JP2004033874A - 海水性硝化汚泥の培養槽および培養システム - Google Patents
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Abstract
【課題】海水性アンモニア酸化細菌および海水性亜硝酸酸化細菌などの海水性硝化汚泥を利用した廃水の浄化システムにおいては、菌体を損失させない効率的な培養槽および培養システムを開発することが求められてきた。
【解決手段】中空糸膜からなる濾過装置を付設した海水性硝化汚泥の培養槽並びに通気装置、加熱装置もしくは冷却装置、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置、中空糸膜からなる濾過装置及び培養槽からなる海水性硝化汚泥の培養システムである。
【選択図】図3
【解決手段】中空糸膜からなる濾過装置を付設した海水性硝化汚泥の培養槽並びに通気装置、加熱装置もしくは冷却装置、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置、中空糸膜からなる濾過装置及び培養槽からなる海水性硝化汚泥の培養システムである。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海水性硝化汚泥を高濃度で培養するための培養槽および培養システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
活性汚泥並びに海水性アンモニア酸化細菌および海水性亜硝酸酸化細菌などの海水性硝化汚泥を利用した廃水の浄化システムにおいては、培養液中に菌体が産生する硝酸などの有害物質が蓄積してくるので、海水性硝化汚泥の生育が阻害されるようになってくる。従って、その有害物質を除去することが必要となるため、培養中の培養液を排出し、新しい培養液を注入することにより有害物質の濃度を調節している。また、汚泥を培養槽の底部へ沈降させて、その上澄み液だけを排出し、培養液を替える方法もあるが、固液分離が十分に行われず、汚泥を流失させる場合が少なくない。そのため、菌体と培養液との分離を容易にするために、セラミックス、不織布などの種々の担体に菌体を吸着させる方法が利用されている。従って、この種の菌体を担体に吸着させた場合には、通気培養の過程で菌体が担体から遊離し、菌体を損失するなどの問題があり、菌体を担体に吸着しないで培養することが、硝化効率が高く、限られた容積の培養槽における廃水を処理するうえで好ましいことが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、活性汚泥並びに海水性アンモニア酸化細菌および海水性亜硝酸酸化細菌などの海水性硝化汚泥を利用した廃水の浄化システムにおいては、菌体を損失させない効率的な培養槽および培養システムを開発することが求められてきた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、海水性アンモニア酸化細菌および海水性亜硝酸酸化細菌などの海水性硝化汚泥を利用した廃水の浄化システムにおける効率的な硝化細菌の培養装置について鋭意検討してきた結果、新規な培養槽および培養システムを提供するにいたった。すなわち、中空糸膜からなる濾過装置を付設したことを特徴とする海水性硝化汚泥の培養槽であって、マイナスイオン発生装置を付設することが、汚泥酸化による臭いの低減を可能にするので、海水性硝化汚泥を培養するうえで、好ましい。
【0005】
本発明の第二は、通気装置および中空糸膜からなる濾過装置を付設したことを特徴とする海水性硝化汚泥の培養槽であって、マイナスイオン発生装置を付設することが、汚泥酸化による臭いの低減を可能にするので、海水性硝化汚泥を培養するうえで、好ましい。
【0006】
本発明の第三は、加熱装置もしくは冷却装置、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置、中空糸膜からなる濾過装置および培養槽からなることを特徴とする海水性硝化汚泥の培養システムである。
【0007】
本発明の第四は、通気装置、加熱装置もしくは冷却装置、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置、中空糸膜からなる濾過装置および培養槽からなることを特徴とする海水性硝化汚泥の培養システムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明にいう海水性硝化汚泥とは、活性汚泥を海水で馴養し、海水が混入した廃水中で培養することができる活性汚泥をいい、海水で魚介類を養殖した後の廃水を浄化するために利用することができる。しかも、菌体と培養液の分離を容易にするために、セラミックス、不織布などの担体に菌体を担持させる必要はない。
【0009】
