JP2004023767A - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成ディザテーブル生成部25は、階調ゆがみ補正パラメータと経時補正パラメータを合成して合成階調補正パラメータを生成するとともに、基本ディザテーブルと合成して合成ディザテーブルを生成する。この合成ディザテーブルを用いて、階調スクリーン処理部24において、コントローラ部1から渡される画像に対して1回のディザ処理によって階調ゆがみ補正処理、経時変動による階調補正処理、及びスクリーン処理を行う。これによって、複数段の階調補正処理による階調数の減少を抑え、階調性を維持した画像を出力することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式によるディジタルプリンタ、ディジタルコピア、マルチファンクション機等、様々な機器やソフトウェアにおいて行われる階調補正処理及びディザ処理等の画像処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来の画像処理装置を搭載した画像形成装置の一例を示すブロック図である。図中、1はコントローラ部、2はプリンタエンジン制御部、3はプリンタエンジン、11はPDL解釈部、12は色補正部、13は描画部、21は階調補正部、22はスクリーン処理部、23はパルス生成部である。この例では、外部のパーソナルコンピュータからPDL(ページ記述言語)形式の画像データを受け取ってプリンタエンジン3において画像を形成する場合の構成例を示している。
【0003】
コントローラ部1がPDL形式の画像データを受け取ると、PDL解釈部11で画像データを解釈し、中間データに展開する。この状態で色補正部12によって色処理を行う。このとき、プリンタエンジン3において画像を形成する際のマーキング部分の階調ひずみを補正している。このような補正処理の後、描画部13において中間データに基づいて描画処理を行い、例えばビットマップ形式等の画像を形成する。形成された画像は、画素単位あるいは色成分単位でプリンタエンジン制御部2に送られる。
【0004】
プリンタエンジン制御部2では、コントローラ部1から送られてくる画像に対して、階調補正部21でプリンタエンジン3の経時的な変動や環境差によって変動する階調の補正を行う。そしてスクリーン処理部22においてディザ処理によってスクリーニングを行い、パルス生成部23によりパルス幅に変換してプリンタエンジン3に画像信号を供給する。プリンタエンジン3では、プリンタエンジン制御部2から渡されるパルス変調された画像信号に基づいて用紙等に画像を形成する。
【0005】
このような従来の画像形成装置における構成では、色補正部12においてマーキング部分の階調ひずみ補正を行い、階調補正部21において経時的な変動や環境差に対する階調補正を行い、さらにスクリーン処理部22によるディザ処理を行っている。このように複数段の処理を施した場合、階調数の減少が発生してしまうという問題がある。
【0006】
図11は、階調数の減少の一例の説明図である。例えば256階調の入力画像に対して階調補正処理を行って256階調の出力画像を出力する場合、1対1の変換を行えば階調数は保存されるが、それでは階調補正にはならない。極端な例として、図11(A)には、暗い部分と明るい部分の階調性を向上させるように階調補正を施す場合の補正曲線の一例を示している。この例において、横軸は入力される画像の階調を示し、縦軸は出力される画像の階調を示している。この例の場合、(ア)及び(ウ)の部分では入力画像の階調は1対1に出力画像の階調に変換される。逆に出力画像の階調としては、暗い部分と明るい部分については入力画像から変換されない値が存在することになる。また(イ)の部分では、入力画像の複数の階調が出力画像の1つの階調に変換される場合が生じる。
【0007】
このような階調補正処理を行うと、入力画像の階調数が256であっても、出力画像の階調数は変換されない階調が存在するため、実質的には256階調よりも少なくなってしまう。そして、このような階調補正処理を行えば行うだけ、階調数は少なくなってしまう。
【0008】
