JP2004026770A - 縮毛矯正用第1剤およびそれを用いた縮毛の矯正処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】還元剤とアルカリ剤を含有する縮毛矯正用第1剤であって、グルコン酸とトレハロースを含有させることによって、縮毛矯正用第1剤を構成する。
上記グルコン酸の含有量としては0.05〜5質量%が好ましく、トレハロースの含有量として0.05〜5質量%が好ましい。そして、上記アルカリ剤としてはモノエタノールアミンやアンモニア水が好ましく、また、上記縮毛矯正用第1剤は、縮毛に塗布後、表面温度が100〜180℃の高温整髪用アイロンを用いて縮毛の矯正処理をするのに適している。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、縮毛を矯正処理するための縮毛矯正用第1剤およびそれを用いた縮毛の矯正処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に縮毛を真っ直ぐに矯正するための縮毛矯正処理いわゆるストレートパーマ処理では、縮毛に縮毛矯正用第1剤を塗布後に縮毛矯正効果を高めるため毛髪を真っ直ぐに保持した状態で高温整髪用アイロンで数秒間プレス処理するか、あるいは縮毛矯正用第1剤を塗布後真っ直ぐに保持した毛髪上に高温整髪用アイロンを数回滑らせるようにして接触させることが行われている。しかしながら、そのような高温整髪用アイロンとの接触による熱によって毛髪の表面から過度に水分が除去されて、毛髪が損傷を受け、毛髪がパサパサした感触になるという問題があった。そのため、高温整髪用アイロンからの熱による毛髪の損傷を防止することを目的として、縮毛矯正用第1剤に高分子やシリコーンなどを配合することが行われている。
【0003】
しかしながら、縮毛矯正用第1剤に高分子やシリコーンなどを配合した場合、縮毛矯正処理後の毛髪にゴワゴワとした硬い感触が生じることが確認されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の縮毛矯正用第1剤の問題点を解決し、繰り返し縮毛の矯正処理をしても毛髪の損傷が少なく、毛髪にしっとり感とやわらかさを付与することができる縮毛矯正用第1剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、還元剤およびアルカリ剤を含有する縮毛矯正用第1剤に、グルコン酸とトレハロースを含有させることによって、上記課題を解決したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、糖類の一種であるトレハロースを、通常、金属封鎖剤として使用されているグルコン酸と組み合わせて縮毛矯正用第1剤中に含有させておくと、高温整髪用アイロンを用いた場合においても非常に高い保湿効果を得ることができ、前記のような保有水分の減少に基づく毛髪の損傷を防止することができるとともに、毛髪にしっとり感とやわらかさを付与できることを見出すことによって、完成されたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるグルコン酸は、下記の式
【化1】
で示され、本発明において、このグルコン酸は、トレハロースとの相乗効果により保湿効果を高める作用をするが、このグルコン酸の縮毛矯正用第1剤への含有量としては、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。グルコン酸の縮毛矯正用第1剤中の含有量が0.05質量%より少ない場合は、保湿効果を充分に高めることができなくなるおそれがあり、グルコン酸の縮毛矯正用第1剤中の含有量が5質量%より多い場合は、毛髪にべたべたした感触を生じさせたり、縮毛矯正効果を減少させるおそれがある。
【0008】
本発明において用いるトレハロースは、下記の式
【化2】
