JP2004026549A - 植物成長補助品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多段式イオン交換電気透析方法により分離した海洋深層水の淡水Bとミネラル濃縮液Dと濃塩水Eとの内、少なくとも1種類を含有している。
日本海固有冷水Aより分離した脱塩水の淡水Bとミネラル濃縮液Dと濃塩水Eとの内、1種類以上を水耕栽培に適するように含有している。
日本海固有冷水Aより分離した脱塩水の淡水Bとミネラル濃縮液Dと濃塩水Eから、植物適合成分を主として選択含有している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、海洋深層水を多段式イオン交換電気透析方法により分離した淡水(脱塩水)とミネラル濃縮液と濃塩水を利用した植物成長補助品に関するもので、具体的には水耕栽培、園芸植物、観葉植物、一般植物等の生育に用いる。
【0002】
【従来の技術】
海洋深層水は、暖かくて軽い表層水と冷たく重い深海水との間にあり、大気と接することのない深海にあるので、化学的汚染を受けてない点で安全で安心できるものである。また、海面より300m以下にあって高水圧下にあるため、総ての元素が長期間に渡り溶け込み、植物の生育に必要な無機栄養塩類に富み、有機物や細菌類が少なく清浄性があって、年間を通じて低温で安定していることも知られている。
更に、海洋深層水のミネラル分は表層水より多く、人体を構成する成分の上位10番までの元素が略一致することも知られている。特に、日本海側の特異な立地条件下にある富山湾の海洋深層水(以下、日本海固有冷水とする)については様々な研究が行われ、その研究から独自の特徴を有することが逐次解明されていると共に、その特徴を利用した発明も出願されている。
【0003】
一方、海水から飲料水を得る手段として、逆浸透膜法やイオン交換膜法を用いた淡水化手段が知られている。イオン交換膜法は、陽イオン交換膜(陽イオンのみを通す膜)を利用し、食塩水の電解から水酸化ナトリウムや塩素ガスを得る方法として確立しており、その応用として、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配置した多槽の電解槽で食塩水を電気分解すると、中間槽において電気透析が起こり、交互の槽に原液より濃い食塩水と薄い食塩水が得られる。この方式によれば食塩水を薄くできるため、海水から飲料水を得る淡水化プラントとして用いられている。
【0004】
また、野菜類の水耕栽培、例えばかいわれ大根の水耕栽培にあっては、水のみでは十分に成長できないため、硝酸塩、リン酸塩、カリウム塩、アンモニウム塩等のいわゆる化学肥料を水に溶解した液肥を用ている。液肥に用いる水として、河川水や谷水、雨水、地下水等を使用していたが、環境汚染が広がる今日では、これらの水の使用を問題疑する所も現れている。近年、清潔な海洋深層水の脱塩処理水を使用した水耕栽培も行われているが、その脱塩処理水は逆浸透膜を用いて分離したものであるため、海洋深層水に含有する多くのミネラル分が脱塩と同率で減少している。
【0005】
陸上の植物は、土中から栄養分を吸い上げ、葉の気孔から二酸化炭素を取り込んで葉緑体で有機物を生産し成長する。この土中にはさまざまな病害虫が潜むことが多いと言う困った問題がある為、土の代わりに栄養分の高い海洋深層水を使うことにより、安全で栄養価の高い植物を生産することができると解った。
植物に人体を構成する成分を蓄積させればさせるほど、より一層栄養価の高い植物を提供し得ることも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
逆浸透膜法やろ過法は、成分比率の圧倒的に多い塩素(Cl)とナトリウム(Na)の除去に適しているが、塩素及びナトリウムの分離と略同率で他の有用ミネラル分も除去されるため、深層水と、深層水から分離した淡水とにおけるミネラル分の含有率に変化は少なく、故に、淡水における有用ミネラル分は無きに等しい。このことは、海洋深層水の有用ミネラル分は表層水より多いとはいえ、それでもナトリウム、塩素の1%未満しか含有していないためであり、故に、植物の栄養補給等の目的に用いても、ミネラル分を補給することができない問題点があった。
