JP2004034173A - 固定砥粒研磨工具 - Google Patents

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福田 明
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廣川 一人
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Abstract

【課題】被研磨面に発生する穴形状の転写やスクラッチ(キズ)などの欠陥の低減を、各種の研磨対象物に対して達成することができ、且つ環境問題やコスト負荷の小さい固定砥粒研磨工具を提供する。
【解決手段】砥粒2と、バインダ樹脂3と、気孔とから構成される固定砥粒研磨工具1において、バインダ樹脂3には多孔質である部分4が散在している。また、砥粒2と、薬剤8と、これらを結合するバインダ樹脂3と、気孔とから構成される固定砥粒研磨工具1において、バインダ樹脂3には多孔質である部分が散在している。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等の被加工物の表面を鏡面状に研磨する研磨工具に係り、特に砥粒をバインダ樹脂で保持した固定砥粒研磨工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体デバイスの高集積化が進むにつれて、回路の配線が微細化し、集積されるデバイスの寸法もより微細化されつつある。そこで、半導体ウエハの表面に形成された被膜を研磨により除去して、表面を平坦化する工程が必要となる場合があるが、この平坦化法の手段として、化学機械研磨(CMP)装置により研磨することが行われている。この種の化学機械研磨(CMP)装置は、研磨工具とトップリングとを有し、研磨工具とトップリングとの間にポリッシング対象物を介在させて、トップリングが一定の圧力をポリッシング対象物を介して研磨工具に与えつつ両者が回転し、研磨工具に砥液を供給しつつポリッシング対象物の表面を平坦且つ鏡面状に研磨している。
【0003】
このような化学機械研磨(CMP)においては、砥粒を多量に含む懸濁液(スラリ)を供給しつつ比較的柔らかな研磨工具(研磨布)を用いて研磨する方法が一般的であるが、一方で、酸化セリウム(CeO)等の砥粒を例えばフェノール樹脂等のバインダを用いて固定した、いわゆる固定砥粒研磨工具を用いて研磨する方法が研究されている。このような固定砥粒研磨工具による研磨では、研磨材が従来の研磨布と異なり硬質であるため、凹凸の凸部を優先的に研磨し、凹部は研磨され難いため、絶対的な平坦性が得やすいという利点がある。また、固定砥粒研磨工具の組成によっては、凸部の研磨が終了し平坦面となると研磨速度が著しく低下し、研磨が事実上進行しなくなるいわゆるセルフストップ機能が現れる。また、固定砥粒研磨工具を用いた研磨では砥粒を多量に含む懸濁液(スラリ)を使用しないため、環境問題の負荷が低減するという利点もある。
【0004】
しかしながら、固定砥粒研磨工具を用いた研磨では、以下に述べる問題点がある。すなわち、デバイスウエハにデバイスを製作する上で化学機械研磨後の被研磨面においては高平坦性を実現する必要があるが、固定砥粒研磨工具では前述した研磨布(パッド)より硬い材料を用いるため、ウエハを固定するためにトップリングに施された穴の形状が被研磨面に段差として転写されやすい。また、化学機械研磨後の被研磨面においてはスクラッチ(キズ)の発生を防ぐ必要があるが、固定砥粒研磨工具では前述した研磨布(パッド)より硬い材料を用いるため、被研磨面に多くのスクラッチが発生しやすい。
【0005】
従って、半導体ウエハ研磨用固定砥粒研磨工具は、非常に限られた種類のバインダ樹脂等が用いられ、また、砥粒、バインダ、気孔の組成比のバランスが取れた比較的狭い範囲で使用されてきた。しかしながら、研磨の対象であるデバイスウエハは、シリコン基板、ポリシリコン膜、酸化膜、窒化膜、アルミニウムまたは銅材からなる配線層等と多岐にわたる素材から構成されたパターンを有している。このため、これらの各種の研磨対象に応じた固定砥粒研磨工具を製作し、研磨速度の安定性、良好な段差特性を得つつ、トップリングに施された穴の形状の転写やスクラッチ(キズ)の発生を抑制することは、事実上困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、被研磨面に発生する穴形状の転写やスクラッチ(キズ)などの欠陥の低減を、各種の研磨対象物に対して達成することができ、且つ環境問題やコスト負荷の小さい固定砥粒研磨工具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の固定砥粒研磨工具は、砥粒と、バインダ樹脂と、気孔とから構成される固定砥粒研磨工具において、前記バインダ樹脂には多孔質である部分が散在していることを特徴とする。
