JP2004023980A - アーク低減方法及びアーク低減装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アーク低減装置Fは、電気回路のバッテリBから電気負荷29への電流供給状態をオンオフ切り換えするFET13と、バッテリBから電気負荷29に流れる電流の電流値を検出する検出部15を備えている。また、アーク低減装置Fは検出部15による検出電流値がアーク発生時の電流値条件とされる所定条件を満たした場合に電流供給状態がオフ状態となるようにFET13を切り換え駆動する判断部31を備えている。そして、判断部31は検出部15による検出電流値が所定のアーク判定用閾値未満となった場合にFET13をオフ方向へ切り換え駆動する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両用電気回路等の電気回路においてアークが発生した場合に、当該アークによる電気回路への悪影響を低減するためのアーク低減方法及びアーク低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、車両、例えば自動車では、各種電装品の増加にともない、その車両用電気回路の電源として、従来の14V電源の代わりに42V電源が用いられる傾向にある。そして、当該42V電源(バッテリ)から電気負荷となる車両各部の各種電装品(例えば、ヘッドランプや電動パワーウインド装置など)には、多数のハーネス(被覆電線)が電気回路を構成するようにコネクタ等を介して接続配線されている。また、その電気回路内には、前記各種電装品を制御するために、メカニカルリレー、スイッチなどが接続されている。また、前記電気回路にはブレード型ヒューズに代表される保護ヒューズが介装されており、その電気回路に連続的な大電流が流れた際には、当該ヒューズが溶断することで強制的に電流遮断を行い、その回路保護を図り得る構成とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記電気回路を構成すべく電源と各電気負荷との間に配線されたハーネスは車両の振動時等に当該ハーネスの絶縁被覆が車両本体等に擦れて剥げることがあり、そのような被覆剥離部分が車両本体に接触した場合には、所謂、レアショートを起こしてしまうことがあった。そして、このようなレアショート状態で前記ハーネスの被覆剥離部分が車両本体から離れた場合には、アークが発生することになる。そのように発生したアークは、通常、数ms〜数十msの長時間に亘りアーク電流が流れ続け、自然消弧することなく継続する(その一例を図3(a)に破線で示す)。また、このようなアークは、前記電気回路内に接続されているメカニカルリレーやスイッチなどによる回路開放時、及びコネクタ離脱時にも、それぞれの端子接点間で発生する。
【0004】
特に、電源として42V電源が採用された回路では14V電源が採用された回路に比べて電源電圧が高いことから、発生するアークによる熱(アーク熱)の影響が飛躍的に大きくなる。そのため、かかるアーク熱によりレアショート発生部分での絶縁被覆の発煙、発火、メカニカルリレー等のスイッチ類の接点溶損、不良、コネクタの端子破損を生じる虞があった。なお、その対応として、従来から、42V電源が採用された電気回路のメカニカルリレー、スイッチ、コネクタにはアーク対策が実施されているが、その対策のために、部品の大型化、コストアップになるという問題を生じていた。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電気回路内にアークが発生した場合に当該アークを瞬時に消弧でき、電気回路へのアークによる悪影響を極小化できるアーク低減方法及びアーク低減装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、電気回路の電源から電気負荷へ流れる電流の電流値を検出し、その検出電流値がアーク発生時の電流値条件とされる所定条件を満たした場合に前記電気回路を強制的に遮断してアークを強制的に消弧することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記所定条件として、検出電流値が所定のアーク判定用閾値未満となった場合に、前記電気回路を強制的に遮断することