JP2004029142A - 鍵盤の黒鍵 - Google Patents
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Abstract
【課題】演奏者の指が引っ掛かかりにくい鍵盤の黒鍵を提供すること。
【解決手段】黒鍵12の黒鍵ブロック16は、前垂れ部16bおよび一対の横垂れ部16c,16cを備えており、互いが滑らかに連続している。そして、この黒鍵12に隣接する白鍵10が押下されて最下端位置にある場合でも、黒鍵ブロック16が木質の黒鍵材14の前面および両側面を覆うように構成されている。
したがって、演奏者の指が黒鍵12に引っ掛かかりにくい。
【選択図】図2
【解決手段】黒鍵12の黒鍵ブロック16は、前垂れ部16bおよび一対の横垂れ部16c,16cを備えており、互いが滑らかに連続している。そして、この黒鍵12に隣接する白鍵10が押下されて最下端位置にある場合でも、黒鍵ブロック16が木質の黒鍵材14の前面および両側面を覆うように構成されている。
したがって、演奏者の指が黒鍵12に引っ掛かかりにくい。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鍵盤の黒鍵に関する。
【0002】
【従来の技術】
断面略矩形の細長い木質の黒鍵材と、その上面の前部に取り付けられた黒鍵ブロックなどを備える鍵盤の黒鍵が知られており、例えば特開2001−147686号公報にて開示されているものが挙げられる。このような鍵盤の黒鍵において、黒鍵ブロックは木質ではなくフェノールなどのプラスチックの成形品であり、黒鍵材の上面の前部にこれを覆うように接着されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、黒鍵ブロックを黒鍵材に接着する際に接着位置が前後あるいは左右にずれてしまうことがある。すると、この黒鍵ブロックと黒鍵材とがずれた部分に演奏者の指が引っ掛かり、演奏者の運指に影響を及ぼすおそれがあった。なお、黒鍵の前部におけるずれの方が、黒鍵の後部におけるずれよりも演奏者の運指に影響を与えると考えられる。
【0004】
また、上述のような黒鍵におけるずれは、木質である黒鍵材を加工した際にその幅が黒鍵ブロックの幅と相違してしまう場合にも形成される。
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、演奏者の指が引っ掛かかりにくい鍵盤の黒鍵を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するために、請求項1の鍵盤の黒鍵は、断面略矩形の細長い第一の材質製の黒鍵材(14:この欄においては、発明への理解の容易化のため、必要に応じて実施の形態中で用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)と、前記黒鍵材の上面の前部に取り付けられた、前記第一の材質とは異なる第二の材質製の黒鍵ブロック(16)とを備える鍵盤(1)の黒鍵(12)において、前記黒鍵ブロックは、前記黒鍵材の上面の前部を覆う黒鍵ブロック本体(16a)と、該黒鍵ブロック本体に連続し、前記黒鍵材の前面を覆う前垂れ部(16b)と、それぞれが前記黒鍵ブロック本体および前記前垂れ部に連続し、前記黒鍵材の両側面それぞれを覆う一対の横垂れ部(16c,16c)とを備え、さらに、前記前垂れ部の下端および前記横垂れ部の下端は、鍵盤において隣接する鍵盤の白鍵(10)が押下されていない位置におけるその上面よりも下方に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0006】
