JP2004025165A - Co2分解装置、その操業方法及び廃棄物焼却炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】排ガス中のCO2を分解する際に生成する酸化金属粉を排ガス処理系統の系外に出さずに処理して再使用可能な廃棄物焼却炉とその効率的な操業方法を提供する。
【解決手段】廃棄物焼却炉は、排ガス処理系統に金属粉を還元剤とする循環流動床型CO2分解装置8を有し、この循環流動床型CO2分解装置8は、流動床炉11とサイクロン12と、金属酸化物還元装置14を有している。そして、流動床炉11において、金属粉とCO2を反応させて、Cと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロン12において排ガスから分離する。分離された酸化金属粉は、金属酸化物還元装置14中において、水素で金属粉に還元され、流動床炉11に戻されて循環使用される。
【選択図】 図2
【解決手段】廃棄物焼却炉は、排ガス処理系統に金属粉を還元剤とする循環流動床型CO2分解装置8を有し、この循環流動床型CO2分解装置8は、流動床炉11とサイクロン12と、金属酸化物還元装置14を有している。そして、流動床炉11において、金属粉とCO2を反応させて、Cと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロン12において排ガスから分離する。分離された酸化金属粉は、金属酸化物還元装置14中において、水素で金属粉に還元され、流動床炉11に戻されて循環使用される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物焼却炉等の工業炉から排出される排ガス中に含まれるCO2を分解する装置とその操業方法及び廃棄物焼却炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3に従来の廃棄物焼却炉の概要図を示す。廃棄物焼却炉本体1は、主燃焼室2と2次燃焼室3からなっている。主燃焼室2は例えばストーカ式又は流動床式の焼却炉であり、ストーカ又は流動床上にそう入された廃棄物は、ストーカ又は流動床の下部から吹き込まれる酸素含有気体により燃焼し、燃焼ガスと焼却灰が発生する。このうち焼却灰は主燃焼室2の下部から排出される。
【0003】
主燃焼室2から排出される排ガスには多量の未燃分が含まれているので、この排ガスを2次燃焼室3に導き、酸素含有気体を吹き込んで未燃分を燃焼させる。未燃分が燃焼して高温となった排ガスは、廃熱ボイラ4に導かれ、蒸気を発生して熱回収が行われ、自身は冷却されて、排ガス処理設備5に導かれる。排ガス処理設備5においては、脱硫、脱硝処理により有害ガスが除去されると共に、除塵装置によりダストが除去される。清浄化された排ガスは誘引ファン6により誘引され、煙突7から大気に放散される。
【0004】
このような廃棄物焼却炉、その他加熱炉等の工業炉等から排出される排ガス中には、多量のCO2が含まれている。すなわち、これらの設備における燃料は主として炭化水素からなっており、燃焼排ガス中にはその燃焼生成物であるCO2とH2Oが含まれる。このうち、H2Oは冷却することにより液体とすることができ、排水処理設備を通して放流できるが、CO2については、大気放散されている。しかるに、地球温暖化対策の必要性が高まるにつれ、CO2の排出が規制される動向にあり、何らかの対策が必要とされるようになってきている。
【0005】
このような問題に対処する1方法として、廃棄物焼却設備、工業炉等から排出されるCO2を分解する装置が、特開2002−5581号公報(特許文献1)に記載されている。ここでは、廃棄物焼却炉からCO2反応器に導かれた排ガス中のCO2は、灰溶融炉からメタル成分として回収された鉄と反応して分解され、Cと酸化鉄が生成する。酸化鉄は灰溶融炉に投入され、還元されて鉄として取り出され、再びCO2反応器中に投入される。
【0006】
【特許文献1】特開2002−5581号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されたCO2分解装置では鉄が酸化されて生成した酸化鉄を再使用するために、灰溶融炉に投入し還元して鉄としている。ところが、灰溶融炉は必ずしも廃棄物焼却設備に付属しているとは限らず、灰溶融炉を設けていない廃棄物焼却炉や他の工業炉には適用できないため、酸化鉄の処理が別に必要となるという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、排ガス中のCO2を分解する際に生成する酸化金属粉を排ガス処理系統の系外に出さずに処理して再使用可能とするCO2分解装置とその操業方法及び廃棄物焼却炉を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、排ガス中のCO2を金属粉を還元剤として分解する循環流動床型のCO2分解装置であって、流動床炉とサイクロンと、金属酸化物還元装置を有しており、流動床炉において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離し、分離された酸化金属粉を金属酸化物還元装置において水素により金属粉に還元して流動床炉に戻して循環使用するものであることを特徴とするもの(請求項1)である。
【0010】
本手段においては、排ガス中のCO2を金属粉を還元剤として分解する循環流動床型CO2分解装置において、流動床炉中において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離する。そして、分離された酸化金属粉をキルン還元炉等の金属酸化物還元装置中で水素により金属粉に還元して、再び流動床炉にもどして循環使用する。よって、大気放散される排ガス中に含まれるCO2を削減できる。また、CO2分解装置として循環流動床型のものを使用しているので、還元剤としての金属粉を循環使用することができ、還元剤を系外で処理する必要がなくなる。
