JP2004025629A - 遮熱体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐火耐熱特性を高めるとともに、構造物への取付作業性を高める。
【解決手段】アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シート1とコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層4とを交互に複数層積層して遮熱層8を形成し、この遮熱層8を無機質ブランケット材からなるパネル母層9と接合する。
【選択図】 図1
【解決手段】アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シート1とコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層4とを交互に複数層積層して遮熱層8を形成し、この遮熱層8を無機質ブランケット材からなるパネル母層9と接合する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐火耐熱弱体構造物の外表面を覆う耐火遮熱層などに用いられる遮熱体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
耐火耐熱弱体構造物としては各種のものがある。例えば、各種建造物、各種土木構造物、さらには耐火金庫など各種のものがあり、各々保護対象物に応じた仕様性能の耐火遮熱材が適用されている。特に耐火遮熱特性に優れているものは、無機質材を焼成して得たセラミックス部材であり、種々の技術が提案されている。例えば、背部の構造物を保護するために、耐火遮熱特性として、1200℃に一定時間耐えるなどの仕様性能が求められている。
【0003】
耐火遮熱材として提案されている従来の主な技術としては、次のようなものがある。まず、特開2000−54797号には、コンクリート構造物であるトンネルの覆工体として、少なくともトンネルの表面をセラミックスにより被覆するものが示されている。又、特開2000−248899号には、セラミックスタイルを有機接着剤で固定したものが示されている。但し、有機接着剤を使用しているので、耐熱性に劣る。又、特開平11−294098号には、トンネル表面に耐火層を吹き付けにより形成するか、あるいは耐火パネルを部材を介して固定して形成することが示されている。但し、後者の場合には、耐火層が大形となり、火災などにより急激に高温に晒された場合に、素材の耐熱衝撃特性にもよるが、亀裂が発生すると全体の破壊に繋がる可能性が大きい。又、前者の場合、素材には耐火性があっても、吹き付け作業に有機溶剤を必要とし、耐火性に欠けることとなった。
【0004】
又、耐火耐熱パネルとして従来提案されているものもあり、これはアルミナ・シリカ系のファイバーや珪酸カルシウムなどの耐火耐熱材を加熱と共に加圧成形してパネルを形成し、このパネルをアンカーにより構造体に装着固定して耐火耐熱構造体を得るものである。但し、耐火耐熱材をセラミックスを主体に構成する場合には、焼成工程があるので、高価で重くなる。そこで、母材に水硬性のセメント材料を使用して焼成工程を削減するとともに、軽量化のために骨材を充填し、靱性化のために繊維材料を充填するものが知られており、例えば、特開平5−18042、特開平6−56497号、特開平6−263507号、特開平6−271366号、特開平8−68180号などが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
耐熱遮熱特性の一例として、例えば火災に暴露される表面側は1200℃の温度に耐えるとともに、背部のコンクリートなどの構造物を保護するために裏面側の温度を例えば300〜400℃程度に抑えることができる耐火耐熱特性の材料を得ることが必要であるが、上記した従来技術では充分とは言えなかった。又、耐火耐熱材からなるパネルを構造物に取り付ける際には、施工時の作業性が重要であり、施工時に割れや欠けが生じると、そのパネルを除去して再度装着することになり、施工時に損傷が生じない堅牢な材料とする必要があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、耐火耐熱特性が優れているとともに、構造物への取付時に損傷が生じず、取付作業性がよい遮熱体及びその製造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートと、コーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層して、耐火耐熱層を形成するとともに、無機質ブランケット材をパネル母層とすることにより、軽量化を図った耐火耐熱材が得られることを見出した。即ち、
