JP2004033767A - 骨を接合及び圧縮する自己ねじ孔形成用ねじ - Google Patents

Abstract

【課題】仮骨を形成する場合に素早く骨の接合を行い２つの骨片を圧縮し連結する骨接合ねじを提供する。
【解決手段】　このねじは、ねじ山４が設けられたねじ頭部３によって形成され、他の部分の直径より大きい直径の基部２と、ねじ山を有しない中間部５と、及び、外部のねじ山７が設けられた端部６と、を有し、前記ねじ頭部３と端部６は、第１に、各ねじ山４，７の全軸長を越えて伸延され、第２に、タッピング手段を構成するように形成された、少なくとも１つの溝１０をそれぞれ有し、及び端部６の終端ゾーン８には、前記中間部及び端部５，６を骨破片の受け入れる収容空間となる段取り手段１１が設けられたことを特徴とする。
【選択図】　　　　　図１

Description

　本発明は、外科用ねじ、特に、仮骨を形成する場合に素早く骨の接合を行ない２つの骨片を圧縮し連結する骨接合ねじに関する。

　本発明は、特に足や手の指骨のような小さい骨破片の連結に適用され、小さい骨破片の接合を行なう、骨を接合及び圧縮するねじであり、外部ねじ山が設けられたねじ頭部で構成されかつ他の部分の直径より大きい直径の基部と、ねじ山を有していない中間部と、外部ねじ山が設けられた端部とを有する、１本の長尺な本体により形成されたねじである。

　例えば、指骨または足指等の小さなサイズの骨破片を取扱う場合には、この小さいサイズの骨や関係する骨破片は、担当医が解決すべき難しい問題、つまり、破損片の減少や、破損片が適切に再吸収されるように充分な圧縮を確実に行ない、所定の位置にきちんと組み立てなければならない、という問題を引き起こす。

　２つの骨破片間を素早く確実に接合し、特に速やかに正常な機能の回復を可能にする高品質の仮骨の素早い形成には、２つの小さい骨破片間で相対的な長手方向圧縮が確立され、相互に関連して正しく配置されかつ固定されることが必要である。

　非常に小さいサイズの関連する骨破片と、これに対応して使用される小さいサイズの骨接合ねじが与えられた場合、関連する２つの骨破片間の長手方向圧縮を確立することは、難しいことが明らかである。

　小さいサイズの骨やねじによる操作は面倒であり、また、小さい骨破片が相互に関連して配置され、圧縮され、非常に精密に最終位置に組み立てられることが必要であるが、特に手や足の骨を取扱う場合は、手動作や歩行動作という動作機能をトータル的に回復することを目的としているので、この種の外科的行為をマスターすることは、難しいが、極めて重要なことである。

　このような共に連結されるべき２つの骨破片をダイレクトにきちんと組み立てるために、ステープルを用いることは既に公知である。このような技術は、関連する骨片がステープルできちんと位置され、共に連結されるべき骨破片が適切に配置されることを確かめることができない限り、この種外科に十分に適応しないものとなる。実際上、ステープルで固定と圧縮を得ることは不可能である。

　共に骨を連結する用途のみでなく付加的な機能を行なうと、長手方向圧縮に適用できるが、大型の骨の接合に使用されるタイプの骨接合ねじを使用する複数の提案が、既になされている。

　このような複数の提案は、外部ねじ山が設けられたねじ頭部により形成されかつ他の部分より大きい直径を有する基部を備えた、骨を接合及び圧縮するねじが作られ、既に使用された。前記ねじは、共に連結する骨破片間で相対的な滑りを改良するために、ねじ山のない中間部を有する一方、内部にねじが切られ、前記中間部が、外部ねじ山を有する端部に先行して設けられている。

　このようなねじは、きちんとした位置に組み立てることができるように容易な改良しているため、非常に外科的作業状態を改良する。

　しかしながら、このようなねじは、まだ特に多くの付加的操作に伴う不利益がある。つまり、外科医は、端部と、大きい直径の頭部を備えた基部との両方でねじ山の強力な保持を確立するために、ドリル下穴を明ける必要がある。これは、外科医が行なわなければならない多くの行為を増やし、手術の時間を長引かせる。

　多くの改善がこの種類のねじに提供されたが、それらは本質的にねじの圧縮能力を高めることに関するものである。例えば、２方面開始端部ねじ山（two-start distal thread）を組み入れることによって、外科に要求されるトータル時間を考慮せず、優れた保持強度や圧縮能力を維持するというものである。

