JP2004028141A - シャフト支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】荷重点側の荷重を低下させ、寿命低下を防止することができると同時に、荷重点に遠い玉列の内外輪の溝肩に乗り上げる玉乗り上げ率の低いシャフト支持装置を提供する。
【解決手段】本発明のシャフト支持装置20は、偏心軸を有するメインシャフト11を、転がり軸受によりハウジング12に回転自在に支持し、転がり軸受が、内外輪の各起動溝間に環状方向に2列に配置された複数の玉を有する複列玉軸受であるとともに、モーメント荷重を受ける荷重点側の作用点距離L2が、反作用点距離L3よりも大きい。また、モーメント荷重Fを受ける荷重点側の内外輪接触角α1 が反荷重点側の接触角α2 よりも大きい。さらに、荷重点側の内外輪接触角が15〜35°であり、前記反荷重点側の内外輪接触角が10〜30°である。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明のシャフト支持装置20は、偏心軸を有するメインシャフト11を、転がり軸受によりハウジング12に回転自在に支持し、転がり軸受が、内外輪の各起動溝間に環状方向に2列に配置された複数の玉を有する複列玉軸受であるとともに、モーメント荷重を受ける荷重点側の作用点距離L2が、反作用点距離L3よりも大きい。また、モーメント荷重Fを受ける荷重点側の内外輪接触角α1 が反荷重点側の接触角α2 よりも大きい。さらに、荷重点側の内外輪接触角が15〜35°であり、前記反荷重点側の内外輪接触角が10〜30°である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受により偏心軸を有するシャフトをハウジングに回転自在に支持するシャフト支持装置に関し、詳しくはカーエアコン用スクロールコンプレッサの旋回スクロールが取り付けられるメインシャフトの支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に示したように、カーエアコン用スクロールコンプレッサ30のメインシャフト31を支持する従来のシャフト支持軸として、複列アンギュラ玉軸受40を用いたものが特開2000−46060号公報に記載されている。
すなわち、カーエアコン用スクロールコンプレッサ30のメインシャフト31は、複列アンギュラ玉軸受40を介してハウジング32に回転支持される。メインシャフト31の図中右端部には、偏心軸33が設けられており、偏心軸33には、旋回スクロール34が軸受35を介して支持されている。旋回スクロール34は、ハウジング32に固定された固定スクロール36に係合しながら回転し、冷媒圧縮動作を行う。
【0003】
旋回スクロール34及び固定スクロール36の相対運動による冷媒圧縮動作において、旋回スクロール34に作用する荷重は、旋回スクロール34の径方向に作用する。このため、複列アンギュラ玉軸受40への入力荷重としては、モーメント荷重として作用する。
【0004】
図9に示したように、従来の複列アンギュラ玉軸受40において、荷重点側の接触角α1は、反荷重点側の接触角α2と同じになるように形成されている。このように同じ荷重点側の接触角α1と反荷重点側の接触角α2を有することによって荷重点側の作用点距離L2と反荷重点側の作用点距離L3が等しくなる。
【0005】
なお、複列アンギュラ玉軸受40は、上述したようなカーエアコン用スクロールコンプレッサ30のメインシャフト31を支持するシャフト支持装置の軸受として用いられる他、例えば、電磁クラッチ軸、プーリ軸、ホイール軸など、片持ち軸や、荷重が一方の支持点に片寄って作用する軸の軸受としても使用されており、ラジアル荷重とアキシャル荷重の両方を支えることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の複列アンギュラ玉軸受40は、上述したように荷重の負荷位置にかかわらず、両列が同じ接触角α1、α2、同じ作用点間距離L2、L3のものが使用されていたため、モーメント荷重下で使用される上記複列アンギュラ玉軸受は、荷重点に近い列の玉41に殆どの荷重が負荷されている。このため、荷重点側の玉列は、反荷重点側の玉列に比べて、面圧上昇による早期剥離が発生して、軸受の寿命が短くなるという問題があった。
