JP2004031537A - Xyステージおよび電子顕微鏡装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】近年,半導体検査観察用の電子顕微鏡においては、ウェハの大口径化に対応して、真空チャンバ内に大型試料ステージが備えられ、極力軽量かつ簡略な構造で、かつ高倍率の観察を実現するために高精度が要求される。
本発明により、軽量かつ簡略な構造で、ベースの歪に対しても精度の低下が小さい電子顕微鏡用XYステージを実現する。
【解決手段】ウェハテーブルに備えた3つの2次元超音波モータにより、ウェハテーブルをベースの水平案内面上に支持すると共に、ウェハテーブルが回転を伴わない平行移動のみ可能なように、ウェハテーブルとベース端部をリンク機構により結合した。
【選択図】 図1
本発明により、軽量かつ簡略な構造で、ベースの歪に対しても精度の低下が小さい電子顕微鏡用XYステージを実現する。
【解決手段】ウェハテーブルに備えた3つの2次元超音波モータにより、ウェハテーブルをベースの水平案内面上に支持すると共に、ウェハテーブルが回転を伴わない平行移動のみ可能なように、ウェハテーブルとベース端部をリンク機構により結合した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主に電子顕微鏡用の試料ステージにかかわり,特に半導体素子製造分野における検査観察用の電子顕微鏡用試料ステージに関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波モータを駆動機構に応用した電子顕微鏡用XYステージの機構の例としては、特開2000−58629号公報に記載のものがある。
特開2000−58629号公報に記載の例では,クロスローラガイドで支持したテーブル構造を2段に積重ね、そのおのおのを超音波モータにより駆動する構造のXYステージ構成が開示されている。
【0003】
超音波モータは真空チャンバ内に持ち込んでも真空度を悪化させることが無く、また、磁力線を発生しないため電子ビームに悪影響を与えることが無い一方で、高精度の位置決めが可能で、メンテナンス性に優れる特長を有するため、本開示例の構成により良好な特性を有するXYステージを実現することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年,電子顕微鏡は半導体素子の製造分野において検査・観察用途に多く用いられているが、半導体検査観察用の電子顕微鏡においては、直径300ミリメートルのウェハの全面を非破壊で観察する必要から、真空チャンバ内にXY移動可能な大型試料ステージが備えられている。このXYステージには、極力軽量かつ簡略な構造で、特に真空チャンバの外寸を小さくするためにステージ自体の体格がなるべく小さいこと、また高倍率の観察を実現するために高精度であることなどが要求される。
【0005】
しかるに、特開2000−58629号公報に開示された例では、X方向の移動機構とY方向の移動機構を縦に積重ねているため、どうしても体格が大きく、また構造もやや複雑になってしまうという問題がある。
【0006】
また、同じく本開示例では、XYステージは真空チャンバに固定されているが、真空チャンバ内を大気圧から真空に減圧する際、一般に真空チャンバの壁や底板は大気圧を受けて最大100マイクロメータ程度内側に向けてたわむことが知られている。本開示例では、この影響で真空チャンバ底板に固定されたベースが歪むと、拘束剛性の強いクロスローラを用いているため、その歪みがウェハテーブルに伝わりやすいという問題がある。
【0007】
また、ステージ構造自体の背が高いため、ベースの歪による案内機構の傾きの微小な変化の影響がウェハテーブルのXY面内の移動量に現れやすく、高精度を維持するのが難しいという問題がある。
【0008】
本発明の目的は,これらの問題点を解決し,軽量かつ簡略な構造で、ベースの歪に対しても精度の低下が小さい電子顕微鏡用試料ステージを実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、ベース上に設けられた水平案内面上をXY方向に移動可能なウェハテーブルを備えたXYステージにおいて、ウェハテーブルに2次元超音波モータを固定し、この2次元超音波モータがウェハテーブルを水平案内面上に支持する構造とした。
【0010】
また、本発明では、ウェハテーブルに3つの2次元超音波モータを設け、この2次元超音波モータによりウェハテーブルが水平案内面上に3点で支持される構造とした。
【0011】
さらに、本発明では、ウェハテーブルとベースをリンク機構によって平行移動のみ可能なように結合した。
【0012】