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記検出電流値は所定のサンプリング間隔で検出され、前記アーク判定用閾値は、前回サンプリング時の検出電流値に所定割合をかけた値に設定されていることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記サンプリング間隔は前記電気回路にアークが発生した場合における当該アークの消弧に必要とされる時間よりも短い間隔に設定されていることを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の発明において、前記電気回路を強制的に遮断した後、アークの消弧に必要とされる時間が経過後に、前記電源から電気負荷への電流供給状態がオン状態となるように前記電気回路の強制的遮断状態を解除することを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明では、請求項4又は請求項5に記載の発明において、前記電気回路が強制的に遮断されることになるオフ時間は、アークが確実に消弧しかつ前記電気負荷の挙動に影響を与えない微少時間に設定されることを要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の発明では、電気回路の電源から電気負荷への電流供給状態をオンオフ切り換えするスイッチ手段と、前記電源から電気負荷に流れる電流の電流値を検出する検出手段と、前記検出手段による検出電流値がアーク発生時の電流値条件とされる所定条件を満たした場合に前記電流供給状態がオフ状態となるように前記スイッチ手段を切り換え駆動する制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発明において、前記制御手段は、前記検出手段による検出電流値が所定のアーク判定用閾値未満となった場合に前記スイッチ手段をオフ方向へ切り換え駆動することを要旨とする。
【0014】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発明において、前記検出手段は所定のサンプリング間隔で電流値検出を行う構成とされ、前記アーク判定用閾値は、前記検出手段による前回サンプリング時の検出電流値に所定割合をかけた値に設定されていることを要旨とする。
【0015】
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の発明において、前記検出手段によるサンプリング間隔は前記電気回路にアークが発生した場合における当該アークの消弧に必要とされる時間よりも短い間隔に設定されていることを要旨とする。
【0016】
請求項11に記載の発明では、請求項7〜請求項10のうち何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記電流供給状態がオフ状態となるように前記スイッチ手段を切り換え駆動した後、アークの消弧に必要とされる時間が経過後に、前記電流供給状態がオン状態となるように前記スイッチ手段を切り換え駆動することを要旨とする。
【0017】
請求項12に記載の発明では、請求項10又は請求項11に記載の発明において、前記電気回路が強制的に遮断されることになるオフ時間は、アークが確実に消弧しかつ前記電気負荷の挙動に影響を与えない微少時間に設定されることを要旨とする。
【0018】
そのため、請求項1〜請求項12に記載の発明では、検出電流値がアーク発生時の電流値条件とされる所定条件を満たすと、電気回路が強制的に遮断され、アークが強制的に消弧される。従って、電気回路内にアークが発生した場合には、当該アークが瞬時に消弧される結果、電気回路へのアークによる悪影響が極小化される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を自動車用電気回路におけるアーク低減装置及びアーク低減方法に具体化した一実施の形態を図1〜図3を参照して説明する。
【0020】
