JP2004031558A - 成膜方法および装置並びにデバイスの製造方法 - Google Patents

成膜方法および装置並びにデバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大きな撥液性を有するとともに、易分解性の膜を成膜できるようにする。
【解決手段】成膜装置50は、放電部52を構成している放電チャンバ54の内部が放電用電極58によって、放電領域64と成膜処理部70とに区画してある。放電用電極58は、2枚の多孔板58a、58bによって構成してある。各多孔板58a、58bは、離間させて近接配置してある。また、多孔板58a、58bは、透孔68a、68bの位置が相互にずらされていて、成膜処理部70に配置したワーク16を放電領域64から遮っている。多孔板58a、58bは、放電チャンバ54を介して接地してあり、荷電粒子をトラップして電気的に中性な気体分子を通過させる。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの表面に薄膜を形成する成膜方法に係り、特に気体状の有機物を放電により活性化させて重合することにより成膜する成膜方法および装置並びにデバイスの製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示パネル、有機エレクトロルミネセンス表示パネルなどの電子デバイスは、各種の微細なパターンを形成することにより製造される。従来、微細なパターンは、スパッタリングや蒸着、CVDなどによるパターン材の成膜、フォトリソグラフィー技術を用いたマスクの形成、このマスクを用いて成膜したパターン材のエッチングなどの工程などを経ることにより形成される。このため、従来のパターン形成は、多くの工程を必要とするとともに、高価な装置が必要で、エネルギーの消費量も大きい。
【0003】
このため、近年、例えば半導体基板の表面に撥液性の膜(撥液膜)を形成し、半導体基板のパターンを形成する位置の撥液膜を除去し、撥液膜を除去した部分に液体のパターン材を供給して固化させることにより、所望のパターンを形成することが考えられている。
【0004】
図15は、従来の撥液膜を形成するための成膜装置の説明図である。図15において、成膜装置10は、放電部を構成している放電チャンバ12を有している。放電チャンバ12の床部には、成膜テーブル14が設けてあって、この成膜テーブル14の上に半導体基板などのワーク16を配置するようになっている。成膜テーブル14は、水冷コイルなどが内蔵してあって、ワーク16を所定の温度に冷却できるようにしてある。
【0005】
放電チャンバ12は、成膜テーブル14の上方の天井部に絶縁体18を介して放電用の電極20が取り付けてある。この放電用の電極20は、高周波電源22に接続してある。また、成膜テーブル14は、放電チャンバ12を介して接地してあり、他方の放電用電極となっている。したがって、成膜装置10は、放電チャンバ12の電極20と成膜テーブル14との間が放電領域24となっていて、後述するように、高周波電源22により電極20と成膜テーブル14との間に高周波電圧を印加することにより、放電領域24に気体放電を発生させてプラズマを生成できるようになっている。
【0006】
放電チャンバ12には、マスフローコントローラ(MFC)26を介して原料供給部28が接続してある。この原料供給部28は、液体有機原料であるフロリナート(C18)30が貯留してあって、このフロリナート30を気化させて気体状の有機物として放電チャンバ12に供給する。さらに、放電チャンバ12には、放電を容易にするためのアルゴン供給部32がMFC34を介して接続してあるとともに、四フッ化炭素(CF)供給部36がMFC38を介して接続してある。また、放電チャンバ12には、真空ポンプ40が接続してあって、放電チャンバ12内を排気して減圧し、フロリナート30の蒸発を容易にするとともに、気体放電を容易に発生させることができるようにしてある。
【0007】
上記のごとくなっている従来の成膜装置10は、放電チャンバ12内の放電領域24内に設けてある成膜テーブル14の上にワーク16を配置したのち、真空ポンプ40によって放電チャンバ12内を排気し、所定の圧力に減圧する。そして、放電チャンバ12に、原料供給部28から気化させたフロリナート30を供給するとともに、アルゴン供給部32と四フッ化炭素供給部36からアルゴンと四フッ化炭素を供給する。さらに、高周波電源22によって電極20と成膜テーブル14との間に高周波電圧を印加する。これにより、放電領域24のアルゴンが電離し、図16に示したように、ワーク16の上部の放電領域24にプラズマ42が生成される。このとき、プラズマ中の荷電粒子や中性活性種が、気体状の有機物であるフロリナート30の分子に衝突してこれを活性化する。活性化されたフロリナート30の分子は、成膜テーブル14によって冷却されているワーク16の上に堆積される。そして、ワーク16の上に堆積したフロリナート30は、プラズマ42中の電離したアルゴン照射により、結合の一部が切断されるとともに、結合が切断されたもの同士が結合して重合し、撥液性を有する有機膜であるフッ素樹脂の重合膜となる。すなわち、プラズマ42中の荷電粒子は、フロリナート30の分子の結合を切断する機能と、フロリナート30の重合を促進する機能との両方の機能を有している。
【0008】
