JP2004028485A - Co2冷媒サイクル装置 - Google Patents

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江原 俊行
Hiroyuki Matsumori
松森 裕之
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佐藤 孝
Masaru Matsuura
松浦 大
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斎藤 隆泰
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Abstract

【課題】CO2を冷媒として使用する冷媒サイクル装置において、コンプレッサにおける圧縮効率を向上させることを目的とする。
【解決手段】コンプレッサ10、ガスクーラ154、膨張弁156及びエバポレータ157を順次環状に接続し、CO2を冷媒として使用する冷媒サイクル装置において、膨張弁156の開度を調整してコンプレッサ10に吸い込まれる冷媒の過熱度を10ケルビンより大きくする。また、前記ガスクーラ154を出た冷媒と前記エバポレータ157を出た冷媒とを熱交換させるための中間熱交換器160を備え、前記エバポレータ157出口側の冷媒温度及び/又は前記中間熱交換器160出口の低圧側冷媒温度に基づいて前記絞り手段の開度を調整する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンプレッサ、ガスクーラ、絞り手段及びエバポレータを順次環状に接続して構成され、CO2を冷媒として使用する冷媒サイクル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より例えば自動車の車室内を空調するカーエアコンは、ロータリコンプレッサ(コンプレッサ)、ガスクーラ、中間熱交換器、絞り手段(膨張弁等)及びエバポレータ等を順次環状に接続配管して冷媒サイクル(冷媒回路)が構成されている。そして、ロータリコンプレッサに内蔵される回転圧縮要素の吸込ポートから冷媒ガスがシリンダの低圧室側に吸入され、ローラとベーンの動作により圧縮が行われて高温高圧の冷媒ガスとなり、高圧室側から吐出ポート、吐出消音室を経てガスクーラに流入して放熱し、中間熱交換器にて低圧側冷媒と熱交換した後、絞り手段で絞られてエバポレータに供給される。そこで冷媒が蒸発し、そのときに周囲から吸熱することにより、冷却作用を発揮して車室内を空調する。
【0003】
そして、エバポレータで蒸発した冷媒はレシバータンクで気液が分離され、ガス冷媒が中間熱交換器に流入して高圧側冷媒により加熱作用を受けた後、ロータリコンプレッサの回転圧縮要素のシリンダ低圧室側に吸い込まれるサイクルを繰り返すものである。
【0004】
この場合、ロータリコンプレッサのシリンダの低圧室側に吸い込まれる冷媒は、従来では10K(ケルビン)以下程度の過熱度となるように絞り手段の開度が調整されていた。
【0005】
一方、近年では地球環境問題に対処するため、この種のカーエアコン等の冷媒サイクルにおいても、従来のフロンを用いずに、自然冷媒であるCO2(二酸化炭素)を冷媒として用いることが試みられている。
【0006】
このCO2冷媒を用いたものとしては、例えば特公平7−18602号公報に示される如く、蒸気圧縮サイクル(冷媒サイクル)の高サイド(高圧側)が超臨界圧力で運転され、圧縮機、冷却装置(ガスクーラ)、絞り手段及び蒸発器(エバポレータ)を直列連結して閉回路が構成される超臨界蒸気圧縮サイクルの運転において、この閉回路に配置された緩衝用冷媒レシーバ(レシーバータンク)の液体残量を変更することによって、閉回路の高サイド内の冷媒充填量を変動させてその高サイドの圧力を調整し、蒸気圧縮サイクルの所定の冷媒能力をもたらすことを特徴とする超臨界蒸気圧縮サイクルの運転方法が開示されている。
【0007】