黒鍵材(14)の材質と黒鍵ブロック(16)の材質とが同一であれば、黒鍵材および黒鍵ブロックを一体に成形できるが、黒鍵材の材質と黒鍵ブロックの材質とが異なる場合(黒鍵材:第一の材質、黒鍵ブロック:第二の材質)、黒鍵ブロックは、例えば、その下面に接着剤を塗布したのちに、その下面を黒鍵材の上面の前部に合わせることで黒鍵材に取り付けられる。なお、請求項2のように、第一の材質の具体例としては木質が挙げられ、また第二の材質の具体例としては樹脂が挙げられるが、これらに限られない。その際、接着位置が前後あるいは左右にずれてしまうことや黒鍵材の幅と黒鍵ブロックの幅とが相違していることなどにより鍵盤(1)の黒鍵(12)にずれが形成されると、演奏者の運指に影響を与えると考えられる。
【0007】
そこで、本請求項1のように、黒鍵ブロック本体(16a)、前垂れ部(16b)および一対の横垂れ部(16c,16c)が、この鍵盤の黒鍵の前部を覆うようにすれば、演奏者の指が鍵盤の黒鍵に引っ掛かかりにくい。
またこのような構成により、黒鍵ブロックを黒鍵材に取り付ける際には、前垂れ部および一対の横垂れ部に囲まれた空間に黒鍵材の前部を合わせれば、接着位置の位置決めを容易に行える。
【0008】
なお、請求項3のように、これら黒鍵ブロック本体の外面、前垂れ部の外面および横垂れ部の外面を互いに滑らかに連続するように構成すると、演奏者の指が鍵盤の黒鍵にさらに引っ掛かかりにくくなる。
また、請求項4のように、前垂れ部の下端および横垂れ部の下端(図1中に破線にて例示)を、鍵盤において隣接する鍵盤の白鍵(10)が押下された最下端位置におけるその上面(図1中に一点鎖線にて例示)よりも下方に位置するように構成するとよい。
【0009】
このような構成にすれば、鍵盤の黒鍵に隣接する白鍵が押された状態においても前垂れ部の下端および横垂れ部の下端が露出せず、演奏者の指が引っ掛かりにくくなる。なお、このような構成により演奏者の指が鍵盤の黒鍵に確実に引っ掛かからなくなると考えられるが、最下端位置にある白鍵10の上面よりもやや上方に前垂れ部の下端および横垂れ部の下端が位置しても演奏者の運指に影響を与えなければよい。
【0010】
さらに、請求項5のように、前垂れ部および一対の横垂れ部が、鍵盤において隣接する鍵盤の白鍵が押下された最下端位置におけるその白鍵の上面よりも上方に位置する黒鍵材の前面および両側面を覆うように構成することが考えられる。このような構成にすれば、演奏時に白鍵が最下端位置まで押下された際にも、この白鍵に隣接する黒鍵の黒鍵材が、前垂れ部および一対の横垂れ部に覆われていて露出しない。したがって、黒鍵材の前面および両側面を黒色に着色する必要がない。また、製造工数および製造コストを削減できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうることは言うまでもない。
【0012】
図1は、実施例の鍵盤1を示す側断面図である。なお、この図1では鍵盤1を二点鎖線で図示しており、以降、鍵盤1において、演奏者が演奏する側(図1で左側)を「前部」とし、演奏者が演奏する側の反対側(図1では右側)を「後部」とする。また、図2(a)は鍵盤1を上方から見た説明図であり、図2(b)は鍵盤1の黒鍵12の前部を示す側面図であり、図2(c)は黒鍵12の正面図である。
【0013】
この鍵盤1は、電子ピアノの前部に設置されるものであり、図2(a)に示すように、88鍵の白鍵10および黒鍵12(図ではその一部を図示)を備えている。
このうち鍵盤1の各白鍵10は、スプルスなどの比較的軽量で粘り強く弾力性に富む木質材からなり、略矩形の断面を有し、前後方向に細長く延びている。
【0014】
また、白鍵10は、その左右両側(または左右のいずれか片側)に黒鍵12を配置するための段差部10dを有している。
さらに、白鍵10の上面の中央部にはプッシングクロス10aが接着され、これらを上下方向に貫通するようにバランスピン孔10bが形成されている。そして、図1に示すように、鍵盤1の中央において左右方向に配された筬中3に立設するバランスピン(図示せず)に、このバランスピン孔10bが係合することによって、白鍵10が揺動自在に支持されている。また、白鍵10の下面の前端部には、図2(a)に示すように、フロントピン孔10cが形成されており、このフロントピン孔10cが、立設するフロントピン(図示せず)に係合することによって、白鍵10の左右の振れが防止される。
