JP2004029439A - 減衰ファイバおよびこれを備えた分散補償ファイバモジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コアとその外周上に設けられたクラッドとからなり、コアは少なくともクラッドよりも大きな屈折率を有する中心コア部と、このコア中心部の外周上に設けられ、中心コア部と同等の屈折率を有する外側コア部とからなり、外側コア部の外径が4.5μm以下、中心コア部に対する外側コア部の外径比が1.0〜2.0であり、中心コア部のみに金属ドーパントが含有され、クラッドに対するコアの比屈折率差が0.7%以上である減衰ファイバ。この減衰ファイバを備えた分散補償ファイバモジュール。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送装置の損失調整用に使用する減衰ファイバおよびこれを備えた分散補償ファイバモジュールに関するものであり、特に1530nm〜1625nmの使用波長範囲における損失の傾斜が負の減衰ファイバおよびこれを備えた分散補償ファイバモジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光伝送システムでは、設計段階で多くの装置や光部品における損失を見込んでいるために、最終的には光伝送システムの多くの部分で光のパワーを減衰させる必要がある。光減衰器としては、金属膜を用いたタイプの固定減衰器もあるが、入力パワーの増大により金属膜が発熱して破損するという問題があることから、使用波長帯で大きな吸収特性を有するドーパントを添加したファイバ(以下、「減衰ファイバ」と称す。)を用いる方法が知られている。この減衰ファイバは、光を減衰させるドーパントが添加されたものである以外は、通常のファイバと同じである。そのため、この減衰ファイバは、伝送用ファイバと適合性がよく、光部品として使用しやすい、信頼性が高いなどの利点を有している。
【0003】
ファイバに減衰性のドーパントを添加する技術は、例えば特開昭54−2754号公報、実開昭63−96504号公報、特開平6−109923号公報、特開平7−43533号公報、特開平8−136736号公報、特開平8−136737号公報、特開平9−184919号公報、特開平9−311221号公報、特開平10−206640号公報、特開平11−264908号公報、特開2001−66452号公報などに開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
エルビウム添加ファイバ増幅器が実用化されたことによって、波長1.53μm〜1.63μm帯では、超長距離無再生中継など、光増幅器を用いたシステムが既に商品化されている。波長多重伝送における伝送容量のさらなる向上には、伝送帯域の拡大と波長間隔を狭くすることによる波長多重数の増加や、1波長当たりの伝送速度の向上が有効である。高速伝送を前提とすると、光伝送路としては、伝送帯域で光伝送路全体としての波長分散はできる限り小さいことが望ましい。しかし、非線形光学効果を抑制するためには、波長分散が局所的に零になる部分が長くならない光伝送路が望ましい。
【0005】
現在、1.3μm帯シングルモードファイバ網は、世界中に広がっている。このファイバ網を用いて1.55μm帯の伝送を行うと、約+17ps/nm/kmの波長分散が生じている。また、1.55μm帯での数ps/nm/kmの波長分散を有するノン零分散シフトファイバを用いて1.55μm帯の伝送を行うと、+3〜6ps/nm/km、長波長帯では、+6〜10ps/nm/km程度の波長分散が生じる。そのため、このファイバを用いて光信号を伝送すると、波長分散の影響で、伝送特性が大きく劣化する。
図7は、光伝送路の累積波長分散と伝送速度の関係を示す図である。この累積波長分散を補償するために分散補償ファイバの開発が進められ、すでに商用化されている。例えば、特開平6−11620号公報に、この分散補償ファイバについて開示されている。この分散補償ファイバは、1.55μm帯において、負の大きな波長分散を有しており、伝送用ファイバと適切な長さで接続することで、伝送用シングルモードファイバで生じた正の波長分散を相殺することができる。そのため、高速通信が可能となる。
【0006】
さらに、最近では前述のように通信容量の増大に伴って、波長多重化が進められている。例えば、1.3μm帯伝送用ファイバに負の大きな波長分散と正のスロープを有する分散補償ファイバを用いて分散を補償する場合、複数の波長のうち、1つの光信号については分散を補償することが可能であるが、その周辺の波長に対する分散補償効果は小さくなり、波長が離れるほど伝送特性は劣化する。そのため、図8に示すように、負の分散スロープが得られるセグメント付きのW型屈折率分布を有する分散スロープ補償型の分散補償ファイバも開発されている。例えば、特開平9−130143号公報に、このような分散補償ファイバに関する技術が開示されている。
【0007】
分散スロープ補償型の分散補償ファイバは、このファイバ自体が光伝送路としてケーブル化されるか、もしくは既存の光伝送路の受信側または送信側に小型のモジュールとして挿入され、波長分散および分散スロープを補償する。