　また、従来の自己穴明けや自己タッピングする外科用ねじには、その端部に限定されているが、タッピング部分を有しているものが公知である。従来から公知のねじは、ねじ切られていないねじ頭部を有し、特に特殊な工具を用いて予め適当な凹所を形成することによって、骨を組み込まれなければならない。このようなねじは、付加的工具の使用が必要となり、付加的操作が作業の増加につながり、事故や不完全な取付けというリスクを増やし、トータル的手術時間を長くする。

　従って、本発明の目的は、上述した種々の不利益を解消し、小さい骨破片を接合するための新規な骨を接合及び圧縮するねじを提供することにあり、このねじは、単純に取付けるような自己穴明けと自己タッピングであり、また、同程度の制御性で取付けることができるようになっている。

　本発明の他の目的は、自己穴明けと自己タッピングのみでなく、優れた強度を有する新規な骨接合ねじを提供することである。

　本発明の他の目的は、優れた圧縮能力を有し、特に、機械的バランスが良好な新規な骨接合ねじを提供することである。

　本発明の前記目的は、小さい骨破片の接合のための骨接合と圧縮を行なうねじにより達成されるが、このねじは、長手軸線を有する１本の長尺な本体が、外部ねじ山が設けられたねじ頭部で構成され、他の部分の直径より大きい直径の基部と、ねじ山を有していない中間部と、外部ねじ山が設けられた端部と、を有し、前記ねじ頭部及び端部が、第１に、当該各部に形成されたねじ山の最大軸方向長を越えて伸延され、第２に、タッピング手段を構成するように各ねじ山を挿通して形成された少なくとも１つの溝を有し、また、端部の終端ゾーンには、ねじの中間部や端部を受け入れあるいは骨破片の収容空間となる段取り手段が設けられたことを特徴とする。

　以上述べたように、本発明による骨を接合及び圧縮するねじを使用すると、単純に自己穴明けと自己タッピングにより、小さい骨破片を接合することができ、また、このねじは、優れた強度、優れた圧縮能力を有し、特に、機械的バランスが良好なものとなる。

　本発明の目的及び他の利点は、添付の図面を参照する以下の詳細な説明より明らかになる。

　図１，２は本発明に係る骨を接合及び圧縮するねじの実施形態を示す概略斜視図、図３は本発明に係るねじの端部の形状を示す部分斜視図である。

　図示するように、骨を接合及び圧縮するねじは、２つの小さい骨破片、特に破損した足や手の２つの指骨、を好適なアプリケーションで、共に連結あるいは「接合」するためのものである。

　本発明の骨を接合及び圧縮するねじは、生物的適合性のある金属材料で作られ、回転軸となる長手軸線Ａを有する単一の細長い本体により形成されている。

　図示するように、骨接合ねじは、基部２がねじ頭部３によって構成され、このねじ頭部３には連続的なつる巻き線状ねじ山４Ａからなる外部ねじ山４が設けられているが、前記基部２は、他の部分の直径より大きい直径Ｄを有している。

　次に、本発明の骨接合ねじは、ねじ山がなく、滑らかでかつ一定の直径を有する、実質的に円筒状の部分５Ａである、有利性のある中間部５を有している。

　中間部５の終端は、骨接合ねじの端部６まで伸延されている。この端部６は、つる巻き線状に伸延する外部ねじ山７が設けられ、個々のねじ山７Ａは、前記端部６の終端ゾーン８まで全域にわたり設けられている。

　本発明では、ねじ頭部３及び端部６は、それぞれ少なくとも１つの溝１０を有し、この溝１０は、ねじ頭部３及び端部６に形成された各ねじ山４、７の最大軸方向長、つまり、各ねじ山の長手軸線Ａにより与えられる方向の長さ、を越えて伸延しているが、この溝１０の伸延形状としては、例えば、長手方向に伸延しても、また有利性のあるつる巻き線状であってもよく、どのようなものであってもよい。この溝は、ねじのタッピング手段を構成するために、各ねじ山４、７を横切って伸び、各ねじ山４Ａ，７Ａの最大高さを有している。このように本発明のねじは、端部と基部の両方でタッピングを行なうように、少なくとも一対の溝１０を有している。

　また、本発明では、骨接合ねじは、端部６の終端ゾーン８に、内部に骨破片を収納する収容空間として形成され、また、次のねじの端部６や中間部５を受け入れることもできる段取り手段１１を有している。