また、モーメント荷重下での反荷重点側は、接触角が大きいと、玉が外内輪溝肩に乗り上げ易いという問題があった。
【0007】
本発明は、荷重点側の荷重を低下させ、寿命低下を防止することができるとともに、反荷重点側の玉列が内外輪の溝肩に乗り上げる玉乗り上げ率の低いシャフト支持装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のシャフト支持装置は、転がり軸受により偏心軸を有するシャフトをハウジングに回転自在に支持するシャフト支持装置において、
前記転がり軸受が内外輪の各起動溝間に環状方向に2列に配置された複数の玉を有する複列玉軸受であるとともに、荷重点側の作用点距離が反荷重点側の作用点距離よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
前記構成のシャフト支持装置によれば、荷重点側の作用点距離を反荷重点側の作用点距離よりも大きくすることで、荷重点側の荷重を低下させることができる。したがって、面圧上昇による剥離の発生が低下し、軸受の寿命を長くすることができるとともに、反荷重点側の玉列の玉乗り上げ率を抑制することができる。また、早期剥離の発生を防止できるため、耐剥離性を備えた高価な軸受材料を用いる必要がなく、シャフト支持装置を低コストで製造することができる。
【0010】
本発明の請求項2記載のシャフト支持装置は、荷重点側の内外輪接触角が反荷重点側の内外輪接触角よりも大きいことを特徴とするシャフト請求項1に記載の支持装置である。
前記構成のシャフト支持装置によれば、荷重点側の内外輪接触角を反荷重点側の内外輪接触角よりも大きくすることで、荷重点側の作用点距離を反荷重点側の作用点距離よりも大きくすることができる。したがって、荷重点側の面圧の上昇を防止して、軸受の寿命を長くすることができるとともに、反荷重点側の玉列の玉乗り上げ率を抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項3記載のシャフト支持装置は、前記荷重点側の内外輪接触角が15〜35°であり、前記反荷重点側の内外輪接触角が10〜30°であることを特徴とする請求項2に記載のシャフト支持装置である。
前記構成のシャフト支持装置によれば、荷重点側の内外輪接触角が15〜35°として、前記反荷重点側の内外輪接触角を10〜30°とすることでシャフトの偏心軸から入力するモーメント荷重による接触面圧の上昇、及び玉乗り上げ率が抑制される。
【0012】
本発明の請求項4記載のシャフト支持装置は、前記内外輪の起動輪の少なくとも一方の起動輪のみぞ曲率を異なるように形成することによって、前記内外輪接触角が異なるようにすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシャフト支持装置である。
前記構成のシャフト支持装置によれば、内外輪両方、或いはどちらか一方の起動輪が持つ両列のみぞ曲率が異なることで、異なった接触角を形成することができ、シャフト軸受けの種々の用途において必要とされる接触角に容易に対応することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシャフト支持装置の実施形態を図1乃至図7に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のシャフト支持装置の第1実施形態を適用したカーエアコン用スクロールコンプレッサを示す縦断面図、図2は図1における要部の作用を説明する断面図、図3は図1における複列玉軸受を示す断面図である。
図4は本発明の第2実施形態を示す複列玉軸受の断面図である。図5は本発明の第3実施形態を示す複列玉軸受の断面図である。図6は複列玉軸受の内外輪の接触角に対する最大接触角の変化を示すグラフ、図7は図1における複列玉軸受の内外輪の接触角に対する外輪の玉乗り上げ率の変化を示すグラフである。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のシャフト支持装置20を適用したカーエアコン用スクロールコンプレッサ10は、メインシャフト11がシャフト支持装置20の複列玉軸受21によりハウジング12に回転自在に支持されている。