光伝送システムを構築する光部品の1つの分散補償ファイバモジュールは、光伝送路の累積波長分散や、使用する波長により必要な分散補償量(ps/nm)の値が異なっている。それに伴って、分散補償ファイバモジュールを製造するために必要なファイバの長さが異なるので、各々の分散補償ファイバモジュールの損失が異なる。しかし、分散補償量が変化しても、分散補償ファイバモジュールの損失は変化しない方が、多くの光部品を用いる光伝送路を設計、構築する際には簡便である。そこで、分散補償ファイバモジュールの損失を調整するために、損失が一定の減衰ファイバの長さを調整して巻き込む方法が用いられている。
【0008】
図9は、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモードファイバ(以下、「1.3μm帯零分散シングルモードファイバ」とも言う。)40kmを補償する分散補償ファイバモジュールNo.1〜No.4の損失波長特性を示す図である。波長1530〜1565nmのC−bandでは、長波長側にいくにしたがって単調に挿入損失が低くなっている。そして、No.1とNo.3では、1610nm付近まで単調に挿入損失が減少しているのが分かる。しかし、No.2やNo.4では、1580〜1590nm付近で最も挿入損失が低くなり、その後、挿入損失が高くなっている。この長波長における挿入損失の増加は、分散補償ファイバの曲げ損失に起因するものであり、分散補償ファイバ毎にばらつきを生じてしまう。これらの分散補償ファイバモジュールの挿入損失を調整して、ある波長で一定の挿入損失にするには、損失を調整しやすい数dB/m程度の減衰ファイバを用いるのが有効である。
【0009】
減衰ファイバを用いた技術としては、種々の技術が開示されている。
例えば、特開平8−136836号公報では、使用波長帯における損失の波長依存性を無くすことを目的とした光減衰器が開示されている。
また、特開平8−136837号公報では、モードフィールド径の波長依存性と、添加されたドーパントに起因する減衰特性の波長依存性を相殺して、2種類以上の波長の光信号に対する光減衰特性をほぼ等しくすることを目的とした光減衰器が開示されている。
また、特開平9−184919号公報や特開平9−311221号公報には、接続時に生じるクラッドモードの影響を低減し、特性安定性に優れた光減衰器が開示されている。
また、特開平10−206640号公報には、安価で高精度な光減衰器を提供するために、光固定減衰装置の技術が開示されている。
これらの技術は、1.3μm帯と1.55μm帯の減衰量を出来る限り等しくするためのものであり、1.55μm帯においても、平坦な波長特性を有しているものである。
【0010】
図10は、分散補償ファイバモジュールの損失を、従来の減衰ファイバを用いて調整し、波長1575nmにおける損失を一定とした場合に、分散補償ファイバモジュールの損失波長特性を示す図である。No.1とNo.3は、ほぼ同様の損失波長特性を示し、波長が長くなるほど単調に損失が減少している。No.2とNo.4は分散補償ファイバの曲げ損失に起因する長波長側の損失劣化がそのまま残ってしまい、波長1590nmよりも長い波長では損失が増加している。
【0011】
図11は、従来の減衰ファイバの損失波長特性を示す図である。
この損失波長特性は、比較的平坦であるが、波長1615nm付近まではわずかに損失が増加している。したがって、長波長側における損失を低くするという分散補償ファイバモジュールの目的に対しては望ましくない。そのため、このような減衰ファイバを用いて分散補償ファイバモジュールを作製すると、図10に示したような長波長側で損失が増加するものとなってしまう。
さらに、特開2001−66452号公報には、入力される2種類の光信号の光減衰量の差を大きくする光減衰器の技術が開示されている。
しかし、これらの既に開示された技術を用いても分散補償ファイバモジュールに適した減衰ファイバを得ることが出来なかった。
【0012】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、1530nm〜1625nmの波長範囲において、長波長側で吸収損失が低下する減衰ファイバ、およびこれを備えた分散補償ファイバモジュールであって、分散補償量が変化しても損失が変化しない分散補償ファイバモジュールを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、波長が長くなるにしたがって次第に吸収損失が低くなる減衰ファイバによって解決できる。
1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、1の波長と、2の波長との損失差が−0.03dB/nm以上0.00dB/nm未満であることが好ましい。
上記減衰ファイバであって、シングルモードファイバ中に金属ドーパントが含有されてなることが好ましい。
1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、吸収損失が2dB/m〜10dB/mであることが好ましい。
コアとその外周上に設けられたクラッドとからなる減衰ファイバにおいて、コアの外径が4.0μm以下、クラッドに対するコアの比屈折率差が0.7%以上であることが好ましい。
