JP2004031632A - プリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フォトツールを必要としない露光により、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することのできるプリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置を提供する。
【解決手段】ロールシート状の積層材を用い、デジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行い、その露光の前後いずれかで所定のサイズに積層材の切断を行うようにしてプリント配線板用レジストパターンを作製する事により解決される。
【選択図】 図1
【解決手段】ロールシート状の積層材を用い、デジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行い、その露光の前後いずれかで所定のサイズに積層材の切断を行うようにしてプリント配線板用レジストパターンを作製する事により解決される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置に関し、より詳しくは、フォトツールを必要としない露光により、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することのできるプリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板を作製するには、一般に絶縁性基材に銅箔を張った銅張積層板を所定の寸法に裁断を行い、その後、裁断面の端面処理、そして、表面の化学研磨や機械研磨による前処理を行った後、感光性フィルムをラミネートする。その後、フォトツールを重ねて露光して、レジストパターンを作製した後、アルカリ現像、エッチング処理を行い、回路パターン以外の不要の銅箔を除き、しかる後に感光性フィルムを脱膜することにより絶縁性基材上にプリント回路を作製していた。
【0003】
近年、パソコンや家電品では、新商品のライフが年々短くなり、低価格化が進むと同時に新製品開発のサイクルも短縮し、そこに使われるプリント配線板に対しては、頻繁な回路設計変更に素早く短納期にて対応し、さらにはそれを低コストで実現できる製造システムが求められている。
【0004】
そのため、最近注目されている技術として、直接描画(Laser Direct Imaging)技術がある。それは、基材に設けた感光体上にデジタルデータにより直接描画する、フォトツールを利用しないレジストパターン作製システムである。フォトツールを使用しないため、フォトツール作製に付随する、フォトツール自体やその処理にかかるコスト及び時間が省略できる事となり、また、その工程に起因する欠陥原因を除去する事が可能となり、歩留まり向上も期待できる。従って、この直接描画技術は特に多品種少量の基板の処理を行っていく際に、短納期で低コストで高品質なレジストパターンの作製ができ、頻繁な回路設計変更に対応できる有望なシステムといえる。
【0005】
しかし、そのシステムであっても、注文が入って(あるパターンのプリント配線板を作製する必要が生じて)から、レジストパターン作製を行うまでには、上に述べた様な銅張積層板の裁断準備、端面処理、基材の表面処理、感光体形成等の工程を行う必要があり、その工程に時間がかかるとともに、基材の表面処理や感光体形成時に欠陥原因が発生する可能性もあった。例えば、感光体形成をドライフィルムラミネートする場合には、表面処理ムラやゴミによるドライフィルムの密着不良等による欠陥が発生する可能性がある。これらを解決するためにはクリーン環境を整備したり、基材の洗浄、クリーニング処理に細心の注意を払う必要があるが、設備のコストアップにつながるとともに、基材端部からの脱離異物の影響や、プリント配線板製造現場での作業性の悪化の懸念から、解決は難しいものであった。
【0006】
また、感光体をドライフィルムではなく、液状エッチングレジストで形成する場合には、より顕著である。銅張積層板をDip塗布、ロール塗布、スプレー塗布、電着塗布等の手段によって、感光体を形成するが、いずれの塗布手段においても、基材の端部から発生する脱離異物による影響を完全には除去できず、欠陥発生の原因となっていた。
【0007】
また、直接描画システムでは、使用するデジタルデータ描画手段であるレーザ光源等に感度を有する、高感度な感光体が必要であるが、高感度フォトポリマーを使用した場合、その感光体の種類によっては、感度が充分でないために、余分なエネルギーを付与する必要があり、よって、露光に時間がかかり、工程時間も余分にかかってしまうという問題があった。また、レーザ感度を持たせるために高感度化するあまり、感光体の安定性が低下し、保存性が劣ったり、処理条件の変動に敏感に影響を受け、処理自体が不安定になるという問題もあった。
【0008】
高感度フォトポリマー以外の直接描画システムに対応する感光体として、電子写真法を利用したプリント配線板(以下、電子写真プリント配線板という)がある。レーザに対する高感度を有するとともに感光体自体の安定性にも優れたものがあり、直接描画用の感光体として期待されている。
【0009】
電子写真プリント配線板の作製は、次の様にしてなされる。絶縁性基材上に導電層を設けた積層板上に電子写真感光層を設け、電子写真感光層表面を、一様に帯電した後配線パターンに従って露光を行う、もしくは、配線パターンに従って露光を行った後帯電を行う、のいずれかの方法によって、露光部分の帯電が消失した静電潜像が得られる。この静電潜像をトナー現像処理を行ってトナー画像を形成し、このトナー画像をレジストとして、トナー画像部以外の電子写真感光層を溶解除去し、トナー画像と電子写真感光層とからなる導電層のレジスト画像が作製される。導電層の不要部の溶解除去及びそれ以降のプリント配線板の作製工程は、従来と同様にして行う事ができる。
【0010】
電子写真プリント配線板には帯電した後に露光して静電潜像を形成する通常の電子写真プロセスを利用した電子写真感光体を利用するタイプのものと、特願2000−366644号に出願されているような露光した後に帯電して静電潜像を形成するフォトメモリー性感光体を利用するタイプのものがある。
いずれのシステムにおいても、工程としては、既存の直描露光装置、もしくは密着露光装置等のアナログ露光装置により露光された積層材を特開平6−224541号公報記載のようなトナー現像装置により処理を行っていた。
【0011】
ただし、電子写真プリント配線板においては、電子写真感光層を形成する際に、ゴミ等の異物が電子写真感光層の膜中に混入すると、その後のパターン形成時の帯電工程において、その異物の種類・大きさによっては、異常帯電を引き起こし、トナー現像不良が起こり、その結果、欠陥となる可能性があり、上記の銅張積層板の準備の後、前処理による基材洗浄や基材端面からのゴミ・異物除去等に細心の注意を払う必要があった。
【0012】
また、プリント配線板を複数枚積層して作製する多層板の作製の際には、そのもとになる内層板の作製の際に位置決め用の穴を設ける事が行われているが、従来は、穴明けとパターン露光とは別個の装置によってなされており、従って、穴位置とパターン位置との位置関係を精度良く保つために、露光装置側で、その穴位置を何らかの方法で検出してアライメント作業を行う必要があった。そのため、その処理に余分な時間がかかるとともに、そのアライメント方式の精度によっては、良好な精度が得られずにパターンずれ等の欠陥の原因となる場合があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
フォトツールを必要としない露光により、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することのできるプリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置を提供する事にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けた積層材に露光及び必要な処理を行ってレジストパターンを形成するプリント配線板用レジストパターン作製方法において、該積層材をロールシート状の積層材を用い、デジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行い、その露光の前後いずれかで所定のサイズに積層材の切断を行う事により、良好な感光体塗布積層材をあらかじめ準備しておく事ができ、注文が入ってからデジタルデータからすぐにレジストパターンの作製ができ、さらに切断位置を変える事で、種々の基板サイズのパターンに対応する事ができ、上記課題が解決できる事を見いだした。
【0015】
また、該積層材を、複数種類のサイズの異なる積層材をあらかじめ準備しておいて、そのうちの一種類の積層材をデジタルデータに合わせて選択し、該積層材にデジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行う事により、良好な感光体塗布積層材をあらかじめ準備しておく事ができ、注文が入ってからデジタルデータからすぐにパターンのサイズに合わせて最適な基板サイズを選択して、レジストパターンの作製ができ、上記課題が解決できる事を見いだした。
【0016】