【0011】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記流動床炉入口での排ガス中のO2濃度を調節するための空気量調節装置と排ガス再循環装置のうち少なくとも一方が配設されたことを特徴とするもの(請求項2)である。
【0012】
本手段においては、空気量調節装置により廃棄物焼却炉に吹き込まれる燃焼用空気量を調節して、廃棄物焼却炉から排出され、CO2分解装置の流動床炉に導かれる排ガスのO2濃度を調節すること、及び排ガス再循環装置により低いO2濃度の排ガスをCO2分解装置入口より上流に導くことによりCO2分解装置入口でのO2濃度を調節することの少なくとも一方が行われるので、流動床炉入口でのO2濃度を調節することにより、金属粉とO2とが直接反応しやすい状態となることを避けることができ、効率よく、排ガス中のCO2を分解することができる。
【0013】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段または第2の手段であって、前記排ガスが廃棄物焼却炉と高炉と焼結炉と転炉およびボイラのうちいずれかの排ガスであることを特徴とするもの(請求項3)である。
本手段により、廃棄物焼却炉、高炉、焼結炉、転炉およびボイラ等から排出される排ガス中のCO2を分解して削減できるので、CO2排出量が多い大規模工業炉施設から排出されるCO2を削減でき、環境への負荷を低減できる。
【0014】
廃棄物焼却炉から排出される排ガス中のCO2を分解することができるので、廃棄物焼却炉から排出されるCO2を削減できる。またCO2分解反応は、金属粉が鉄粉である場合、500〜600℃の温度範囲で効率よく行われるので、廃棄物焼却炉からの排ガスがこの温度域になる位置にCO2分解装置を設置することにより、省エネルギー化できる。
【0015】
また、高炉から排出される高炉ガスの概略組成の一例はCO25%、H25%、CO221%、N248%であるが、O2やH2O等CO2分解反応を阻害する成分が少ないため、効率的に高炉ガス中のCO2を削減できる。さらに、CO2を削減できるので、高炉ガスの燃料としてのカロリー向上ができる。
【0016】
また、製鉄用焼結炉から排出される焼結炉排ガスの概略組成の一例はCO1%、CO215%、O25%、H2O14%、N265%であるが、本手段により焼結炉から排出されるCO2を削減できる。
【0017】
また、転炉から排出される転炉ガスの概略組成の一例はCO68%、H22%、CO213%、N217%であるが、O2やH2O等CO2分解反応を阻害する成分が少ないため、効率的に転炉から排出されるCO2を削減できる。その上にCO2を削減できるので、転炉ガスの燃料としてのカロリー向上ができる。
【0018】
また、火力発電用ボイラのうち、石炭焚ボイラから排出される排ガスの概略組成の一例はCO214%、O23%、H2O13%、N270%であるが、本手段によりボイラから排出されるCO2を削減できる。さらに、ボイラ排ガスの温度は500〜600℃程度であるので、金属粉が鉄粉である場合のCO2分解反応に適した500〜600℃の温度範囲にすることが容易に行えるので、効率的にボイラ排ガス中のCO2を分解して削減できる。
【0019】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第2の手段であるCO2分解装置の操業方法であって、前記流動床炉入口での排ガス中のO2濃度を4%以下に調節することを特徴とするもの(請求項4)である。
【0020】
CO2分解装置の流動床炉入口での排ガス中のO2濃度が4%を超えると、金属粉とO2とが、反応し易い状態が臨界的に発生して、その結果CO2の分解効率が低下する。よって、本手段においては、CO2分解装置入口での排ガス中のO2濃度を4%以下に調節することにより、CO2の分解効率を高く維持したまま操業を行うことができる。
【0021】
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第1の手段から第3の手段のうちいずれかであるCO2分解装置の操業方法であって、前記流動床炉内の温度を200〜600℃の範囲とすることを特徴とするもの(請求項5)である。
【0022】
金属粉として鉄粉を用いる場合、以下の反応によりCO2が還元される。
2CO2+3Fe→2C+Fe3O
3CO2+4Fe→3C+2Fe2O3
Fe3O4生成反応においても、Fe2O3生成反応においても、温度が600℃より高くなると、FeとCO2からCが生成する反応に対するGibbsのフリーエネルギーが正の値となるため、CO2からCへの分解が起こらなくなる。また、温度が600℃より高いと、FeとH2Oとの反応性の方がFeとCO2との反応性より高くなって、CO2の反応効率が低下する。
【0023】
本手段においては、流動床炉内の温度が600℃より低いので、H2Oが存在する雰囲気でも、CO2の分解効率を高めることができる。また、流動床炉内の温度が200℃より低くなると、反応速度が低下するので、本手段においては、流動床炉内の温度を200℃以上に限定している。
【0024】
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第1の手段から第3の手段のうちいずれかであるCO2分解装置の操業方法であって、前記金属粉が鉄粉であることを特徴とするもの(請求項6)である。
【0025】
CO2と反応して酸化金属粉となり、CO2を還元する金属粉としては、鉄粉、アルミニウム粉、マグネシウム粉等が使用できる。鉄粉はCO2と、以下のように反応してCO2を還元し、酸化鉄粉が生成する。
3CO2+4Fe→3C+2Fe2O3
2CO2+3Fe→2C+Fe3O4
鉄粉は容易に入手することができ、比較的低温(600℃以下)でCO2と反応する。よって、反応温度を高くする必要が無く、エネルギーコストが低くて済むばかりでなく、反応装置に特殊な耐火物を用いる必要が無いので設備コストが低くて済み、また反応装置の寿命を長くすることができる。また、鉄粉はアルミニウム粉等に比べて酸化物の還元が容易であり、金属酸化物還元装置の設備コストや運転コストを低くすることができる。さらに、比重が重く磁性を有するので、炭素と酸化物を分離する場合に風力選別や磁力選別を有効に利用できる。
