JP2004030420A - Icカードの製造方法およびicカード - Google Patents
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Abstract
【課題】ICチップを収容するための凹所を所望の形状および深さに容易に形成でき、生産性に優れたICカードの製造方法を提供すること。
【解決手段】カード本体30の表面にICチップを収容するための凹所49を形成するにあたり、その凹所49の形成部位に、当該凹所49の形状に対応し内コアシート材26aに対して剥離性のあるフィルム片21を内蔵させておく。そして、打抜きポンチの切刃57を、フィルム片21は貫通するがカード本体30は貫通しない深さにまで進入させ、凹所49の形成部位をくりぬく。フィルム片21は内コアシート材26aから剥離して平滑な凹所底面49Aを形成し、また、所望の形状および深さの凹所49が一度の作業で容易に形成できる。
【選択図】 図4
【解決手段】カード本体30の表面にICチップを収容するための凹所49を形成するにあたり、その凹所49の形成部位に、当該凹所49の形状に対応し内コアシート材26aに対して剥離性のあるフィルム片21を内蔵させておく。そして、打抜きポンチの切刃57を、フィルム片21は貫通するがカード本体30は貫通しない深さにまで進入させ、凹所49の形成部位をくりぬく。フィルム片21は内コアシート材26aから剥離して平滑な凹所底面49Aを形成し、また、所望の形状および深さの凹所49が一度の作業で容易に形成できる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カード表面に半導体チップ(以下「ICチップ」という。)を埋め込んでなる接触型あるいは、接触型と非接触型の機能を兼ね備えたハイブリッド型ICカードの製造に用いて好適なICカードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ICカードの通信方式には接触型と非接触型の2つのタイプが知られている。接触型ICカードは、カード表面に埋め込んだICチップをリーダーライタに接触させて通信する方式のICカードである。他方、非接触型ICカードは、アンテナ配線に接続されたICチップがカードに内蔵されており、リーダーライタと非接触で通信を行う方式のICカードである。
【0003】
図11A〜Cは、従来の接触型ICカードの製造方法を示している。接触型ICカード9は、内コアシート材6、外コアシート材7および外装シート材8を積層し加熱プレスして製作したカード本体1の表面に、ミリング、フライスあるいはルータ等の切削機2を用いてICチップ4を収容するための凹所3を形成し、形成した凹所3内に接着剤5を滴下してICチップ4を埋め込み接着して製造される。接触型ICカード9は、カード表面に露出したICチップ4の端子4aを介して通信がなされる。
【0004】
一方、ICカードの通信方式として接触型と非接触型の2つのタイプを併せ持ったハイブリッド型ICカードおよびコンビネーション型ICカードもまた知られている。ハイブリッド型ICカードは、接触用/非接触用それぞれのICチップを持ったICカードであり、コンビネーション型ICカードは、1個のICチップで接触型/非接触型の両方の機能を満足させたカードである。
【0005】
図12および図13は、ハイブリッド型ICカードの一構成例を示している。従来のハイブリッド型ICカード10は、非接触通信用のアンテナパターンが形成されたアンテナ基板11の上に非接触用ICチップ12を実装したアンテナモジュールをコアシート材13および外装シート材14で挟み込んだカード本体15を備えている。そして、製作したカード本体15の表面に、切削機を用いて接触用ICチップ17を収容するための凹所16を形成し、この凹所16内に接着剤を介して接触用ICチップ17を埋め込んだ構成となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の接触型ICカード9およびハイブリッド型ICカード10の製造方法においては、カード本体1,15の表面にICチップ4,17を埋め込むための凹所3,16を、切削機2を用いたミリングあるいはフライス加工等の切削加工によって形成するようにしている。
【0007】
しかしながら、この従来の方法では、凹所3,16の形成時に切削樹脂粉が飛散するので、加工後は除塵処理が必要であるという問題がある。特に、帯電性のある材料でカード本体1,15が形成されている場合には、切削樹脂粉が加工面周辺に付着して除塵処理が困難となり、生産性を悪化させているという問題がある。
【0008】
また、従来の方法では、凹所3,16の形成に切削機2を用いているので、切削機2の刃の移動を厳密にコントロールする必要があるのと同時に、カード本体1,15の反りや変形の程度も考慮に入れた制御を行わないと、所望とする形状および深さの凹所を形成することができないので、作業性が悪いという問題がある。
【0009】
更には、切削機2を用いて形成された凹所3,16の底面の仕上げが粗いために、ICチップ4,17を所定の平面度を維持して凹所3,16内に埋め込み接着することが難しい。また、接着剤5として両面接着シートを用いた場合には、十分な接着力が得られないという問題がある。
【0010】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、接触用ICチップを収容するための凹所を所望の形状および深さに容易に形成でき、生産性に優れたICカードの製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明のICカードの製造方法は、複数枚のカード構成用シートを積層し加熱プレスしてカード本体を製作する工程と、製作したカード本体の表面にICチップを埋め込むための凹所を形成する工程と、形成した凹所内にICチップを埋め込む工程とを有し、上記カード本体を製作する工程が、カード構成用シートに対して剥離性のあるフィルム材をICチップの埋め込み領域に対応する大きさに形成してカード構成用シートの間に配置する工程を含み、上記凹所を形成する工程が、フィルム材を貫通するがカード本体を貫通しない深さに切刃を入れてカード表面を部分的にくりぬく工程を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明では、ICチップを収容するための凹所を、切刃によるカード表面の部分的なくりぬき(刳り貫き)によって形成するようにしている。カード本体内部に配置されたフィルム材を貫通し、かつ、カード本体を貫通しない深さに切刃を入れると、当該フィルム材を境としてカード表面が部分的にくりぬかれて凹所が形成される。フィルム材は、カード構成用シートに対して剥離性のあるものが用いられるので、凹所底部はカード構成用シートの平滑な表面で構成されることになる。
