JP2004029415A - 光コネクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光ファイバ孔2とガイド孔3を有し、ガイド孔3にガイドピン5を挿入して光ファイバ7aの接続の位置決めを行なう光コネクタであって、ポリフェニレンサルファイド樹脂10〜20重量%、球状シリカ微粒子80〜90重量%を含有する樹脂組成物により成形されたフェルール1を成形する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ同士を機械的に接続するのに用いる光コネクタに関し、特にコネクタフェルールの成形用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信において、光ファイバ同士を着脱可能に接続するのに光コネクタが用いられる。特に光ネットワーク機器用に開発されたMTコネクタ(Mechanically Transferable connector )は、日本の光通信網を中心に広く実用化されている信頼性のある多心光コネクタである。このMTコネクタは、ガイドピンを用いて1対の光コネクを着脱可能に接続するもので、2心〜12心の光ファイバテープ心線や光ファイバコード等の接続に使用されている。また、このMTコネクタをハウジング内に収納し、ラッチ機構等を付したMPOコネクタとした構成のものもある。さらに、近年は単心光ファイバへの接続にも応用され、低損失で高信頼性のものが要求されている。
【0003】
図1は、多心光コネクタの一例を説明するためのもので、図1(A)は斜視図、図1(B)は断面図である。図中、1はフェルール、2は光ファイバ孔、3はガイド孔、4は接続面、5はガイドピン、6はブーツ、7は光ファイバテープ、7aは光ファイバ、8は光ファイバテープ挿入孔、9はブーツ挿着孔である。
【0004】
フェルール1は、多心光コネクタを構成する主要部品で、合成樹脂材を金型で成形して形成される。フェルール1には、被覆を除去した光ファイバ7aを配置させる複数の光ファイバ孔2が光ファイバテープ挿入孔8に連通して設けられ、また、その両側には、光コネクタ同士を位置決めして接続するためのガイド孔3が光ファイバ孔2と平行に貫通して設けられている。光ファイバテープ7は、先端部分の被覆を除去してフェルール1の後部側から挿入され、露出された複数本の光ファイバ7aを、フェルール1の各光ファイバ孔2に挿入して接着剤で固定している。また、光ファイバ7aの接続端面は、フェルール1に挿着後、フェルール1の接続面4と共に研磨される。
【0005】
光ファイバテープ7は、ゴムまたは合成樹脂等の弾性のある材料で形成されたブーツ6により、フェルール背面の引き出し部分を保護して導出される。ブーツ6自体は、フェルール1の背面のブーツ挿着孔9に接着剤で固定される。フェルール1に取付けられる光ファイバテープ7は、被覆が施された光ファイバ素線を共通被覆で一体化した光ファイバテープ心線、または、光ファイバテープ心線上にさらに保護被覆を施し光ファイバリボンコード等が用いられる。多心光コネクタを構成する一方のフェルール1のガイド孔3には、予めガイドピン5を挿入固定しておき、このガイドピン5を他方のフェルール1のガイド孔3に挿脱させ、光コネクタの接続面4同士を突合わせ、光ファイバの一括接続が行なわれる。
【0006】
図2は、図1のMTコネクタをハウジング内に収納したMPOコネクタの一例を示す図である。図中、11A,11Bは光コネクタプラグ、12はコネクタハウジング、13はフェルール、14は多心光ファイバ心線、15はコネクタアダプタ、16はガイドピンを示す。
【0007】
光コネクタプラグ11Aおよび11Bは、コネクタハウジング12内にMTコネクタ用に設計されたフェルール13を収納し、フェルール13に多心光ファイバ心線4の接続端を装着して構成される。光コネクタプラグ11Aおよび11Bは、コネクタアダプタ15の両側に設けた嵌合孔に挿入され、ラッチ手段(図示せず)により挿入がラッチされる。両側の光プラグ11Aと11Bは、フェルール13の先端面同士が互いに突き合わされ、光接続が形成される。
【0008】
フェルール13は、図1で説明したように樹脂の成形により形成され、複数の光ファイバ孔とその両側に1対のガイド孔を有し、光ファイバ孔には多心光ファイバ心線14の各光ファイバが挿入接着される。ガイド孔には、ガイドピン16が互いに接続される一方の光コネクタプラグ11Bに挿入固定され、他方の光コネクタプラグ11Aとの接続の位置決めを行なう。