この発明の請求項1に係る遮熱体の製造方法は、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層するものである。遮熱体の比重が小さく、軽量化される。又、遮熱体は1200℃に1時間暴露されても殆ど損傷せず、継続使用が可能であり、構造物の表面に取り付けると、安定した耐火耐熱特性が得られる。さらに、アルミナ・シリカ等は欠けや割れが発生し難い。
【0008】
請求項2に係る遮熱体の製造方法は、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層し、この複数層積層したものを無機質ブランケット材からなるパネル母層と接合するものである。遮熱体の比重が小さく、軽量化される。又、遮熱体は1200℃に1時間暴露されても殆ど損傷せず、継続使用が可能であり、構造物の表面に取り付けると、安定した耐火耐熱特性が得られる。さらに、アルミナ・シリカ等は欠けや割れが発生し難い。
【0009】
請求項3に係る遮熱体は、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを、少なくとも一方の表面に耐火耐熱シートが位置するように交互に複数層積層したものである。
【0010】
請求項4に係る遮熱体は、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層した遮熱層と、無機質ブランケット材とを接合してなり、無機質ブランケット材の少なくとも一方の側に遮熱層が位置するようにしたものである。
【0011】
請求項5に係る遮熱体は、比重が0.25〜0,65であるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施形態1
以下、この発明の実施の形態を図面とともに説明する。図1(a),(b)はこの発明の実施形態1による遮熱体である平板状の耐火耐熱パネルの正面図及びその一部拡大図を示し、図2は耐火耐熱パネルの製造装置を示す。耐火耐熱パネルの製造に際しては、まず、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シート1を塗布手段2内に通過させ、この際にコーディエライト、コロイダルシリカ、粘土粉末を混合してペースト状にしたものを供給し、押圧ローラ3などにより耐火耐熱シート1の表面上に一定厚み層を塗布し、水硬性耐火耐熱層4を形成する。5はガイドローラである。次に、水硬性耐火耐熱層4上にガイドローラ6,7により案内された耐火耐熱シート1を積層した後、さらに複数設けた塗布手段により水硬性耐火耐熱層4を塗布する。こうして、耐火耐熱シート1と水硬性耐火耐熱層4とを交互に複数層積層して遮熱層8を形成し、遮熱層8の一方の側に無機質繊維のブランケット体(無機質ブランケット材)からなるパネル母層9を接合し、遮熱体である耐火耐熱パネルを形成する。この耐火耐熱パネルを一定の寸法、例えば幅900mm、長さ1800mm、厚さ30mmに裁断し、一定時間養生して平板状の耐火耐熱パネル10を得る。
【0013】
図3(a),(b)及び図4はコンクリート構造物11への平板状の耐火耐熱パネル10の取付構造を示す断面図、その一部拡大図及びさらにその一部拡大図を示し、耐火耐熱パネル10に貫通孔10aを設け、貫通孔10aに取付支持具12を挿通させる。取付支持具12は本体部12aの一端に径が大きな頭部12bを有するとともに、内部に貫通したアンカー挿入孔12cを有し、頭部12aは貫通孔10aの周囲に当接する。一方、コンクリート構造物11にドリルなどで穴11aを掘削し、穴11aにアンカー13を装着する。そして、このアンカー13に取付支持具12のアンカー挿入孔12cを頭部12aを内側にして挿入し、耐火耐熱パネル10の外面側に突出したアンカー13の端部に座金14を介してナット15を締め付け、耐火耐熱パネル10をコンクリート構造物11に取り付ける。このように、耐火耐熱パネル10の取付に際して取付支持具12を用いることにより、耐火耐熱パネル10の損傷を防ぐようにしている。
【0014】
耐火耐熱パネル10の継ぎ目地部は斜面にして、隣接パネル10が相互にラップするようにする。コンクリート構造物11の表面の凹凸が大きい場合には、ファイバーシートなどを充填して対応する。耐火耐熱パネル10は前述した所定の大きさに形成され、四隅と中央の計5箇所に貫通孔10aを設けるが、必要に応じてカッタ(例えばダイヤモンドカッタ)で切断し、ドリルで穿孔する。
【0015】
図5は上記した耐火耐熱パネル10の耐火耐熱特性を試験するための電気炉の断面図であり、電気炉16は上部開放の容器状に形成された遮熱材からなる本体部17と、本体部17の上部を覆う遮熱材からなる蓋部18と、本体部17に貫通して設けられたヒータ19とから構成される。蓋部18の下面中央には凹部18aが設けられ、凹部18aには耐火耐熱パネル10のサンプル20が嵌合される。電気炉16内の大きさは、例えば、長さ280mm、幅115mm、高さ50mmである。