【0013】
したがって、本発明によれば、ICチップを収容するための凹所を形成するに際して切削樹脂粉を発生させることはないので、加工後の除塵処理を不要とし、生産性を高めることができる。また、フィルム材をどの階層位置に配置するかで凹所の深さを決定できるので、カード本体の反りや変形等を考慮に入れることなく極めて容易に所望とする形状および深さの凹所を形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図6は、本発明の実施の形態による接触型ICカードの製造方法を示している。
【0015】
まず、図1Aに示すように、形成するべき凹所の形状に対応した打抜き刃22を有する打抜きポンチ23を用いて、テープフィルム材20からフィルム片21を型抜きする工程が行われる。符号24は、打抜き刃22からフィルム片21を取り出すためのイジェクトピンである。このフィルム片21は、図1Bおよび図1Cに示すように、複数枚のカード構成用シートの間であって、ICチップの埋め込み位置に対応する部位に配置される。
【0016】
本実施の形態では、カード構成用シートとして、内コアシート材26a,26b、外コアシート材27a,27bおよび外装シート材28a,28bのうち、内コアシート材26aと26bとの間に、フィルム片21を配置するようにしている。
【0017】
なお、内コアシート材26a,26bおよび外コアシート材27a,27bはそれぞれ、例えばポリエチレンテレフタレートグリコール(PET−G:商品名)で構成されているが、勿論、これだけに限られない。また、外装シート材は28a,28bは、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)あるいはこれとポリカーボネート(PC)との混合体等で構成され、所定の印刷絵柄や文字等が描かれるようなインク層を有していてもよい。
【0018】
フィルム片21は、例えば赤、青、紫等の有色透明系であって、内コアシート材26a,26bに対して剥離性のある材料で構成され、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムや延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムが適用可能である。また、フィルム片21の厚さは例えば0.2mmであり、その大きさは、形成するべき凹所の外形よりも若干大きな形状を呈している。
【0019】
次に、図1Bに示すように、内コアシート材26aに対してフィルム片21を仮固定する工程が行われる。フィルム片21の仮固定方法としては、アルコール系溶剤の毛細現象を利用した接着、嫌気性接着剤類による接着、超音波溶着等によるスポット溶着、熱コテを用いた仮止め等、種々の手法が適用可能である。本実施の形態では、アルコール系溶剤の毛細現象を利用した接着方法が採用されており、内コアシート材26a上にディスペンサ29を用いてアルコール系溶剤25が塗布される。
【0020】
続いて、図1Cに示すように、フィルム片21を仮固定した内コアシート材26aをはじめとする全てのカード構成用シートを丁合いしたシート積層体29を形成する。そして、図2Dに示すように、ヒータ32を内蔵した加熱プレス盤31でシート積層体29を加熱プレスするとともに、図2Eに示すように、冷却水通路34を内部に有する冷却プレス盤33でシート積層体29を冷却プレスする。以上のようにして、フィルム片21が介装されたカード本体30が製作される(図2F)。
【0021】
図3Gに示すように、フィルム片21を内蔵したカード本体30は、ステージ37上に載置された後、クランパ38によって位置決めされる。ステージ37は、X方向移動ブロック39およびY方向移動ブロック40によってX,Y方向へそれぞれ移動可能となっている。X方向移動ブロック39およびY方向移動ブロック40は、それぞれX方向電動モータ41およびY方向電動モータ42によって駆動されるようになっている。
【0022】
カード本体30は、ステージ37の上に支持された状態で後述する各種工程へ搬送されるようになっている。ステージ37の搬送は、X,Y方向移動ブロック39,40を支持する支持台47の図3Gにおいて矢印A方向に沿った移動によって行われる。支持台47は、図示せずとも電動アクチュエータによって駆動され、各工程へ連絡する直線的な搬送経路に沿って移動されるようになっている。一方、X方向移動ブロック39およびY方向移動ブロック40は、支持台47に対するステージ37の相対位置を調整するための機構である。
【0023】
さて、図3Gは、製作したカード本体30の内部に配置されたフィルム片21の位置出しを行う位置出し部51の構成を示している。位置出し部51には、搬送されたステージ37を上下方向から挟むように光源43と撮像装置44が対向配置されている。ステージ37には、光源43から照射される光を通すための開口48が形成され、当該開口48を介してカード本体30を透過する光が撮像装置44によって検出されるようになっている。
【0024】
本実施の形態では、フィルム片21が有色透明系であるので、フィルム片21の配置位置および形状を容易に認識することができる。また、フィルム片21をカード構成用シートと異なる色調の色で構成すれば、上記効果をより一層顕著にすることができる。
【0025】