また、更にデジタルデータに合わせて積層材に穴明けを行う事により、更に、パターンとの位置関係を精度良く保った穴を有する基板が得られ、上記課題が解決できる事を見いだした。
【0017】
また、感光層が電子写真感光層であり、電子写真法によりレジストパターンを形成する事により、良好な高感度な電子写真感光層を有する積層材を準備できるとともに、レジストパターン作製前の状態での経時に対しても安定に保管する事ができ、いつでも良好なレジストパターン作製がすぐに行う事ができ、上記課題が解決できる事を見いだした。
【0018】
また、絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けたロールシート状の積層材、該ロールシート状の積層材をセットして所定の積層材を巻き出す巻き出し手段、所定のパターンをデジタルデータに基づいて該感光層表面に露光を行う露光手段、所定のサイズに積層材の切断を行う切断手段を有するプリント配線板用レジストパターン作製装置によっても上記課題が解決される。
【0019】
また、絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けた複数枚の枚葉の積層材もしくはロールシート状積層材を載置する複数の載置手段、その複数の載置手段から一つの載置手段を選択して、積層材を投入する選択投入手段、所定のパターンをデジタルデータに基づいて該感光層表面に露光を行う露光手段を有するプリント配線板用レジストパターン作製装置によっても上記課題が解決される。
【0020】
また、更に積層材に穴明けを行う穴明け手段を有する事により更に良好に解決される。
【0021】
また、更に、感光層が電子写真感光層であり、更に帯電手段及びトナー現像手段を有するプリント配線板用レジストパターン作製装置により更に良好に安定に解決される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のプリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置について詳細に説明する。
【0023】
図3に本発明のプリント配線板用レジストパターン作製装置の一例の概略断面構成図を示す。
ロールシート状積層材1は、絶縁性基材の片面(内側)に導電層、感光層をその順にあらかじめ設けたもので、装置内に設置され、巻き出し手段61の作用により所定の長さだけシートを送り出せるようになっている。図示しない搬送手段によって搬送路5上に積層材1を送り出し、露光手段50から発せられた、露光ビーム52の走査変調露光により、積層材1の感光層表面にデジタルデータに従ったパターン描画がなされるようになっている。
【0024】
図3の感光層としては、電子写真感光層を用いており、特にフォトメモリー性感光層を有しており、露光がなされた後、帯電手段11による帯電により、静電潜像が形成され、トナー現像手段15により、静電潜像がトナー画像に変換される。トナー現像手段15では、ここでは液体現像剤を用いて、現像電極と積層材との間に液体現像剤を供給して、トナー画像を得た後、絞りロール対14により余剰の液体現像剤の除去を行った後、乾燥手段35によって、完全に積層材表面を乾燥させる。その後、定着手段45において、ハロゲンランプ46の作用により、トナー粒子の熱定着を行い、レジストパターンの形成が行われる。
【0025】
この図3に示すプリント配線板用レジストパターン作製装置で作製したレジストパターンは、その後の通常のプリント配線板製造で用いられるアルカリ現像処理及びエッチング処理により、導電層がエッチングされプリント配線板ができあがる。
【0026】
感光層を、通常の電子写真感光体(帯電後に露光するタイプ)により形成した積層材1を用いた際には、帯電手段は、露光手段の前段に設置する必要がある。また、感光層を、フォトポリマーで形成した場合には、図3の帯電手段11以降の工程は不要になる。
【0027】
本発明に係わる帯電手段としては、コロトロン方式およびスコロトロン方式等の非接触帯電方法、また導電ブラシ帯電や導電ロール帯電等の接触帯電方法等の公知の技術を用いる事ができ、本発明に係わる電子写真感光層が一様に帯電できれば何れの方式を採用しても良い。
【0028】
また、図3には切断手段91が設置されており、デジタルデータに従って、所望の基板サイズにロールシート状積層材の切断ができるようになっている。
切断手段91は、図3においてロールシート状の積層材を枚葉の積層材に変換するものであり、幅方向に走査する片面カッターや両面カッター、ギロチンカッター、スリッター等いずれの手段も用いる事ができる。また、切りカス等の除去を目的として、吸引手段や、粘着手段、整面手段等を用いる事もできる。また切断手段91の工程上の位置としては、図3に示すような露光直後の位置の他、露光直前の位置、各処理工程の最後の位置等、いずれの位置に配置しても良い。搬送手段を、切断手段を含んで上流は、ロールシート状積層材の搬送方法に対応し、切断手段よりも下流は枚葉積層材の搬送方法に対応していれば、切断手段はいずれの位置に配置する事もできる。
【0029】
また、特に多層板のための基板を作製する際やもしくはその他の目的で、レジストパターンと相対的に決まった位置関係の位置に穴明けが必要となる場合がある。そのため、穴明け手段81を具備している。
穴明け手段81としては、保持した積層材の所定の位置に所定の穴を明けられるものであればいずれの方式でも良く、ポンチ、ドリル、レーザ等の加工手段を用いる事ができる。穴明け手段81の工程上の位置としては、露光手段50による露光を行う際の積層材を搬送する手段によって、積層材位置が規定される位置での穴明けが望ましい。すなわち、穴明け位置とパターン露光の位置との関係が、装置的にできるだけ少ない変動要因(搬送手段等)によって、関係づけられている事が望ましい。また、穴明け位置を所望の位置に移動できる移動手段を設ける事もできる。
【0030】
本発明に係わるプリント配線板用レジストパターン作製方法における露光方法は、デジタルデータに基づいて、パターン露光できるものであればいずれの方式も用いる事ができ、レーザビームを走査する事による露光方式や、LEDアレーによる露光や、液晶シャッターや、マイクロミラーデバイス等を利用した露光方式を用いても良い。レーザを利用する場合は、その光源として、He−Neレーザ、He−Cdレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンイオンレーザ、ルビーレーザ、Nd−YAGレーザ、窒素レーザ、色素レーザ、エキシマレーザ、半導体レーザ等のレーザ光源を利用可能であり、発光波長に応じてSHG波長変換して露光する事もできる。また、レーザ光を複数用いて、描画を行う事もできる。また、液晶シャッターや、マイクロミラーデバイスを利用する場合は、その光源として、上記のレーザ光源やそれらをバンドルしたもの以外に、キセノンランプ、タングステンランプ、蛍光灯等いずれの光源をも利用可能である。
【0031】
本発明に係わる電子写真プリント配線板のトナー現像について説明する。トナー現像は、静電潜像をトナー画像化し、かつ、その後のアルカリ現像工程においてアルカリ現像液に対してレジストとなるものであれば、乾式トナー現像、液体トナー現像、いずれのトナー現像方式も利用可能である。図3の作製装置においては、液体トナー現像方式を利用しているが、高画質な画像が得られるため、望ましい。
【0032】
露光手段50によって露光された積層材は、図示されない搬送手段によって帯電手段11に搬入され、積層材片面もしくは両面が帯電され、静電潜像が形成される。その後、トナー現像手段15へと搬入される。現像電極13と搬送路5上の積層材1の静電潜像形成面との間隙に液体現像剤が供給され、液体トナー現像がなされる。
【0033】
絞液ロール対14により余剰液が除去され、乾燥手段35及び定着手段45へと搬出するが、積層材はトナー現像手段15に於てトナー現像された後、乾燥手段35に於て電子写真感光層表面に残存する液体現像剤の分散媒の蒸発除去がなされ、定着手段に於てトナー粒子が電子写真感光層上に熱定着される。
【0034】
トナー現像手段15は、積層材に液体現像剤を供給して実質的に積層材に液体現像処理を施す現像電極13、及び積層材を挟持して乾燥部へ搬送するとともに、電子写真感光層上に残存する余剰の液体現像剤の除去を行う絞りロール対14を具備しており、液体現像剤は、図示しない液体現像剤貯液槽に貯液され、これより図示しない送液手段を経て現像電極13へ送られる。
【0035】
液体現像剤中には電荷をもったトナー粒子が分散されており、露光・帯電(もしくは帯電・露光)されて静電潜像を形成された積層材に付着して、トナー画像が形成される。帯電の極性とトナー粒子の電荷の極性を反対の極性を持たせた時の現像方式を正現像と呼び、トナー粒子は、静電潜像の未露光部の電荷が保持されている領域に付着する。一方、帯電の極性とトナー粒子の電荷の極性を同極性にしてトナー現像する現像方式を反転現像と呼び、トナー粒子は、静電潜像の露光されて電荷が消失した領域に付着する。
このいずれの現像方式も利用可能であるが、図3においては、帯電を正帯電で行い、正電荷を持たせたトナー粒子を含む液体現像剤により液体トナー現像を行う反転現像方式を採用している。現像電極13にバイアス電圧を印加し、その電圧値を最適にコントロールする事で、良好な画質を得られるため、好ましく採用される。
【0036】
