JP2004027285A - 高摩擦メッキ鋼線の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メッキ鋼線としての耐食性に影響を与えることなくメッキ表面を、その上に人が乗っても滑りにくい高摩擦面に形成することが可能な高摩擦面メッキ鋼線を提供すること。
【解決手段】鋼線1の表面に溶融メッキを施すと共に、表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるか、または、鋼線1の表面に予め施された溶融メッキが溶融状態となるまで加熱して当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】鋼線1の表面に溶融メッキを施すと共に、表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるか、または、鋼線1の表面に予め施された溶融メッキが溶融状態となるまで加熱して当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、護岸工事に使用されるかごマットや布団かご、その他の土木資材に使用される粗面メッキ鋼線の製造方法に関し、更に詳しくは、鋼線の表面に亜鉛メッキまたはアルミニウムメッキまたは亜鉛−アルミニウム合金または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金等がメッキされ、且つメッキの表面が粗面に形成された高摩擦メッキ鋼線の製造方法に関するものである。
ちなみに、かごマットおよび布団かごは、直径3〜6mm程度の線径を有する鋼線を網状に編組してその内部に大小の石を収容し得るようにかご状に形成される。
【0002】
【従来の技術】
護岸工事に使用されるかごマットや布団かごには通常、亜鉛メッキまたはアルミニウムメッキまたは亜鉛−アルミニウム合金または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金等が用いられるが、鋼線の表面に施したメッキにむらがあったり微小な凹凸があると耐食性が低下し、以ってかごマットや布団かごとしての耐久性に大きく影響するため、この種のメッキ鋼線を製造する場合に従来では、鋼線の表面に施したメッキ表面の凹凸をできるだけ無くして表面粗度を小さいものとしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メッキ表面の凹凸が少なく表面粗度が小さくなると、護岸工事の施工時や施工後においてかごマットや布団かごを形成しているメッキ鋼線の上に人が乗った時に滑りやすくなるため、安全上の問題が指摘されていた。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、メッキ鋼線としての耐食性に影響を与えることなくそのメッキ表面を、その上に人が乗っても滑りにくい高摩擦面に形成することが可能な高摩擦メッキ鋼線の製造方法を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の第1発明(請求項1)に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法は、溶融メッキ浴中に鋼線を潜らせることにより当該鋼線の表面に溶融メッキを施すと共に、上記溶融メッキ浴から引き上げられて表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたことを特徴としたものである。
また、本発明の第2発明(請求項2)に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法は、予め溶融メッキが施された溶融メッキ鋼線を、前記溶融メッキが溶融状態となるまで加熱し、その状態で当該溶融メッキ鋼線の表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたことを特徴としたものである。
この際、前記溶融メッキとしては、亜鉛またはアルミニウムまたは亜鉛−アルミニウム合金または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金を用い(請求項3)、そして前記無機材料としては、ジルコンサンド,金属粒子,SiC,TiC,Al2 O3 ,Si3 N4 ,SiO2 ,TiO2 等から選ばれた1種または2種以上からなるものを用いる(請求項4)。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な好適実施例を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示実施例のものに限定されるものではない。
図1は本発明の第1発明(請求項1)に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法を説明する工程図であり、図2は第2発明(請求項2)に係る製造方法を説明する工程図である。図中の符号1は鋼線を示す。
【0006】
