JP2004025614A - ガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム - Google Patents

ガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ガスバリア性、透明性、耐レトルト処理性、ヒートシール性などの諸性能に加えて、高い剛性を有し、いわゆるコシの有る、内容物の保存を目的とした食品や医薬品などの包装材料に使用されるガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルムを提供する。
【解決手段】特定のエポキシ樹脂組成物より形成される硬化物をガスバリア層として用いることにより酸素などのガスバリア性、層間接着性、および透明性、耐レトルト処理性、剛性などの諸性能に優れた延伸ポリエステル積層フィルムが得られる。
【選択図】   無

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種ガスの遮蔽による内容物の保存を目的とした食品や医薬品などの包装材料に使用されるガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内容物保存を目的とした包装材料には、透明性、軽量性、経済性等の理由からプラスチックフィルムや容器の使用が主流になっている。食品、医薬品、化粧品などの包装に用いられるプラスチックフィルムの要求性能としては、各種ガスに対するバリア性、透明性、耐レトルト処理性、耐衝撃性、柔軟性、ヒートシール性などが挙げられる。これらの性能以外にも用途によっては機械的な性能が要求される場合がある。例えば、近年、食品等の包装容器として、従来の瓶や缶に比べて軽量で、使用後の減容性に優れる自立袋(スタンディングパウチ)が普及してきているが、スタンディングパウチを構成するフィルム材料には、ボイル・レトルト処理に耐えるだけの耐熱性、内容物によっては内容物の劣化を防ぐためのガスバリア性や光による内容物の劣化を防ぐための遮光性、開封時に要求される引裂き性等に加えて、液体を充填した際に自立できるだけの剛性が必要である。従来、剛性の高いフィルム材料として、アルミニウム箔とポリマーフィルムから成る積層フィルムが専ら使用されてきた。しかしながら、アルミニウム箔を主要な構成材料とするスタンディングパウチは、焼却処理の際、多量の金属を生じ、環境適性に劣ること、金属探知器による異物混入検査や電子レンジによる加熱が可能な包装が求められていること等から、アルミニウム箔積層フィルムに替わるフィルム材料が要望されている。
【0003】
一方、アルミニウム箔を使用しないで比較的高い剛性が得られるフィルム基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)に代表される延伸ポリエステルフィルムがある。特に、PETフィルムは機械的性能、耐薬品性、保香性、経済性などの性能のバランスが良好な材料であるが、酸素、二酸化炭素などのガスのバリア性に劣る欠点があり、用途に制限があった。
【0004】
このようなガスバリア性包装材料は、通常、基材となる可撓性ポリマーフィルム層、ガスバリア層、シーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層などの各材料を積層させることにより構成されている。
延伸ポリエステルフィルムを主たる構成成分とするフィルムのガスバリア性を改善するため、高いガスバリア性を要求される用途ではガスバリア材料を積層あるいはガスバリア層を形成させて用いられるのが一般的である。
これらのガスバリア層を形成するガスバリア性材料としてはポリ塩化ビニリデン(PVDC)コートおよびフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH樹脂)フィルム、メタキシリレンアジパミドフィルム、アルミナ(Al)やシリカ(Si)などを蒸着した無機蒸着フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)コート、組成物中のアミン窒素含有率を高くしたエポキシコート(特公平7−91367号および特公平7−91368号)などが知られており、その特性に応じて内容物の種類や用途別に使い分けられている。しかし、これらのガスバリア性材料の各種可撓性ポリマーフィルムへの接着性は必ずしも良好なものではないことから、ガスバリア層にシーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層を積層する際などには、ガスバリア層に接着剤を塗布してシーラント層を接着させるドライラミネート法や、必要に応じてガスバリア層にアンカーコート剤を塗布し、その上にシーラント層となる溶融したポリマー層を圧着してフィルム状に積層させる押出しラミネート法などが用いられている。これらの方法で使用する接着剤には、接着性能が高い点から、水酸基等の活性水素基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型ポリウレタン系接着剤が主に使用されている(例えば、特開平9−316422)。すなわち、従来の包装材料用ガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア層とシーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層との接着を補うために、ガスバリア層とシーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層との間に、接着剤層やアンカーコート層などの接着の役割を担う層を別途設ける必要があり、経済性や製造工程での作業性などの面で不利を被るものであった。また、二液型ポリウレタン系接着剤によりラミネートを行う場合には、十分な接着性を確保するために張り合わせ後にエージングによる後硬化を行う必要があるが、一般にポリウレタン系接着剤の硬化反応はそれほど速いものではないことから、そのエージング時間は1日〜5日間と非常に長いものであった。さらに、硬化後に未反応のイソシアネート基が残存した場合には、特に食品包装材料用途においては安全衛生面上好ましくなく、またこの残存イソシアネート基は大気中の水分と反応して二酸化炭素を発生することから積層フィルム内に気泡が発生する等の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、延伸ポリエステルフィルムの上記問題点を解決し、ガスバリア性、透明性、耐レトルト処理性、ヒートシール性などの諸性能に加えて、高い剛性を有し、いわゆるコシの有る、内容物の保存を目的とした食品や医薬品などの包装材料に使用されるガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ある特定のエポキシ樹脂より形成される硬化物をガスバリア層として用いることにより酸素などのガスバリア性、層間接着性、および透明性、耐レトルト処理性、剛性などの諸性能に優れた延伸ポリエステル積層フィルムが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、[1]延伸ポリエステルフィルム層とガスバリア層とが直接あるいは印刷層を介して積層されている積層フィルム単位を少なくとも1単位含むガスバリア性積層フィルムであって、▲1▼該ガスバリア層がエポキシ樹脂をエポキシ樹脂硬化剤により硬化させたフィルム層であり、▲2▼該ガスバリア層の温度23℃、相対湿度60%条件下における酸素透過係数が0.2 