このメインシャフト11は、先端側(図1中右側)に偏心軸13が設けられており、旋回スクロール14がころ軸受け(図示せず)を介して偏心軸13に支持されている。この旋回スクロール14は、ハウジング12に固定された固定スクロール15に係合しながら回転し、冷媒圧縮動作を行う。
【0015】
複列玉軸受21は、内外輪22,23の各起動溝間に、環状方向に2列に配置された複数の玉24,25を備えている。すなわち、内輪22と外輪23との間に、第1の列を構成する第1の玉24と、第2の玉25とが複数個円周方向に配置された構造を有している。
【0016】
図2に示すように、複列玉軸受21においては、作用点P1と作用点P2との間の距離(作用点間距離)をL1で示し、組立幅の中心線の延長からモーメント荷重Fがかかる位置(荷重点P)までの距離(以下、オフセット量と言う)をbで示している。
ここで複列玉軸受21を使用した場合、第1の玉24の作用点P2には荷重F2、又第2の玉25の作用点P1には荷重F1がそれぞれ作用する。そして、複列玉軸受21にいずれか一方の玉列に片寄ったモーメント荷重Fが作用しない場合には、両玉列に作用する荷重の均衡はとれている。
【0017】
ところで、一般にモーメント荷重Fと距離L(モーメント荷重作用点と反荷重点側の作用点との間の距離)の積は、荷重点側にかかる荷重F1と距離L1の積に等しいことが知られている(F・L=F1・L1)。よって、作用点P1にかかる荷重F1を低下させるためには作用点L1を長くする必要があり、荷重点側の接触角α1を大きくするか、PCDを大きくすることが必要になる。
また、反荷重点側の玉列については、玉が乗り上げ易いために、荷重点側の玉列とは逆に接触角α2 を小さくすることで、玉の乗り上げを抑制することができる。
【0018】
本発明の複列玉軸受21においては、荷重点側の接触角α1が反荷重点側α2よりも大きくなるように形成されている。接触角はα1 が15〜35°、反荷重点の接触角α2 は、10°〜30°である。このような接触角を有することによって荷重点側の作用点距離L2が反荷重点側の作用点距離L3よりも大きくなる。
このような接触角α1,α2の形成は、内輪22、外輪23の両方の両列の起動輪の溝曲率を異なるように形成するか、又は内輪22、外輪23のどちらか一方の両列の起動輪の溝曲率を異なるように形成することによって達成される。
このように構成することによって、従来の複列玉軸受に比べてモーメント荷重Fの荷重点Pに近い側の第2の玉列25の作用点P1にかかる荷重F1が小さくなり、第2の玉列25にかかる負担が低下する。
【0019】
次に、本実施形態のシャフト支持装置20の作用を説明する。
カーエアコン用スクロールコンプレッサ10において、旋回スクロール14及び固定スクロール16の相対運動による冷媒圧縮動作は、旋回スルクロール14に作用する荷重が旋回スクロール14の径方向に作用する。このため、シャフト支持装置20の複列玉軸受21への入力荷重は、モーメント荷重として作用する。
【0020】
荷重点側の接触角α1が反荷重点側α2よりも大きくなるように、すなわち荷重点側の接触角α1が15〜35°、反荷重点の接触角α2が10°〜30°にすることによって荷重点側の作用点距離L2が反荷重点側の作用点距離L3よりも大きくなることで、旋回スクロール14及び固定スクロール16の相対運動による冷媒圧縮動作に伴って入力するモーメント荷重による接触面圧の上昇、及び玉乗り上げ率が抑制される。
この結果、本実施形態に係るシャフト支持装置は、モーメント荷重Fの荷重点に近い玉列に早期剥離が発生することを抑制でき、寿命を大幅に向上されることができる。
【0021】
次に、本発明のシャフト支持装置20において、複列玉軸受21の接触角に対する最大接触面圧の変化及び接触角に対する玉乗り上げ率を計算した。
計算条件としては、軸受サイズ:内径φ29×外径φ55×幅22.5、荷重:300kgf/内輪回転数750rpm×オフセット25mmである。
【0022】
上記結果を図6及び図7に示す。