更にまた、特許第2931668号公報には、回路を構成するように直列に接続されたコンプレッサと、ガスクーラ、内部熱交換器、膨張手段(絞り手段)、蒸発器(エバポレータ)及び低圧冷媒レシーバ(レシーバタンク)とからなり、高サイド(高圧側)が超臨界圧力で操作される超臨界蒸気圧縮回路における高サイド圧力調整方法において、回路の実際の操作状態の少なくとも一つを検出し、所定の能力要求において装置のエネルギー消費を最小とするために、予定の設定値に従って超臨界高サイド圧力を調整する段階からなる高サイド圧力調整方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなCO2冷媒を用いて従来の如くロータリコンプレッサに吸い込まれる冷媒の過熱度を10K以下で制御した場合、シリンダに入る冷媒温度が比較的低いため、シリンダに吸い込まれる冷媒とシリンダ壁との温度差が大きく、吸気中にシリンダ壁からの熱移動が多くなり、吸気ガスが過熱されて圧縮効率が低下してしまう問題が発生する。
【0009】
また、前述した超臨界蒸気圧縮サイクルは、高サイドの圧力を調整するため、コンプレッサと蒸発器との間に緩衝用冷媒レシーバ(低圧冷媒レシーバ)を設け、この緩衝用冷媒レシーバに液冷媒を溜め、所望の能力要求に応じて冷媒を流したり、溜めたりするものである。従って、上述した従来の構造であると、液冷媒のままコンプレッサに流入してしまい、コンプレッサの液圧縮を行って破損してしまう恐れがある。
【0010】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、CO2を冷媒として使用する冷媒サイクル装置において、コンプレッサにおける冷媒の圧縮効率を向上させると共にコンプレッサの液圧縮による破損を防止することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明では絞り手段の開度を調整してコンプレッサに吸い込まれる冷媒の過熱度を大きくとるので、例えばコンプレッサに吸い込まれる冷媒の過熱度を10ケルビンより大きくすることにより、コンプレッサの吸込冷媒の温度を上げることができるようになり、コンプレッサに吸い込まれる冷媒を乾燥することができるようになる。
【0012】
請求項3の発明では、上記に加えてエバポレータ出口側の冷媒温度及び/又は中間熱交換器出口の低圧側冷媒温度に基づいて絞り手段の開度を調整するので、コンプレッサに吸い込まれる冷媒の過熱度制御をより的確に行うことができるようになる。
【0013】
請求項4の発明では、上記に加えてコンプレッサに吸い込まれる冷媒を一旦貯溜するレシーバータンクを備え、エバポレータから出て中間熱交換器を経た冷媒をレシーバータンクに流入させるようにしているので、エバポレータから出た温度の低い冷媒を、レシーバータンクを介さずに中間熱交換器に流入させ、ガスクーラから出た冷媒を効果的に冷却することができるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。この冷媒サイクル装置は高圧側が超臨界圧力で運転されるCO2冷媒サイクル装置であり、図1は本発明の冷媒サイクル装置に使用するコンプレッサの実施例として、第1及び第2の回転圧縮要素32、34を備えた内部中間圧型多段(2段)圧縮式ロータリコンプレッサ10の縦断側面図である。
【0015】
即ち、10はCO2(二酸化炭素)を冷媒として使用する内部中間圧型多段圧縮式ロータリコンプレッサで、このコンプレッサ10は鋼板からなる円筒状の密閉容器12と、この密閉容器12の内部空間の上側に配置収納された電動要素14及びこの電動要素14の下側に配置され、電動要素14の回転軸16により駆動される第1の回転圧縮要素32(1段目)及び第2の回転圧縮要素34(2段目)から成る回転圧縮機構部18にて構成されている。
【0016】
密閉容器12は底部をオイル溜めとし、電動要素14と回転圧縮機構部18を収納する容器本体12Aと、この容器本体12Aの上部開口を閉塞する略椀状のエンドキャップ(蓋体)12Bとで構成され、且つ、このエンドキャップ12Bの上面中心には円形の取付孔12Dが形成されており、この取付孔12Dには電動要素14に電力を供給するためのターミナル(配線を省略)20が取り付けられている。
【0017】
電動要素14は、密閉容器12の上部空間の内周面に沿って環状に取り付けられたステータ22と、このステータ22の内側に若干の間隔を設けて挿入設置されたロータ24とからなる。このロータ24は中心を通り鉛直方向に延びる回転軸16に固定されている。
【0018】
ステータ22は、ドーナッツ状の電磁鋼板を積層した積層体26と、この積層体26の歯部に直巻き(集中巻き)方式により巻装されたステータコイル28を有している。また、ロータ24はステータ22と同様に電磁鋼板の積層体30で形成され、この積層体30内に永久磁石MGを挿入して形成されている。
【0019】