本発明にいう培養槽1 とは、嫌気培養においてはその1例を図1に示したように、通気装置を必要とせず、海水性脱窒菌の培養に利用することができ、通気培養においてはその1例を図2に示したように、培養槽に通気装置4 を設置することにより海水性アンモニア酸化細菌および海水性亜硝酸酸化細菌の培養に利用することができる。また、培養システムとは、その1例を図3に示したように、対象とする菌体を円滑に培養するために、培養槽1 に培養液8 を入れ、通気装置4 、撹拌装置、加熱装置もしくは冷却装置7 、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置6 、濾過装置2cなどの付属設備を設置し、培養液8 を濾過した後、廃水9 を廃水タンクへ貯留し、残留液を培養槽1 へ戻し、循環させるシステムをいう。
【0010】
本発明にいう濾過装置とは、濾過膜として中空糸膜3 を用いることを特徴としており、中空糸膜の孔径は海水性硝化汚泥を通過しないものであれば特に限定されないが、活性汚泥を濾過する水処理用のものであれば使用することが可能である。本発明を実施するためには、中空糸膜3 を各種のモジュールとしたものを使用するのが、一般的である。
【0011】
また、中空糸膜のモジュールとしては、図4および図5に例示したように、小型のものから大型のものまで、培養槽の容量に応じて使用することが可能である。例えば、図1および図4に示した中空糸膜のモジュール2aは、培養槽の内部に設置するためのモジュールであって、ケーシングが通水できるように穴が設けられているが、図2および図5に示した中空糸膜のモジュール2b,2c は培養槽の外部に設置するためのモジュールであって、ケーシングは密閉式になっている。
【0012】
本発明にいう加熱装置もしくは冷却装置とは、培養対象の海水性硝化汚泥の培養温度を最適に保つために、培養液を加熱または冷却するための装置であって、目的に応じて、温水乃至蒸気または冷媒を通液して、所望の培養温度を維持するためのものである。
【0013】
本発明にいうマイナスイオン発生装置とは、培養液中にマイナスイオンを発生させることのできる装置であって、菌体の活性化を促し、悪臭発生菌が産生する悪臭を低減することができる。マイナスイオン発生装置としては、水中においてマイナスイオンを発生させることができれば機種を問わない。本発明の実施には、棒状のマイナスイオン発生装置が取り扱いの上で、使用に便利で好ましい。
【0014】
本発明の通気装置は、好気性菌による培養を行うための装置であって、培養する菌によって必要に応じて設置または使用することができる。
【0015】
本発明の添加物供給装置とは、培養槽において海水性硝化汚泥を培養する際に、培養液のみでは、該菌の増殖が抑制される場合に、必要とする栄養物質を水溶液の状態で供給するための装置であって、栄養物質の種類によっては複数の添加物供給装置を使用することができる。例えば、炭素源とする化合物の溶液、微量成分の水溶液、pH調整剤などをそれぞれ別の供給装置にすることができる。
【0016】
【実施例】
次に本発明の詳細を実施例に基づいて説明するが、本発明の趣旨はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0017】
(実施例1)
50L容の培養槽に培養液の濾過装置として、東レ株式会社製の中空糸膜モジュールCP20−1010を図2の濾過装置2bのように設置した。一方、大阪府岬町し尿処理センターの返送汚泥を採取し、海水にて馴養した海水性硝化汚泥を調製した。前記培養槽に養殖を開始して2日目以降のヒラメの飼育水40Lを入れ、海水にて馴養した海水性硝化汚泥の濃度(Mixed Liquor Suspended Solid;MLSS)が 5000mg/Lになるように培養槽に投入した。微量成分としては、硫酸アンモニウム1888g、塩化カルシウム二水和物40g、硫酸マグネシウム七水和物500gおよびリン酸カリウム二水和物410gを水に溶解し、10Lとして微量成分水溶液を調製した。一方、pH調整剤であり、アルカリ性炭素源液として、炭酸水素ナトリウム1160gおよび水酸化ナトリウム388.25gを水に溶解し、10Lとした。上記微量成分水溶液100mlおよび硫酸鉄(II)七水和物1.3gを100mlに溶解した溶液を40ml注入し、アルカ
リ性炭素源液300mlを培養液に添加して、27℃で通気培養を行った。培養開始時および培養3ヶ月後の、海水性アンモニア酸化細菌の培養液中の菌濃度を表1に、海水性亜硝酸酸化細菌の菌濃度を表2に、海水性硝化汚泥の濃度を表3に示した。なお、菌濃度の測定はMPN(Most probable number)法、海水性硝化汚泥の濃度の測定はJIS K 0102−1993 14.2 に依った。
【0018】
(実施例2)