さらに、本発明では、ウェハステージのXY方向の移動量およびXY面内での回転量を測定する測長系と、測定された移動量および回転量にもとづき2次元モータの操作量を出力するサーボ回路を設けた。
【0013】
また、本発明の別の一形態では、上記手段により構成したXYステージを電子顕微鏡装置内に設けた。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例であるXYステージを示す斜視図であり、図2は同XYステージを示す平面図である。本XYステージはベース1、ウェハテーブル3、およびウェハテーブル3を移動させるための駆動機構等から構成されている。
【0015】
本実施例においてベース1は真空チャンバ2に固定されており、その上面には水平滑り面4が設けられている。ウェハテーブル3は水平滑り面4上に、図中XおよびY方向に2次元的に移動可能に設置されている。
【0016】
ウェハテーブル3には、3つの2次元超音波モータ5と、ウェハテーブルの座標およびXY面内の回転量すなわちヨーイングを測定するための測長ミラー47が設置されている。また、ウェハテーブル3は、関節部A10、関節部B11、関節部C12、アームA13、アームB14からなるリンク機構6により、ベース1に対し移動不可能に固定されたリンクベース21と結合されている。
【0017】
図2は本実施例であるXYステージの平面図であり、(A)はウェハテーブル3がX、Y方向ともにストロークの中心付近にある場合、(B)および(C)はウェハテーブル3がストロークの端付近にある場合を示している。いずれの場合も、リンク機構6の効果により、ウェハテーブル3のXY面内の回転が抑圧されるため、たとえウェハテーブル3が高速に移動したとしても、ミラーの傾きによりレーザ干渉法を用いた座標測定が不可能になることは無い。
【0018】
図3は2次元超音波モータ5の取付状態をウェハテーブル3の下方より見た斜視図であり、図4は2次元超音波モータ5の構造及び動作原理を示す図である。2次元超音波モータ5はウェハテーブル3に設けた貫通穴に挿入され、支持部44が貫通穴の壁面に設けた溝部に嵌合することによりウェハテーブル3に対し固定されている。接地部43はウェハテーブル3の下面から突き出しているため、ウェハテーブル3は2次元超音波モータ5により水平滑り面4上に支持されることになる。本実施例では、3つの超音波モータを用いているため、水平滑り面4の平面度がベース1の歪み等の原因により低下した場合でも、ウェハテーブル3はガタ等を生じることなく3点支持により安定に支持される。
【0019】
2次元超音波モータ5は、4本のピエゾカラム30の上下を固定した構造であり、それぞれのピエゾカラム30には支持部44、およびX正電極31、X負電極33、Y正電極32、Y負電極34が設けられている。X正電極31とX負電極33、Y正電極32とY負電極34はそれぞれ、ピエゾカラム30の対向する側面に固定されており、正極負極間の電圧印可により接地部43を平行移動的に微動することが可能になっている。
【0020】
ウェハテーブル3を高速に移動する際には、正極負極間に高周波電圧を印可することにより振動モータとして使用する。振動の方向は、XおよびYの各方向に対応する電極に印加する高周波電圧の比、および極性により、任意に設定することができる。
【0021】
高速移動が完了し、目標位置の近傍に停止した後には静的に電圧を印可して微動位置合わせを行うことにより、高速で高精度なテーブル移動位置決めが可能になる。この際にも、XおよびY方向の電極に印加する電圧、および極性により、微動量を2次元の面内で任意に設定することができる。
【0022】
図5は制御回路の一例を示す図である。干渉計49により得られた干渉信号S1は測長回路60に入力され、ウェハテーブル3の速度信号S4、位置信号S2、および回転量信号S3が生成される。これらの信号はそれぞれ、速度サーボ回路54、位置サーボ回路56、ヨーイングサーボ回路58に入力され、速度サーボ信号S8、位置サーボ信号S6、ヨーイングサーボ信号S5が生成される。位置サーボ信号S6とヨーイングサーボ信号S5は加算されて微動サーボ信号S7となる。
【0023】
高速移動時には、切替スイッチ61により速度サーボ信号S8をサーボ回路出力S9として選択し、ウェハテーブル3に設けた3つの2次元超音波モータ5は全て同じ速度となるように駆動する。一方、微動時には微動サーボ信号S7を選択する。この際には、ウェハテーブル3の回転誤差を補正するため、3つの2次元超音波モータ5は独立に駆動する。この方式によれば、高速移動時には、リンク機構のみによって回転の発生を抑圧し、微動時には回転も含めた位置合わせが行われるため、比較的簡略な制御回路でありながら、精密な位置合わせが行える。
【0024】