上記のごとくして成膜した撥液性のフッ素樹脂重合膜(以下、単にフッ素樹脂膜と言うことがある)を利用してワーク16にパターンを形成する場合、通常、フッ素樹脂重合膜の所定部分に紫外線を照射して元素間の結合を切断し、フッ素樹脂膜を分解して気体化させて除去したのち、フッ素樹脂膜を除去した部分に液体パターン材料を選択的に供給し、固化する。このため、フッ素樹脂重合膜は、大きな撥液性が要求されるとともに、紫外線の照射などにより容易に分解できることが望まれる。また、フッ素樹脂重合膜は、各種の液体パターン材料と接触するため、液体パターン材料中の有機溶媒などに溶解しない耐薬品性が求められる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図15に示した成膜装置10によってフッ素樹脂膜を重合した場合、大きな撥液性を有するとともに、容易に分解する性質(易分解性)を有するフッ素樹脂重合膜を得ることが非常に困難である。すなわち、図15に示した従来の成膜装置10によってフロリナート30をワーク16の表面に重合させる場合、ワーク16がプラズマ42中に配置されているため、前記した荷電粒子による結合切断作用と、重合作用とのバランスをとることが非常に難しい。
【0010】
このため、撥液性の大きなフッ素樹脂重合膜を得ようとして高周波電源22の出力電力(放電電力)を大きくすると、アルゴンのイオンや四フッ化炭素の分解によるイオンの数が増大するとともに、これらの荷電粒子の運動エネルギーが大きくなり、これらの荷電粒子がプラズマ42に晒されているワーク16の上に堆積したフロリナート30に衝突し、フロリナート30の重合を必要以上に促進し、成膜されたフッ素樹脂重合膜の重合度が大きくなって、紫外線の照射による分解が困難となる。
【0011】
他方、撥液性を多少犠牲にして易分解性のフッ素樹脂膜を形成するために、高周波電源22の出力電力を小さくすると、耐薬品性が著しく低下し、パターンを形成するためにフッ素樹脂膜を除去した部分に液体パターン材料を供給すると、周囲のフッ素樹脂重合膜が液体パターン材料中の有機溶媒に溶け込み、パターンの機能を損ねることになる。
【0012】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、大きな撥液性を有するとともに、易分解性の膜を成膜できるようにすることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る成膜方法は、気体状の有機物を放電により活性化し、活性化した前記有機物を放電領域外に配置したワークの表面に供給して成膜させることを特徴としている。
このようになっている本発明は、放電により活性化した有機物を放電領域外に配置したワークに輸送してワークの表面に供給することにより、寿命の短い荷電粒子のほとんどを電気的に中性にすることができる。このため、有機物の重合が荷電粒子により過度に促進されるのを防止できるとともに、活性化された有機物とともに搬送されてきた活性な他の気体分子が有機物にエネルギーを与えて重合させる。しかも、分子の結合が荷電粒子によって切断されるのを抑制できるため、成膜した重合膜中の小さな分子が全体的に減少する。このため、例えば有機物としてフロリナートなどの直鎖状PFC(パーフルオロカーボン)を用いることにより、大きな撥水性を有するとともに、易分解性で耐薬品性に優れた重合膜を形成することができる。したがって、半導体基板やガラス基板に本発明に係る成膜方法を適用して撥液性の膜を成膜することにより、パターンの機能を損ねることなく、微細な、かつ高精度なパターンの形成が可能となる。
【0014】
また、本発明に係る成膜方法は、気体状の有機物を放電により活性化し、電気的に中性な気体状分子をワークに供給し、前記活性化された有機物をワークの表面で成膜させることを特徴としている。このようになっている本発明は、荷電粒子による過度の重合を阻止し、荷電粒子による結合の切断を防止できるため、前記と同様に大きな撥液性を有して易分解性かつ耐薬品性に優れた膜を形成することができる。
【0015】
電気的に中性な気体状分子のワークへの供給は、気体状分子を通過させる開口部を有し、ワークを放電領域から遮る放電用電極の、前記開口部を介して行なうことができる。このようにすると、放電用電極が荷電粒子をトラップするため、ワークを放電領域に近接して配置することが可能であり、成膜効率を高めることができるとともに、装置の設置スペースを小さくすることができる。また、気体状の有機物を活性化するための放電は、減圧下において行なうとよい。減圧すると、分子量の大きな液体状の有機物も容易に気化させることができるとともに、放電も容易に行なうことができる。また、放電は、大気圧下で行なうこともできる。大気圧下における放電によって原料有機物を活性化すると、高価な真空装置を必要とせず、設備費やランニングコストを低減することができる。
【0016】
そして、上記の成膜方法を実施するための本発明に係る成膜装置は、気体状の有機物を放電により活性化する放電部と、この放電部に前記気体状の有機物を供給する原料供給部と、前記放電部の放電領域外に設けられてワークが配置され、活性化された前記有機物が前記放電部から供給される成膜処理部とを有することを特徴としている。
【0017】
本発明は、放電領域において活性化させた気体状の有機物を放電領域外に輸送することにより、寿命の短い荷電粒子が電気的に中性化されるため、ワークの上に堆積した有機物が荷電粒子によって重合が促進され、必要以上に重合度が大きくなるのを防止でき、また荷電粒子による結合の切断が防止できて大きな撥液性を有するとともに、易分解性で耐薬品性を備えた重合膜を成膜することができる。
【0018】
