JP2004023900A - 内燃機関用スタータジェネレータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スタータジェネレータ2の電機子コイルからインバータ回路4の帰還用ダイオードを通してバッテリ3及び負荷7に流れる負荷電流と機関の回転速度と電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングとの間の関係を与えるマップを記憶させておき、負荷電流と回転速度に対してこのマップを検索して出力電圧が設定値を超えるタイミングを調整動作開始タイミングとして推定する。推定した調整動作開始タイミングを検出したときに電機子コイルを短絡する調整動作を行わせてバッテリ3に印加される電圧を低下させる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関を始動する始動用電動機(スタータモータ)とバッテリを充電する発電機(ジェネレータ)とを兼ねるスタータジェネレータを制御する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関に取り付ける発電機として、磁石発電機が多く用いられている。磁石発電機は、磁石界磁回転形の回転電機であって、機関のクランク軸に取り付けられた磁石回転子と、機関のケース等に固定される固定子とにより構成される。固定子は、磁石回転子の磁極にギャップを介して対向させられる磁極部を有する電機子鉄心と、該電機子鉄心に巻回された電機子コイルとからなっていて、磁石回転子の回転に伴なって電機子コイルに交流電圧を誘起する。
【0003】
磁石界磁回転形の回転電機は、その固定子に星形結線または環状結線されたn個(nは3以上の整数)の電機子コイルを設けて、回転子の位置に応じて励磁する電機子コイルを切り換える制御を行うことにより、ブラシレス電動機として動作させることができる。
【0004】
このように、磁石界磁回転形の回転電機は、磁石発電機としても、電動機としても動作させることができるため、この回転電機を機関始動用の電動機とバッテリ充電用発電機とを兼ねるスタータジェネレータ(始動用電動機兼発電機)として動作させることが検討されている。
【0005】
磁石界磁回転形回転電機をスタータジェネレータとして動作させるように制御する制御装置は、固定子側で磁石回転子の磁極の極性を検出して検出している磁極の極性が変化する毎にレベルが変化する位置検出信号を出力する位置検出器と、スイッチ素子と該スイッチ素子に逆並列接続された帰還用ダイオードとによりブリッジのn個の上辺及びn個の下辺がそれぞれ構成されて正極側及び負極側の直流側端子間にバッテリが接続されるとともにn個の交流側端子が固定子のn個の外部端子にそれぞれ接続されたブリッジ形のインバータ回路と、内燃機関の始動時には該内燃機関を始動させる方向に磁石回転子を回転させるべく位置検出器の出力に基づいて決定した相の電機子コイルにバッテリから駆動電流を供給し、内燃機関が始動した後は電機子コイルからインバータ回路の帰還ダイオードにより構成される整流回路を通してバッテリ側に負荷電流を供給するようにインバータ回路のスイッチ素子を制御するコントローラとにより構成される。
【0006】
機関が始動した後スタータジェネレータを発電機として運転する際には、負荷の状況に応じて、バッテリに印加される電圧が変化し、負荷が軽いときには、バッテリに印加される電圧が上昇してバッテリ及び該バッテリに接続された負荷が破壊されるおそれがある。
【0007】
特にスタータジェネレータにおいては、機関の始動時に大きなトルクを発生させるように電機子コイルの巻線仕様が設定されるため、機関が始動した後、発電機として動作させた際に電機子コイルに高い誘起電圧が発生し、バッテリ及び負荷に印加される電圧が過大になりやすい。
【0008】
そこで、バッテリの両端の電圧(バッテリ電圧)を検出して、検出した電圧が設定値を超えたときに、インバータ回路のブリッジの下辺のスイッチ素子を同時にオン状態にして電機子コイルを短絡するか、またはブリッジの下辺のスイッチ素子を所定のデューティ比でオンオフさせて電機子コイルの出力を位相制御することにより出力電圧を調整して、バッテリ及び負荷に過電圧が印加されるのを防止することが考えられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
マイクロコンピュータを用いたコントローラにより制御されるスタータジェネレータにおいて、該スタータジェネレータを発電機として運転する際に、その出力電圧が設定値を超えないように調整する調整動作を行わせる際には、バッテリ電圧を検出するために、バッテリ電圧をサンプリングした後、そのサンプリング値をA/D変換器によりデジタル信号に変換してマイクロコンピュータに読み込む必要がある。
【0010】
この場合、バッテリ電圧のサンプリング間隔が長いと、発電機の出力をリアルタイムで検出することができず、バッテリ及び負荷に印加される電圧の調整をきめ細かく行うことができないため、サンプリング周波数は、発電機の出力周波数に比べて十分に高くする必要がある。
【0011】
しかしながら、バッテリ電圧をサンプリングしてマイクロコンピュータに取り込む際には、サンプルホールド時間や、A/D変換器の変換時間が必要であるため、バッテリ電圧をリアルタイムで検出して、電圧調整をきめ細かく行うためには、高速のA/D変換器を備えた高価なコントローラを用いる必要があり、スタータジェネレータのコストが高くなるのを避けられない。
【0012】