ウェハテーブル3を高速に移動する際には、正極負極間に高周波電圧を印可することにより振動モータとして使用し、目標位置の近傍に停止後には静的に電圧を印可して微動位置合わせを行うことにより、高速で高精度なテーブル移動位置決めが可能になる。
【0025】
高速移動時には、切替スイッチ61により速度サーボ信号S8をサーボ回路出力S9として選択し、微動時には微動サーボ信号S7を選択することにより、上記移動位置決め動作が実現される。この方式によれば、高速移動時には、リンク機構のみによって回転の発生を抑圧し、微動時には回転も含めた位置合わせが行われるため、比較的簡略な制御回路でありながら、精密な位置合わせが行える。
【0026】
図6は微動位置合わせの状態における、ウェハテーブル移動量と各2次元超音波モータの移動量の関係を示す図である。各2次元超音波モータの目標移動量V3は、共通の値であるウェハテーブル中心Pの移動量V1と、各モータのウェハテーブル中心Pに対する幾何学的配置及びウェハテーブルの回転量Rによって定まる回転移動量V2の和として求めることができる。従って上記の、位置サーボ信号S6とヨーイングサーボ信号S5を加算する回路構成により、回転を含めた精密位置合わせが達成されることが分かる。
【0027】
なお、本構造においては、リンク機構6の回転拘束剛性があまり高すぎると、微動時に回転量の合わせが不可能となるので、リンク機構6は高速移動時にもレーザ干渉測長が不可能にならない範囲で、ある程度剛性を低くするか、微小なガタを持たせることが望ましい。また、リンク機構6が鉛直方向の剛性を持つと、ウェハテーブル3の3点支持による安定な支持が不可能となるので、アームA13、アームB14の鉛直方向の厚みを極力小さくする、関節部A10、関節部B11、関節部C12に鉛直方向のガタを持たせる等の方法により鉛直方向剛性の低減を図ることが望ましい。
【0028】
図7は上記第1の実施例であるXYステージを組み込んだ電子顕微鏡の構造の一例を示す断面図である。XYステージの大きさを従来構造と比較すると、従来構造では、高さが概ね200mm程度あり、本発明によればステージの高さは、100mm程度に半減される。さらに、ベースの面積も従来構造に比べて半減される。したがって、従来構造のXYステージを使用した場合と比較し、ステージの全高が小さいため真空チャンバ2の高さが小さくでき、ステージ自体の軽量化とも合わせて、装置全体の重量の軽減効果が顕著である。また、大気圧や外力によるチャンバ2の歪に対しても、上記3点支持の効果によりトップテーブル3の歪みが引き起こされることがないため、高倍率における観測時にも座標ずれ等の悪影響を避けることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば,軽量かつ簡略な構造で、ベースの歪に対しても精度の低下が小さい電子顕微鏡用XYステージを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるXYステージを示す斜視図。
【図2】同XYステージを示す平面図。
【図3】2次元超音波モータの取付構造の一例を示す斜視図。
【図4】2次元超音波モータの構造の一例を示す図。
【図5】制御回路の一例を示す図。
【図6】各モータの駆動方向とテーブルの運動の関係を示す図。
【図7】本発明の一実施例である電子顕微鏡を示す断面図。
【符号の説明】
1 ………ベース、 2………真空チャンバ、
3 ……… ウェハテーブル、 4………水平滑り面、
5 ………2次元超音波モータ、 6………リンク機構、
7 ………電子光学系カラム、 8………電子ビーム、
10………関節部A、 11………関節部B、
12………関節部C、 13………アームA、
14………アームB、 15………結合材、
21………リンクベース、 30………ピエゾカラム、
31………X正電極、 32………Y正電極、
33………X負電極、 34………Y負電極、
43………接地部、 44………支持部、
47………測長ミラー、 49………干渉計、
51………レーザビーム、 52………アーム逃げ部、
53………ウェハ、 54………速度サーボ回路、
56………位置サーボ回路、 58………ヨーイングサーボ回路
60………測長回路、 61………切替スイッチ
S1………干渉信号、 S2………位置信号、
S3………回転量信号、 S4………速度信号、
S5………回転量サーボ信号、 S6………位置サーボ信号、
S7………微動サーボ信号、 S8………速度サーボ信号、
S9………サーボ回路出力、
P ………ウェハテーブル中心、 R………ウェハテーブルの回転
V1………ウェハテーブル中心移動量、V2………回転移動量、
V3………合成移動量。
【発明の属する技術分野】
