JP2004034221A - 研削用砥石及びこの砥石を備える研削・研磨工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の専用の砥石皿を用いることなく、速やかに研削・研磨作業を行うことができる研削用砥石及びこの砥石を備える研削・研磨工具を提供する。
【解決手段】砥石皿10に形成された孔にねじ結合によって着脱可能に装着される円柱状の基体と、この基体の表面(円柱の一端面)にめっきで形成され、被研削物であるレンズを研削する砥粒層23とを備え、基体をスーパーエンジニア・プラスチックで形成した。
【選択図】 図1
【解決手段】砥石皿10に形成された孔にねじ結合によって着脱可能に装着される円柱状の基体と、この基体の表面(円柱の一端面)にめっきで形成され、被研削物であるレンズを研削する砥粒層23とを備え、基体をスーパーエンジニア・プラスチックで形成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は研削用砥石及びこの砥石を備える研削・研磨工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6(a)は砥石皿の平面図、図6(b)はその側面図である。
【0003】
砥石皿510の平面形状は円形である。この砥石皿510は凹レンズを研削・研磨する研削・研磨工具に使用される。なお、凸レンズの研削・研磨には凹面を有する砥石皿が使用される。
【0004】
従来の研削・研磨工具は以下のようにして形成される。
【0005】
まず、樹脂系結合材(例えばレジンボンド)で形成された複数のペレットを接着剤で砥石皿510の表面510aに加工仕様に見合うように貼り付ける。
【0006】
接着剤が完全に硬化した後、砂かけ皿等を用いて砥石皿510の表面510aに貼り付けたペレットの表面形状(曲率)を所望のレンズの形状(曲率)となるように研削・研磨する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数のペレットを接着剤で砥石皿510の表面510aに貼り付けるには多くの手間がかかり、しかも接着剤が完全に硬化するには時間がかかる。
【0008】
また、ペレットは樹脂系結合材で形成されているため、レンズの研削・研磨加工によって当初の形状(曲率)が変化し易く、その面の所定の精度を維持するには研削・研磨したレンズの数が所定枚数に達する度に再度砂かけ皿等を用いて面出しを行う必要がある。
【0009】
更に、このペレットは樹脂系結合材だけを用いているので、再使用することは困難である。
【0010】
また、ペレットは接着剤で砥石皿510に固定されており、速やかに研削・研磨作業を行うためには加工するレンズの曲率や径に応じて複数の専用の砥石皿510を用意する必要がある。
【0011】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は複数の専用の砥石皿を用いることなく、速やかに研削・研磨作業を行うことができる研削用砥石及びこの砥石を備える研削・研磨工具を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、砥石皿に形成された孔に着脱可能に装着される基体と、この基体にめっきで形成され、被研削物を研削する砥粒層とを備え、前記基体が樹脂材料で形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の研削用砥石において、前記樹脂材料はエンジニア・プラスチックであることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の研削用砥石において、前記孔に形成されためねじに螺合されるおねじが前記基体に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の研削用砥石において、前記砥粒層は無電解めっきで形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の研削用砥石。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載の研削用砥石において、前記基体に研削液を逃がすための溝が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の研削用砥石の基体が前記砥石皿の孔に螺合していることを特徴とする研削・研磨工具。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載の研削用砥石を備えていることを特徴とする研削・研磨工具。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図2(a)は砥石皿の平面図、図2(b)は図2(a)の2b−2b線に沿う断面図である。