【0016】
試験に際しては、電気炉16内の凹部18aにサンプル20を収納し、ヒータ19により加熱する。昇温は、室温から1200℃まで10分間で昇温させ、その後1200℃に1時間保持した。この間において、サンプル20の表面側の温度(炉内温度)と背部温度を測定した。各実施例(サンプル例)の耐熱性、遮熱性の結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
表1において、「ブランケット層」とはパネル母層9のことであり、「アルミナ・シリカ層」とは耐火耐熱シート1を示し、「コーディエライト層」とは水硬性耐火耐熱層4のことである。実施例1の「一方の表面に3層配置」とは、図1(a)のような配置をいう。「寸法」は各実施例のサンプル20の幅、長さ、厚さを示し、「比重」も各サンプル20の比重を示す。比重は0.25〜0.65の範囲が良い。「耐熱性」は、上記のような昇温を行った後の各サンプル20の外観、即ち、焼割、変形、変質を観察した結果を示し、○印は変化なしか又は僅かな変化の場合を示し、この場合は継続使用可能である。△印は若干の変化ありの場合を示し、この場合は交換が必要である。総合評価としては交換を必要とする箇所はあるものの、各実施例とも継続使用は可能である。「遮熱性」は、サンプル20の表面側の温度が1200℃に到達した時及び1200℃に1時間保持した後のサンプル20の背面部の温度によって判定する。
【0019】
又、表2は、現在実際に使用されている市販品の耐火耐熱パネルを切断したサンプル(幅約100mm、長さ約200mm、厚さ約30mm)を各比較例として、その主成分、耐熱性、遮熱性を示したものであり、各比較例とも、熱負荷により損傷を受けている。特に、比較例1,2では焼割が生じ、継続使用には適さない。又、比較例3,4は変質、変色が見られることから、適用場所によっては継続使用が困難な場合が生じる。
【0020】
【表2】
【0021】
なお、1200℃に1時間保持後の各実施例、各比較例の各サンプルの背部温度が300〜400℃を越えているが、これは、サンプルの形状効果に起因することであり、サンプルが小形であることと、サンプルと蓋部18との間の隙間から図5の矢印イに示すように熱が背部側に回り込んだことによるものと推定される。
【0022】
上記の結果から、アルミナ・シリカ層とコーディエライト層を主成分とした耐火耐熱パネルは比較例と比較して優れていることが判明した。即ち、各比較例のものは、外観変化が著しく、継続使用は困難であって交換が必要となり、交換のための作業費用は膨大なものとなり、その間当該施設の使用も困難となり、交換費用はさらに増大する。一方、この発明の各実施例の耐火耐熱パネル10は、外観変化が僅かであり、局部的に交換することで継続使用が可能であり、比較例のような問題は発生しない。又、この発明の耐火耐熱パネル10は比重が小さく、軽量化される。
【0023】
図6(a)〜(c)は各耐火耐熱パネルの斜視図を示し、(a)は上述した平板状のパネル10を示し、(b)はアングル状のパネル21を示し、(c)は曲板状のパネル22を示す。耐火耐熱パネルを取り付ける被取付物の表面形状は種々変化するので、単に平面対応の平板状のパネル10だけでなく、コーナー対応のアングル状のパネル21や曲面対応の曲板状のパネル22も作成する。
【0024】
実施形態2
図7は実施形態2による遮熱体である平板状の耐火耐熱パネルの正面図を示し、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シート1とコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層4とを交互に複数層積層して遮熱層8を形成し、これがそのまま平板状の耐火耐熱パネル10となる。従って、無機質ブランケット材からなるパネル母層9は用いず、表1の実施例2に該当する。効果は、実施形態1と同様である。
【0025】
実施形態3
図8は実施形態3による遮熱体である平板状の耐火耐熱パネルの正面図を示し、耐火耐熱シート1と水硬性耐火耐熱層4とを交互に複数層積層した遮熱層8をパネル母層9の両側に接合して、遮熱体である耐火耐熱パネルを形成する。効果は、実施形態1と同様である。