【0026】
前記課題を解決するための第7の手段は、前記第1の手段から第3の手段のうちいずれかであるCO2分解装置の操業方法であって、前記金属粉又はその出発物質として製鋼ダストと砂鉄及び鉄鉱石のうちいずれかが使用されていることを特徴とするもの(請求項7)である。
【0027】
製鋼ダストは製鉄過程で発生するダストであって、例えば、製鉄所内の転炉や電気炉の製鋼工程で発生・捕集したダスト、高炉から発生・捕集した高炉ダスト、高炉排ガス中の高炉灰をセパレーターで除去した後の集塵ダストなど、製鋼過程で二次的に発生する副生物をリサイクル使用するものである。製鋼ダストは、その成分の大部分が鉄であるので、有効な金属粒子として用いることができる。また製鉄所内で副産物として発生するダストという極めて安価な材料であるので、CO2分解装置の運転コストを低くできる。
【0028】
砂鉄の主成分はマグネタイトであるので、これを還元して鉄として用いることにより、安価な金属粒子として使用できる。
【0029】
鉄鉱石の主成分は酸化鉄であるので、これを還元して鉄として用いることにより、安価な金属粒子として使用できる。また鉄分の他に、Ca,K,Al,Mg等の金属が含まれる。よって、これらの成分もCO2の分解に使用することができる。
【0030】
前記課題を解決するための第8の手段は、前記第1の手段から第3の手段のうちいずれかであるCO2分解装置の操業方法であって、前記金属粉が廃棄物焼却炉灰を灰溶融炉で溶融させたときに発生する溶融鉄を粉体にしたものであることを特徴とするもの(請求項8)である。
【0031】
焼却炉で発生した焼却灰は、電気抵抗式灰溶融炉等の灰溶融炉において処理され、容積が縮小されると共に、鉄や銅を主成分とする金属とSiO2やAl2O3を主成分とするスラグに分離されてそれぞれが有効利用される。このとき、金属として溶融鉄が発生するが、本手段においては、この溶融鉄を粉体化したものを金属粉として使用する。よって、廃棄物焼却設備系内で発生した副生物である溶融鉄を有効利用することができる。
【0032】
前記課題を解決するための第9の手段は、排ガス処理系統に金属粉を還元剤としてCO2を分解する循環流動床型のCO2分解装置を有することを特徴とする廃棄物焼却炉(請求項9)である。
【0033】
前記課題を解決するための第10の手段は、前記第9の手段であって、前記CO2分解装置は流動床炉とサイクロンと、金属酸化物還元装置を有しており、流動床炉において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離し、分離された酸化金属粉を金属酸化物還元装置において水素により金属粉に還元して流動床炉に戻して循環使用するものであることを特徴とするもの(請求項10)である。
本手段においては、排ガス処理系統に設けられた排ガス中のCO2を金属粉を還元剤として分解する循環流動床型CO2分解装置において、流動床炉中において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離する。そして、分離された酸化金属粉をキルン還元炉等の金属酸化物還元装置中で水素により金属粉に還元して、再び流動床炉にもどして循環使用する。よって、廃棄物焼却炉から排出される排ガス中に含まれるCO2を削減できる。また、CO2分解装置として循環流動床型のものを使用しているので、還元剤としての金属粉を循環使用することができ、還元剤を系外で処理する必要がなくなる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施例である廃棄物焼却炉の概要図である。廃棄物焼却炉本体1は、主燃焼室2と 2次燃焼室3からなっている。廃棄物焼却炉本体1は例えばストーカ式又は流動 床式の焼却炉であり、ストーカ又は流動床上にそう入された廃棄物は、ストーカ 又は流動床の下部から吹き込まれる酸素含有気体により燃焼し、排ガスと焼却灰 が発生する。このうち焼却灰は主燃焼室2の下部から排出される。
【0035】
主燃焼室2から排出される排ガスには多量の未燃分が含まれているので、この排ガスを2次燃焼室3に導き、酸素含有気体を吹き込んで未燃分を燃焼させる。未燃分が燃焼して高温となった排ガスは、循環流動床型CO2分解装置8に導かれ、ここで鉄粉と反応して酸化鉄とCが生成される。
【0036】
循環流動床型CO2分解装置8を出た排ガスは、廃熱ボイラ4に導かれ、蒸気を発生して熱回収が行われ、自身は冷却されて、排ガス処理設備5に導かれる。排ガス処理設備5においては、脱硫、脱硝処理により有害ガスが除去される共に、除塵装置によりダストが除去される。清浄化された排ガスは誘引ファン6により誘引され、煙突7から大気に放散される。
【0037】
CO2分解反応は、金属粉が鉄粉の場合200〜600℃の温度で反応が進行し、特に550〜600℃の温度で効率よく行われるので、排ガス温度がこの温度域になる位置に循環流動床型CO2分解装置8を設置するのが好ましい。よって、場合によっては、廃熱ボイラを2つに分け、その中間に循環流動床型CO2分解装置を設置するようにしてもよい。
【0038】
図2に、循環流動床型CO2分解装置の例の概要を示す。この循環流動床型CO2分解装置8は、流動床炉11、サイクロン12、炭素・酸化鉄分離装置13、酸化鉄還元装置14を主たる構成要素として構成される。
【0039】
廃棄物焼却炉からの処理前排ガスは、流動床炉11の分散板15を通って流動床炉11内に導かれる。流動床炉11の分散板15の上には、鉄粉が入れられており、分散板15を通して流入する排ガスにより巻き上げられて、流動床を形成している。そして、排ガスが巻き上げられた鉄粉と接触して、以下の反応により、排ガス中のCO2が還元されてCとなる。
3CO2+4Fe→3C+2Fe2O3
2CO2+3Fe→2C+Fe3O4
これらの反応は550〜600℃で起こりやすいので、処理前排ガスがこの程度の温度になる位置に循環流動床型CO2分解装置8を設置することが好ましい。
【0040】