本発明の目的は、バッテリ電圧を高速でサンプリングすることなく、きめの細かい電圧調整を行うことができるようにした内燃機関用スタータジェネレータの制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関のクランク軸に取り付けられた磁石回転子と、星形結線または環状結線されたn個(nは3以上の整数)の電機子コイルを有して該n個の電機子コイルからn個の外部端子が導出された固定子とを備えたスタータジェネレータの制御装置に係わるもので、本発明においては、固定子側で磁石回転子の磁極の極性を検出して検出している磁極の極性が変化する毎にレベルが変化する位置検出信号を出力する位置検出器と、スイッチ素子と該スイッチ素子に逆並列接続された帰還用ダイオードとによりブリッジのn個の上辺及びn個の下辺がそれぞれ構成されて正極側及び負極側の直流側端子間にバッテリが接続されるとともにn個の交流側端子が前記固定子のn個の外部端子にそれぞれ接続されたブリッジ形のインバータ回路と、内燃機関の始動時には該内燃機関を始動させる方向に磁石回転子を回転させるべく位置検出器の出力に基づいて決定した相の電機子コイルにバッテリから駆動電流を供給するようにインバータ回路のスイッチ素子に駆動信号を供給し、内燃機関が始動した後は電機子コイルからインバータ回路の帰還ダイオードにより構成される整流回路を通してバッテリ側に負荷電流を供給すべくインバータ回路のスイッチ素子への駆動信号の供給を停止するインバータ制御手段と、電機子コイルから整流回路を通してバッテリと該バッテリに接続された負荷とを通して流れる負荷電流を特定する負荷電流特定手段と、磁石回転子の回転速度を検出する回転速度検出手段と、回転速度検出手段により検出された回転速度と負荷電流特定手段により特定された負荷電流と電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングとの間の関係を与えるマップを記憶したマップ記憶手段と、回転速度検出手段により検出された回転速度と負荷電流特定手段により特定された負荷電流とに対して上記マップを検索して電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングを調整動作開始タイミングとして求める調整動作開始タイミング演算手段と、位置検出器が出力する位置検出信号のレベルが変化するタイミングを基準にして前記調整動作開始タイミングを検出する調整開始動作タイミング検出手段と、調整動作開始タイミングが検出されたときにインバータ回路のブリッジの上辺のスイッチ素子をオン状態にするか、またはインバータ回路のブリッジの下辺のスイッチ素子をオン状態にして電機子コイルの出力を実質的に短絡する電圧調整手段とが設けられる。
【0014】
上記回転速度検出手段は、例えば、位置検出器が出力する位置検出信号のレベル変化の周期から回転子の回転速度を演算により求めるように構成することができる。
【0015】
上記負荷電流特定手段は、電機子コイルからインバータの帰還用ダイオードにより構成される整流回路を通してバッテリ側に流れる負荷電流を推定するか、または実際に検出することにより特定する手段である。
【0016】
電機子コイルから整流回路を通してバッテリ及び負荷に流れる負荷電流は、バッテリに接続されている負荷の状態(例えば投入されている負荷の数や、負荷の種類)により推定することができる。例えば、バッテリに、複数の既知の負荷がそれぞれ専用の負荷投入用スイッチを通して接続される場合には、いずれの負荷投入用スイッチが閉じられているかを見ることにより、負荷電流を推定することができる。この場合、負荷電流特定手段は、いずれの負荷投入用スイッチが投入されているかを判定する手段により構成することができる。
【0017】
また本発明で用いる負荷電流特定手段は、実際に流れている負荷電流を検出する手段(シャント抵抗器などの電流検出手段)により構成することもできる。
【0018】
上記のスタータジェネレータが発電機として動作する際の出力電圧対出力電流特性は、一般的な磁石発電機の特性と同様であり、負荷電流(平均値でもよく、定格電圧印加時等の一定の条件下で流れる瞬時値などでもよい。)の増大に伴って出力電圧(波高値)が低下していく特性になる。また各負荷電流が流れたときの出力電圧は、回転速度が高い場合ほど高い値を示す。この出力電圧対出力電流特性は、予め求めることができるため、回転速度が分かり、負荷電流を特定することができれば、そのときの出力電圧の波高値を推定することができる。
【0019】
またこの種のスタータジェネレータの制御装置では、発電機として動作した際に電機子コイルに誘起する交流電圧の波形が、固定子側の定位置で回転子の磁極の極性を検出している位置検出器の出力のレベル変化のタイミングと一定の関係を有するため、位置検出器の出力のレベル変化のタイミングから発電機の出力電圧の波形の零点を特定することができ、このようにして特定した零点と発電機の出力電圧対出力電流特性とから推定した出力電圧の波高値とに基づいて、発電機の出力電圧波形を推定することができる。
【0020】
このように、本発明が対象とするスタータジェネレータにおいては、各負荷電流及び回転速度に対して発電機の出力電圧の波形を推定することができるため、各負荷電流と回転速度とに対して、出力電圧が設定値(制限値)を超えるタイミングを推定することができる。
【0021】
スタータジェネレータが磁石発電機として動作しているときに、その出力電圧が設定値を超えるタイミングは、マップ演算により求めるのが好ましい。即ち、負荷電流と回転速度と出力電圧が設定値を超えるタイミングとの間の関係を与えるマップを予め作成しておいて、検出された回転速度と、推定した負荷電流とに対してこのマップを検索することにより、出力電圧が設定値を超えるタイミングを調整動作開始タイミングとして求めることができる。
