JP2004034066A - 塗型剤組成物の製造方法 - Google Patents

塗型剤組成物の製造方法 Download PDF

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Akira Yoshida
吉田 昭
Sukeyuki Sakai
酒井 祐之
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Abstract

【課題】アルコール系塗型剤の利点を損なうことなく、スラリーの沈降安定性に優れたアルコール系塗型剤組成物を提供する。
【解決手段】溶剤とアミン系化合物とモンモリロナイトを含有する鉱物の混合物を得、該混合物と耐火骨材とを混合してアルコール系塗型剤組成物を製造する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希釈スラリーの沈降安定性に優れた鋳造用アルコール系塗型剤組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳造用塗型剤は、溶融金属が接する鋳型表面に塗布又は噴霧(ぶっかけも含む)して、塗膜を塗装することにより、鋳型の表面を保護し、溶融金属と鋳型表面との化学反応や、鋳物の焼着欠陥の発生を防止するために用いられるものである。このような塗型剤としては、水系、アルコール系のものが知られているが、このうちアルコール系の塗型剤は、溶剤の揮発性が良いため作業性に優れる。アルコール系塗型剤は、一般に、耐火骨材、焼結剤、粘結剤、溶媒等で構成されている。耐火骨材は塗型基材であり、鋳物の焼着防止を主目的とし、ジルコン、シリカ、マグネシア、クロマイト、黒鉛等の粉末が用いられる。また、焼結剤は鋳込み時における塗膜の熱間強度の向上を主目的とし、原料として有機ベントナイト粉末が用いられている。粘結剤は塗膜強度の向上を主目的とし、フェノール樹脂、松木抽出物誘導体、ロジン、石油樹脂等が用いられる。また、有機溶媒は分散媒として用いられるものであり主としてアルコール類、分散補助を目的とした溶剤として、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等が使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、塗型剤組成物は塗布に適した濃度に希釈したスラリーとして使用されるが、粉末有機ベントナイトはそのままではアルコール系溶剤に分散し難いため、希釈スラリーの沈降安定性が十分ではない。その改善のため脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素等の低極性溶媒で膨潤させて用いられるが(特開昭62−254948号)、更なる沈降安定性の向上が望まれている。
【0004】
本発明の課題は、アルコール系塗型剤の利点を損なうことなく、希釈スラリーの沈降安定性に優れたアルコール系塗型剤組成物の製造方法を提供することである。また、本発明の他の課題は、優れた沈降安定性を示し、且つ膨潤用に用いる前記低極性溶媒による不快臭を抑制できるアルコール系塗型剤組成物の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶剤(以下、膨潤用溶剤という)とアミン系化合物とモンモリロナイトを含有する鉱物(以下、モンモリロナイト系鉱物という)の混合物を得る工程(I)と、該工程(I)で得られた混合物と耐火骨材とを混合する工程(II)とを有する塗型剤組成物の製造方法に関する。
【0006】
また、本発明は、耐火骨材及び焼結剤を含有するアルコール系塗型剤組成物であって、前記焼結剤が膨潤用溶剤とアミン系化合物とで膨潤したモンモリロナイトを含有する鉱物であり、低極性溶媒の比率が耐火骨材100重量部に対し2重量部未満である塗型剤組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
<塗型剤組成物>
(1)耐火骨材
本発明に用いられる耐火骨材としては、ジルコン、シリカ、シャモット、アルミナシリケート、アルミナ、クロマイト、マグネシア、ムライト、人工鉱物、黒鉛、その他の天然及び人工鉱物粉末等が挙げられる。またフラン鋳型からの鋳物表面組織への浸硫防止を目的として、MnO、CaO、Mn及びFe−Mn合金のような二酸化硫黄と反応性の高い浸硫防止剤も添加して用いることができる。耐火骨材は、ジルコン、シリカ、シャモット、アルミナシリケート、アルミナ、クロマイト、マグネシア、ムライト、土状黒鉛、人工鉱物等では平均粒径が1μmから50μmが好ましく、鱗状黒鉛では平均粒径が30μmから100μmが好ましい。これらの耐火骨材は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0008】