撮像装置44は、本実施の形態ではCCD(Charge Coupled Device)カメラで構成され、その認識画像信号をコントローラ45へ供給するようになっている。コントローラ45は、撮像装置44からの信号に基づいてカード本体30内部のフィルム片21の外形を検出し、その出力信号をモニタ46へ供給して画像を表示できるようになっている。
【0026】
また、コントローラ45は、検出したフィルム片21の外形中心を基準座標位置に一致させるべく、X,Y方向電動モータ41,42の駆動を制御してステージ37の位置の調整を行うことができるようになっている。ここで、上記「基準座標位置」は、図3Hに示すフィルム打抜き部52に設置される打抜きポンチ56の軸心と一致する位置に設定されている。
【0027】
すなわち、カード本体30は、この位置出し部51において、ステージ37上でフィルム片21の配置位置が検出されるとともに、フィルム片21の配置位置が上記基準座標位置と一致するように、X,Y方向移動ブロック39,40の駆動により支持台47に対する相対位置が調整される。その後、カード本体30は、支持台47の移動により図3Hに示すフィルム打抜き部52へと搬送される。
【0028】
フィルム打抜き部52には、図3Hに示すように、ステージ37の直上方に打抜きポンチ56が設置されている。打抜きポンチ56は、チップ収容用の凹所を形成するための中空で筒形の打抜き刃でなる切刃57を備えており、当該切刃57の形状がそのまま凹所の形状に対応している。切刃57は、フィルム片21の面内領域を打ち抜く大きさに形成され、例えばエアシリンダ等でなる作動シリンダ59によって昇降可能となっている。
【0029】
切刃57の下降位置は、調整用ナット60と作動シリンダ59上部との当接位置に規制されている。カード本体30に対する切刃57の進入量は、フィルム片21を貫通するが、カード本体30を貫通しない深さに設定される。
【0030】
なお、打抜きポンチ56は、取付部材61を介して図示しない搬送アームに接続されており、図3Hに示すフィルム打抜き位置と、図5Iに示す待機位置との間を移動できるようになっている。
【0031】
このフィルム打抜き部52において、カード本体30は、ステージ37上にクランパ38で位置決めされた状態で支持される。フィルム片21の外形中心は、前段の位置出し部51において打抜きポンチ56の軸心と一致されている。そして、図3Hに示すフィルム打抜き位置にある打抜きポンチ56の作動シリンダ59が駆動されることによって、カード本体30の表面からフィルム片21の配置階層部にかけて切刃57が進入する(図4A,B)。これにより、フィルム片21が打ち抜かれる。なお、切刃57の進入量はカード本体30の厚さ範囲内に設定されているので、切刃57がカード本体30を貫通することはない。
【0032】
そして、カード本体30から切刃57を抜き取ることにより、カード本体30の表面が部分的にくりぬかれた凹所49が形成される(図4C)。凹所49の底部49Aは、フィルム片21が剥離して露出された内コアシート材26aのシート面で形成されるので、平滑な底面を得ることができる。また、切刃57がフィルム片21の面内領域を打ち抜くようにしているので、凹所49の形成を確実に行うことができる。
【0033】
したがって、この場合は、凹所49の底部49A周囲を囲むように、フィルム片21の周縁部21aがカード本体30の内部に残存することになる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、打抜きポンチ56の作動時に切刃57のプレス作用でカード本体30に生じていた反りや変形等が緩和されるために、従来のように当該反りや変形の程度を考慮に入れた加工調整が不要となり、一度のプレス作業できわめて容易に所望とする形状および深さの凹所49を形成することができる。
【0035】
しかも、従来の切削加工によらないで凹所49を形成するようにしているので、切削樹脂粉の飛散は皆無であり、したがって、加工後の除塵処理を不要として生産性の飛躍的な向上を図ることができる。
【0036】
さて、凹所49を形成した後、打抜きポンチ56は図5Iに示す待機位置へ後退する。そこで、切刃57の内部に残ったくりぬき片50は、打抜きポンチ56のイジェクトピン58を操作することによって排除される。
【0037】
ステージ37上で支持されるカード本体30は、図5Jに示すような接着剤塗布部53へと搬送される。この工程では、フィルム打抜き部52で形成された凹所49内にディスペンサ64を用いて接着剤63が塗布される。
【0038】
凹所49内に接着剤63が塗布されたカード本体30を支持するステージ37は、次に、図6Kに示すチップマウント部54へと搬送される。この工程では、ICチップ65を真空吸着するコレット66を用いて凹所49内にICチップ65が能動面を上向きにしてマウントされる。凹所49の形状は、マウントされるICチップ65の形状に応じて決定される。なお、ICチップ65の形状は図示する形状に限られないことは勿論である。
【0039】
本実施の形態によれば、凹所49の底部49Aを平滑にすることができるので、ICチップ65をカード本体30の表面に対して平坦にマウントすることができる。また、接着剤63として両面接着シートを用いた場合でも凹所49に対する接着性を維持してICチップ65の適正な埋め込み接着力を確保することができる。
【0040】
以上のようにして、表面の凹所49に接着剤63を介してICチップ65が埋め込まれたカード本体30は、クランパ38によるクランプ作用が解除されてステージ37から取り出される(図6L,M)。以上により、接触型ICカード70が製作される。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0042】
例えば以上の実施の形態では、接触型ICカード70の製造方法を例に挙げて説明したが、これに限らず、接触用/非接触用それぞれのICチップを備えたハイブリッド型ICカードの製造にも本発明は適用可能である。
【0043】