【0022】
そして、このようにして求められた調整動作開始タイミングを、位置検出器が出力する位置検出信号のレベル変化のタイミングを基準にして検出して、該調整動作開始タイミングが検出されたときに、インバータ回路のブリッジの下辺を構成するスイッチ素子またはブリッジの上辺を構成するスイッチ素子を同時にオン状態にするようにすれば、電機子コイルの出力電圧が設定値を大きく超える前に電圧調整動作を開始させて、バッテリ及び負荷に印加される電圧を設定値以下に抑えることができるため、バッテリ及び負荷を過電圧から確実に保護することができる。
【0023】
このように、本発明の制御装置においては、電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングをソフトウェア上の処理により予測して、電圧調整動作を開始させるため、バッテリ電圧をサンプリングすることなく出力電圧の調整を的確に行わせて、バッテリ及び負荷を過電圧から保護することができる。
【0024】
本発明によれば、高いサンプリング周波数でのバッテリ電圧のサンプリング及びA/D変換を必要とせず、変換速度が速いA/D変換器を備えた高価なマイクロコンピュータを用いる必要がないため、安価なマイクロコンピュータを用いてスタータジェネレータを制御することができる。
【0025】
上記の構成では、調整動作開始タイミングが検出されたときにインバータ回路のブリッジの下辺を構成するスイッチ素子またはブリッジの上辺を構成するスイッチ素子を同時にオン状態にすることにより電機子コイルの出力を短絡して、バッテリ及び負荷に印加される電圧を制限するようにしたが、インバータ回路の交流側端子と負極側直流端子との間に、オン状態になったときに固定子の電機子コイルをインバータ回路の帰還用ダイオードを通して短絡する電圧調整用スイッチを設けて、調整動作開始タイミングが検出されたときにこの電圧調整用スイッチをオン状態にすることによりバッテリの充電を停止させるように電圧調整用スイッチ制御手段を構成してもよい。
【0026】
また本発明の好ましい態様では、固定子のn個の電機子コイルの少なくとも一部とインバータ回路の対応する交流側端子との間にコイル選択用スイッチを挿入して、内燃機関を始動する際には固定子のすべての電機子コイルをインバータ回路に接続し、内燃機関が始動した後は固定子の一部の電機子コイルのみをインバータ回路に接続するようにコイル選択用スイッチを制御するコイル選択用スイッチ制御手段が更に設けられる。
【0027】
このように構成すると、スタータジェネレータを発電機として動作させた際にバッテリ及び負荷に印加される電圧が過大になるのを抑制することができるため、電圧調整動作時に流れる短絡電流を少なくして、回路素子での発熱を抑制することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明に係わるスタータジェネレータの制御装置の全体的な構成を示したブロック図、図2は図1の要部の具体的な構成例を示した回路図である。
【0029】
図1において1は内燃機関、2はスタータジェネレータ(SG)、3はバッテリ、4はバッテリ3とスタータジェネレータ2との間に設けられたインバータ回路、5はインバータ回路4とスタータジェネレータ2との間に挿入されたスイッチ回路、6はインバータ回路4及びスイッチ回路5を制御するコントローラ、7はバッテリ3の両端に接続された負荷である。
【0030】
スタータジェネレータ2は、内燃機関1のクランク軸に取り付けられた磁石回転子と、星形結線または環状結線されたn個(nは3以上の整数)の電機子コイルを有して該n個の電機子コイルからn個の外部端子が導出された固定子とを備えたものである。図示の例では、固定子に4個の電機子コイルが設けられていて、固定子から4個の外部端子2a,2b,2c及び2dが導出されている。この例では、4個の電機子コイルがU,V2相の電機子コイルからなっている。
【0031】
スタータジェネレータの固定子側には、U,V2相の電機子コイルのそれぞれに対して回転子の磁極の極性を検出して、検出している磁極がS極のときとN極のときとで異なるレベルを示す位置検出信号Hu及びHvを出力する位置検出器hu及びhvが設けられている。位置検出器hu,hvは例えばホールICからなっていて、図4(B)及び(C)のように矩形波状を呈する位置検出信号Hu及びHvを出力する。なお図4においては、横軸に時間tをとっている。
【0032】
インバータ回路4は、スイッチ素子と該スイッチ素子に逆並列接続された帰還用ダイオードとによりブリッジのn個(図示の例ではn=4)の上辺及び下辺がそれぞれ構成されたブリッジ形の回路からなっている。図示の例では、n=4に設定されていて、各スイッチ素子がMOSFETからなっている。
【0033】
即ち、図示のインバータ回路4は、図2に示したように、ドレインが共通接続されたMOSFET FaないしFdと、これらのMOSFETのドレインソース間にそれぞれ逆並列接続された帰還用ダイオードDaないしDdとによりブリッジの上辺が構成され、MOSFET FaないしFdのソースにそれぞれドレインが接続され、ソースが共通に接続されたMOSFET Fa’ないしFd’と、これらに逆並列接続された帰還用ダイオードDa’ないしDd’とによりブリッジの下辺が構成されている。そして、MOSFET FaないしFdのドレインの共通接続点及びMOSFET Fa’ないしFd’のソースの共通接続点からそれぞれ正極側直流側端子4p及び負極側の直流側端子4nが導出され、MOSFET FaないしFdのソースとMOSFET Fa’ないしFd’のドレインとの接続点からそれぞれ交流側端子4aないし4dが導出されている。