(2)焼結剤
(2−1)モンモリロナイト系鉱物
本発明では、焼結剤として、膨潤用溶剤とアミン系化合物とで膨潤したモンモリロナイト系鉱物が使用される。モンモリロナイトとは、層間にアルミニウム、鉄、マンガン、クロム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム等の無機金属のイオンが存在するモンモリロナイト石群鉱物であり、粘土を構成する代表的な鉱物の一群であり、モンモリロン石、マグネシアンモンモリロン石、バイデライト、アルミニアンバイデライト、スメクタイト、ヘクトライト等が挙げられ、これらを主成分として含有するものとしてはベントナイト等が挙げられるが、特にベントナイトが好ましく、金属イオンとしてはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、ナトリウムイオンが好ましく、特にナトリウムイオンが好ましい。なお、これらは天然のものであってもイオン交換法により製造されたものであってもよい。
【0009】
(2−2)アミン系化合物
モンモリロナイト系鉱物の膨潤に用いられるアミン系化合物としては、少なくとも1つ、特には1つの疎水性基、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは8〜22の疎水性基と1つの親水性基とを有する化合物が好ましく、一級〜三級アミン又はその酸塩、四級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、アルキルアミノカルボキシベタイン等の両性界面活性剤、アルキルアミンのオキシアルキレン付加物等の非イオン界面活性剤、脂肪酸アミド等が挙げられるが、中でもカチオン界面活性剤、特に四級アンモニウム塩が好ましい。具体的な化合物としては、四級アンモニウム塩ではモノアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、モノアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、アミン類ではモノアルキルアミンやジアルキルアミン、トリアルキルアミン及びこれらの酸塩、脂肪酸アミドではステアリン酸アミド等が挙げられる。これらのアルキル基としては炭素数8〜22が好ましく、これらを主成分とする混合物であってもよい。本発明に用いられるアミン系化合物としては、炭素数8〜22のアルキル基を少なくとも1つ、特には1つ有する四級アンモニウム塩が最も好ましい。四級アンモニウム塩の対イオンとしては、ハロゲンイオン、なかでも塩素イオンが好ましい。また、アミンの酸塩としては、蟻酸塩、酢酸塩等の有機カルボン酸塩、塩酸塩、硫酸塩等の無機酸塩が挙げられる。
【0010】
(2−3)膨潤用溶剤
モンモリロナイト系鉱物の膨潤に用いられる膨潤用溶剤としては、モンモリロナイトを膨潤させる能力のあるものであれば何れでもよく、例えば炭素数1〜3のアルコール、炭素数4以上の脂肪族炭化水素系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、工業溶剤等の実質的に炭素と水素からなる低極性溶剤が挙げられるが、不快臭抑制の点より、炭素数1〜3のアルコールが好ましい。炭素数1〜3のアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等が挙げられ、単独またはこれら2種以上を併用できる。好ましくはメタノール、エタノールである。また、低極性溶剤の具体例として、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の炭素数4〜12の脂肪族炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、シクロヘキサンの脂環式炭化水素系溶剤、ミネラルスピリットやリグロイン等の工業溶剤が挙げられる。
【0011】
(2−4)膨潤したモンモリロナイト系鉱物
本発明では、工程(I)で膨潤用溶剤とアミン系化合物とモンモリロナイト系鉱物の混合物を得る。この混合物はモンモリロナイト系鉱物が膨潤用溶剤とアミン系化合物とで膨潤したものであり、通常はゲル状の混合物(以下、ゲル化生成物という)として得られる。工程(I)では、膨潤用溶剤、アミン系化合物及びモンモリロナイト系鉱物を一括混合してもよいが、予め膨潤用溶剤とアミン系化合物の混合溶液を調製し、これにモンモリロナイト系鉱物を混合することが好ましい。本発明ではこのようにして得られたゲル化生成物をそのまま使用することができる。すなわち、本発明では生成した有機ベントナイトを乾燥粉末化することなく使用する。