実施例1で使用した培養槽へ、養殖を開始して2日目以降のタイの飼育水30Lを入れ、その後の処理も実施例1と同様にして、通気培養を行った。培養開始時および培養3ヶ月後の、海水性アンモニア酸化細菌の培養液中の菌濃度を表1に、海水性亜硝酸酸化細菌の菌濃度を表2に、示した。なお、菌濃度の測定は、MPN法に依った。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
表1および表2から分かるように、海水性アンモニア酸化細菌の菌濃度は培養開始時には2.3×104であったものが、3ヶ月後には7.2〜7.4×107に増加し、海水性亜硝酸酸化細菌の菌濃度は培養開始時には1.0〜1.1×103であったものが、3ヶ月後には3.4〜3.5×105に増加した。このように、本発明の培養槽による海水性硝化汚泥の培養は、その菌濃度を高く維持することができた。
【0022】
(比較例1)
濾過装置を付設しない50L容の培養槽に、実施例1と同じく養殖を開始して2日目以降のヒラメの飼育水40Lを入れた。実施例1で調製した海水にて馴養した海水性硝化汚泥のMLSS 5000mg/Lを不織布(株式会社西原環境衛生研究所製、リンポ−C)に担持させて培養槽に投入した。微量成分としては、硫酸アンモニウム1888g、塩化カルシウム二水和物40g、硫酸マグネシウム七水和物500gおよびリン酸カリウム二水和物410gを水に溶解し、10Lとして微量成分水溶液を調製した。一方、pH調整剤であり、アルカリ性炭素源液として、炭酸水素ナトリウム1160gおよび水酸化ナトリウム388.25gを水に溶解し、10Lとした。上記微量成分水溶液100mlおよび硫酸鉄(II
)七水和物1.3gを100mlに溶解した溶液を40ml培養液に注入し、アルカリ性炭素源液300mlを培養液に添加して、27℃で通気培養を行った。培養8時間後に培養槽の水を約30L抜き、再び飼育水を40Lになるまで培養槽に入れ、各微量成分水溶液を上記と同じ量を注入した。この操作を繰り返し培養を100日間行った。培養開始時および培養25日毎の海水性硝化汚泥の濃度をJIS K 0102−1993 14.2により測定し、表3に示した。
【0023】
【表3】
【0024】
表3からわかるように、本発明の培養槽において海水性硝化汚泥を培養すると、従来法による培養方法の場合と比較して、100日目において、海水性硝化汚泥の濃度は2倍以上となった。
【0025】
(実施例3)
培養液のアンモニア濃度が100ppmになるようにアンモニアを添加した以外は、実施例1と同様にして通気培養を行い、培養開始時、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後の培養液中のアンモニア濃度をJIS K 0102 42.2のインドフェノール青吸光光度法により測定し、その結果を図6に示した。
【0026】
(比較例2)
培養液のアンモニア濃度が100ppmになるようにアンモニアを添加した以外は、比較例1と同様にして通気培養を行い、培養開始時、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後の培養液中のアンモニア濃度をJIS K 0102 42.2のインドフェノール青吸光光度法により測定し、その結果を図6に示した。
【0027】
図6から明らかなように、本発明の培養槽により海水性硝化汚泥を培養した場合には、培養開始後2時間でアンモニア残存量はほぼゼロとなったが、従来法による担体固定海水性硝化汚泥では、培養開始後4時間でも20mg/lのアンモニアの残存が認められた。
【0028】
(実施例4)
実施例1にマイナスイオン発生棒(FLI食と生活情報センター製)を投入し、培養液の臭気を三点比較式臭袋法により、6段階法で評価した。評価基準を表4に示し、その結果を表5および図7に示した。表5および図7から分かるように、マイナスイオン発生棒を投入しない場合には、培養開始5時間目より臭気が発生し始めたが、マイナスイオン発生棒を投入した場合には、培養開始後8時間でも臭いの発生は認められなかった。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【発明の効果】
養殖により魚を飼育する場合、その飼育水はBODが高いため、そのまま排水することはできず、その処理が問題となっているが、本発明の培養槽および培養システムにおいて、海水性硝化汚泥を培養して養殖魚の飼育水を処理する場合、培養液中における海水性硝化汚泥の濃度を高く維持しながら、廃水を除去することができるので、飼育水の処理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】培養装置の1例
【図2】培養装置の他の1例
【図3】培養システムの1例
【図4】中空糸膜モジュールの1例
【図5】中空糸膜モジュールの他の1例
【図6】海水性硝化汚泥と担体固定化海水性硝化汚泥の硝化速度
【図7】培養槽における時間変化による6段階臭気強度
【符号の説明】
1.培養槽
2a.中空糸膜モジュールの1例
2b.中空糸膜モジュールの他の1例