電子写真感光層を用いた際の帯電及びトナー現像処理工程では、積層材の導電層を接地する必要がある。ロールシート状積層材の場合は、切断前であれば、ロールシート状積層材のどの部分で接地しても良い。切断後であれば、感光体の端部もしくは、端側面で接地する。塗布方式により、感光体で導電層の全面が覆われている場合は、あらかじめ感光体の一部の皮膜の除去を行うか、もしくは、接地手段を、感光体を貫通して導電層に達するような接地手段により接地する。
【0037】
図3においては、片面処理を行っているが、露光手段、帯電手段、トナー現像手段を搬送路の反対側に同様に設置する事で、両面処理が可能となる。その際には、積層材1には両面に導電層及び感光層をこの順に設けた積層材を使用する。特に露光手段を両面に設ける場合は、表裏の露光パターンの位置関係、及び更に穴位置との関係を精度良く合わせる必要があり、表裏の露光位置、露光タイミング、搬送手段による搬送精度等の調整を行い、良好に両面のパターンニングを行う。図1に両面処理のプリント配線板用レジストパターン作製装置の一例の概略断面構成図を示す。
【0038】
また、図2には、ロールシート状積層材ではなく、3種類のそれぞれその表面に導電層、感光層をその順に設けた3種類のそれぞれサイズの異なる枚葉の積層材3a、3b、3cをあらかじめ準備しておき、それぞれ、載置手段103a、103b、103cに載置されている。所望のプリント配線板サイズ、枚数に応じて、もっとも適したサイズの板を露光手段50へ供給できるようにしたプリント配線板用レジストパターン作製装置の概略図を示してある。
【0039】
選択投入手段71により、もっとも適したサイズの積層材がデジタルデータに従って選択され、露光手段50へと移送され、露光がなされる。図2では定盤4による露光方式によりパターン露光がなされる。
【0040】
本発明に係わる選択投入手段としては、あらかじめ用意されている複数の基板サイズのグループから一種類の積層材を、露光手段へ投入もしくは投入可能な位置に移送できるものであり、積層材一枚ずつを選択するものでも良いし、複数の積層材が載置されたパレットを選択するようにしても良い。
積層材としては、枚葉の積層材以外に幅の異なる複数のロールシート状の積層材を載置しておき、それを選択投入手段にて選択、露光手段へ投入、載置しても良い。その場合には、切断手段を具備し、長手方向のサイズの自由度とともに幅方向についてもより最適なサイズの積層材が選択できる事となり好ましい。
【0041】
また、図2に示すような、定盤4上に積層材を載置しての露光にあっては、定盤4上に載置された静止された積層材に対して、露光がなされるため、穴明け手段を設ける場合は、この定盤4上に設ける事が、位置関係の精度を良好に保つ事ができるため望ましい。
穴明けの際にも、上記切断手段と同様、発生するカス、バリ等の除去を行う、吸引手段、粘着手段、整面手段等を用いる事もできる。
【0042】
図2において、両面処理する場合は、もう一セット(第2の)フラットベッド露光手段を設けて、第一のフラットベッド露光手段による露光が終了した後、積層材を反転して第2の露光手段でもう片面を露光するようにする事で、両面の処理が可能となる。また、同一の定盤露光手段に反転後に戻して両面露光する事もできる。
【0043】
本発明に係わる、絶縁性基材としては、ガラス基材エポキシ樹脂板、紙基材フェノール樹脂板、紙基材エポキシ樹脂板、ガラス基材ポリイミド樹脂板、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、及びポリふっ化ビニルフィルム等が挙げられる。また、絶縁性基材の厚さは16μm〜3.2mm程度であり、プリント配線板としての最終使用形態により、その材質と厚さが選定される。また、ロールシート状の基材の場合には、可撓性の要求を考慮して選定される。
【0044】
本発明に係わる導電層は、銅、銀、アルミニウム、ステンレス、ニクロム、及びタングステン等が挙げられる。導電層の厚さは1〜35μmが一般的であるが、ソフトエッチングやメッキ処理により厚さは調整される。
感光層としては、公知のネガ型、ポジ型のフォトポリマータイプのレジスト材料及び電子写真感光体が使用できる。
電子写真感光体としては、特開平8−32232号公報に記載の光導電層のような通常の帯電後露光するタイプの電子写真感光体、及び特願2000−366644号に出願のようなフォトメモリー性感光体を使用する事ができる。
【0045】
これらの電子写真感光体は、フォトポリマーに比べ、硬化反応する成分を含有していないため、経時安定性に優れており、好ましく用いられる。また、特に、通常の帯電後露光するタイプの電子写真感光体では、帯電処理を実施するまでは、特にイエロールームやレッドルーム、完全暗室等の光学的に配慮した環境を用意する必要がなく、取り扱いが容易で、したがって、処理環境に対する要請も少なく望ましい。フォトポリマーの場合も作業性向上や経時安定性を目指して、カバーシート等の手段を講じる事もできる。
【0046】
これらの感光体を、絶縁性基材上に設けた導電層上に形成する方法としては、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法、電着法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等が利用できる。これらはロールシート状基材、枚葉基材いずれも適用可能である。枚葉基材の場合は、更にスピンコート法が利用できる。枚葉積層材を得る手段として、ロールシート状基材に塗布を行った後、裁断して、枚葉積層材を得る事もできる。塗膜厚・塗膜品質の均質化、異物除去による高品質化、塗布装置の簡素化、更には塗布の生産性等の利点から、ロールシート状での塗布の方が望ましい。
【0047】
本発明に係わる積層材は、前もって上記の方法によってある一定量の管理された塗布がなされたものであり、その塗布の前に、洗浄や化学研磨処理等を管理された状態で行う事もできる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
【0049】
実施例1
基材及びその上に導電層を設けたものとして両面銅張積層板512mm×20m(厚み0.1mm)(松下電工(株)製ルミナス)を使用し、あらかじめ特願2000−379742号出願の実施例に記載の処方により塗液を調整し、ディップ塗布法にて両面にフォトメモリー性感光体を形成した。
塗布前に化学研磨処理により基材の前処理を行い、塗布環境はクリーン度100〜1000の環境にて塗布を実施した。また、ディップ槽に基材が入る直前に基材のクリーニングのため、粘着ロール処理を実施した。
【0050】
この電子写真感光層を両面に形成したロールシート状の積層材を図1に示す両面処理用のプリント配線板用レジストパターン作製装置内の巻き出し手段61にセットした。
次に所望の回路パターンをデジタルデータの形でプリント配線板用レジストパターン作製装置へ送信して、レジストパターン作製を実施した。
【0051】
巻き出し手段61及び図示されない搬送手段によってロールシート状積層材1が送り出され、対向する端辺の位置に穴明け手段81によって穴明けがなされた後、受信されたデジタルデータに従って回路パターンが露光手段50が生成する露光ビーム52によって、積層材の両面に露光がなされた。その後、切断手段91によって、露光された積層材部分のみ切り離され、帯電手段11以降の処理に送られ、帯電手段11により両面の帯電がなされ静電潜像が形成され、その後、トナー現像手段15にて両面のトナー現像がなされ、続く乾燥手段35、定着手段45により、トナー画像によるレジストパターンが作製された。
コンピュータからデータの送信を開始してからレジストパターンが作製されるまでに要した時間は2分であった。
【0052】
その後、30℃に加熱した1質量%炭酸ナトリウム溶液をスプレーした後、水道水で洗浄し、トナーで被覆されていない部分の電子写真感光層を溶出除去した後、45℃に加熱した塩化第二鉄水溶液をスプレーして露出した銅部を除去した。更に、50℃に加熱した3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、残存しているトナー及び電子写真感光層を除去して積層材の両面に配線パターンを得た。
【0053】
得られたプリント配線板の配線パターン形成面は、両面共に汚れがなく、配線パターンの線幅も表裏、及び基板全面にわたって良好な精度で均一で良好な配線パターンが形成されていた。また、表裏のパターンの位置関係はもちろん、穴位置とパターンとの位置関係も誤差なく、良好であった。
また、その後、日数をあけて他の回路パターンに関して、同様にレジストパターン作製を繰り返しても、良好なレジストパターン作製が迅速に行われた。
【0054】
実施例2
実施例1の感光体の形成において、以下のような塗液を調整し、塗布方式をスリットダイコータで塗布した以外は、すべて実施例1と同様にして感光体の形成を行って、ロールシート状の積層材を得た。すなわち、塗液は電子写真感光層形成のための塗液で、有機光導電体にはχ型無金属フタロシアニン、結着樹脂にはメタクリル酸/メタクリル酸ブチル/アクリル酸ブチル共重合体(単量体質量比3:4:3、重量平均分子量 約20000)、溶剤には1−メトキシ−2−プロパノールを使用し、表1に示した配合組成に従って混合し、有機光導電体を0.2μm以下の粒子径になるまで分散を行い不揮発分が33質量%の塗液を作製し、ロールシート状の積層材を得た。