【0009】
上述した光コネクタのフェルール1および13は、光ファイバの軸心同士を高精度で位置合わせする必要があり、このため寸法安定性、機械的強度が要求されている。このためフェルールの成形材料として、成形性、生産性等の面も含めて種々の樹脂材料が検討されてきている。従来は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂が多用されていたが、成形時の硬化に時間がかかるなど生産性が低くかった。このため、近年は、ポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分として球状のシリカ微粒子を充填した樹脂組成物が注目されている。
【0010】
WO95/25770号公報には、ポリフェニレンサルファイド樹脂20〜40重量%に、球状シリカ微粒子40〜60重量%およびチタン酸カリウムウイスカ、ホウ酸アルミニウムウイスカ、炭化ケイ素ウイスカ、チッ化ケイ素ウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、アルミナウイスカ、グラファイトウイスカ等の各種ウイスカを充填した樹脂組成物が開示されている。
【0011】
また、WO99/53352号公報には、光コネクタフェルールをポリフェニレンサルファイド樹脂の樹脂組成物で成形することが開示されている。そして、同公報には、ポリフェニレンサルファイド樹脂15〜35重量%に、シリカ微粒子45〜65重量%、および珪酸塩ウイスカ26〜35重量%を含有し、かつシリカ微粒子と珪酸塩ウイスカの合計含有量が65〜85重量%である樹脂組成物が開示されている。また、球状シリカ微粒子の粒径を種々設定することについても開示されている。
【0012】
しかしながら、上記の開示技術により、寸法精度および寸法安定性についての改善は図られているが強度的には十分とはいえず、MPOコネクタのようにハウジング内にフェルールを組み込むタイプでは機械的強度不足で使用できないものもあった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、寸法精度および寸法安定性を維持して、機械的強度をより向上させることができるフェルールを備えた光コネクタの提供を課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による光コネクタは、光ファイバ挿着孔とガイド孔を有し、ガイド孔にガイドピンを挿入して光ファイバの接続の位置決めを行なう光コネクタであって、ポリフェニレンサルファイド樹脂10〜20重量%、球状シリカ微粒子80〜90重量%を含有する樹脂組成物により成形されたフェルールを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による他の光コネクタは、光ファイバ挿着孔とガイド孔を有し、ガイド孔にガイドピンを挿入して光ファイバの接続の位置決めを行なう光コネクタであって、ポリフェニレンサルファイド樹脂が20%を超え40重量%未満、ウイスカが0重量%を超え5重量%未満、球状シリカ微粒子が60重量%を超え75重量%未満を含有し、ウイスカと球状シリカ微粒子の合計含有量が60重量%を超え80重量%未満である樹脂組成物により成形されたフェルールを備えたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明による光コネクタは、従来技術の項で図1により説明したのと同様に、主要部品であるフェルール1を、合成樹脂材を成形して形成される。このフェルール1には、被覆を除去した光ファイバ7aを配置させる複数の光ファイバ孔2が光ファイバテープ挿入孔8に連通して設けられ、また、その両側には、光コネクタ同士を位置決めして接続するためのガイド孔3が光ファイバ孔2と平行に設けられている。
【0017】
光ファイバテープ7は、先端部分の被覆を除去してフェルール1の後部側から挿入され、露出された複数本の光ファイバ7aを、フェルール1の各光ファイバ孔2に挿入して接着剤で固定する。また、光ファイバ7aの接続端面は、フェルール1に挿着後にフェルール1の接続面4と共に研磨する。このように構成された一対の光コネクタは、ガイドピン5により光ファイバ7aの軸心が位置決めされ、結合クリップ(図示せず)等によって接続面4を突き合わせ、光接続が行なわれる。