【0021】
この砥石皿10は凹レンズを研削・研磨する研削・研磨工具に使用される。砥石皿の直径は10〜150cm程度である。
【0022】
砥石皿の表面には直径方向へ延びる仮想直線上に複数の孔11が形成されている。孔の数は砥石皿10の表面積に対して孔11の総面積が所定の割合となるように決められる。
【0023】
図1(a)はこの発明の第1実施形態に係る研削用砥石を備える研削・研磨工具の平面図、図1(b)は研削・研磨工具と砂かけ皿との関係を示す断面図である。
【0024】
砥石皿10の孔11(図2参照)にはめねじ12が形成され、このめねじ12には研削用砥石20の基体21のおねじ22(図3参照)が螺合している。なお、図1(b)ではおねじ22の図示を省略した。
【0025】
この研削・研磨工具は以下のようにして形成される。
【0026】
まず、エンジニア・プラスチック製の基体21(図3参照)のおねじ22を砥石皿10に形成されためねじ12に螺合する。
【0027】
次に、面出し用砂かけ皿30によって基体21を研削・研磨し、その表面形状をレンズ(被研削物)の仕上がり形状に加工する。
【0028】
最後に、後述する処理によって基体21の表面21aに砥粒層23を形成する。
【0029】
図3(a)は研削用砥石の平面図、図3(b)はその側面図である。
【0030】
この研削用砥石20は、円柱状の基体21と、この基体21の表面21a(円柱の一端面)にめっきで形成され、レンズを研削する砥粒層23とからなる。
【0031】
基体21の表面21aはほぼ平坦面である。
【0032】
また、基体21の表面21aには直交する2本の溝24が形成されている。これらの溝24は基体21を砥石皿10に装着するためのものであるとともに、研削液を逃がすためのものである。なお、溝24の数は2本に限るものではなく、1〜8本程度であればよい。
【0033】
基体21はスーパーエンジニア・プラスチックで形成されている。具体的な材料としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリアミド及びPPS(ポリフェニレンサルファイド)や、これらのスーパーエンジニア・プラスチックにガラス繊維や炭素繊維を充填したものである。
【0034】
基体21には砥石皿10の孔11のめねじ12と螺合するおねじ22が形成されている。
【0035】
なお、基体21及びおねじ22の直径はそれぞれ3〜100mm及び3〜30mmである。
【0036】
砥粒層23はニッケル、ニッケル合金(ニッケルにリン、タングステン又はボロンを加えた合金)、銅及び分散粒子(ダイヤモンド、CBN(キュービックボロンナイトライド)、SiC(炭化珪素)及びPTFE(ポリテトラフロルエチレン))を含む複合層であり、無電解めっきによって形成されている。
【0037】
砥粒層23の膜厚は3〜200μmである。また、分散粒子の径は0.1〜100μmである。
【0038】
この研削用砥石20の製作方法を説明する。
【0039】
まず、圧縮空気等を用いて鉄粉及びガラスビーズ(粗さ♯100〜1000、好ましくは♯400)等の研掃剤を基体21の表面21aに吹き付けて、基体21の表面21aを活性化させる。
【0040】
次に、基体21をアルカリ系溶剤に漬け、アルカリ系溶剤のけん化作用により、指紋、油脂等の有機物や静電作用によって付着した塵等の付着物を除去する。
【0041】
その後、基体21をエッチング溶液に漬け、強酸化剤による化学的処理によって基体21の表面21aの一部を溶解させて化学的にアンカーを作る。
【0042】
次に、基体21を中和溶液に漬け、エッチング処理において基体21の表面21aに残存するエッチング液を除去する。
【0043】
その後、基体21をスズを含むパラジウム溶液に漬け、無電解めっきを円滑に行うために触媒としてパラジウムを基体21の表面21aに付与する(触媒付与工程)。
【0044】
次に、基体21を酸性溶液に漬け、触媒付与工程で吸着したスズを酸性溶液を用いて除去し、パラジウムの触媒作用を強める。
【0045】
その後、基体21を分散粒子を含む無電解めっき液に漬け、無電解めっきによって基体21の表面21aに薄い(0.1〜0.5μm)金属皮膜(銅、ニッケル等)を形成する。
【0046】