【0012】
本発明において、モンモリロナイトの膨潤とは、モンモリロナイトの層間に膨潤用溶剤とアミン系化合物が取り込まれ層間隔が大きくなり増粘する現象であり、モンモリロナイト系鉱物100重量部に対して、膨潤用溶剤を25〜500重量部、更に50〜400重量部、特に100〜300重量部、アミン系化合物を5〜125重量部、更に10〜100重量部、特に15〜75重量部の比率で用いたときに発現する程度が好ましい。モンモリロナイトが膨潤(ゲル化)していることは、X線回折(小角域1°〜10°)により確認できる。
【0013】
本発明で用いるゲル化生成物では、一部又は全部のモンモリロナイトにアミン系化合物がインターカレートしている。例えば、対イオンが塩素イオンであるカチオン界面活性剤の膨潤用溶剤溶液にNaベントナイトを混合した場合、インターカレートすることがX線回折分析法で確認される。即ち、X線回折分析法において結晶面d 001で2θが10°以下の小角域において結晶吸収ピークが表れ、Naベントナイトの膨潤性が確認できる。具体的には、未処理のNaベントナイトの層間距離よりも、上記処理を行ったNaベントナイトの方が、層間距離が大きくなり、同時に副成するNaClの結晶吸収ピークが2θで32°付近に確認できる。その際、本発明では、膨潤用溶剤が層間に多量に存在し、塗型剤として用いた場合に、従来の粉末有機ベントナイトとは異なる挙動を発現するものと考えられる。
【0014】
本発明で用いるゲル化生成物は、希釈スラリーの安定性や塗布作業性の点から、耐火骨材100重量部に対して、純分換算で0.5〜15重量部、更に1〜10重量部のモンモリロナイト系鉱物と0.1〜20重量部、更に0.2〜10重量部のアミン系化合物を含むことが好ましい。この範囲においてモンモリナイト系鉱物とアミン系化合物のモル比は、アミン系化合物/モンモリナイト系鉱物で0.2〜3.0であることが、希釈スラリー安定性の点で好ましい。ここで、モンモリナイト系鉱物とアミン系化合物のモル比とは、アミン系化合物のモル数をモンモリナイト系鉱物のモル数で割った値である。なお、モンモリロナイト系鉱物のモル数は、「粘土ハンドブック第二版」(発行所:技報堂出版株式会社1987年4月30日二版一刷発行)の3.3.6鋳物用粘土の試験法 580頁に記載されているb.メチレンブルー吸着量(mmol/100g)を測定し、求めることができる。また、アミン系化合物については、当該界面活性剤中のN重量%をミクロケルダール法(JIS K 2609(1980)「原油及び石油製品窒素分試験方法」)で分析して純分を求め、配合に用いるモル数を求める。膨潤用溶剤を含めたゲル化生成物は、希釈スラリーの安定性や塗布作業性の点から、耐火骨材100重量部に対して、1〜350重量部、更に2〜200重量部、特に5〜100重量部の比率で使用することが好ましい。
【0015】
また、本発明では、従来の粉末有機ベントナイトを用いる場合と異なり、膨潤用溶剤中で生成したゲル化生成物を粉末化させることなくそのまま用いるため、分散補助のための低極性溶媒を必ずしも必要としない。このため、本発明の塗型剤組成物では、塗型作業の際、塗型剤から発生する低極性溶媒の不快臭気を抑制し、塗型剤塗布作業環境の改善を図ることができる。
【0016】
本発明においてゲル化生成物を粉末化させることなく用いることにより、希釈スラリーの沈降安定性に優れたアルコール系塗型剤組成物が得られる理由としては、例えばNaベントナイトとアミン系化合物と膨潤用溶剤とを混合してゲル化生成物が生成する際に、膨潤用溶剤がベントナイトの層間に充分に入り込み、安定なゲル状となったまま使用されることから、希釈スラリーの沈降安定性を改善するためと考えられる。
【0017】
(3)アルコール系溶剤
本発明に塗型剤組成物の主溶媒として用いられるアルコール系溶剤としては、炭素数1〜3のアルコールが挙げられ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等が挙げられ、単独またはこれら2種以上の組み合わされた混合溶媒として使用できる。好ましくはメタノール、エタノールである。これらアルコールは、他の目的(洗浄とか副生による)で使用されたもの、再生或いは回収されたいわゆる回収アルコール又は再生アルコール及び変性アルコールを使用することもできる。アルコール系溶剤の種類は、膨潤用溶剤と同じでも異なっていてもよいが、同じものが好ましい。