で示され、本発明において、このトレハロースは、グルコン酸との相乗作用により、毛髪の保湿効果を高め、縮毛の矯正処理時に毛髪中の水分が奪われて毛髪が損傷を受けるのを防止するとともに、毛髪にしっとり感とやわらかさを付与する作用を有しているが、このトレハロースの縮毛矯正用第1剤中の含有量としては、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。トレハロースの縮毛矯正用第1剤中の含有量が0.05質量%より少ない場合は、毛髪の保湿効果を充分に高めることができなくなるおそれがあり、トレハロースの縮毛矯正用第1剤中の含有量が5質量%より多い場合は、毛髪にべたべたした感触を生じさせるおそれがある。
【0009】
本発明の縮毛矯正用第1剤には、従来の縮毛矯正用第1剤と同様に、還元剤とアルカリ剤とを含有させているが、その還元剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオ乳酸、チオグリコール酸モノグリセリン、システアミン、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩などの還元性のあるチオ化合物やシステイン、システイン塩酸塩、N−アセチル−L−システインなどの還元性のあるアミノ酸化合物などが挙げられる。そして、この還元剤の縮毛矯正用第1剤中の含有量としては、1〜11質量%が好ましく、特に4〜9質量%が好ましい。
【0010】
また、アルカリ剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水などが用いられるが、特にモノエタノールアミンやアンモニア水が好ましい。そして、このアルカリ剤の縮毛矯正用第1剤中の含有量(ただし、アンモニア水の場合は、アンモニアの量として)としては、0.25〜10質量%が好ましく、特に0.5〜7質量%が好ましい。
【0011】
本発明の縮毛矯正用第1剤は、例えば、水または水を主剤とする液に、上記還元剤、アルカリ剤、グルコン酸およびトレハロースを必須成分として配合し、さらに必要に応じて、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン化セルロース、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどのポリオール、増粘剤、パール化剤、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、グルコン酸以外の金属封鎖剤、抗炎症剤、防腐剤などを適宜配合し、それらの成分を上記水または水を主剤とする液に溶解または分散させることによって調製される。ただし、本発明の縮毛矯正用第1剤において、各成分の配合順序は特に問題でなく、最終的に調製された縮毛矯正用第1剤中に還元剤、アルカリ剤、グルコン酸およびトレハロースが必須成分として含有されていればよい。
【0012】
本発明の縮毛矯正用第1剤を用いて縮毛を矯正処理する一例を示すと、まず、縮毛に本発明の縮毛矯正用第1剤を塗布し、縮毛を真っ直ぐに伸ばして、5〜30分間放置した後、水洗し、その後、水分がほぼ残らない状態に乾燥するか、または水分が一部残った状態(好ましくは80〜90%の乾燥度)で乾燥する。
【0013】
ついで、この状態(つまり、上記縮毛矯正用第1剤が縮毛の組織中に浸透した状態)で縮毛を表面温度が100〜180℃の高温整髪用アイロンにより矯正処理する。これにより、縮毛は真っ直ぐに伸ばされた状態で毛髪中のジスルフィド結合が還元剤で還元開裂されてメルカプト基が生成する。そして、この高温整髪用アイロンによる矯正処理後は、従来と同様に縮毛矯正用第2剤で毛髪中のメルカプト基(ジスルフィド結合の切断により生成したメルカプト基)を酸化してジスルフィド結合を元の位置とは異なる位置で再生させ、縮毛を真っ直ぐ(ストレート)に矯正した状態で固定化する。
【0014】
本発明の縮毛矯正用第1剤に引き続き使用する縮毛矯正用第2剤としては、従来と同様のものでもよく、例えば、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素などの酸化剤を1〜20質量%、好ましくは2〜12質量%含有する縮毛矯正用第2剤が用いられる。
【0015】