図6に示すように、外輪負荷側及び内輪負荷側の最大接触面圧は、略20°で最低値を示し、外輪反負荷側及び内輪反負荷側の最大接触面圧は、10°より低下し始め25°前後より一定の値を示すようになることが分かる。
また、図7に示すように、接触角に対する玉乗り上げ率を図示したが、玉乗り上げ率は、接触楕円が持つ長半径と接触楕円から軌道輪溝肩までの比率を言う。外輪負荷側及び内輪負荷側の玉乗り上げ率は、略20°で最低値を示し、外輪反負荷側及び内輪反負荷側の玉乗り上げ率は、20°で最低値を示している。
【0023】
次に、本発明のシャフト支持装置の第2実施形態を図4に基づいて説明する。本実施形態は上記第1実施形態と異なり、第1の玉24の直径を第2の小さくすることによってα1 がα2 より大きく、又L2がL3より大きくなるように構成したものである。
本実施形態においては、単に径の異なる玉を使用することによって、起動輪の溝曲率を異なるように形成する工程を緩和することができる。
【0024】
なお、本発明は、上述した好適な実施形態に限られるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々の改良並びに設計の変更が可能である。
例えば、図5に示したように、第1の玉列24の中心と第2の玉列25とをシャフト軸の半径方向に中心をずらして配置することにより、α1 がα2 より大きく、L2がL3より大きくなるように構成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1記載のシャフト支持装置によれば、前記転がり軸受が、内外輪の各起動溝間に環状方向に2列に配置された複数の玉を有する複列玉軸受であるとともに、荷重点側の作用点距離が、反荷重点側の作用点距離よりも大きくなるようにしたので、荷重点側の荷重を低下することができる。したがって、面圧上昇による剥離の発生が低下し、軸受の寿命を長くすることができるとともに、反荷重点側の玉列の玉乗り上げ率を抑制することができる。また、耐剥離性を備えた高価な軸受材料を用いることなく、前記一方の玉列に早期剥離が発生するのを防止できるため、シャフト支持装置を低コストで製造することができる。
【0026】
本発明の請求項2記載のシャフト軸受によれば、受ける荷重点側の内外輪接触角が反荷重点側の接触角よりも大きいので、荷重点側の作用点距離を反荷重点側の作用点距離よりも大きくすることができる。
したがって、荷重点側の面圧の上昇を防止し、軸受の寿命を長くすることができるとともに、反荷重点側の玉列の玉乗り上げ率を抑制することができる。
【0027】
本発明の請求項3記載のシャフト支持装置によれば、荷重点側の内外輪接触角が15〜35°とし、前記反荷重点側の内外輪接触角を10〜30°とすることで、シャフトの偏心軸から入力するモーメント荷重による接触面圧の上昇、及び玉乗り上げ率が抑制される。
【0028】
本発明の請求項4記載のシャフト支持装置によれば、前記内外輪の起動輪の少なくとも一方の起動輪のみぞ曲率を異なるように形成することによって、前記内外輪接触角を異なるようにするので、異なった接触角を形成することができ、シャフト軸受けの種々の用途において必要とされる接触角に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシャフト支持装置の第1の実施形態を適用したカーエアコン用スクロールコンプレッサを示す縦断面図である。
【図2】図1における要部の作用を説明する断面図である。
【図3】図1における複列玉軸受を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す複列玉軸受の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示す複列玉軸受の断面図である。
【図6】複列玉軸受の内外輪の接触角に対する最大接触角の変化を示すグラフである。
【図7】図1における複列玉軸受の内外輪の接触角に対する外輪の玉乗り上げ率の変化を示すグラフである。
【図8】従来のシャフト支持装置を示す断面図である。
【図9】図8における複列玉軸受を示す断面図である。
【符号の説明】
10 カーエアコン用スクロールコンプレッサ
11 メインシャフト
12 ハウジング
13 偏心軸