【0018】
一般的に、塗型は最初に溶剤濃度が低く、固形分濃度の高い組成物(保存用組成物)としておき、使用時に更に適正なスラリー粘度に希釈して使用される。このような高固形分の組成物の好ましい組成は耐火骨材100重量部に対しアルコール系溶剤1〜500重量部、更に10〜200重量部、特に20〜100重量部である。塗布時の適正なスラリー粘度は、刷毛塗布の場合は50〜30ボーメ、ディッピング塗布の場合は25〜15ボーメ、ぶっ掛け塗布の場合は20〜5ボーメである。希釈用の溶剤もアルコール系溶剤、特には組成物に最初から添加されているものと同じ種類のものが好ましい。塗布時のアルコール系溶剤量としては、耐火骨材100重量部に対し1〜500重量部、更に10〜400重量部が好ましい。
【0019】
(4)その他
本発明の塗型剤組成物は、粘結剤を含有することができる。粘結剤としては、フェノール樹脂、松木抽出物誘導体、ロジン及びその誘導体、石油樹脂等が挙げられ、これらの単独又は2種以上を用いることができる。本発明では、粘結剤として、アルコール可溶性の親水性粘結剤が好ましい。粘結剤の比率は、耐火骨材100重量部に対し、0.5〜5重量部が好ましく、0.5重量部以上であると塗膜強度が十分となり、5重量部以下であると着火乾燥時の塗膜の膨れなどのトラブルを抑制できる。
【0020】
また、本発明の塗型剤組成物は、増粘剤を含有することもできる。増粘剤は、塗型剤組成物の粘度を高めて、鋳型に塗布されたスラリーが鋳型内部へ浸透するのを防止するために用いられるものである。増粘剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルアルキル化セルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール等を単独で又は混合して用いることができる。増粘剤の比率は、耐火骨材100重量部に対して、0.01〜1重量部、更に0.02〜0.5重量部が好ましい。
【0021】
上記の通り、本発明の塗型剤組成物は、基本的に低極性溶媒を用いる必要がないが、使用する場合でもモンモリロナイト系鉱物の膨潤や増粘剤等の湿潤(増粘剤のアルコール溶媒に対する溶解を早める手段)等を目的として少量で足りるため、低極性溶媒の使用量を格段に減少させることができる。具体的には低極性溶媒の塗型剤組成物中の比率が、耐火骨材100重量部に対し、好ましくは2重量部未満、より好ましくは0.5重量部未満、更に好ましくは0.1重量部未満、特に好ましくは含有しない塗型剤組成物を調製することが可能となり、希釈スラリーの分散媒は、ほぼアルコール系溶剤のみにすることができる。これにより、塗型剤の塗布時におけるこれらの低極性溶媒による不快臭気の発生が抑制され、作業環境が改善される。
【0022】
本発明の塗型剤組成物は、鋳鉄用は勿論、黒鉛類を低減した鋳鋼用、アルミニウム、マグネシウム等の軽合金用に使用することができる。
【0023】
<塗型剤組成物の製造方法>
本発明の塗型剤組成物は、反応により生成する有機ベントナイトを粉末として取り出すことなくゲル化生成物のまま使用する方法であれば、何れによって製造してもよく、膨潤用溶剤とアミン系化合物とモンモリロナイト系鉱物の混合物と、耐火骨材とを混合する方法により製造される。本発明の製造方法では、通常は、上記した保存用の組成物の好ましい比率で各成分を用い、保存用の高濃度組成物を得るが、引き続きこれを希釈して塗布用の希釈組成物を調製してもよい。
【0024】
本発明の製造方法の具体例としては、例えば、
(イ)1つの反応器で工程(I)、(II)を行う方法
(ロ)別の反応器で工程(I)、(II)を行う方法
(ハ)組成物の全ての配合成分を1つの反応器で同時に混合する(すなわち、工程(I)、(II)を同時に行う)方法
等が考えられるが、沈降安定性及び製造工程の簡素化の点より、(イ)、(ロ)が、更に(イ)が好ましい。特に、(イ)の工程(I)で予め膨潤用溶剤とアミン系化合物によりアミン系化合物の膨潤用溶剤溶液を調製し、これにモンモリロナイト系鉱物を混合してゲル化生成物を製造することが好ましい。なお、有機ベントナイトの製造方法としては、特開昭54−42378号が知られているが、これは乾燥後粉末品となったものが低極性油のゲル化に用いられており、有機ベントナイト等を粉末化することなく用いる本発明の方法とは異なる。
【0025】