【0015】
また、図1に戻り、白鍵10の後端部の上方には、ハンマー(図示せず)および鍵スイッチ(図示せず)などが設けられている。
これらハンマーおよび鍵スイッチは、次のように構成されている。すなわち、白鍵10の前部を押鍵したときに、白鍵10がバランスピンを中心として揺動し、これに伴いハンマーは、白鍵10の後端部に突き上げられることで回動する。そして、回動するハンマーが鍵スイッチを押してオンさせることにより白鍵10の押鍵情報が検出される。そして、その検出結果に応じて、制御装置により電子楽器の発音が制御される。
【0016】
この押鍵された白鍵10は、鍵盤1の前部において左右方向に配されたストッパークッション5に当接する最下端位置(一点鎖線で図示)まで揺動可能である。
ところで、鍵盤1の各黒鍵12は、図2(b)に示すように、黒鍵材14、この黒鍵材14の上面の前部に取り付けられた黒鍵ブロック16などを備えている。そして各黒鍵12は、隣接し合う白鍵10,10の各段差部10d,10dの間にそれぞれ配されている。
【0017】
このうち黒鍵材14は、上述の白鍵10と同様にスプルスなどの比較的軽量で粘り強く弾力性に富む木質材からなり、略矩形の断面を有し、前後方向に細長く延びている。
また、図2(a)に示すように、黒鍵材14の上面の中央部にはプッシングクロス14aが接着され、これらを上下方向に貫通するようにバランスピン孔14bが形成されている。そして、図1に示すように、筬中3に立設するバランスピン(図示せず)に、このバランスピン孔14bが係合することによって、黒鍵12が揺動自在に支持されている。また、黒鍵材14の下面の前端部には、図2(a)に示すように、フロントピン孔14cが形成されており、このフロントピン孔14cが、立設するフロントピン(図示せず)に係合することによって、黒鍵12の左右の振れが防止される。
【0018】
一方、黒鍵12の黒鍵ブロック16は、フェノールなどのプラスチックの成形品である。また、黒鍵ブロック16は、図2(b)および図2(c)に示すように、黒鍵ブロック本体16a、黒鍵ブロック本体16aの前部から下方に延出する前垂れ部16bおよび黒鍵ブロック本体16aの両側それぞれから下方に延出し、それぞれが前垂れ部16bと連続する一対の横垂れ部16c,16cを備えている。これら黒鍵ブロック本体16aの外面、前垂れ部16bの外面および横垂れ部16cの外面は、互いに滑らかに連続している。また、一対の横垂れ部16c,16cの間の距離は、黒鍵材14の幅よりも若干広く設定されている。
【0019】
上述の黒鍵ブロック16を黒鍵材14に取り付ける際には、まず、黒鍵ブロック本体16aの下面に接着剤を塗布し、続いてこの接着剤が塗布された黒鍵ブロック16aの下面を黒鍵材14の上面の前部に合わせる。
そして、黒鍵ブロック16は、上述のように黒鍵材14に取り付けた場合に、前垂れ部16bの下端および一対の横垂れ部16c,16cの各下端(図1中に破線で図示)が、最下端位置にある白鍵10の上面(図1中に一点鎖線で図示)よりも下方に位置するように設定されており、且つ前垂れ部16bおよび一対の横垂れ部16c,16cが、最下端位置にある白鍵10の上面よりも上方に位置する黒鍵材14の前面および両側面を覆うように設定されている。
【0020】
さて、図1に戻り、黒鍵12の後端部の上方には、白鍵10の場合と同様に、ハンマー(図示せず)および鍵スイッチ(図示せず)などが設けられている。
これらハンマーおよび鍵スイッチは、次のように構成されている。すなわち、黒鍵12の前部を押鍵したときに、黒鍵12がバランスピンを中心として揺動し、これに伴いハンマーは、黒鍵12の後端部に突き上げられることで回動する。そして、回動するハンマーが鍵スイッチを押してオンさせることにより黒鍵12の押鍵情報が検出される。そして、その検出結果に応じて、制御装置により電子楽器の発音が制御される。