14 旋回スクロール
20 シャフト支持装置
22 内輪
23 外輪
24 第1の玉列
25 第2の玉列
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受により偏心軸を有するシャフトをハウジングに回転自在に支持するシャフト支持装置に関し、詳しくはカーエアコン用スクロールコンプレッサの旋回スクロールが取り付けられるメインシャフトの支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に示したように、カーエアコン用スクロールコンプレッサ30のメインシャフト31を支持する従来のシャフト支持軸として、複列アンギュラ玉軸受40を用いたものが特開2000−46060号公報に記載されている。
すなわち、カーエアコン用スクロールコンプレッサ30のメインシャフト31は、複列アンギュラ玉軸受40を介してハウジング32に回転支持される。メインシャフト31の図中右端部には、偏心軸33が設けられており、偏心軸33には、旋回スクロール34が軸受35を介して支持されている。旋回スクロール34は、ハウジング32に固定された固定スクロール36に係合しながら回転し、冷媒圧縮動作を行う。
【0003】
旋回スクロール34及び固定スクロール36の相対運動による冷媒圧縮動作において、旋回スクロール34に作用する荷重は、旋回スクロール34の径方向に作用する。このため、複列アンギュラ玉軸受40への入力荷重としては、モーメント荷重として作用する。
【0004】
図9に示したように、従来の複列アンギュラ玉軸受40において、荷重点側の接触角α1は、反荷重点側の接触角α2と同じになるように形成されている。このように同じ荷重点側の接触角α1と反荷重点側の接触角α2を有することによって荷重点側の作用点距離L2と反荷重点側の作用点距離L3が等しくなる。
【0005】
なお、複列アンギュラ玉軸受40は、上述したようなカーエアコン用スクロールコンプレッサ30のメインシャフト31を支持するシャフト支持装置の軸受として用いられる他、例えば、電磁クラッチ軸、プーリ軸、ホイール軸など、片持ち軸や、荷重が一方の支持点に片寄って作用する軸の軸受としても使用されており、ラジアル荷重とアキシャル荷重の両方を支えることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の複列アンギュラ玉軸受40は、上述したように荷重の負荷位置にかかわらず、両列が同じ接触角α1、α2、同じ作用点間距離L2、L3のものが使用されていたため、モーメント荷重下で使用される上記複列アンギュラ玉軸受は、荷重点に近い列の玉41に殆どの荷重が負荷されている。このため、荷重点側の玉列は、反荷重点側の玉列に比べて、面圧上昇による早期剥離が発生して、軸受の寿命が短くなるという問題があった。
また、モーメント荷重下での反荷重点側は、接触角が大きいと、玉が外内輪溝肩に乗り上げ易いという問題があった。
【0007】
本発明は、荷重点側の荷重を低下させ、寿命低下を防止することができるとともに、反荷重点側の玉列が内外輪の溝肩に乗り上げる玉乗り上げ率の低いシャフト支持装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のシャフト支持装置は、転がり軸受により偏心軸を有するシャフトをハウジングに回転自在に支持するシャフト支持装置において、
前記転がり軸受が内外輪の各起動溝間に環状方向に2列に配置された複数の玉を有する複列玉軸受であるとともに、荷重点側の作用点距離が反荷重点側の作用点距離よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
前記構成のシャフト支持装置によれば、荷重点側の作用点距離を反荷重点側の作用点距離よりも大きくすることで、荷重点側の荷重を低下させることができる。したがって、面圧上昇による剥離の発生が低下し、軸受の寿命を長くすることができるとともに、反荷重点側の玉列の玉乗り上げ率を抑制することができる。また、早期剥離の発生を防止できるため、耐剥離性を備えた高価な軸受材料を用いる必要がなく、シャフト支持装置を低コストで製造することができる。
【0010】