　有利な点としては、基部２が端部６のねじ山より小さいピッチのねじ山を有しているので、ねじ込みを行なうことによって圧縮作用が得られることである。

　このような方法で実行される技術手段であるため、本発明の骨接合ねじは、２つの骨破片が相互にスライド可能な滑らかな外観を有する中間部５を介して設けられた２つの外部ねじ山４、７によって、共に連結される２つの骨破片を軸方向に圧縮するのみでなく、段取り手段１１により自己穴明け動作を実行することもでき、とりわけ、ねじの頭部と端部の両方で同時に自己タッピング動作を提供できる。このような構成の特徴は、凹所を形成するために、予め使用するドリリングや特殊な器具の使用を避けることができ、これにより手術に要するトータル時間を減じ、また、ねじの設置や圧縮の確立が単一の動作で実行されるので、不完全な位置決めによるリスクも減少する。

　図示するように、ねじ３の頭部と端部６の両方に設けられた前記少なくとも１つの溝１０は、有利にはつる巻き状であって、頭部３の近傍と端部６の両方で長手軸線Ａに対し幾何学的に同方向である。つる巻き線状の溝１０の実施形態は、本発明の範囲内で、ねじの大きさや形によりある程度目印にすることもできる。ねじの幾何学的な方向性は、ねじの長手軸線Ａに対し傾斜や角度方向を定めることにより特定される。各溝１０の傾斜は、好ましくは２０°〜４０°の範囲であり、より好ましくは約２５°である。ねじの頭部３と端部６の溝１０が、同じ傾斜を有していると、より有利である。

　当然、変形例では、１対あるいは複数対の溝１０が実質的に長手方向、すなわち、本発明の範囲内で、溝が長手軸線Ａと実質的に平行に伸延しているようにすることもできる。

　各溝１０の深さは、一定で、ねじ頭部３と端部６間で同じとすることもできる。

　しかし、溝１０の深さが、各溝の始端から終端の方に向かって規則正しく変化させると、有利となるが、本明細書では、各溝１０の「始端」とは、ねじ頭部３や端部６の最も近い部分での始端を意味する。このように本発明は、各溝１０の深さを、ねじ頭部３や端部６において、より端に向かう程、増大している。各溝１０は、ねじ頭部３から始端に向かって、また、端部６に向かって、つまり、終端ゾーン８の方に向かって、各ねじ山にますます深くなるように伸延している。

　この特徴は、溝１０の深さがねじの長手軸線Ａに関して、一定でないことを意味し、前記長手軸線Ａに関する材料の損失をかなり減少することにより、ねじの一般的な強さ、特に、捩れに対する強さの増大に役立つ。

　また、長手軸線Ａの周りに溝自体が分配された状態であり、これら溝１０を設けることによる材料の除去から、弱体化ゾーンが生じるために、本発明のねじの相対的な弱点を最小にすることは、つる巻き線状とした溝１０を用いることによって可能となる。

　特に、有利な手法としては、ねじから切除される材料量を減少するように、溝１０の断面が、とにかく９０°未満の鋭角になるように形成し、これにより自己タッピング能力を損なうことなく、ねじが弱体化を最小にする。

　本発明が意図しているものの内、好適な変形例としては、各溝１０の始端部分でのねじ山４Ａ，７Ａの厚さは単に挿通するように作るが、各溝１０の深さが、ねじの先端に向かって規則的に増大し、溝の終端、すなわち最も深い端部がねじ本体の厚さとなるように作ると、有利である。これは、ねじ全体としての弱体化のリスクを減らす。

　好適な変形例では、段取り手段１１は、実質的に軸方向に伸びる歯１１Ａにより形成されている。

　本発明の骨接合ねじの最も単純な形は、ねじ頭部３と端部６にただ一対の溝１０のみを有しているが、ねじの自己穴明けと自己タッピング性能は、２対の溝１０を設けることにより、あるいはより好適な方法では、長手軸線Ａの周り規則的に分配された３対の溝１０であって、ねじの基部と端部の両者とも設けられていることにより、改良することができると理解されるべきである。

　特に、有利な手法としては、対となる２つの溝１０が、長尺状であるかつる巻き状であるかに関係なく、相互に伸延するような方法で、ねじの基部２や端部６に設けることができる。

　当然、変形例では、対となる２つの溝１０は、ねじの端部６に形成された溝１０が、基部２に形成された溝１０の延長上に存在しないように相互にオフセットされるという方法で、ねじの基部２や端部６に配置することもできる。

　このようなオフセットは、長尺状又はつる巻き状の溝１０と共に設けることができる。

　２つの溝１０がある場合、溝１０は、直径上反対側にあると有利であるが、３つの溝１０の好適な場合としては、溝１０は、ねじの主軸線Ａの周りで、１２０°間隔に配置されることである。