本発明が適用される鋼線1としては、かごマットや布団かごを形成するこの種の鋼線として通常に使用されているものが使用可能であり、例えば軟鋼線材(JIS G 3505)および硬鋼線材(JIS G 3506)を熱処理したのち直径3〜6mm程度の線径に伸線加工した鋼線を用い、その表面に溶融メッキを施すと共に、表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるか、または溶融メッキが溶融状態となるまで加熱して当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させることにより高摩擦メッキ鋼線が製造される。
【0007】
鋼線1の表面に溶融メッキを施す場合、周知の溶融メッキ法によりメッキすることができる。すなわち、鋼線1を脱脂して酸洗いし、フラックス処理を行なった後、それを溶融メッキ浴2中に潜らせて鉛直状に引き上げることにより、当該鋼線1の表面に溶融メッキを施すものである。この際、メッキ層の厚みとしては、耐食性を考慮した場合には薄いよりは厚い方が好ましいが、コストとのバランスを考慮した場合、300〜500g/m2程度に調整することが好ましい。
【0008】
溶融メッキ成分としては、亜鉛またはアルミニウム、或いは亜鉛−アルミニウム合金、または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金を用いる。その中で亜鉛−アルミニウム合金を用いる場合、亜鉛とアルミニウムの配合割合としては、亜鉛を例えば90重量%とし残部をアルミニウム(10重量%)とすることが好ましい。そうすれば、亜鉛メッキを施した場合と比較して耐食性が約3倍向上することが確認されている。しかし、本発明はこのような配合割合に限定されるものではなく、亜鉛(90%)−アルミニウム(10%)以外の配合割合をもった亜鉛−アルミニウムを用いても良い。
また、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金を用いる場合、亜鉛とアルミニウム及びマグネシウムの配合割合としては、亜鉛を例えば87重量%とし、アルミニウム11重量%とし、マグネシウムを2重量%とすることが好ましい。
【0009】
而して、本発明の第1発明に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法では、溶融メッキ浴2中に鋼線1を潜らせることにより当該鋼線1の表面に亜鉛またはアルミニウム、或いは亜鉛−アルミニウム合金、または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金からなる溶融メッキを施すと同時に、溶融メッキ浴2から引き上げられて表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキ鋼線1’の表面に、無機材料からなる粉粒体を付着させるようにし(図1参照)、また第2発明に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法では、予め溶融メッキが施された溶融メッキ鋼線1’を用いて、その表面の溶融メッキが溶融状態となるまで加熱し、その状態で当該溶融メッキ鋼線1’の表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたものである(図2参照)。
【0010】
第1発明において、凝固する前の溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる方法にはいろいろ考えられるが、図示実施例の場合、無機材料からなる粉粒体を噴射(スプレー)しえるスプレー装置3を用いて、溶融メッキ浴2から引き上げられた直後の溶融メッキ鋼線1’の表面に、当該溶融メッキが凝固する前に、そのノズル3aより無機材料からなる粉粒体を吹付け塗布するようにしたものである。
尚、図中の符号10はスプレー装置3のノズル3aから噴射(スプレー)された余剰の粉粒体を回収するための回収装置を示し、符号11は溶融メッキを冷却するための冷却装置を、符号12はトップローラを、符号13はシンカーローラをそれぞれ示す。
この他に、格別図示はしなかったが、溶融メッキ鋼線1’側をアース(マイナス)にし無機材料からなる粉粒体をプラスに帯電させて静電塗布することにより、凝固する前の溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる方法も考えられる。
【0011】
本発明に用いられる無機材料としては、ジルコンサンド,金属粒子,SiC,TiC,Al2 O3 ,Si3 N4 ,SiO2 ,TiO2 等から選ばれた1種または2種以上からなるものを用いる。また、使用に際しては、適用される鋼線1の太さ(外径)にもよるが、おおむね粒径が100ミクロン以下、詳しくは50〜100ミクロンに粒径が揃ったものが好ましい。
【0012】
また、第2発明において、溶融メッキ鋼線1’の表面の溶融メッキが溶融状態となるまで加熱して、溶融した溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる場合、その方法にはいろいろ考えられる。