図1(a)に示すように、本実施形態に係るアーク低減装置Fは、導電板11、入力端子12、スイッチ手段としてのFET(パワーMOSFET)13、中継電極14、検出部15、出力端子16、IC17、信号入力端子18等を備えている。そして、アーク低減装置Fは、これら導電板11〜信号入力端子18等がエポキシ樹脂等のモールド材19にてモールドパッケージされ、全体が扁平六方体状に形成されたIPS(Intelligent Power Switch)として構成されている。
【0021】
前記導電板11にはL字状をなす分岐片11aが突設され、分岐片11aと、同分岐片11aに対向して配置された中継電極14間にはヒューズの通電容量に応じた薄肉状の検出部15が一体に連結されている。分岐片11aには出力端子16の内端部が取付けられており、出力端子16はパッケージの一側面において、外端部が外方にL字状に突設されている。
【0022】
前記入力端子12は、パッケージの出力端子16が取付けられた側面と同じ側面において、外端部が外方にL字状に突設され、入力端子12の内端内面には前記FET13が載置固定されている。そして、入力端子12の内端部は、電源入力線12aを介して前記IC17に接続されている。FET13のソースは導電バー20を介して中継電極14に接続され、ドレインは入力端子12に接続されている。また、FET13のゲートは制御線21を介してIC17に接続されている。IC17には、中継電極14に接続された+側入力線24と、導電板11に接続された−側入力線25とが接続されている。
【0023】
また、アーク低減装置Fのアース端子27は、前記入力端子12及び出力端子16と同じパッケージの側面において、外端部が外方にL字状に突設され、内端部がリード線27aを介してIC17に接続されている。同様に、信号入力端子18は出力端子16と同じパッケージの側面において、外端部がパッケージから突出され、内端がリード線18aを介してIC17に接続されている。
【0024】
上記のように構成されたアーク低減装置Fは、自動車用の電気回路に設けられた端子台(図示しない)に装着されている。そして、入力端子12は、自動車の電源としてのバッテリBに接続され、出力端子16は、コネクタ28を介して電気負荷(以下、「負荷」ともいう。)29に接続されている。負荷29は、例えば、ヘッドランプや電動パワーウインド装置などからなる。信号入力端子18は自動車の外部スイッチ回路としての外部スイッチ30に接続されており、外部スイッチ30がオン操作されるとIC17にスイッチオン信号が入力され、外部スイッチ30がオフ操作されるとIC17にスイッチオフ信号が入力される。
【0025】
前記IC17は、制御手段としての判断部31、オペアンプ32、ドライバ回路33を備えている。オペアンプ32は、+側入力線24及び−側入力線25と接続されており、+側入力線24と−側入力線25とを介して入力された検出部15の両端電圧(電位差)の増幅値を判断部31のA/D変換入力部(図示略)に入力する。検出部15の両端電圧(電位差)は、検出部15に流れる電流値と比例関係にあるため、判断部31は検出部15の両端電圧を検出することにより、バッテリBから負荷29へ流れる電流の電流値を検出できる。本実施形態では、前記検出部15及びオペアンプ32により検出手段が構成され、所定のサンプリング間隔(一例として、0.2ms)で前記電流値を検出するようにしている。なお、本実施形態では判断部31はマイコンにより構成されている。
【0026】
前記FET13のゲートと判断部31とはドライバ回路33を介して接続されており、判断部31は、ドライバ回路33から回路制御信号をFET13のゲートに送ってFET13のオン状態とオフ状態とを切り換える。なお、判断部31は、図示しない中央処理装置、「アーク低減制御プログラム」を格納するROM、各種データを記憶させる作業用メモリ(RAM)を備えている。
【0027】
次に、上記構成のアーク低減装置Fが備える判断部31により実施されるアーク低減制御処理ルーチンを図2に示すフローチャートに従って説明する。
まず、判断部31はバッテリBから所定の電圧が供給されると、ステップS1において、前回のサンプリング時の検出電流値(前回値)Sb、今回のサンプリング時の検出電流値(今回値)Sn、強制オフ時間カウンタCNTを「0」にリセットする。また、判断部31はスイッチ入力状態ステータスLon(0:未入力状態、1:入力状態)、遮断判断ステータスFLG(0:非遮断状態、1:遮断状態)を「0」にリセットする等の初期セットを行い、ステップS2に移る。