使用する鉄粉の粒径は、循環のし易さ(細かいほど循環し易い)、価格(細かいほど高価)、反応のし易さ(細かいほど反応しやすい)等を考慮すると、20〜50μm程度であることが好ましい。なお、粒径の大きい鉄粉を使用した場合でも、反応を繰り返す過程で鉄粉が微細化していくため、粒径の大きい鉄粉を使用することもできる。
【0041】
反応により生成されたCと酸化鉄(通常、Cは、酸化鉄の表層部に析出したり付着した状態となっている)は、処理後排ガスと共にサイクロン12内に導かれ、サイクロン12内でCと酸化鉄が処理後排ガスから分離される。ただし、粒径が1μm程度以下の微粒子状のCは、排ガス中に含まれたままとなる。処理後排ガスは、サイクロン中の上昇管を通って排出され、前述のように廃熱ボイラに導かれる。
【0042】
分離されたCと酸化鉄は、サイクロン12の下側に落下し、炭素・酸化鉄分離装置13に入って、炭素と酸化鉄が分離される。炭素・酸化鉄分離装置13としては、例えば磁気を利用したもの、密度の差を利用したもの等が利用できる。分離されたCは、系外に搬出される。なお、炭素・酸化鉄分離装置内に水を散布すると、水の急激な蒸発に伴う圧力波の発生や、熱伝導率の違いにより、炭素と酸化鉄の分離が促進される。
【0043】
分離された酸化鉄は、酸化鉄還元装置14に導入される。酸化鉄還元装置14は、例えばロータリーキルンからなり、ヒータ14aにより加熱されている。望ましい加熱温度は約300℃以上である。加熱温度が300℃を下回ると、急激に酸化鉄の還元反応の速度が低下する。加熱温度は高いほど反応速度が速くなるが、その温度を維持するために外部から熱を供給する必要があると共に、耐火物の劣化等の問題も生じるため、加熱温度の上限は、1000℃程度とすることが好ましい。そして、酸化鉄還元装置14内には、水素発生装置(図示せず)から発生した水素が導入され、酸化鉄を還元して鉄の状態にする。
【0044】
なお、ヒータ14aの代替として、酸化鉄還元装置14内にO2を添加し、導入された水素の一部を部分燃焼することにより加熱を行ってもよいし、焼却炉本体1の高温で加熱を行うようにしてもよい。 還元された鉄は、再び流動床炉11内に戻され、燃焼排ガス中のCO2の還元に使用される。
【0045】
分散板15の孔を通して落下した少量の鉄粉(通常、酸化が進行して重くなるか、又はある程度の大きさに固まったものが選択的に回収される)は、定期的にバルブ16を解放することにより取り出される。このように、循環使用される鉄粉は、分散板15の下に落下したり、サイクロン12から排ガスと共に持ち去られたりして、少しずつ減少する。そこで、流動床炉11に、外部から鉄粉を補充してやる必要がある。この補充用鉄粉としては、廃棄物焼却炉から排出された焼却灰を溶融する灰溶融炉から回収される鉄を粉にしたものを使用すると、廃棄物焼却設備の系内で鉄の再利用ができるので好ましい。
【0046】
また、鉄粉として製鋼ダストを用いると、安価であるので、運転コストを低減できる。製鋼ダストの一例として転炉の製鋼工程で捕集したダストについて説明する。ここで、前記転炉の製鋼工程とは、溶銑に酸素を吹き込み銑中のカーボンを酸化除去して溶鋼にする工程である。この工程では、溶銑や溶鋼の一部が細かなミストとして大気中に放散される。このミストとして放散された溶銑又は溶鋼は大気中で急冷され固化するが、このとき表面張力の影響で、固化したダストの形状は略球形となる。ダストの粒子形状が略球形となることで流動性が高まり、循環流動床型CO2分解装置でのCO2分解性が向上する効果を有する。
【0047】
廃棄物焼却炉1の主燃焼室2及び2次燃焼室3のうち、少なくとも一方に吹き込む燃焼用空気量を空気量調節装置により調節することで、廃棄物の燃焼によって発生する排ガス中のO2濃度を調節することや、排ガス再循環装置により、低いO2濃度の排ガスをCO2分解装置の流動床炉入口より上流に導くことにより、CO2分解装置の流動床炉入口での、処理前排ガス中のO2濃度を4%以下に調節する。
【0048】
処理前排ガス中のO2濃度を4%以下に調節することにより、金属粉とO2とが直接反応することを避けることができるので、効率よく排ガス中のCO2を分解することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、排ガス中のCO2を分解する際に生成する酸化金属粉を排ガス処理系統の系外に出さずに処理して再使用可能とするCO2分解装置とその効率的な操業方法及び廃棄物焼却炉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である廃棄物焼却炉の概要図である。
【図2】循環流動床型CO2分解装置の例の概要を示す図である。
【図3】従来の廃棄物焼却炉の概要図である。
【符号の説明】
1:廃棄物焼却炉本体、2:主燃焼室、3:2次燃焼室、4:廃熱ボイラ、5:排ガス処理設備、6:誘引ファン、7:煙突、8:循環流動床型CO2分解装置、11:流動床炉、12:サイクロン、13:炭素・酸化鉄分離装置、14:酸化鉄還元装置、14a:ヒータ、15:分散板、16:バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物焼却炉等の工業炉から排出される排ガス中に含まれるCO2を分解する装置とその操業方法及び廃棄物焼却炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3に従来の廃棄物焼却炉の概要図を示す。廃棄物焼却炉本体1は、主燃焼室2と2次燃焼室3からなっている。主燃焼室2は例えばストーカ式又は流動床式の焼却炉であり、ストーカ又は流動床上にそう入された廃棄物は、ストーカ又は流動床の下部から吹き込まれる酸素含有気体により燃焼し、燃焼ガスと焼却灰が発生する。このうち焼却灰は主燃焼室2の下部から排出される。
【0003】
主燃焼室2から排出される排ガスには多量の未燃分が含まれているので、この排ガスを2次燃焼室3に導き、酸素含有気体を吹き込んで未燃分を燃焼させる。未燃分が燃焼して高温となった排ガスは、廃熱ボイラ4に導かれ、蒸気を発生して熱回収が行われ、自身は冷却されて、排ガス処理設備5に導かれる。排ガス処理設備5においては、脱硫、脱硝処理により有害ガスが除去されると共に、除塵装置によりダストが除去される。清浄化された排ガスは誘引ファン6により誘引され、煙突7から大気に放散される。