2c.大型中空糸膜モジュールの1例
3.中空糸膜
4.通気装置
5.廃水タンク
6.添加物供給槽
7.加熱・冷却装置
8.培養液
9.廃水
【発明の属する技術分野】
本発明は、海水性硝化汚泥を高濃度で培養するための培養槽および培養システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
活性汚泥並びに海水性アンモニア酸化細菌および海水性亜硝酸酸化細菌などの海水性硝化汚泥を利用した廃水の浄化システムにおいては、培養液中に菌体が産生する硝酸などの有害物質が蓄積してくるので、海水性硝化汚泥の生育が阻害されるようになってくる。従って、その有害物質を除去することが必要となるため、培養中の培養液を排出し、新しい培養液を注入することにより有害物質の濃度を調節している。また、汚泥を培養槽の底部へ沈降させて、その上澄み液だけを排出し、培養液を替える方法もあるが、固液分離が十分に行われず、汚泥を流失させる場合が少なくない。そのため、菌体と培養液との分離を容易にするために、セラミックス、不織布などの種々の担体に菌体を吸着させる方法が利用されている。従って、この種の菌体を担体に吸着させた場合には、通気培養の過程で菌体が担体から遊離し、菌体を損失するなどの問題があり、菌体を担体に吸着しないで培養することが、硝化効率が高く、限られた容積の培養槽における廃水を処理するうえで好ましいことが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、活性汚泥並びに海水性アンモニア酸化細菌および海水性亜硝酸酸化細菌などの海水性硝化汚泥を利用した廃水の浄化システムにおいては、菌体を損失させない効率的な培養槽および培養システムを開発することが求められてきた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、海水性アンモニア酸化細菌および海水性亜硝酸酸化細菌などの海水性硝化汚泥を利用した廃水の浄化システムにおける効率的な硝化細菌の培養装置について鋭意検討してきた結果、新規な培養槽および培養システムを提供するにいたった。すなわち、中空糸膜からなる濾過装置を付設したことを特徴とする海水性硝化汚泥の培養槽であって、マイナスイオン発生装置を付設することが、汚泥酸化による臭いの低減を可能にするので、海水性硝化汚泥を培養するうえで、好ましい。
【0005】
本発明の第二は、通気装置および中空糸膜からなる濾過装置を付設したことを特徴とする海水性硝化汚泥の培養槽であって、マイナスイオン発生装置を付設することが、汚泥酸化による臭いの低減を可能にするので、海水性硝化汚泥を培養するうえで、好ましい。
【0006】
本発明の第三は、加熱装置もしくは冷却装置、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置、中空糸膜からなる濾過装置および培養槽からなることを特徴とする海水性硝化汚泥の培養システムである。
【0007】
本発明の第四は、通気装置、加熱装置もしくは冷却装置、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置、中空糸膜からなる濾過装置および培養槽からなることを特徴とする海水性硝化汚泥の培養システムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明にいう海水性硝化汚泥とは、活性汚泥を海水で馴養し、海水が混入した廃水中で培養することができる活性汚泥をいい、海水で魚介類を養殖した後の廃水を浄化するために利用することができる。しかも、菌体と培養液の分離を容易にするために、セラミックス、不織布などの担体に菌体を担持させる必要はない。
【0009】
本発明にいう培養槽1 とは、嫌気培養においてはその1例を図1に示したように、通気装置を必要とせず、海水性脱窒菌の培養に利用することができ、通気培養においてはその1例を図2に示したように、培養槽に通気装置4 を設置することにより海水性アンモニア酸化細菌および海水性亜硝酸酸化細菌の培養に利用することができる。また、培養システムとは、その1例を図3に示したように、対象とする菌体を円滑に培養するために、培養槽1 に培養液8 を入れ、通気装置4 、撹拌装置、加熱装置もしくは冷却装置7 、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置6 、濾過装置2cなどの付属設備を設置し、培養液8 を濾過した後、廃水9 を廃水タンクへ貯留し、残留液を培養槽1 へ戻し、循環させるシステムをいう。
【0010】
本発明にいう濾過装置とは、濾過膜として中空糸膜3 を用いることを特徴としており、中空糸膜の孔径は海水性硝化汚泥を通過しないものであれば特に限定されないが、活性汚泥を濾過する水処理用のものであれば使用することが可能である。本発明を実施するためには、中空糸膜3 を各種のモジュールとしたものを使用するのが、一般的である。