【0028】
ステップS2では、判断部31はスイッチオン信号が入力されているか否かを判断する。外部スイッチ30がオフ状態でスイッチオン信号が入力されていなければ、判断部31はステップS3に移る。一方、外部スイッチ30がオン状態でスイッチオン信号が入力されていれば、判断部31はステップS4に移る。
【0029】
ステップS3では、判断部31はスイッチ入力状態ステータスLonの値を「0」(未入力状態)とし、FET13のゲートに回路オフ信号を出力し、FET13をオフ状態にする。そして、判断部31はサンプリング間隔である0.2ms経過後にステップS2に戻る。
【0030】
ステップS4では、判断部31は遮断判断ステータスFLGが「0」(非遮断状態)か否かを判断し、「0」であればステップS5に進み、「0」でなければ、即ち「1」(遮断状態)であればステップS9に進む。
【0031】
ステップS5では、判断部31はスイッチ入力状態ステータスLonの値を「1」(入力状態)とし、ドライバ回路33を介してFET13のゲートに回路オン信号を出力してFET13をオン状態にし、負荷29を通電させる。
【0032】
ステップS6では、判断部31は検出部15で電流値Sを検出して取り込み、その電流値Sを今回値Snに代入する。
ステップS7では、判断部31は所定条件としての「前回値Sb−今回値Sn>アーク時降下量基準値(以下、「降下量基準値」ともいう。)K」が成立するか否かを判断する。そして、条件が成立すれば判断部31はステップS8に進み、成立しなければサンプリング間隔である0.2ms経過後にステップS2に戻る。
【0033】
なお、前記基準値Kは前回値Sb×アーク時降下割合a(例えば、a=0.15)という値にしているため、条件式:前回値Sb−今回値Sn>降下量基準値Kは、条件式:前回値Sb×(1−アーク時降下割合a)>今回値Snと変形できる。よって、ステップS7の処理は、今回サンプリング時の検出電流値(今回値Sn)が、前回サンプリング時の検出電流値(前回値Sb)に所定割合(1−a)をかけた値であるアーク判定用閾値(前回値Sb×(1−a))未満となった場合にスイッチ手段(FET13)をオフ方向へ切り換え駆動することに相当する。
【0034】
ステップS8では、判断部31は遮断判断ステータスFLGの値を「1」(遮断状態)とする。また、判断部31は前回値Sbに今回値Snを入れる。
ステップS9では、判断部31は強制オフ時間カウンタCNTの値を1つインクリメントとする。
【0035】
ステップS10では、判断部31は強制オフ時間カウンタCNTの値が、強制オフ回数Cより大きいか否かを判断し、大きければステップS11に移り、大きくなければサンプリング間隔である0.2ms経過後にS2に戻る。
【0036】
ステップS11では、判断部31は強制オフ時間カウンタCNTの値及び遮断判断ステータスFLGの値を「0」(非遮断状態)とし、ドライバ回路33を介してFET13のゲートに回路オン信号を出力してFET13をオン状態にし、負荷29を通電させる。そして、判断部31はサンプリング間隔である0.2ms経過後にS2に戻る。
【0037】
ところで、本実施形態のような電気回路においてアークが発生すると、そのアーク発生後の電流値は、アーク発生前に比べて減少する。その理由は、アークが発生すると当該アーク発生部の電極空間に空気抵抗が生まれ、発生前の回路抵抗に比べ発生後の回路抵抗が増加するためである。本実施形態のアーク低減装置Fは、このようなアーク発生時における電流値の変化現象をとらえることによりアーク発生の有無を判定している。
【0038】
また、一般に、アーク発生直後は発生前に比べ著しく電流値の降下現象が見られるが、ある程度降下した後は、当該アークが消弧するまで、電流値はなだらかな波形を描くように漸減する。従って、電流検出のサンプリング間隔が長い程、電流値の降下量も大きくなることから、前記降下量基準値Kの設定は容易なものとなる。ただし、アークの影響をできる限り小さくするには、アーク発生直後に素早く回路遮断を判断して少しでも早くアークを強制消弧すべきであるから、サンプリング間隔は前記降下量基準値Kの値を小さく設定する必要があっても短くすることが望まれる。例えば、42V電源の回路では実験的に、アーク発生0.1ms後の電流値は、アーク発生前の電流値の70%〜85%程度に落ち、0.2ms後では60%〜75%程度に落ちることが確認されている。このため、例えばサンプリング間隔が0.2msの場合、遮断判断のための降下量基準値Kは余裕をみて前回値Sb×0.15(アーク時降下割合a)程度が適当となる。