【0021】
なお、鍵盤1の他の構成は公知技術に従っているので、詳細の説明は省略する。
このように、本実施例の鍵盤1においては、各黒鍵12の黒鍵ブロック16の外面が滑らかに構成されており、且つそれぞれの黒鍵12に隣接する白鍵10が最下端位置にある場合でも、その黒鍵12の黒鍵ブロック16が黒鍵材14の前面および両側面を覆うように構成されているので、演奏者の指が黒鍵12に引っ掛かかりにくい。また、黒鍵材14の前面および両側面を黒色に着色する必要がなく、製造工数および製造コストを削減できる。
【0022】
さらに、黒鍵ブロック16を黒鍵材14の上面の前部に接着する際には、前垂れ部16bおよび一対の横垂れ部16c,16cに囲まれた空間に黒鍵材14の前部を合わせれば、接着位置の位置決めを容易に行える。
[別実施例]
(1)上記実施例の黒鍵ブロック16を、図3(a)に示すように、一対の横垂れ部16c,16cの下端同士を連結部16dにて連結させた構成としてもよい。この場合、黒鍵ブロック本体16a、一対の横垂れ部16c,16cおよび連結部16dに囲まれた空間に黒鍵材14の前端部を差し入れれば、黒鍵12となる。このような構成においても上記実施例と同様の作用効果を奏する。
(2)また、図3(b)に示すように、黒鍵ブロック20が、黒鍵材14の前端部を差し込み可能な差込孔20aを備えるように構成してもよい。この場合、黒鍵材14の前端部をこの差込孔20aに差し入れれば、黒鍵12となる。なお、この黒鍵ブロック20の下部には、差込孔20aにその前端部を差し入れられた黒鍵材14のフロントピン孔14cに連通するフロントピン孔20bが設けられている。このような構成においても上記実施例と同様の作用効果を奏する。
(3)上記実施例は、電子ピアノに設けられた鍵盤1の例であるが、本発明は、アコースティックピアノなど鍵盤楽器の鍵盤に広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の鍵盤を示す側断面図であり、離鍵位置にある白鍵を実線にて図示し、押鍵された最下端位置ある白鍵を一点鎖線にて図示している。
【図2】(a)は実施例の鍵盤を上方から見た説明図であり、(b)は実施例の黒鍵の前部を示す側面図であり、(c)は実施例の黒鍵の正面図である。
【図3】(a)は黒鍵の別実施例(1)を示す正面図および側面図であり、(b)は黒鍵の別実施例(2)を示す正面図および側面図である。
【符号の説明】
1…鍵盤、3…筬中、5…ストッパークッション、10…白鍵、10a,14a…プッシングクロス、10b、14b…バランスピン孔、10c,14c,20b…フロントピン孔、10d…段差部、12…黒鍵、14…黒鍵材、14d…連結部、16,20…黒鍵ブロック、16a…黒鍵ブロック本体、16b…前垂れ部、16c…横垂れ部、20a…差込孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、鍵盤の黒鍵に関する。
【0002】
【従来の技術】
断面略矩形の細長い木質の黒鍵材と、その上面の前部に取り付けられた黒鍵ブロックなどを備える鍵盤の黒鍵が知られており、例えば特開2001−147686号公報にて開示されているものが挙げられる。このような鍵盤の黒鍵において、黒鍵ブロックは木質ではなくフェノールなどのプラスチックの成形品であり、黒鍵材の上面の前部にこれを覆うように接着されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、黒鍵ブロックを黒鍵材に接着する際に接着位置が前後あるいは左右にずれてしまうことがある。すると、この黒鍵ブロックと黒鍵材とがずれた部分に演奏者の指が引っ掛かり、演奏者の運指に影響を及ぼすおそれがあった。なお、黒鍵の前部におけるずれの方が、黒鍵の後部におけるずれよりも演奏者の運指に影響を与えると考えられる。
【0004】