本発明では、ゲル化生成物は、−10〜50℃で製造することが、製造工程の簡略化の点で好ましいが、加熱してもよい。一般に、ゲル化生成物は、モンモリロナイト系鉱物100重量部に対して、膨潤用溶剤を25〜500重量部、更に50〜400重量部、特に100〜300重量部、アミン系化合物を5〜125重量部、更に10〜100重量部、特に15〜75重量部の比率で用い、これらを−10〜50℃で1〜60分間、カントーミキサー等のペースト混練装置で10〜1万rpmの条件で混合することにより、得ることができる。
【0026】
続いて、該ゲル化生成物と、所定量の耐火骨材、溶剤としてのアルコール等とを、ペースト状態になるよう混練(ニーディング)する。通常塗型剤に添加する増粘剤や粘結剤の添加時期は特に限定されない。均一になるまで混練を続け、任意の粘度になるよう、溶剤であるアルコールの添加量を調整しながら混練するのが好ましい。なお、該ゲル化生成物の添加時期は、混練初期段階、途中段階、最終段階のどの工程でも限定されるものではないが、混練初期段階の方が製造上合理的であり好ましい。
【0027】
また、本発明の塗型剤組成物は、膨潤用溶剤とアミン系化合物とモンモリロナイト系鉱物の混合物が、耐火骨材と均一に混合すればよく、(ハ)のように、例えば耐火骨材に、膨潤用溶剤、アミン系化合物、モンモリロナイト系鉱物、及び溶剤としてのアルコールを添加し混練して製造することもでき、この方法においても、増粘剤や粘結剤の添加時期は特に限定されない。
【0028】
【発明の効果】
本発明では、膨潤用溶剤とアミン系化合物とで膨潤したモンモリロナイトを焼結剤として使用することにより、希釈スラリーの沈降安定性が顕著に改善されたアルコール系の塗型剤組成物を得ることができる。しかも、低極性溶媒を用いることなしにアルコール系の塗型剤組成物を得ることもでき、その場合、塗布作業時の環境が大幅に改善される。
【0029】
【実施例】
実施例1〜3
(1)保存用塗型剤組成物の調製
表1に示す比率で、アミン系化合物を、常温(21℃)で膨潤用溶剤に添加し、アミン系化合物の膨潤用溶剤溶液を調製し、これと表1に示す比率でモンモリロナイト系鉱物とを、カントーミキサーで、60rpmで3分間混合し、ゲル化生成物を得た。表1中の重量部は、耐火骨材100重量部に対する量である(以下、同様)。続いて増粘剤であるヒドロキシプロピルセルロース0.2重量部、ロジン変性樹脂2重量部、続いて耐火骨材としてシリカ粉末70重量部及び黒鉛粉30重量部の全量100重量部、メタノール30重量部を添加し、カントーミキサーで、60rpmで15分間混練して塗型剤組成物を得た。
【0030】
(2)評価
上記で得られた塗型剤組成物について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0031】
(2−1)沈降安定性
直径40mm、長さ250mm、内容積300ccのガラス製沈降管に、塗型組成物を20ボーメ濃度になるようメタノールで希釈攪拌した塗型剤スラリーを300cc入れ、4時間後の塗型剤スラリーの上澄み液の長さ、即ち塗型剤スラリーの沈降長さを求めた。
【0032】
(2−2)塗布作業時の不快臭気
上記沈降安定性の試験に用いた20ボーメ濃度の塗型剤スラリーをフラン鋳型表面にぶっかけ塗布作業したときの不快臭気を、5人の臭気パネラーにて官能評価した。
【0033】
(2−3)鋳込み欠陥
直径50mmφ×高さ50mmhの円柱形状のフラン鋳型に、塗型剤組成物を40ボーメ濃度になるようメタノール希釈し、刷毛塗布を行って塗型を施し、それぞれの塗型されたフラン鋳型中子を得た。得られたフラン鋳型中子を直径300mmφ×高さ300mmhのキャビティを有するフラン鋳型の主型の底面の同心円状の中心部に上記の中子を等間隔になるよう接着配置した鋳型を得た。鋳造する前に、鋳型のキャビティをバーナーで充分熱風乾燥させた後、材質がFCD−700、注湯温度1370℃の熔湯を注湯し鋳造物を得た。冷却後鋳造物を取り出し、砂落としのために5分間ショットブラスト処理し、中空部のスス欠陥を観察し、以下の基準で評価した。
◎…スス欠陥が全くない。
○…スス欠陥がごくわずかにあるが、問題なし。
△…スス欠陥が少しある。
×…スス欠陥がある。
【0034】
比較例1
有機ベントナイトA粉末(Naベントナイトにモノアルキル(炭素数18、16混合)トリメチルアンモニウムクロライドがインターカレートした化合物)3.0重量部に、分散補助のための低極性溶媒としてトルエン5.0重量部を添加し、有機ベントナイトのゲル化物を得た。続いて実施例1と同様に比較例1の塗型剤組成物を得た。得られた塗型剤組成物について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0035】
比較例2