また、本発明に係る成膜装置は、成膜処理部を放電部と一体に形成し、成膜処理部に配置したワークを放電領域から電気的に遮るとともに、気体分子が通過可能な開口部を有する遮蔽板を、放電部と成膜処理部との境界部に設けることができる。これにより、遮蔽板に設けた開口部を介して、電気的に中性な活性化された有機物を成膜処理室部に供給し、成膜処理部に配置したワークの表面に有機物の重合膜を形成できるとともに、ワークが荷電粒子に晒されるのを防止することができる。したがって、荷電粒子による有機物の重合が必要以上に促進されるのを阻止し、分子の結合が切断されるのを防止して大きな撥液性を有するとともに、易分解性、耐薬品性を備えた重合膜を成膜することができる。
【0019】
成膜処理部と放電部との境界部に設ける遮蔽板は、放電用電極であってよい。放電用電極自体を遮蔽板とすることにより、構造の簡素化を図ることができる。遮蔽板となる放電用電極は、ルーバ状に形成することもできる。放電用電極をルーバ状にすると、形成が容易であるとともに、装置の構造を簡素にすることができる。また、放電用電極は、相互に離間させた複数の電極部材によって構成するとともに、各電極部材に形成した開口部の位置を相互にずらせてもよい。これにより、荷電粒子がワークに衝突するのを確実に防止でき、電気的に中性な活性化された気体分子だけをワークに供給することができる。
【0020】
成膜処理部は、放電部と別体に形成し、気体流路を介して放電部に連通させることができる。これにより、放電部から成膜処理部に活性な気体分子を輸送する途中で寿命の短い荷電粒子が電気的に中性化されるため、荷電粒子による有機物の重合反応が必要以上に進むのを防止でき、分子の結合が切断されるのを防ぐことができる。そして、成膜処理部に排気手段を接続して排気するとにより、放電部の放電領域において活性化された有機物を効率的に成膜処理部に導入することができる。
【0021】
上記の成膜装置によって成膜された膜は、所定の液体に対して撥液性、もしくは親液性を有するようにできる。有機物がフッ素を含む炭素化合物である場合、これを活性化して成膜すると、撥液性の膜が得られる。また、有機物が水素を含む炭素化合物である場合、これを活性化して成膜すると、親液性の膜が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係る成膜方法および装置並びにデバイスの製造方法の好ましい実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る成膜装置の説明図である。図1において、成膜装置50は、放電部52を備えている。放電部52は、放電チャンバ54と、放電チャンバ54内に配設した一対の放電用電極56、58とから構成してある。一方の放電用電極56は、絶縁体60を介して放電チャンバ54の天井部に配設してあって、高周波電源62に接続してある。他方の放電用電極58は、放電チャンバ54の下部に、放電用電極56と対向させて取り付けてあって、放電用電極58と放電用電極56との間が放電領域64となっている。
【0023】
放電チャンバ54は、下部が成膜処理部70となっていて、放電チャンバ54の床部72に成膜ステージ74が設けてある。そして、表面に薄膜を形成する半導体基板やガラス基板などのワーク16は、成膜ステージ74の上に配置するようになっている。また、成膜ステージ74は、実施形態の場合、静電チャックを構成していて、絶縁体であるセラミックによって形成してあり、ワーク16を静電吸着する。
【0024】
前記した放電用電極58は、成膜処理部70を放電領域64から電気的に遮る遮蔽板の役割をなし、ワーク16の上方に位置していて、放電部52と成膜処理部70との境界部に配置してあって、両者を区画している。そして、放電用電極58は、この実施形態の場合、離間させて近接配置した電極部材である2枚の多孔板58a、58bからなっている。これらの多孔板58a、58bは、それぞれに形成された透孔(開口部)68(68a、68b)の位置が相互にずらされていて(図2参照)、成膜ステージ74の上に配置したワーク16を放電領域64から遮るようにしている。また、各多孔板58a、58bは、放電チャンバ54を介して接地してあって、放電領域64からワーク16に向かう荷電粒子をトラップできるようになっている。このため、成膜処理部70には、多孔板58a、58bの透孔68を通過した電気的に中性な気体分子だけが導入されるようになっている。そして、成膜処理部70と対応した放電チャンバ54の下部には、排気手段である真空ポンプ78が圧力調整弁80を設けた排気管81を介して接続してあって、成膜処理部70内を排気することにより、放電部52の放電領域64において活性化された気体分子を効率よく成膜処理部70に導入できるようにしてある。
【0025】
放電チャンバ54の放電領域64と対応した位置には、原料配管82を介して原料供給部である原料槽84が接続してある。この原料槽84には、実施形態の場合、液体の有機物であるフロリナート(C18)30が貯留してある。そして、原料槽84には、ヒータ88が設けてあって、フロリナート30を容易に気化(蒸発)させることができるようになっている。また、原料配管82には、マスフローコントローラ(MFC)90が取り付けてあって、放電チャンバ54に供給するフロリナート30の流量を任意に制御できるようになっている。ここで、気体をMFCに加圧供給して液化したのち、液体用のMFCを用いてもよい。なお、MFC90には、図示しないヒータが設けてあって、フロリナート30が凝結するのを防止している。
放電チャンバ54には、さらにアルゴン供給部92と四フッ化炭素供給部94とがMFC96、98を有する配管97、99を介して接続してあって、放電領域64にアルゴンと四フッ化炭素とを供給できるようになっている。
【0026】