　当然、関係するねじのサイズにより、４あるいはさらに多くの対の溝１０を形成を予測することは可能である。

　また、本発明の骨接合ねじは、限定されるものではないが、当業者に周知の袋ねじを形成するように、長手方向に伸延する中央穴１２を設けることもできる。

　本発明の骨接合ねじは、３対の溝１０が設けられる場合、当然、段取り手段１１は、端部６及び中央穴１２で３つの溝１０間を連結するように設けられ、対応する数の３つの歯１１Ａによって同時に構成される。

　本発明の骨を接合及び圧縮するねじで実行される技術的手法は、第１に外科医が、その強度や圧縮能力を損なうことなく、少数の工具を用いて、簡単な方法で位置付けし、組み立てることができるように、自己穴明け及び自己タッピングする骨接合ねじを使用できることである。

　共に連結する２つの骨破片を相互に関連して配置した後、外科医は、本発明の骨接合ねじを単に位置付けし、それから直接ねじを回し始めるだけで、全長に沿って自己穴明けと、とりわけ自己タッピングとが同時に行なわれる。

　このように、ねじの端部及び中間部のみでなくねじ頭部３も、段取りとタッピングのために、ねじをきちんとした位置に組み立てる前に補助工具を使用する必要はない。

　本発明は、その形、それ自身の働き、ねじ回しにより回すのみ、それ自身の収容空間での段取り、及び、予め何らかのドリリングを実行する必要なく、それ自身のタッピングにより骨接合がネジでとめるという外科の新規な方法を提供する。

本発明に係る骨を接合及び圧縮するねじの実施形態を示す概略斜視図である。 同実施形態の他の概略斜視図である。 同実施形態に係るねじの端部の形状を示す部分斜視図である。

符号の説明

　１…プレート、
　２…基部、
　３…ねじ頭部、
　４，７…外部ねじ山、
　５…中間部、
　６…端部、
　８…終端ゾーン、
　１０…溝、
　１１…段取り手段、
　１１Ａ…歯、
　１２…中央穴、
　Ａ…長手軸線。

Claims (11)

1. 　長手軸線(A)を有する１本の長尺な本体が、
   　・外部ねじ山(4）が設けられたねじ頭部(3)で構成され、他の部分の直径より大きい直径の基部(2)と、
   　・ねじ山を有していない中間部(5)と、
   　・及び、外部ねじ山(7)が設けられた端部(6)と、
   を有する、小さい骨破片を接合する骨を接合及び圧縮するねじにおいて、
   　前記ねじ頭部(3)と端部(6)は、第１に、当該各部に形成されたねじ山（4,7）の最大軸方向長を越えて伸延され、第２に、タッピング手段を構成するように各ねじ山を挿通して形成された少なくとも１つの溝(10)をそれぞれ有し、
   　また、前記端部(6)の終端ゾーン(8)には、前記中間部や端部（5,6）の受け入れあるいは骨破片の収容空間となる段取り手段(11)が設けられたことを特徴とするねじ。
2. 　前記少なくとも１つの溝(10)は、つる巻き線状に形成されたことを特徴とする請求項１に記載のねじ。
3. 　前記つる巻き線状の溝(10)の傾斜は、２０°〜４０°、好ましくは約２５°としたことを特徴とする請求項２に記載のねじ。
4. 　前記各溝(10)の深さは、一定としたことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載のねじ。
5. 　前記各溝(10)の深さは、各溝(10)の始端から終端に規則正しく変化するようにしたことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載のねじ。
6. 　前記各溝(10)の深さは、ねじの終端ゾーン(8)に向かうに伴い増大することを特徴とする請求項５に記載のねじ。
7. 　前記各溝(10)の最終の部分は、ねじ本体の厚さまで穿設したことを特徴とする請求項６に記載のねじ。
8. 　前記段取り手段（11）は、実質的に軸方向に伸延された歯（11A）により形成したことを特徴とする請求項１〜７のいずれかに記載のねじ。
9. 　前記長手軸線の周りで角度的に規則正しく離間するように、前記基部と端部（2、6）に形成した３つの溝(10)を有することを特徴とする請求項１〜８のいずれかに記載のねじ。
10. 　袋ねじを形成するように長尺な中央穴(12)が設けられたことを特徴とする請求項１〜９のいずれかに記載のねじ。
11. 　前記溝(10)と中央穴(12)との各接続部分が、前記段取り手段(11)を形成する歯（11A）を有していることを特徴とする請求項９又は１０に記載のねじ。

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