cc−mm/m・day・atm以下であり、且つ▲3▼該積層フィルムの23℃、湿度50%における引張り弾性率が800MPa以上であることを特徴とするガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム、および[2]延伸ポリエステルフィルム層とガスバリア層とが直接あるいは印刷層を介して積層されている積層フィルム単位を少なくとも1単位含むガスバリア性積層フィルムであって、▲1▼該ガスバリア層がエポキシ樹脂をエポキシ樹脂硬化剤により硬化させたフィルム層であり、▲2▼該ガスバリア層中の(1)式に示される骨格構造の含有量が30重量%以上であり、▲3▼該積層フィルムの温度23℃、相対湿度60%条件下における酸素透過率が20 cc/m・day・atm以下であり、且つ▲4▼該積層フィルムの23℃、湿度50%における引張り弾性率が800MPa以上であることを特徴とするガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルムに関する。
【化2】
Figure 2004025614
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア層以外に可撓性ポリマーフィルム層として、基材となる延伸ポリエステルフィルム層、包装材料を形成する際にヒートシール部位となるシーラント層などから成る。これらのフィルム層はその役割に応じて強度や融点などの要求性能値が異なるため、以下にそれぞれについて詳細に説明する。
【0008】
基材の延伸ポリエステルフィルムに使用されるポリエステル樹脂として、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレンナフタレートなどを主たる繰り返し単位とする熱可塑性樹脂ポリエステル樹脂及びそれらの共重合樹脂などが挙げられる。共重合酸成分として、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が使用できる。
また、共重合ポリオール成分として、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用できる。
【0009】
前記延伸ポリエステルフィルムは二軸延伸されているとより好ましい。二軸延伸フィルムは、公知の製法を用いて製造することができる。たとえば、溶融押出しにより原反を得た後、逐次二軸延伸法又は同時二軸延伸法を用いて、縦(MD)及び横(TD)方向に、両方向共に2.5〜4.0倍延伸した後、熱処理することによって製造することができる。その厚さとしては10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的である。
【0010】
本発明の積層フィルムにおいて、少なくとも1層の延伸ポリエステルフィルム層を含むことにより、スタンディングパウチ用フィルム等に要求される高い剛性が達成される。本発明において、剛性は温度23℃、湿度50%RHにおける引張り弾性率の測定により評価され、積層フィルムとしての測定値が800MPa以上であることが必要である。
また、本発明の積層フィルムを構成するその他の可撓性ポリマーフィルム層としてはその役割に応じて適切なものが使用できるが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、6−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル系樹脂等、各種の樹脂のフィルムなどが挙げられる。これらのフィルム材料の厚さとしては2〜200μm程度、好ましくは5〜100μm程度が実用的であり、一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0011】
前記延伸ポリエステルフィルム層あるいは可撓性ポリマーフィルム層の表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のないガスバリア層が形成されるように火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されることが望ましい。このような処理は基材となるフィルム層に対するガスバリア層の良好な接着を促進する。また、前記延伸ポリエステルフィルム層あるいは可撓性ポリマーフィルム層の表面に適切な表面処理がなされた後で、必要に応じて印刷層を設けることもできる。印刷層を設ける際には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系などの顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの溶剤等から形成される従来のポリマーフィルムへの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
【0012】
シーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層は特に制限はないが、ヒートシール性を考慮した場合は、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムがより好ましい。
これらのフィルムの厚さは、10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。このような処理はシーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層に対するガスバリア層の良好な接着を促進する。
【0013】
本発明におけるガスバリア層は、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤により形成される。
このガスバリア層の温度23℃、相対湿度60%条件下における酸素透過係数(P)は0.2 cc−mm/m・day・atm以下である。
1/R = 1/R(n=1,2,..) + DFT/P
ここで、R = 積層フィルムの酸素透過率(cc/m・day・atm)
Rn(n=1,2,..) = 各基材フィルムの酸素透過率(cc/m・day・atm)
DFT= ガスバリア層の厚み(mm)
P  = ガスバリア層の酸素透過係数(cc−mm/m・day・atm)
また、本発明のガスバリア性積層フィルムの温度23℃、相対湿度60%条件下における酸素透過率は20 cc/m・day・atm以下である。
【0014】
本発明において、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤より形成されるガスバリア層中に上記(1)式に示される骨格構造が30重量%以上含有されることが好ましく、より好ましくは45重量%以上、更に好ましくは50重量%以上である。上記(1)の骨格構造が高いレベルで含有されることにより、該ガスバリア層に高いガスバリア性が発現する。