このようになっている成膜装置50による成膜は、次のようにして行なわれる。まず、放電チャンバ54内の成膜処理部70に設けた成膜ステージ74の上に、半導体基板やガラス基板などのワーク16を配置する。その後、真空ポンプ78を駆動して成膜処理部70を介して放電チャンバ54の内部を排気し、所定の圧力まで減圧する。さらに、原料槽84内のフロリナート30をヒータ88によって加熱して蒸発させ、気体状の有機物として放電チャンバ54の放電領域64にアルゴン、四フッ化炭素とともに供給する。そして、真空ポンプ78によって放電チャンバ54内を排気しつつ所定の圧力に保持し、高周波電源62によって放電用電極56、58間に高周波電圧を印加し、放電領域64に存在するフロリナート30、アルゴン、四フッ化炭素の混合ガスを介した気体放電を発生させる。
【0027】
これによりアルゴンが電離し、図3に示したように、放電用電極58の上方の放電領域64にプラズマ42が発生する。アルゴンの荷電粒子は、フロリナート30や四フッ化炭素の分子に衝突し、フロリナート30、四フッ化炭素を励起したり、イオン化して活性化するとともに、これらの一部を分解する。そして、活性化された気体分子は、図3の矢印100に示したように、放電用電極58を構成している多孔板58a、58bの透孔68を通って成膜処理部70に流入する。このとき、成膜処理部70は、真空ポンプ78によって排気されているため、気体分子の単なる拡散だけでなく、放電チャンバ54の放電領域64側からの排気の流れに乗って流入するため、気体分子の成膜処理部70への導入効率を高めることができる。
【0028】
また、放電用電極58を構成している各多孔板58a、58bは、それぞれに設けた透孔68a、68bの位置がずらしてあるとともに、放電チャンバ54を介して接地してあるため、図4に示したように、アルゴンなどの荷電粒子102が多孔板58a、58bに衝突して中性化される。このため、多孔板58a、58bの透孔68を矢印100のように通過して成膜処理部70に流入する気体分子は、ほとんど電気的に中性な粒子(分子および原子)となる。そして、電気的に中性な粒子中に含まれている活性な有機物であるフロリナート30は、成膜ステージ74の上に配置したワーク16の表面に堆積する。このとき、活性なフロリナート30の分子は、相互にエネルギーを交換したり、他の電気的に中性な活性化された気体分子のエネルギーを受け取ることにより重合する。
【0029】
したがって、ワーク16の表面に成膜されるフッ素樹脂重合膜は、荷電粒子の衝突がないため、重合が必要以上に進むことがなく、また荷電粒子による分子の結合が切断されるのを防げ、大きな撥液性が得られるとともに、紫外線の照射によって容易に分解する易分解性を有し、しかも有機溶媒などに溶けにくい耐薬品性に優れたものとすることができる。
【0030】
なお、前記実施形態においては、放電用電極58を2枚の多孔板58a、58によって構成した場合について説明したが、多孔板は3枚以上であってもよい。なお、前記実施形態においては、放電用電極58をアノードとする対向電極による放電形態としたが、カソードによる電力導入を無電極放電すなわち、誘導結合型放電等とすることで、放電用電極58を遮蔽板としても良い。また、前記の放電形態を大気圧下での放電とし、成膜処理部70を、ポンプによって排気することも可能である。
【0031】
図5は、第2実施形態に係る放電用電極を模式的に示した断面図である。この放電用電極110は、前記した放電用電極58と同様に放電部52と成膜処理部70との境界部に配置される。そして、放電用電極110は、ルーバ状に形成してあって、板状の本体112に複数の開口部114が設けてある。また、放電用電極110は、本体112の開口部114の一側によろい板116が形成してある。これらのよろい板116は、先端側が下方に傾斜して開口部114の下方に位置し、本図に図示しない成膜処理部70に配置したワーク16を放電領域64から遮るようにしてある。
【0032】
この第2実施形態に係る放電用電極110を備えた成膜装置によって成膜した場合においても、前記と同様の効果を得ることができる。しかも、この第2実施形態の放電用電極110は、複数の電極部材を使用する必要がなく、形成が容易で装置を簡素にすることができる。なお、よろい板116の向き、すなわちよろい板116の先端側は、放電チャンバの排気口の反対側に向けることが望ましい。また、よろい板116の傾斜角度θ、幅dは、実験やシミュレーションなどによって適宜に設定することができる。そして、よろい板116は、本体112に枢着して傾斜角θを可変に形成してもよい。また、開口部114は、図5の紙面と直行した方向に連続させずに、下ろし金状に形成してもよい。
【0033】
図6は、第3実施形態に係る成膜装置の概略説明図である。この成膜装置120は、放電部である放電ユニット122を有している。放電ユニット122は、放電チャンバ124の床部と天井部とに放電用電極126、128が対向して配置してあって、両放電用電極126、128の間が放電領域130となっている。そして、放電領域130には、供給配管132を介してフロリナート30、アルゴン、四フッ化炭素を供給できるようにしてある。
【0034】
また、放電チャンバ124には、気体流路134を介して成膜処理部である成膜室136が接続してあり、成膜室136にワーク16を配置するようになっている。さらに、成膜室136には、圧力調整弁80を設けた排気管138を介して真空ポンプ78が接続してあって、放電チャンバ124の内部を成膜室136、気体流路134を介して排気、減圧できるようになっている。
【0035】
このようになっている成膜装置120は、放電ユニット122の放電チャンバ124にフロリナート30、アルゴン、四フッ化炭素を供給し、放電領域130にプラズマを発生させる。そして、発生させたプラズマを気体流路134によって成膜室136に輸送し、ワーク16に供給する。プラズマ中の荷電粒子は、成膜室136に搬送される途中において電子と再結合し、電気的に中性となる。このため、成膜室136に供給された活性なフロリナート30は、荷電粒子によって過度に重合が進むことがなく、分子の結合の切断が防止され、前記と同様に大きな撥液性を有し、易分解性で耐薬品性に優れた重合膜を形成できる。