この場合、アンテナ用配線に非接触用ICチップを実装してなるアンテナモジュールをカード構成用シートで挟み込んだカード本体をあらかじめ製作しておき、当該カード本体の表面に対して、接触用ICチップを収容するための凹所を形成することになるが、当該凹所の形成に本発明を採用することによって容易に生産性高くハイブリッド型ICカードを製造することが可能となる。
【0044】
また、以上の実施の形態では、カード一枚サイズ単位で本発明を実施する形態について説明したが、勿論これに限られず、例えば図7に示すように、カード9面とりの枚葉サイズでカード本体を一体的に形成した枚葉サイズ積層シート体71を製作し、その計9箇所にICチップ収容用の凹所72を形成する場合にも、本発明は適用可能である。
【0045】
すなわち、上述の実施の形態と同様に、凹所72の形成領域にそれぞれ剥離性のある有色透明系のフィルム片を内蔵させ、図3Gを参照して説明した位置出し部において各々のフィルム片を画像処理した後、フィルム打抜き部において順次凹所72をくりぬき形成すればよい。なお、形成した凹所72に対してICチップを埋め込んだ後は、例えば図8に示すようなカード打抜き装置75に掛けることによって、枚葉サイズ積層シート体71からカード一枚サイズの接触型ICカード76を得ることができる。
【0046】
更に、カード本体30の表面に形成する凹所の形状は上述の第1の実施の形態の例に限らず、例えば図9および図10に示すように、四角形状や六角形状等の多角形状を呈していてもよい。あるいは、図示せずとも、円形や楕円形、星形なども適用可能である。これらの場合、形成すべき凹所の形状に合わせて打抜きポンチ56の切刃の形状を変更すればよい。図9は、四角形状の凹所を形成するためのフィルム片76と切刃77を示し、図10は、六角形状の凹所を形成するためのフィルム片86と切刃87を示している。
なお、各図において上述の第1の実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のICカードの製造方法によれば、ICチップを収容するための凹所を形成するに際して切削樹脂粉を発生させることはないので、加工後の除塵処理が不要となり、また、フィルム材をどの階層位置に配置するかで凹所の深さを決定できるので作業が容易となる。したがって、従来よりも生産性および作業性を大きく向上させることができる。また、形成した凹所の底部を平滑にすることができるので、ICチップの埋め込み工程を適正に行うことができる。
【0048】
また、フィルム材として有色透明系のものを用いることにより、カード本体の裏面側を照射する光源からの透過光に基づいて、フィルム材の配置領域の検出を容易に行うことができる。
【0049】
さらに、凹所形成用の切刃を、凹所の周縁形状に対応する筒形の打抜き刃で構成することによって、一度の打抜きプレスで所望とする形状および深さの凹所を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、Aはフィルム片21の型抜き工程、Bはフィルム片21の仮固定工程、Cはカード構成用シートの積層工程を示している。
【図2】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、Dは加熱プレス工程、Eは冷却プレス工程、Fは製作したカード本体の斜視図を示している。
【図3】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、Gはフィルム片21の位置出し工程、Hはフィルム片21の打抜き工程を示している。
【図4】図3Hに示すフィルム片21の打抜き工程を模式的に説明するフィルム片周辺部のカード断面図であり、Aは打抜き前、Bは打抜き時、Cは打抜き後の状態を示している。
【図5】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、Iはフィルム片21の打抜き工程、Jは接着剤63の塗布工程を示している。
【図6】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、KはICチップ65のマウント工程、Lはクランプ38の解除工程を示し、Mは製作した接触型ICカード70の全体斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態によるカード製造方法の変形例を説明する図であり、カード複数枚どりの枚葉シートの斜視図である。
【図8】図7に示した枚葉シートからカード一枚サイズへ打ち抜く工程を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例を示す要部の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態の他の変形例を示す要部の斜視図である。
【図11】従来の接触型ICカードの製造方法を説明する工程図である。
【図12】従来のハイブリッド型ICカードの概要を示す斜視図である。
【図13】従来のハイブリッド型ICカードの構成を示す側断面図である。
【符号の説明】
21…フィルム片(フィルム材)、25…アルコール系溶剤、26a,26b…内コアシート材(カード構成用シート)、30…カード本体、37…ステージ、43…光源、44…撮像装置、45…コントローラ、49…凹所、50…くりぬき片、51…位置出し部、52…フィルム打抜き部、53…接着剤塗布部、54…チップマウント部、56…打抜きポンチ、57…切刃、63…接着剤、65…ICチップ、70…接触型ICカード。
【発明の属する技術分野】
本発明は、カード表面に半導体チップ(以下「ICチップ」という。)を埋め込んでなる接触型あるいは、接触型と非接触型の機能を兼ね備えたハイブリッド型ICカードの製造に用いて好適なICカードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ICカードの通信方式には接触型と非接触型の2つのタイプが知られている。接触型ICカードは、カード表面に埋め込んだICチップをリーダーライタに接触させて通信する方式のICカードである。他方、非接触型ICカードは、アンテナ配線に接続されたICチップがカードに内蔵されており、リーダーライタと非接触で通信を行う方式のICカードである。