【0034】
なお図示の例では、帰還用ダイオードDaないしDd及びDa’ないしDd’としてそれぞれMOSFET FaないしFd及びFa’ないしFd’のドレインソース間に形成された寄生ダイオードが利用されている。
【0035】
このインバータ回路においては、帰還用ダイオードDaないしDd及びDa’ないしDd’により、ダイオードブリッジ全波整流回路が構成され、スタータジェネレータが発電機として動作しているときにインバータ回路のスイッチ素子を構成するMOSFETをオフ状態に保つと、スタータジェネレータの電機子コイルから帰還用ダイオードにより構成された整流回路を通してバッテリ側に負荷電流が供給される。
【0036】
インバータ回路4のMOSFET FaないしFd及びFa’ないしFd’のゲートにはそれぞれコントローラ6から駆動信号AないしD及びA’ないしD’が与えられるようになっていて、これらの駆動信号AないしD及びA’ないしD’がそれぞれ与えられたときにMOSFET FaないしFd及びFa’ないしFd’がオン状態になる。
【0037】
インバータ回路4の交流側端子4aないし4dはそれぞれリレーの接点5aないし5dを通してスタータジェネレータ2の固定子から引き出された外部端子2aないし2dに接続され、直流側端子4p及び4nはそれぞれバッテリ3の正極端子及び負極端子に接続されている。この例では、リレーの接点5aないし5dによりそれぞれコイル選択用スイッチが構成され、これらのコイル選択用スイッチ群によりスイッチ回路5が構成されている。
【0038】
バッテリ3の両端には、抵抗R1及びR2の直列回路からなる抵抗分圧回路が接続され、この抵抗分圧回路と抵抗R2の両端に接続されたコンデンサC1とによりバッテリの両端の電圧の平均値を検出する電圧検出回路8が構成されている。本実施形態では、この電圧検出回路を、機関の始動が完了したことを検出するために用いる。
【0039】
図2に示した例では、バッテリ3に複数の負荷7a,7b,…7nがそれぞれ負荷投入用スイッチSa,Sb,…,Skを通して接続されていて、負荷投入用スイッチSa,Sb,…,Skのうちのいずれがオン状態にあるかを見ることにより、バッテリに接続されている負荷の容量を知ることができるようになっている。
【0040】
コントローラ6はマイクロコンピュータとその入出力インターフェースとA/D変換器とを備えていて、コントローラ6のA/D変換器に抵抗R2の両端に得られる電圧検出回路8の出力電圧が入力されている。コントローラ6にはまた位置検出器hu及びhvがそれぞれ出力する位置検出信号Hu及びHvと、負荷投入用スイッチSa,Sb,…,Skのオンオフの状態(負荷の使用状態)を示す検出信号とが入力されている。
【0041】
本発明においては、コントローラ6のマイクロコンピュータに所定のプログラムを実行させることにより、各種の機能実現手段を構成する。コントローラ6により実現される機能実現手段を含む制御装置の全体的な構成を図8に示した。
【0042】
コントローラ6は、マイクロコンピュータに所定のプログラムを実行させることにより、インバータ制御手段10と、コイル選択用スイッチ制御手段11と、負荷電流特定手段12と、回転速度検出手段13と、マップ記憶手段14と、調整動作開始タイミング演算手段15と、調整動作開始タイミング検出手段16と、電圧調整手段17とを実現する。
【0043】
インバータ制御手段10は、機関の始動時にスタータジェネレータをブラシレス直流電動機として動作させ、機関が始動した後はスタータジェネレータを磁石発電機として動作させるようにインバータ回路を制御する手段で、以下の如くインバータ回路を制御するように構成される。
【0044】
即ち、インバータ制御手段10は、内燃機関の始動時に、スタータジェネレータをブラシレス直流電動機として動作させて、機関を始動させる方向に磁石回転子を回転させるべく、位置検出器hu,hvが出力する位置検出信号Hu,Hvに基づいて決定した相の電機子コイルにバッテリ3から駆動電流を供給するようにインバータ回路4のMOSFET(スイッチ素子)FaないしFd及びFa’ないしFd’のゲートに駆動信号を供給し、内燃機関が始動した後は、磁石発電機として動作するスタータジェネレータの電機子コイルからインバータ回路の帰還ダイオードDaないしDd及びDa’ないしDd’により構成されるダイオードブリッジ全波整流回路を通してバッテリ3及び負荷7a,7b,…に負荷電流を供給するべく、インバータ回路4のMOSFET(スイッチ素子)FaないしFd及びFa’ないしFd’のゲートへの駆動信号の供給を停止して、これらのMOSFETをオフ状態にするように構成される。
【0045】
スタータジェネレータをブラシレス直流電動機として動作させる際のインバータ回路の制御のアルゴリズムは、一般のブラシレス直流電動機を位置検出器の出力に応じて駆動する際の制御アルゴリズムと同様でよい。
【0046】
コイル選択用スイッチ制御手段11は、内燃機関を始動する際に固定子のすべての電機子コイルをインバータ回路4に接続し、内燃機関が始動したことが検出された後は固定子の一部の電機子コイルのみをインバータ回路に接続するようにコイル選択用スイッチ5aないし5dを制御する手段である。
【0047】