本発明は主に電子顕微鏡用の試料ステージにかかわり,特に半導体素子製造分野における検査観察用の電子顕微鏡用試料ステージに関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波モータを駆動機構に応用した電子顕微鏡用XYステージの機構の例としては、特開2000−58629号公報に記載のものがある。
特開2000−58629号公報に記載の例では,クロスローラガイドで支持したテーブル構造を2段に積重ね、そのおのおのを超音波モータにより駆動する構造のXYステージ構成が開示されている。
【0003】
超音波モータは真空チャンバ内に持ち込んでも真空度を悪化させることが無く、また、磁力線を発生しないため電子ビームに悪影響を与えることが無い一方で、高精度の位置決めが可能で、メンテナンス性に優れる特長を有するため、本開示例の構成により良好な特性を有するXYステージを実現することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年,電子顕微鏡は半導体素子の製造分野において検査・観察用途に多く用いられているが、半導体検査観察用の電子顕微鏡においては、直径300ミリメートルのウェハの全面を非破壊で観察する必要から、真空チャンバ内にXY移動可能な大型試料ステージが備えられている。このXYステージには、極力軽量かつ簡略な構造で、特に真空チャンバの外寸を小さくするためにステージ自体の体格がなるべく小さいこと、また高倍率の観察を実現するために高精度であることなどが要求される。
【0005】
しかるに、特開2000−58629号公報に開示された例では、X方向の移動機構とY方向の移動機構を縦に積重ねているため、どうしても体格が大きく、また構造もやや複雑になってしまうという問題がある。
【0006】
また、同じく本開示例では、XYステージは真空チャンバに固定されているが、真空チャンバ内を大気圧から真空に減圧する際、一般に真空チャンバの壁や底板は大気圧を受けて最大100マイクロメータ程度内側に向けてたわむことが知られている。本開示例では、この影響で真空チャンバ底板に固定されたベースが歪むと、拘束剛性の強いクロスローラを用いているため、その歪みがウェハテーブルに伝わりやすいという問題がある。
【0007】
また、ステージ構造自体の背が高いため、ベースの歪による案内機構の傾きの微小な変化の影響がウェハテーブルのXY面内の移動量に現れやすく、高精度を維持するのが難しいという問題がある。
【0008】
本発明の目的は,これらの問題点を解決し,軽量かつ簡略な構造で、ベースの歪に対しても精度の低下が小さい電子顕微鏡用試料ステージを実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、ベース上に設けられた水平案内面上をXY方向に移動可能なウェハテーブルを備えたXYステージにおいて、ウェハテーブルに2次元超音波モータを固定し、この2次元超音波モータがウェハテーブルを水平案内面上に支持する構造とした。
【0010】
また、本発明では、ウェハテーブルに3つの2次元超音波モータを設け、この2次元超音波モータによりウェハテーブルが水平案内面上に3点で支持される構造とした。
【0011】
さらに、本発明では、ウェハテーブルとベースをリンク機構によって平行移動のみ可能なように結合した。
【0012】
さらに、本発明では、ウェハステージのXY方向の移動量およびXY面内での回転量を測定する測長系と、測定された移動量および回転量にもとづき2次元モータの操作量を出力するサーボ回路を設けた。
【0013】
また、本発明の別の一形態では、上記手段により構成したXYステージを電子顕微鏡装置内に設けた。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例であるXYステージを示す斜視図であり、図2は同XYステージを示す平面図である。本XYステージはベース1、ウェハテーブル3、およびウェハテーブル3を移動させるための駆動機構等から構成されている。
【0015】
本実施例においてベース1は真空チャンバ2に固定されており、その上面には水平滑り面4が設けられている。ウェハテーブル3は水平滑り面4上に、図中XおよびY方向に2次元的に移動可能に設置されている。
【0016】
ウェハテーブル3には、3つの2次元超音波モータ5と、ウェハテーブルの座標およびXY面内の回転量すなわちヨーイングを測定するための測長ミラー47が設置されている。また、ウェハテーブル3は、関節部A10、関節部B11、関節部C12、アームA13、アームB14からなるリンク機構6により、ベース1に対し移動不可能に固定されたリンクベース21と結合されている。
【0017】