【0003】
図11A〜Cは、従来の接触型ICカードの製造方法を示している。接触型ICカード9は、内コアシート材6、外コアシート材7および外装シート材8を積層し加熱プレスして製作したカード本体1の表面に、ミリング、フライスあるいはルータ等の切削機2を用いてICチップ4を収容するための凹所3を形成し、形成した凹所3内に接着剤5を滴下してICチップ4を埋め込み接着して製造される。接触型ICカード9は、カード表面に露出したICチップ4の端子4aを介して通信がなされる。
【0004】
一方、ICカードの通信方式として接触型と非接触型の2つのタイプを併せ持ったハイブリッド型ICカードおよびコンビネーション型ICカードもまた知られている。ハイブリッド型ICカードは、接触用/非接触用それぞれのICチップを持ったICカードであり、コンビネーション型ICカードは、1個のICチップで接触型/非接触型の両方の機能を満足させたカードである。
【0005】
図12および図13は、ハイブリッド型ICカードの一構成例を示している。従来のハイブリッド型ICカード10は、非接触通信用のアンテナパターンが形成されたアンテナ基板11の上に非接触用ICチップ12を実装したアンテナモジュールをコアシート材13および外装シート材14で挟み込んだカード本体15を備えている。そして、製作したカード本体15の表面に、切削機を用いて接触用ICチップ17を収容するための凹所16を形成し、この凹所16内に接着剤を介して接触用ICチップ17を埋め込んだ構成となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の接触型ICカード9およびハイブリッド型ICカード10の製造方法においては、カード本体1,15の表面にICチップ4,17を埋め込むための凹所3,16を、切削機2を用いたミリングあるいはフライス加工等の切削加工によって形成するようにしている。
【0007】
しかしながら、この従来の方法では、凹所3,16の形成時に切削樹脂粉が飛散するので、加工後は除塵処理が必要であるという問題がある。特に、帯電性のある材料でカード本体1,15が形成されている場合には、切削樹脂粉が加工面周辺に付着して除塵処理が困難となり、生産性を悪化させているという問題がある。
【0008】
また、従来の方法では、凹所3,16の形成に切削機2を用いているので、切削機2の刃の移動を厳密にコントロールする必要があるのと同時に、カード本体1,15の反りや変形の程度も考慮に入れた制御を行わないと、所望とする形状および深さの凹所を形成することができないので、作業性が悪いという問題がある。
【0009】
更には、切削機2を用いて形成された凹所3,16の底面の仕上げが粗いために、ICチップ4,17を所定の平面度を維持して凹所3,16内に埋め込み接着することが難しい。また、接着剤5として両面接着シートを用いた場合には、十分な接着力が得られないという問題がある。
【0010】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、接触用ICチップを収容するための凹所を所望の形状および深さに容易に形成でき、生産性に優れたICカードの製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明のICカードの製造方法は、複数枚のカード構成用シートを積層し加熱プレスしてカード本体を製作する工程と、製作したカード本体の表面にICチップを埋め込むための凹所を形成する工程と、形成した凹所内にICチップを埋め込む工程とを有し、上記カード本体を製作する工程が、カード構成用シートに対して剥離性のあるフィルム材をICチップの埋め込み領域に対応する大きさに形成してカード構成用シートの間に配置する工程を含み、上記凹所を形成する工程が、フィルム材を貫通するがカード本体を貫通しない深さに切刃を入れてカード表面を部分的にくりぬく工程を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明では、ICチップを収容するための凹所を、切刃によるカード表面の部分的なくりぬき(刳り貫き)によって形成するようにしている。カード本体内部に配置されたフィルム材を貫通し、かつ、カード本体を貫通しない深さに切刃を入れると、当該フィルム材を境としてカード表面が部分的にくりぬかれて凹所が形成される。フィルム材は、カード構成用シートに対して剥離性のあるものが用いられるので、凹所底部はカード構成用シートの平滑な表面で構成されることになる。
【0013】
したがって、本発明によれば、ICチップを収容するための凹所を形成するに際して切削樹脂粉を発生させることはないので、加工後の除塵処理を不要とし、生産性を高めることができる。また、フィルム材をどの階層位置に配置するかで凹所の深さを決定できるので、カード本体の反りや変形等を考慮に入れることなく極めて容易に所望とする形状および深さの凹所を形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図6は、本発明の実施の形態による接触型ICカードの製造方法を示している。
【0015】
まず、図1Aに示すように、形成するべき凹所の形状に対応した打抜き刃22を有する打抜きポンチ23を用いて、テープフィルム材20からフィルム片21を型抜きする工程が行われる。符号24は、打抜き刃22からフィルム片21を取り出すためのイジェクトピンである。このフィルム片21は、図1Bおよび図1Cに示すように、複数枚のカード構成用シートの間であって、ICチップの埋め込み位置に対応する部位に配置される。
【0016】
本実施の形態では、カード構成用シートとして、内コアシート材26a,26b、外コアシート材27a,27bおよび外装シート材28a,28bのうち、内コアシート材26aと26bとの間に、フィルム片21を配置するようにしている。
【0017】