【0055】
【表1】
【0056】
その積層材を裁断によって、256mm×256mm、342mm×512mm、512mm×612mmの3種類のサイズの基板を準備し、それぞれ、図2に示す載置手段103a、103b、103cに載置した。
次に所望の回路パターンをデジタルデータの形で図2にその一部を示すプリント配線板用レジストパターン作製装置へ送信して、レジストパターン作製を実施した。図2には、その複数の載置手段103、選択投入手段71及び、露光手段50を示している。
所望の基板サイズ・枚数に従って、複数の載置手段103から選択投入手段71により、最適のサイズの積層材を載置している載置手段が選択され、その積層材1が、露光手段50へ投入される。
露光手段は定盤上に載置された積層材に対して露光を行うフラットベッド式の露光方式をとっている。
【0057】
定盤上に載置された基板は、まず、穴明け手段81によって、端辺の位置に位置合わせ用の穴明けがなされた。その後、矢印で示す方向に定盤が移動する事により、帯電手段11、露光ビーム52により、帯電、露光がなされ、積層材の電子写真感光層上に静電潜像が形成される。また、その後、積層材の反転を行い、再度定盤上に載置し、位置合わせ後、反対面の帯電露光が同様にしてなされ、両面に静電潜像が形成された。その後の処理は図示されないトナー現像手段によって実施例1と同様の方式によりなされ、レジストパターンが作製された。
コンピュータからデータの送信を開始してからレジストパターンが作製されるまでに要した時間は3分であった。
【0058】
その後、30℃に加熱した1質量%炭酸ナトリウム溶液をスプレーした後、水道水で洗浄し、トナーで被覆されていない部分の電子写真感光層を溶出除去した後、45℃に加熱した塩化第二鉄水溶液をスプレーして露出した銅部を除去した。更に、50℃に加熱した3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、残存しているトナー及び電子写真感光層を除去して積層材の両面に配線パターンを得た。
【0059】
得られたプリント配線板の配線パターン形成面は、両面共に汚れがなく、配線パターンの線幅も表裏、及び基板全面にわたって良好な精度で均一で良好な配線パターンが形成されていた。また、表裏のパターンの位置関係はもちろん、穴位置とパターンとの位置関係も誤差なく、良好であった。
また、その後、日数をあけて他の回路パターンに関して、同様にレジストパターン作製を繰り返しても、良好なレジストパターン作製が迅速に行われた。
【0060】
実施例3
実施例1において、ネガ型のフォトポリマー用塗液(互応化学工業製エキレジンPER−800)を塗布し、塗布方式をスリットダイコータで塗布した他は、すべて実施例1と同様にして感光体を形成したロールシート状積層材を作製した。
図1のプリント配線板用レジストパターン作製装置において、帯電以降の処理を省いた他は実施例1と同様にして、パターンの露光を行い、レジストパターンを作製した。
コンピュータからデータの送信を開始してからレジストパターンが作製されるまでに要した時間は4分であった。
帯電以降の処理が省かれたが、露光感度が電子写真感光体に比べ低いため、実施例1よりはより多くの時間がかかった。
【0061】
その後、30℃に加熱した1質量%炭酸ナトリウム溶液をスプレーした後、水道水で洗浄し、トナーで被覆されていない部分の電子写真感光層を溶出除去した後、45℃に加熱した塩化第二鉄水溶液をスプレーして露出した銅部を除去した。更に、50℃に加熱した3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、残存しているトナー及び電子写真感光層を除去して基材の両面に配線パターンを得た。
【0062】
得られたプリント配線板の配線パターン形成面は、両面共に汚れがなく、配線パターンの線幅も表裏、及び基板全面にわたって良好な精度で均一で良好な配線パターンが形成されていた。また、表裏のパターンの位置関係はもちろん、穴位置とパターンとの位置関係も誤差なく、良好であった。
【0063】
ただし、その後、レジストパターン作製を日数をあけて繰り返していくと、若干の露光感度の変化が生じ、露光量の調整を行う必要が生じたが実用上問題のないレベルであった。
【0064】
比較例
所望の回路パターンをデジタルデータの形でフォトツール作製用の作画機に送信しフォトツールの描画を行った。その後、フォトツールの現像処理を経て、フォトツールが得られた。その後、フォトツール検査工程でフォトツールに欠陥等がないか検査した後、所望の回路パターンに対応したフォトツールが得られた。所望の回路パターンに従って、銅張積層板のサイズ及び必要な枚数を選択し、化学研磨処理を行った。その後、ドライフィルムラミネータでネガ型のドライフィルムのラミネーションを両面に行った後、先ほど作製したフォトツールと合わせて、両面密着露光機にて両面の露光を行い、露光部のフォトポリマー層の硬化を行い、レジストパターンを作製した。
デジタルデータの送信を(フォトツール作画機へ)開始してからレジストパターンが作製されるまでの時間は、6時間を要した。
その後、カバー層のPETフィルムの剥離を行った後、30℃に加熱した1質量%炭酸ナトリウム溶液をスプレーした後、水道水で洗浄し、未露光部の感光体層を溶出除去した後、45℃に加熱した塩化第二鉄水溶液をスプレーして露出した銅部を除去した。更に、50℃に加熱した3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、残存している感光層を除去して基材の両面に配線パターンを得た。
【0065】
得られたプリント配線板の配線パターン形成面は、良好に形成されていたが、作製までに時間を要するとともに、その後、レジストパターン作製を日数をあけて繰り返していくと、ラミネーション時の異物混入によると思われる、ドライフィルムの密着不良が散見され、断線欠陥が発生する事があった。
【0066】
【発明の効果】
以上に説明した如く、プリント配線板用レジストパターンの作製を行う際に、ロールシート状の積層材を用い、デジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行い、その露光の前後いずれかで所定のサイズに積層材の切断を行うようにしてプリント配線板用レジストパターンを作製する事で、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することができる。また、複数種類のサイズの積層材をあらかじめ準備しておいて、そのうちの一種類の積層材をデジタルデータに合わせて選択し、該積層材にデジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行う事により同様に、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することができる。また、積層材の穴明けを同時に行う事で、穴が必要な際のパターンと穴との相対位置関係が精度良く保たれる。また穴明けの工程も省かれる。また、感光層を電子写真感光層を用いる事で、良好な高感度な電子写真感光層を有する積層材を利用できるとともに、レジストパターン作製前の状態での経時に対しても安定に保管する事ができ、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1及び3に用いたプリント配線板用レジスト作製装置を示す概略断面構成図。
【図2】本発明の実施例2に用いたプリント配線板用レジスト作製装置を示す概略断面構成図。
【図3】本発明のプリント配線板用レジスト作製装置の一例を示す概略断面構成図。
【符号の説明】
1 ロールシート状積層材
4 定盤
5 搬送路
11 帯電手段
13 現像電極
14 絞液ロール対
15 トナー現像手段
50 露光手段
52 露光ビーム
61 巻き出し手段
71 選択投入手段
81 穴明け手段
91 切断手段
103 複数の載置手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置に関し、より詳しくは、フォトツールを必要としない露光により、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することのできるプリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板を作製するには、一般に絶縁性基材に銅箔を張った銅張積層板を所定の寸法に裁断を行い、その後、裁断面の端面処理、そして、表面の化学研磨や機械研磨による前処理を行った後、感光性フィルムをラミネートする。その後、フォトツールを重ねて露光して、レジストパターンを作製した後、アルカリ現像、エッチング処理を行い、回路パターン以外の不要の銅箔を除き、しかる後に感光性フィルムを脱膜することにより絶縁性基材上にプリント回路を作製していた。
【0003】
近年、パソコンや家電品では、新商品のライフが年々短くなり、低価格化が進むと同時に新製品開発のサイクルも短縮し、そこに使われるプリント配線板に対しては、頻繁な回路設計変更に素早く短納期にて対応し、さらにはそれを低コストで実現できる製造システムが求められている。
【0004】