【0011】
また、中空糸膜のモジュールとしては、図4および図5に例示したように、小型のものから大型のものまで、培養槽の容量に応じて使用することが可能である。例えば、図1および図4に示した中空糸膜のモジュール2aは、培養槽の内部に設置するためのモジュールであって、ケーシングが通水できるように穴が設けられているが、図2および図5に示した中空糸膜のモジュール2b,2c は培養槽の外部に設置するためのモジュールであって、ケーシングは密閉式になっている。
【0012】
本発明にいう加熱装置もしくは冷却装置とは、培養対象の海水性硝化汚泥の培養温度を最適に保つために、培養液を加熱または冷却するための装置であって、目的に応じて、温水乃至蒸気または冷媒を通液して、所望の培養温度を維持するためのものである。
【0013】
本発明にいうマイナスイオン発生装置とは、培養液中にマイナスイオンを発生させることのできる装置であって、菌体の活性化を促し、悪臭発生菌が産生する悪臭を低減することができる。マイナスイオン発生装置としては、水中においてマイナスイオンを発生させることができれば機種を問わない。本発明の実施には、棒状のマイナスイオン発生装置が取り扱いの上で、使用に便利で好ましい。
【0014】
本発明の通気装置は、好気性菌による培養を行うための装置であって、培養する菌によって必要に応じて設置または使用することができる。
【0015】
本発明の添加物供給装置とは、培養槽において海水性硝化汚泥を培養する際に、培養液のみでは、該菌の増殖が抑制される場合に、必要とする栄養物質を水溶液の状態で供給するための装置であって、栄養物質の種類によっては複数の添加物供給装置を使用することができる。例えば、炭素源とする化合物の溶液、微量成分の水溶液、pH調整剤などをそれぞれ別の供給装置にすることができる。
【0016】
【実施例】
次に本発明の詳細を実施例に基づいて説明するが、本発明の趣旨はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0017】
(実施例1)
50L容の培養槽に培養液の濾過装置として、東レ株式会社製の中空糸膜モジュールCP20−1010を図2の濾過装置2bのように設置した。一方、大阪府岬町し尿処理センターの返送汚泥を採取し、海水にて馴養した海水性硝化汚泥を調製した。前記培養槽に養殖を開始して2日目以降のヒラメの飼育水40Lを入れ、海水にて馴養した海水性硝化汚泥の濃度(Mixed Liquor Suspended Solid;MLSS)が 5000mg/Lになるように培養槽に投入した。微量成分としては、硫酸アンモニウム1888g、塩化カルシウム二水和物40g、硫酸マグネシウム七水和物500gおよびリン酸カリウム二水和物410gを水に溶解し、10Lとして微量成分水溶液を調製した。一方、pH調整剤であり、アルカリ性炭素源液として、炭酸水素ナトリウム1160gおよび水酸化ナトリウム388.25gを水に溶解し、10Lとした。上記微量成分水溶液100mlおよび硫酸鉄(II)七水和物1.3gを100mlに溶解した溶液を40ml注入し、アルカ
リ性炭素源液300mlを培養液に添加して、27℃で通気培養を行った。培養開始時および培養3ヶ月後の、海水性アンモニア酸化細菌の培養液中の菌濃度を表1に、海水性亜硝酸酸化細菌の菌濃度を表2に、海水性硝化汚泥の濃度を表3に示した。なお、菌濃度の測定はMPN(Most probable number)法、海水性硝化汚泥の濃度の測定はJIS K 0102−1993 14.2 に依った。
【0018】
(実施例2)
実施例1で使用した培養槽へ、養殖を開始して2日目以降のタイの飼育水30Lを入れ、その後の処理も実施例1と同様にして、通気培養を行った。培養開始時および培養3ヶ月後の、海水性アンモニア酸化細菌の培養液中の菌濃度を表1に、海水性亜硝酸酸化細菌の菌濃度を表2に、示した。なお、菌濃度の測定は、MPN法に依った。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
表1および表2から分かるように、海水性アンモニア酸化細菌の菌濃度は培養開始時には2.3×104であったものが、3ヶ月後には7.2〜7.4×107に増加し、海水性亜硝酸酸化細菌の菌濃度は培養開始時には1.0〜1.1×103であったものが、3ヶ月後には3.4〜3.5×105に増加した。このように、本発明の培養槽による海水性硝化汚泥の培養は、その菌濃度を高く維持することができた。
【0022】
(比較例1)