この固定砥粒研磨工具によれば、バインダ樹脂中に局所的に気孔が集中的に存在する多孔質部分が散在するので、その部分で局部的にもろい性質を呈することになる。一方で、多孔質でない部分は本来の堅い性質を有するので、堅い部分と柔らかな部分とが入り交じった固定砥粒研磨工具となる。これにより、全体としてもろくなく、且つ局部的に存在する柔らかな部分により、穴形状の転写やスクラッチの発生等を防止することができる。
【0008】
また、この固定砥粒研磨工具は、バインダ樹脂中に薬剤を含むことが好ましい。薬剤は、研磨助剤として用いられ、酸、塩基、界面活性剤、化学反応剤、希釈剤、緩衝剤、および任意の他の材料を含むグループから選択されるいずれかを含む。これにより、薬剤を研磨面に直接供給でき、種々の研磨対象物に対して研磨特性を向上させることができる。
【0009】
また、この固定砥粒研磨工具は、もろい性質を有する多孔質である部分を含む多孔質粒子を散在させることが好ましい。この多孔質粒子は、気孔が集中した多孔質部を含む造粒粉であり、研磨工具中に配置された上記多孔質部と同様の機能を果たすことができる。この多孔質粒子は、多孔質の樹脂であってもよいが、多孔質のガラスやセラミック等であってもよい。また、この多孔質粒子に、砥粒を含み、研磨時に遊離砥粒の自生を促進するようにしてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の固定砥粒研磨工具の実施形態を模式的に示す図である。この固定砥粒研磨工具1は、砥粒2と、この砥粒を保持するバインダ樹脂3と、これらの間に形成された図示しない気孔とから構成され、バインダ樹脂3中に気孔が集中的に存在する多孔質部4を備えている。ここで、砥粒2の大きさが例えば0.1〜1μm程度であるのに対して、多孔質部4の大きさは数μm乃至数十μm程度である。
【0012】
砥粒2の材料としては、酸化セリウム(CeO)、アルミナ(Al)、炭化珪素(SiC)、酸化珪素(SiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化鉄(FeO,Fe)、酸化マンガン(MnO,Mn)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化亜鉛(ZnO)、炭酸バリウム(BaCO)、ダイヤモンド(C)、酸化チタン(TiO)等が用いられている。砥粒は、微細砥粒を弱い結合でクラスター状に造粒し、数μm〜数十μm程度の大きさにした造粒粉である微細砥粒集合体でも良い。
【0013】
バインダ樹脂3の材料としては、フェノール(PF)、ユリア(UF)、メラミン(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、エポキシ(EP)、シリコン(SI)、ポリウレタン(PUR)などの熱硬化性樹脂が用いられる。また、上記材料として汎用プラスチックとして知られるポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PC)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、ブタンジエン・スチレン・メチルメタクリレート(MBS)、ポリメチルメタアクリル(PMMA)、ポリビニールアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、汎用エンジニアリングプラスチックとして知られるポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPO))、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スーパーエンジニアリングプラスチックとして知られるポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスチレンメタアクリル樹脂、ポリカーボネート酢酸セルロース、ポリアセタールポリアミド、ポリプロピレンポリエチレン、3フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂2種以上を混合することもできる。さらに、これらの樹脂の単量体成分を共重合させることも可能である。
【0014】