以上の中間層の表面処理工程の後、基体21の表面21aに砥粒層23を形成するための処理を行う。
【0047】
分散粒子を混入させた無電解ニッケル及び銅めっき液中に基体21を浸漬することによって析出反応が始まり、基体21の表面21aに分散粒子による砥粒層23が形成される(図3(b)参照)。
【0048】
次に、研削用砥石1の再生方法を説明する。
【0049】
まず、5〜30%希硝酸溶液に研削用砥石20を浸漬し、砥粒層23だけを基体21から剥離する。
【0050】
このとき、基体21はスーパーエンジニア・プラスチックで形成されているため、基体21の表面21aは酸によって侵食されず、元の形状が損なわれることがない。
【0051】
その後、上述した表面処理工程が行われる。
【0052】
なお、鉄粉及びガラスビーズ等の研掃剤により基体21の表面21aを活性化させる工程は再生時の不可欠な工程ではない。
【0053】
この実施形態によれば、砥石皿10の孔11に基体21を捩じ込むだけで砥石皿10に容易(多くの手間や時間をかけず)に装着することができ、しかも、基体21をエンジニア・プラスチックで形成したため、研削用砥石20の研削寿命が尽きたときであっても基体21の元の形状を損なわさずに砥粒層23を再生することができる。
【0054】
その結果、砥粒層23を再生するだけで1つの砥石皿10を使い回すことが可能になり、複数の専用の砥石皿を用いることなく、速やかに研削・研磨作業を行うことができる。
【0055】
また、溝24が砥粒層23の表面に形成されているため、研削液を効率よく砥粒層の表面から逃がすことができる。
【0056】
更に、おねじ22の捩じ込み量を調整することによって1つの砥石皿で曲率の異なるレンズの研削・研磨を行うことができる(従来例の構成では、研削・研磨するレンズの曲率に対応した曲率を有する砥石皿を使用する必要がある)。
【0057】
図4(a)はこの発明の第2実施形態に係る研削用砥石を備える研削・研磨工具の平面図、図4(b)は研削・研磨工具と砂かけ皿との関係を示す断面図であり、第1実施形態と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
この砥石皿110は凸レンズを研削・研磨する研削・研磨工具に使用される。砥石皿の直径は10〜150cm程度である。
【0059】
砥石皿110の表面には直径方向に延びる仮想直線上に複数の孔111が形成されている。孔111の数は砥石皿の表面積に対して孔の総面積が所定の割合となるように決められる。
【0060】
複数の孔111のうち砥石皿110の外周側に位置する孔111aにはめねじ112が形成され、それ以外はボルト孔111bとなっている。
【0061】
めねじ112には研削用砥石120の円柱状の基体121のおねじ122(図5参照)が螺合している。基体121の表面121a(円柱の一端面)は曲率の小さい凸面形状となっている。なお、図4(b)ではおねじ122の図示を省略した。
【0062】
この研削・研磨工具は以下のように形成される。
【0063】
まず、エンジニア・プラスチック製の基体121(図5参照)のおねじ122を砥石皿110のめねじ112に螺合する。このとき、凸面形状がおねじ122の頭部として機能する。
【0064】
次に、この砥石皿110の研削・研磨加工側の面を面出し用砂かけ皿130の加工面に載置し、面出し用砂かけ皿130に対する砥石皿110の位置を決める。
【0065】
その後、ボルト穴111bに残りの研削用砥石120を挿入する。
【0066】
次に、ボルト穴111bに挿入した研削用砥石120のおねじ122をナット等を用いて砥石皿110に固定する。
【0067】
最後に、無電解めっきによって基体121の表面121aに砥粒層123を形成する(図5参照)。
【0068】
図5(a)は研削用砥石の平面図、図5(b)はその側面図である。
【0069】
この研削用砥石120は、円柱状の基体121と、この基体121の表面121a(円柱の一端面)にめっきで形成され、レンズ(被研削物)を研削する砥粒層123と、おねじ122とからなる。
【0070】
この研削用砥石120は基体121の表面121aを凸面形状にした点で第1実施形態の研削用砥石20と相違する。
【0071】
この凸面形状の表面121aには直交する2本の溝124が形成されている。これらの溝124は基体121を砥石皿110に装着するためのものであるとともに、研削液を逃がすためのものである。なお、溝124の数は2本に限るものではなく、1〜8本程度であればよい。
【0072】
なお、基体121及びおねじ122の直径はそれぞれ3〜100mm及び3〜30mmである。