前記第1の回転圧縮要素32と第2の回転圧縮要素34との間には中間仕切板36が狭持されている。即ち、第1の回転圧縮要素32と第2の回転圧縮要素34は、中間仕切板36と、この中間仕切板36の上下に配置された上シリンダ38、下シリンダ40と、この上下シリンダ38、40内を180度の位相差を有して回転軸16に設けた上下偏心部42、44にて偏心回転する上下ローラ46、48と、この上下ローラ46、48に当接して上下シリンダ38、40内をそれぞれ低圧室側と高圧室側に区画するベーン50、52と、上シリンダ38の上側の開口面及び下シリンダ40の下側の開口面を閉塞して回転軸16の軸受けを兼用する支持部材としての上部支持部材54及び下部支持部材56にて構成されている。
【0020】
一方、上部支持部材54及び下部支持部材56には、図示しない吸込ポートにて上下シリンダ38、40の内部とそれぞれ連通する吸込通路60(上側の吸込通路は図示せず)と、一部を凹陥させ、この凹陥部を上カバー66、下カバー68にて閉塞することにより形成される吐出消音室62、64とが設けられている。
【0021】
尚、吐出消音室64と密閉容器12内とは、上下シリンダ38、40や中間仕切板36を貫通する連通路にて連通されており、連通路の上端には中間吐出管121が立設され、この中間吐出管121から第1の回転圧縮要素32で圧縮された中間圧の冷媒が密閉容器12内に吐出される。
【0022】
また、第2の回転圧縮要素34の上シリンダ38内部と連通する吐出消音室62の上面開口部を閉塞する上部カバー66は、密閉容器12内を吐出消音室62と電動要素14側とに仕切る。
【0023】
そして、冷媒としては地球環境にやさしく、可燃性及び毒性等を考慮して自然冷媒である前述したCO2(二酸化炭素)を使用し、潤滑油としてのオイルは、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油、PAG(ポリアルキルグリコール)等該存のオイルが使用される。
【0024】
密閉容器12の容器本体12Aの側面には、上部支持部材54と下部支持部材56の吸込通路60(上側は図示せず)、吐出消音室62、上部カバー66の上側(電動要素14の下端に略対応する位置)に対応する位置に、スリーブ141、142、143及び144がそれぞれ溶接固定されている。そして、スリーブ141内には上シリンダ38に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管92の一端が挿入接続され、この冷媒導入管92の一端は上シリンダ38の図示しない吸込通路と連通する。この冷媒導入管92は密閉容器12の上側を通過してスリーブ144に至り、他端はスリーブ144内に挿入接続されて密閉容器12内に連通する。
【0025】
また、スリーブ142内には下シリンダ40に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管94の一端が挿入接続され、この冷媒導入管94の一端は下シリンダ40の吸込通路60と連通する。この冷媒導入管94の他端は後述するレシーバータンク158の下側に接続されている。また、スリーブ143内には冷媒吐出管96が挿入接続され、この冷媒導入管96の一端は吐出消音室62と連通する。
【0026】
前記レシーバータンク158はコンプレッサ10に吸い込まれる冷媒の気液分離を行うタンクであり、密閉容器12の容器本体12Aの上部側面に溶接固定されたブラケット147に取り付けられている。
【0027】
次に、図2は本発明を自動車の車室内を冷房するカーエアコン(空気調和機)に適用した場合の冷媒サイクルを示しており、上述したコンプレッサ10は図2に示すカーエアコンの冷媒サイクルの一部を構成する。即ち、コンプレッサ10の冷媒吐出管96はガスクーラ154の入口に接続される。このガスクーラ154を出た配管は中間熱交換器160を経て絞り手段としての電子式膨張弁156に至る。
【0028】
膨張弁156の出口はエバポレータ157の入口に接続され、エバポレータ157の出口は中間熱交換器160を経て前記レシーバータンク158に至る。そして、レシーバータンク158の出口は冷媒導入管94に接続される。171は前記コンプレッサ10の電動要素14の回転数や膨張弁156の弁開度を制御(調整)する制御装置であり、エバポレータ157の出口側の冷媒温度を検出する温度センサ159の出力や、中間熱交換器160出口の低圧側の冷媒温度を検出する温度センサ172、図示しない自動車の車室内温度を検出する車室内温度センサ161、車室内に差し込む日差しの日射量を検出する日射センサ162及び外気温を検出する外気温センサ163の出力も入力される。