トルエンを用いず、組成物の主溶剤としてのメタノール量を35重量部とする以外は比較例1と同様に塗型剤組成物を得た。得られた塗型剤組成物について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 2004034066
【0037】
本発明の方法により製造した実施例1〜3の塗型剤組成物は、従来の有機ベントナイト粉末を用いた塗型剤組成物に比べ、塗型スラリーの沈降安定性、不快臭気の発生防止、鋳込み欠陥において優れている。
【0038】
実施例4〜9
Naベントナイトの量を表2のように変えた以外は実施例1と同様に塗型剤組成物を得た。得られた塗型剤組成物を更にメタノールで希釈し20ボーメ濃度の塗型スラリーの沈降安定性を実施例1と同様に評価し、塗布作業性(ブッカケ塗布時の塗膜のタレ筋の有無)を目視判定し、以下の基準で評価した。また、両者の結果から、沈降安定性と塗布作業性の総合評価を行った。結果を表2に示す。
◎…塗膜のタレ筋がない。
○…塗膜のタレ筋が比較的少ない。
△…塗膜のタレ筋が比較的多い。
×…塗膜のタレ筋が多い。
【0039】
【表2】
Figure 2004034066
【0040】
上記の結果から、モンモリロナイト系鉱物の比率が耐火骨材100重量部に対して1.0〜10重量部であると、より優れた効果が得られることがわかる。
【0041】
実施例10〜15及び比較例3
アミン系化合物の種類を表3のように変えた以外は実施例1と同様に塗型剤組成物を得た。得られた塗型剤組成物について、実施例4と同様に、塗型スラリーの沈降安定性、塗布作業性、両者の総合評価を行った。結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
Figure 2004034066
【0043】
上記の結果から、本発明の方法は、種々のアミン系化合物を用いた場合でも優れた効果が得られることがわかる。
【0044】
実施例16〜19
表4に示すアミン系化合物を、10℃(冬季の気温を想定)で変性エタノール4重量部に添加し、アミン系化合物の変性エタノール溶液を調製し、これに表4のモンモリロナイト系鉱物を混合し、ゲル化生成物を得た。その際、アミン系化合物とモンモリロナイト系鉱物のモル比は表4に示す通りとなるようにした。なお、Naベントナイトの分子量は734、モノアルキル(炭素数18、16混合)トリメチルアンモニウムクロライドの分子量は334としてモル比を算出した。続いて増粘剤であるヒドロキシプロピルセルロース0.2重量部、ロジン変性樹脂2重量部、続いて耐火骨材としてシリカ粉末50重量部、マグネシア粉20重量部及び黒鉛粉30重量部の全量100重量部、変性エタノール30重量部を添加し、15分間混練して塗型剤組成物を得た。得られた塗型剤組成物を変性エタノールで希釈し20ボーメ濃度の塗型スラリーを調製し、その沈降安定性を実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
Figure 2004034066
【0046】
上記の結果から、アミン系化合物/モンモリナイト系鉱物のモル比が0.2〜3.0の範囲内であると、より優れた効果が得られることがわかる。

Claims (5)

  1. 溶剤とアミン系化合物とモンモリロナイトを含有する鉱物の混合物を得る工程(I)と、該工程(I)で得られた混合物と耐火骨材とを混合する工程(II)とを有する、アルコール系塗型剤組成物の製造方法。
  2. 低極性溶剤の使用量が耐火骨材100重量部に対し2重量部未満である請求項1記載の製造方法。
  3. モンモリロナイトを含有する鉱物がベントナイトである請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 工程(I)で、溶剤とアミン系化合物とを混合した後、モンモリロナイトを含有する鉱物を混合する請求項1〜3の何れか1項記載の製造方法。
  5. 耐火骨材及び焼結剤を含有するアルコール系塗型剤組成物であって、前記焼結剤が溶剤で膨潤したモンモリロナイトを含有する鉱物であり、低極性溶剤の比率が耐火骨材100重量部に対し2重量部未満である塗型剤組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101985156A (zh) * 2010-11-08 2011-03-16 哈尔滨理工大学 适合镁合金铸造用醇基涂料及加工方法
CN102873267A (zh) * 2012-10-19 2013-01-16 南京信息工程大学 一种砂型铸造醇基涂料及其制备方法

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