なお、内コアシート材26a,26bおよび外コアシート材27a,27bはそれぞれ、例えばポリエチレンテレフタレートグリコール(PET−G:商品名)で構成されているが、勿論、これだけに限られない。また、外装シート材は28a,28bは、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)あるいはこれとポリカーボネート(PC)との混合体等で構成され、所定の印刷絵柄や文字等が描かれるようなインク層を有していてもよい。
【0018】
フィルム片21は、例えば赤、青、紫等の有色透明系であって、内コアシート材26a,26bに対して剥離性のある材料で構成され、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムや延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムが適用可能である。また、フィルム片21の厚さは例えば0.2mmであり、その大きさは、形成するべき凹所の外形よりも若干大きな形状を呈している。
【0019】
次に、図1Bに示すように、内コアシート材26aに対してフィルム片21を仮固定する工程が行われる。フィルム片21の仮固定方法としては、アルコール系溶剤の毛細現象を利用した接着、嫌気性接着剤類による接着、超音波溶着等によるスポット溶着、熱コテを用いた仮止め等、種々の手法が適用可能である。本実施の形態では、アルコール系溶剤の毛細現象を利用した接着方法が採用されており、内コアシート材26a上にディスペンサ29を用いてアルコール系溶剤25が塗布される。
【0020】
続いて、図1Cに示すように、フィルム片21を仮固定した内コアシート材26aをはじめとする全てのカード構成用シートを丁合いしたシート積層体29を形成する。そして、図2Dに示すように、ヒータ32を内蔵した加熱プレス盤31でシート積層体29を加熱プレスするとともに、図2Eに示すように、冷却水通路34を内部に有する冷却プレス盤33でシート積層体29を冷却プレスする。以上のようにして、フィルム片21が介装されたカード本体30が製作される(図2F)。
【0021】
図3Gに示すように、フィルム片21を内蔵したカード本体30は、ステージ37上に載置された後、クランパ38によって位置決めされる。ステージ37は、X方向移動ブロック39およびY方向移動ブロック40によってX,Y方向へそれぞれ移動可能となっている。X方向移動ブロック39およびY方向移動ブロック40は、それぞれX方向電動モータ41およびY方向電動モータ42によって駆動されるようになっている。
【0022】
カード本体30は、ステージ37の上に支持された状態で後述する各種工程へ搬送されるようになっている。ステージ37の搬送は、X,Y方向移動ブロック39,40を支持する支持台47の図3Gにおいて矢印A方向に沿った移動によって行われる。支持台47は、図示せずとも電動アクチュエータによって駆動され、各工程へ連絡する直線的な搬送経路に沿って移動されるようになっている。一方、X方向移動ブロック39およびY方向移動ブロック40は、支持台47に対するステージ37の相対位置を調整するための機構である。
【0023】
さて、図3Gは、製作したカード本体30の内部に配置されたフィルム片21の位置出しを行う位置出し部51の構成を示している。位置出し部51には、搬送されたステージ37を上下方向から挟むように光源43と撮像装置44が対向配置されている。ステージ37には、光源43から照射される光を通すための開口48が形成され、当該開口48を介してカード本体30を透過する光が撮像装置44によって検出されるようになっている。
【0024】
本実施の形態では、フィルム片21が有色透明系であるので、フィルム片21の配置位置および形状を容易に認識することができる。また、フィルム片21をカード構成用シートと異なる色調の色で構成すれば、上記効果をより一層顕著にすることができる。
【0025】
撮像装置44は、本実施の形態ではCCD(Charge Coupled Device)カメラで構成され、その認識画像信号をコントローラ45へ供給するようになっている。コントローラ45は、撮像装置44からの信号に基づいてカード本体30内部のフィルム片21の外形を検出し、その出力信号をモニタ46へ供給して画像を表示できるようになっている。
【0026】
また、コントローラ45は、検出したフィルム片21の外形中心を基準座標位置に一致させるべく、X,Y方向電動モータ41,42の駆動を制御してステージ37の位置の調整を行うことができるようになっている。ここで、上記「基準座標位置」は、図3Hに示すフィルム打抜き部52に設置される打抜きポンチ56の軸心と一致する位置に設定されている。
【0027】
すなわち、カード本体30は、この位置出し部51において、ステージ37上でフィルム片21の配置位置が検出されるとともに、フィルム片21の配置位置が上記基準座標位置と一致するように、X,Y方向移動ブロック39,40の駆動により支持台47に対する相対位置が調整される。その後、カード本体30は、支持台47の移動により図3Hに示すフィルム打抜き部52へと搬送される。
【0028】
フィルム打抜き部52には、図3Hに示すように、ステージ37の直上方に打抜きポンチ56が設置されている。打抜きポンチ56は、チップ収容用の凹所を形成するための中空で筒形の打抜き刃でなる切刃57を備えており、当該切刃57の形状がそのまま凹所の形状に対応している。切刃57は、フィルム片21の面内領域を打ち抜く大きさに形成され、例えばエアシリンダ等でなる作動シリンダ59によって昇降可能となっている。
【0029】
切刃57の下降位置は、調整用ナット60と作動シリンダ59上部との当接位置に規制されている。カード本体30に対する切刃57の進入量は、フィルム片21を貫通するが、カード本体30を貫通しない深さに設定される。
【0030】
なお、打抜きポンチ56は、取付部材61を介して図示しない搬送アームに接続されており、図3Hに示すフィルム打抜き位置と、図5Iに示す待機位置との間を移動できるようになっている。
【0031】