【0073】
この研削用砥石120の製作方法及び再生方法は第1実施形態と同じであるので、それらの説明を省略する。
【0074】
この実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、第1実施形態における面出し用砂かけ皿30によって基体21を研削・研磨する工程を省略することができる。
【0075】
なお、第2実施形態において、砥石皿110に形成する複数の孔111を総てボルト穴112とし、図示しないスペーサによって砥石皿110と面出し用砂かけ皿130との位置決めを行った後、ボルト穴111に研削用砥石120を挿入し、研削用砥石120のおねじ122をナット等を用いて砥石皿110に固定するようにしてもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上に説明したように本願発明の研削用砥石によれば、複数の専用の砥石皿を用いることなく、速やかに研削・研磨作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)はこの発明の第1実施形態に係る研削用砥石を備える研削・研磨工具の平面図、図1(b)は研削・研磨工具と砂かけ皿との関係を示す断面図である。
【図2】図2(a)は砥石皿の平面図、図2(b)は図2(a)の2b−2b線に沿う断面図である。
【図3】図3(a)は研削用砥石の平面図、図3(b)はその側面図である。
【図4】図4(a)はこの発明の第2実施形態に係る研削用砥石を備える研削・研磨工具の平面図、図4(b)は研削・研磨工具と砂かけ皿との関係を示す断面図である。
【図5】図5(a)は研削用砥石の平面図、図5(b)はその側面図である。
【図6】図6(a)は砥石皿の平面図、図6(b)はその側面図である。
【符号の説明】
10,110 研削用砥石
21,121 基体
11,111 孔
12,112 めねじ
22,122 おねじ
23,123 砥粒層
24,124 溝
30,130 面出し用砂かけ皿
【発明の属する技術分野】
この発明は研削用砥石及びこの砥石を備える研削・研磨工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6(a)は砥石皿の平面図、図6(b)はその側面図である。
【0003】
砥石皿510の平面形状は円形である。この砥石皿510は凹レンズを研削・研磨する研削・研磨工具に使用される。なお、凸レンズの研削・研磨には凹面を有する砥石皿が使用される。
【0004】
従来の研削・研磨工具は以下のようにして形成される。
【0005】
まず、樹脂系結合材(例えばレジンボンド)で形成された複数のペレットを接着剤で砥石皿510の表面510aに加工仕様に見合うように貼り付ける。
【0006】
接着剤が完全に硬化した後、砂かけ皿等を用いて砥石皿510の表面510aに貼り付けたペレットの表面形状(曲率)を所望のレンズの形状(曲率)となるように研削・研磨する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数のペレットを接着剤で砥石皿510の表面510aに貼り付けるには多くの手間がかかり、しかも接着剤が完全に硬化するには時間がかかる。
【0008】
また、ペレットは樹脂系結合材で形成されているため、レンズの研削・研磨加工によって当初の形状(曲率)が変化し易く、その面の所定の精度を維持するには研削・研磨したレンズの数が所定枚数に達する度に再度砂かけ皿等を用いて面出しを行う必要がある。
【0009】
更に、このペレットは樹脂系結合材だけを用いているので、再使用することは困難である。
【0010】
また、ペレットは接着剤で砥石皿510に固定されており、速やかに研削・研磨作業を行うためには加工するレンズの曲率や径に応じて複数の専用の砥石皿510を用意する必要がある。
【0011】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は複数の専用の砥石皿を用いることなく、速やかに研削・研磨作業を行うことができる研削用砥石及びこの砥石を備える研削・研磨工具を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、砥石皿に形成された孔に着脱可能に装着される基体と、この基体にめっきで形成され、被研削物を研削する砥粒層とを備え、前記基体が樹脂材料で形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の研削用砥石において、前記樹脂材料はエンジニア・プラスチックであることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の研削用砥石において、前記孔に形成されためねじに螺合されるおねじが前記基体に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の研削用砥石において、前記砥粒層は無電解めっきで形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の研削用砥石。