図11(A)に示した例は極端な階調補正の例であるが、一般的な階調補正処理においても階調数の減少は実際に発生しており、その一例を図11(B)に示している。すなわち、図11(B)に示すように、入力画像の階調数が256であるとき、コントローラ部1の色補正部12による階調補正によって208階調に減少し、さらにプリンタエンジン制御部2の階調補正部21による階調補正によって182階調に減少してしまう。従って、256階調の画像はスクリーン処理部22に入力される際には182階調程度の画像となってしまっている。さらにスクリーン処理部22によるディザ処理においても、ディザテーブルのパターンによってはさらに階調の減少が発生する場合もある。
【0009】
もちろんこれらの階調数はどのような階調補正を行うかによって変化するものであるが、従来のように複数段の階調補正やスクリーン処理によって、大幅な階調数の減少が発生するという問題があった。また、複数段の処理を行うためのメモリや演算回路などが必要となり、コストアップにつながっていた。
【0010】
また、図10に示したような従来の構成では、例えば特許第3093722号公報に記載されているように、スクリーン処理部22において用いるディザテーブルに応じて、階調補正部21における階調補正を行うことが行われている。しかし、上述のように階調補正部21では経時的な変動や設置環境による変動などを考慮した階調補正のパターンを用意しておく必要があるため、スクリーン処理部22で使用するスクリーンの数に対応する階調補正のためのパターンを用意することは膨大なメモリ量と煩雑な処理が必要になるという問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、階調補正処理による階調数の減少を抑え、良好な階調性を維持した画像の出力が可能であり、また、処理回路などを少なくしてコストダウン及び高速化を実現した画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、画像に対して階調補正処理及びディザ処理を行う画像処理装置及び画像処理方法であって、階調補正処理時のパラメータとディザ処理時に用いる第1のディザテーブルとを合成した第2のディザテーブルを用いて画像に対してディザ処理を施し、階調補正処理及びディザ処理を単一の処理で実施することを特徴とするものである。このように階調補正処理とディザ処理を兼ね備えた第2のディザテーブルを用いてディザ処理を行うことによって、階調補正処理及びディザ処理を単一の処理で実施することができる。従って、従来のような複数段の処理による階調数の減少を抑え、良好な階調性を維持した画像の出力が可能となる。それとともに、複数の処理回路が1つにまとめられるため、処理回路やメモリ等を削減してコストダウンを図ることができ、また段数の減少による高速化を実現することができる。また、全ての処理をソフトウエアで実装する場合も、画像に対して行う処理から階調補正処理を除くことができるので処理速度の向上を図ることができる。
【0013】
このとき、階調補正処理には階調のゆがみ補正や経時的な階調変化の補正などが存在するが、少なくとも経時的な階調変化に対しては、所定のタイミングで、経時的な補正変化を補正するための経時補正パラメータと階調のゆがみを補正するための階調ゆがみ補正パラメータとを合成するとともに、更に第1のディザテーブルと合成して第2のディザテーブルを生成するように構成するとよい。これによって、ディザ処理のみによって経時的な階調変化にも対応することができる。またこの構成では、その時々で第2のディザテーブルを生成するため、複数のディザテーブルを保持するよりも少ないメモリ量で対応することができる。
【0014】
あるいは、予め、経時補正パラメータと階調ゆがみ補正パラメータとを合成するとともに更に第1のディザテーブルと合成した複数の第2のディザテーブルを生成しておき、少なくとも経時的変動に応じて前記第2のディザテーブルを選択してディザ処理を行うように構成してもよい。このような構成でも、ディザ処理のみによって経時的な階調変化にも対応することができる。この構成では複数の第2のディザテーブルを保持するため、メモリ量は増大するが、第2のディザテーブルを生成するための機構を設けずに例えば画像形成装置などを構成することが可能である。
【0015】