【0004】
このような廃棄物焼却炉、その他加熱炉等の工業炉等から排出される排ガス中には、多量のCO2が含まれている。すなわち、これらの設備における燃料は主として炭化水素からなっており、燃焼排ガス中にはその燃焼生成物であるCO2とH2Oが含まれる。このうち、H2Oは冷却することにより液体とすることができ、排水処理設備を通して放流できるが、CO2については、大気放散されている。しかるに、地球温暖化対策の必要性が高まるにつれ、CO2の排出が規制される動向にあり、何らかの対策が必要とされるようになってきている。
【0005】
このような問題に対処する1方法として、廃棄物焼却設備、工業炉等から排出されるCO2を分解する装置が、特開2002−5581号公報(特許文献1)に記載されている。ここでは、廃棄物焼却炉からCO2反応器に導かれた排ガス中のCO2は、灰溶融炉からメタル成分として回収された鉄と反応して分解され、Cと酸化鉄が生成する。酸化鉄は灰溶融炉に投入され、還元されて鉄として取り出され、再びCO2反応器中に投入される。
【0006】
【特許文献1】特開2002−5581号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されたCO2分解装置では鉄が酸化されて生成した酸化鉄を再使用するために、灰溶融炉に投入し還元して鉄としている。ところが、灰溶融炉は必ずしも廃棄物焼却設備に付属しているとは限らず、灰溶融炉を設けていない廃棄物焼却炉や他の工業炉には適用できないため、酸化鉄の処理が別に必要となるという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、排ガス中のCO2を分解する際に生成する酸化金属粉を排ガス処理系統の系外に出さずに処理して再使用可能とするCO2分解装置とその操業方法及び廃棄物焼却炉を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、排ガス中のCO2を金属粉を還元剤として分解する循環流動床型のCO2分解装置であって、流動床炉とサイクロンと、金属酸化物還元装置を有しており、流動床炉において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離し、分離された酸化金属粉を金属酸化物還元装置において水素により金属粉に還元して流動床炉に戻して循環使用するものであることを特徴とするもの(請求項1)である。
【0010】
本手段においては、排ガス中のCO2を金属粉を還元剤として分解する循環流動床型CO2分解装置において、流動床炉中において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離する。そして、分離された酸化金属粉をキルン還元炉等の金属酸化物還元装置中で水素により金属粉に還元して、再び流動床炉にもどして循環使用する。よって、大気放散される排ガス中に含まれるCO2を削減できる。また、CO2分解装置として循環流動床型のものを使用しているので、還元剤としての金属粉を循環使用することができ、還元剤を系外で処理する必要がなくなる。
【0011】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記流動床炉入口での排ガス中のO2濃度を調節するための空気量調節装置と排ガス再循環装置のうち少なくとも一方が配設されたことを特徴とするもの(請求項2)である。
【0012】
本手段においては、空気量調節装置により廃棄物焼却炉に吹き込まれる燃焼用空気量を調節して、廃棄物焼却炉から排出され、CO2分解装置の流動床炉に導かれる排ガスのO2濃度を調節すること、及び排ガス再循環装置により低いO2濃度の排ガスをCO2分解装置入口より上流に導くことによりCO2分解装置入口でのO2濃度を調節することの少なくとも一方が行われるので、流動床炉入口でのO2濃度を調節することにより、金属粉とO2とが直接反応しやすい状態となることを避けることができ、効率よく、排ガス中のCO2を分解することができる。
【0013】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段または第2の手段であって、前記排ガスが廃棄物焼却炉と高炉と焼結炉と転炉およびボイラのうちいずれかの排ガスであることを特徴とするもの(請求項3)である。
本手段により、廃棄物焼却炉、高炉、焼結炉、転炉およびボイラ等から排出される排ガス中のCO2を分解して削減できるので、CO2排出量が多い大規模工業炉施設から排出されるCO2を削減でき、環境への負荷を低減できる。
【0014】
廃棄物焼却炉から排出される排ガス中のCO2を分解することができるので、廃棄物焼却炉から排出されるCO2を削減できる。またCO2分解反応は、金属粉が鉄粉である場合、500〜600℃の温度範囲で効率よく行われるので、廃棄物焼却炉からの排ガスがこの温度域になる位置にCO2分解装置を設置することにより、省エネルギー化できる。
【0015】
また、高炉から排出される高炉ガスの概略組成の一例はCO25%、H25%、CO221%、N248%であるが、O2やH2O等CO2分解反応を阻害する成分が少ないため、効率的に高炉ガス中のCO2を削減できる。さらに、CO2を削減できるので、高炉ガスの燃料としてのカロリー向上ができる。
【0016】
また、製鉄用焼結炉から排出される焼結炉排ガスの概略組成の一例はCO1%、CO215%、O25%、H2O14%、N265%であるが、本手段により焼結炉から排出されるCO2を削減できる。
【0017】
また、転炉から排出される転炉ガスの概略組成の一例はCO68%、H22%、CO213%、N217%であるが、O2やH2O等CO2分解反応を阻害する成分が少ないため、効率的に転炉から排出されるCO2を削減できる。その上にCO2を削減できるので、転炉ガスの燃料としてのカロリー向上ができる。
【0018】