図2は、本発明の固定砥粒研磨工具の他の実施形態を模式的に示す図である。この固定砥粒研磨工具1は、砥粒2とバインダ樹脂3とからなる粒状の造粒粒子6と、砥粒2と多孔質バインダ樹脂4とからなる粒状の多孔質造粒粒子(多孔質粒子)7を任意の割合で混合し、成形して得た固定砥粒研磨工具である。ここで、造粒粒子6は、例えば水に砥粒2と樹脂原料3とを混合してスラリ状としたものを、スプレードライ法などにより造粒して得られる。多孔質造粒粒子7は、例えば水に砥粒2と樹脂原料3とを混合してスラリ状としたものにアルコール(例えばエタノール、イソプロピルアルコールなど)を添加したものを、スプレードライ法などにより造粒して得られる。造粒粒子6と多孔質造粒粒子7に用いられる樹脂材料は、同種のものでも異種のものでも良い。また、用途に合わせて数種の樹脂材料で造粒した造粒粒子および多孔質造粒粒子を任意に混合して成形しても良い。
【0015】
図3は、本発明の固定砥粒研磨工具のさらに他の実施形態を模式的に示す図である。図1に示す固定砥粒研磨工具1に薬剤8を分散させた構造となっている。薬剤8は研磨助剤として用いられ、酸、塩基、界面活性剤、化学反応剤、希釈剤、緩衝剤、等の材料を含む。2種類以上の薬剤を併用しても良い。また、薬剤8はマイクロカプセルに封入された形態でも良い。
【0016】
この固定砥粒研磨工具1は、全体として研磨加工に十分な強度を持っているが、局所的に破壊強度を小さくするためにバインダ樹脂3の一部が多孔質になっている。従って、バインダ樹脂3中に気孔の集中部である多孔質部4を散在させたことによる効果が期待できるとともに、薬剤8を研磨面に直接供給できる。薬剤8は研磨助剤として用いられ、酸、塩基、界面活性剤、化学反応剤、希釈剤、緩衝剤、および任意の他の材料を含むグループから選択されるいずれかを含む。これにより、上述したように研磨対象物には種々の研磨対象成分が存在し、これらに対応した研磨助剤を用いることで、研磨対象物の特徴に応じた研磨を行うことができる。
【0017】
図4は、本発明の固定砥粒研磨工具のさらに他の実施形態を模式的に示す図である。図2に示す固定砥粒研磨工具1に薬剤8を加えた構造となっている。この構成においても、薬剤8を含むことから、この薬剤の内容を研磨対象の種類に対応して適切なものを選択することで、その研磨対象物に対して好適な研磨を行うことができる。なお、この固定砥粒研磨工具は、多孔質造粒粒子7により多孔質部が散在していることから、全体として研磨加工に十分な強度を持つと共に、局所的に破壊強度を小さくして、これによりスクラッチの防止等の研磨特性の向上をはかっている。
【0018】
図5は、本発明の固定砥粒研磨工具のさらに他の実施形態を模式的に示す図である。この固定砥粒研磨工具1は、砥粒2がバインダ樹脂3に保持され、さらに多孔質樹脂からなる多孔質粒子9が含まれている。この多孔質樹脂からなる多孔質粒子9は、樹脂原料に例えばアルコール等の発泡剤を含み、これをスプレードライ法等により多孔質部分を含む樹脂粒子として造粒することができる。そして、この多孔質粒子9と、砥粒2と、バインダ樹脂原料3とを混合して、加熱圧縮成型することにより図5に示す固定砥粒研磨工具1が得られる。なお、多孔質粒子9としては、必ずしも樹脂を用いることなく、多孔質セラミックス、多孔質ガラス、多孔質ゼオライトなどを用いることが可能である。
【0019】
上記に図示した実施形態以外にも、多孔質部を部分的に含む固定砥粒研磨工具としては以下に述べる実施形態が考えられる。例えば、砥粒を固定するバインダ樹脂に多孔質部分を形成すると共に、多孔質樹脂からなる多孔質粒子を上記バインダ樹脂中に散在させるものである。この形態によれば、多孔質粒子中に多孔質部分が存在すると共に、砥粒を固定するバインダ樹脂中にも多孔質部分が存在する。
【0020】
また、砥粒と薬剤とを保持するバインダ樹脂に、気孔が集中した多孔質部分からなる多孔質粒子を混在するようにしても良い。これにより、多孔質粒子に気孔の集中部が存在するので、固定砥粒研磨工具中でもろい部分を散在して形成することができると共に、薬剤を含むので、薬剤の内容を選択することで、研磨対象の特性に合わせた研磨を行うことが可能となる。
【0021】
さらに他の実施形態として、砥粒と薬剤とを保持したバインダ樹脂中に、多孔質部分を含むと共に、多孔質樹脂からなる多孔質粒子を散在させるようにしても良い。これにより、バインダ樹脂中に含まれる多孔質部分と、多孔質粒子の多孔質部分とにより、固定砥粒研磨工具中にもろい部分を散在させ、且つ薬剤による研磨特性の向上を図ることができる。
【0022】
なお、上記実施形態においては、気孔については特に説明していないが、気孔が集中した多孔質部分以外に、砥粒とバインダ樹脂との隙間、或いはバインダ樹脂中に通常存在する程度の気孔が含まれていることはもちろんである。
【0023】