【0039】
また、アーク発生と判定した時には回路オフ信号にて半導体リレー(FET13)により、一定のオフ時間としての強制オフ時間Tの間、強制的に回路を遮断する。この強制オフ時間Tは負荷動作に影響の見られない微少時間でなくてはならないが、その一方で発生したアークを充分消弧する時間でなくてはならない。例えば、強制オフ時間Tに対応する回路遮断時に充分アークが消弧する時間を1〜2msと仮定すると、例えばサンプリング間隔0.2msの場合、その強制オフ回数は5〜10回となる。
【0040】
そこで次に、本実施形態の電気回路にレアショート発生に伴いアークが発生した場合におけるアーク低減装置Fの作用を図3(a)、(b)のグラフを参照しながら説明する。なお、このグラフに示す例では、サンプリング間隔を0.2ms、強制オフ時間を1.8ms、強制オフ回数を8回としている。
【0041】
図3(a)、(b)に示すように、外部スイッチ30がオン状態でバッテリBから所定の電圧が供給された状態では、時刻t=0ms以降、判断部31はステップS1を経てステップS2に移り、サンプリング間隔0.2ms毎にステップS2及びステップS4〜S7の処理を繰り返している。なお、この状態で負荷29には定常電流(ここでは5A)が流れている。
【0042】
そして、車両の振動時等に、電源と負荷29との間に配線されたハーネスの絶縁被覆が車両本体等に擦れて剥げ、その被覆剥離部分が車両本体に接触した場合には、レアショートが起こる。図3(a)では、時刻t1でレアショートが発生して電流値Sが急上昇し、過電流(ここでは22.5A)になっている。そして、そのレアショート状態から時刻t2でハーネスの被覆剥離部分が車両本体から離れると、その時刻t2でアークが発生する。
【0043】
すると、時刻t2直後に電流値Sは急降下し、0.2ms経過後の時刻t3では前回値Sb−今回値Sn>降下量基準値Kが成立し、ステップS8により時刻t3で図3(b)に示すように回路制御信号が0Vにされる。すると、回路制御信号として回路オフ信号がドライバ回路33を介して出力され、FET13がオフ状態になり、図3(a)に示すように負荷29へ流れる電流は遮断されて電流値Sが0Aになる。
【0044】
また、前記ステップS8により遮断判断ステータスFLGに「1」が入れられるため、強制オフ時間カウンタCNT>強制オフ回数Cが成立するまで、判断部31はステップS2,S4,S9,S10の処理をサンプリング間隔毎に繰り返す。なお、このような処理が繰り返し行われている間、回路制御信号は0V、負荷29を流れる電流は0Aのままである。そして、この強制オフ時間は1.8ms続き、その結果、アークは充分に消弧される。
【0045】
一方、時刻t3から強制オフ時間Tが経過して時刻t4になり、強制オフ時間カウンタCNT>強制オフ回数Cが成立すると、回路制御信号が5Vにされて回路オン信号が出力されるため、FET13が再びオン状態になり、負荷29へ流れる電流は5Aになる。
【0046】
また、アークはレアショート時に限らず、コネクタ28の離脱、あるいは電気回路内に直列に接続されたメカニカルリレー(図示略)等のスイッチ類の開放動作により発生することがある。この場合、電流値はアーク発生直後に定常電流5Aから降下し、アークが消弧されるまで漸減しながらアーク発生状態を継続する。そこで、判断部31は、前記電流値の定常電流5Aからの電流降下を検出し、前回値Sb−今回値Sn>降下量基準値Kの条件が成立した場合、アーク発生と判断する。即ち、今回値Snが5.0A×0.85=4.25Aより下になったときに判断部31はアーク発生と判断し、FET13をオフ状態にしてアークを消弧する。
【0047】
従って、この実施の形態によれば、以下のような効果を有する。
(1) IPS内センサ(検出部15)により電流挙動をモニタリングし、アーク発生判断時にはIPS内半導体リレー(FET13)にて回路を微少時間(強制オフ時間T)遮断することによりアークによる熱影響等の弊害を低減している。従って、電気回路内にアークが発生した場合に当該アークを瞬時に消弧でき、電気回路へのアークによる悪影響を極小化できる。