また、火力発電用ボイラのうち、石炭焚ボイラから排出される排ガスの概略組成の一例はCO214%、O23%、H2O13%、N270%であるが、本手段によりボイラから排出されるCO2を削減できる。さらに、ボイラ排ガスの温度は500〜600℃程度であるので、金属粉が鉄粉である場合のCO2分解反応に適した500〜600℃の温度範囲にすることが容易に行えるので、効率的にボイラ排ガス中のCO2を分解して削減できる。
【0019】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第2の手段であるCO2分解装置の操業方法であって、前記流動床炉入口での排ガス中のO2濃度を4%以下に調節することを特徴とするもの(請求項4)である。
【0020】
CO2分解装置の流動床炉入口での排ガス中のO2濃度が4%を超えると、金属粉とO2とが、反応し易い状態が臨界的に発生して、その結果CO2の分解効率が低下する。よって、本手段においては、CO2分解装置入口での排ガス中のO2濃度を4%以下に調節することにより、CO2の分解効率を高く維持したまま操業を行うことができる。
【0021】
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第1の手段から第3の手段のうちいずれかであるCO2分解装置の操業方法であって、前記流動床炉内の温度を200〜600℃の範囲とすることを特徴とするもの(請求項5)である。
【0022】
金属粉として鉄粉を用いる場合、以下の反応によりCO2が還元される。
2CO2+3Fe→2C+Fe3O
3CO2+4Fe→3C+2Fe2O3
Fe3O4生成反応においても、Fe2O3生成反応においても、温度が600℃より高くなると、FeとCO2からCが生成する反応に対するGibbsのフリーエネルギーが正の値となるため、CO2からCへの分解が起こらなくなる。また、温度が600℃より高いと、FeとH2Oとの反応性の方がFeとCO2との反応性より高くなって、CO2の反応効率が低下する。
【0023】
本手段においては、流動床炉内の温度が600℃より低いので、H2Oが存在する雰囲気でも、CO2の分解効率を高めることができる。また、流動床炉内の温度が200℃より低くなると、反応速度が低下するので、本手段においては、流動床炉内の温度を200℃以上に限定している。
【0024】
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第1の手段から第3の手段のうちいずれかであるCO2分解装置の操業方法であって、前記金属粉が鉄粉であることを特徴とするもの(請求項6)である。
【0025】
CO2と反応して酸化金属粉となり、CO2を還元する金属粉としては、鉄粉、アルミニウム粉、マグネシウム粉等が使用できる。鉄粉はCO2と、以下のように反応してCO2を還元し、酸化鉄粉が生成する。
3CO2+4Fe→3C+2Fe2O3
2CO2+3Fe→2C+Fe3O4
鉄粉は容易に入手することができ、比較的低温(600℃以下)でCO2と反応する。よって、反応温度を高くする必要が無く、エネルギーコストが低くて済むばかりでなく、反応装置に特殊な耐火物を用いる必要が無いので設備コストが低くて済み、また反応装置の寿命を長くすることができる。また、鉄粉はアルミニウム粉等に比べて酸化物の還元が容易であり、金属酸化物還元装置の設備コストや運転コストを低くすることができる。さらに、比重が重く磁性を有するので、炭素と酸化物を分離する場合に風力選別や磁力選別を有効に利用できる。
【0026】
前記課題を解決するための第7の手段は、前記第1の手段から第3の手段のうちいずれかであるCO2分解装置の操業方法であって、前記金属粉又はその出発物質として製鋼ダストと砂鉄及び鉄鉱石のうちいずれかが使用されていることを特徴とするもの(請求項7)である。
【0027】
製鋼ダストは製鉄過程で発生するダストであって、例えば、製鉄所内の転炉や電気炉の製鋼工程で発生・捕集したダスト、高炉から発生・捕集した高炉ダスト、高炉排ガス中の高炉灰をセパレーターで除去した後の集塵ダストなど、製鋼過程で二次的に発生する副生物をリサイクル使用するものである。製鋼ダストは、その成分の大部分が鉄であるので、有効な金属粒子として用いることができる。また製鉄所内で副産物として発生するダストという極めて安価な材料であるので、CO2分解装置の運転コストを低くできる。
【0028】
砂鉄の主成分はマグネタイトであるので、これを還元して鉄として用いることにより、安価な金属粒子として使用できる。
【0029】
鉄鉱石の主成分は酸化鉄であるので、これを還元して鉄として用いることにより、安価な金属粒子として使用できる。また鉄分の他に、Ca,K,Al,Mg等の金属が含まれる。よって、これらの成分もCO2の分解に使用することができる。
【0030】
前記課題を解決するための第8の手段は、前記第1の手段から第3の手段のうちいずれかであるCO2分解装置の操業方法であって、前記金属粉が廃棄物焼却炉灰を灰溶融炉で溶融させたときに発生する溶融鉄を粉体にしたものであることを特徴とするもの(請求項8)である。
【0031】
焼却炉で発生した焼却灰は、電気抵抗式灰溶融炉等の灰溶融炉において処理され、容積が縮小されると共に、鉄や銅を主成分とする金属とSiO2やAl2O3を主成分とするスラグに分離されてそれぞれが有効利用される。このとき、金属として溶融鉄が発生するが、本手段においては、この溶融鉄を粉体化したものを金属粉として使用する。よって、廃棄物焼却設備系内で発生した副生物である溶融鉄を有効利用することができる。
【0032】
前記課題を解決するための第9の手段は、排ガス処理系統に金属粉を還元剤としてCO2を分解する循環流動床型のCO2分解装置を有することを特徴とする廃棄物焼却炉(請求項9)である。
【0033】
前記課題を解決するための第10の手段は、前記第9の手段であって、前記CO2分解装置は流動床炉とサイクロンと、金属酸化物還元装置を有しており、流動床炉において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離し、分離された酸化金属粉を金属酸化物還元装置において水素により金属粉に還元して流動床炉に戻して循環使用するものであることを特徴とするもの(請求項10)である。