以下に、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤について詳細に説明する。
【0015】
本発明におけるエポキシ樹脂は、飽和または不飽和の脂肪族化合物や脂環式化合物、芳香族化合物、あるいは複素環式化合物のいずれであってよいが、高いガスバリア性の発現を考慮した場合には芳香環を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、上記(1)の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂がより好ましい。
【0016】
具体的にはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位および/またはグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂などが使用できるが、中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0017】
更に、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂やメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することがより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することが特に好ましい。
【0018】
また、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
【0019】
本発明におけるエポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類とエピハロヒドリンの反応により得られる。例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンにエピクロルヒドリンを付加させることで得られる。
ここで、前記グリシジルアミン部位は、キシリレンジアミン中のジアミンの4つの水素原子と置換できる、モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位を含む。モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位の各比率はメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの反応比率を変えることで変更することができる。例えば、メタキシリレンジアミンに約4倍モルのエピクロルヒドリンを付加反応させることにより、主としてテトラグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂が得られる。
【0020】
前記エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対し過剰のエピハロヒドリンを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、20〜140℃、好ましくはアルコール類、フェノール類の場合は50〜120℃、アミン類の場合は20〜70℃の温度条件で反応させ、生成するアルカリハロゲン化物を分離することにより合成される。
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましいい。
【0021】
本発明におけるエポキシ樹脂硬化剤は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよく、ポリアミン類、フェノール類、酸無水物またはカルボン酸類などの一般に使用され得るエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。
具体的には、ポリアミン類としてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソフォロンジアミン、ノルボルデンジアミンなどの脂環式アミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族アミンが挙げられる。
また、これらのポリアミン類を原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との変性反応物、エピクロルヒドリンとの付加反応物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などが使用できる。
【0022】
フェノール類としてはカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの多置換基モノマー、およびレゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。
また、酸無水物またはカルボン酸類としてはドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物などの脂肪族酸無水物、(メチル)テトラヒドロ無水フタル酸、(メチル)ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物、およびこれらのカルボン酸などが使用できる。
【0023】
高いガスバリア性の発現を考慮した場合には、芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤が好ましく、上記(1)の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤がより好ましい。
具体的にはメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン、およびこれらを原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との変性反応物、エピクロルヒドリンとの付加反応物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などを使用することがより好ましい。
【0024】
高いガスバリア性および各種材料との良好な接着性を考慮した場合には、エポキシ樹脂硬化剤として、下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物を用いることが特に好ましい。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
【0025】
前記(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などのカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体が好ましい。
また、前記(C)の炭素数1〜8の一価のカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸などが挙げられ、また、それらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物なども使用することができる。これらは上記多官能性化合物と併用してポリアミン(メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン)と反応させてもよい。