半導体ウエハを固定するためにトップリングに施された穴の形状が被研磨面に段差として転写されるのは、穴の形状に沿って過大な加工圧力が発生するためである。多孔質部を散在させた固定砥粒研磨工具の一部分に過大な加工圧力が集中すると、局所的な脆い性質のために過大な加工圧力が集中した部分のみが崩壊し、過大な加工圧力を分散させる効果をもつ。従って、この固定砥粒研磨工具の使用により、半導体ウエハを固定するためにトップリングに施された穴の形状が被研磨面に段差として転写されるのを抑制することが可能である。
【0024】
また、スクラッチ(キズ)の発生の原因として、被研磨面と固定砥粒研磨工具の間への粒子の混入が挙げられる。この粒子には、固定砥粒研磨工具のドレッシング屑や、ドレッシング痕からの脱落粒子が含まれる。多孔質部を含む固定砥粒研磨工具から発生するドレッシング屑や、ドレッシング痕からの脱落粒子は、局所的な破壊強度が小さいために直ちに崩壊し、スクラッチ(キズ)の発生の原因にはならない。従って、この固定砥粒研磨工具の使用により、スクラッチ(キズ)の発生を抑制することが可能である。
【0025】
多孔質部分に研磨液が保持されるため、被研磨面に効率良く研磨液を供給することができる。さらに、崩壊しやすい多孔質部分と崩壊しにくい非多孔質部分とが存在するため、砥石表面に凹凸が形成されやすくなり、液溜め効果やスクラッチ(キズ)の発生原因となる粒子の捕獲効果を持たせることができる。
【0026】
また、多孔質部分と非多孔質部分の比や、多孔質部分の大きさを任意に選ぶことにより、同じ材料のバインダでも機械的性質(例えば強度など)の異なる固定砥粒研磨工具を用意することができるため、加工対象物や加工条件に好適な固定砥粒研磨工具を供給できるメリットを持つ。
【0027】
次に、バインダ樹脂中に気孔が集中した多孔質部を散在させた固定砥粒研磨工具の製造方法について説明する。図6に示すように、砥粒とバインダ樹脂原料と発泡剤とを混合し、加熱圧縮成型する際に、発泡剤が発泡してバインダ樹脂中に気孔の集中部である多孔質部が形成される。従って、混合体を加熱圧縮成型する際に、発泡剤が散在していることで、多孔質部を固定砥粒研磨工具中に散在して形成することができる。砥粒とバインダ樹脂原料とを混合する際に、薬剤を混合することで、同様に固定砥粒研磨工具中に薬剤を分散して配置することができる。
【0028】
図1に示す固定砥粒研磨工具は、砥粒とバインダの混合物を成形する際に、バインダを発泡させることにより多孔質部分を形成することができる。発泡は、▲1▼化学反応の発生ガス、▲2▼低沸点化合物の気化ガス、▲3▼混練分散した空気などの作用により行う。▲1▼および▲2▼の方法は、主に発泡剤により行われる。主な発泡剤として、例えば、▲1▼においては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ヒドラゾジカルボン酸イソプロピル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、炭酸水素ナトリウム(重曹)等が挙げられる。▲2▼においては、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ペンタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、水、アルコール等が挙げられる。▲3▼の方法は、溶融樹脂中に空気を直接混入したり、発泡ピースを混入するなどの方法がある。
【0029】
また、固定砥粒研磨工具は、砥粒と、バインダ樹脂と、気孔が集中的に存在する多孔質樹脂からなる多孔質粒子を混合し、成形することにより得ることもできる。多孔質粒子は、発泡剤を利用する他、例えば水とバインダ樹脂原料とを混合してスラリ状としたものにアルコール(例えばエタノール、イソプロピルアルコールなど)を添加したものを、スプレードライ法などにより造粒して得ることができる。このようにして得られた粒状の多孔質粒子と、上述したように砥粒と、他のバインダ樹脂(多孔質樹脂と同質のものを用いても良い)とを混合して、加熱圧縮成型により図1または図5に示すようにバインダ樹脂中に多孔質(気孔の集中部)が散在した状態の固定砥粒研磨工具を得ることができる。ここでスプレードライ法は、液体の樹脂原料を高温のガス流中に噴霧して加温硬化することで粒状の樹脂粒子を形成する技術であり、樹脂原料中に例えば砥粒を予め含むことで、砥粒を内包した多孔質粒子を造粒することができる。
【0030】