【0036】
なお、前記実施形態においては、フロリナートを重合して撥液膜を成膜する場合について説明したが、成膜用の有機物はこれに限定されるものではない。そして、前記実施の形態においては、有機物がフロリナート30である場合について説明したが、撥液性の膜を形成する場合、フッ素を含有する他の炭素化合物を用いることができる。また、有機物として水素を含有する炭素化合物を用いることにより、親液性の重合膜を成膜することができる。また、前記実施形態においては、減圧した放電チャンバ内において気体放電を発生させ、有機物を活性化する場合について説明したが、有機物の活性化は、大気圧またはその近傍の圧力下における気体放電によって行なってもよい。
【0037】
【実施例】
図1に示した実施形態に係る成膜装置50と図15に示した従来の成膜装置10とを用いてフッ素樹脂の重合膜をワークの表面に形成し、これらのフッ素樹脂膜の撥液性と紫外線の照射による分解性とを比較した。ワークは、シリコンウエハ(半導体基板)を使用した。また、成膜装置50のワーク16と多孔板58bとの距離aは約20mm、多孔板58a、58bの間隔bは約5mmに設定した(図3参照)。そして、多孔板58a、58bは、市販のいわゆるパンチングメタルであって、透孔68の直径は約10mmである。
【0038】
上記の成膜装置10、50によって成膜した重合膜の分解は、図7に示した方法によって行なった。すなわち、フッ素樹脂重合膜を成膜したワーク(基板)76を処理テーブル140の上に配置するとともに、その上方にXeタイプのエキシマ紫外線光源142を設置し、上方から基板76に紫外線144を照射して行なった。また、基板76とエキシマ紫外線光源142とは、局所排気フード146によって覆った。なお、分解の効果(状態)は、膜厚を直接することが困難であるため、n−デカンに対する接触角の大小によって判断した。
【0039】
図8は、特性の比較結果を示したものであって、横軸が成膜したフッ素樹脂重合膜に紫外線144を照射した時間(単位:分)であり、縦軸がフッ素樹脂重合膜のn−デカンに対する接触角(単位:度)である。そして、図8の●で示した曲線Aが図1に示した実施形態の成膜装置50により、基板76を放電用電極58によって放電領域64から遮蔽して成膜した実施例のフッ素樹脂重合膜についての分解実験の結果である。この実施例のフッ素樹脂重合膜の成膜条件は、放電電力が600W、放電圧力(放電領域64の圧力)が約106.7Pa(0.8Torr)である。また、放電領域64に供給したガスの量は、フロリナートが25mL/min、アルゴンが150mL/min、四フッ化炭素が120mL/minであって、成膜時間が15分である。
【0040】
また、図8の曲線B〜Dが従来の成膜装置10によって基板76を放電領域24(プラズマ42中)に配置して成膜した比較例の分解実験の結果である。そして、◆で示した曲線B(以下、比較例Bという)の成膜条件は、最良の接触角(撥液性)が得られるような条件によって成膜したものであって、放電電力が800W、放電圧力が約133.3Pa(1Torr)である。また、放電領域に供給したガスの量は、フロリナートが20mL/min、アルゴンが100mL/min、四フッ化炭素が120mL/minであって、成膜時間が15分である。
【0041】
■によって示した曲線C(以下、比較例Cという)のフッ素樹脂重合膜は、紫外線の照射によって分解可能な重合膜が得られるような成膜条件で成膜したものであって、放電電力が450W、放電圧力が約133.3Pa(1Torr)である。そして、ガスの供給量は、フロリナートが20mL/min、アルゴンが100mL/min、四フッ化炭素が120mL/minであって、成膜時間が15分である。さらに、▲によって示した曲線D(以下、比較例Dという)のフッ素樹脂重合膜は、成膜条件が実施例Aの場合と同じであるが、基板76を放電領域24に配置してプラズマ42に晒して成膜した点だけが異なっている。すなわち、比較例Dの場合の成膜条件は、放電電力が600W、放電圧力が約106.7Pa(0.8Torr)、フロリナートの流量が25mL/min、アルゴンの流量が150mL/min、四フッ化炭素の流量が120mL/minであって、成膜時間が15分である。
【0042】
図8に示されているように、実施例Aのフッ素樹脂重合膜は、成膜直後のn−デカンに対する接触角が約74度と大きな撥液性(撥水性)を有している。しかし、実施例のフッ素樹脂重合膜は、紫外線144を15分間照射することにより、接触角が22度程度に低下し、紫外線144によって分解され、基板76からほぼ除去されたことがわかる。
【0043】
一方、従来の成膜装置10を用いて基板76を放電領域24中に配置し、大きな撥液性が得られるような条件で成膜した比較例Bのフッ素樹脂重合膜は、成膜直後のn−デカンに対する接触角が約74度と実施例Aの場合とほぼ同様であった。しかし、比較例Bのフッ素樹脂重合膜は、紫外線144を15分間照射しても接触角があまり変化せず、紫外線144によって分解が困難であることを示している。これは、比較例Bのフッ素樹脂重合膜の場合、基板の表面に堆積したフロリナートが高エネルギーの荷電粒子に晒されて重合が進み、重合度が大きくなったためと考えられる。
【0044】