【0018】
また、図2に示したように、上述のフェルールをコネクタハウジング12内に収納して光コネクタプラグ11Aおよび11Bとし、MPOコネクタとして構成することができる。コネクタハウジング12内にMPOコネクタ用に設計されたフェルール13を収納し、フェルール13に多心光ファイバ心線4の接続端を装着して構成される。光コネクタプラグ11Aおよび11Bは、コネクタアダプタ15の両側に設けた嵌合孔に挿入され、ラッチ手段(図示せず)により挿入がラッチされる。両側のコネクタ光プラグ11Aと11Bは、フェルール13の先端面同士が互いに突き合わされ、光接続が形成される。
【0019】
フェルール13は、上記のフェルール1と同様に合成樹脂を成形して形成され、複数の光ファイバ孔とその両側にガイド孔を有し、光ファイバ孔には多心光ファイバ心線14の各光ファイバが挿入接着される。ガイド孔には、ガイドピン16が互いに接続される一方の光コネクタプラグ11Bに挿入固定され、他方の光コネクタプラグ11Aとの接続の位置決めを行なう。
【0020】
本発明の光コネクタは、上述したフェルールの成形材料として、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、PPS樹脂という)、球状シリカ微粒子を含有する樹脂組成物、また、これにウイスカを含有させた樹脂組成物を用いている。PPS樹脂は、フェルールの寸法安定性、クリープ特性および成形性の点で有利とされている。球状シリカ微粒子は、一般的にシリカ粒子の線膨張係数が小さく異方性も小さいため、フェルールの寸法精度を向上させることができる。シリカ微粒子の形状には、球状、破砕状等があるが、球状のものは破砕状等のものに比べて異方性が小さくフェルールへの充填剤として好ましい。
【0021】
本発明では、上記のPPS樹脂を10〜20重量%、残りを球状シリカ微粒子(80〜90重量%となる)を含有する樹脂組成物でフェルールを成形する。球状シリカ微粒子を80重量%以上含有させることにより、成形後のフェルールの収縮を少なくし寸法安定性を向上させることができると共に、後述の評価結果に示すように機械的強度を大きくすることができる。しかし、90重量%を超えると流れ性が悪くなり成形性が低下する。
【0022】
また、本発明では、上記のPPS樹脂が20%を超え40重量%未満、ウイスカが0重量%を超え5重量%未満、残りを球状シリカ微粒子(60重量%を超え75重量%未満)とし、ウイスカと球状シリカ微粒子の合計含有量が60重量%を超え80重量%未満である樹脂組成物でフェルールを成形する。ウイスカを多少入れることにより、機械的強度を大幅に増加することが可能となり、その分だけ球状シリカ微粒子を減らし、PPS樹脂の含有割合を増やしても、上記の場合と同等のフェルールを得ることができる。ただし、ウイスカが5重量%以上では、後述の評価結果から寸法安定性が低下するため高精度の成形には使用不適である。
【0023】
前記ウイスカには、チタン酸ウイスカ、ホウ酸アルミウイスカ、炭化ケイ素ウイスカ、チッ化ケイ素ウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、アルミナウイスカ、グラファイトウイスカ、珪酸塩ウイスカ等の種々のウイスカを用いることができる。しかし、これらのウイスカのうちで、特にホウ酸アルミウイスカを用いることにより、少量の添加でフェルールの機械的強度をエポキシ樹脂レベルまで高めることができる。
【0024】
また、PPS樹脂には、架橋型PPS樹脂とリニア型PPS樹脂があるが、本発明では、後者のリニア型PPS樹脂を用いるのが好ましい。また、300℃での粘度が0.2〜0.4Pa・sのものが望ましい。リニア型PPS樹脂は、他の形のPPS樹脂に比べて流れ性がよく、成形金型のキャビティ全体に均一に圧力が伝わりフェルールの成形性を高めることができる。また、リニア型PPS樹脂は他の型のPPS樹脂と比べて脆性大きい。このため、樹脂組成物のPPS樹脂と球状シリカ微粒子およびウイスカの含有量を同じとした場合、リニア型PPS樹脂を用いて成形したフェルールは、他の型のPPS樹脂を用いる場合より機械的強度を大きくすることができる。
【0025】
また、リニア型PPS樹脂の粘度が0.2Pa・s未満では、分子量が小さくなるため曲げ強度が所定の値以下となり、使用不可となる。他方、リニア型PPS樹脂の粘度が0.4Pa・sを超えると分子量が大きくなり、流れ性が低下してフェルールの成形性が悪くなる。