コアとその外周上に設けられたクラッドとからなる減衰ファイバにおいて、コアは少なくともクラッドよりも大きな屈折率を有する中心コア部と、このコア中心部の外周上に設けられ、中心コア部と同等の屈折率を有する外側コア部とからなり、外側コア部の外径が4.5μm以下、中心コア部に対する外側コア部の外径比が1.0〜2.0であり、中心コア部のみに金属ドーパントが含有され、クラッドに対するコアの比屈折率差が0.7%以上であることが好ましい。
1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、モードフィールド径が5μm〜7μmであることが好ましい。
前記課題は、上記減衰ファイバを備えた分散補償ファイバモジュールによって解決できる。
前記課題は、分散補償ファイバコイルを構成する分散補償ファイバの少なくとも片端に、上記減衰ファイバが融着接続され、該減衰ファイバに、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバが接続された分散補償ファイバモジュールによって解決できる。
前記課題は、分散補償ファイバコイルを構成する分散補償ファイバの両端に、該分散補償ファイバと同等のモードフィールド径を有する中間ファイバが融着接続され、該中間ファイバの少なくとも片端に、上記減衰ファイバが融着接続され、該減衰ファイバに、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバが接続された分散補償ファイバモジュールによって解決できる。
前記課題は、分散補償ファイバコイルを構成する分散補償ファイバの両端に、該分散補償ファイバと同等のモードフィールド径を有する中間ファイバが融着接続され、該中間ファイバの少なくとも片端に、上記減衰ファイバが融着接続され、該減衰ファイバに、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバが接続され、前記減衰ファイバと、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバとの接続において、軸ずれ接続された分散補償ファイバモジュールによって解決できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、本発明の減衰ファイバについて説明する。
本発明の減衰ファイバは、1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、波長が長くなるにしたがって次第に吸収損失が低くなっているファイバである。
このような長波長側において次第に吸収損失が低下する減衰ファイバを用いることにより、多くの光部品が適用される光伝送システムを設計、構築する際に、この光伝送システム全体の損失波長特性を非常に狭い範囲に納めることができるから、光伝送システムの設計を容易にすることができる。
【0015】
本発明の減衰ファイバは、1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、1の波長と2の波長との損失差が−0.03dB/nm以上0.00dB/nm未満のファイバである。
このような負の損失傾斜を有する減衰ファイバは、分散補償ファイバの損失傾斜に起因する損失波長特性と同等の損失波長特性を示す。したがって、この減衰ファイバを用いて製造された分散補償ファイバモジュールは、これに用いられる分散補償ファイバのファイバ条長が変化しても、損失を一定に保ちながら、減衰ファイバを用いずに製造された分散補償ファイバモジュールと同等の損失傾斜に調整することが可能となる。
【0016】
本発明の減衰ファイバは、シングルモードファイバ中に金属ドーパントが含有されてなるものである。ここで、金属ドーパントが含有されたシングルモードファイバとは、所定量(濃度)の金属ドーパントが、シングルモードファイバ中に添加されたものである。
シングルモードファイバに添加することにより、このファイバを伝送する光を減衰させる効果を発揮する金属ドーパントとしては、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)などが挙げられる。
また、上記のような所望の損失波長特性を得るための金属ドーパントのコア中の含有量は、0.01〜0.10重量%程度が好ましい。含有量が0.01重量%未満では、吸収損失が小さくなってしまい、所望の減衰量を得るためのファイバ長が長くなってしまう。含有量が0.10重量%を超えると、吸収損失が大きくなっていまい、ファイバ条長誤差、接続作業のやり直しから、所望の減衰量を得ることが困難になる。
【0017】
本発明の減衰ファイバは、1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、吸収損失が2dB/m〜10dB/mのファイバである。
減衰ファイバの吸収損失を上記範囲とすれば、損失調整を行う際のファイバ条長の誤差や、融着接続作業に起因するファイバ条長の変動による損失変動を小さくすることができる上に、数dBの損失調整をするために必要なファイバ条長を数m程度とすることができる。