本発明の請求項2記載のシャフト支持装置は、荷重点側の内外輪接触角が反荷重点側の内外輪接触角よりも大きいことを特徴とするシャフト請求項1に記載の支持装置である。
前記構成のシャフト支持装置によれば、荷重点側の内外輪接触角を反荷重点側の内外輪接触角よりも大きくすることで、荷重点側の作用点距離を反荷重点側の作用点距離よりも大きくすることができる。したがって、荷重点側の面圧の上昇を防止して、軸受の寿命を長くすることができるとともに、反荷重点側の玉列の玉乗り上げ率を抑制することができる。
【0011】
本発明の請求項3記載のシャフト支持装置は、前記荷重点側の内外輪接触角が15〜35°であり、前記反荷重点側の内外輪接触角が10〜30°であることを特徴とする請求項2に記載のシャフト支持装置である。
前記構成のシャフト支持装置によれば、荷重点側の内外輪接触角が15〜35°として、前記反荷重点側の内外輪接触角を10〜30°とすることでシャフトの偏心軸から入力するモーメント荷重による接触面圧の上昇、及び玉乗り上げ率が抑制される。
【0012】
本発明の請求項4記載のシャフト支持装置は、前記内外輪の起動輪の少なくとも一方の起動輪のみぞ曲率を異なるように形成することによって、前記内外輪接触角が異なるようにすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシャフト支持装置である。
前記構成のシャフト支持装置によれば、内外輪両方、或いはどちらか一方の起動輪が持つ両列のみぞ曲率が異なることで、異なった接触角を形成することができ、シャフト軸受けの種々の用途において必要とされる接触角に容易に対応することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシャフト支持装置の実施形態を図1乃至図7に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のシャフト支持装置の第1実施形態を適用したカーエアコン用スクロールコンプレッサを示す縦断面図、図2は図1における要部の作用を説明する断面図、図3は図1における複列玉軸受を示す断面図である。
図4は本発明の第2実施形態を示す複列玉軸受の断面図である。図5は本発明の第3実施形態を示す複列玉軸受の断面図である。図6は複列玉軸受の内外輪の接触角に対する最大接触角の変化を示すグラフ、図7は図1における複列玉軸受の内外輪の接触角に対する外輪の玉乗り上げ率の変化を示すグラフである。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のシャフト支持装置20を適用したカーエアコン用スクロールコンプレッサ10は、メインシャフト11がシャフト支持装置20の複列玉軸受21によりハウジング12に回転自在に支持されている。
このメインシャフト11は、先端側(図1中右側)に偏心軸13が設けられており、旋回スクロール14がころ軸受け(図示せず)を介して偏心軸13に支持されている。この旋回スクロール14は、ハウジング12に固定された固定スクロール15に係合しながら回転し、冷媒圧縮動作を行う。
【0015】
複列玉軸受21は、内外輪22,23の各起動溝間に、環状方向に2列に配置された複数の玉24,25を備えている。すなわち、内輪22と外輪23との間に、第1の列を構成する第1の玉24と、第2の玉25とが複数個円周方向に配置された構造を有している。
【0016】
図2に示すように、複列玉軸受21においては、作用点P1と作用点P2との間の距離(作用点間距離)をL1で示し、組立幅の中心線の延長からモーメント荷重Fがかかる位置(荷重点P)までの距離(以下、オフセット量と言う)をbで示している。
ここで複列玉軸受21を使用した場合、第1の玉24の作用点P2には荷重F2、又第2の玉25の作用点P1には荷重F1がそれぞれ作用する。そして、複列玉軸受21にいずれか一方の玉列に片寄ったモーメント荷重Fが作用しない場合には、両玉列に作用する荷重の均衡はとれている。
【0017】
ところで、一般にモーメント荷重Fと距離L(モーメント荷重作用点と反荷重点側の作用点との間の距離)の積は、荷重点側にかかる荷重F1と距離L1の積に等しいことが知られている(F・L=F1・L1)。よって、作用点P1にかかる荷重F1を低下させるためには作用点L1を長くする必要があり、荷重点側の接触角α1を大きくするか、PCDを大きくすることが必要になる。