【0026】
本発明の樹脂組成物中に含有させる球状シリカ微粒子は、平均粒径が0.1μm〜1.0μmの範囲内にあることが望ましい。平均粒径が0.1μm以下は現状の技術では製造が困難で、1.0μm以上になるとフェルール端面に対する効果が得にくくなる。特にMPOコネクタでは、接続の際に光ファイバの先端同士を物理的に接触(PC接続)させる必要がある。そのため、光ファイバの接続端面をフェルール端面から僅かに突き出させておく必要があり、特別な端面研磨が行なわれる。この研磨時の光ファイバの突き出し量は、球状シリカ微粒子の粒径に依存してくる。同一の研磨条件では、球状シリカ微粒子の平均粒径が小さいほど光ファイバの突き出し量を大きくすることができ、PC接続を確実にすることができる。
【0027】
また、球状シリカ微粒子の平均粒径を小さくすることにより、フェルール内に形成する光ファイバ孔やガイド孔の真円度(フェルールの端面から1mmの位置における最大内径と最小内径の差)を小さくすることが可能となる。さらに、球状シリカ微粒子の平均粒径を上記の範囲内にしておくことにより、フェルール表面から球状シリカ微粒子が脱落するようなことがあっても、光ファイバの表面に付着して損傷を与えるのを、最小限に抑えることができる。
【0028】
また、球状シリカ微粒子の平均粒径を0.1μm〜1.0μmの範囲内のものと、3μm〜10μmの範囲内のものと混合した状態で含有させることができる。この範囲の平均粒径が異なる2種類の球状シリカ微粒子を組合わせることにより、小さい粒径の球状シリカ微粒子は、大きい粒径の球状シリカ微粒子の隙間に入り込み、樹脂組成物へのシリカ粒子の充填率を高めることができる。すなわち、シリカ粒子の充填量が同じ場合、同じ粒径のシリカ粒子を充填するより、粒径の異なる2種類のシリカ粒子を混合して充填する方が、シリカ粒子間の接触抵抗を低減し、樹脂組成物の流れ性がよく成形性に優れているといえる。
【0029】
なお、平均粒径の異なる2種類の球状シリカ微粒子の混合比率は、重量比で「大きい粒径のシリカ粒子/小さい粒径のシリカ粒子」が1〜2程度とするのが望ましい。この比が1未満では大きい粒径のシリカ粒子の割合が小さく、シリカ粒子の全体の充填量が大きい場合は、樹脂組成物の流れ性を低下させる。この比が2を超えると、シリカ粒子の充填量を多くすることが困難となり、また、小さい粒径のシリカ粒子の割合が少なくなってフェルールの機械的強度の低下や大きい粒径のシリカ粒子の脱落するようなことがあった場合は、光ファイバの表面を損傷する恐れがある。
【0030】
さらに、本発明では、球状シリカ微粒子をシラン処理して含有させることができる。球状シリカ微粒子をシラン処理することによりPPS樹脂との密着性の増大と流れ性が向上するので、フェルールの成形後の機械的強度を高めることができる。このためのシランカップリング剤には、ビニルシラン、フェニルシラン、アミノシラン、メタルクリルシラン、エポキシシラン、メルカプトシランなどの各種シランを用いることができる。しかし、PPS樹脂とシリカ粒子との組み合わせでは、ビニルシランのビニルメトキシシランを用いるのが好ましい。
【0031】
フェルール成形に用いるシランの含有量は、成形性や寸法安定性を高めるためには、樹脂組成物全体の0.1〜0.49重量%とするのが好ましい。シラン処理で、シランカップリング剤が樹脂組成物全体の0.1%未満であると、球状シリカ微粒子表面の全体を覆うには不足で、フェルールからのシリカ粒子の脱落が生じやすい。また、0.49重量%を超えると、シランカップリング剤は過剰となり、シリカ粒子と結合しなかった成分が単独で樹脂組成物中に残存するため、やはりシリカ粒子の脱落への悪影響が生じる。一般的なシラン処理では、結合反応を完全に進行させるためにシランカップリング剤を過剰気味に添加することが推奨されているが、本発明においては、上記の理由により、低めの添加が好ましい。
【0032】
次に、本発明の効果を確認すべく試料1〜55を作製し評価したので、この評価結果を以下に示す。なお、評価した機械的強度とは、曲げ強度であってASTM D790に準拠して測定した。具体的には、所定条件で射出成形機と試験片金型により作製された試験片を用い、温度(=23℃)、スパン間距離(=50mm)、曲げ速度(=2mm/min)で、曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。測定したものである。この場合の強度が140MPa以上を合格として○印を付し、これ未満を不合格として×印を付した。