吸収損失が2dB/m未満では、数dBの損失調整をするためには、数mを超えるファイバ条長が必要となる。一方、吸収損失が10dB/mを超えると、損失調整を行う際のファイバ条長の誤差や、融着接続作業に起因するファイバ条長の変動による損失変動が大きくなる。
【0018】
本発明の減衰ファイバは、コアとその外周上に設けられたクラッドとからなり、コアの外径が4.0μm以下、クラッドに対するコアの比屈折率差Δが0.7%以上のファイバである。減衰ファイバをこのような構造とすることにより、1530nm〜1625nmの波長範囲において、長波長側で吸収損失が低下するファイバとなる。
コアの外径が4.0μmを超え、クラッドに対するコアの比屈折率差Δが0.7%未満では、1530nm〜1625nmの波長範囲において、平坦な損失波長特性か、長波長側で吸収損失が増加するファイバとなり、分散補償ファイバと同等の波長特性を持ちながら、損失を調整することが可能な減衰ファイバが得られなくなる。
【0019】
さらに、本発明の減衰ファイバは、コアとその外周上に設けられたクラッドとからなり、コアは少なくともクラッドよりも大きな屈折率を有する中心コア部と、このコア中心部の外周上に設けられ、中心コア部と同等の屈折率を有する外側コア部とからなり、外側コア部の外径、すなわちコアの外径が4.5μm以下、中心コア部に対する外側コア部の外径比が1.0〜2.0であり、中心コア部のみに金属ドーパントが含有され、クラッドに対するコアの比屈折率差Δが0.7%以上のファイバである。
【0020】
ここで、本発明の減衰ファイバの屈折率分布の一例を図1に示す。図1中、2bは中心コア部の外径、2aは外側コア部の外径を示す。
また、クラッドに対するコアの比屈折率差Δ0.6〜0.8%のときの1.55μm帯における吸収損失特性が平坦となる外側コア部外径(μm)、1530nm、1550nmおよび1610nmの各波長におけるモードフィールド径(μm)、波長1550nmにおける曲げ損失(dB/m)を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
図1および表1から、本発明の減衰ファイバは、曲げ損失が許容できる範囲の10dB/m以下の範囲内で、波長特性が負になる構造を選択することが可能である。
すなわち、曲げ損失が許容できる範囲内で、コアの外径を細くして、光の染み出し量をクラッド側において多くなるように、減衰ファイバの構造を最適化することによって、分散補償ファイバモジュールに適した減衰ファイバを製造することができる。
なお、このような減衰ファイバの構造は、クラッドに対するコアの比屈折率差Δ、コアの外径が前述の組み合わせの範囲内であれば、所望の損失波長特性を満たすというものではない。したがって、曲げ損失、中心コア部と外側コア部の比率、損失波長特性が最適となるように組み合わせて、減衰ファイバを設計する。
【0023】
そして、本発明の減衰ファイバは、1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、モードフィールド径が5μm〜7μmのファイバである。一般的に、分散補償ファイバのモードフィールド径は5μm〜7μmの範囲であるから、減衰ファイバのモードフィールド径を5μm〜7μmとすることにより、長波長側の接続損失を低くすることが可能となる。したがって、この減衰ファイバを用いて、分散補償ファイバモジュールを製造すれば、減衰ファイバと分散補償ファイバとの接続部分の損失波長特性により、損失傾斜が負となる分散補償ファイバモジュールを得ることができる。
【0024】
次に、本発明の分散補償ファイバモジュールについて説明する。
本発明の分散補償ファイバモジュールの第1の実施形態は、分散補償ファイバコイルを構成する分散補償ファイバの少なくとも片端に、本発明の減衰ファイバが融着接続され、この減衰ファイバに、1.3μm帯零分散シングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバが接続されたファイバモジュールである。
また、本発明の分散補償ファイバモジュールの第2の実施形態は、分散補償ファイバコイルを構成する分散補償ファイバの両端に、この分散補償ファイバと同等のモードフィールド径を有する中間ファイバが融着接続され、この中間ファイバの少なくとも片端に、本発明の減衰ファイバが融着接続され、この減衰ファイバに、1.3μm帯零分散シングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバが接続されたファイバモジュールである。
このような第1および第2の実施形態の分散補償ファイバモジュールは、損失傾斜が負であり、分散補償量が変化しても、ある波長で損失がほぼ一定であり、損失の波長特性のばらつきを狭い範囲に抑えたファイバモジュールである。
【0025】
さらに、本発明の分散補償ファイバモジュールの第3の実施形態は、分散補償ファイバコイルを構成する分散補償ファイバの両端に、この分散補償ファイバと同等のモードフィールド径を有する中間ファイバが融着接続され、この中間ファイバの少なくとも片端に、本発明の減衰ファイバが融着接続され、この減衰ファイバに、1.3μm帯零分散シングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバが接続され、減衰ファイバと、1.3μm帯零分散シングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバとの接続において、軸ずれ接続されたファイバモジュールである。