また、反荷重点側の玉列については、玉が乗り上げ易いために、荷重点側の玉列とは逆に接触角α2 を小さくすることで、玉の乗り上げを抑制することができる。
【0018】
本発明の複列玉軸受21においては、荷重点側の接触角α1が反荷重点側α2よりも大きくなるように形成されている。接触角はα1 が15〜35°、反荷重点の接触角α2 は、10°〜30°である。このような接触角を有することによって荷重点側の作用点距離L2が反荷重点側の作用点距離L3よりも大きくなる。
このような接触角α1,α2の形成は、内輪22、外輪23の両方の両列の起動輪の溝曲率を異なるように形成するか、又は内輪22、外輪23のどちらか一方の両列の起動輪の溝曲率を異なるように形成することによって達成される。
このように構成することによって、従来の複列玉軸受に比べてモーメント荷重Fの荷重点Pに近い側の第2の玉列25の作用点P1にかかる荷重F1が小さくなり、第2の玉列25にかかる負担が低下する。
【0019】
次に、本実施形態のシャフト支持装置20の作用を説明する。
カーエアコン用スクロールコンプレッサ10において、旋回スクロール14及び固定スクロール16の相対運動による冷媒圧縮動作は、旋回スルクロール14に作用する荷重が旋回スクロール14の径方向に作用する。このため、シャフト支持装置20の複列玉軸受21への入力荷重は、モーメント荷重として作用する。
【0020】
荷重点側の接触角α1が反荷重点側α2よりも大きくなるように、すなわち荷重点側の接触角α1が15〜35°、反荷重点の接触角α2が10°〜30°にすることによって荷重点側の作用点距離L2が反荷重点側の作用点距離L3よりも大きくなることで、旋回スクロール14及び固定スクロール16の相対運動による冷媒圧縮動作に伴って入力するモーメント荷重による接触面圧の上昇、及び玉乗り上げ率が抑制される。
この結果、本実施形態に係るシャフト支持装置は、モーメント荷重Fの荷重点に近い玉列に早期剥離が発生することを抑制でき、寿命を大幅に向上されることができる。
【0021】
次に、本発明のシャフト支持装置20において、複列玉軸受21の接触角に対する最大接触面圧の変化及び接触角に対する玉乗り上げ率を計算した。
計算条件としては、軸受サイズ:内径φ29×外径φ55×幅22.5、荷重:300kgf/内輪回転数750rpm×オフセット25mmである。
【0022】
上記結果を図6及び図7に示す。
図6に示すように、外輪負荷側及び内輪負荷側の最大接触面圧は、略20°で最低値を示し、外輪反負荷側及び内輪反負荷側の最大接触面圧は、10°より低下し始め25°前後より一定の値を示すようになることが分かる。
また、図7に示すように、接触角に対する玉乗り上げ率を図示したが、玉乗り上げ率は、接触楕円が持つ長半径と接触楕円から軌道輪溝肩までの比率を言う。外輪負荷側及び内輪負荷側の玉乗り上げ率は、略20°で最低値を示し、外輪反負荷側及び内輪反負荷側の玉乗り上げ率は、20°で最低値を示している。
【0023】
次に、本発明のシャフト支持装置の第2実施形態を図4に基づいて説明する。本実施形態は上記第1実施形態と異なり、第1の玉24の直径を第2の小さくすることによってα1 がα2 より大きく、又L2がL3より大きくなるように構成したものである。
本実施形態においては、単に径の異なる玉を使用することによって、起動輪の溝曲率を異なるように形成する工程を緩和することができる。
【0024】
なお、本発明は、上述した好適な実施形態に限られるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々の改良並びに設計の変更が可能である。