【0007】
化学肥料を水に溶解した液肥を使用する水耕栽培法では、一般に成長が早く、短期間に背丈が伸びるので、生産効率が高くなる利点はあるも、液肥の成分として硝酸アンモニウム塩を使用することにより、発ガンとの関係が指摘されている亜硝酸根及び/又は硝酸根(以下亜硝酸根等という)が生鮮野菜の中に多く含有されるという問題点が発生する。
より安全で栄養価の高い植物を水耕栽培する時、化学的汚染を受けてなく雑菌や病害虫が潜むことのない水が必要になった。
【0008】
そこでこの発明は、出願人が独自に開発した多段式イオン交換電気透析方法によって、海洋深層水(日本海固有冷水)を淡水とミネラル濃縮液と濃塩水とに分離することに成功し、それらから植物の生育に有用な液肥を開発すべく、種々の植物について栽培実験を重ねた結果、注目すべき効果を見出し、化学肥料を使用しなくても十分な成長が得られ、しかも安全で栄養価の高い植物成長補助品、特に水耕栽培の主水として使用する植物成長補助品を本発明するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の植物成長補助品は、請求項1として、多段式イオン交換電気透析方法により分離した海洋深層水の淡水(脱塩水)とミネラル濃縮液と濃塩水との内、少なくとも1種類を含有している。
請求項2の植物成長補助品は、請求項1の特徴に加えて、海洋深層水として日本海固有冷水を用いた。
【0010】
ここで多段式イオン交換電気透析方法とは、イオン交換膜を備えた一次電気透析装置と、一価イオンの選択性に優れたイオン交換膜を備えた二次電気透析装置とから成り、一次電気透析装置にて海洋深層水を淡水と濃縮深層水とに分離し、二次電気透析装置にて濃縮深層水をミネラル濃縮液と濃塩水とに分離するとものを言い、両電気透析装置のイオン交換膜として、多くの膜種の中から植物の生育に有用と思われるミネラル分の採取と、植物の生育に有害と思われる一価イオン(塩素イオン等)の除去を可能にした膜を検証選択したものである。
【0011】
ここで海洋深層水とは、海面より300m以下にある海水を言い、日本海固有冷水とは、富山湾の300m以深に位置する海水を言い、富山湾は日本海最大の外洋性内湾で、広さ2120km2、湾の中央付近で水深さ1000m以上に達し、しかも3000m級の山々から1年を通じて雪解け水が流れ込み、岸が深い上に急勾配であり、大陸棚の発達が乏しく、海底には「おぼれ谷」と呼ばれる海谷がいくつも存在し、深海に住む蛍イカ、白エビ、バイ貝の生息地として有名であり、且つ蜃気楼が発生するという特異な特徴がある。
【0012】
日本海固有冷水は、富山湾の容積の約65%を占めており、特開2000−290168号、特開2000−290161号等に記載した通り、高知県室戸岬の北太平洋深層水(外洋深層水)と比較した場合、
(1)日本海固有冷水は年間を通じて2℃以下の低温で水温変化がほとんどなく、塩分(34.0〜34.1psu)も安定している。
(2)日本海固有冷水は溶存酸素量が多く、深層水としての年齢が若いことを示している。
(3)表層水と比較すると、日本海固有冷水の方がリン酸態リン、硝酸態窒素などの無機栄養塩類が著しく豊富に含まれ、有機物や細菌類(生菌数、真菌数)が非常に少なかった。このことは、日本海固有冷水の水温が北太平洋深層水に比べて約5℃も低いことによるものと思われる。
【0013】
請求項3の植物成長補助品は、請求項2の特徴に加えて、日本海固有冷水より分離した淡水(脱塩水)とミネラル濃縮液と濃塩水との1種類以上を、水耕栽培に適するように含有している。
請求項4の植物成長補助品は、請求項2の特徴に加えて、日本海固有冷水より分離した淡水(脱塩水)とミネラル濃縮液と濃塩水から、植物適合成分を主として選択含有している。
【0014】