そのため、最近注目されている技術として、直接描画(Laser Direct Imaging)技術がある。それは、基材に設けた感光体上にデジタルデータにより直接描画する、フォトツールを利用しないレジストパターン作製システムである。フォトツールを使用しないため、フォトツール作製に付随する、フォトツール自体やその処理にかかるコスト及び時間が省略できる事となり、また、その工程に起因する欠陥原因を除去する事が可能となり、歩留まり向上も期待できる。従って、この直接描画技術は特に多品種少量の基板の処理を行っていく際に、短納期で低コストで高品質なレジストパターンの作製ができ、頻繁な回路設計変更に対応できる有望なシステムといえる。
【0005】
しかし、そのシステムであっても、注文が入って(あるパターンのプリント配線板を作製する必要が生じて)から、レジストパターン作製を行うまでには、上に述べた様な銅張積層板の裁断準備、端面処理、基材の表面処理、感光体形成等の工程を行う必要があり、その工程に時間がかかるとともに、基材の表面処理や感光体形成時に欠陥原因が発生する可能性もあった。例えば、感光体形成をドライフィルムラミネートする場合には、表面処理ムラやゴミによるドライフィルムの密着不良等による欠陥が発生する可能性がある。これらを解決するためにはクリーン環境を整備したり、基材の洗浄、クリーニング処理に細心の注意を払う必要があるが、設備のコストアップにつながるとともに、基材端部からの脱離異物の影響や、プリント配線板製造現場での作業性の悪化の懸念から、解決は難しいものであった。
【0006】
また、感光体をドライフィルムではなく、液状エッチングレジストで形成する場合には、より顕著である。銅張積層板をDip塗布、ロール塗布、スプレー塗布、電着塗布等の手段によって、感光体を形成するが、いずれの塗布手段においても、基材の端部から発生する脱離異物による影響を完全には除去できず、欠陥発生の原因となっていた。
【0007】
また、直接描画システムでは、使用するデジタルデータ描画手段であるレーザ光源等に感度を有する、高感度な感光体が必要であるが、高感度フォトポリマーを使用した場合、その感光体の種類によっては、感度が充分でないために、余分なエネルギーを付与する必要があり、よって、露光に時間がかかり、工程時間も余分にかかってしまうという問題があった。また、レーザ感度を持たせるために高感度化するあまり、感光体の安定性が低下し、保存性が劣ったり、処理条件の変動に敏感に影響を受け、処理自体が不安定になるという問題もあった。
【0008】
高感度フォトポリマー以外の直接描画システムに対応する感光体として、電子写真法を利用したプリント配線板(以下、電子写真プリント配線板という)がある。レーザに対する高感度を有するとともに感光体自体の安定性にも優れたものがあり、直接描画用の感光体として期待されている。
【0009】
電子写真プリント配線板の作製は、次の様にしてなされる。絶縁性基材上に導電層を設けた積層板上に電子写真感光層を設け、電子写真感光層表面を、一様に帯電した後配線パターンに従って露光を行う、もしくは、配線パターンに従って露光を行った後帯電を行う、のいずれかの方法によって、露光部分の帯電が消失した静電潜像が得られる。この静電潜像をトナー現像処理を行ってトナー画像を形成し、このトナー画像をレジストとして、トナー画像部以外の電子写真感光層を溶解除去し、トナー画像と電子写真感光層とからなる導電層のレジスト画像が作製される。導電層の不要部の溶解除去及びそれ以降のプリント配線板の作製工程は、従来と同様にして行う事ができる。
【0010】
電子写真プリント配線板には帯電した後に露光して静電潜像を形成する通常の電子写真プロセスを利用した電子写真感光体を利用するタイプのものと、特願2000−366644号に出願されているような露光した後に帯電して静電潜像を形成するフォトメモリー性感光体を利用するタイプのものがある。
いずれのシステムにおいても、工程としては、既存の直描露光装置、もしくは密着露光装置等のアナログ露光装置により露光された積層材を特開平6−224541号公報記載のようなトナー現像装置により処理を行っていた。
【0011】
ただし、電子写真プリント配線板においては、電子写真感光層を形成する際に、ゴミ等の異物が電子写真感光層の膜中に混入すると、その後のパターン形成時の帯電工程において、その異物の種類・大きさによっては、異常帯電を引き起こし、トナー現像不良が起こり、その結果、欠陥となる可能性があり、上記の銅張積層板の準備の後、前処理による基材洗浄や基材端面からのゴミ・異物除去等に細心の注意を払う必要があった。
【0012】
また、プリント配線板を複数枚積層して作製する多層板の作製の際には、そのもとになる内層板の作製の際に位置決め用の穴を設ける事が行われているが、従来は、穴明けとパターン露光とは別個の装置によってなされており、従って、穴位置とパターン位置との位置関係を精度良く保つために、露光装置側で、その穴位置を何らかの方法で検出してアライメント作業を行う必要があった。そのため、その処理に余分な時間がかかるとともに、そのアライメント方式の精度によっては、良好な精度が得られずにパターンずれ等の欠陥の原因となる場合があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
フォトツールを必要としない露光により、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することのできるプリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置を提供する事にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けた積層材に露光及び必要な処理を行ってレジストパターンを形成するプリント配線板用レジストパターン作製方法において、該積層材をロールシート状の積層材を用い、デジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行い、その露光の前後いずれかで所定のサイズに積層材の切断を行う事により、良好な感光体塗布積層材をあらかじめ準備しておく事ができ、注文が入ってからデジタルデータからすぐにレジストパターンの作製ができ、さらに切断位置を変える事で、種々の基板サイズのパターンに対応する事ができ、上記課題が解決できる事を見いだした。
【0015】
また、該積層材を、複数種類のサイズの異なる積層材をあらかじめ準備しておいて、そのうちの一種類の積層材をデジタルデータに合わせて選択し、該積層材にデジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行う事により、良好な感光体塗布積層材をあらかじめ準備しておく事ができ、注文が入ってからデジタルデータからすぐにパターンのサイズに合わせて最適な基板サイズを選択して、レジストパターンの作製ができ、上記課題が解決できる事を見いだした。
【0016】
また、更にデジタルデータに合わせて積層材に穴明けを行う事により、更に、パターンとの位置関係を精度良く保った穴を有する基板が得られ、上記課題が解決できる事を見いだした。
【0017】
また、感光層が電子写真感光層であり、電子写真法によりレジストパターンを形成する事により、良好な高感度な電子写真感光層を有する積層材を準備できるとともに、レジストパターン作製前の状態での経時に対しても安定に保管する事ができ、いつでも良好なレジストパターン作製がすぐに行う事ができ、上記課題が解決できる事を見いだした。
【0018】
また、絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けたロールシート状の積層材、該ロールシート状の積層材をセットして所定の積層材を巻き出す巻き出し手段、所定のパターンをデジタルデータに基づいて該感光層表面に露光を行う露光手段、所定のサイズに積層材の切断を行う切断手段を有するプリント配線板用レジストパターン作製装置によっても上記課題が解決される。
【0019】
また、絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けた複数枚の枚葉の積層材もしくはロールシート状積層材を載置する複数の載置手段、その複数の載置手段から一つの載置手段を選択して、積層材を投入する選択投入手段、所定のパターンをデジタルデータに基づいて該感光層表面に露光を行う露光手段を有するプリント配線板用レジストパターン作製装置によっても上記課題が解決される。
【0020】
また、更に積層材に穴明けを行う穴明け手段を有する事により更に良好に解決される。
【0021】
また、更に、感光層が電子写真感光層であり、更に帯電手段及びトナー現像手段を有するプリント配線板用レジストパターン作製装置により更に良好に安定に解決される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のプリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置について詳細に説明する。
【0023】
図3に本発明のプリント配線板用レジストパターン作製装置の一例の概略断面構成図を示す。
ロールシート状積層材1は、絶縁性基材の片面(内側)に導電層、感光層をその順にあらかじめ設けたもので、装置内に設置され、巻き出し手段61の作用により所定の長さだけシートを送り出せるようになっている。図示しない搬送手段によって搬送路5上に積層材1を送り出し、露光手段50から発せられた、露光ビーム52の走査変調露光により、積層材1の感光層表面にデジタルデータに従ったパターン描画がなされるようになっている。