このような第3の実施形態の分散補償ファイバモジュールは、減衰ファイバと、1.3μm帯零分散シングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバとの接続部分における損失が増大されている上に、損失傾斜が負のファイバモジュールである。したがって、第3の実施形態の分散補償ファイバモジュール全体として、損失傾斜が負の分散補償ファイバモジュールとなる。
【0026】
以下、具体的な実施例を示して、本発明の効果を明らかにする。
(実施例1)
MCVD法とCOCl2のエタノール溶液の液浸方法により、図2に示すような屈折率分布を有する減衰ファイバを作製した。
得られた減衰ファイバのクラッドに対するコアの比屈折率差Δは0.8%であり、コア外径3.5μmであった。
この減衰ファイバの損失波長特性を図3に示す。また、この減衰ファイバの光学特性を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
図3および表2の結果から、この実施例の減衰ファイバは、1530nm〜1625nmの使用波長範囲において、使用可能な曲げ損失を維持しつつ損失傾斜が負であることが確認された。
【0029】
(実施例2)
MCVD法とCOCl2のエタノール溶液の液浸方法により、図1に示すような屈折率分布を有する減衰ファイバを作製した。
得られた減衰ファイバのクラッドに対するコアの比屈折率差Δは0.8%であり、コア外径4.0μmであった。また、中心コア部に対する外側コア部の外径比は2.0であった。
この減衰ファイバの損失波長特性を図4に示す。また、この減衰ファイバの光学特性を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
図4および表3の結果から、この実施例の減衰ファイバは、1530nm〜1625nmの使用波長範囲において、使用可能な曲げ損失を維持しつつ損失傾斜が負であることが確認された。
【0032】
(実施例3)
VAD法、MCVD法、PCVD法などの公知の方法により、図8に示すような屈折率分布を有するセグメント付きW型分散補償ファイバを作製した。
得られた分散補償ファイバと、実施例1で作製した減衰ファイバを用いて、1.3μm帯零分散シングルモードファイバ40kmを補償する分散補償ファイバモジュールA、B、C、Dを作製した。
得られた分散補償ファイバモジュールに関して、波長1575nmにおける損失が11.5dBとなるように、減衰ファイバで損失の調整を行った。
この分散補償ファイバモジュールの損失波長特性を図5に示す。また、この分散補償ファイバモジュールの光学特性を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
図5および表4の結果から、この実施例の分散補償ファイバモジュールは4とも、損失傾斜が負であり、安定した損失波長特性を示すことが確認された。
【0035】
(実施例4)
VAD法、MCVD法、PCVD法などの公知の方法により、図8に示すような屈折率分布を有するセグメント付きW型分散補償ファイバを作製した。
得られた分散補償ファイバと、実施例1で作製した減衰ファイバを用いて、1.3μm帯零分散シングルモードファイバ40kmを補償する分散補償ファイバモジュールE、F、G、Hを作製した。
得られた分散補償ファイバモジュールに関して、波長1575nmにおける損失が11.5dBとなるように、減衰ファイバと1.3μm帯零分散シングルモードファイバとを軸ずれ接続させて損失の調整を行った。
この分散補償ファイバモジュールの損失波長特性を図6に示す。また、この分散補償ファイバモジュールの光学特性を表5に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
図6および表5の結果から、この実施例の分散補償ファイバモジュールは4とも、損失傾斜が負であり、安定した損失波長特性を示すことが確認された。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の減衰ファイバは、1530nm〜1625nmの波長範囲において、波長が長くなるにしたがって次第に吸収損失が低下するから、分散補償ファイバの損失傾斜に起因する損失波長特性と同等の損失波長特性を示す。また、吸収損失が2dB/m〜10dB/mであるため、損失調整を行う際のファイバ条長の誤差や、融着接続作業に起因するファイバ条長の変動による損失変動を小さくすることができる上に、数dBの損失調整をするために必要なファイバ条長を数m程度とすることができる。
また、本発明の分散補償ファイバモジュールは、本発明の減衰ファイバを用いて製造されたファイバモジュールであるから、これに用いられる分散補償ファイバのファイバ条長が変化しても、損失を一定に保ちながら、減衰ファイバを用いずに製造された分散補償ファイバモジュールと同等の損失波長特性に調整することが可能となる。したがって、多くの光部品を用いる光伝送システムを設計、構築する際のシステム設計を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の減衰ファイバの屈折率分布の一例を示す図である。