ここで淡水とは、日本海固有冷水から塩分を取り除いた脱塩水であり、ミネラル濃縮液とは、日本海固有冷水から淡水を取り除いて得た濃縮深層水を更に分離し、濃縮深層水から濃塩水を取り除いて得たものである。
本発明の植物成長補助品とは、上記淡水のみを用いたもの、ミネラル濃縮液のみを用いたもの、濃塩水のみを用いたものから、淡水とミネラル濃縮液とを含有したもの、淡水と濃塩水とを含有したもの、ミネラル濃縮液と濃塩水とを含有したもの、更には淡水とミネラル濃縮液と濃塩水とを含有したものを含み、特に植物適合成分を主とするものを言い、液状、粉状を成しており、そのまま利用し得る勿論、自由な濃度に希釈して用いることのできるものを言う。
【0015】
【発明の実施形態】
先ず、多段式イオン交換電気透析方法を図1に基き説明すれば、イオン交換膜3を備えた一次電気透析装置1と、一価イオン選択性に優れたイオン交換膜4を備えた二次電気透析装置2とから成り、一次電気透析装置1により日本海固有冷水Aを淡水B(脱塩水)と濃縮深層水Cとに分離し、二次電気透析装置2により濃縮深層水Cを一価のプラス元素とマイナス元素とを除去した多価の元素(ミネラル濃縮液D)と濃塩水Eとに分離する。
【0016】
次で本発明による植物成長補助品を図2に基き説明すると、日本海固有冷水Aを多段式イオン交換電気透析方法により分離した淡水Bとミネラル濃縮液Dと濃塩水Eとの内、少なくとも1種類を含有しているもので、具体的には、淡水Bのみを用いたも淡水性植物成長補助品11、ミネラル濃縮液Dのみを用いたミネラル性植物成長補助品12、濃塩水Eのみを用いた濃厚植物成長補助品13から、淡水Bとミネラル濃縮液Dとを含有した順ミネラル性植物成長補助品14、淡水Bと濃塩水Eとを含有した順濃厚植物成長補助品15、ミネラル濃縮液Dと濃塩水Eとを含有したミネラル濃厚植物成長補助品16、更には淡水Bとミネラル濃縮液Dと濃塩水Eとを含有した総合植物成長補助品17がある。
【0017】
日本海固有冷水Aの分離において、イオン交換膜3,4により過剰成分を分離する方法(植物に有用と思われるミネラル分の採取と、植物に有害と思われる極微量成分の除去を可能にした透析膜)を検討した。
即ち、数種類のイオン交換膜3,4を用いて日本海固有冷水Aを処理し、その処理液の成分分析を行うことにより適切なイオン交換膜3,4を選定した。
日本海固有冷水Aは、地上でのさまざまな要因に起因する化学的汚染の影響を受けず、深海中の溶存有機物が非常に少なく、且つ微生物の観点からも極めて清浄であるという特徴がある。
【0018】
本発明による植物成長補助品の内、淡水性植物成長補助品11は、一般に希釈することなくそのまま利用するもので、例えば水耕栽培等に適する。また、ミネラル性植物成長補助品12と順ミネラル性植物成長補助品14と順濃厚植物成長補助品15は、そのまま園芸直物の液肥等として利用し得るほか、希釈して多様な植物に利用できる。更に、濃厚植物成長補助品13とミネラル濃厚植物成長補助品16と総合植物成長補助品17は、植物の種類に合わせて希釈して利用するものである。
尚、希釈に日本海固有冷水Aより分離した淡水Bを用いると、一段と日本海固有冷水Aの有効成分を利用できる。
【0019】
本発明による植物成長補助品は、日本海固有冷水Aから分離した淡水Bとミネラル濃縮液Dと濃塩水Eから、野菜が必要とする3要素の窒素、リン酸、カリを多く含むものを選び、更に中要素のカルシウム、マグネシウムを多く含むものを選んで製品化したものである。これに野菜が必要とする微量元素の鉄、銅、モリブテン、硫黄、亜鉛、ほう素、塩素を多く含むものを加えることも可能である。また、畑やプランターの用土に用いる苦土石灰(カルシウム)、元肥(堆肥、鶏糞、油かす、腐葉土、硫酸カリ、熔成リン肥、化成肥料)、追肥(硫安、液肥)に相当する成分を多く含むものも加えることも可能である。
【0020】