本実施形態では、機関の始動時にすべてのコイル選択用スイッチ5aないし5dをオン状態にし、電圧検出回路8の出力から機関が始動したことが検出されたときに、スイッチ回路5を構成するリレーを制御してコイル選択用スイッチ5a及び5cのみをオン状態にするようにコイル選択用スイッチ制御手段が構成される。
【0048】
負荷電流特定手段12は、スタータジェネレータの電機子コイルから帰還用ダイオードにより構成される整流回路を通してバッテリ3と該バッテリに接続された負荷7とを通して流れる負荷電流を特定する手段で、この負荷電流特定手段は、例えば、インピーダンスが既知の負荷7a,7b,…をそれぞれ投入する負荷投入用スイッチSa,Sb,…のオンオフの状態を検出する手段により構成することができる。この負荷電流特定手段が特定する負荷電流は、平均値でもよく、電機子コイルの出力電圧が設定値に等しいときに流れる負荷電流の瞬時値等でもよい。
【0049】
回転速度検出手段13は、スタータジェネレータの磁石回転子の回転速度(内燃機関の回転速度)を演算により求める手段で、この手段は例えば、位置検出信号Hu,Hvがレベルの変化を示すタイミング間の時間から演算により回転速度を求めるように構成することができる。位置検出器から図4(B)及び(C)のような位置検出信号Hu及びHvが得られる場合には、位置検出信号Huの立上がりから立下がりまでの時間や、位置検出信号Huの立上がりから位置検出信号Hvの立上がりまでの時間などから回転速度を演算することができる。
【0050】
マップ記憶手段14は、スタータジェネレータ2の磁石回転子の回転速度と負荷電流特定手段により特定された負荷電流と電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングとの間の関係を与えるマップを記憶する手段で、このマップ記憶手段は、マイクロコンピュータのROM(不揮発性メモリ)やEEPROM(書き換えが可能な不揮発性メモ)により構成される。
【0051】
磁石発電機においては、電機子コイルの出力電圧(最大値)Vが、負荷電流Iに対して図5に示すように変化し、各負荷電流Iに対する出力電圧Vは回転速度N[rpm]の上昇に伴って高くなっていく。図5において、符号N1,N2,…,N8が付された曲線はそれぞれ回転速度NがN1,N2,…,N8(N1<N2<…<N8)のときの出力電圧対負荷電流特性である。図5において、負荷電流がI1で、回転速度がN1,N2,…,N8のときの出力電圧の最大値をそれぞれV11,V21,V31,…,V81とし、負荷電流がI2で、回転速度がN1,N2,…,N8のときの出力電圧をそれぞれV12,V22,…,V82(以下同じ)のように、回転速度と負荷電流とに関連させた添え字を付して出力電圧Vを表すと、図5の特性は、図6に示したようなマップで表すことができ、このマップを用いて各負荷電流及び回転速度における出力電圧の波高値を求めることができる。
【0052】
またこの種のスタータジェネレータの制御装置では、発電機として動作した際に電機子コイルに誘起する交流電圧の波形が、固定子側の定位置で回転子の磁極の極性を検出している位置検出器の出力のレベル変化のタイミングと一定の関係を有するため、位置検出器の出力のレベル変化のタイミングから発電機の出力電圧の波形の零点を特定することができ、このようにして特定した零点と図6に示したマップから求めた出力電圧の波高値とに基づいて、発電機の出力電圧波形を推定することができる。
【0053】
本発明においては、このようにして推定した発電機の出力電圧の波形に基づいて発電機の出力電圧が設定値を超えるタイミングを調整動作開始タイミングとして求め、この調整動作開始タイミングが検出されたときに発電機の出力を短絡する電圧調整動作を行わせる。
【0054】
そのため、本発明においては、負荷電流と回転速度と上記調整動作開始タイミングとの関係を与えるマップを作成しておいて、負荷電流と回転速度とに対してこのマップを検索することにより調整動作開始タイミングを演算する。
【0055】
図4(A)は、本実施形態のスタータジェネレータを発電機として動作させた際に電機子コイルが出力する交流電圧の全波整流波形を示したものである。この例では、発電機の出力電圧の零点が位置検出信号Huの立上がり及び立下がりのタイミングに一致しているため、位置検出信号Huがレベル変化を示すタイミングを発電機の出力電圧の零点とすることができ、位置検出信号Huの信号幅に相当する期間REVDATを出力電圧の半波の期間とすることができる。本実施形態では、出力電圧の全波整流波形の半波の期間REVDATを180の単位タイミングに分割して、いずれのタイミングで出力電圧が設定値Vsを超えるかを推定する。そのため、出力電圧の零点から該出力電圧が設定値を超えるまでの期間をSHCNTとして、図7に示すように、負荷電流Iと回転速度NとSHCNTとの間の関係を与えるマップを作成し、このマップをマップ記憶手段14に記憶させておく。図7においてI1,I2,…,I8は負荷電流を示し、N1,N2,…,N8は回転速度を示している。同図に示された80,65,50等の数値は、各負荷電流及び回転速度におけるSHCNTの値を示し、−印が付された欄は、発電機の出力電圧が設定値に達していないことを示している。
【0056】
図8に示した調整動作開始タイミング演算手段15は、負荷電流特定手段12により特定された負荷電流と回転速度検出手段13により検出された回転速度とに対して図7のマップを検索して、電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングSCHNTを調整動作開始タイミングとして求める。
【0057】