また、上述のような黒鍵におけるずれは、木質である黒鍵材を加工した際にその幅が黒鍵ブロックの幅と相違してしまう場合にも形成される。
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、演奏者の指が引っ掛かかりにくい鍵盤の黒鍵を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するために、請求項1の鍵盤の黒鍵は、断面略矩形の細長い第一の材質製の黒鍵材(14:この欄においては、発明への理解の容易化のため、必要に応じて実施の形態中で用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)と、前記黒鍵材の上面の前部に取り付けられた、前記第一の材質とは異なる第二の材質製の黒鍵ブロック(16)とを備える鍵盤(1)の黒鍵(12)において、前記黒鍵ブロックは、前記黒鍵材の上面の前部を覆う黒鍵ブロック本体(16a)と、該黒鍵ブロック本体に連続し、前記黒鍵材の前面を覆う前垂れ部(16b)と、それぞれが前記黒鍵ブロック本体および前記前垂れ部に連続し、前記黒鍵材の両側面それぞれを覆う一対の横垂れ部(16c,16c)とを備え、さらに、前記前垂れ部の下端および前記横垂れ部の下端は、鍵盤において隣接する鍵盤の白鍵(10)が押下されていない位置におけるその上面よりも下方に位置するように構成されていることを特徴とする。
【0006】
黒鍵材(14)の材質と黒鍵ブロック(16)の材質とが同一であれば、黒鍵材および黒鍵ブロックを一体に成形できるが、黒鍵材の材質と黒鍵ブロックの材質とが異なる場合(黒鍵材:第一の材質、黒鍵ブロック:第二の材質)、黒鍵ブロックは、例えば、その下面に接着剤を塗布したのちに、その下面を黒鍵材の上面の前部に合わせることで黒鍵材に取り付けられる。なお、請求項2のように、第一の材質の具体例としては木質が挙げられ、また第二の材質の具体例としては樹脂が挙げられるが、これらに限られない。その際、接着位置が前後あるいは左右にずれてしまうことや黒鍵材の幅と黒鍵ブロックの幅とが相違していることなどにより鍵盤(1)の黒鍵(12)にずれが形成されると、演奏者の運指に影響を与えると考えられる。
【0007】
そこで、本請求項1のように、黒鍵ブロック本体(16a)、前垂れ部(16b)および一対の横垂れ部(16c,16c)が、この鍵盤の黒鍵の前部を覆うようにすれば、演奏者の指が鍵盤の黒鍵に引っ掛かかりにくい。
またこのような構成により、黒鍵ブロックを黒鍵材に取り付ける際には、前垂れ部および一対の横垂れ部に囲まれた空間に黒鍵材の前部を合わせれば、接着位置の位置決めを容易に行える。
【0008】
なお、請求項3のように、これら黒鍵ブロック本体の外面、前垂れ部の外面および横垂れ部の外面を互いに滑らかに連続するように構成すると、演奏者の指が鍵盤の黒鍵にさらに引っ掛かかりにくくなる。
また、請求項4のように、前垂れ部の下端および横垂れ部の下端(図1中に破線にて例示)を、鍵盤において隣接する鍵盤の白鍵(10)が押下された最下端位置におけるその上面(図1中に一点鎖線にて例示)よりも下方に位置するように構成するとよい。
【0009】
このような構成にすれば、鍵盤の黒鍵に隣接する白鍵が押された状態においても前垂れ部の下端および横垂れ部の下端が露出せず、演奏者の指が引っ掛かりにくくなる。なお、このような構成により演奏者の指が鍵盤の黒鍵に確実に引っ掛かからなくなると考えられるが、最下端位置にある白鍵10の上面よりもやや上方に前垂れ部の下端および横垂れ部の下端が位置しても演奏者の運指に影響を与えなければよい。
【0010】
さらに、請求項5のように、前垂れ部および一対の横垂れ部が、鍵盤において隣接する鍵盤の白鍵が押下された最下端位置におけるその白鍵の上面よりも上方に位置する黒鍵材の前面および両側面を覆うように構成することが考えられる。このような構成にすれば、演奏時に白鍵が最下端位置まで押下された際にも、この白鍵に隣接する黒鍵の黒鍵材が、前垂れ部および一対の横垂れ部に覆われていて露出しない。したがって、黒鍵材の前面および両側面を黒色に着色する必要がない。また、製造工数および製造コストを削減できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうることは言うまでもない。