また、比較例Cのフッ素樹脂重合膜は、成膜直後のn−デカンに対する接触角が68度とやや低く、実施例Aや比較例Bのフッ素樹脂重合膜に比較して撥液性がやや劣る。そして、紫外線144を照射すると、接触角が急速に低下し、紫外線144によって容易に分解されることを示している。また、比較例Cのフッ素樹脂重合膜は、アセトンやケトンなどの有機溶媒に可溶であって、耐薬品性に劣っている。これは、荷電粒子によって分子の結合が切断され、重合膜中に比較的小さな分子が多く含まれているためと考えられる。
【0045】
そして、比較例Dのフッ素樹脂重合膜は、成膜直後のn−デカンに対する接触角が約68度と比較例Cの場合とほぼ同様であった。また、比較例Dのフッ素樹脂重合膜は、紫外線の照射によって次第に分解されるが、紫外線を15分間照射してもn−デカンに対する接触角が約25度とやや大きく、やや分解しにくい。これは、比較例Cの場合より放電電力が大きいため、荷電粒子の運動エネルギーが大きくなり、重合が促進されてやや重合度が大きくなっているものと考えられる。
なお、本実施例では、紫外線を用いてフッ素樹脂重合膜を分解する例を示したが、分解に使用する電磁波は、紫外線に限定されるものではなく、レーザー、電子ビーム等でも同様の効果が得られる。
【0046】
次に、上記の成膜装置、成膜方法を適用したデバイスの製造方法の例示として、有機エレクトロルミネセンス(有機EL)装置とカラーフィルタとの製造方法を説明する。
図9ないし図12は、有機EL装置の製造工程の説明図である。有機EL装置の製造は、まず、図9に示したように、ガラス基板150の上面に二酸化ケイ素(SiO )などからなる下地保護膜152をCVDなどにより形成する。その後、下地保護膜152の上に薄膜トランジスタ(TFT)154などの回路素子を有する回路素子部156を形成する。この回路素子部156は、従来と同様の工程によって形成される。
【0047】
回路素子部156の薄膜トランジスタ154は、下地保護膜152の上にCVDなどによって成膜された多結晶シリコン膜を、フォトリソグラフィー技術を利用したエッチングにより形成した島状の半導体層158を有する。さらに、薄膜トランジスタ154は、半導体層158を覆ったゲート酸化膜160と、このゲート酸化膜160の上に形成したゲート電極162とを備えている。そして、回路素子部156は、薄膜トランジスタ154を覆った第1層間絶縁膜163と第2層間絶縁膜164とが設けられている。また、薄膜トランジスタ154のソース領域(図示せず)は、コンタクトホールを介して第2層間絶縁膜164の上面に設けた画素電極166に電気的に接続してある。薄膜トランジスタ154のドレイン(図示せず)は、コンタクトホールを介して第1層間絶縁膜163の上面に形成した電源線168に電気的に接続してある。
【0048】
回路素子部156を形成したのちは、回路素子部156の上に発光素子部を形成する。前記した画素電極166は、発光素子部を構成しており、画素電極形成工程においてITOなどの透明な導電膜によって形成される。すなわち、画素電極166は、第2層間絶縁膜164の上にITOなどの透明電極材をスパッタリングなどによって成膜したのち、フォトリソグラフィー技術を利用したエッチングにより、透明電極をエッチングして形成する。
【0049】
その後、バンク部形成工程によって、第2層間絶縁層164の露出している部分にバンク部172を形成する。このバンク部172は、無機バンク層172aと撥液性バンク層172bとからなっている。無機バンク層172aは、次のようにして形成する。まず、第2層間絶縁膜164と画素電極166とを覆って二酸化化ケイ素や二酸化チタン(TiO2 )などの無機物膜を、CVDやスパッタリング、蒸着などによって設ける。そして、フォトリソグラフィー技術を利用して無機物膜をエッチングし、画素電極166を露出させた無機バンク層172aにする。さらに、この無機バンク層172aと画素電極166との表面を酸素プラズマなどに晒し、親液処理を行なう。
【0050】
次に、無機バンク層172aの上に撥液性バンク層172bを形成する。この撥液性バンク層172bは、図1に示した成膜装置50を利用して形成される。すなわち、無機バンク層172aを設けたガラス基板150を図1の放電チャンバ54内の成膜処理部70に搬入する。その後、上記したように、放電チャンバ54にフロリナート30、四フッ化炭素、アルゴンを導入する。そして、放電チャンバ54内に気体放電を発生させ、活性なフロリナート30を放電処理部70に導き、画素電極166、無機バンク層172aの上にフッ素樹脂重合膜を所定厚さ形成する。次に、ガラス基板150を成膜処置部70から取り出す。そして、形成したフッ素樹脂重合膜の上部に、画素電極166に対応した部分に開口を有するマスク(図示せず)を配置する。その後、このマスクを介してフッ素樹脂重合膜に紫外線を照射し、画素電極166に対応する部分のフッ素樹脂重合膜を分解除去することにより、撥液性バンク層172bが形成される。
【0051】
その後、図11に示した機能層を構成する正孔注入/輸送層178を形成する工程を行なう。この正孔注入/輸送層形成工程は、正孔注入/輸送層材注入工程と、乾燥処理工程とを有している。正孔注入/輸送層材注入工程は、図10に示したように、液滴吐出装置174を用いて行なわれる。この液滴吐出装置174は、実施形態の場合、インクジェットプリンタのプリンタヘッドと同様の機構を有している。そして、液滴吐出装置174とガラス基板150とは、二次元的に相対移動可能となっている。したがって、正孔注入/輸送層材注入工程においては、液滴吐出装置174とガラス基板150とを相対移動させて液滴吐出装置174を任意の画素電極166の上方に配置し、画素電極166の上に正孔注入/輸送層を形成する組成物液176を画素電極166の上に選択的に吐出し、撥液性バンク層172bに形成した開口172cに組成物液176を充填する。組成物液176としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させたものを用いることができる。