本発明による植物成長補助品の利用野菜類として、イネ科(トウモロコシ)、ナス科(ナス、トマト、ピーマン、ジャガイモ、唐辛子、シシ唐)、ウリ科(キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン)、アオイ科(オクラ)、バラ科(イチゴ)、豆科(インゲン豆、エダ豆、エンドウ、ソラ豆)、セリ科(ニンジン、セロリ、三つ葉、明日葉、セリ、パセリ)、サトイモ科(サトイモ)、ヒルガオ科(薩摩イモ)、アブラナ科(大根、カブ、白菜、キャベツ、メキャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、小松菜、チンゲン菜、カイワレ大根、キョウナ、クレソン)、キク科(ごぼう、レタス、春菊、サラダナ)、ユリ科(葱、ワケゲ、玉ネギ、ニラ、芽ネギ、ラッキョウ、ニンニク)、シソ科(シソ)、ツルムラサキ科(ツルムラサキ)、シナノキ科(モロヘイヤ)、ショウガ科(ショウガ、ミョウガ)、アカザ科(ほうれん草、オカヒジキ、フダン草)、シナノキ科(モロヘイヤ)等が考えられる。
カルシウムを多く含む小松菜・カブ・チンゲン菜・菜の花等、ビタミンAを多く含むニンジン、ビタミンCを多く含む緑黄野菜(薩摩イモ・ジャガイモ)、鉄分を多く含むほうれん草・小松菜・春菊・菜の花等の生育にも適する。
【0021】
本発明による植物成長補助品の他の利用分野として、果樹用(梅、柿、葡萄、桃、栗等)、一般花木用(松、ヒノキ、ヒバ、シャクナゲ、ナンテン、ボタン、梅もどき、ジンチョウゲ、サツキ、ツツジ、ツバキ、サザンカ等)、熱帯花木用(アメリカデイコ、ブーゲンベリア、ハイブスカス等)、さし木用(ポインセチア、クチナシ、センセベリア等)、草花用(サボテン類、パンジー、矢車草、キンセンカ、スイートピー、マーガレット等)、水草用(ヒメスイレン、ホテイ草、サジタリア、ボタンウキクサ等)、観葉植物用(君子ラン、オーガスタ、アレカヤシ、ビロウヤシ、セローム、シュロチク、ヒメヤシ、セフリジ、タコノキ、パンノキ、オリーブ等)、花壇・鉢物用(朝顔、菊、梅、バラ、ボタン、ユリ、ダリア、カンナ、グラジオラス、フリージア、アマリスク、ゼラニウム、シクラメン等)も考えられる。
【0022】
【実験例1】
目的:植物に対する井戸水と本発明による植物成長補助品との影響
実験対象植物:かいわれ大根
生育条件:気温20度、水温15度
対照物:容器の底に不織布を敷き、汚染されていない良質の井戸水を不織布の高さまで入れる。
試験体1:容器の底に不織布を敷き、淡水Bのみから成る淡水性植物成長補助品11を不織布の高さまで入れる。
試験体2:容器の底に不織布を敷き、ミネラル濃縮液Dを淡水Bで希釈した順ミネラル植物成長補助品14を不織布の高さまで入れる。
試験体3:容器の底に不織布を敷き、不織布の高さまでミネラル濃縮液Dを水道水で希釈した植物成長補助品1を入れる。
【0023】
対照物と各試験体の不織布に種を各々蒔き、直射日光の当たらない場所に置き、発芽後すぐに日の当たる場所に移し、水分を逐次補充した所、表1の如く発芽時期、子葉等の成長速度に大きな差が生じた。
【表1】
この実験結果から、日本海固有冷水Aには植物成長に必要な成分が含まれていることが解った。また、試験体3が対照物と略同様の状態となったのは、希釈に問題があったと思われる。
【0024】
【実験例2】
目的:ミネラル濃縮液Dの希釈率における影響
実験対象植物:かいわれ大根
生育条件:気温20度、水温15度
対照物:実験例1と同じ。
試験体4:容器の底に不織布を敷き、ミネラル濃縮液Dを2倍に希釈した順ミネラル植物成長補助品14を不織布の高さまで入れる。
試験体5:容器の底に不織布を敷き、ミネラル濃縮液Dを4倍に希釈した順ミネラル植物成長補助品14を不織布の高さまで入れる。
試験体6:容器の底に不織布を敷き、ミネラル濃縮液Dを6倍に希釈した順ミネラル植物成長補助品14を不織布の高さまで入れる。
【0025】
対照物と各試験体の不織布に種を各々蒔き、直射日光の当たらない場所に置き、発芽後すぐに日の当たる場所に移し、水分を逐次補充した所、表2の如く発芽時期、子葉等の成長速度に大きな差が生じた。
【表2】