【0026】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層し、あるいはさらに無機質ブランケット材を接合して、遮熱体を形成しており、軽量で耐火耐熱特性に優れた遮熱体が得られる。従って、1200℃に1時間暴露されても受ける損傷は軽微であり、パネルなどに適用した場合、その継続使用が可能となる。又、この遮熱体を構造物の表面に取り付けると、1200℃以上の高温に晒されても内部の構造物に及ぼす熱衝撃による悪影響はなくなり、安定した耐火耐熱効果を確保できる。さらに、遮熱体は、比重が小さく、軽量化が図られており、しかもアルミナ・シリカとか無機質ブランケット材等を含むので、作業中に欠けとか割れが発生することはなく、取付作業が容易となり、さらには切断カッタによる切断作業も容易であるので、寸法調整も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態1による耐火耐熱パネルの正面図及びその一部拡大図である。
【図2】実施形態1による耐火耐熱パネルの製造装置の概略構成図である。
【図3】実施形態1による耐火耐熱パネルをコンクリート構造物に取り付けた状態の断面図及び及びその一部拡大図である。
【図4】図3(b)の一部拡大図である。
【図5】実施形態1による耐火耐熱パネルの耐火耐熱試験を行うための電気炉の断面図である。
【図6】各種の耐火耐熱パネルの斜視図である。
【図7】実施形態2による耐火耐熱パネルの正面図である。
【図8】実施形態3による耐火耐熱パネルの正面図である。
【符号の説明】
1…耐火耐熱シート
4…水硬性耐火耐熱層
8…遮熱層
9…パネル母層
10,21,22…耐火耐熱パネル
20…サンプル
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐火耐熱弱体構造物の外表面を覆う耐火遮熱層などに用いられる遮熱体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
耐火耐熱弱体構造物としては各種のものがある。例えば、各種建造物、各種土木構造物、さらには耐火金庫など各種のものがあり、各々保護対象物に応じた仕様性能の耐火遮熱材が適用されている。特に耐火遮熱特性に優れているものは、無機質材を焼成して得たセラミックス部材であり、種々の技術が提案されている。例えば、背部の構造物を保護するために、耐火遮熱特性として、1200℃に一定時間耐えるなどの仕様性能が求められている。
【0003】
耐火遮熱材として提案されている従来の主な技術としては、次のようなものがある。まず、特開2000−54797号には、コンクリート構造物であるトンネルの覆工体として、少なくともトンネルの表面をセラミックスにより被覆するものが示されている。又、特開2000−248899号には、セラミックスタイルを有機接着剤で固定したものが示されている。但し、有機接着剤を使用しているので、耐熱性に劣る。又、特開平11−294098号には、トンネル表面に耐火層を吹き付けにより形成するか、あるいは耐火パネルを部材を介して固定して形成することが示されている。但し、後者の場合には、耐火層が大形となり、火災などにより急激に高温に晒された場合に、素材の耐熱衝撃特性にもよるが、亀裂が発生すると全体の破壊に繋がる可能性が大きい。又、前者の場合、素材には耐火性があっても、吹き付け作業に有機溶剤を必要とし、耐火性に欠けることとなった。
【0004】
又、耐火耐熱パネルとして従来提案されているものもあり、これはアルミナ・シリカ系のファイバーや珪酸カルシウムなどの耐火耐熱材を加熱と共に加圧成形してパネルを形成し、このパネルをアンカーにより構造体に装着固定して耐火耐熱構造体を得るものである。但し、耐火耐熱材をセラミックスを主体に構成する場合には、焼成工程があるので、高価で重くなる。そこで、母材に水硬性のセメント材料を使用して焼成工程を削減するとともに、軽量化のために骨材を充填し、靱性化のために繊維材料を充填するものが知られており、例えば、特開平5−18042、特開平6−56497号、特開平6−263507号、特開平6−271366号、特開平8−68180号などが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
耐熱遮熱特性の一例として、例えば火災に暴露される表面側は1200℃の温度に耐えるとともに、背部のコンクリートなどの構造物を保護するために裏面側の温度を例えば300〜400℃程度に抑えることができる耐火耐熱特性の材料を得ることが必要であるが、上記した従来技術では充分とは言えなかった。又、耐火耐熱材からなるパネルを構造物に取り付ける際には、施工時の作業性が重要であり、施工時に割れや欠けが生じると、そのパネルを除去して再度装着することになり、施工時に損傷が生じない堅牢な材料とする必要があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、耐火耐熱特性が優れているとともに、構造物への取付時に損傷が生じず、取付作業性がよい遮熱体及びその製造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートと、コーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層して、耐火耐熱層を形成するとともに、無機質ブランケット材をパネル母層とすることにより、軽量化を図った耐火耐熱材が得られることを見出した。即ち、