なお、第2のディザテーブルを生成する際には、入力画素値の階調補正パラメータによる補正後の値が第1のディザテーブルの閾値以上となる最小の入力画素値を、前記第2のディザテーブルの閾値とすることによって第2のディザテーブルを生成することができる。また、第2のディザテーブルを合成する際に、階調補正パラメータと第1のディザテーブルにおいて取り得る値の幅を、入力される画像の取り得る値の幅と同じかまたはそれ以上とすることによって、階調の減少を引き起こさず、より正確に階調性を保持したまま画像処理を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態を含む画像形成装置の構成例を示すブロック図である。図中、図10と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略することがある。24は階調スクリーン処理部、25は合成ディザテーブル生成部である。ここでは本発明の第1の実施の形態を、プリンタなどの画像形成装置に適用した例を示している。なお、形成すべき画像は、PDL形式のデータとして外部の例えばパソコンなどから送られてくるものとする。また以下の説明では、具体例を用いる場合には画像信号が8ビットのデータであるものとして説明する。
【0017】
PDL解釈部11は、外部の例えばパソコンなどから送られてきたPDL形式の画像データを解釈する。このPDL解釈部11では、PDL形式の画像データを、そのコマンドによって写真(image)、文字(font)、グラフィック(graphic)といったオブジェクトに分類しておく。図2は、PDLオブジェクトの分離例の説明図である。図2(A)は写真オブジェクトの一例を示し、図2(B)は文字オブジェクトの一例を示し、図2(C)はグラフィックオブジェクトの一例を示している。なお、内容については一般的に知られた記述であるので、ここでは説明を省略する。また、どのようなオブジェクトに分離するかは任意である。
【0018】
またPDL解釈部11は、それぞれに分離した各オブジェクトに対して、タグ情報を生成する。各オブジェクトに対して生成するタグ情報の一例を図2(D)に示している。詳述はしないが、以下の各処理において、タグ情報が示すそれぞれのオブジェクトに最適な処理を施すことが可能である。なお、生成するタグ情報についても、その種類や割り付け方法などは任意である。
【0019】
色補正部12では、PDL解釈部11で分離したそれぞれのオブジェクト毎に色補正処理を行う。例えば、PDLにおける色空間(RGBなど)から、プリンタエンジン3において用いる色材色からなる色空間(YMCKなど)への色空間変換処理や、そのほかの色調整処理などを行うことができる。もちろん、色補正の方式や色補正の内容などは任意である。なお、従来はこの色補正部12において行っていた階調ひずみ補正処理については、階調スクリーン処理部24において行うので、ここでは行わない。
【0020】
描画部13では、色補正部12によって色補正処理が施された後の各オブジェクトの描画処理を行い、例えばビットマップ形式などの画像が生成される。生成された画像は、PDL解釈部11で付加された、例えば図2(D)に示すようなタグ情報とともにプリンタエンジン制御部2に渡される。
【0021】
プリンタエンジン制御部2の合成ディザテーブル生成部25は、プリンタエンジン3における階調のゆがみを補正するための階調ゆがみ補正パラメータと、プリンタエンジン3の経時的な変化によって発生する階調の変化を補正するための経時補正パラメータとを合成するとともに、もととなるスクリーン処理のための基本ディザテーブルと合成して合成ディザテーブルを生成する。なお、合成ディザテーブルは、色成分毎、及びタグ情報毎に生成する。また、プリンタエンジン3の経時的な変化に対応するため、所定のタイミングで合成ディザテーブルの生成を行う。合成ディザテーブルの生成方法の詳細については後述する。
【0022】
階調スクリーン処理部24では、コントローラ部1から与えられた画像の色成分とタグ情報に応じて、合成ディザテーブル生成部25で生成された合成ディザテーブルを選択し、その合成ディザテーブルの閾値と画像との大小比較を行い、閾値よりも大きければ画素を形成(マーキング)する画素とし、閾値以下ならば画素を形成しないものとする。上述のように合成ディザテーブルは、プリンタエンジン3における階調のゆがみを補正するための階調ゆがみ補正パラメータと、プリンタエンジン3の経時的な変化によって発生する階調の変化を補正するための経時補正パラメータとを合成するとともに、もととなるスクリーン処理のための基本ディザテーブルと合成したものである。すなわち、この階調スクリーン処理部24において合成ディザテーブルを用いたディザ処理を行うことによって、階調のゆがみの補正処理と、経時的な階調の変化の補正処理と、スクリーン処理とを1回のディザ処理によって実現する。従って、複数回の補正処理を行う場合に比べて入力画像の階調性をなるべく維持した出力画像を得ることができる。