【0026】
また、本発明において、エポキシ樹脂硬化剤を合成する反応における反応比は、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比が0.3〜0.95の範囲が好ましい。0.3より少ない比率では、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基が生成せず、高いレベルのガスバリア性が発現しない。また、0.95より高い範囲ではエポキシ樹脂と反応するアミノ基の量が少なくなり、硬化物の性能が低下するとともに、さらに高粘度となるため作業性も低下する。
反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、エポキシ樹脂硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高いガスバリア性および可撓性ポリマーフィルムへの良好な接着強度が得られる。さらに、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂硬化剤を適切な割合で混合して使用することもできる。
【0027】
本発明においてガスバリア層を形成するエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂硬化物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比が0.5〜5.0、好ましくは0.8〜3.0の範囲である。
【0028】
また、本発明におけるエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を混合してもよい。
【0029】
本発明におけるガスバリア層は、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を塗膜形成成分とする塗布液を調整し、該塗布液を基材となる可撓性ポリマーフィルム等の表面に塗布後、必要により乾燥あるいは熱処理することにより形成される。塗布液の調整の際には、そのエポキシ樹脂硬化物を得るのに十分なエポキシ樹脂組成物の濃度で実施されるが、これは開始材料の選択により変化し得る。すなわち、エポキシ樹脂組成物の濃度は選択した材料の種類およびモル比などにより、溶媒を用いない場合から、ある種の適切な有機溶媒および/または水を用いて約5重量%程度の組成物濃度にする場合までの様々な状態をとり得る。
適切な有機溶媒としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール類、N, N−ジメチルホルムアミド、N, N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの非水溶性系溶媒などが挙げられるが、メタノール、酢酸エチルなどの比較的低沸点の溶媒がより好ましい。
【0030】
塗布液を基材となる可撓性ポリマーフィルムに塗布する場合においては、基材の表面の湿潤を助けるために、本発明の塗布液の中に、シリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良い。適切な湿潤剤としては、ビックケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK348、BYK381などがある。これらを添加する場合には、硬化反応物(ガスバリア層)の全重量を基準として0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0031】
また、本発明のガスバリア性積層フィルムのガスバリア性、耐衝撃性などの諸性能を向上させるために、エポキシ樹脂組成物の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加しても良い。フィルムの透明性を考慮した場合には、このような無機フィラーが平板状であることが好ましい。これらを添加する場合には、硬化反応物の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
【0032】
また、前記エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
【0033】
また、前記エポキシ樹脂組成物には各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、接着剤組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0034】
さらに、本発明で形成されるガスバリア層のプラスチックフィルム材料に対する接着性を向上させるために、前記エポキシ樹脂組成物の中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、接着剤組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0035】
本発明の塗布液を基材となる可撓性ポリマーフィルム等に塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布やスプレー塗布、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。この中でもロール塗布またはスプレー塗布が好ましい。例えば、硬化性塗料成分を塗布するための一般的なロールコートあるいはスプレー技術および設備が適用され得る。
【0036】
塗布液を基材となる可撓性ポリマーフィルム等に塗布、乾燥・熱処理した後のガスバリア層の厚さは0.1〜100μm、好ましくは0.5〜10μmが実用的である。0.1μm未満では十分なガスバリア性が発揮し難く、一方100μmを超えるとその膜厚にムラが生じる。
【0037】
本発明のガスバリア性積層フィルムは、該積層フィルムを構成する延伸ポリエステルフィルムとガスバリア層が直接または印刷層を介して接することを特徴としている。すなわち、基材となる延伸ポリエステルフィルムまたは印刷層を積層した基材となる延伸ポリエステルフィルムの表面に、接着剤層やアンカーコート層を介することなくガスバリア層が設けられ、さらにガスバリア層の表面に、接着剤層やアンカーコート層を介することなく新たな可撓性ポリマーフィルムが積層される。また、必要に応じてアルミなどの金属層や、酸素吸収層、紙(カートン層)などをさらに積層させることもできる。接着剤やアンカーコート層を介することなく、可撓性ポリマーフィルムとガスバリア層の間に良好な接着強度が発現するのは、ガスバリア層を形成するエポキシ樹脂硬化物中に存在する多くの官能基が可撓性ポリマーフィルムの表面と強く相互作用するためである。また、本発明のガスバリア層を形成するエポキシ樹脂硬化物は、靭性、耐湿熱性に優れることから、耐衝撃性、耐レトルト処理性などに優れたガスバリア性積層フィルムが得られる。
【0038】