この発明の請求項1に係る遮熱体の製造方法は、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層するものである。遮熱体の比重が小さく、軽量化される。又、遮熱体は1200℃に1時間暴露されても殆ど損傷せず、継続使用が可能であり、構造物の表面に取り付けると、安定した耐火耐熱特性が得られる。さらに、アルミナ・シリカ等は欠けや割れが発生し難い。
【0008】
請求項2に係る遮熱体の製造方法は、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層し、この複数層積層したものを無機質ブランケット材からなるパネル母層と接合するものである。遮熱体の比重が小さく、軽量化される。又、遮熱体は1200℃に1時間暴露されても殆ど損傷せず、継続使用が可能であり、構造物の表面に取り付けると、安定した耐火耐熱特性が得られる。さらに、アルミナ・シリカ等は欠けや割れが発生し難い。
【0009】
請求項3に係る遮熱体は、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを、少なくとも一方の表面に耐火耐熱シートが位置するように交互に複数層積層したものである。
【0010】
請求項4に係る遮熱体は、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層した遮熱層と、無機質ブランケット材とを接合してなり、無機質ブランケット材の少なくとも一方の側に遮熱層が位置するようにしたものである。
【0011】
請求項5に係る遮熱体は、比重が0.25〜0,65であるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施形態1
以下、この発明の実施の形態を図面とともに説明する。図1(a),(b)はこの発明の実施形態1による遮熱体である平板状の耐火耐熱パネルの正面図及びその一部拡大図を示し、図2は耐火耐熱パネルの製造装置を示す。耐火耐熱パネルの製造に際しては、まず、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シート1を塗布手段2内に通過させ、この際にコーディエライト、コロイダルシリカ、粘土粉末を混合してペースト状にしたものを供給し、押圧ローラ3などにより耐火耐熱シート1の表面上に一定厚み層を塗布し、水硬性耐火耐熱層4を形成する。5はガイドローラである。次に、水硬性耐火耐熱層4上にガイドローラ6,7により案内された耐火耐熱シート1を積層した後、さらに複数設けた塗布手段により水硬性耐火耐熱層4を塗布する。こうして、耐火耐熱シート1と水硬性耐火耐熱層4とを交互に複数層積層して遮熱層8を形成し、遮熱層8の一方の側に無機質繊維のブランケット体(無機質ブランケット材)からなるパネル母層9を接合し、遮熱体である耐火耐熱パネルを形成する。この耐火耐熱パネルを一定の寸法、例えば幅900mm、長さ1800mm、厚さ30mmに裁断し、一定時間養生して平板状の耐火耐熱パネル10を得る。
【0013】
図3(a),(b)及び図4はコンクリート構造物11への平板状の耐火耐熱パネル10の取付構造を示す断面図、その一部拡大図及びさらにその一部拡大図を示し、耐火耐熱パネル10に貫通孔10aを設け、貫通孔10aに取付支持具12を挿通させる。取付支持具12は本体部12aの一端に径が大きな頭部12bを有するとともに、内部に貫通したアンカー挿入孔12cを有し、頭部12aは貫通孔10aの周囲に当接する。一方、コンクリート構造物11にドリルなどで穴11aを掘削し、穴11aにアンカー13を装着する。そして、このアンカー13に取付支持具12のアンカー挿入孔12cを頭部12aを内側にして挿入し、耐火耐熱パネル10の外面側に突出したアンカー13の端部に座金14を介してナット15を締め付け、耐火耐熱パネル10をコンクリート構造物11に取り付ける。このように、耐火耐熱パネル10の取付に際して取付支持具12を用いることにより、耐火耐熱パネル10の損傷を防ぐようにしている。
【0014】
耐火耐熱パネル10の継ぎ目地部は斜面にして、隣接パネル10が相互にラップするようにする。コンクリート構造物11の表面の凹凸が大きい場合には、ファイバーシートなどを充填して対応する。耐火耐熱パネル10は前述した所定の大きさに形成され、四隅と中央の計5箇所に貫通孔10aを設けるが、必要に応じてカッタ(例えばダイヤモンドカッタ)で切断し、ドリルで穿孔する。