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載の研削用砥石において、前記基体に研削液を逃がすための溝が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の研削用砥石の基体が前記砥石皿の孔に螺合していることを特徴とする研削・研磨工具。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載の研削用砥石を備えていることを特徴とする研削・研磨工具。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図2(a)は砥石皿の平面図、図2(b)は図2(a)の2b−2b線に沿う断面図である。
【0021】
この砥石皿10は凹レンズを研削・研磨する研削・研磨工具に使用される。砥石皿の直径は10〜150cm程度である。
【0022】
砥石皿の表面には直径方向へ延びる仮想直線上に複数の孔11が形成されている。孔の数は砥石皿10の表面積に対して孔11の総面積が所定の割合となるように決められる。
【0023】
図1(a)はこの発明の第1実施形態に係る研削用砥石を備える研削・研磨工具の平面図、図1(b)は研削・研磨工具と砂かけ皿との関係を示す断面図である。
【0024】
砥石皿10の孔11(図2参照)にはめねじ12が形成され、このめねじ12には研削用砥石20の基体21のおねじ22(図3参照)が螺合している。なお、図1(b)ではおねじ22の図示を省略した。
【0025】
この研削・研磨工具は以下のようにして形成される。
【0026】
まず、エンジニア・プラスチック製の基体21(図3参照)のおねじ22を砥石皿10に形成されためねじ12に螺合する。
【0027】
次に、面出し用砂かけ皿30によって基体21を研削・研磨し、その表面形状をレンズ(被研削物)の仕上がり形状に加工する。
【0028】
最後に、後述する処理によって基体21の表面21aに砥粒層23を形成する。
【0029】
図3(a)は研削用砥石の平面図、図3(b)はその側面図である。
【0030】
この研削用砥石20は、円柱状の基体21と、この基体21の表面21a(円柱の一端面)にめっきで形成され、レンズを研削する砥粒層23とからなる。
【0031】
基体21の表面21aはほぼ平坦面である。
【0032】
また、基体21の表面21aには直交する2本の溝24が形成されている。これらの溝24は基体21を砥石皿10に装着するためのものであるとともに、研削液を逃がすためのものである。なお、溝24の数は2本に限るものではなく、1〜8本程度であればよい。
【0033】
基体21はスーパーエンジニア・プラスチックで形成されている。具体的な材料としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリアミド及びPPS(ポリフェニレンサルファイド)や、これらのスーパーエンジニア・プラスチックにガラス繊維や炭素繊維を充填したものである。
【0034】
基体21には砥石皿10の孔11のめねじ12と螺合するおねじ22が形成されている。
【0035】
なお、基体21及びおねじ22の直径はそれぞれ3〜100mm及び3〜30mmである。
【0036】
砥粒層23はニッケル、ニッケル合金(ニッケルにリン、タングステン又はボロンを加えた合金)、銅及び分散粒子(ダイヤモンド、CBN(キュービックボロンナイトライド)、SiC(炭化珪素)及びPTFE(ポリテトラフロルエチレン))を含む複合層であり、無電解めっきによって形成されている。
【0037】
砥粒層23の膜厚は3〜200μmである。また、分散粒子の径は0.1〜100μmである。
【0038】
この研削用砥石20の製作方法を説明する。
【0039】
まず、圧縮空気等を用いて鉄粉及びガラスビーズ(粗さ♯100〜1000、好ましくは♯400)等の研掃剤を基体21の表面21aに吹き付けて、基体21の表面21aを活性化させる。