この実験結果から、ミネラル濃縮液Dの希釈率が植物の種類や生育環境等に大きな影響を与えることが判明したので、今後、一定環境化における直物毎の希釈率を求める必要がある。
【0026】
【実験例3】
実験目的:かいわれ大根の水耕栽培
(1) 青首大根の種子を30℃以下の水に5〜7時間浸漬する。
(2) 水から出して約15時間放置する。
(3) 脱脂綿やロックウール等を敷いた栽培容器に播種し、2日間暗所に静置して発芽を誘導する。
(4) 栽培容器を所謂ハウスに移し、3〜5日間日光に当て、葉を緑化しながら芽を育成する。この期間に背丈は11.5〜12.5cmの、双葉(本葉が現れる前)の状態になる。
栄養源として、ミネラル濃縮液Dを淡水Bで希釈した順ミネラル性植物成長補助品14(硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸アンモニウム、リン酸カリウム等を含む)を液肥として循環しながら与えた。
その結果、極めて清浄な状態で栄養価のすぐれた水耕栽培野菜を得ることができた。
【0027】
【実施例】
本発明の植物成長補助品を水耕栽培の液肥として用いるには、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)等を主とした16の元素が含まれていればよい。しかし植物は、実際には、これら以外の元素も吸収蓄積するので、人体を構成する成分の多くの天然元素を含んでいる海洋深層水、特に日本海固有冷水Aを使用することにより、より栄養価の高い植物が生産できる。
サトイモやネギの生育、タラノメの促成栽培、チューリップの水耕栽培等についても実験を進めており、その実験結果を後日補充する予定である。
【0028】
日本海固有冷水Aと、該日本海固有冷水Aから分離した淡水B、ミネラル濃縮液D、濃塩水Eの成分は図3の通りであり、これらの各元素濃度を比較した所、表2の如く効率よく一価イオン
【化1】
の除去が行われていること、及び表3の如く第一金属元素類(Na、Mg、Ca)、表4の如く第二金属元素類
【化2】
の濃縮が行われていることが確認された。
【表3】
【表4】
【表5】
また日本海固有冷水Aより分離した淡水Bとミネラル濃縮液Dと濃塩水Eのイオン含有量は図3の通りであった。図3の原水は日本海固有冷水Aである。
このことから、淡水Bをミネラル濃縮液Dや濃塩水Eの希釈に用いると、より効果的であるし、濃塩水Eを植物の殺菌手段や滅菌手段等として用いることも可能であることを示している。
【0029】
淡水Bは塩化ナトリウムや塩素等を除いた脱塩水であり、濃塩水Eは水分を飛ばして濃縮したもので、水分を完全に飛ばして粉状に濃縮したものも含まれる。ミネラル濃縮液Dの成分は、性質の異なるイオン交換膜3,4を組合せを換えることにより、更に細かく選択分離することも可能であるので、本発明の実験で得た以外の成果も期待できる。
表層水と比べてみると、そこに含まれている成分量はまったく異なっている。栄養分(窒素、リン、ケイ酸の無機化合物)の濃度は、表層水ではほとんどゼロに等しいが、深くなるにしたがって高くなっていく。つまり深層水は肥やしのような水になっているのである。
【0030】
淡水Bの植物への利用範囲は、総ての植物に対し100%利用可能であるが、ミネラル濃縮液Dの植物への利用範囲は、植物の種類によっても異なるが、一般的に80%以下、望ましい範囲は50%以下であり、濃塩水Eの植物への利用範囲は、一般的に50%以下、望ましい範囲は30%以下であり、塩分濃度が5%を越えない範囲が望ましい。
【0031】
日本海固有冷水Aに含まれている人体を構成する天然元素とは、鉄(Fe)、沃素(I)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、セレン(Se)、クロム(Cr)、スズ(Sn)、バナジウム(V)、フッ素(F)、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、ヒ素(As)等であり、これらの元素が図3の通りバランスよく含まれていることが調査研究の結果から確かめられている。