また調整動作開始タイミング検出手段16は、調整動作開始タイミングSHCNTを用いて下記の(1)式により、位置検出信号がレベル変化を示すタイミングから調整開始動作タイミングまでの時間SHTDATを演算する。
【0058】
SCHDAT=REVDAT*{(90+SHTCNT)/180}…(1)
上記(1)式において*は乗算記号を示している。
【0059】
調整動作開始タイミング検出手段16は、位置検出信号Hvが検出されたときに上記(1)式により求められたSCHDATをマイクロコンピュータのタイマに設定して図4(D)に示したようにその計時動作を開始させ、該タイマが計時動作を終了したときに調整動作開始タイミングを検出する。
【0060】
本実施形態においては、位置検出信号Hbのレベル変化が検出される毎にマイクロコンピュータに図10に示した割り込みルーチンを実行させることにより、調整動作開始タイミング演算手段15と、調整動作開始タイミング検出手段16とを実現する。図10に示した割り込みルーチンにおいては、先ずステップ1において前回の割り込み時に演算されたSHTCNTから(1)式を用いてSHTDATを演算し、ステップ2でSHTDATをタイマ1にセットして該タイマ1の計時動作を開始させる。次いでステップ3で負荷電流Iと回転速度Nとに対して調整動作開始タイミングSHTCNTをマップ演算してメインルーチンに戻る。図10に示したアルゴリズムに従う場合には、ステップ1及びステップ2により調整動作開始タイミング検出手段16が構成され、ステップ3により調整動作開始タイミング演算手段15が構成される。
【0061】
電圧調整手段17は、調整動作開始タイミングが検出されたときにインバータ回路4のブリッジの上辺のスイッチ素子FaないしFdまたはインバータ回路のブリッジの下辺のスイッチ素子Fa’ないしFd’を同時に駆動信号を与える。
【0062】
本実施形態では、前記タイマ1が計時動作を終了したときに図11に示すタイマ1割り込みルーチンを実行する。この割り込みルーチンでは、ステップ1において位置検出信号Huの信号幅REVDATからSHTCNTを減算することにより求めた値(電圧調整時にインバータのスイッチ素子に与える駆動信号の信号幅)をタイマ2にセットして該タイマの計時動作を開始させた後、ステップ2でインバータの下辺のスイッチ素子Fa’ないしFd’のうち、負荷に通電している電機子コイルにつながるスイッチ素子Fa’及びFc’に同時に駆動信号A’及びC’を与える。これによりスイッチ素子Fa’及びFc’を同時にオン状態にして、これらのスイッチ素子の一方と、他方のスイッチ素子に逆並列接続された帰還用ダイオードとを通して負荷に通電している電機子コイルを実質的に短絡する。これにより、電機子コイルの出力電圧を低下させ、バッテリ及び負荷に印加される電圧を設定値以下に低下させる。
【0063】
またタイマ2が計時動作を終了したとき(電圧調整のためにスイッチ素子に駆動信号を与える期間が終了したとき)に、図12に示した割り込みルーチンを実行させて、インバータ回路のブリッジの下辺のスイッチ素子への駆動信号の供給を停止する。
【0064】
本実施形態では、図11の割り込みルーチンと図12の割り込みルーチンとにより、調整動作開始タイミングが検出されたときにインバータ回路のブリッジの下辺のスイッチ素子をオン状態にして電機子コイルの出力を実質的に短絡する電圧調整手段17が構成される。
【0065】
上記の実施形態では、調整動作開始タイミングが検出されたときにインバータ回路のブリッジの下辺のスイッチ素子に同時に駆動信号を与えているが、インバータ回路のブリッジの上辺のスイッチ素子に同時に駆動信号を与えることにより電圧調整動作を行わせてもよい。
【0066】
また上記の実施形態では、インバータ回路のブリッジの上辺のスイッチ素子または下辺のスイッチ素子に同時に駆動信号を与えることにより電圧調整動作を行わせているが、インバータ回路を構成するスイッチ素子とは別に設けた電圧調整用スイッチに駆動信号を与えることにより電機子コイルの出力を短絡して電圧調整動作を行わせるようにしてもよい。
【0067】
図3は、インバータ回路を構成するスイッチ素子とは別に電圧調整用スイッチを設けた例を示したもので、この例では、インバータ回路4の交流側端子4aないし4dのうち、発電機として動作する際に負荷電流が流れる交流側端子4a及び4cと負極性の直流側端子4nとの間にそれぞれアノードを交流側端子4a及び4b側に向けたサイリスタTha及びThcが接続され、これらのサイリスタTha及びThcのゲートにそれぞれ抵抗Ra及びRbを通してPNPトランジスタTR1のコレクタが接続されている。トランジスタTR1のエミッタは正極性の直流側端子4pに接続され、トランジスタTR1のベースはコントローラ6の出力ポートに接続されている。この例では、サイリスタTha及びThbにより電圧調整用スイッチ20が構成され、トランジスタTR1により、電圧調整用スイッチの駆動回路21が構成されている。その他の点は図2に示した実施形態と同様に構成されている。
【0068】
図3に示した例において、調整動作開始タイミングが検出される前の状態では、コントローラ6がトランジスタTR1をオフ状態に保持している。このときサイリスタTha及びThbにはトリガ信号が与えられないため、これらのサイリスタはオフ状態にある。従ってスタータジェネレータの電機子コイルが短絡されることはなく、電機子コイルからインバータ回路4の帰還用ダイオードにより構成された整流回路を通してバッテリ3及び負荷7に電流が供給される。電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるようになって、調整動作開始タイミングが検出されると、コントローラ6がトランジスタTR1をオン状態にするため、サイリスタTha及びThbにトリガ信号が与えられ、これらのサイリスタがオン状態にされる。従って、スタータジェネレータの電機子コイルがサイリスタTha及びThbを通して短絡され、バッテリ3及び負荷に印加される電圧が低下させられる。