本手段においては、排ガス処理系統に設けられた排ガス中のCO2を金属粉を還元剤として分解する循環流動床型CO2分解装置において、流動床炉中において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離する。そして、分離された酸化金属粉をキルン還元炉等の金属酸化物還元装置中で水素により金属粉に還元して、再び流動床炉にもどして循環使用する。よって、廃棄物焼却炉から排出される排ガス中に含まれるCO2を削減できる。また、CO2分解装置として循環流動床型のものを使用しているので、還元剤としての金属粉を循環使用することができ、還元剤を系外で処理する必要がなくなる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施例である廃棄物焼却炉の概要図である。廃棄物焼却炉本体1は、主燃焼室2と 2次燃焼室3からなっている。廃棄物焼却炉本体1は例えばストーカ式又は流動 床式の焼却炉であり、ストーカ又は流動床上にそう入された廃棄物は、ストーカ 又は流動床の下部から吹き込まれる酸素含有気体により燃焼し、排ガスと焼却灰 が発生する。このうち焼却灰は主燃焼室2の下部から排出される。
【0035】
主燃焼室2から排出される排ガスには多量の未燃分が含まれているので、この排ガスを2次燃焼室3に導き、酸素含有気体を吹き込んで未燃分を燃焼させる。未燃分が燃焼して高温となった排ガスは、循環流動床型CO2分解装置8に導かれ、ここで鉄粉と反応して酸化鉄とCが生成される。
【0036】
循環流動床型CO2分解装置8を出た排ガスは、廃熱ボイラ4に導かれ、蒸気を発生して熱回収が行われ、自身は冷却されて、排ガス処理設備5に導かれる。排ガス処理設備5においては、脱硫、脱硝処理により有害ガスが除去される共に、除塵装置によりダストが除去される。清浄化された排ガスは誘引ファン6により誘引され、煙突7から大気に放散される。
【0037】
CO2分解反応は、金属粉が鉄粉の場合200〜600℃の温度で反応が進行し、特に550〜600℃の温度で効率よく行われるので、排ガス温度がこの温度域になる位置に循環流動床型CO2分解装置8を設置するのが好ましい。よって、場合によっては、廃熱ボイラを2つに分け、その中間に循環流動床型CO2分解装置を設置するようにしてもよい。
【0038】
図2に、循環流動床型CO2分解装置の例の概要を示す。この循環流動床型CO2分解装置8は、流動床炉11、サイクロン12、炭素・酸化鉄分離装置13、酸化鉄還元装置14を主たる構成要素として構成される。
【0039】
廃棄物焼却炉からの処理前排ガスは、流動床炉11の分散板15を通って流動床炉11内に導かれる。流動床炉11の分散板15の上には、鉄粉が入れられており、分散板15を通して流入する排ガスにより巻き上げられて、流動床を形成している。そして、排ガスが巻き上げられた鉄粉と接触して、以下の反応により、排ガス中のCO2が還元されてCとなる。
3CO2+4Fe→3C+2Fe2O3
2CO2+3Fe→2C+Fe3O4
これらの反応は550〜600℃で起こりやすいので、処理前排ガスがこの程度の温度になる位置に循環流動床型CO2分解装置8を設置することが好ましい。
【0040】
使用する鉄粉の粒径は、循環のし易さ(細かいほど循環し易い)、価格(細かいほど高価)、反応のし易さ(細かいほど反応しやすい)等を考慮すると、20〜50μm程度であることが好ましい。なお、粒径の大きい鉄粉を使用した場合でも、反応を繰り返す過程で鉄粉が微細化していくため、粒径の大きい鉄粉を使用することもできる。
【0041】
反応により生成されたCと酸化鉄(通常、Cは、酸化鉄の表層部に析出したり付着した状態となっている)は、処理後排ガスと共にサイクロン12内に導かれ、サイクロン12内でCと酸化鉄が処理後排ガスから分離される。ただし、粒径が1μm程度以下の微粒子状のCは、排ガス中に含まれたままとなる。処理後排ガスは、サイクロン中の上昇管を通って排出され、前述のように廃熱ボイラに導かれる。
【0042】
分離されたCと酸化鉄は、サイクロン12の下側に落下し、炭素・酸化鉄分離装置13に入って、炭素と酸化鉄が分離される。炭素・酸化鉄分離装置13としては、例えば磁気を利用したもの、密度の差を利用したもの等が利用できる。分離されたCは、系外に搬出される。なお、炭素・酸化鉄分離装置内に水を散布すると、水の急激な蒸発に伴う圧力波の発生や、熱伝導率の違いにより、炭素と酸化鉄の分離が促進される。
【0043】
分離された酸化鉄は、酸化鉄還元装置14に導入される。酸化鉄還元装置14は、例えばロータリーキルンからなり、ヒータ14aにより加熱されている。望ましい加熱温度は約300℃以上である。加熱温度が300℃を下回ると、急激に酸化鉄の還元反応の速度が低下する。加熱温度は高いほど反応速度が速くなるが、その温度を維持するために外部から熱を供給する必要があると共に、耐火物の劣化等の問題も生じるため、加熱温度の上限は、1000℃程度とすることが好ましい。そして、酸化鉄還元装置14内には、水素発生装置(図示せず)から発生した水素が導入され、酸化鉄を還元して鉄の状態にする。
【0044】
なお、ヒータ14aの代替として、酸化鉄還元装置14内にO2を添加し、導入された水素の一部を部分燃焼することにより加熱を行ってもよいし、焼却炉本体1の高温で加熱を行うようにしてもよい。 還元された鉄は、再び流動床炉11内に戻され、燃焼排ガス中のCO2の還元に使用される。
【0045】
分散板15の孔を通して落下した少量の鉄粉(通常、酸化が進行して重くなるか、又はある程度の大きさに固まったものが選択的に回収される)は、定期的にバルブ16を解放することにより取り出される。このように、循環使用される鉄粉は、分散板15の下に落下したり、サイクロン12から排ガスと共に持ち去られたりして、少しずつ減少する。そこで、流動床炉11に、外部から鉄粉を補充してやる必要がある。この補充用鉄粉としては、廃棄物焼却炉から排出された焼却灰を溶融する灰溶融炉から回収される鉄を粉にしたものを使用すると、廃棄物焼却設備の系内で鉄の再利用ができるので好ましい。
【0046】