【0032】
ミネラル濃縮液Dが保持する成分の内、特に植物の成長に寄与する成分、病害虫に寄与する成分、栄養バランスに寄与する成分等を個別に利用することも、また、それらの成分を併用して利用することも可能である。
液肥中の塩化ナトリウム濃度は、高くなるにつれて生長速度は遅くなるが、日本海固有冷水Aに存在する塩化ナトリウムを利用する場合、塩化ナトリウム濃度を0.01〜5重量%にすることが望ましい。
【0033】
【発明の効果】
本発明の植物成長補助品は上記のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。
請求項1の植物成長補助品は、多段式イオン交換電気透析方法により分離した海洋深層水の淡水(脱塩水)とミネラル濃縮液と濃塩水とを、単独で使用したり、任意の2種以上を含有して使用することもできる。しかも、これを植物の生育に用いると栄養バランスが向上し、無機栄養塩類の含有率も高まる。即ち、イオン交換膜の選択により、植物に有用と思われるミネラル分を漏れなく採取し、有害と思われる成分を除去するので、植物の生育にはとても有益である。このことにより、高付加価値のある植物成長補助品、或いは栄養バランスのある植物成長補品を提供し得る。
【0034】
請求項2の植物成長補助品は、海洋深層水として低温(平均2℃)の日本海固有冷水を用いているので、他の深層水より雑菌が少なく、その分、清浄である。このことは、植物の生育改善に役立つと推察できる。また、他種類のミネラル分を含有するので、商品価値も向上する。
【0035】
請求項3の植物成長補助品は、日本海固有冷水から分離した淡水とミネラル濃縮水と濃塩水の内、1種類以上を水耕栽培に適するように含有しているので、極めて清浄な状態で水耕栽培を実施することができ、栄養価の高くて安全な植物を能率的に大量生産し、消費者に安価に提供できる。
【0036】
請求項4の植物成長補助品は、日本海固有冷水から分離した淡水とミネラル濃縮水と濃塩水から、植物適合成分を主として選択含有しているから、即ち、塩分を除く多種類のミネラル分を含有するので、これを用いると栄養バランスが向上し、その分のミネラル分の添加を省略し得る。このことにより、植物にやさしい商品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】海洋深層水(日本海固有冷水)の分離例を示す概略ブロック線図である。
【図2】本発明による植物成長補助品群の概略分類図である。
【図3】日本海固有冷水と、日本海固有冷水から分離した淡水、ミネラル濃縮液、濃塩水における元素含有状態を示す元素分析図である。
【符号の説明】
1 一次電気透析装置
2 二次電気透析装置
3,4 イオン交換膜
11 淡水性植物成長補助品、12 ミネラル性植物成長補助品
13 濃厚植物成長補助品、14 順ミネラル性植物成長補助品
15 順濃厚植物成長補助品、16 ミネラル濃厚植物成長補助品
17 総合植物成長補助品
A 海洋深層水(日本海固有冷水)
B 淡水(脱塩水)
C 濃縮深層水
D ミネラル濃縮液
E 濃塩水
Claims (4)
- 多段式イオン交換電気透析方法により分離した海洋深層水の淡水(B)とミネラル濃縮液(D)と濃塩水(E)との内、少なくとも1種類を含有していることを特徴とする植物成長補助品。
- 海洋深層水が日本海固有冷水(A)であることを特徴とする請求項1記載の植物成長補助品。
- 日本海固有冷水(A)より分離した脱塩水の淡水(B)とミネラル濃縮液(D)と濃塩水(E)との内、1種類以上を水耕栽培に適するように含有していることを特徴とする請求項2記載の植物成長補助品。
- 日本海固有冷水(A)より分離した脱塩水の淡水(B)とミネラル濃縮液(D)と濃塩水(E)から、植物適合成分を主として選択含有していることを特徴とする請求項2記載の植物成長補助品。
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