図2に示した実施例のものは、溶融メッキ鋼線1’の供給口側1aと巻取り側1bとの間に、加熱炉4と、粉粒体付着槽5と、冷却槽6を順番に配列設置せしめ、供給口側1aから供給された溶融メッキ鋼線1’を、先ず加熱炉4でもって表面の溶融メッキが溶融状態になるまで(例えば、400〜500℃)加熱し、次に、粉粒体付着槽5でもって溶融状態の溶融メッキ層の表面に、無機材料からなる粉粒体を付着させ、最後に、冷却槽6でもって無機材料からなる粉粒体が付着している溶融メッキ層を凝固させると共に加熱された溶融メッキ鋼線1’を冷却することにより、溶融した溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたものである。
【0013】
尚、上記粉粒体付着槽5としては、溶融メッキ層が溶融状態となった溶融メッキ鋼線1’が当該粉粒体付着槽5内に収容された無機材料からなる粉粒体の中を潜り抜けることにより、溶融した溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体が付着するように構成されたものでも良いし、または、無機材料からなる粉粒体を噴射(スプレー)しえる第1発明で説明したスプレー装置と同様のものを用いても良い。
【0014】
更に、第2発明に係る他の実施例として、1つの槽内で溶融メッキ鋼線1’を加熱してその表面の溶融メッキ層を溶融状態としつつ、溶融状態の溶融メッキ層に無機材料からなる粉粒体を付着させる公知の加熱流動浸漬槽を用いる方法も考えられる。
【0015】
次に、具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
線径4.0mmの軟鋼線材(JIS G 3505)を、亜鉛からなる溶融メッキ浴の中に潜らせることにより当該軟鋼線材の表面に溶融亜鉛メッキを施すと同時に、この溶融メッキ浴から引き上げられて表面の溶融亜鉛メッキが凝固する前に当該溶融亜鉛メッキの表面に、無機材料からなる粉粒体として粒径が50〜100ミクロンに揃ったジルコンサンドをスプレー装置で付着させた。得られた溶融メッキ軟鋼線(検体1〜5)の表面を光学顕微鏡を用いて目視で観察したところ、溶融メッキ軟鋼線の表面に無数のジルコンサンド粉粒体がほぼ均等に分布して付着した高摩擦面が形成されていた。
検体1〜5について、それぞれワイヤ表面に付着したジルコンサンド粉粒体の個数(個/cm2)を表1にまとめて示す。ちなみに、鋼線の表面に無機材料からなる粉粒体(ジルコンサンド)が1cm2当たり500個以上付着していれば、その上に人が乗っても滑りにくい高摩擦面になることが確認されている。
【0016】
<実施例2>
亜鉛(90%)−アルミニウム(10%)合金が溶融メッキされた線径5.0mmの溶融メッキ軟鋼線(JIS G 3505)を、流動加熱炉で450℃に加熱して表面の溶融メッキを溶融状態にすると共に溶融状態の溶融メッキ層の表面に、無機材料からなる粉粒体として粒径が50〜100ミクロンに揃ったジルコンサンドを付着させ、最後に、冷却槽でもってジルコンサンドが付着している溶融メッキ層を凝固させると共に、加熱された溶融メッキ軟鋼線を冷却した。得られた溶融メッキ軟鋼線(検体6〜11)の表面を光学顕微鏡を用いて目視で観察したところ、溶融メッキ軟鋼線の表面に無数のジルコンサンド粉粒体がほぼ均等に分布して付着した高摩擦面が形成されていた。
検体6〜11について、それぞれワイヤ表面に付着したジルコンサンド粉粒体の個数(個/cm2)を表1にまとめて示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
本発明に係る高摩擦メッキ鋼線の製造方法によれば、表面に溶融メッキを施すと共に、表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる(第1発明)か、または、溶融メッキが溶融状態となるまで加熱して当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる(第2発明)ようにしたので、溶融メッキ鋼線の溶融メッキの表面には無機材料からなる粉粒体による凹凸が形成されようになる。従って、その上に人が乗っても滑りにくい高摩擦面に形成することが出来る。
【0019】
しかも、溶融メッキ鋼線の表面には従来と同様に溶融メッキが施されているので、従来のメッキ鋼線と比較しても優るとも劣らない耐食性を備えたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1発明(請求項1)に係る製造方法を説明する工程図。
【図2】本発明の第2発明(請求項2)に係る製造方法を説明する工程図。
【符号の説明】
1:鋼線 1’:溶融メッキ鋼線
2:溶融メッキ浴 3:スプレー装置
4:加熱炉 5:粉粒体付着槽
6:冷却槽
【発明の属する技術分野】
本発明は、護岸工事に使用されるかごマットや布団かご、その他の土木資材に使用される粗面メッキ鋼線の製造方法に関し、更に詳しくは、鋼線の表面に亜鉛メッキまたはアルミニウムメッキまたは亜鉛−アルミニウム合金または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金等がメッキされ、且つメッキの表面が粗面に形成された高摩擦メッキ鋼線の製造方法に関するものである。
ちなみに、かごマットおよび布団かごは、直径3〜6mm程度の線径を有する鋼線を網状に編組してその内部に大小の石を収容し得るようにかご状に形成される。
【0002】
【従来の技術】