【0012】
図1は、実施例の鍵盤1を示す側断面図である。なお、この図1では鍵盤1を二点鎖線で図示しており、以降、鍵盤1において、演奏者が演奏する側(図1で左側)を「前部」とし、演奏者が演奏する側の反対側(図1では右側)を「後部」とする。また、図2(a)は鍵盤1を上方から見た説明図であり、図2(b)は鍵盤1の黒鍵12の前部を示す側面図であり、図2(c)は黒鍵12の正面図である。
【0013】
この鍵盤1は、電子ピアノの前部に設置されるものであり、図2(a)に示すように、88鍵の白鍵10および黒鍵12(図ではその一部を図示)を備えている。
このうち鍵盤1の各白鍵10は、スプルスなどの比較的軽量で粘り強く弾力性に富む木質材からなり、略矩形の断面を有し、前後方向に細長く延びている。
【0014】
また、白鍵10は、その左右両側(または左右のいずれか片側)に黒鍵12を配置するための段差部10dを有している。
さらに、白鍵10の上面の中央部にはプッシングクロス10aが接着され、これらを上下方向に貫通するようにバランスピン孔10bが形成されている。そして、図1に示すように、鍵盤1の中央において左右方向に配された筬中3に立設するバランスピン(図示せず)に、このバランスピン孔10bが係合することによって、白鍵10が揺動自在に支持されている。また、白鍵10の下面の前端部には、図2(a)に示すように、フロントピン孔10cが形成されており、このフロントピン孔10cが、立設するフロントピン(図示せず)に係合することによって、白鍵10の左右の振れが防止される。
【0015】
また、図1に戻り、白鍵10の後端部の上方には、ハンマー(図示せず)および鍵スイッチ(図示せず)などが設けられている。
これらハンマーおよび鍵スイッチは、次のように構成されている。すなわち、白鍵10の前部を押鍵したときに、白鍵10がバランスピンを中心として揺動し、これに伴いハンマーは、白鍵10の後端部に突き上げられることで回動する。そして、回動するハンマーが鍵スイッチを押してオンさせることにより白鍵10の押鍵情報が検出される。そして、その検出結果に応じて、制御装置により電子楽器の発音が制御される。
【0016】
この押鍵された白鍵10は、鍵盤1の前部において左右方向に配されたストッパークッション5に当接する最下端位置(一点鎖線で図示)まで揺動可能である。
ところで、鍵盤1の各黒鍵12は、図2(b)に示すように、黒鍵材14、この黒鍵材14の上面の前部に取り付けられた黒鍵ブロック16などを備えている。そして各黒鍵12は、隣接し合う白鍵10,10の各段差部10d,10dの間にそれぞれ配されている。
【0017】
このうち黒鍵材14は、上述の白鍵10と同様にスプルスなどの比較的軽量で粘り強く弾力性に富む木質材からなり、略矩形の断面を有し、前後方向に細長く延びている。
また、図2(a)に示すように、黒鍵材14の上面の中央部にはプッシングクロス14aが接着され、これらを上下方向に貫通するようにバランスピン孔14bが形成されている。そして、図1に示すように、筬中3に立設するバランスピン(図示せず)に、このバランスピン孔14bが係合することによって、黒鍵12が揺動自在に支持されている。また、黒鍵材14の下面の前端部には、図2(a)に示すように、フロントピン孔14cが形成されており、このフロントピン孔14cが、立設するフロントピン(図示せず)に係合することによって、黒鍵12の左右の振れが防止される。
【0018】