【図2】実施例1で作製した減衰ファイバの屈折率分布を示す図である。
【図3】実施例1で作製した減衰ファイバの損失波長特性を示す図である。
【図4】実施例2で作製した減衰ファイバの損失波長特性を示す図である。
【図5】実施例3で作製した分散補償ファイバモジュールの損失波長特性を示す図である。
【図6】実施例4で作製した分散補償ファイバモジュールの損失波長特性を示す図である。
【図7】光伝送路の累積波長分散と伝送速度の関係を示す図である。
【図8】分散スロープ補償型の分散補償ファイバの屈折率分布を示す図である。
【図9】1.3μm帯零分散シングルモードファイバを補償する分散補償ファイバモジュールの損失波長特性を示す図である。
【図10】分散補償ファイバモジュールの損失を、従来の減衰ファイバを用いて調整し、波長1575nmにおける損失を一定とした場合に、分散補償ファイバモジュールの損失波長特性を示す図である。
【図11】従来の減衰ファイバの損失波長特性を示す図である。
Claims (11)
- 1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、波長が長くなるにしたがって次第に吸収損失が低くなることを特徴とする減衰ファイバ。
- 1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、1の波長と、2の波長との損失差が−0.03dB/nm以上0.00dB/nm未満であることを特徴とする請求項1記載の減衰ファイバ。
- 請求項1または2記載の減衰ファイバであって、
シングルモードファイバ中に金属ドーパントが含有されてなることを特徴とする減衰ファイバ。 - 1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、吸収損失が2dB/m〜10dB/mであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の減衰ファイバ。
- コアとその外周上に設けられたクラッドとからなる減衰ファイバにおいて、
コアの外径が4.0μm以下、クラッドに対するコアの比屈折率差が0.7%以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の減衰ファイバ。 - コアとその外周上に設けられたクラッドとからなる減衰ファイバにおいて、
コアは少なくともクラッドよりも大きな屈折率を有する中心コア部と、このコア中心部の外周上に設けられ、中心コア部と同等の屈折率を有する外側コア部とからなり、外側コア部の外径が4.5μm以下、中心コア部に対する外側コア部の外径比が1.0〜2.0であり、中心コア部のみに金属ドーパントが含有され、クラッドに対するコアの比屈折率差が0.7%以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の減衰ファイバ。 - 1530nm〜1625nmから選択された波長範囲において、モードフィールド径が5μm〜7μmであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の減衰ファイバ。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の減衰ファイバを備えたことを特徴とする分散補償ファイバモジュール。
- 分散補償ファイバコイルを構成する分散補償ファイバの少なくとも片端に、請求項1ないし6のいずれかに記載の減衰ファイバが融着接続され、該減衰ファイバに、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバが接続されたことを特徴とする分散補償ファイバモジュール。
- 分散補償ファイバコイルを構成する分散補償ファイバの両端に、該分散補償ファイバと同等のモードフィールド径を有する中間ファイバが融着接続され、該中間ファイバの少なくとも片端に、請求項1ないし7のいずれかに記載の減衰ファイバが融着接続され、該減衰ファイバに、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバが接続されたことを特徴とする分散補償ファイバモジュール。
- 分散補償ファイバコイルを構成する分散補償ファイバの両端に、該分散補償ファイバと同等のモードフィールド径を有する中間ファイバが融着接続され、該中間ファイバの少なくとも片端に、請求項1ないし7のいずれかに記載の減衰ファイバが融着接続され、該減衰ファイバに、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバが接続され、前記減衰ファイバと、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモードファイバ、分散シフトファイバまたはノン零分散シフトファイバから選択される1つのファイバとの接続において、軸ずれ接続されたことを特徴とする分散補償ファイバモジュール。
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