濾過装置を付設しない50L容の培養槽に、実施例1と同じく養殖を開始して2日目以降のヒラメの飼育水40Lを入れた。実施例1で調製した海水にて馴養した海水性硝化汚泥のMLSS 5000mg/Lを不織布(株式会社西原環境衛生研究所製、リンポ−C)に担持させて培養槽に投入した。微量成分としては、硫酸アンモニウム1888g、塩化カルシウム二水和物40g、硫酸マグネシウム七水和物500gおよびリン酸カリウム二水和物410gを水に溶解し、10Lとして微量成分水溶液を調製した。一方、pH調整剤であり、アルカリ性炭素源液として、炭酸水素ナトリウム1160gおよび水酸化ナトリウム388.25gを水に溶解し、10Lとした。上記微量成分水溶液100mlおよび硫酸鉄(II
)七水和物1.3gを100mlに溶解した溶液を40ml培養液に注入し、アルカリ性炭素源液300mlを培養液に添加して、27℃で通気培養を行った。培養8時間後に培養槽の水を約30L抜き、再び飼育水を40Lになるまで培養槽に入れ、各微量成分水溶液を上記と同じ量を注入した。この操作を繰り返し培養を100日間行った。培養開始時および培養25日毎の海水性硝化汚泥の濃度をJIS K 0102−1993 14.2により測定し、表3に示した。
【0023】
【表3】
【0024】
表3からわかるように、本発明の培養槽において海水性硝化汚泥を培養すると、従来法による培養方法の場合と比較して、100日目において、海水性硝化汚泥の濃度は2倍以上となった。
【0025】
(実施例3)
培養液のアンモニア濃度が100ppmになるようにアンモニアを添加した以外は、実施例1と同様にして通気培養を行い、培養開始時、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後の培養液中のアンモニア濃度をJIS K 0102 42.2のインドフェノール青吸光光度法により測定し、その結果を図6に示した。
【0026】
(比較例2)
培養液のアンモニア濃度が100ppmになるようにアンモニアを添加した以外は、比較例1と同様にして通気培養を行い、培養開始時、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後の培養液中のアンモニア濃度をJIS K 0102 42.2のインドフェノール青吸光光度法により測定し、その結果を図6に示した。
【0027】
図6から明らかなように、本発明の培養槽により海水性硝化汚泥を培養した場合には、培養開始後2時間でアンモニア残存量はほぼゼロとなったが、従来法による担体固定海水性硝化汚泥では、培養開始後4時間でも20mg/lのアンモニアの残存が認められた。
【0028】
(実施例4)
実施例1にマイナスイオン発生棒(FLI食と生活情報センター製)を投入し、培養液の臭気を三点比較式臭袋法により、6段階法で評価した。評価基準を表4に示し、その結果を表5および図7に示した。表5および図7から分かるように、マイナスイオン発生棒を投入しない場合には、培養開始5時間目より臭気が発生し始めたが、マイナスイオン発生棒を投入した場合には、培養開始後8時間でも臭いの発生は認められなかった。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【発明の効果】
養殖により魚を飼育する場合、その飼育水はBODが高いため、そのまま排水することはできず、その処理が問題となっているが、本発明の培養槽および培養システムにおいて、海水性硝化汚泥を培養して養殖魚の飼育水を処理する場合、培養液中における海水性硝化汚泥の濃度を高く維持しながら、廃水を除去することができるので、飼育水の処理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】培養装置の1例
【図2】培養装置の他の1例
【図3】培養システムの1例
【図4】中空糸膜モジュールの1例
【図5】中空糸膜モジュールの他の1例
【図6】海水性硝化汚泥と担体固定化海水性硝化汚泥の硝化速度
【図7】培養槽における時間変化による6段階臭気強度
【符号の説明】
1.培養槽
2a.中空糸膜モジュールの1例
2b.中空糸膜モジュールの他の1例
2c.大型中空糸膜モジュールの1例
3.中空糸膜
4.通気装置
5.廃水タンク
6.添加物供給槽
7.加熱・冷却装置
8.培養液
9.廃水
Claims (5)
- 中空糸膜からなる濾過装置を付設したことを特徴とする海水性硝化汚泥の培養槽。
- 通気装置および中空糸膜からなる濾過装置を付設したことを特徴とする海水性硝化汚泥の培養槽。
- マイナスイオン発生装置を付設したことを特徴とする請求項1または2に記載の海水性硝化汚泥の培養槽。
- 加熱装置もしくは冷却装置、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置、中空糸膜からなる濾過装置および培養槽からなることを特徴とする海水性硝化汚泥の培養システム。
- 通気装置、加熱装置もしくは冷却装置、マイナスイオン発生装置、添加物供給装置、中空糸膜からなる濾過装置および培養槽からなることを特徴とする海水性硝化汚泥の培養システム。
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