【0029】
以上の構成で次にCO2冷媒サイクル装置の動作を説明する。制御装置171によりターミナル20及び図示されない配線を介してコンプレッサ10の電動要素14のステータコイル28に通電されると、電動要素14が起動してロータ24が回転する。この回転により回転軸16と一体に設けた上下偏心部42、44に嵌合された上下ローラ46、48が上下シリンダ38、40内を偏心回転する。
【0030】
これにより、冷媒導入管94及び下部支持部材56に形成された吸込通路60を経由して図示しない吸込ポートからシリンダ40の低圧室側に吸入された低圧の冷媒は、ローラ48とベーン52の動作により圧縮されて中間圧となり下シリンダ40の高圧室側より図示しない連通路を経て中間吐出管121から密閉容器12内に吐出される。これによって、密閉容器12内は中間圧となる。
【0031】
そして、密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスは、スリ−ブ144から出て冷媒導入管92及び上部支持部材54に形成された図示しない吸込通路を経由して図示しない吸込ポートから上シリンダ38の低圧室側に吸入される。吸入された中間圧の冷媒ガスは、ローラ46とベーン50の動作により2段目の圧縮が行われて高圧高温の冷媒ガスとなり、高圧室側から図示しない吐出ポートを通り上部支持部材54に形成された吐出消音室62を経て冷媒吐出管96より外部に吐出される。このとき、冷媒は適切な超臨界圧力まで圧縮されている。
【0032】
冷媒吐出管96から吐出された冷媒ガスはガスクーラ154に流入し、そこで空冷若しくは水冷方式により放熱された後、中間熱交換器160を通過する。冷媒はそこで低圧側の冷媒により更に冷却された後、膨張弁156に至る。
【0033】
冷媒は膨張弁156における圧力低下により、ガス/液体の二相混合体とされ、その状態でエバポレータ157内に流入する。そこで冷媒が蒸発し、そのときに車室内に循環される空気から吸熱することにより冷却作用を発揮して車内を冷房した後、流出する。そして、中間熱交換器160を通過し、そこで高圧側の冷媒により加熱作用を受けた後、レシーバータンク158に至る。レシーバータンク158では気液が分離され、ガス冷媒のみが冷媒導入管94からコンプレッサ10の第1の回転圧縮要素32内に吸い込まれるサイクルを繰り返す。
【0034】
制御装置171は、車室内温度センサ161、日射センサ162及び外気温センサ163の各出力に基づいてコンプレッサ10の電動要素14の回転数を制御することにより、冷媒サイクルの冷房能力(冷凍能力)を調整して車室内を設定温度に維持する制御を行う。
【0035】
更に、制御装置171は温度センサ159が検出するエバポレータ157の出口側の冷媒温度及び温度センサ172が検出する中間熱交換器160出口の低圧側冷媒温度に基づき、膨張弁156の弁開度を調整する。このとき、制御装置171はエバポレータ157の出口側の冷媒の過熱度及び/又は中間熱交換器160出口の低圧側の冷媒の過熱度が10Kより大きくなるように、膨張弁156の弁開度を絞り気味とする。但し、過熱度は15K以上とすることが望ましい。
【0036】
これにより、エバポレータ157内で冷媒がガス/液体の二相混合体からほぼ完全にガス状態となり、更に、中間熱交換器160において高圧側の冷媒に加熱されることにより、冷媒温度がより一層上がりやすくなる。
【0037】
ここで、中間熱交換器160出口の低圧側の冷媒温度は、コンプレッサ10の入口側の冷媒温度と略同じであるため、温度センサ172により検知される中間熱交換器160出口の低圧側の冷媒温度によりコンプレッサ入口側の冷媒温度がわかる。
【0038】
図3にコンプレッサ10の入口側に吸い込まれる冷媒の過熱度と、この場合のコンプレッサの圧縮効率を示す。この図からも明らかなように、コンプレッサ10の入口側の冷媒の過熱度が高い程、コンプレッサ10の圧縮効率が向上することがわかる。
【0039】
これにより、伝熱効率の良いCO2冷媒を用いた冷媒サイクルにおいて、吸込冷媒の温度がシリンダ40の高圧室側の冷媒の圧縮を阻害することを防止若しくは抑制することができるようになるので、第1及び第2の回転圧縮要素32、34において冷媒の圧縮を効率的に行うことができるようになり、冷媒の圧縮効率を向上させることが出来るようになる。