護岸工事に使用されるかごマットや布団かごには通常、亜鉛メッキまたはアルミニウムメッキまたは亜鉛−アルミニウム合金または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金等が用いられるが、鋼線の表面に施したメッキにむらがあったり微小な凹凸があると耐食性が低下し、以ってかごマットや布団かごとしての耐久性に大きく影響するため、この種のメッキ鋼線を製造する場合に従来では、鋼線の表面に施したメッキ表面の凹凸をできるだけ無くして表面粗度を小さいものとしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メッキ表面の凹凸が少なく表面粗度が小さくなると、護岸工事の施工時や施工後においてかごマットや布団かごを形成しているメッキ鋼線の上に人が乗った時に滑りやすくなるため、安全上の問題が指摘されていた。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、メッキ鋼線としての耐食性に影響を与えることなくそのメッキ表面を、その上に人が乗っても滑りにくい高摩擦面に形成することが可能な高摩擦メッキ鋼線の製造方法を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の第1発明(請求項1)に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法は、溶融メッキ浴中に鋼線を潜らせることにより当該鋼線の表面に溶融メッキを施すと共に、上記溶融メッキ浴から引き上げられて表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたことを特徴としたものである。
また、本発明の第2発明(請求項2)に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法は、予め溶融メッキが施された溶融メッキ鋼線を、前記溶融メッキが溶融状態となるまで加熱し、その状態で当該溶融メッキ鋼線の表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたことを特徴としたものである。
この際、前記溶融メッキとしては、亜鉛またはアルミニウムまたは亜鉛−アルミニウム合金または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金を用い(請求項3)、そして前記無機材料としては、ジルコンサンド,金属粒子,SiC,TiC,Al2 O3 ,Si3 N4 ,SiO2 ,TiO2 等から選ばれた1種または2種以上からなるものを用いる(請求項4)。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な好適実施例を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示実施例のものに限定されるものではない。
図1は本発明の第1発明(請求項1)に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法を説明する工程図であり、図2は第2発明(請求項2)に係る製造方法を説明する工程図である。図中の符号1は鋼線を示す。
【0006】
本発明が適用される鋼線1としては、かごマットや布団かごを形成するこの種の鋼線として通常に使用されているものが使用可能であり、例えば軟鋼線材(JIS G 3505)および硬鋼線材(JIS G 3506)を熱処理したのち直径3〜6mm程度の線径に伸線加工した鋼線を用い、その表面に溶融メッキを施すと共に、表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるか、または溶融メッキが溶融状態となるまで加熱して当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させることにより高摩擦メッキ鋼線が製造される。
【0007】
鋼線1の表面に溶融メッキを施す場合、周知の溶融メッキ法によりメッキすることができる。すなわち、鋼線1を脱脂して酸洗いし、フラックス処理を行なった後、それを溶融メッキ浴2中に潜らせて鉛直状に引き上げることにより、当該鋼線1の表面に溶融メッキを施すものである。この際、メッキ層の厚みとしては、耐食性を考慮した場合には薄いよりは厚い方が好ましいが、コストとのバランスを考慮した場合、300〜500g/m2程度に調整することが好ましい。
【0008】
溶融メッキ成分としては、亜鉛またはアルミニウム、或いは亜鉛−アルミニウム合金、または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金を用いる。その中で亜鉛−アルミニウム合金を用いる場合、亜鉛とアルミニウムの配合割合としては、亜鉛を例えば90重量%とし残部をアルミニウム(10重量%)とすることが好ましい。そうすれば、亜鉛メッキを施した場合と比較して耐食性が約3倍向上することが確認されている。しかし、本発明はこのような配合割合に限定されるものではなく、亜鉛(90%)−アルミニウム(10%)以外の配合割合をもった亜鉛−アルミニウムを用いても良い。
また、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金を用いる場合、亜鉛とアルミニウム及びマグネシウムの配合割合としては、亜鉛を例えば87重量%とし、アルミニウム11重量%とし、マグネシウムを2重量%とすることが好ましい。