【0023】
パルス生成部23は、階調スクリーン処理部24から出力される画素を形成するか否かを示す信号をパルス変調してプリンタエンジン3に対して出力する。
【0024】
プリンタエンジン3は、例えばY(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)などの色材を用い、プリンタエンジン制御部2からパルス変調された画像信号を受け取り、その画像信号に従ってそれぞれの色材色毎に画像を形成して例えば用紙上に合成し、カラー画像を形成する。
【0025】
このような本発明の第1の実施の形態を含む画像形成装置の構成例では、従来ではコントローラ部1の色補正部12において行っていた階調補正処理と、プリンタエンジン制御部2で行っていた階調補正処理及びスクリーン処理を階調スクリーン処理部24において1回の処理で行うので、上述のように階調性をなるべく維持した処理が可能となるとともに、装置全体として、階調補正用の回路を削減でき、コスト低減を図ることができる。また、合成ディザテーブル生成部25は専用のハードウェアの他、ソフトウェアでの実装も可能であり、コストをそれほど上昇させずに実現することができる。他の部分についてもソフトウェアによる実現も可能であるが、その場合には階調補正の処理が少なくなったことにより処理速度を向上させることができる。
【0026】
次に、合成ディザテーブル生成部において行われる合成ディザテーブルの生成処理について説明する。一般にディザテーブルは、階調の閾値を2次元状に配列したパターンである。これらの閾値を方形状に配列した場合、一見すると例えば座標変換などの演算用に用いられる係数マトリクスに類似した形状をなしているが、ディザテーブルにおいては係数マトリクスとは異なり、マトリクス演算を行うわけではないので例えば菱形やその他任意の形状に閾値を配列しておくことができる。また、係数マトリクスの技術においては、各種の演算を合成した係数マトリクスによって演算回数を減少させる技術も従来より利用されている。しかしディザテーブルにおいては、他の処理との合成は従来行われてこなかった。本発明では、このように従来は他の処理との合成が図られなかったディザテーブルについて、階調補正処理時に用いる階調補正パラメータと合成することによって合成ディザテーブルを生成し、この合成ディザテーブルを利用してディザ処理を行うことによって階調補正処理とディザ処理を1回の処理によって行うものである。
【0027】
合成ディザテーブルは、上述のように各種の階調補正処理とディザ処理を1回の処理で行うためのディザテーブルである。ここではプリンタエンジン3における階調のゆがみを補正するための階調ゆがみ補正処理と、プリンタエンジン3の経時的な変化によって発生する階調の変化を補正するための経時補正処理と、スクリーン処理の3つを1回のディザ処理によって行うものとする。そのために、階調ゆがみ補正パラメータと経時補正パラメータとを合成し、さらに基本ディザテーブルと合成して合成ディザテーブルを生成する。もちろん、このほかの階調処理を合成してもよく、同様にして実現可能である。
【0028】
まず、階調ゆがみ補正パラメータと経時補正パラメータとを合成する。図3は、階調パラメータの合成の一例の説明図である。図3(A)には階調ゆがみ補正時の補正曲線を示している。上述のように階調ゆがみ補正処理は、プリンタエンジン3における階調特性のゆがみを補正するものである。図3(A)において横軸が入力側の画像の階調値であり、縦軸が出力側の画像の階調値である。すなわち、入力側の画像の階調値から上にたどり(▲1▼)、曲線にぶつかったら、そのときの出力側の画素値を得る(▲2▼)ことによって階調補正を行うことができる。階調ゆがみ補正には、色差一定、等価中性明度、等価中性濃度、ターゲット濃度補正(ターゲットはJapanColor,Swop等)など、さまざまな階調補正方式があるが、ここでは任意の補正方式を適用することができる。図3(A)では補正曲線として示しているが、入力側、出力側とも離散値であるので、通常は固定の1次元のルックアップテーブル(LUT)等で構成されることが多い。
【0029】