このフィルム打抜き部52において、カード本体30は、ステージ37上にクランパ38で位置決めされた状態で支持される。フィルム片21の外形中心は、前段の位置出し部51において打抜きポンチ56の軸心と一致されている。そして、図3Hに示すフィルム打抜き位置にある打抜きポンチ56の作動シリンダ59が駆動されることによって、カード本体30の表面からフィルム片21の配置階層部にかけて切刃57が進入する(図4A,B)。これにより、フィルム片21が打ち抜かれる。なお、切刃57の進入量はカード本体30の厚さ範囲内に設定されているので、切刃57がカード本体30を貫通することはない。
【0032】
そして、カード本体30から切刃57を抜き取ることにより、カード本体30の表面が部分的にくりぬかれた凹所49が形成される(図4C)。凹所49の底部49Aは、フィルム片21が剥離して露出された内コアシート材26aのシート面で形成されるので、平滑な底面を得ることができる。また、切刃57がフィルム片21の面内領域を打ち抜くようにしているので、凹所49の形成を確実に行うことができる。
【0033】
したがって、この場合は、凹所49の底部49A周囲を囲むように、フィルム片21の周縁部21aがカード本体30の内部に残存することになる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、打抜きポンチ56の作動時に切刃57のプレス作用でカード本体30に生じていた反りや変形等が緩和されるために、従来のように当該反りや変形の程度を考慮に入れた加工調整が不要となり、一度のプレス作業できわめて容易に所望とする形状および深さの凹所49を形成することができる。
【0035】
しかも、従来の切削加工によらないで凹所49を形成するようにしているので、切削樹脂粉の飛散は皆無であり、したがって、加工後の除塵処理を不要として生産性の飛躍的な向上を図ることができる。
【0036】
さて、凹所49を形成した後、打抜きポンチ56は図5Iに示す待機位置へ後退する。そこで、切刃57の内部に残ったくりぬき片50は、打抜きポンチ56のイジェクトピン58を操作することによって排除される。
【0037】
ステージ37上で支持されるカード本体30は、図5Jに示すような接着剤塗布部53へと搬送される。この工程では、フィルム打抜き部52で形成された凹所49内にディスペンサ64を用いて接着剤63が塗布される。
【0038】
凹所49内に接着剤63が塗布されたカード本体30を支持するステージ37は、次に、図6Kに示すチップマウント部54へと搬送される。この工程では、ICチップ65を真空吸着するコレット66を用いて凹所49内にICチップ65が能動面を上向きにしてマウントされる。凹所49の形状は、マウントされるICチップ65の形状に応じて決定される。なお、ICチップ65の形状は図示する形状に限られないことは勿論である。
【0039】
本実施の形態によれば、凹所49の底部49Aを平滑にすることができるので、ICチップ65をカード本体30の表面に対して平坦にマウントすることができる。また、接着剤63として両面接着シートを用いた場合でも凹所49に対する接着性を維持してICチップ65の適正な埋め込み接着力を確保することができる。
【0040】
以上のようにして、表面の凹所49に接着剤63を介してICチップ65が埋め込まれたカード本体30は、クランパ38によるクランプ作用が解除されてステージ37から取り出される(図6L,M)。以上により、接触型ICカード70が製作される。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0042】
例えば以上の実施の形態では、接触型ICカード70の製造方法を例に挙げて説明したが、これに限らず、接触用/非接触用それぞれのICチップを備えたハイブリッド型ICカードの製造にも本発明は適用可能である。
【0043】
この場合、アンテナ用配線に非接触用ICチップを実装してなるアンテナモジュールをカード構成用シートで挟み込んだカード本体をあらかじめ製作しておき、当該カード本体の表面に対して、接触用ICチップを収容するための凹所を形成することになるが、当該凹所の形成に本発明を採用することによって容易に生産性高くハイブリッド型ICカードを製造することが可能となる。
【0044】
また、以上の実施の形態では、カード一枚サイズ単位で本発明を実施する形態について説明したが、勿論これに限られず、例えば図7に示すように、カード9面とりの枚葉サイズでカード本体を一体的に形成した枚葉サイズ積層シート体71を製作し、その計9箇所にICチップ収容用の凹所72を形成する場合にも、本発明は適用可能である。
【0045】
すなわち、上述の実施の形態と同様に、凹所72の形成領域にそれぞれ剥離性のある有色透明系のフィルム片を内蔵させ、図3Gを参照して説明した位置出し部において各々のフィルム片を画像処理した後、フィルム打抜き部において順次凹所72をくりぬき形成すればよい。なお、形成した凹所72に対してICチップを埋め込んだ後は、例えば図8に示すようなカード打抜き装置75に掛けることによって、枚葉サイズ積層シート体71からカード一枚サイズの接触型ICカード76を得ることができる。
【0046】
更に、カード本体30の表面に形成する凹所の形状は上述の第1の実施の形態の例に限らず、例えば図9および図10に示すように、四角形状や六角形状等の多角形状を呈していてもよい。あるいは、図示せずとも、円形や楕円形、星形なども適用可能である。これらの場合、形成すべき凹所の形状に合わせて打抜きポンチ56の切刃の形状を変更すればよい。図9は、四角形状の凹所を形成するためのフィルム片76と切刃77を示し、図10は、六角形状の凹所を形成するためのフィルム片86と切刃87を示している。
なお、各図において上述の第1の実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のICカードの製造方法によれば、ICチップを収容するための凹所を形成するに際して切削樹脂粉を発生させることはないので、加工後の除塵処理が不要となり、また、フィルム材をどの階層位置に配置するかで凹所の深さを決定できるので作業が容易となる。したがって、従来よりも生産性および作業性を大きく向上させることができる。また、形成した凹所の底部を平滑にすることができるので、ICチップの埋め込み工程を適正に行うことができる。