【0040】
次に、基体21をアルカリ系溶剤に漬け、アルカリ系溶剤のけん化作用により、指紋、油脂等の有機物や静電作用によって付着した塵等の付着物を除去する。
【0041】
その後、基体21をエッチング溶液に漬け、強酸化剤による化学的処理によって基体21の表面21aの一部を溶解させて化学的にアンカーを作る。
【0042】
次に、基体21を中和溶液に漬け、エッチング処理において基体21の表面21aに残存するエッチング液を除去する。
【0043】
その後、基体21をスズを含むパラジウム溶液に漬け、無電解めっきを円滑に行うために触媒としてパラジウムを基体21の表面21aに付与する(触媒付与工程)。
【0044】
次に、基体21を酸性溶液に漬け、触媒付与工程で吸着したスズを酸性溶液を用いて除去し、パラジウムの触媒作用を強める。
【0045】
その後、基体21を分散粒子を含む無電解めっき液に漬け、無電解めっきによって基体21の表面21aに薄い(0.1〜0.5μm)金属皮膜(銅、ニッケル等)を形成する。
【0046】
以上の中間層の表面処理工程の後、基体21の表面21aに砥粒層23を形成するための処理を行う。
【0047】
分散粒子を混入させた無電解ニッケル及び銅めっき液中に基体21を浸漬することによって析出反応が始まり、基体21の表面21aに分散粒子による砥粒層23が形成される(図3(b)参照)。
【0048】
次に、研削用砥石1の再生方法を説明する。
【0049】
まず、5〜30%希硝酸溶液に研削用砥石20を浸漬し、砥粒層23だけを基体21から剥離する。
【0050】
このとき、基体21はスーパーエンジニア・プラスチックで形成されているため、基体21の表面21aは酸によって侵食されず、元の形状が損なわれることがない。
【0051】
その後、上述した表面処理工程が行われる。
【0052】
なお、鉄粉及びガラスビーズ等の研掃剤により基体21の表面21aを活性化させる工程は再生時の不可欠な工程ではない。
【0053】
この実施形態によれば、砥石皿10の孔11に基体21を捩じ込むだけで砥石皿10に容易(多くの手間や時間をかけず)に装着することができ、しかも、基体21をエンジニア・プラスチックで形成したため、研削用砥石20の研削寿命が尽きたときであっても基体21の元の形状を損なわさずに砥粒層23を再生することができる。
【0054】
その結果、砥粒層23を再生するだけで1つの砥石皿10を使い回すことが可能になり、複数の専用の砥石皿を用いることなく、速やかに研削・研磨作業を行うことができる。
【0055】
また、溝24が砥粒層23の表面に形成されているため、研削液を効率よく砥粒層の表面から逃がすことができる。
【0056】
更に、おねじ22の捩じ込み量を調整することによって1つの砥石皿で曲率の異なるレンズの研削・研磨を行うことができる(従来例の構成では、研削・研磨するレンズの曲率に対応した曲率を有する砥石皿を使用する必要がある)。
【0057】
図4(a)はこの発明の第2実施形態に係る研削用砥石を備える研削・研磨工具の平面図、図4(b)は研削・研磨工具と砂かけ皿との関係を示す断面図であり、第1実施形態と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
この砥石皿110は凸レンズを研削・研磨する研削・研磨工具に使用される。砥石皿の直径は10〜150cm程度である。
【0059】
砥石皿110の表面には直径方向に延びる仮想直線上に複数の孔111が形成されている。孔111の数は砥石皿の表面積に対して孔の総面積が所定の割合となるように決められる。
【0060】
複数の孔111のうち砥石皿110の外周側に位置する孔111aにはめねじ112が形成され、それ以外はボルト孔111bとなっている。
【0061】
めねじ112には研削用砥石120の円柱状の基体121のおねじ122(図5参照)が螺合している。基体121の表面121a(円柱の一端面)は曲率の小さい凸面形状となっている。なお、図4(b)ではおねじ122の図示を省略した。
【0062】
この研削・研磨工具は以下のように形成される。
【0063】
まず、エンジニア・プラスチック製の基体121(図5参照)のおねじ122を砥石皿110のめねじ112に螺合する。このとき、凸面形状がおねじ122の頭部として機能する。
【0064】
次に、この砥石皿110の研削・研磨加工側の面を面出し用砂かけ皿130の加工面に載置し、面出し用砂かけ皿130に対する砥石皿110の位置を決める。
【0065】
その後、ボルト穴111bに残りの研削用砥石120を挿入する。
【0066】