延伸ポリエステルフィルム層やシーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層をはじめとする可撓性ポリマーフィルム層をガスバリア層の表面に積層する場合においては、ドライラミネート、押出しラミネート等公知のラミネート法を用いることが可能である。すなわち、ドライラミネート法の場合には、基材となる可撓性ポリマーフィルムにガスバリア層となるエポキシ樹脂組成物を塗膜形成成分とする塗布液を塗布後、溶剤を乾燥させ直ちにその表面に新たな可撓性ポリマーフィルムを貼り合わせることにより積層フィルムを得ることができる。この場合、ラミネート後に必要に応じて室温〜140℃で5秒〜2日程度の後硬化をすることが望ましい。
【0039】
また、押出しラミネート法の場合には、基材となる可撓性ポリマーフィルムにガスバリア層となるエポキシ樹脂組成物を塗膜形成成分とする塗布液を塗布後、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行ないガスバリア層を形成させた後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることができる。これらの工程およびその他のラミネート法は必要に応じて組み合わせることも可能であり、用途や形態に応じて積層フィルムの層構成は変化し得る。
【0040】
【実施例】
以下に本発明の実施例を紹介するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0041】
<エポキシ樹脂硬化剤A>
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.67molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で180℃まで昇温した。100℃まで冷却し、固形分濃度が70重量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤Aを得た。
【0042】
<エポキシ樹脂硬化剤B>
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.50molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で180℃まで昇温した。100℃まで冷却し、エポキシ樹脂硬化剤Bを得た。
【0043】
<エポキシ樹脂硬化剤C>
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下120℃に昇温し、0.50molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下し、120℃で0.5時間攪拌した。さらに0.17molのリンゴ酸を少量ずつ添加し、0.5時間攪拌した。生成する水およびメタノールを留去しながら3時間で180℃まで昇温した。100℃まで冷却し、固形分濃度が70重量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤Cを得た。
【0044】
<エポキシ樹脂硬化剤D>
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.90molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で160℃まで昇温した。100℃まで冷却し、固形分濃度が70重量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤Dを得た。
【0045】
<エポキシ樹脂硬化剤E>
反応容器に1molのテトラエチレンペンタミンを仕込んだ。窒素気流下100℃に昇温し、0.4molのビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製;エピコート828)を1時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌した。固形分濃度が40重量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤Eを得た。
【0046】
また、ガスバリア性、引張り弾性率等の評価方法は以下の通りである。
<酸素透過率 (cc/m・day・atm)>
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN10/50A)を使用して、積層フィルムの酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定した。
<酸素フィルムの引張り弾性率>
ASTM D882−01に準して測定した。
【0047】
実施例1
メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製; TETRAD−X)を50重量部およびエポキシ樹脂硬化剤Aを90重量部含むメタノール/酢酸エチル=1/1溶液(固形分濃度;30重量%)を作製し、そこにアクリル系湿潤剤(ビック・ケミー社製;BYK381)を0.02重量部加え、よく攪拌し、塗布液を得た。この塗布液を厚み12μmの延伸PETフィルム(東レ(株) ルミラー)にバーコーターNo.3を使用して塗布し(塗布量:3 g/m(固形分))、80℃で30秒乾燥させた後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡(株)製;リックス)をニップロールにより貼り合わせ、35℃で1日間エージングすることにより積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについてそのガスバリア性、引っ張り弾性率を評価した。結果を表1に示す。尚、ガスバリア層の酸素透過係数は、0.020cc−mm/m・day・atmであった。
【0048】
実施例2
エポキシ樹脂硬化剤Aの代わりにエポキシ樹脂硬化剤Bを66重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。尚、ガスバリア層の酸素透過係数は、0.028cc−mm/m・day・atmであった。
【0049】
実施例3
エポキシ樹脂硬化剤Aの代わりにエポキシ樹脂硬化剤Cを100重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。尚、ガスバリア層の酸素透過係数は、0.015cc−mm/m・day・atmであった。
【0050】
実施例4
エポキシ樹脂硬化剤Aの代わりにエポキシ樹脂硬化剤Dを200重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。尚、ガスバリア層の酸素透過係数は、0.025cc−mm/m・day・atmであった。
【0051】
実施例5
エポキシ樹脂硬化剤Aの代わりにメタキシリレンジアミンとメタクリル酸メチルのモル比が約2:1のメタキシリレンジアミンとメタクリル酸メチルとの反応生成物であるエポキシ樹脂硬化剤(三菱ガス化学(株)製;ガスカミン340)を70重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。尚、ガスバリア層の酸素透過係数は、0.040cc−mm/m・day・atmであった。