【0024】
図3の感光層としては、電子写真感光層を用いており、特にフォトメモリー性感光層を有しており、露光がなされた後、帯電手段11による帯電により、静電潜像が形成され、トナー現像手段15により、静電潜像がトナー画像に変換される。トナー現像手段15では、ここでは液体現像剤を用いて、現像電極と積層材との間に液体現像剤を供給して、トナー画像を得た後、絞りロール対14により余剰の液体現像剤の除去を行った後、乾燥手段35によって、完全に積層材表面を乾燥させる。その後、定着手段45において、ハロゲンランプ46の作用により、トナー粒子の熱定着を行い、レジストパターンの形成が行われる。
【0025】
この図3に示すプリント配線板用レジストパターン作製装置で作製したレジストパターンは、その後の通常のプリント配線板製造で用いられるアルカリ現像処理及びエッチング処理により、導電層がエッチングされプリント配線板ができあがる。
【0026】
感光層を、通常の電子写真感光体(帯電後に露光するタイプ)により形成した積層材1を用いた際には、帯電手段は、露光手段の前段に設置する必要がある。また、感光層を、フォトポリマーで形成した場合には、図3の帯電手段11以降の工程は不要になる。
【0027】
本発明に係わる帯電手段としては、コロトロン方式およびスコロトロン方式等の非接触帯電方法、また導電ブラシ帯電や導電ロール帯電等の接触帯電方法等の公知の技術を用いる事ができ、本発明に係わる電子写真感光層が一様に帯電できれば何れの方式を採用しても良い。
【0028】
また、図3には切断手段91が設置されており、デジタルデータに従って、所望の基板サイズにロールシート状積層材の切断ができるようになっている。
切断手段91は、図3においてロールシート状の積層材を枚葉の積層材に変換するものであり、幅方向に走査する片面カッターや両面カッター、ギロチンカッター、スリッター等いずれの手段も用いる事ができる。また、切りカス等の除去を目的として、吸引手段や、粘着手段、整面手段等を用いる事もできる。また切断手段91の工程上の位置としては、図3に示すような露光直後の位置の他、露光直前の位置、各処理工程の最後の位置等、いずれの位置に配置しても良い。搬送手段を、切断手段を含んで上流は、ロールシート状積層材の搬送方法に対応し、切断手段よりも下流は枚葉積層材の搬送方法に対応していれば、切断手段はいずれの位置に配置する事もできる。
【0029】
また、特に多層板のための基板を作製する際やもしくはその他の目的で、レジストパターンと相対的に決まった位置関係の位置に穴明けが必要となる場合がある。そのため、穴明け手段81を具備している。
穴明け手段81としては、保持した積層材の所定の位置に所定の穴を明けられるものであればいずれの方式でも良く、ポンチ、ドリル、レーザ等の加工手段を用いる事ができる。穴明け手段81の工程上の位置としては、露光手段50による露光を行う際の積層材を搬送する手段によって、積層材位置が規定される位置での穴明けが望ましい。すなわち、穴明け位置とパターン露光の位置との関係が、装置的にできるだけ少ない変動要因(搬送手段等)によって、関係づけられている事が望ましい。また、穴明け位置を所望の位置に移動できる移動手段を設ける事もできる。
【0030】
本発明に係わるプリント配線板用レジストパターン作製方法における露光方法は、デジタルデータに基づいて、パターン露光できるものであればいずれの方式も用いる事ができ、レーザビームを走査する事による露光方式や、LEDアレーによる露光や、液晶シャッターや、マイクロミラーデバイス等を利用した露光方式を用いても良い。レーザを利用する場合は、その光源として、He−Neレーザ、He−Cdレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンイオンレーザ、ルビーレーザ、Nd−YAGレーザ、窒素レーザ、色素レーザ、エキシマレーザ、半導体レーザ等のレーザ光源を利用可能であり、発光波長に応じてSHG波長変換して露光する事もできる。また、レーザ光を複数用いて、描画を行う事もできる。また、液晶シャッターや、マイクロミラーデバイスを利用する場合は、その光源として、上記のレーザ光源やそれらをバンドルしたもの以外に、キセノンランプ、タングステンランプ、蛍光灯等いずれの光源をも利用可能である。
【0031】
本発明に係わる電子写真プリント配線板のトナー現像について説明する。トナー現像は、静電潜像をトナー画像化し、かつ、その後のアルカリ現像工程においてアルカリ現像液に対してレジストとなるものであれば、乾式トナー現像、液体トナー現像、いずれのトナー現像方式も利用可能である。図3の作製装置においては、液体トナー現像方式を利用しているが、高画質な画像が得られるため、望ましい。
【0032】
露光手段50によって露光された積層材は、図示されない搬送手段によって帯電手段11に搬入され、積層材片面もしくは両面が帯電され、静電潜像が形成される。その後、トナー現像手段15へと搬入される。現像電極13と搬送路5上の積層材1の静電潜像形成面との間隙に液体現像剤が供給され、液体トナー現像がなされる。
【0033】
絞液ロール対14により余剰液が除去され、乾燥手段35及び定着手段45へと搬出するが、積層材はトナー現像手段15に於てトナー現像された後、乾燥手段35に於て電子写真感光層表面に残存する液体現像剤の分散媒の蒸発除去がなされ、定着手段に於てトナー粒子が電子写真感光層上に熱定着される。
【0034】
トナー現像手段15は、積層材に液体現像剤を供給して実質的に積層材に液体現像処理を施す現像電極13、及び積層材を挟持して乾燥部へ搬送するとともに、電子写真感光層上に残存する余剰の液体現像剤の除去を行う絞りロール対14を具備しており、液体現像剤は、図示しない液体現像剤貯液槽に貯液され、これより図示しない送液手段を経て現像電極13へ送られる。
【0035】
液体現像剤中には電荷をもったトナー粒子が分散されており、露光・帯電(もしくは帯電・露光)されて静電潜像を形成された積層材に付着して、トナー画像が形成される。帯電の極性とトナー粒子の電荷の極性を反対の極性を持たせた時の現像方式を正現像と呼び、トナー粒子は、静電潜像の未露光部の電荷が保持されている領域に付着する。一方、帯電の極性とトナー粒子の電荷の極性を同極性にしてトナー現像する現像方式を反転現像と呼び、トナー粒子は、静電潜像の露光されて電荷が消失した領域に付着する。
このいずれの現像方式も利用可能であるが、図3においては、帯電を正帯電で行い、正電荷を持たせたトナー粒子を含む液体現像剤により液体トナー現像を行う反転現像方式を採用している。現像電極13にバイアス電圧を印加し、その電圧値を最適にコントロールする事で、良好な画質を得られるため、好ましく採用される。
【0036】
電子写真感光層を用いた際の帯電及びトナー現像処理工程では、積層材の導電層を接地する必要がある。ロールシート状積層材の場合は、切断前であれば、ロールシート状積層材のどの部分で接地しても良い。切断後であれば、感光体の端部もしくは、端側面で接地する。塗布方式により、感光体で導電層の全面が覆われている場合は、あらかじめ感光体の一部の皮膜の除去を行うか、もしくは、接地手段を、感光体を貫通して導電層に達するような接地手段により接地する。
【0037】
図3においては、片面処理を行っているが、露光手段、帯電手段、トナー現像手段を搬送路の反対側に同様に設置する事で、両面処理が可能となる。その際には、積層材1には両面に導電層及び感光層をこの順に設けた積層材を使用する。特に露光手段を両面に設ける場合は、表裏の露光パターンの位置関係、及び更に穴位置との関係を精度良く合わせる必要があり、表裏の露光位置、露光タイミング、搬送手段による搬送精度等の調整を行い、良好に両面のパターンニングを行う。図1に両面処理のプリント配線板用レジストパターン作製装置の一例の概略断面構成図を示す。
【0038】
また、図2には、ロールシート状積層材ではなく、3種類のそれぞれその表面に導電層、感光層をその順に設けた3種類のそれぞれサイズの異なる枚葉の積層材3a、3b、3cをあらかじめ準備しておき、それぞれ、載置手段103a、103b、103cに載置されている。所望のプリント配線板サイズ、枚数に応じて、もっとも適したサイズの板を露光手段50へ供給できるようにしたプリント配線板用レジストパターン作製装置の概略図を示してある。
【0039】
選択投入手段71により、もっとも適したサイズの積層材がデジタルデータに従って選択され、露光手段50へと移送され、露光がなされる。図2では定盤4による露光方式によりパターン露光がなされる。
【0040】
本発明に係わる選択投入手段としては、あらかじめ用意されている複数の基板サイズのグループから一種類の積層材を、露光手段へ投入もしくは投入可能な位置に移送できるものであり、積層材一枚ずつを選択するものでも良いし、複数の積層材が載置されたパレットを選択するようにしても良い。
積層材としては、枚葉の積層材以外に幅の異なる複数のロールシート状の積層材を載置しておき、それを選択投入手段にて選択、露光手段へ投入、載置しても良い。その場合には、切断手段を具備し、長手方向のサイズの自由度とともに幅方向についてもより最適なサイズの積層材が選択できる事となり好ましい。
【0041】