上記高温整髪用アイロンは、表面温度を100〜180℃に加熱でき、縮毛を矯正処理することができるものであれば特に特定のものに限られることなく各種のものを用い得るが、例えば、図1に示すものが好適に用いられる。この図1に示す高温整髪用アイロンは、握り部4と、電熱ヒーターを備えたプレート部6と、前記握り部4とプレート部6との間に位置する支点部5とを有する本体1と、前記握り部4と対向するレバー部15と、電熱ヒーターを備え、本体1のプレート部6に対向するプレート部17と、前記レバー部15とプレート部17との間に位置する支点部16とを有し、その支点部16が前記本体1の支点部5に回動自在に支持されている挟み部材2とから構成されていることを特徴としている。
【0016】
この高温整髪用アイロンに関しては、例えば、本出願人が出願した特開2000−014438号公報に詳しく開示されているが、この高温整髪用アイロンについて説明すると、本体1は、握り部4と、その握り部4の前端から下方に延びる支点部5と、その支点部5の下端から前方に延びるプレート部6とを有する。そして、図2に示すように、本体1は左右に2分割した半体1a、1bとして成形され、半体同士を合わせて接合することにより、一体の本体1となる。本体1のプレート部6には矩形状の凹所7が設けられ、その凹所7内に面状のヒーターHを収容したプレート8が露出する状態で収容される。なお、凹所7の側壁には凹溝7aが形成されており、プレート8の側面の突条8aと嵌合して外れにくいようにしている。
【0017】
前記支点部5および握り部4も内部が空洞になっており、ヒーターHを加熱する電源コード(図示せず)が通され、ON−OFFスイッチ(図示せず)を介して握り部4の後端などから外部に出るようにしている。さらに、支点部5の前面と、支点部5の後面から握り部4の前端の下部にかけて、それぞれ挟み部材2を通すための矩形状の開口部9、10が形成されている。また、支点部5の内部の側壁には、挟み部材2を回動自在に支持するための円筒状の軸受け部11と、バネ12の上端を受けるバネ受け13とが突設されている。バネ12は挟み部材2をその前端側が常時開くように回動付勢するものである。プレート部6の周囲には、断面半円状の突条14が設けられている。
【0018】
他方、挟み部材2は、図1のように組み立てたときの本体1の握り部4の下方に来るレバー部15と、そのレバー部15の前端の上部から前方に延びる支点部16と、支点部16と前端から前方に延びるプレート部17とを備えている。上記プレート部17は左右に分割されて製造され、プレート部17の一方の半体17aが支点部16の前端に連結された状態で一体成形されている。そして、他方の半体17bはヒーターHおよびプレート18を収容した後に接合されるようにしている。挟み部材2のプレート部17についても、その周囲に突条14が設けられている。
【0019】
挟み部材2の支点部16の後側の部分16bは、前側の部分16aより下側にずらせた形態にしている。支点部16の後側の部分16bには、水平方向の孔21が形成されている。この孔21は、挟み部材2を本体1に回動自在に連結する回動軸22が通される部分である。また、その孔21の後方に縦向きの有底の穴23が形成されている。この穴23はバネ12の下部を収容保持するためのものである。
【0020】
挟み部材2のレバー部15は中央部で折れ曲がり、後端側が斜め下方に延びるようにしている。それにより薬指や小指をしっかりとかけることができる。
【0021】
上記の本体1のプレート部16および挟み部材2のプレート部17の側面から表面にかけては、フロッキー処理(植毛加工)を行なって、肌に当たったときに感ずる熱を緩和するようにしている。フロッキー処理は、プレート部の表面をナフサで溶かし、ナイロンパイル繊維を垂直に立たせるように植毛するなどにより行なうことができる。さらにプレート8、18の表面側にはテフロン加工などの摩擦を低減する表面処理を行なうことにより、毛髪の滑りをよくしている。またテフロン加工を行なうことにより、非粘着性、耐熱性、耐食性を向上させることができる。なお、図1の符号24はヒーターHに通電していることを示すパイロットランプである。
【0022】
そして、上記高温整髪用アイロンにより縮毛矯正処理するには、縮毛に縮毛矯正用第1剤を塗布し、上記縮毛を真っ直ぐに伸ばした状態で、上記高温整髪用アイロンの本体1のプレート部6と挟み部材2のプレート部17との間に挟んで加熱加圧するか、あるいは挟んだ状態で毛髪上をすべらせつつ加熱加圧する。