【0052】
実施例6
厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの代わりに、厚み15μmの延伸ナイロン−6フィルムを用いた以外は実施例4と同様の方法で作製したラミネートフィルムのナイロンフィルムの表面に、実施例4で調整した塗布液をさらに塗布し(塗布量:3 g/m(固形分))、85℃で10秒乾燥させた後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをニップロールにより貼り合わせ、40℃で1日間エージングすることにより延伸PET/ガスバリア層/延伸ナイロン−6/ガスバリア層/直鎖状低密度ポリエチレンフィルムからなる積層フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0053】
比較例1
ポリウレタン系接着剤塗布液として、ポリエーテル成分(東洋モートン(株)製;TM−329)を50重量部、ポリイソシアネート成分(東洋モートン(株)製;CAT−8B)を50重量部含む酢酸エチル溶液(固形分濃度;30重量%)を作製し、実施例1の塗布液の代わりに用いた以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0054】
比較例2
メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂の代わりにビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製;エピコート828)を50重量部、エポキシ樹脂硬化剤Aの代わりにエポキシ樹脂硬化剤Eを27重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0055】
比較例3
延伸ポリエステルフィルムの代わりに厚さ15μmの延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製;エンブレムON)を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 2004025614
【0057】
【発明の効果】
本発明のガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルムは、該積層フィルムを構成する延伸ポリエステルフィルムとガスバリア層が直接または印刷層を介して接していることから、各層を積層する際に接着剤層やアンカーコート層を別途設ける必要がなく、経済性や製造工程での作業性などの面で有利となる。また、該積層フィルムはガスバリア性、透明性、耐レトルト処理性、ヒートシール性などの諸性能に優れるのみならず、延伸ポリエステルフィルム層を必須とするため剛性が高く、コシの有るフィルムが得られ、非ハロゲン系ガスバリア材料として様々な用途に応用される。

Claims (8)

  1. 延伸ポリエステルフィルム層とガスバリア層とが直接あるいは印刷層を介して積層されている積層フィルム単位を少なくとも1単位含むガスバリア性積層フィルムであって、▲1▼該ガスバリア層がエポキシ樹脂をエポキシ樹脂硬化剤により硬化させたフィルム層であり、▲2▼該ガスバリア層の温度23℃、相対湿度60%条件下における酸素透過係数が0.2 cc−mm/m・day・atm以下であり、且つ▲3▼該積層フィルムの23℃、湿度50%における引張り弾性率が800MPa以上であることを特徴とするガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム。
  2. 延伸ポリエステルフィルム層とガスバリア層とが直接あるいは印刷層を介して積層されている積層フィルム単位を少なくとも1単位含むガスバリア性積層フィルムであって、▲1▼該ガスバリア層がエポキシ樹脂をエポキシ樹脂硬化剤により硬化させたフィルム層であり、▲2▼該ガスバリア層中の(1)式に示される骨格構造の含有量が30重量%以上であり、▲3▼該積層フィルムの温度23℃、相対湿度60%条件下における酸素透過率が20 cc/m・day・atm以下であり、且つ▲4▼該積層フィルムの23℃、湿度50%における引張り弾性率が800MPa以上であることを特徴とするガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム。
    Figure 2004025614
  3. 前記エポキシ樹脂硬化剤が下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物である請求項1または2に記載のガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム。
    (A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
    (B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
    (C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
  4. 前記エポキシ樹脂硬化剤がメタキシリレンジアミンと、アクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体との反応生成物である請求項1または2に記載のガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム。
  5. 前記エポキシ樹脂がメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位および/またはグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム。
  6. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、および/またはビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム。
  7. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム。
  8. 少なくとも1層のガスバリア層の、少なくとも一方の面がシーラント層に接している請求項項1〜7のいずれかに記載のガスバリア性延伸ポリエステル積層フィルム。
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JP2008222761A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Mitsubishi Gas Chem Co Inc アミン系揮発物質の透過防止方法
JP2010264711A (ja) * 2009-05-18 2010-11-25 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc ガスバリアコートフィルム及びその製造方法

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