一方、黒鍵12の黒鍵ブロック16は、フェノールなどのプラスチックの成形品である。また、黒鍵ブロック16は、図2(b)および図2(c)に示すように、黒鍵ブロック本体16a、黒鍵ブロック本体16aの前部から下方に延出する前垂れ部16bおよび黒鍵ブロック本体16aの両側それぞれから下方に延出し、それぞれが前垂れ部16bと連続する一対の横垂れ部16c,16cを備えている。これら黒鍵ブロック本体16aの外面、前垂れ部16bの外面および横垂れ部16cの外面は、互いに滑らかに連続している。また、一対の横垂れ部16c,16cの間の距離は、黒鍵材14の幅よりも若干広く設定されている。
【0019】
上述の黒鍵ブロック16を黒鍵材14に取り付ける際には、まず、黒鍵ブロック本体16aの下面に接着剤を塗布し、続いてこの接着剤が塗布された黒鍵ブロック16aの下面を黒鍵材14の上面の前部に合わせる。
そして、黒鍵ブロック16は、上述のように黒鍵材14に取り付けた場合に、前垂れ部16bの下端および一対の横垂れ部16c,16cの各下端(図1中に破線で図示)が、最下端位置にある白鍵10の上面(図1中に一点鎖線で図示)よりも下方に位置するように設定されており、且つ前垂れ部16bおよび一対の横垂れ部16c,16cが、最下端位置にある白鍵10の上面よりも上方に位置する黒鍵材14の前面および両側面を覆うように設定されている。
【0020】
さて、図1に戻り、黒鍵12の後端部の上方には、白鍵10の場合と同様に、ハンマー(図示せず)および鍵スイッチ(図示せず)などが設けられている。
これらハンマーおよび鍵スイッチは、次のように構成されている。すなわち、黒鍵12の前部を押鍵したときに、黒鍵12がバランスピンを中心として揺動し、これに伴いハンマーは、黒鍵12の後端部に突き上げられることで回動する。そして、回動するハンマーが鍵スイッチを押してオンさせることにより黒鍵12の押鍵情報が検出される。そして、その検出結果に応じて、制御装置により電子楽器の発音が制御される。
【0021】
なお、鍵盤1の他の構成は公知技術に従っているので、詳細の説明は省略する。
このように、本実施例の鍵盤1においては、各黒鍵12の黒鍵ブロック16の外面が滑らかに構成されており、且つそれぞれの黒鍵12に隣接する白鍵10が最下端位置にある場合でも、その黒鍵12の黒鍵ブロック16が黒鍵材14の前面および両側面を覆うように構成されているので、演奏者の指が黒鍵12に引っ掛かかりにくい。また、黒鍵材14の前面および両側面を黒色に着色する必要がなく、製造工数および製造コストを削減できる。
【0022】
さらに、黒鍵ブロック16を黒鍵材14の上面の前部に接着する際には、前垂れ部16bおよび一対の横垂れ部16c,16cに囲まれた空間に黒鍵材14の前部を合わせれば、接着位置の位置決めを容易に行える。
[別実施例]
(1)上記実施例の黒鍵ブロック16を、図3(a)に示すように、一対の横垂れ部16c,16cの下端同士を連結部16dにて連結させた構成としてもよい。この場合、黒鍵ブロック本体16a、一対の横垂れ部16c,16cおよび連結部16dに囲まれた空間に黒鍵材14の前端部を差し入れれば、黒鍵12となる。このような構成においても上記実施例と同様の作用効果を奏する。
(2)また、図3(b)に示すように、黒鍵ブロック20が、黒鍵材14の前端部を差し込み可能な差込孔20aを備えるように構成してもよい。この場合、黒鍵材14の前端部をこの差込孔20aに差し入れれば、黒鍵12となる。なお、この黒鍵ブロック20の下部には、差込孔20aにその前端部を差し入れられた黒鍵材14のフロントピン孔14cに連通するフロントピン孔20bが設けられている。このような構成においても上記実施例と同様の作用効果を奏する。
(3)上記実施例は、電子ピアノに設けられた鍵盤1の例であるが、本発明は、アコースティックピアノなど鍵盤楽器の鍵盤に広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の鍵盤を示す側断面図であり、離鍵位置にある白鍵を実線にて図示し、押鍵された最下端位置ある白鍵を一点鎖線にて図示している。
【図2】(a)は実施例の鍵盤を上方から見た説明図であり、(b)は実施例の黒鍵の前部を示す側面図であり、(c)は実施例の黒鍵の正面図である。