また、図2に示すような、定盤4上に積層材を載置しての露光にあっては、定盤4上に載置された静止された積層材に対して、露光がなされるため、穴明け手段を設ける場合は、この定盤4上に設ける事が、位置関係の精度を良好に保つ事ができるため望ましい。
穴明けの際にも、上記切断手段と同様、発生するカス、バリ等の除去を行う、吸引手段、粘着手段、整面手段等を用いる事もできる。
【0042】
図2において、両面処理する場合は、もう一セット(第2の)フラットベッド露光手段を設けて、第一のフラットベッド露光手段による露光が終了した後、積層材を反転して第2の露光手段でもう片面を露光するようにする事で、両面の処理が可能となる。また、同一の定盤露光手段に反転後に戻して両面露光する事もできる。
【0043】
本発明に係わる、絶縁性基材としては、ガラス基材エポキシ樹脂板、紙基材フェノール樹脂板、紙基材エポキシ樹脂板、ガラス基材ポリイミド樹脂板、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、及びポリふっ化ビニルフィルム等が挙げられる。また、絶縁性基材の厚さは16μm〜3.2mm程度であり、プリント配線板としての最終使用形態により、その材質と厚さが選定される。また、ロールシート状の基材の場合には、可撓性の要求を考慮して選定される。
【0044】
本発明に係わる導電層は、銅、銀、アルミニウム、ステンレス、ニクロム、及びタングステン等が挙げられる。導電層の厚さは1〜35μmが一般的であるが、ソフトエッチングやメッキ処理により厚さは調整される。
感光層としては、公知のネガ型、ポジ型のフォトポリマータイプのレジスト材料及び電子写真感光体が使用できる。
電子写真感光体としては、特開平8−32232号公報に記載の光導電層のような通常の帯電後露光するタイプの電子写真感光体、及び特願2000−366644号に出願のようなフォトメモリー性感光体を使用する事ができる。
【0045】
これらの電子写真感光体は、フォトポリマーに比べ、硬化反応する成分を含有していないため、経時安定性に優れており、好ましく用いられる。また、特に、通常の帯電後露光するタイプの電子写真感光体では、帯電処理を実施するまでは、特にイエロールームやレッドルーム、完全暗室等の光学的に配慮した環境を用意する必要がなく、取り扱いが容易で、したがって、処理環境に対する要請も少なく望ましい。フォトポリマーの場合も作業性向上や経時安定性を目指して、カバーシート等の手段を講じる事もできる。
【0046】
これらの感光体を、絶縁性基材上に設けた導電層上に形成する方法としては、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法、電着法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等が利用できる。これらはロールシート状基材、枚葉基材いずれも適用可能である。枚葉基材の場合は、更にスピンコート法が利用できる。枚葉積層材を得る手段として、ロールシート状基材に塗布を行った後、裁断して、枚葉積層材を得る事もできる。塗膜厚・塗膜品質の均質化、異物除去による高品質化、塗布装置の簡素化、更には塗布の生産性等の利点から、ロールシート状での塗布の方が望ましい。
【0047】
本発明に係わる積層材は、前もって上記の方法によってある一定量の管理された塗布がなされたものであり、その塗布の前に、洗浄や化学研磨処理等を管理された状態で行う事もできる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
【0049】
実施例1
基材及びその上に導電層を設けたものとして両面銅張積層板512mm×20m(厚み0.1mm)(松下電工(株)製ルミナス)を使用し、あらかじめ特願2000−379742号出願の実施例に記載の処方により塗液を調整し、ディップ塗布法にて両面にフォトメモリー性感光体を形成した。
塗布前に化学研磨処理により基材の前処理を行い、塗布環境はクリーン度100〜1000の環境にて塗布を実施した。また、ディップ槽に基材が入る直前に基材のクリーニングのため、粘着ロール処理を実施した。
【0050】
この電子写真感光層を両面に形成したロールシート状の積層材を図1に示す両面処理用のプリント配線板用レジストパターン作製装置内の巻き出し手段61にセットした。
次に所望の回路パターンをデジタルデータの形でプリント配線板用レジストパターン作製装置へ送信して、レジストパターン作製を実施した。
【0051】
巻き出し手段61及び図示されない搬送手段によってロールシート状積層材1が送り出され、対向する端辺の位置に穴明け手段81によって穴明けがなされた後、受信されたデジタルデータに従って回路パターンが露光手段50が生成する露光ビーム52によって、積層材の両面に露光がなされた。その後、切断手段91によって、露光された積層材部分のみ切り離され、帯電手段11以降の処理に送られ、帯電手段11により両面の帯電がなされ静電潜像が形成され、その後、トナー現像手段15にて両面のトナー現像がなされ、続く乾燥手段35、定着手段45により、トナー画像によるレジストパターンが作製された。
コンピュータからデータの送信を開始してからレジストパターンが作製されるまでに要した時間は2分であった。
【0052】
その後、30℃に加熱した1質量%炭酸ナトリウム溶液をスプレーした後、水道水で洗浄し、トナーで被覆されていない部分の電子写真感光層を溶出除去した後、45℃に加熱した塩化第二鉄水溶液をスプレーして露出した銅部を除去した。更に、50℃に加熱した3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、残存しているトナー及び電子写真感光層を除去して積層材の両面に配線パターンを得た。
【0053】
得られたプリント配線板の配線パターン形成面は、両面共に汚れがなく、配線パターンの線幅も表裏、及び基板全面にわたって良好な精度で均一で良好な配線パターンが形成されていた。また、表裏のパターンの位置関係はもちろん、穴位置とパターンとの位置関係も誤差なく、良好であった。
また、その後、日数をあけて他の回路パターンに関して、同様にレジストパターン作製を繰り返しても、良好なレジストパターン作製が迅速に行われた。
【0054】
実施例2
実施例1の感光体の形成において、以下のような塗液を調整し、塗布方式をスリットダイコータで塗布した以外は、すべて実施例1と同様にして感光体の形成を行って、ロールシート状の積層材を得た。すなわち、塗液は電子写真感光層形成のための塗液で、有機光導電体にはχ型無金属フタロシアニン、結着樹脂にはメタクリル酸/メタクリル酸ブチル/アクリル酸ブチル共重合体(単量体質量比3:4:3、重量平均分子量 約20000)、溶剤には1−メトキシ−2−プロパノールを使用し、表1に示した配合組成に従って混合し、有機光導電体を0.2μm以下の粒子径になるまで分散を行い不揮発分が33質量%の塗液を作製し、ロールシート状の積層材を得た。
【0055】
【表1】
【0056】
その積層材を裁断によって、256mm×256mm、342mm×512mm、512mm×612mmの3種類のサイズの基板を準備し、それぞれ、図2に示す載置手段103a、103b、103cに載置した。
次に所望の回路パターンをデジタルデータの形で図2にその一部を示すプリント配線板用レジストパターン作製装置へ送信して、レジストパターン作製を実施した。図2には、その複数の載置手段103、選択投入手段71及び、露光手段50を示している。
所望の基板サイズ・枚数に従って、複数の載置手段103から選択投入手段71により、最適のサイズの積層材を載置している載置手段が選択され、その積層材1が、露光手段50へ投入される。
露光手段は定盤上に載置された積層材に対して露光を行うフラットベッド式の露光方式をとっている。
【0057】
定盤上に載置された基板は、まず、穴明け手段81によって、端辺の位置に位置合わせ用の穴明けがなされた。その後、矢印で示す方向に定盤が移動する事により、帯電手段11、露光ビーム52により、帯電、露光がなされ、積層材の電子写真感光層上に静電潜像が形成される。また、その後、積層材の反転を行い、再度定盤上に載置し、位置合わせ後、反対面の帯電露光が同様にしてなされ、両面に静電潜像が形成された。その後の処理は図示されないトナー現像手段によって実施例1と同様の方式によりなされ、レジストパターンが作製された。
コンピュータからデータの送信を開始してからレジストパターンが作製されるまでに要した時間は3分であった。
【0058】
その後、30℃に加熱した1質量%炭酸ナトリウム溶液をスプレーした後、水道水で洗浄し、トナーで被覆されていない部分の電子写真感光層を溶出除去した後、45℃に加熱した塩化第二鉄水溶液をスプレーして露出した銅部を除去した。更に、50℃に加熱した3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、残存しているトナー及び電子写真感光層を除去して積層材の両面に配線パターンを得た。
【0059】
得られたプリント配線板の配線パターン形成面は、両面共に汚れがなく、配線パターンの線幅も表裏、及び基板全面にわたって良好な精度で均一で良好な配線パターンが形成されていた。また、表裏のパターンの位置関係はもちろん、穴位置とパターンとの位置関係も誤差なく、良好であった。
また、その後、日数をあけて他の回路パターンに関して、同様にレジストパターン作製を繰り返しても、良好なレジストパターン作製が迅速に行われた。