次に、ボルト穴111bに挿入した研削用砥石120のおねじ122をナット等を用いて砥石皿110に固定する。
【0067】
最後に、無電解めっきによって基体121の表面121aに砥粒層123を形成する(図5参照)。
【0068】
図5(a)は研削用砥石の平面図、図5(b)はその側面図である。
【0069】
この研削用砥石120は、円柱状の基体121と、この基体121の表面121a(円柱の一端面)にめっきで形成され、レンズ(被研削物)を研削する砥粒層123と、おねじ122とからなる。
【0070】
この研削用砥石120は基体121の表面121aを凸面形状にした点で第1実施形態の研削用砥石20と相違する。
【0071】
この凸面形状の表面121aには直交する2本の溝124が形成されている。これらの溝124は基体121を砥石皿110に装着するためのものであるとともに、研削液を逃がすためのものである。なお、溝124の数は2本に限るものではなく、1〜8本程度であればよい。
【0072】
なお、基体121及びおねじ122の直径はそれぞれ3〜100mm及び3〜30mmである。
【0073】
この研削用砥石120の製作方法及び再生方法は第1実施形態と同じであるので、それらの説明を省略する。
【0074】
この実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、第1実施形態における面出し用砂かけ皿30によって基体21を研削・研磨する工程を省略することができる。
【0075】
なお、第2実施形態において、砥石皿110に形成する複数の孔111を総てボルト穴112とし、図示しないスペーサによって砥石皿110と面出し用砂かけ皿130との位置決めを行った後、ボルト穴111に研削用砥石120を挿入し、研削用砥石120のおねじ122をナット等を用いて砥石皿110に固定するようにしてもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上に説明したように本願発明の研削用砥石によれば、複数の専用の砥石皿を用いることなく、速やかに研削・研磨作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)はこの発明の第1実施形態に係る研削用砥石を備える研削・研磨工具の平面図、図1(b)は研削・研磨工具と砂かけ皿との関係を示す断面図である。
【図2】図2(a)は砥石皿の平面図、図2(b)は図2(a)の2b−2b線に沿う断面図である。
【図3】図3(a)は研削用砥石の平面図、図3(b)はその側面図である。
【図4】図4(a)はこの発明の第2実施形態に係る研削用砥石を備える研削・研磨工具の平面図、図4(b)は研削・研磨工具と砂かけ皿との関係を示す断面図である。
【図5】図5(a)は研削用砥石の平面図、図5(b)はその側面図である。
【図6】図6(a)は砥石皿の平面図、図6(b)はその側面図である。
【符号の説明】
10,110 研削用砥石
21,121 基体
11,111 孔
12,112 めねじ
22,122 おねじ
23,123 砥粒層
24,124 溝
30,130 面出し用砂かけ皿
Claims (7)
- 砥石皿に形成された孔に着脱可能に装着される基体と、この基体にめっきで形成され、被研削物を研削する砥粒層とを備え、
前記基体が樹脂材料で形成されていることを特徴とする研削用砥石。 - 前記樹脂材料はエンジニア・プラスチックであることを特徴とする請求項1記載の研削用砥石。
- 前記孔に形成されためねじに螺合されるおねじが前記基体に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の研削用砥石。
- 前記砥粒層は無電解めっきで形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の研削用砥石。
- 前記基体に研削液を逃がすための溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の研削用砥石。
- 請求項3記載の研削用砥石の基体が前記砥石皿の孔に螺合していることを特徴とする研削・研磨工具。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の研削用砥石を備えていることを特徴とする研削・研磨工具。
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2002
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