図2は本実施例であるXYステージの平面図であり、(A)はウェハテーブル3がX、Y方向ともにストロークの中心付近にある場合、(B)および(C)はウェハテーブル3がストロークの端付近にある場合を示している。いずれの場合も、リンク機構6の効果により、ウェハテーブル3のXY面内の回転が抑圧されるため、たとえウェハテーブル3が高速に移動したとしても、ミラーの傾きによりレーザ干渉法を用いた座標測定が不可能になることは無い。
【0018】
図3は2次元超音波モータ5の取付状態をウェハテーブル3の下方より見た斜視図であり、図4は2次元超音波モータ5の構造及び動作原理を示す図である。2次元超音波モータ5はウェハテーブル3に設けた貫通穴に挿入され、支持部44が貫通穴の壁面に設けた溝部に嵌合することによりウェハテーブル3に対し固定されている。接地部43はウェハテーブル3の下面から突き出しているため、ウェハテーブル3は2次元超音波モータ5により水平滑り面4上に支持されることになる。本実施例では、3つの超音波モータを用いているため、水平滑り面4の平面度がベース1の歪み等の原因により低下した場合でも、ウェハテーブル3はガタ等を生じることなく3点支持により安定に支持される。
【0019】
2次元超音波モータ5は、4本のピエゾカラム30の上下を固定した構造であり、それぞれのピエゾカラム30には支持部44、およびX正電極31、X負電極33、Y正電極32、Y負電極34が設けられている。X正電極31とX負電極33、Y正電極32とY負電極34はそれぞれ、ピエゾカラム30の対向する側面に固定されており、正極負極間の電圧印可により接地部43を平行移動的に微動することが可能になっている。
【0020】
ウェハテーブル3を高速に移動する際には、正極負極間に高周波電圧を印可することにより振動モータとして使用する。振動の方向は、XおよびYの各方向に対応する電極に印加する高周波電圧の比、および極性により、任意に設定することができる。
【0021】
高速移動が完了し、目標位置の近傍に停止した後には静的に電圧を印可して微動位置合わせを行うことにより、高速で高精度なテーブル移動位置決めが可能になる。この際にも、XおよびY方向の電極に印加する電圧、および極性により、微動量を2次元の面内で任意に設定することができる。
【0022】
図5は制御回路の一例を示す図である。干渉計49により得られた干渉信号S1は測長回路60に入力され、ウェハテーブル3の速度信号S4、位置信号S2、および回転量信号S3が生成される。これらの信号はそれぞれ、速度サーボ回路54、位置サーボ回路56、ヨーイングサーボ回路58に入力され、速度サーボ信号S8、位置サーボ信号S6、ヨーイングサーボ信号S5が生成される。位置サーボ信号S6とヨーイングサーボ信号S5は加算されて微動サーボ信号S7となる。
【0023】
高速移動時には、切替スイッチ61により速度サーボ信号S8をサーボ回路出力S9として選択し、ウェハテーブル3に設けた3つの2次元超音波モータ5は全て同じ速度となるように駆動する。一方、微動時には微動サーボ信号S7を選択する。この際には、ウェハテーブル3の回転誤差を補正するため、3つの2次元超音波モータ5は独立に駆動する。この方式によれば、高速移動時には、リンク機構のみによって回転の発生を抑圧し、微動時には回転も含めた位置合わせが行われるため、比較的簡略な制御回路でありながら、精密な位置合わせが行える。
【0024】
ウェハテーブル3を高速に移動する際には、正極負極間に高周波電圧を印可することにより振動モータとして使用し、目標位置の近傍に停止後には静的に電圧を印可して微動位置合わせを行うことにより、高速で高精度なテーブル移動位置決めが可能になる。
【0025】
高速移動時には、切替スイッチ61により速度サーボ信号S8をサーボ回路出力S9として選択し、微動時には微動サーボ信号S7を選択することにより、上記移動位置決め動作が実現される。この方式によれば、高速移動時には、リンク機構のみによって回転の発生を抑圧し、微動時には回転も含めた位置合わせが行われるため、比較的簡略な制御回路でありながら、精密な位置合わせが行える。
【0026】
図6は微動位置合わせの状態における、ウェハテーブル移動量と各2次元超音波モータの移動量の関係を示す図である。各2次元超音波モータの目標移動量V3は、共通の値であるウェハテーブル中心Pの移動量V1と、各モータのウェハテーブル中心Pに対する幾何学的配置及びウェハテーブルの回転量Rによって定まる回転移動量V2の和として求めることができる。従って上記の、位置サーボ信号S6とヨーイングサーボ信号S5を加算する回路構成により、回転を含めた精密位置合わせが達成されることが分かる。
【0027】