【0009】
而して、本発明の第1発明に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法では、溶融メッキ浴2中に鋼線1を潜らせることにより当該鋼線1の表面に亜鉛またはアルミニウム、或いは亜鉛−アルミニウム合金、または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金からなる溶融メッキを施すと同時に、溶融メッキ浴2から引き上げられて表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキ鋼線1’の表面に、無機材料からなる粉粒体を付着させるようにし(図1参照)、また第2発明に係る高摩擦面メッキ鋼線の製造方法では、予め溶融メッキが施された溶融メッキ鋼線1’を用いて、その表面の溶融メッキが溶融状態となるまで加熱し、その状態で当該溶融メッキ鋼線1’の表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたものである(図2参照)。
【0010】
第1発明において、凝固する前の溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる方法にはいろいろ考えられるが、図示実施例の場合、無機材料からなる粉粒体を噴射(スプレー)しえるスプレー装置3を用いて、溶融メッキ浴2から引き上げられた直後の溶融メッキ鋼線1’の表面に、当該溶融メッキが凝固する前に、そのノズル3aより無機材料からなる粉粒体を吹付け塗布するようにしたものである。
尚、図中の符号10はスプレー装置3のノズル3aから噴射(スプレー)された余剰の粉粒体を回収するための回収装置を示し、符号11は溶融メッキを冷却するための冷却装置を、符号12はトップローラを、符号13はシンカーローラをそれぞれ示す。
この他に、格別図示はしなかったが、溶融メッキ鋼線1’側をアース(マイナス)にし無機材料からなる粉粒体をプラスに帯電させて静電塗布することにより、凝固する前の溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる方法も考えられる。
【0011】
本発明に用いられる無機材料としては、ジルコンサンド,金属粒子,SiC,TiC,Al2 O3 ,Si3 N4 ,SiO2 ,TiO2 等から選ばれた1種または2種以上からなるものを用いる。また、使用に際しては、適用される鋼線1の太さ(外径)にもよるが、おおむね粒径が100ミクロン以下、詳しくは50〜100ミクロンに粒径が揃ったものが好ましい。
【0012】
また、第2発明において、溶融メッキ鋼線1’の表面の溶融メッキが溶融状態となるまで加熱して、溶融した溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる場合、その方法にはいろいろ考えられる。
図2に示した実施例のものは、溶融メッキ鋼線1’の供給口側1aと巻取り側1bとの間に、加熱炉4と、粉粒体付着槽5と、冷却槽6を順番に配列設置せしめ、供給口側1aから供給された溶融メッキ鋼線1’を、先ず加熱炉4でもって表面の溶融メッキが溶融状態になるまで(例えば、400〜500℃)加熱し、次に、粉粒体付着槽5でもって溶融状態の溶融メッキ層の表面に、無機材料からなる粉粒体を付着させ、最後に、冷却槽6でもって無機材料からなる粉粒体が付着している溶融メッキ層を凝固させると共に加熱された溶融メッキ鋼線1’を冷却することにより、溶融した溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたものである。
【0013】
尚、上記粉粒体付着槽5としては、溶融メッキ層が溶融状態となった溶融メッキ鋼線1’が当該粉粒体付着槽5内に収容された無機材料からなる粉粒体の中を潜り抜けることにより、溶融した溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体が付着するように構成されたものでも良いし、または、無機材料からなる粉粒体を噴射(スプレー)しえる第1発明で説明したスプレー装置と同様のものを用いても良い。
【0014】
更に、第2発明に係る他の実施例として、1つの槽内で溶融メッキ鋼線1’を加熱してその表面の溶融メッキ層を溶融状態としつつ、溶融状態の溶融メッキ層に無機材料からなる粉粒体を付着させる公知の加熱流動浸漬槽を用いる方法も考えられる。
【0015】
次に、具体的な実施例について説明する。
<実施例1>
線径4.0mmの軟鋼線材(JIS G 3505)を、亜鉛からなる溶融メッキ浴の中に潜らせることにより当該軟鋼線材の表面に溶融亜鉛メッキを施すと同時に、この溶融メッキ浴から引き上げられて表面の溶融亜鉛メッキが凝固する前に当該溶融亜鉛メッキの表面に、無機材料からなる粉粒体として粒径が50〜100ミクロンに揃ったジルコンサンドをスプレー装置で付着させた。得られた溶融メッキ軟鋼線(検体1〜5)の表面を光学顕微鏡を用いて目視で観察したところ、溶融メッキ軟鋼線の表面に無数のジルコンサンド粉粒体がほぼ均等に分布して付着した高摩擦面が形成されていた。