【0015】
図5は上記した耐火耐熱パネル10の耐火耐熱特性を試験するための電気炉の断面図であり、電気炉16は上部開放の容器状に形成された遮熱材からなる本体部17と、本体部17の上部を覆う遮熱材からなる蓋部18と、本体部17に貫通して設けられたヒータ19とから構成される。蓋部18の下面中央には凹部18aが設けられ、凹部18aには耐火耐熱パネル10のサンプル20が嵌合される。電気炉16内の大きさは、例えば、長さ280mm、幅115mm、高さ50mmである。
【0016】
試験に際しては、電気炉16内の凹部18aにサンプル20を収納し、ヒータ19により加熱する。昇温は、室温から1200℃まで10分間で昇温させ、その後1200℃に1時間保持した。この間において、サンプル20の表面側の温度(炉内温度)と背部温度を測定した。各実施例(サンプル例)の耐熱性、遮熱性の結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
表1において、「ブランケット層」とはパネル母層9のことであり、「アルミナ・シリカ層」とは耐火耐熱シート1を示し、「コーディエライト層」とは水硬性耐火耐熱層4のことである。実施例1の「一方の表面に3層配置」とは、図1(a)のような配置をいう。「寸法」は各実施例のサンプル20の幅、長さ、厚さを示し、「比重」も各サンプル20の比重を示す。比重は0.25〜0.65の範囲が良い。「耐熱性」は、上記のような昇温を行った後の各サンプル20の外観、即ち、焼割、変形、変質を観察した結果を示し、○印は変化なしか又は僅かな変化の場合を示し、この場合は継続使用可能である。△印は若干の変化ありの場合を示し、この場合は交換が必要である。総合評価としては交換を必要とする箇所はあるものの、各実施例とも継続使用は可能である。「遮熱性」は、サンプル20の表面側の温度が1200℃に到達した時及び1200℃に1時間保持した後のサンプル20の背面部の温度によって判定する。
【0019】
又、表2は、現在実際に使用されている市販品の耐火耐熱パネルを切断したサンプル(幅約100mm、長さ約200mm、厚さ約30mm)を各比較例として、その主成分、耐熱性、遮熱性を示したものであり、各比較例とも、熱負荷により損傷を受けている。特に、比較例1,2では焼割が生じ、継続使用には適さない。又、比較例3,4は変質、変色が見られることから、適用場所によっては継続使用が困難な場合が生じる。
【0020】
【表2】
【0021】
なお、1200℃に1時間保持後の各実施例、各比較例の各サンプルの背部温度が300〜400℃を越えているが、これは、サンプルの形状効果に起因することであり、サンプルが小形であることと、サンプルと蓋部18との間の隙間から図5の矢印イに示すように熱が背部側に回り込んだことによるものと推定される。
【0022】
上記の結果から、アルミナ・シリカ層とコーディエライト層を主成分とした耐火耐熱パネルは比較例と比較して優れていることが判明した。即ち、各比較例のものは、外観変化が著しく、継続使用は困難であって交換が必要となり、交換のための作業費用は膨大なものとなり、その間当該施設の使用も困難となり、交換費用はさらに増大する。一方、この発明の各実施例の耐火耐熱パネル10は、外観変化が僅かであり、局部的に交換することで継続使用が可能であり、比較例のような問題は発生しない。又、この発明の耐火耐熱パネル10は比重が小さく、軽量化される。
【0023】
図6(a)〜(c)は各耐火耐熱パネルの斜視図を示し、(a)は上述した平板状のパネル10を示し、(b)はアングル状のパネル21を示し、(c)は曲板状のパネル22を示す。耐火耐熱パネルを取り付ける被取付物の表面形状は種々変化するので、単に平面対応の平板状のパネル10だけでなく、コーナー対応のアングル状のパネル21や曲面対応の曲板状のパネル22も作成する。
【0024】
実施形態2
図7は実施形態2による遮熱体である平板状の耐火耐熱パネルの正面図を示し、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シート1とコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層4とを交互に複数層積層して遮熱層8を形成し、これがそのまま平板状の耐火耐熱パネル10となる。従って、無機質ブランケット材からなるパネル母層9は用いず、表1の実施例2に該当する。効果は、実施形態1と同様である。
【0025】
実施形態3
図8は実施形態3による遮熱体である平板状の耐火耐熱パネルの正面図を示し、耐火耐熱シート1と水硬性耐火耐熱層4とを交互に複数層積層した遮熱層8をパネル母層9の両側に接合して、遮熱体である耐火耐熱パネルを形成する。効果は、実施形態1と同様である。