【0048】
また、フィルム材として有色透明系のものを用いることにより、カード本体の裏面側を照射する光源からの透過光に基づいて、フィルム材の配置領域の検出を容易に行うことができる。
【0049】
さらに、凹所形成用の切刃を、凹所の周縁形状に対応する筒形の打抜き刃で構成することによって、一度の打抜きプレスで所望とする形状および深さの凹所を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、Aはフィルム片21の型抜き工程、Bはフィルム片21の仮固定工程、Cはカード構成用シートの積層工程を示している。
【図2】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、Dは加熱プレス工程、Eは冷却プレス工程、Fは製作したカード本体の斜視図を示している。
【図3】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、Gはフィルム片21の位置出し工程、Hはフィルム片21の打抜き工程を示している。
【図4】図3Hに示すフィルム片21の打抜き工程を模式的に説明するフィルム片周辺部のカード断面図であり、Aは打抜き前、Bは打抜き時、Cは打抜き後の状態を示している。
【図5】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、Iはフィルム片21の打抜き工程、Jは接着剤63の塗布工程を示している。
【図6】本発明の実施の形態によるICカードの製造方法を説明する工程図であり、KはICチップ65のマウント工程、Lはクランプ38の解除工程を示し、Mは製作した接触型ICカード70の全体斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態によるカード製造方法の変形例を説明する図であり、カード複数枚どりの枚葉シートの斜視図である。
【図8】図7に示した枚葉シートからカード一枚サイズへ打ち抜く工程を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態の変形例を示す要部の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態の他の変形例を示す要部の斜視図である。
【図11】従来の接触型ICカードの製造方法を説明する工程図である。
【図12】従来のハイブリッド型ICカードの概要を示す斜視図である。
【図13】従来のハイブリッド型ICカードの構成を示す側断面図である。
【符号の説明】
21…フィルム片(フィルム材)、25…アルコール系溶剤、26a,26b…内コアシート材(カード構成用シート)、30…カード本体、37…ステージ、43…光源、44…撮像装置、45…コントローラ、49…凹所、50…くりぬき片、51…位置出し部、52…フィルム打抜き部、53…接着剤塗布部、54…チップマウント部、56…打抜きポンチ、57…切刃、63…接着剤、65…ICチップ、70…接触型ICカード。
Claims (6)
- 複数枚のカード構成用シートを積層し加熱プレスしてカード本体を製作する工程と、前記カード本体の表面に半導体チップを埋め込むための凹所を形成する工程と、前記凹所内に半導体チップを埋め込む工程とを有するICカードの製造方法であって、
前記カード本体を製作する工程が、前記カード構成用シートに対して剥離性のあるフィルム材を、前記半導体チップの埋め込み領域に対応する大きさに形成して前記カード構成用シートの間に配置する工程を含み、
前記凹所を形成する工程が、前記フィルム材を貫通するが前記カード本体を貫通しない深さに切刃を入れて前記カード表面を部分的にくりぬく工程を含む
ことを特徴とするICカードの製造方法。 - 前記フィルム材として有色透明フィルムを用い、前記凹所を形成する工程では、前記カード本体の裏面側を照射する光源からの透過光に基づいて前記フィルム材の配置領域を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法。 - 前記切刃が、前記凹所の周縁形状に対応する筒形の打抜き刃で形成され、一度の打抜きプレスで前記凹所を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法。 - 前記凹所が、前記フィルム材の面内領域を打ち抜いて形成される
ことを特徴とする請求項3に記載のICカードの製造方法。 - 前記カード構成用シートに対する前記フィルム材の仮固定にアルコール系の溶剤を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法。 - 複数枚のカード構成用シートを積層し加熱プレスしてなるカード本体の表面に形成された凹所に半導体チップが能動面を上向きにしてマウントされたICカードにおいて、
前記カード本体の内部には、前記凹所の底部周囲に沿って、前記底部を形成するカード構成用シートに対して剥離性を有するフィルム材が介装されている
ことを特徴とするICカード。
Priority Applications (1)
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JP2002188226A JP2004030420A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | Icカードの製造方法およびicカード |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007079632A (ja) * | 2005-09-09 | 2007-03-29 | Lintec Corp | 非接触icカード及びその非接触icカード用の平板状カード基板 |
-
2002
- 2002-06-27 JP JP2002188226A patent/JP2004030420A/ja active Pending
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