【0033】
流れ性は、渦巻き型の金型を用い、シリンダ温度(=320℃)、金型温度(=135℃±3℃)、スクリュー回転数(=80rpm)、射出圧力(=98MPa、射出時間(=10sec)で成形を行ない、得られた成形品の長さ測定したものである。この場合、スパイラルフロー60mm以上の場合を合格として○印を付し、それ未満を不合格として×印を付した。また、フェルールの寸法安定性については、−40℃〜75℃のヒートサイクル試験の前後の接続損失変化を測定することにより評価した。
【0034】
次の表1および表2は、球状シリカ微粒子の平均粒径が0.6μmのものと5.0μmの2種類用い重量比でほぼ半々で混合して、含有量を55〜95重量%の範囲で変え、また、ホウ酸ウイスカの含有量を0〜10重量%の範囲で変えた場合の評価結果である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
表1および表2の結果から、試料31,34,37は、ホウ酸アルミウイスカを添加させない試料の中で、機械的強度、流れ性および寸法安定性が何れも○であり、総合判定は○であった。総合判定が○の前記試料は、いずれもPPS樹脂が10〜20重量%でシリカ粒子が80〜90重量%の範囲にあるものであった。ホウ酸アルミウイスカを添加させない試料の中で、PPS樹脂が10%未満(試料40)では流れ性が×、20重量%を超える(試料1,7,13,19,25)と流れ性および寸法安定性はよくなるが機械的強度が×となり、フェルール用の樹脂組成物としては不適であった。したがって、PPS樹脂10〜20重量%、球状シリカ微粒子80〜90重量%を含有する樹脂組成物を用いる必要がある。
【0038】
ホウ酸アルミウイスカを5重量%未満で含有させる試料の中で、試料8〜10,14〜16,20〜22,26〜28は、機械的強度、流れ性および寸法安定性が共に○であり、総合判定は○であった。ホウ酸アルミウイスカが5重量%以上(試料11〜12,17〜18)では、流れ性は○であったが寸法安定性が×であり、同じく(試料23〜24,29〜30)では、流れ性および寸法安定性が共に×であり、フェルール用の樹脂組成物としては不適であった。総合判定が○とされた前記試料では、いずれもPPS樹脂が20重量%を超え40重量%未満で、シリカ粒子が60重量%を超え75重量%未満であり、またホウ酸アルミウイスカとシリカ粒子の合計含有量が60重量%を超え80重量%未満の範囲にあるものであった。
【0039】
しかし、ホウ酸アルミウイスカを含有させる場合、PPS樹脂が20重量%以下(試料29〜30)では、流れ性および寸法安定性が共に×であり、同じく(試料32〜33,35〜36,38〜42)では流れ性が×であり、PPS樹脂が40重量%以上(試料2〜7)では、機械的強度が×であり、フェルール用の樹脂組成物としては不適であった。したがって、PPS樹脂が20%を超え40重量%未満、ウイスカが0重量%を超え5重量%未満、球状シリカ微粒子が60重量%を超え75重量%未満を含有し、ウイスカと球状シリカ微粒子の合計含有量が60重量%を超え80重量%未満である樹脂組成物を用いる必要がある。
【0040】
次の表3は、PPS樹脂を31重量%、ホウ酸アルミウイスカを4重量%、球状シリカ微粒子65重量%を粒径がほぼ同一のものを1種、平均粒径の大きさを変えて含有させた場合の結果である。評価内容としては、フェルールに成形した後光コネクタとして使用した場合の光特性(接続損失)で評価した。
【0041】
【表3】
【0042】
この結果、試料43〜46の球状シリカ微粒子の平均粒径が1.0μm以下の場合は歩留まり不良がなく、ほぼ満足のいく結果が得られた。しかし、平均粒径が1.0μmを超える試料47〜49は、歩留まり不良(要因はガイド孔が破壊)を生じ不適であった。なお、平均粒径0.1μm以下の球状シリカ微粒子を入手することは困難であった。したがって、球状シリカ微粒子の平均粒径を1種とする場合は、平均粒径が0.1μm〜1.0μmである樹脂組成物を用いる必要がある。
【0043】