【0069】
図3に示したように、インバータ回路と別に電圧調整用スイッチが設けられる場合の制御装置の全体的な構成を図9に示した。このように、インバータ回路と別に電圧調整用スイッチが設けられる場合には、調整動作開始タイミングが検出されたときに電圧調整用スイッチをオン状態にするように電圧調整手段17が構成される。
【0070】
上記の例では、負荷の状態から負荷電流を推定することによりバッテリ及びその負荷に流れる負荷電流を特定するようにしたが、負荷電流の通電路にシャント抵抗器などの負荷電流検出手段を設けて、実際に流れている負荷電流を検出することにより負荷電流を特定するようにしてもよい。
【0071】
上記の実施形態では、スタータジェネレータのすべての電機子コイルとインバータ回路の対応する交流側端子との間にそれぞれコイル選択用スイッチを挿入したが、スタータジェネレータを発電機として運転する際にインバータ回路から切り離す一部の電機子コイルとインバータ回路の対応する交流側端子との間にのみコイル選択用スイッチを挿入するようにしてもよい。
【0072】
上記の例では、インバータ回路とスタータジェネレータとの間にスイッチ回路5を設けているが、このスイッチ回路を省略して、電機子コイルを短絡する電圧調整動作のみによりバッテリ及び負荷に印加される電圧を制限するようにすることもできる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、内燃機関が始動した後、スタータジェネレータが発電機として運転される際に、発電機からインバータ回路の帰還用ダイオードを通してバッテリ側に流れる負荷電流と、発電機の回転速度と、発電機の出力電圧が設定値を超えるタイミングとの関係を与えるマップを予め作成しておいて、負荷電流及び回転速度に対してこのマップを検索することにより、電圧調整を開始するタイミングを求め、このようにして求めた電圧調整開始タイミングで電機子コイルを短絡する電圧調整動作を行わせるようにしたので、高速での出力電圧のサンプリングやA/D変換を行うことなく発電機の出力電圧調整をきめ細かく行って、バッテリ及び負荷を過電圧から確実に保護することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる制御装置のハードウェアの全体的な構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の構成を示した回路図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の構成を示した回路図である。
【図4】図2の実施形態においてスタータジェネレータからバッテリに供給される電圧の波形と、位置検出器から得られる位置検出信号の波形と、調整動作開始タイミングを検出するタイマの計時動作とを示したタイミングチャートである。
【図5】スタータジェネレータを発電機として動作させた際の出力電圧対負荷電流特性を示した線図である。
【図6】磁石発電機の回転速度と負荷電流と出力電圧との間の関係を与えるマップの構造の一例を示した図表である。
【図7】本発明でマップ記憶手段に記憶させておくマップの構造の一例を示した図表である。
【図8】本発明の第1の実施形態の構成を示す機能ブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】本発明の実施形態において位置検出信号のレベル変化が検出される毎にマイクロコンピュータが実行する割り込みルーチンのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態において調整動作開始タイミング検出用のタイマが計時動作を終了したときにマイクロコンピュータが実行する割り込みルーチンのアルゴリズムを示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態において駆動信号の信号幅を計測する他のタイマが計時動作を完了したときにマイクロコンピュータが実行する割り込みルーチンのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
2…スタータジェネレータ、3…バッテリ、4…インバータ回路、5…スイッチ回路、6…コントローラ、7…負荷、10…インバータ制御手段、11…コイル選択用スイッチ制御手段、12…負荷電流特定手段、13…回転速度検出手段、14…マップ記憶手段、15…調整動作開始タイミング演算手段、16…調整動作開始タイミング検出手段、17…電圧調整手段。
Claims (3)
- 内燃機関のクランク軸に取り付けられた磁石回転子と、星形結線または環状結線されたn個(nは3以上の整数)の電機子コイルを有して該n個の電機子コイルからn個の外部端子が導出された固定子とを備えた内燃機関用スタータジェネレータを制御する制御装置であって、