【0052】
その後、乾燥処理工程において組成物液176中の極性溶媒を蒸発させ、図11に示したように、正孔注入/輸送層178にする。この乾燥処理を行なうと、組成物液176に含まれる極性溶媒の蒸発は、主に無機物バンク層172aおよび撥液性バンク層172bに近いところで起き、極性溶媒の蒸発に伴い正孔注入/輸送層形成材料からなる周縁部178aが正孔注入/輸送層178の周囲に形成される。
【0053】
次に、正孔注入/輸送層178とともに機能層を構成する発光層の形成工程を行なう。この発光層形成工程は、発光層材注入工程と乾燥工程とを有する。発光層材注入工程は、前記の正孔注入/輸送層材注入工程において使用した液滴吐出装置174と同様の液滴吐出装置を用い、液滴吐出装置とガラス基板150とを相対移動させ、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応した発光層材液180(180a、180b、180c)を所定の正孔/輸送材層178の上に吐出して行なう。そして、発光層材液180を撥液性バンク層172bの開口172cに充填したならば乾燥工程を行ない、発光層材液180を乾燥させて赤、緑、青に対応した発光層182(182a、182b、182c)を形成する(図12参照)。これにより、機能層184(184a〜184c)の形成工程が終了し、発光部185が形成される。
【0054】
引き続き、陰極形成工程を行ない、発光層182および撥液性バンク層172bの上に陰極186を形成する。これにより、画素電極166、正孔注入/輸送層178、発光層182、陰極186からなる発光素子部188が形成させる。そして、発光素子部188を形成したガラス基板150を封止工程に搬送し、ガラス基板150と図示しない封止基板とを封止樹脂によって封止することにより、有機EL装置を構成する有機ELパネルが形成される。
【0055】
なお、前記実施例の有機EL装置の製造方法においては、半導体層158や画素電極166などをフォトリソグラフィー技術を利用して形成する場合について説明したが、これらを本発明に係る成膜装置、成膜方法を利用して形成してもよい。例えば、島状の半導体層158を形成する場合、下地保護膜152を設けたガラス基板150を図1に示した成膜装置50の成膜処理部70に配置する。そして、前記したと同様にして下地保護膜152の上にフッ素樹脂重合膜を形成する。その後、島状半導体層158を形成する部分のフッ素樹脂重合膜を紫外線を照射して除去する。さらに、フッ素樹脂重合膜を除去した部分に、シリコンの微粉末を含んだ液体成膜材料を充填し、乾燥、必要に応じて焼成を行なう。その後、基板150の全面に紫外線を照射して残存しているフッ素樹脂重合膜を除去することにより、島状半導体層158が形成される。ゲート電極162や電源線68、画素電極166、無機バンク層172aなども同様にして形成することができる。
【0056】
図13、図14は、カラーフィルタの製造工程の一例の概略を示したものである。このカラーフィルタの製造工程は、先ず図13(1)に示すように、ガラス基板200の表面に光遮断のためのクロム膜202を成膜する。次に、図13(2)に示すように、クロム膜202の上にフォトレジスト膜204を設ける。そして、フォトマスク(図示せず)を介して露光し、さらに現像して図13(3)に示したように、レジスト膜204を所定の形状にパターニングし、カラーフィルタ素子に対応した部分のクロム膜202を露出させる。次に、図13(4)のように、フォトレジスト膜204をマスクにしてクロム膜202の露出部をエッチングし、クロム膜202をパターンニングする。そして、レジスト膜204を剥離して、図13(5)のように、クロム膜202からなるブラックマトリックスを完成させる。
【0057】
その後、ガラス基板200に対してバンク形成工程を行なう。このバンク形成工程は、まず、ブラックマトリックスを形成したガラス基板200を図1に示した成膜装置50の成膜処理部70に配置する。そして、前記したように、成膜装置50の放電チャンバ54内にフロリナート、四フッ化炭素、アルゴンを導入して気体放電を発生させ、図14(1)に示したように、ブラックマトリックスを設けたガラス基板200の上にフッ素樹脂重合膜206を成膜する。次に、ガラス基板200を成膜処理部70から取り出し、フッ素樹脂重合膜206の上にマスクを配置する。そして、マスクを介してフッ素樹脂重合膜206に紫外線を照射し、クロム膜202が設けられていない部分のフッ素樹脂重合膜206を除去し、図14(2)に示したように、クロム膜202の表面に撥液性バンク208を形成する。
【0058】
その後、撥液性バンク208に設けた開口部210のそれぞれに、同図(3)に示したように、液体状態の赤色(R)着色樹脂212、緑色(G)着色樹脂214、青色(B)着色樹脂216を充填する。この着色樹脂の充填は、前記と同様の構造を有する液滴吐出装置220によって行なうことができる。次に、開口部210に着色樹脂が充填されたガラス基板200を乾燥工程に搬入し、着色樹脂212、214、216を乾燥させる。これにより、図14(4)に示したように、撥液性バンク208の開口部210内にR、G、Bのカラーフィルタ素子が形成される。
【0059】