【0060】
実施例3
実施例1において、ネガ型のフォトポリマー用塗液(互応化学工業製エキレジンPER−800)を塗布し、塗布方式をスリットダイコータで塗布した他は、すべて実施例1と同様にして感光体を形成したロールシート状積層材を作製した。
図1のプリント配線板用レジストパターン作製装置において、帯電以降の処理を省いた他は実施例1と同様にして、パターンの露光を行い、レジストパターンを作製した。
コンピュータからデータの送信を開始してからレジストパターンが作製されるまでに要した時間は4分であった。
帯電以降の処理が省かれたが、露光感度が電子写真感光体に比べ低いため、実施例1よりはより多くの時間がかかった。
【0061】
その後、30℃に加熱した1質量%炭酸ナトリウム溶液をスプレーした後、水道水で洗浄し、トナーで被覆されていない部分の電子写真感光層を溶出除去した後、45℃に加熱した塩化第二鉄水溶液をスプレーして露出した銅部を除去した。更に、50℃に加熱した3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、残存しているトナー及び電子写真感光層を除去して基材の両面に配線パターンを得た。
【0062】
得られたプリント配線板の配線パターン形成面は、両面共に汚れがなく、配線パターンの線幅も表裏、及び基板全面にわたって良好な精度で均一で良好な配線パターンが形成されていた。また、表裏のパターンの位置関係はもちろん、穴位置とパターンとの位置関係も誤差なく、良好であった。
【0063】
ただし、その後、レジストパターン作製を日数をあけて繰り返していくと、若干の露光感度の変化が生じ、露光量の調整を行う必要が生じたが実用上問題のないレベルであった。
【0064】
比較例
所望の回路パターンをデジタルデータの形でフォトツール作製用の作画機に送信しフォトツールの描画を行った。その後、フォトツールの現像処理を経て、フォトツールが得られた。その後、フォトツール検査工程でフォトツールに欠陥等がないか検査した後、所望の回路パターンに対応したフォトツールが得られた。所望の回路パターンに従って、銅張積層板のサイズ及び必要な枚数を選択し、化学研磨処理を行った。その後、ドライフィルムラミネータでネガ型のドライフィルムのラミネーションを両面に行った後、先ほど作製したフォトツールと合わせて、両面密着露光機にて両面の露光を行い、露光部のフォトポリマー層の硬化を行い、レジストパターンを作製した。
デジタルデータの送信を(フォトツール作画機へ)開始してからレジストパターンが作製されるまでの時間は、6時間を要した。
その後、カバー層のPETフィルムの剥離を行った後、30℃に加熱した1質量%炭酸ナトリウム溶液をスプレーした後、水道水で洗浄し、未露光部の感光体層を溶出除去した後、45℃に加熱した塩化第二鉄水溶液をスプレーして露出した銅部を除去した。更に、50℃に加熱した3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、残存している感光層を除去して基材の両面に配線パターンを得た。
【0065】
得られたプリント配線板の配線パターン形成面は、良好に形成されていたが、作製までに時間を要するとともに、その後、レジストパターン作製を日数をあけて繰り返していくと、ラミネーション時の異物混入によると思われる、ドライフィルムの密着不良が散見され、断線欠陥が発生する事があった。
【0066】
【発明の効果】
以上に説明した如く、プリント配線板用レジストパターンの作製を行う際に、ロールシート状の積層材を用い、デジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行い、その露光の前後いずれかで所定のサイズに積層材の切断を行うようにしてプリント配線板用レジストパターンを作製する事で、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することができる。また、複数種類のサイズの積層材をあらかじめ準備しておいて、そのうちの一種類の積層材をデジタルデータに合わせて選択し、該積層材にデジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行う事により同様に、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することができる。また、積層材の穴明けを同時に行う事で、穴が必要な際のパターンと穴との相対位置関係が精度良く保たれる。また穴明けの工程も省かれる。また、感光層を電子写真感光層を用いる事で、良好な高感度な電子写真感光層を有する積層材を利用できるとともに、レジストパターン作製前の状態での経時に対しても安定に保管する事ができ、必要な時に必要な量のプリント配線板用レジストパターンを迅速にかつコスト安く安定に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1及び3に用いたプリント配線板用レジスト作製装置を示す概略断面構成図。
【図2】本発明の実施例2に用いたプリント配線板用レジスト作製装置を示す概略断面構成図。
【図3】本発明のプリント配線板用レジスト作製装置の一例を示す概略断面構成図。
【符号の説明】
1 ロールシート状積層材
4 定盤
5 搬送路
11 帯電手段
13 現像電極
14 絞液ロール対
15 トナー現像手段
50 露光手段
52 露光ビーム
61 巻き出し手段
71 選択投入手段
81 穴明け手段
91 切断手段
103 複数の載置手段
Claims (8)
- 絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けた積層材に露光及び必要な処理を行ってレジストパターンを形成するプリント配線板用レジストパターン作製方法において、該積層材をロールシート状の積層材を用い、デジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行い、その露光の前後いずれかで所定のサイズに積層材の切断を行う事を特徴とするプリント配線板用レジストパターン作製方法。
- 絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けた積層材に露光及び必要な処理を行ってレジストパターンを形成するプリント配線板用レジストパターン作製方法において、該積層材を、複数種類のサイズの異なる積層材をあらかじめ準備しておいて、そのうちの一種類の積層材をデジタルデータに合わせて選択し、該積層材にデジタルデータに基づいて所定のパターンの露光を行う事を特徴とするプリント配線板用レジストパターン作製方法。
- デジタルデータに合わせて積層材に穴明けを行う請求項1もしくは2記載のプリント配線板レジストパターン作製方法。
- 感光層が電子写真感光層であり、電子写真法によりレジストパターンを形成する事を特徴とする請求項1、2もしくは3記載のプリント配線板用レジストパターンの作製方法。
- 絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けたロールシート状の積層材、該ロールシート状の積層材をセットして所定の積層材を巻き出す巻き出し手段、所定のパターンをデジタルデータに基づいて該感光層表面に露光を行う露光手段、所定のサイズに積層材の切断を行う切断手段を有する事を特徴とするプリント配線板用レジストパターン作製装置。
- 絶縁性基材の少なくとも片面に少なくとも導電層、感光層をその順に設けた複数枚の枚葉の積層材もしくはロールシート状積層材を載置する複数の載置手段、その複数の載置手段から一つの載置手段を選択して、積層材を投入する選択投入手段、所定のパターンをデジタルデータに基づいて該感光層表面に露光を行う露光手段を有する事を特徴とするプリント配線板用レジストパターン作製装置。
- 積層材に穴明けを行う穴明け手段を有する事を特徴とする請求項5もしくは6記載のプリント配線板用レジストパターン作製装置。
- 感光層が電子写真感光層であり、更に帯電手段及びトナー現像手段を有する事を特徴とする請求項5、6もしくは7記載のプリント配線板用レジストパターン作製装置。
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JP2002185644A JP2004031632A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | プリント配線板用レジストパターン作製方法及び装置 |
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JP2010087396A (ja) * | 2008-10-02 | 2010-04-15 | Sumitomo Electric Printed Circuit Inc | フレキシブルプリント配線板シートの製造方法およびフレキシブルプリント配線板シートの製造装置 |
JP2011151319A (ja) * | 2010-01-25 | 2011-08-04 | Tdk Corp | チップ型電子部品の電極形成方法 |
-
2002
- 2002-06-26 JP JP2002185644A patent/JP2004031632A/ja active Pending
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