検体1〜5について、それぞれワイヤ表面に付着したジルコンサンド粉粒体の個数(個/cm2)を表1にまとめて示す。ちなみに、鋼線の表面に無機材料からなる粉粒体(ジルコンサンド)が1cm2当たり500個以上付着していれば、その上に人が乗っても滑りにくい高摩擦面になることが確認されている。
【0016】
<実施例2>
亜鉛(90%)−アルミニウム(10%)合金が溶融メッキされた線径5.0mmの溶融メッキ軟鋼線(JIS G 3505)を、流動加熱炉で450℃に加熱して表面の溶融メッキを溶融状態にすると共に溶融状態の溶融メッキ層の表面に、無機材料からなる粉粒体として粒径が50〜100ミクロンに揃ったジルコンサンドを付着させ、最後に、冷却槽でもってジルコンサンドが付着している溶融メッキ層を凝固させると共に、加熱された溶融メッキ軟鋼線を冷却した。得られた溶融メッキ軟鋼線(検体6〜11)の表面を光学顕微鏡を用いて目視で観察したところ、溶融メッキ軟鋼線の表面に無数のジルコンサンド粉粒体がほぼ均等に分布して付着した高摩擦面が形成されていた。
検体6〜11について、それぞれワイヤ表面に付着したジルコンサンド粉粒体の個数(個/cm2)を表1にまとめて示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
本発明に係る高摩擦メッキ鋼線の製造方法によれば、表面に溶融メッキを施すと共に、表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる(第1発明)か、または、溶融メッキが溶融状態となるまで加熱して当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させる(第2発明)ようにしたので、溶融メッキ鋼線の溶融メッキの表面には無機材料からなる粉粒体による凹凸が形成されようになる。従って、その上に人が乗っても滑りにくい高摩擦面に形成することが出来る。
【0019】
しかも、溶融メッキ鋼線の表面には従来と同様に溶融メッキが施されているので、従来のメッキ鋼線と比較しても優るとも劣らない耐食性を備えたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1発明(請求項1)に係る製造方法を説明する工程図。
【図2】本発明の第2発明(請求項2)に係る製造方法を説明する工程図。
【符号の説明】
1:鋼線 1’:溶融メッキ鋼線
2:溶融メッキ浴 3:スプレー装置
4:加熱炉 5:粉粒体付着槽
6:冷却槽
Claims (4)
- 溶融メッキ浴中に鋼線を潜らせることにより当該鋼線の表面に溶融メッキを施すと共に、上記溶融メッキ浴から引き上げられて表面の溶融メッキが凝固する前に当該溶融メッキの表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたことを特徴とする高摩擦メッキ鋼線の製造方法。
- 予め溶融メッキが施された溶融メッキ鋼線を、前記溶融メッキが溶融状態となるまで加熱し、その状態で当該溶融メッキ鋼線の表面に無機材料からなる粉粒体を付着させるようにしたことを特徴とする高摩擦メッキ鋼線の製造方法。
- 前記溶融メッキが、亜鉛またはアルミニウムまたは亜鉛−アルミニウム合金、または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金である請求項1または2に記載の高摩擦メッキ鋼線の製造方法。
- 前記無機材料が、ジルコンサンド,金属粒子,SiC,TiC,Al2 O3 ,Si3 N4 ,SiO2 ,TiO2 等から選ばれた1種または2種以上からなる請求項1または2に記載の高摩擦メッキ鋼線の製造方法。
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JP2002184837A JP2004027285A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 高摩擦メッキ鋼線の製造方法 |
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---|---|---|---|---|
KR101558923B1 (ko) * | 2008-12-18 | 2015-10-12 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 티타니아 복합 용융도금강판 및 그 제조방법 |
JP2020193357A (ja) * | 2019-05-27 | 2020-12-03 | 日本製鉄株式会社 | 溶融亜鉛めっき鋼板 |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002184837A patent/JP2004027285A/ja active Pending
Cited By (3)
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KR101558923B1 (ko) * | 2008-12-18 | 2015-10-12 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 티타니아 복합 용융도금강판 및 그 제조방법 |
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