なお、デバイスの製造方法の例示として、カラーフィルタ、有機EL装置に関して説明したが、本発明の成膜方法および成膜装置は、これらの製造方法に限られず、例えば、基板上に金属配線を形成する際のバンク形成や、TFTなどの半導体素子の製造工程にも適用できることは言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、ワークが荷電粒子に晒されないため、荷電粒子によって重合が必要以上に進むのを防止できるとともに、分子の結合が切断されるのを防ぐことができ、重合度の制御が比較的容易となって、撥液性が大きく、易分解性で耐薬品性に優れた重合膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る成膜装置の説明図である。
【図2】実施の形態に係る放電用電極の平面図である。
【図3】実施の形態に係る放電用電極の作用を説明する図である。
【図4】実施の形態に係る放電用電極による荷電粒子のトラップ作用を説明する図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る放電用電極を模式的に示した断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る成膜装置の説明図である。
【図7】フッ素樹脂重合膜を分解、除去する方法の説明図である。
【図8】実施形態の方法により成膜したフッ素樹脂重合膜と従来の方法により成膜したフッ素樹脂重合膜との特性の比較結果を示す図である。
【図9】実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一部を説明する図である。
【図10】実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一部を説明する図であって、図9に続く工程の説明図である。
【図11】実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一部を説明する図であって、図10に続く工程の説明図である。
【図12】実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一部を説明する図であって、図11に続く工程の説明図である。
【図13】実施の形態に係るカラーフィルタの製造工程の一部を説明する図である。
【図14】実施の形態に係るカラーフィルタの製造工程の一部を説明する図であって、図13に続く工程の説明図である。
【図15】従来の成膜装置の説明図である。
【図16】従来の成膜装置による成膜方法を説明する図である。
【符号の説明】
16………ワーク、30………有機物(フロリナート)、50、120………成膜装置、52、122………放電部、54、124………放電チャンバ、56、58、110………放電用電極、58a、58b………電極部材(多孔板)、62………高周波電源、64、130………放電領域、68a、68b………開口部(透孔)、70………成膜処理部、78………排気手段(真空ポンプ)、84………原料供給部(原料槽)、114………開口部、126、128………放電用電極、134………気体流路、136………成膜処理部(成膜室)。

Claims (13)

  1. 気体状の有機物を放電により活性化し、活性化した前記有機物を放電領域外に配置したワークの表面に供給して成膜させることを特徴とする成膜方法。
  2. 気体状の有機物を放電により活性化し、電気的に中性な気体状分子をワークに供給し、前記活性化された有機物をワークの表面で成膜させることを特徴とする成膜方法。
  3. 請求項2に記載の成膜方法において、前記活性な有機物のワークへの供給は、気体分子を通過させる開口部を有し、前記ワークを放電領域から遮る放電用電極の、前記開口部を介して行なうことを特徴とする成膜方法。
  4. 気体状の有機物を放電により活性化する放電部と、この放電部に前記気体状の有機物を供給する原料供給部と、前記放電部の放電領域外に設けられてワークが配置され、活性化された前記有機物が前記放電部から供給される成膜処理部とを有することを特徴とする成膜装置。
  5. 請求項4に記載の成膜装置において、前記成膜処理部は、前記放電部と一体に形成され、前記成膜処理部に配置した前記ワークを前記放電領域から電気的に遮るとともに、気体分子が通過可能な開口部を有する遮蔽板を、前記放電部と前記成膜処理部との境界部に設けたことを特徴とする成膜装置。
  6. 請求項5に記載の成膜装置において、前記遮蔽板が放電用電極あることを特徴とする成膜装置。
  7. 請求項6に記載の成膜装置において、前記放電用電極は、ルーバ状に形成してあることを特徴とする成膜装置。
  8. 請求項6に記載の成膜装置において、前記放電用電極は、相互に離間させた複数の電極部材によって構成するとともに、前記各電極部材に形成した前記開口部の位置を相互にずらせてあることを特徴とする成膜装置。
  9. 請求項4に記載の成膜装置において、前記成膜処理部は、前記放電部と別体に形成され、気体流路を介して前記放電部に連通させてあることを特徴とする成膜装置。
  10. 請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の成膜装置において、前記成膜処理部は、排気手段が接続してあることを特徴とする成膜装置。
  11. 請求項4ないし請求項10のいずれかに記載の成膜装置において、前記気体状の有機物が、フッ素を含有する炭素化合物であることを特徴とする成膜装置。
  12. 請求項4ないし請求項10のいずれかに記載の成膜装置において、前記気体状の有機物が、水素を含有する炭素化合物であることを特徴とする成膜装置。
  13. 所定箇所に機能性液体が成膜されてなる基板を有するデバイスの製造方法であって、請求項4ないし請求項12のいずれかに記載の成膜装置による成膜工程を有することを特徴とするデバイスの製造方法。
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