【0023】
本発明において、高温整髪用アイロンの表面温度を100〜180℃に設定しているのは、高温整髪用アイロンの表面温度が100℃より低い場合は、温度が低すぎるために縮毛を充分に矯正処理することができず、高温整髪用アイロンの表面温度が180℃より高い場合は、毛髪が損傷を受け、毛髪の艶や均一なスベリ感が低下するという理由によるものである。
【0024】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に例示のもののみに限定されることはない。なお、以下の実施例などにおいて、溶液や分散液などの濃度を示す%は、特にその単位を付記しないかぎり、質量%を示す。
【0025】
実施例1〜4および比較例1〜3
表1に示す組成で実施例1〜4の縮毛矯正用第1剤を調製し、表2に示す組成で比較例1〜3の縮毛矯正用第1剤を調製した。なお、各成分の配合量(縮毛矯正用第1剤中における含有量)は質量部であり、精製水の「残余」とは全体を100質量部とするのに必要な配合量をいう。これらは、以下の組成を示す表においても同様であり、調製された縮毛矯正用第1剤は、実施例1〜4および比較例1〜3とも、その剤型は乳化型組成物である。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
そして、上記実施例1〜4および比較例1〜3の縮毛矯正用第1剤と組み合わせ使用する縮毛矯正用第2剤を表3示す組成で調製した。そして、調製された縮毛矯正用第2剤の剤型は乳化型組成物であり、この縮毛矯正用第2剤は実施例1〜4および比較例1〜3の縮毛矯正用第1剤のいずれに対しても共通して使用するものである。
【0029】
【表3】
【0030】
上記のように調製した実施例1〜4および比較例1〜3の縮毛矯正用第1剤と縮毛矯正用第2剤とを用いて、毛束に対してそれぞれ下記に示すように高温整髪用アイロンを用いた縮毛矯正処理を行い、その特性評価をした。
【0031】
縮毛矯正処理:
同一人から採取した縮毛(いわゆる、くせ毛)で長さ22cm(ただし、伸ばさずに自然の状態で測定)で重さ1.5gの毛束を作成し、その毛束を10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥した後、前記実施例1〜4および比較例1〜3の縮毛矯正用第1剤をそれぞれ3.0gずつ塗布し、ストレート(真っ直ぐ)に伸ばした状態で、室温で15分間放置した後、水洗し、ドライヤーにて水分が一部残った状態に乾燥した。その後、前記した構造で表面温度を180℃に設定した高温整髪用アイロンを毛髪の根元から毛先にかけ約3秒間すべらせるようにして加熱加圧下で毛髪の表面に接触させ、それを3回繰り返した。ついで、それぞれの毛束に対して前記縮毛矯正用第2剤を3.0gずつ塗布し、室温で10分間放置した後、水洗し、24時間自然乾燥して縮毛矯正処理を終了した。
【0032】
上記高温整髪用アイロンを用いた縮毛矯正処理後の毛髪の縮毛矯正効果、しっとり感、やわらかさおよび感触について評価した。その結果を表4に示す。なお、上記縮毛矯正処理後の毛髪の縮毛矯正効果、しっとり感、やわらかさおよび感触の評価方法はそれぞれ次の通りである。
【0033】
縮毛矯正効果:
上記縮毛矯正処理の毛髪を専門の美容技術者6名に目視によって観察させ、縮毛がどの程度ストレート(真っ直ぐ)になっているかを評価させた。そして、その評価結果の表4への表示にあたっては、6名全員がストレートになっていると評価したものを「有り」という表現で示す。
【0034】
しっとり感:
上記縮毛矯正処理後の毛髪のしっとり感について専門の美容技術者6名により官能評価を行った。その結果を表4に示す。ただし、表4への評価結果の表示にあたっては、評価結果を次の基準により記号化して示す。
【0035】
◎:6名の美容技術者のうち5〜6名が、優れていると評価した。
○:6名の美容技術者のうち3〜4名が、優れていると評価した。
△:6名の美容技術者のうち2名が、優れていると評価した。
×:6名の美容技術者のうち1名以下が、優れていると評価した。
【0036】
やわらかさ:
上記縮毛矯正処理後の毛髪のやわらかさについて専門の美容技術者6名により官能評価を行った。その結果を表4に示す。ただし、表4への評価結果の表示にあたっては、前記のしっとり感と同様に、評価結果を次の基準により記号化して示す。
【0037】
◎:6名の美容技術者のうち5〜6名が、優れていると評価した。
○:6名の美容技術者のうち3〜4名が、優れていると評価した。
△:6名の美容技術者のうち2名が、優れていると評価した。
×:6名の美容技術者のうち1名以下が、優れていると評価した。
【0038】
感触:
上記縮毛矯正処理後の毛髪の感触についても専門の美容技術者に評価させ、パサパサ感があるものについては表4に「パサパサ」と表示し、パサパサ感がなく、感触が良好なものについては表4に「良好」と表示した。なお、この感触において、毛髪にパサパサ感がある場合は、高温整髪用アイロンを用いた縮毛矯正処理により毛髪が損傷を受けたことを示しており、感触が良好な場合は、上記の高温整髪用アイロンを用いた縮毛矯正処理でも毛髪が損傷を受けなかったことを示している。
【0039】
【表4】
【0040】
表4に示す結果から明らかなように、実施例1〜4および比較例1〜3の縮毛矯正用第1剤のいずれを用いた場合にも、同様の縮毛矯正効果を示すが、実施例1〜4の縮毛矯正用第1剤を用いた場合には、従来品に相当する比較例1の縮毛矯正用第1剤を用いた場合に比べて、縮毛矯正処理後の毛髪の感触が良く、縮毛矯正処理による毛髪の損傷が少ないことを示しており、かつ縮毛矯正処理後の毛髪がしっとり感とやわらかさを有していた。
【0041】
これに対して、従来品に相当する比較例1の縮毛矯正用第1剤を用いた場合は、縮毛矯正処理後の毛髪がパサパサしていて、縮毛矯正処理により毛髪が損傷を受けたことを示しており、また、縮毛矯正処理後の毛髪がしっとり感ややわらかさに欠けていた。また、グルコン酸を含有させたが、トレハロースを含有させていない比較例2の縮毛矯正用第1剤を用いた場合も、縮毛矯正処理後の毛髪がパサパサしていて、縮毛矯正処理により毛髪が損傷を受けたことを示しており、また、縮毛矯正処理後の毛髪がしっとり感ややわらかさに欠けていた。そして、グルコン酸を含有させずに、トレハロースを含有させた比較例3の縮毛矯正用第1剤を用いた場合は、縮毛矯正処理による毛髪の損傷が見受けられなかったが、実施例1〜4の縮毛矯正用第1剤を用いた場合に比べて、縮毛矯正処理後の毛髪のしっとり感ややわらかさが劣っていた。
【0042】
つぎに、縮毛矯正処理による毛髪の損傷の有無を確認するために縮毛矯正処理後の毛髪の平衡水分量を測定した結果について示す。平衡水分量の測定方法は次に示す通りである。
【0043】
平衡水分量の測定方法:
上記実施例1および比較例1の縮毛矯正用第1剤を用いて縮毛矯正処理をした試料毛束から0.3g採取し、採取した試料毛束をシャーレに満たした蒸留水中に浸漬させて5分間放置する。
【0044】
その後、試料毛束を蒸留水中から取り出し、毛束表面の余分な水分を取り除き、その直後に質量を測定する。その後、25℃、湿度60%の条件下で2時間放置し、同様にその質量を測定して、下記の式により、平衡水分量を求める。
A:試料毛束の質量(g)
B:直後(0分後)の質量(g)
C:2時間後の質量(g)
【0045】
得られた平衡水分量を表5に示すが、表5には縮毛矯正処理をする前の毛髪を未処理毛とし、その平衡水分量の値も示している。
【0046】
【表5】
【0047】
表5に示す結果から明らかなように、実施例1の縮毛矯正用第1剤で縮毛矯正処理した毛髪は、従来品に相当する比較例1の縮毛矯正用第1剤を用いて縮毛矯正処理した毛髪に比べて、平衡水分量が多く、実施例1の縮毛矯正用第1剤によれば、縮毛矯正処理による毛髪の損傷が少ないことを示していた。なお、上記実施例1の縮毛矯正用第1剤は、実施例1〜4の縮毛矯正用第1剤中においてグルコン酸やトレハロースの含有量が最も少ないことから、実施例2〜4の縮毛矯正用第1剤のように、グルコン酸やトレハロースの含有量を増やしていくと、上記平衡水分量は、実施例1の縮毛矯正用第1剤を用いた場合より、より多くなり、未処理毛の平衡水分量により近付くものと考えられる。
【0048】
実施例5〜6