【0048】
(2) 上記のようにアークを低減できることにより、電気回路内に接続されているメカニカルリレー、スイッチ、コネクタ等に対してアークを低減するための特別な対策を取らなくても従来品が使え、安価な構成となる。
【0049】
(3) 上記のようにアークを低減できることにより、バッテリBを外した状態ではメンテナンスしにくい回路、言い換えれば通電状態の方がメンテナンスしやすい回路などのメンテナンス時の煩雑さを低減できる。また、レアショート時の車両火災の虞を低減できる。
【0050】
(4) 前回値Sb−今回値Sn>降下量基準値Kが成立する場合、即ち、今回値Snがアーク判定用閾値(前回値Sb×(1−アーク時降下割合a))未満となった場合にFET13をオフ状態にしている。従って、比較的簡単な回路構成によりアークの発生を判断できる。
【0051】
(5) サンプリング時毎の前回値Sbと今回値Snとの差を用いてアーク発生の有無を判断しているため、例えば電流値Sが一定の判定基準値より小さくなった場合にFET13をオフ状態にする制御等と異なり、レアショートにより電流が定常負荷電流より上昇した状態でアークが発生しても、直ちにアークを低減できる。
【0052】
(6) アーク発生の有無を判断するために用いる降下量基準値Kは、前回値Sbと今回値Snの差であり、また、アーク判定用閾値は、前回値Sbに所定の割合(1−アーク時降下割合a)を掛けたものである。従って、アーク判定用閾値及び降下量基準値Kを簡単に得ることができる。
【0053】
(7) また、前記アーク判定用閾値及び降下量基準値Kを設定するために使用されるアーク時降下割合aの値は0.15である。従って、アーク発生直後の電流値降下度合いから見て余裕を持ってアークの発生を判断できる。
【0054】
(8) 検出部15がヒューズである。従って、IC17、あるいは、FET13のうちいずれかが正常に作動しない場合、連続的に大電流が流れるデッドショート時には検出部15が溶断して回路が遮断される。
【0055】
なお、実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変更してもよい。
○ 強制オフ時間Tは1.8msに限らず、アークを確実に消弧するのに充分な時間(最低でも1.0ms)で負荷の挙動に影響を及ぼさない時間であればよく、負荷29や定常電流の大きさ等の変更により適宜変更してもよい。
【0056】
○ アーク時降下量基準値Kは、サンプリング間隔が長いほど大きくし、サンプリング間隔が短いほど小さくしてもよい。例えば、前記基準値Kをサンプリング間隔に比例して設定するようにしてもよく、例えば、サンプリング間隔を0.4msとした場合、前記基準値Kは前回値Sb×0.30となる。
【0057】
○ FET13をオフ状態に切り換える条件は前回値Sb−今回値Sn>降下量基準値Kに限らない。例えば、定常電流値より下の所定範囲を設け、判断部31は、検出される電流値Sがこの所定範囲に入った場合にFET13をオフ状態にしアークを消弧するように構成してもよい。この構成においてコネクタ28の離脱のように電流値Sが定常電流より下がった場合には、電流値Sがこの所定範囲に入り、オフに切り換えられるため、この構成でもアークを消弧できる。
【0058】
○ 検出部15はヒューズに限らず、例えばシャント抵抗器、サーミスタ、ホール素子、LSI等を利用した電流センサなど、電流値に比例して出力可能なものであればよい。
【0059】
○ スイッチ手段は、FET13に限らず、他の半導体リレー等、信号により回路の通電/遮断が可能なものであればよい。
○ IC17は判断部31、オペアンプ32、ドライバ回路33を備える構成に限らない。また、制御手段は、マイコンに限定されず、例えば、他の演算処理装置でもよい。
【0060】
○ 本発明が実施される自動車用電気回路の電源電圧は42Vに限らず、例えば14V電源回路を備える車両に適用してもよい。
○ 本発明は自動車用電気回路以外に適用してもよい。
【0061】
上記各実施の形態から把握できる発明(技術的思想)について、以下に追記する。
(1) 請求項7に記載の発明において、前記検出手段は所定のサンプリング間隔で電流値検出を行う構成とされ、前記制御手段は、前回サンプリング時の検出電流値と今回サンプリング時の検出電流値との差が所定のアーク時降下量基準値よりも大きくなった場合に前記スイッチ手段をオフ方向へ切り換え駆動する。