次の表4は、表3の場合と同様にPPS樹脂を31重量%、ホウ酸アルミウイスカを4重量%、球状シリカ微粒子65重量%を含有させた樹脂組成物における機械的強度と流れ性を表1,2の場合と同様に測定して評価した。ただし、機械的強度については130MPa以上を○とした。球状シリカ微粒子の平均粒径が小さいものと大きいものの2種を重量比で半々位に混合して含有させた。小さい方の平均粒径を0.5μmとし、大きい方の平均粒径を1.5μm〜10μmの範囲で変えた場合の結果である。
【0044】
【表4】
【0045】
この結果、試料52〜55の球状シリカ微粒子の平均粒径が0.5μmと平均粒径が3μm〜10μmの範囲で混合した場合は、機械的強度および流れ性が共に○であり、総合判定は○であった。しかし、試料50〜51の平均粒径が0.5μmと平均粒径が1.5μm〜2μmの範囲で混合した場合は、流れ性は○であったが機械的強度が×で、不適であった。したがって、球状シリカ微粒子の平均粒径が異なる2種のものを含有させる場合は、大きい方の平均粒径は、3μm〜10μmである樹脂組成物を用いる必要がある。
【0046】
なお、本発明に用いる樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線防止剤、滑剤、着色剤、難燃剤などの通常の添加剤を添加することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、光コネクタのフェルールの寸法制度および寸法安定性を維持して、機械的強度および成形性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバ接続用のMTコネクタの一例を示す図である。
【図2】光ファイバ接続用のMPOコネクタの一例を示す図である。
【符号の説明】
1…フェルール、2…光ファイバ孔、3…ガイド孔、4…接続面、5…ガイドピン、6…ブーツ、7…光ファイバテープ、7a…光ファイバ、8…光ファイバテープ挿入孔、9…ブーツ挿着孔、11A,11B…光コネクタプラグ、12…コネクタハウジング、13…フェルール、14…多心光ファイバ心線、15…コネクタアダプタ、16…ガイドピン。
Claims (9)
- 光ファイバ挿着孔とガイド孔を有し、ガイド孔にガイドピンを挿入して光ファイバの接続の位置決めを行なう光コネクタであって、ポリフェニレンサルファイド樹脂10〜20重量%、球状シリカ微粒子80〜90重量%を含有する樹脂組成物により成形されたフェルールを備えたことを特徴とする光コネクタ。
- 光ファイバ挿着孔とガイド孔を有し、ガイド孔にガイドピンを挿入して光ファイバの接続の位置決めを行なう光コネクタであって、ポリフェニレンサルファイド樹脂が20%を超え40重量%未満、ウイスカが0重量%を超え5重量%未満、球状シリカ微粒子が60重量%を超え75重量%未満を含有し、前記ウイスカと前記球状シリカ微粒子の合計含有量が60重量%を超え80重量%未満である樹脂組成物により成形されたフェルールを備えたことを特徴とする光コネクタ。
- 前記ウイスカはホウ酸アルミウイスカであることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ。
- 前記ポリフェニレンサルファイド樹脂はリニア型で、300℃での粘度が0.2〜0.4Pa・sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光コネクタ。
- 前記球状シリカ微粒子の平均粒径が0.1μm〜1.0μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光コネクタ。
- 前記球状シリカ微粒子の平均粒径が0.1μm〜1.0μmと3μm〜10μmの2種類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光コネクタ。
- 前記球状シリカ微粒子はシラン処理したものであることを特徴とする請求項5または6に記載の光コネクタ。
- 前記シラン処理にビニルメトキシシランを用いたことを特徴とする請求項7に記載の光コネクタ。
- 前記シラン処理量は全重量の0.1〜0.49%であることを特徴とする請求項7または8に記載の光コネクタ。
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2002
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