皮膚の劣化を予防および/または低減する方法を提供する。
【0022】
本発明によれば、本発明の方法で使用する、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合わせる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ0.01から30重量パーセントおよび0.05から10重量パーセントの範囲である。より好ましくは、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合わせる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ0.1から15重量パーセントおよび0.1から5重量パーセントの範囲である。最も好ましくは、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合わせる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ、2から6重量パーセントおよび0.5から1重量パーセントの範囲である。
【0023】
本発明の別の目的は、皮膚の劣化を予防および/または低減する次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な有効な量だけ含む、皮膚の劣化の予防および/または低減に使用するための組成物を提供することである。
【0024】
本発明によれば、本発明の組成物に使用する次没食子酸ビスマスの有効な量は、0.03から40重量パーセントの範囲である。より好ましくは、次没食子酸ビスマスの有効な量は、0.5から20重量パーセントの範囲である。最も好ましくは、次没食子酸ビスマスの有効な量は、1.5から10重量パーセントの範囲である。
【0025】
別の実施形態では、本発明は、皮膚の劣化を相乗作用で予防および/または低減することに使用するためにボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な、相乗作用に有効な量だけ含む、皮膚の劣化の予防および/または低減に使用するための組成物を提供する。
【0026】
本発明によれば、本発明の組成物に使用する、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合せる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ、0.01から30重量パーセントおよび0.05から10重量パーセントの範囲である。より好ましくは、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合せる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ、0.1から15重量パーセントおよび0.1から5重量パーセントの範囲である。最も好ましくは、次没食子酸ビスマスとボルネオールを組み合せる場合の相乗作用に有効な量は、それぞれ、2から6重量パーセントおよび0.5から1重量パーセントの範囲である。
【0027】
上述の活性成分のほかに、本発明による組成物は、皮膚老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、皮膚変色などの皮膚の劣化を予防および/または低減するのに役立つ他の従来の薬品をさらに含んでよい。たとえば、α−ヒドロキシ酸、抗酸化剤、トレチノインからなる群から選択された薬品を使用することができる。
【0028】
本発明によれば、本発明の方法または組成物で使用する次没食子酸ビスマス、またはボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスは、乳剤、パスタ剤、クリーム剤、軟膏剤、およびゲル状パスタ剤などの形で、局所投与用に製剤することができる。次没食子酸ビスマスまたはボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスの製剤に使用する適切な担体は、それだけに限らないが、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物(ラクトース、アミロース、デンプンなど)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘着性のパラフィン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどを含む。
【0029】
担体は非常に様々な形をとることができ、希釈剤、賦形剤、レシピエントなどの形にして、薬剤組成物の混合物を調製するのに使用することができる。たとえば、それだけに限らないが、水中油、油中水、水中油中水、およびシリコーン中水中油型エマルジョンを含めたエマルジョン担体が、本明細書では有用である。このようなエマルジョンは、たとえば約100cpsから約200,000cpsという広範な粘性率をカバーすることができ、また機械式ポンプ容器または従来の噴射剤を使用する加圧エアロゾル容器を用いるスプレーの形で送達することができる。このような担体は、ムースの形で送達することもできる。他の適切な局所用担体は、油、アルコール、シリコーンなどの無水の液体溶媒(たとえば、鉱油、エタノール、イソプロパノール、ジメチコン、シクロメチコンなど);水性ベースの単一相液体溶媒(たとえば、水/アルコール溶媒系);およびこれらの無水溶媒および水性ベースの単一相溶媒を濃くしたもの(たとえば、適切なゴム、樹脂、ロウ、ポリマー、塩などを加えることによって溶媒の粘性率を増大させて、固体または半固体を形成させた場合)が含まれる。