また、鉄粉として製鋼ダストを用いると、安価であるので、運転コストを低減できる。製鋼ダストの一例として転炉の製鋼工程で捕集したダストについて説明する。ここで、前記転炉の製鋼工程とは、溶銑に酸素を吹き込み銑中のカーボンを酸化除去して溶鋼にする工程である。この工程では、溶銑や溶鋼の一部が細かなミストとして大気中に放散される。このミストとして放散された溶銑又は溶鋼は大気中で急冷され固化するが、このとき表面張力の影響で、固化したダストの形状は略球形となる。ダストの粒子形状が略球形となることで流動性が高まり、循環流動床型CO2分解装置でのCO2分解性が向上する効果を有する。
【0047】
廃棄物焼却炉1の主燃焼室2及び2次燃焼室3のうち、少なくとも一方に吹き込む燃焼用空気量を空気量調節装置により調節することで、廃棄物の燃焼によって発生する排ガス中のO2濃度を調節することや、排ガス再循環装置により、低いO2濃度の排ガスをCO2分解装置の流動床炉入口より上流に導くことにより、CO2分解装置の流動床炉入口での、処理前排ガス中のO2濃度を4%以下に調節する。
【0048】
処理前排ガス中のO2濃度を4%以下に調節することにより、金属粉とO2とが直接反応することを避けることができるので、効率よく排ガス中のCO2を分解することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、排ガス中のCO2を分解する際に生成する酸化金属粉を排ガス処理系統の系外に出さずに処理して再使用可能とするCO2分解装置とその効率的な操業方法及び廃棄物焼却炉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である廃棄物焼却炉の概要図である。
【図2】循環流動床型CO2分解装置の例の概要を示す図である。
【図3】従来の廃棄物焼却炉の概要図である。
【符号の説明】
1:廃棄物焼却炉本体、2:主燃焼室、3:2次燃焼室、4:廃熱ボイラ、5:排ガス処理設備、6:誘引ファン、7:煙突、8:循環流動床型CO2分解装置、11:流動床炉、12:サイクロン、13:炭素・酸化鉄分離装置、14:酸化鉄還元装置、14a:ヒータ、15:分散板、16:バルブ
Claims (10)
- 排ガス中のCO2を金属粉を還元剤として分解する循環流動床型のCO2分解装置であって、流動床炉とサイクロンと、金属酸化物還元装置を有しており、流動床炉において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離し、分離された酸化金属粉を金属酸化物還元装置において水素により金属粉に還元して流動床炉に戻して循環使用するものであることを特徴とするCO2分解装置。
- 請求項1に記載のCO2分解装置であって、前記流動床炉入口での排ガス中のO2濃度を調節するための空気量調節装置と排ガス再循環装置のうち少なくとも一方が配設されたことを特徴とするCO2分解装置。
- 請求項1又は請求項2に記載のCO2分解装置であって、前記排ガスが廃棄物焼却炉と高炉と焼結炉と転炉およびボイラのうちいずれかの排ガスであることを特徴とするCO2分解装置。
- 請求項2に記載のCO2分解装置の操業方法であって、前記流動床炉入口での排ガス中のO2濃度を4%以下に調節することを特徴とするCO2分解装置の操業方法。
- 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のCO2分解装置の操業方法であって、前記流動床炉内の温度を200〜600℃の範囲とすることを特徴とするCO2分解装置の操業方法。
- 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のCO2分解装置の操業方法であって、前記金属粉が鉄粉であることを特徴とするCO2分解装置の操業方法。
- 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のCO2分解装置の操業方法であって、前記金属粉又はその出発物質として製鋼ダストと砂鉄及び鉄鉱石のうちいずれかが使用されていることを特徴とするCO2分解装置の操業方法。
- 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のCO2分解装置の操業方法であって、前記金属粉が廃棄物焼却灰を灰溶融炉で溶融させたときに発生する溶融鉄を粉体にしたものであることを特徴とするCO2分解装置の操業方法。
- 排ガス処理系統に金属粉を還元剤としてCO2を分解する循環流動床型のCO2分解装置を有することを特徴とする廃棄物焼却炉。
- 請求項9に記載の廃棄物焼却炉であって、前記CO2分解装置は流動床炉とサイクロンと、金属酸化物還元装置を有しており、流動床炉において金属粉とCO2とを反応させてCと酸化金属粉を生成し、生成した酸化金属粉をサイクロンにおいて排ガスから分離し、分離された酸化金属粉を金属酸化物還元装置において水素により金属粉に還元して流動床炉に戻して循環使用するものであることを特徴とする廃棄物焼却炉。
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JP2003045373A JP2004025165A (ja) | 2002-05-09 | 2003-02-24 | Co2分解装置、その操業方法及び廃棄物焼却炉 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102716635A (zh) * | 2012-06-12 | 2012-10-10 | 清华大学 | 一种同时脱除烟气中重金属和细颗粒物的方法及系统 |
-
2003
- 2003-02-24 JP JP2003045373A patent/JP2004025165A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102716635A (zh) * | 2012-06-12 | 2012-10-10 | 清华大学 | 一种同时脱除烟气中重金属和细颗粒物的方法及系统 |
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