例えば、図5に示したように、第1の玉列24の中心と第2の玉列25とをシャフト軸の半径方向に中心をずらして配置することにより、α1 がα2 より大きく、L2がL3より大きくなるように構成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1記載のシャフト支持装置によれば、前記転がり軸受が、内外輪の各起動溝間に環状方向に2列に配置された複数の玉を有する複列玉軸受であるとともに、荷重点側の作用点距離が、反荷重点側の作用点距離よりも大きくなるようにしたので、荷重点側の荷重を低下することができる。したがって、面圧上昇による剥離の発生が低下し、軸受の寿命を長くすることができるとともに、反荷重点側の玉列の玉乗り上げ率を抑制することができる。また、耐剥離性を備えた高価な軸受材料を用いることなく、前記一方の玉列に早期剥離が発生するのを防止できるため、シャフト支持装置を低コストで製造することができる。
【0026】
本発明の請求項2記載のシャフト軸受によれば、受ける荷重点側の内外輪接触角が反荷重点側の接触角よりも大きいので、荷重点側の作用点距離を反荷重点側の作用点距離よりも大きくすることができる。
したがって、荷重点側の面圧の上昇を防止し、軸受の寿命を長くすることができるとともに、反荷重点側の玉列の玉乗り上げ率を抑制することができる。
【0027】
本発明の請求項3記載のシャフト支持装置によれば、荷重点側の内外輪接触角が15〜35°とし、前記反荷重点側の内外輪接触角を10〜30°とすることで、シャフトの偏心軸から入力するモーメント荷重による接触面圧の上昇、及び玉乗り上げ率が抑制される。
【0028】
本発明の請求項4記載のシャフト支持装置によれば、前記内外輪の起動輪の少なくとも一方の起動輪のみぞ曲率を異なるように形成することによって、前記内外輪接触角を異なるようにするので、異なった接触角を形成することができ、シャフト軸受けの種々の用途において必要とされる接触角に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシャフト支持装置の第1の実施形態を適用したカーエアコン用スクロールコンプレッサを示す縦断面図である。
【図2】図1における要部の作用を説明する断面図である。
【図3】図1における複列玉軸受を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す複列玉軸受の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示す複列玉軸受の断面図である。
【図6】複列玉軸受の内外輪の接触角に対する最大接触角の変化を示すグラフである。
【図7】図1における複列玉軸受の内外輪の接触角に対する外輪の玉乗り上げ率の変化を示すグラフである。
【図8】従来のシャフト支持装置を示す断面図である。
【図9】図8における複列玉軸受を示す断面図である。
【符号の説明】
10 カーエアコン用スクロールコンプレッサ
11 メインシャフト
12 ハウジング
13 偏心軸
14 旋回スクロール
20 シャフト支持装置
22 内輪
23 外輪
24 第1の玉列
25 第2の玉列
Claims (4)
- 転がり軸受により偏心軸を有するシャフトをハウジングに回転自在に支持するシャフト支持装置において、
前記転がり軸受が内外輪の各起動溝間に環状方向に2列に配置された複数の玉を有する複列玉軸受であるとともに、
荷重点側の作用点距離が反荷重点側の作用点距離よりも大きいことを特徴とするシャフト支持装置。 - 前記荷重点側の内外輪接触角が前記反荷重点側の接触角よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のシャフト支持装置。
- 前記荷重点側の内外輪接触角が15〜35°であり、前記反荷重点側の内外輪接触角が10〜30°であることを特徴とする請求項2に記載のシャフト支持装置。
- 前記内外輪の起動輪の少なくとも一方の起動輪のみぞ曲率を異なるように形成することによって、前記内外輪接触角が異なるようにすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシャフト支持装置。
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- 2002-06-21 JP JP2002181696A patent/JP2004028141A/ja active Pending
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