【0030】
本発明によれば、本発明の方法で使用する活性成分の適切な用量、および本発明の組成物の適切な用量は、医療従事者または他の技術者によってごく普通に決定することができ、上述の次没食子酸ビスマスおよびボルネオールを開示する先行技術で議論されているそれぞれの用量を含む。その開示を参照により本明細書に組み込む。いずれの場合も、医師または他の技術者によって、個人に最も適する実際の投与量が決定され得るであろう。
【0031】
有用性
本発明は、皮膚老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、にきび丘疹、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、皮膚変色、肌あれ、および乾燥肌などの皮膚の劣化を予防および/または低減するのに使用できる方法および組成物を提供する。より好ましくは、皮膚の劣化は、にきび、にきび丘疹、シワ、シミ、および皮膚変色を含む。さらに、本発明で開示する組成物は、薬として製剤することも化粧品として製剤することもできる。上述のことを考えれば、本発明の組成物により、荒れた肌および乾燥肌の調子を整え、にきびおよびにきび丘疹を低減し、皮膚老化を先送りにし、皮膚の再生を増進し、毛穴を引き締めることができる。
【0032】
実施例
以下の実施例によってさらに本発明を例示するが、これは本発明の範囲を限定するものではない。当分野の技術者に知られている変更形態および代用形態はなお、本発明の範囲および意図のうちに含まれる。
【0033】
実施例1
次没食子酸ビスマスおよびボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスが角化細胞の増殖に及ぼす影響
老いた皮膚では、若い皮膚に比べて、角化細胞に含まれる細胞内のケラトヒアリン顆粒およびサブセルの細胞小器官が少ないことが知られている。したがって、角化細胞を増殖させることで皮膚の劣化した状態を改善することができる。
【0034】
角化細胞を以下の薬品群、すなわち(a)次没食子酸ビスマス0.7μg/ml、7μg/ml、70μg/ml、および700μg/ml、(b)ボルネオール0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、および1000μg/ml、(c)次没食子酸ビスマス0.7μg/mlとボルネオール0.1μg/mlの組合せ、次没食子酸ビスマス7μg/mlとボルネオール1μg/mlの組合せ、次没食子酸ビスマス70μg/mlとボルネオール10μg/mlの組合せ、および次没食子酸ビスマス700μg/mlとボルネオール100μg/mlの組合せと共にそれぞれ培養した。細胞をそれぞれ2、4、6、8、10、12日間に培養した後、細胞数を書き留めて細胞の増殖を評価した。図1(a)に示すように、次没食子酸ビスマスと共に培養した細胞は、角化細胞の増殖において顕著な増加を示す。たとえば、次没食子酸ビスマス70μg/mlと共に培養した細胞は、12日目にその数が対照細胞の2倍にまでなった。図1(b)は、ボルネオールが角化細胞の増殖にあまり影響を及ぼさないことを示している。さらに、次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合せると、角化細胞に対して相乗的な増殖効果を示す(図1(c)を参照のこと)。
【0035】
実施例2
次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合わせた場合の線維芽細胞の増殖に対する相乗効果
さらに、線維芽細胞の増殖に関する研究を行って、次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合わせた場合の皮膚への効果を評価した。線維芽細胞は、細胞外マトリックスタンパク質(プロテオグリカン、膠原線維、および他の糖タンパク質)の合成において活性であるので、真皮組織の主な構成要素となっている。試験した線維芽細胞は、中華民国台湾省台北のMackay Memorial Hospitalから入手した。
【0036】
線維芽細胞を、次没食子酸ビスマス3.4μg/mlとボルネオール0.6μg/ml、没食子酸ビスマス35μg/mlとボルネオール5μg/ml、没食子酸ビスマス87μg/mlとボルネオール13μg/ml、および没食子酸ビスマス347μg/mlとボルネオール53μg/mlと共にそれぞれ培養した。細胞をそれぞれ2、4、6、8、10、12日間に培養した後、細胞数を書き留めて細胞の増殖を評価した。図2に示すように、ボルネオールと組み合わせた低濃度の次没食子酸ビスマスと共に培養した細胞は、線維芽細胞の増殖において顕著な増加を示す。たとえば、次没食子酸ビスマス35μg/mlとボルネオール5μg/mlと共に培養した細胞は、2日目にその数が対照細胞の2倍にまでなっている。
【0037】
実施例3
ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスがチロシナーゼの阻害に及ぼす影響
チロシナーゼの阻害に関する研究を行って、次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合わせた場合の皮膚への効果を評価した。メラニンの生合成は、メラニン細胞中で起こり、酸化および重合を伴って、チロシンが3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(dopa)に、さらにdopaがメラニンになる。したがって、チロシンの阻害剤は、メラニンの生成を遮断することによって、化粧品用の美白剤として使用することができる。
【0038】
pH6.8の、0.09%のL−DOPA入り0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液であって、ボルネオールと組み合わせた120μM、240μM、400μM、600μM、800μM、および1600μMの次没食子酸ビスマス、および135U/mlのチロシナーゼ50μlを含むもの、あるいは含まないものを使用して、チロシンに関する阻害を試験した。得られた溶液を、37℃で15分間反応させ、次いで分光光度計によって475nmで検出を行った。ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスのチロシナーゼに対する阻害百分率を、以下の式によって計算した。
【0039】
阻害百分率(%)=[(A−B)−(C−D)]/(A−B)×100
A=ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを含まない溶液のOD475
B=ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスおよびチロシンを含まない溶液のOD475
C=ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを含む溶液のOD475
D=ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを含むが、チロシンを含まない溶液のOD475
ボルネオールと組み合わせた120μM、240μM、400μM、600μM、800μM、および1600μMの次没食子酸ビスマスの阻害百分率は、11.1%、14.6%、19.7%、21.5%、29.5%、40.3%であり、IC50値は1600μMを超えていた(図3を参照のこと)。
【0040】
さらに、酵素動力学分析により、ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスが、チロシナーゼの拮抗阻害剤であることが示されている。
【0041】
L−DOPAを様々な濃度で含む0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液50μlと、ボルネオールと組み合わせた120μMの次没食子酸ビスマス50μlを混合し、次いで96ウェルプレートに加えた。135U/mlのチロシナーゼ50μlを、各濃度のL−DOPA溶液に加えた。得られた溶液をプレートに加え、37℃で15分間反応させた。チロシナーゼ阻害において次没食子酸ビスマスをボルネオールと組み合わせた場合のラインウィーバー・バークのプロットを、図4に示した。ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスのKi値は、971μMである。
【0042】
実施例4
ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスの皮膚への適用
A、B、C、D、Eの5人の顔面に、ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを含む組成物を塗布した。ボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスの塗布を2ヶ月間行った後、Aではにきびおよびにきび丘疹が低減し、皮膚の色あいが白くなった。Bでは皮膚の色が改善し、Cでは皮膚のキメがより細かくなった。Dでは皮膚の乾燥状態が改善し、Eでは皮膚アレルギーが改善した。
【図面の簡単な説明】
【図1】それぞれ次没食子酸ビスマス(a)およびボルネオール(b)が角化細胞の増殖に及ぼす影響を示す図である。
【図2】ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスが線維芽細胞の増殖に及ぼす影響を示す図である。
【図3】ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスのチロシンに関する阻害百分率を示す。
【図4】ボルネオールと組み合わされた次没食子酸ビスマスのラインウィーバー・バークのプロットを示す図である。
Claims (26)
- 皮膚の劣化を予防および/または低減する医薬品の製造のための次没食子酸ビスマスの使用。
- 次没食子酸ビスマスの量が0.03から40重量パーセントの範囲である請求項1に記載の使用。
- 次没食子酸ビスマスの量が0.05から20重量パーセントの範囲である請求項1に記載の使用。