前記固定子側で前記磁石回転子の磁極の極性を検出して検出している磁極の極性が変化する毎にレベルが変化する位置検出信号を出力する位置検出器と、 スイッチ素子と該スイッチ素子に逆並列接続された帰還用ダイオードとによりブリッジのn個の上辺及びn個の下辺がそれぞれ構成されて正極側及び負極側の直流側端子間にバッテリが接続されるとともにn個の交流側端子が前記固定子のn個の外部端子にそれぞれ接続されたブリッジ形のインバータ回路と、 前記内燃機関の始動時には該内燃機関を始動させる方向に前記磁石回転子を回転させるべく前記位置検出器の出力に基づいて決定した相の電機子コイルに前記バッテリから駆動電流を供給するように前記インバータ回路のスイッチ素子に駆動信号を供給し、前記内燃機関が始動した後は前記電機子コイルから前記インバータ回路の帰還ダイオードにより構成される整流回路を通して前記バッテリ側に負荷電流を供給すべく、前記インバータ回路のスイッチ素子への駆動信号の供給を停止するインバータ制御手段と、
前記電機子コイルから前記整流回路を通して前記バッテリと該バッテリに接続された負荷とを通して流れる負荷電流を特定する負荷電流特定手段と、
前記磁石回転子の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記回転速度検出手段により検出された回転速度と前記負荷電流特定手段により特定された負荷電流と前記電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングとの間の関係を与えるマップを記憶したマップ記憶手段と、
前記回転速度検出手段により検出された回転速度と前記負荷電流特定手段により特定された負荷電流とに対して前記マップを検索して、前記電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングを調整動作開始タイミングとして求める調整動作開始タイミング演算手段と、
前記位置検出器が出力する位置検出信号のレベルが変化するタイミングを基準にして前記調整動作開始タイミングを検出する調整動作開始タイミング検出手段と、
前記調整動作開始タイミングが検出されたときに前記インバータ回路のブリッジの上辺のスイッチ素子をオン状態にするか、または前記インバータ回路のブリッジの下辺のスイッチ素子をオン状態にして前記電機子コイルの出力を実質的に短絡する電圧調整手段と、
を備えてなる内燃機関用スタータジェネレータの制御装置。 - 内燃機関のクランク軸に取り付けられた磁石回転子と、星形結線または環状結線されたn個(nは3以上の整数)の電機子コイルを有して該n個の電機子コイルからn個の外部端子が導出された固定子とを備えた内燃機関用スタータジェネレータを制御する制御装置であって、
前記固定子側で前記磁石回転子の磁極の極性を検出して検出している磁極の極性が変化する毎にレベルが変化する位置検出信号を出力する位置検出器と、 スイッチ素子と該スイッチ素子に逆並列接続された帰還用ダイオードとによりブリッジのn個の上辺及びn個の下辺がそれぞれ構成されて正極側及び負極側の直流側端子間にバッテリが接続されるとともにn個の交流側端子が前記固定子のn個の外部端子にそれぞれ接続されたブリッジ形のインバータ回路と、
前記インバータ回路の交流側端子と負極側直流端子との間に接続されて、オン状態になったときに前記固定子の電機子コイルを前記インバータ回路の帰還用ダイオードを通して短絡する電圧調整用スイッチと、
前記内燃機関の始動時には該内燃機関を始動させる方向に前記磁石回転子を回転させるべく前記位置検出器の出力に基づいて決定した相の電機子コイルに前記バッテリから駆動電流を供給するように前記インバータ回路のスイッチ素子に駆動信号を供給し、前記内燃機関が始動した後は前記電機子コイルから前記インバータ回路の帰還ダイオードにより構成される整流回路を通して前記バッテリ側に負荷電流を供給すべく、前記インバータ回路のスイッチ素子への駆動信号の供給を停止するインバータ制御手段と、
前記電機子コイルから前記整流回路を通して前記バッテリと該バッテリに接続された負荷とを通して流れる負荷電流を特定する負荷電流特定手段と、
前記磁石回転子の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記回転速度検出手段により検出された回転速度と前記負荷電流特定手段により特定された負荷電流と前記電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングとの間の関係を与えるマップを記憶したマップ記憶手段と、
前記回転速度検出手段により検出された回転速度と前記負荷電流特定手段により特定された負荷電流とに対して前記マップを検索して前記電機子コイルの出力電圧が設定値を超えるタイミングを調整動作開始タイミングとして求める調整動作開始タイミング演算手段と、
前記位置検出器が出力する位置検出信号のレベルが変化するタイミングを基準にして前記調整動作開始タイミングを検出する調整動作開始タイミング検出手段と、
前記調整動作開始タイミングが検出されたときに前記電圧調整用スイッチをオン状態にして前記バッテリの充電を停止させる電圧調整手段と、
を備えてなる内燃機関用スタータジェネレータの制御装置。 - 前記固定子のn個の電機子コイルの少なくとも一部と前記インバータ回路の対応する交流側端子との間にコイル選択用スイッチが挿入され、
前記内燃機関を始動する際には前記固定子のすべての電機子コイルを前記インバータ回路に接続し、前記内燃機関が始動した後は前記固定子の一部の電機子コイルのみを前記インバータ回路に接続するように前記コイル選択用スイッチを制御するコイル選択用スイッチ制御手段が更に設けられている請求項1または2に記載の内燃機関用スタータジェネレータの制御装置。
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