【0026】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層し、あるいはさらに無機質ブランケット材を接合して、遮熱体を形成しており、軽量で耐火耐熱特性に優れた遮熱体が得られる。従って、1200℃に1時間暴露されても受ける損傷は軽微であり、パネルなどに適用した場合、その継続使用が可能となる。又、この遮熱体を構造物の表面に取り付けると、1200℃以上の高温に晒されても内部の構造物に及ぼす熱衝撃による悪影響はなくなり、安定した耐火耐熱効果を確保できる。さらに、遮熱体は、比重が小さく、軽量化が図られており、しかもアルミナ・シリカとか無機質ブランケット材等を含むので、作業中に欠けとか割れが発生することはなく、取付作業が容易となり、さらには切断カッタによる切断作業も容易であるので、寸法調整も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態1による耐火耐熱パネルの正面図及びその一部拡大図である。
【図2】実施形態1による耐火耐熱パネルの製造装置の概略構成図である。
【図3】実施形態1による耐火耐熱パネルをコンクリート構造物に取り付けた状態の断面図及び及びその一部拡大図である。
【図4】図3(b)の一部拡大図である。
【図5】実施形態1による耐火耐熱パネルの耐火耐熱試験を行うための電気炉の断面図である。
【図6】各種の耐火耐熱パネルの斜視図である。
【図7】実施形態2による耐火耐熱パネルの正面図である。
【図8】実施形態3による耐火耐熱パネルの正面図である。
【符号の説明】
1…耐火耐熱シート
4…水硬性耐火耐熱層
8…遮熱層
9…パネル母層
10,21,22…耐火耐熱パネル
20…サンプル
Claims (5)
- アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層することを特徴とする遮熱体の製造方法。
- アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層し、この複数層積層したものを無機質ブランケット材からなるパネル母層と接合することを特徴とする遮熱体の製造方法。
- アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを、少なくとも一方の表面に耐火耐熱シートが位置するように交互に複数層積層したことを特徴とする遮熱体。
- アルミナ・シリカからなる耐火耐熱シートとコーディエライトを主成分とする水硬性耐火耐熱層とを交互に複数層積層した遮熱層と、無機質ブランケット材とを接合してなり、無機質ブランケット材の少なくとも一方の側に遮熱層が位置するようにしたことを特徴とする遮熱体。
- 比重が0.25〜0,65であることを特徴とする請求項3又は4記載の遮熱体。
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---|---|---|---|
JP2002185565A JP2004025629A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 遮熱体及びその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002185565A JP2004025629A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 遮熱体及びその製造方法 |
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JP (1) | JP2004025629A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112811921A (zh) * | 2021-01-27 | 2021-05-18 | 巩义市泛锐熠辉复合材料有限公司 | 一种纤维增强陶瓷基复合材料耐热板及其制备方法 |
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2002
- 2002-06-26 JP JP2002185565A patent/JP2004025629A/ja active Pending
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CN112811921A (zh) * | 2021-01-27 | 2021-05-18 | 巩义市泛锐熠辉复合材料有限公司 | 一种纤维增强陶瓷基复合材料耐热板及其制备方法 |
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