- 次没食子酸ビスマスの量が1.5から10重量パーセントの範囲である請求項1に記載の使用。
- 前記の皮膚の劣化が、老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、にきび丘疹、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、皮膚変色、肌荒れ、および乾燥肌からなる群から選択された状態である、請求項1に記載の使用。
- 前記の状態が、にきび、にきび丘疹、シワ、シミ、および皮膚変色からなる群から選択される請求項5に記載の使用。
- 皮膚の劣化を予防および/または低減する医薬品の製造のためのボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスの使用。
- 次没食子酸ビスマスおよびボルネオールの量が、それぞれ0.01から30重量パーセントおよび0.05から10重量パーセントの範囲である請求項7に記載の使用。
- 次没食子酸ビスマスおよびボルネオールの量が、それぞれ0.1から15重量パーセントおよび0.1から5重量パーセントの範囲である請求項7に記載の使用。
- 次没食子酸ビスマスおよびボルネオールの量が、それぞれ2から6重量パーセントおよび0.5から1重量パーセントの範囲である請求項7に記載の使用。
- 前記の肌の劣化が、老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、にきび丘疹、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、および皮膚変色からなる群から選択された状態である、請求項7に記載の使用。
- 前記の状態が、にきび、にきび丘疹、シワ、シミ、および皮膚変色からなる群から選択される請求項7に記載の使用。
- 皮膚の劣化を予防および/または低減する次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な有効な量だけ含む、皮膚の劣化の予防または低減に使用するための組成物。
- 次没食子酸ビスマスの量が、0.03から40重量パーセントの範囲である請求項13に記載の組成物。
- 次没食子酸ビスマスの量が、0.5から20重量パーセントの範囲である請求項13に記載の組成物。
- 次没食子酸ビスマスの量が、1.5から10重量パーセントの範囲である請求項13に記載の組成物。
- 薬としても化粧品としても使用できる請求項13に記載の組成物。
- 前記の肌の劣化が、老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、にきび丘疹、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、および皮膚変色からなる群から選択された状態である、請求項13に記載の組成物。
- 前記の状態が、にきび、にきび丘疹、シワ、シミ、および皮膚変色からなる群から選択される請求項13に記載の組成物。
- 皮膚の劣化を相乗作用で予防および/または低減するためにボルネオールと組み合わせた次没食子酸ビスマスを、皮膚の劣化を予防および/または低減するのに十分な、相乗作用に有効な量だけ含む、皮膚の劣化の予防および/または低減に使用するための組成物。
- 次没食子酸ビスマスおよびボルネオールの量が、それぞれ0.01から30重量パーセントおよび0.05から10重量パーセントの範囲である請求項20に記載の組成物。
- 次没食子酸ビスマスおよびボルネオールの量が、それぞれ0.1から15重量パーセントおよび0.1から5重量パーセントの範囲である請求項20に記載の組成物。
- 次没食子酸ビスマスおよびボルネオールの量が、それぞれ2から6重量パーセントおよび0.5から1重量パーセントの範囲である請求項20に記載の組成物。
- 薬としても化粧品としても使用できる請求項20に記載の組成物。
- 前記の肌の劣化が、老化、光線損傷、打ちばれ、痘痕、シワ、小ジワ、たるみ、にきび、にきび丘疹、はれもの、くすみ、乾癬、シミ、および皮膚変色からなる群から選択された状態である、請求項20に記載の組成物。
- 前記の肌の劣化が、にきび、にきび丘疹、シワ、シミ、および皮膚変色からなる群から選択された状態である請求項20に記載の組成物。
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JP2002191757A JP2004035422A (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | 皮膚の劣化の予防および/または低減における次没食子酸ビスマスの使用 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
CN113768810A (zh) * | 2021-10-13 | 2021-12-10 | 陕西恒远生物科技有限公司 | 一种具有自我保护功能的美白霜及其制备方法 |
-
2002
- 2002-07-01 JP JP2002191757A patent/JP2004035422A/ja not_active Withdrawn
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