なお、本構造においては、リンク機構6の回転拘束剛性があまり高すぎると、微動時に回転量の合わせが不可能となるので、リンク機構6は高速移動時にもレーザ干渉測長が不可能にならない範囲で、ある程度剛性を低くするか、微小なガタを持たせることが望ましい。また、リンク機構6が鉛直方向の剛性を持つと、ウェハテーブル3の3点支持による安定な支持が不可能となるので、アームA13、アームB14の鉛直方向の厚みを極力小さくする、関節部A10、関節部B11、関節部C12に鉛直方向のガタを持たせる等の方法により鉛直方向剛性の低減を図ることが望ましい。
【0028】
図7は上記第1の実施例であるXYステージを組み込んだ電子顕微鏡の構造の一例を示す断面図である。XYステージの大きさを従来構造と比較すると、従来構造では、高さが概ね200mm程度あり、本発明によればステージの高さは、100mm程度に半減される。さらに、ベースの面積も従来構造に比べて半減される。したがって、従来構造のXYステージを使用した場合と比較し、ステージの全高が小さいため真空チャンバ2の高さが小さくでき、ステージ自体の軽量化とも合わせて、装置全体の重量の軽減効果が顕著である。また、大気圧や外力によるチャンバ2の歪に対しても、上記3点支持の効果によりトップテーブル3の歪みが引き起こされることがないため、高倍率における観測時にも座標ずれ等の悪影響を避けることができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば,軽量かつ簡略な構造で、ベースの歪に対しても精度の低下が小さい電子顕微鏡用XYステージを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるXYステージを示す斜視図。
【図2】同XYステージを示す平面図。
【図3】2次元超音波モータの取付構造の一例を示す斜視図。
【図4】2次元超音波モータの構造の一例を示す図。
【図5】制御回路の一例を示す図。
【図6】各モータの駆動方向とテーブルの運動の関係を示す図。
【図7】本発明の一実施例である電子顕微鏡を示す断面図。
【符号の説明】
1 ………ベース、 2………真空チャンバ、
3 ……… ウェハテーブル、 4………水平滑り面、
5 ………2次元超音波モータ、 6………リンク機構、
7 ………電子光学系カラム、 8………電子ビーム、
10………関節部A、 11………関節部B、
12………関節部C、 13………アームA、
14………アームB、 15………結合材、
21………リンクベース、 30………ピエゾカラム、
31………X正電極、 32………Y正電極、
33………X負電極、 34………Y負電極、
43………接地部、 44………支持部、
47………測長ミラー、 49………干渉計、
51………レーザビーム、 52………アーム逃げ部、
53………ウェハ、 54………速度サーボ回路、
56………位置サーボ回路、 58………ヨーイングサーボ回路
60………測長回路、 61………切替スイッチ
S1………干渉信号、 S2………位置信号、
S3………回転量信号、 S4………速度信号、
S5………回転量サーボ信号、 S6………位置サーボ信号、
S7………微動サーボ信号、 S8………速度サーボ信号、
S9………サーボ回路出力、
P ………ウェハテーブル中心、 R………ウェハテーブルの回転
V1………ウェハテーブル中心移動量、V2………回転移動量、
V3………合成移動量。
Claims (5)
- 水平滑り面を有するベースと、
前記水平滑り面上を移動可能なウェハテーブルと、
前記ウェハテーブルを移動させる駆動体とを備え、
前記ウェハテーブルは3箇所において前記水平滑り面に接しており、その少なくとも1個所は前記駆動体の一部により構成されていることを特徴とするXYステージ。 - 前記駆動体に2次元超音波モータを用いることを特徴とする請求項1に記載のXYステージ。
- 前記ウェハテーブルの移動時に、前記ウェハテーブルが所定の角度以上の回転を生じるのを抑制するリンク機構を具備することを特徴とする請求項1に記載のXYステージ。
- 前記ウェハステージのXY方向の移動量とXY面内での回転量を測定する測定手段と、
前記移動量と前記回転量に基き、前記2次元超音波モーターの操作量を出力するサーボ回路を具備することを特徴とする請求項1に記載のXYステージ。 - 請求項1に記載のXYステージを備えたことを特徴とする電子顕微鏡装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002183965A JP2004031537A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | Xyステージおよび電子顕微鏡装置 |
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