【図3】(a)は黒鍵の別実施例(1)を示す正面図および側面図であり、(b)は黒鍵の別実施例(2)を示す正面図および側面図である。
【符号の説明】
1…鍵盤、3…筬中、5…ストッパークッション、10…白鍵、10a,14a…プッシングクロス、10b、14b…バランスピン孔、10c,14c,20b…フロントピン孔、10d…段差部、12…黒鍵、14…黒鍵材、14d…連結部、16,20…黒鍵ブロック、16a…黒鍵ブロック本体、16b…前垂れ部、16c…横垂れ部、20a…差込孔
Claims (5)
- 断面略矩形の細長い第一の材質製の黒鍵材と、前記黒鍵材の上面の前部に取り付けられた、前記第一の材質とは異なる第二の材質製の黒鍵ブロックと
を備える鍵盤の黒鍵において、
前記黒鍵ブロックは、
前記黒鍵材の上面の前部を覆う黒鍵ブロック本体と、
該黒鍵ブロック本体に連続し、前記黒鍵材の前面を覆う前垂れ部と、
それぞれが前記黒鍵ブロック本体および前記前垂れ部に連続し、前記黒鍵材の両側面それぞれを覆う一対の横垂れ部と
を備え、
さらに、前記前垂れ部の下端および前記横垂れ部の下端は、鍵盤において隣接する鍵盤の白鍵が押下されていない位置におけるその上面よりも下方に位置するように構成されていること
を特徴とする鍵盤の黒鍵。 - 請求項1記載の鍵盤の黒鍵において、
前記第一の材質製の黒鍵材は木質であり、且つ前記第二の材質製の黒鍵ブロックは樹脂製であることを特徴とする鍵盤の黒鍵。 - 請求項1または2記載の鍵盤の黒鍵において、
前記黒鍵ブロック本体の外面、前記前垂れ部の外面および前記横垂れ部の外面は、互いに滑らかに連続するように構成されていることを特徴とする鍵盤の黒鍵。 - 請求項1〜3の何れかに記載の鍵盤の黒鍵において、
前記前垂れ部の下端および前記横垂れ部の下端は、鍵盤において隣接する鍵盤の白鍵が押下された最下端位置におけるその上面よりも下方に位置するように構成されていることを特徴とする鍵盤の黒鍵。 - 請求項1〜4の何れかに記載の鍵盤の黒鍵において、
前記前垂れ部および前記一対の横垂れ部は、鍵盤において隣接する鍵盤の白鍵が押下された最下端位置におけるその白鍵の上面よりも上方に位置する黒鍵材の前面および両側面を覆うように構成されていることを特徴とする鍵盤の黒鍵。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002181707A JP2004029142A (ja) | 2002-06-21 | 2002-06-21 | 鍵盤の黒鍵 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002181707A JP2004029142A (ja) | 2002-06-21 | 2002-06-21 | 鍵盤の黒鍵 |
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ID=31178477
Family Applications (1)
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JP2002181707A Pending JP2004029142A (ja) | 2002-06-21 | 2002-06-21 | 鍵盤の黒鍵 |
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JP (1) | JP2004029142A (ja) |
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2002
- 2002-06-21 JP JP2002181707A patent/JP2004029142A/ja active Pending
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