【0040】
また、前述する如く過熱度を大きくとることで、コンプレッサ10に吸い込まれる冷媒ガスを乾燥させることができるようになる。これにより、コンプレッサ10に冷媒やオイルが液体の状態で吸い込まれるという不都合を回避することができるようになり、コンプレッサ10の液圧縮を防止することができるため、コンプレッサ10の信頼性の向上を図ることができるようになる。
【0041】
更に、エバポレータ157から出て中間熱交換器160を経た冷媒をレシーバータンク158に流入させるようにしているので、エバポレータ157から出た温度の低い冷媒を、レシーバータンク158を介さずに中間熱交換器160に流入させ、ガスクーラ154から出た冷媒をより一層効果的に冷却することができるようになる。これにより、エバポレータでの冷房能力の向上を図りながら、中間熱交換器160における低圧側の冷媒温度を上げることが出来るようになる。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明によれば絞り手段の開度を調整してコンプレッサに吸い込まれる冷媒の過熱度を大きくとるので、例えばコンプレッサに吸い込まれる冷媒の過熱度を10ケルビンより大きくすることにより、コンプレッサの吸込冷媒の温度を上げることができるようになり、コンプレッサに吸い込まれる冷媒を乾燥させることができるようになる。
【0043】
これにより、吸込まれる冷媒が過熱されて圧縮効率が低下する不都合を抑制若しくは解消し、高効率の運転を実現することができるようになる。また、コンプレッサの液圧縮を防止することができるようになる。
【0044】
請求項3の発明では、上記に加えてエバポレータ出口側の冷媒温度及び/又は中間熱交換器出口の低圧側冷媒温度に基づいて絞り手段の開度を調整するので、コンプレッサに吸い込まれる冷媒の過熱度制御をより的確に行うことができるようになる。
【0045】
請求項4の発明では、上記に加えてコンプレッサに吸い込まれる冷媒を一旦貯溜するレシーバータンクを備え、エバポレータから出て中間熱交換器を経た冷媒をレシーバータンクに流入させるようにしているので、エバポレータから出た温度の低い冷媒を、レシーバータンクを介さずに中間熱交換器に流入させ、ガスクーラから出た冷媒を効果的に冷却することができるようになる。
【0046】
これにより、エバポレータでの冷房能力の向上を図りながら、中間熱交換器における低圧側の冷媒温度を上げることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の冷媒サイクルを構成する多段圧縮式ロータリコンプレッサの縦断面図
である。
【図2】
本発明の実施例のカーエアコンの冷媒サイクルを示す図である。
【図3】
コンプレッサ入口側に吸い込まれる冷媒の過熱度とコンプレッサの圧縮効率の
関係を示す図である。
【符号の説明】
10 多段圧縮式ロータリーコンプレッサ
32 第1の回転圧縮要素
34 第2の回転圧縮要素
92、94 冷媒導入管
96 冷媒吐出管
154 ガスクーラ
156 膨張弁
157 エバポレータ
158 レシーバータンク
159、172 温度センサ
160 中間熱交換器
161 車室内温度センサ
162 日射センサ
163 外気温センサ
171 制御装置

Claims (4)

  1. コンプレッサ、ガスクーラ、絞り手段及びエバポレータを順次環状に接続し、CO2を冷媒として使用する冷媒サイクル装置であって、
    前記絞り手段の開度を調整して前記コンプレッサに吸い込まれる冷媒の過熱度を大きくとることを特徴とするCO2冷媒サイクル装置。
  2. 前記コンプレッサに吸い込まれる冷媒の過熱度を10ケルビンより大きくすることを特徴とする請求項1のCO2冷媒サイクル装置。
  3. 前記ガスクーラを出た冷媒と前記エバポレータを出た冷媒とを熱交換させるための中間熱交換器を備え、前記エバポレータ出口側の冷媒温度及び/又は前記中間熱交換器出口の低圧側冷媒温度に基づいて前記絞り手段の開度を調整することを特徴とする請求項1又は請求項2のCO2冷媒サイクル装置。
  4. 前記コンプレッサに吸い込まれる冷媒を一旦貯溜するレシーバータンクを備え、前記エバポレータから出て前記中間熱交換器を経た冷媒を前記レシーバータンクに流入させることを特徴とする請求項3のCO2冷媒サイクル装置。
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