前記実施例1〜4では還元剤としてチオグリコール酸系のチオグリコール酸アンモニウムを用いて縮毛矯正用第1剤を調製したが、この実施例5〜6では還元剤としてシステイン系のN−アセチル−L−システインを用いて表6に示す組成で縮毛矯正用第1剤を調製した。この実施例5〜6の縮毛矯正用第1剤も剤型は乳化型組成物である。
【0049】
【表6】
【0050】
そして、上記のように調製した実施例5〜6の縮毛矯正用第1剤と前記の縮毛矯正用第2剤とを用いて、下記に示すようにブリーチ剤に浸漬してダメージを与えた毛束に対してそれぞれ下記に示すように高温整髪用アイロンを用いた縮毛矯正処理を行い、その特性評価をした。
【0051】
縮毛矯正処理:
まず、毛束としては同一人から採取した縮毛(いわゆる、くせ毛)で長さ22cm(ただし、伸ばさずに自然の状態で測定)で重さ1.5gにしたものを準備し、この毛束をあらかじめ調製しておいたブリーチ剤(精製水に過酸化水素を3%、25%アンモニア水を4%溶解させ、pH10.2に調整したもの)中に30℃で30分間浸漬した後、水洗し、自然乾燥して試験用毛束とした。
【0052】
この試験用毛束に対して実施例5〜6の縮毛矯正用第1剤をそれぞれ3.0gずつ塗布し、以後、前記実施例1の場合などと同様に、ストレート(真っ直ぐ)に伸ばした状態で、室温で15分間放置した後、水洗し、ドライヤーにて水分が一部残った状態に乾燥した。その後、前記した構造で表面温度を180℃に設定した高温整髪用アイロンを毛髪の根元から毛先にかけ約3秒間すべらせるようにして加熱加圧下で毛髪の表面に接触させ、それを3回繰り返した。ついで、それぞれの毛束に対して前記縮毛矯正用第2剤を3.0gずつ塗布し、室温で10分間放置した後、水洗し、24時間自然乾燥して縮毛矯正処理を終了した。
【0053】
上記高温整髪用アイロンを用いた縮毛矯正処理後の毛髪の縮毛矯正効果、しっとり感、やわらかさおよび感触について、前記実施例1の場合と同様に評価した。そして、その結果を表7に前記実施例1の場合と同様の表示方法で表示をした。
【0054】
【表7】
【0055】
表7に示す結果から明らかなように、これら実施例5〜6の縮毛矯正用第1剤を用いた場合にも、縮毛矯正効果が有り、縮毛矯正処理後の毛髪の感触が良く、縮毛矯正処理による毛髪の損傷が少ないことを示しており、かつ縮毛矯正処理後の毛髪がしっとり感とやわらかさを有していた。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、縮毛矯正処理による毛髪の損傷が少なく、縮毛矯正処理後の毛髪にしっとり感とやわらかさを付与することができる縮毛矯正用第1剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の縮毛矯正用第1剤を用いて、縮毛矯正処理を行なう際に使用する高温整髪用アイロンの一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す高温整髪用アイロンの組み立て前の斜視図である。
【符号の説明】
1 本体
2 挟み部材
4 握り部
5 支点部
6 プレート部
7 凹所
H ヒーター
8 プレート
12 バネ
13 バネ受け
14 突条
15 レバー部
16 支点部
17 プレート部
18 プレート
21 孔
22 回動軸
23 穴
Claims (4)
- 還元剤とアルカリ剤を含有する縮毛矯正用第1剤であって、グルコン酸とトレハロースを含有することを特徴とする縮毛矯正用第1剤。
- グルコン酸の含有量が0.05〜5質量%であり、トレハロースの含有量が0.05〜5質量%であることを特徴とする請求項1記載の縮毛矯正用第1剤。
- アルカリ剤がモノエタノールアミンおよび/またはアンモニア水であることを特徴とする請求項1または2記載の縮毛矯正用第1剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の縮毛矯正用第1剤を縮毛に塗布後、表面温度が100〜180℃の高温整髪用アイロンを用いて縮毛の矯正処理をすることを特徴とする縮毛の矯正処理方法。
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