また、図7に示すように、スプレードライ法により多孔質部を有する造粒粉を形成し、これを固定砥粒研磨工具中に分散配置することで、多孔質部を散在させた固定砥粒研磨工具を形成することができる。即ち、液体状の樹脂原料に発泡剤を混合し、スプレードライ法により造粒粉を形成する。この時、発泡剤が発泡することで樹脂中に多孔質部が形成される。このような多孔質部を有する造粒粉を砥粒とバインダ樹脂原料と共に混合し、加熱圧縮成型することで多孔質部を散在させた固定砥粒研磨工具を形成することができる。スプレードライ法により造粒粉を形成する際に、樹脂原料と発泡剤と砥粒とを混合することで、多孔質部に砥粒を含む造粒粉が形成される。また、砥粒と樹脂原料とを混合する際に薬剤を合わせて混合することで、これを加熱圧縮成型することにより薬剤を散在させた固定砥粒研磨工具が得られる。
【0031】
スプレードライ法により造粒粉を形成するに際して、水と樹脂原料とを混合してスラリ状とし、例えばエタノール又はイソプロピルアルコールなどのアルコールを添加したものを高温中に噴霧するスプレードライ法などにより樹脂中に多孔質部が形成された造粒粉(多孔質粒子)が得られる。得られた造粒粉を更に他の砥粒を含む造粒粉と混合して、加熱圧縮成型することで、例えば図2に示す形態の固定砥粒研磨工具が得られる。また、造粒粉を砥粒や他のバインダ樹脂原料と混合して加熱圧縮成型することにより、図4又は図5に示す形態の固定砥粒研磨工具が得られる。
【0032】
なお、本発明の固定砥粒研磨工具は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、砥粒と、バインダ樹脂と、気孔とから形成される固定砥粒研磨工具において、気孔が集中した多孔質部を散在させることで、固定砥粒研磨工具内部に崩壊しやすい多孔質部分と崩壊しにくい非多孔質部分とを形成することができる。このため、全体として固定砥粒研磨工具の堅い性質を維持しつつ、多孔質部分によりその表面に凹凸が形成されやすくなり、トップリング穴の転写やスクラッチ(傷)の発生原因となる研磨粒子の捕獲効果を持たせることができる。そして、多孔質部分と非多孔質部分の比率や多孔質部分の大きさを調整することで、機械的強度の異なる固定砥粒研磨工具を用意することができ、これにより種々の加工条件に適応可能な固定砥粒研磨工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の固定砥粒研磨工具を示し、バインダ樹脂中に多孔質部が散在している状態を模式的に示した図である。
【図2】本発明の実施形態の固定砥粒研磨工具を示し、バインダ樹脂中に砥粒を含む多孔質粒子と樹脂中に多孔質部を含む多孔質粒子とを混合して形成した固定砥粒研磨工具を示す図である。
【図3】本発明の実施形態の固定砥粒研磨工具を示し、バインダ樹脂中に砥粒と薬剤と多孔質部とを備えた固定砥粒研磨工具を示す図である。
【図4】図2に示す砥粒を含む多孔質粒子と多孔質部からなる多孔質粒子と、更に薬剤とを混合して形成した固定砥粒研磨工具を示す図である。
【図5】本発明の実施形態の固定砥粒研磨工具を示し、多孔質粒子を散在させた固定砥粒研磨工具を示す図である。
【図6】本発明の固定砥粒研磨工具の製造工程の概略を示したブロック図である。
【図7】本発明の他の実施形態の製造工程の概略を示した図であり、スプレードライ法による造粒粉の形成工程を含む固定砥粒研磨工具の製造工程の概略を示した図である。
【符号の説明】
1  固定砥粒研磨工具
2  砥粒
3  バインダ樹脂
4  多孔質部
6  造粒粒子(固定砥粒を含む多孔質粒子)
7  多孔質造粒粒子(多孔質粒子)
8  薬剤
9  多孔質部を含む造粒粉(多孔質粒子)

Claims (8)

  1. 砥粒と、バインダ樹脂と、気孔とから構成される固定砥粒研磨工具において、前記バインダ樹脂には多孔質である部分が散在していることを特徴とする固定砥粒研磨工具。
  2. 砥粒と、薬剤と、これらを結合するバインダ樹脂と、気孔とから構成される固定砥粒研磨工具において、前記バインダ樹脂には多孔質である部分が散在していることを特徴とする固定砥粒研磨工具。
  3. 多孔質である部分を含む多孔質粒子と、砥粒と、これらを結合するバインダ樹脂と、気孔とから構成されていることを特徴とする固定砥粒研磨工具。
  4. 前記多孔質粒子と砥粒を結合するバインダ樹脂に、散在した多孔質部を含むことを特徴とする請求項3記載の固定砥粒研磨工具。
  5. 前記多孔質粒子と砥粒を結合するバインダ樹脂に、薬剤を含むことを特徴とする請求項4記載の固定砥粒研磨工具。
  6. 発泡剤を樹脂原料中に混合し、スプレードライ法により多孔質粒子を形成し、該多孔質粒子と砥粒とバインダ樹脂原料とを混合して、加熱圧縮成形することを特徴とする固定砥粒研磨工具の製造方法。
  7. 前記発泡剤はアルコールであることを特徴とする請求項6記載の固定砥粒研磨工具の製造方法。
  8. 前記バインダ樹脂原料に、薬剤をさらに混合することを特徴とする請求項6記載の固定砥粒研磨工具の製造方法。
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