【0062】
(2) 請求項8に記載の発明において、前記検出手段は所定のサンプリング間隔で電流値検出を行う構成とされ、前記アーク判定用閾値は、前記サンプリング間隔に比例して設定されている。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜請求項12に記載の発明によれば、電気回路内にアークが発生した場合に当該アークを瞬時に消弧でき、電気回路へのアークによる悪影響を極小化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は一実施の形態のアーク低減装置の概略構成を示す斜視図、(b)は自動車内の電気回路図。
【図2】アーク低減制御処理ルーチンを示すフローチャート。
【図3】(a)は負荷を流れる電流のグラフ、(b)は回路制御信号のグラフ。
【符号の説明】
13…スイッチ手段としてのFET、15…検出手段を構成する検出部、29…電気負荷、32…検出手段を構成するオペアンプ、31…制御手段としての判断部、B…電源としてのバッテリ、F…アーク低減装置、T…オフ時間としての強制オフ時間。
Claims (12)
- 電気回路の電源から電気負荷へ流れる電流の電流値を検出し、その検出電流値がアーク発生時の電流値条件とされる所定条件を満たした場合に前記電気回路を強制的に遮断してアークを強制的に消弧するアーク低減方法。
- 前記所定条件として、検出電流値が所定のアーク判定用閾値未満となった場合に、前記電気回路を強制的に遮断する請求項1に記載のアーク低減方法。
- 前記検出電流値は所定のサンプリング間隔で検出され、前記アーク判定用閾値は、前回サンプリング時の検出電流値に所定割合をかけた値に設定されている請求項2に記載のアーク低減方法。
- 前記サンプリング間隔は前記電気回路にアークが発生した場合における当該アークの消弧に必要とされる時間よりも短い間隔に設定されている請求項3に記載のアーク低減方法。
- 前記電気回路を強制的に遮断した後、アークの消弧に必要とされる時間が経過後に、前記電源から電気負荷への電流供給状態がオン状態となるように前記電気回路の強制的遮断状態を解除する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のアーク低減方法。
- 前記電気回路が強制的に遮断されることになるオフ時間は、アークが確実に消弧しかつ前記電気負荷の挙動に影響を与えない微少時間に設定される請求項4又は請求項5に記載のアーク低減方法。
- 電気回路の電源から電気負荷への電流供給状態をオンオフ切り換えするスイッチ手段と、前記電源から電気負荷に流れる電流の電流値を検出する検出手段と、前記検出手段による検出電流値がアーク発生時の電流値条件とされる所定条件を満たした場合に前記電流供給状態がオフ状態となるように前記スイッチ手段を切り換え駆動する制御手段とを備えたアーク低減装置。
- 前記制御手段は、前記検出手段による検出電流値が所定のアーク判定用閾値未満となった場合に前記スイッチ手段をオフ方向へ切り換え駆動する請求項7に記載のアーク低減装置。
- 前記検出手段は所定のサンプリング間隔で電流値検出を行う構成とされ、前記アーク判定用閾値は、前記検出手段による前回サンプリング時の検出電流値に所定割合をかけた値に設定されている請求項8に記載のアーク低減装置。
- 前記検出手段によるサンプリング間隔は前記電気回路にアークが発生した場合における当該アークの消弧に必要とされる時間よりも短い間隔に設定されている請求項9に記載のアーク低減装置。
- 前記制御手段は、前記電流供給状態がオフ状態となるように前記スイッチ手段を切り換え駆動した後、アークの消弧に必要とされる時間が経過後に、前記電流供給状態がオン状態となるように前記スイッチ手段を切り換え駆動する請求項7〜請求項10のうち何れか一項に記載のアーク低減装置。
- 前記電気回路が強制的に遮断されることになるオフ時間は、アークが確実に消弧しかつ前記電気負荷の挙動に影響を与えない微少時間に設定される請求項10又は請求項11に記載のアーク低減装置。
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