図3(B)には経時的な階調補正時の補正曲線を示している。上述のように経時的な階調補正処理は、プリンタエンジン3の状態が経時的に変化することに起因する階調特性の変化を補正するものである。図3(B)において横軸が入力側の画像の階調値であり、縦軸が出力側の画像の階調値である。すなわち、入力側の画像の階調値から上にたどり(▲3▼)、曲線にぶつかったら、そのときの出力側の画素値を得る(▲4▼)ことによって階調補正を行うことができる。経時的な階調補正は、所定のタイミング(例えばジョブ毎など)でプリンタエンジン3の状態を把握し、その状態に応じてパラメータを変更する。この経時補正パラメータも図3(B)では補正曲線として示しているが、入力側、出力側とも離散値であるので、通常は固定の1次元のルックアップテーブル(LUT)等で構成されることが多い。
【0030】
このような2つの階調補正パラメータを合成する。この階調補正パラメータの合成は容易である。例えば階調ひずみ補正パラメータをLUT1[0〜255]、経時補正パラメータをLUT2[0〜255]としたときに、合成階調補正パラメータはLUT2[LUT1[0〜255]]で合成できる。合成階調補正パラメータの補正曲線を図3(C)に示している。階調ひずみ補正処理の入力値から上にたどり(▲1▼’)、曲線にぶつかったら、そのときの出力側の画素値を得る(▲4▼’)ことによって階調ひずみ補正処理及び経時補正処理の両方を一括して行うことができる。なお、合成の際には近似多項式などにより回帰演算を行えばよい。その後、補正曲線をよりなめらかにするように修正を施しておくとよい。
【0031】
このようにして合成階調補正パラメータが得られたら、これと基本ディザテーブルとの合成を行い、合成ディザテーブルを生成する。図4は、合成ディザテーブルの生成処理の一例を示すフローチャートである。ここでは基本ディザテーブルをm×nサイズの方形であるものと仮定してth[0〜m−1][0〜n−1](m,nはそれぞれ主・幅走査方向のディザテーブルのサイズ)とする。また、合成階調補正パラメータについても1次元のルックアップテーブルで構成するものとし、LUT[0〜255]とする。さらに、基本ディザテーブルの主走査・副走査方向の位置を示す変数i,j、及び、閾値の探索を行う際に合成階調補正パラメータを参照するための変数covを用いる。なお、階調値は0〜255の範囲の値を取り得るものとする。
【0032】
S41において変数iを0に初期化する。S42において変数iの値がディザテーブルの主走査方向のサイズmに達したか否かを判定し、ここではそのままS43に進み、変数jを0に初期化する。S44において変数jの値がディザテーブルの副走査方向のサイズnに達したか否かを判定し、ここではそのままS45に進む。
【0033】
S45以下の処理において、変数i,jで特定されるth[i][j]の処理を行う。ここでは合成ディザテーブルの閾値として、合成階調補正パラメータによる補正後の値が基本ディザテーブルの閾値以上となる最小の入力画素値を合成ディザテーブルの閾値とする。まずS45において、変数covを0に初期化し、S46において最大の階調値である255を超えていない(256より小さい)ことを確認する。S47において、
LUT[cov]≧th[i][j]
であるか否かを判定し、基本ディザテーブルの値が合成階調補正パラメータの値よりも大きい場合には、S48において変数covを1だけ増加させ、S46へ戻って上述の処理を繰り返す。このようにして変数covを増加させながらS47による判定を行ってゆくと、変数covの増加に伴って合成階調補正パラメータによる階調補正後の値であるLUT[cov]も増加してゆき、ある時点で基本ディザテーブルの値以上となる。これによって、合成階調補正処理後の値(LUT[cov])が基本ディザテーブルの値th[i][j]以上となる最小の入力画素値(cov)を得ることができる。
【0034】
このような入力画素値(cov)が探索できたら、S49において、その値(cov)をth[i][j]の新たな値として格納し、その時点の変数i,jの値で特定されるth[i,j]についての処理を終了する。なお、全ての合成階調補正パラメータを参照してもLUT[cov]≧th[i][j]とならない場合には、S46〜S48の繰り返しにより変数covの値が256以上となり、S46でこの状態が検出される。この場合には、ディザテーブルの値は更新しない。
【0035】
S49においてディザテーブルの値を書き換えた場合、あるいはS46において全ての合成階調補正パラメータを参照し終えた場合には、変数i,jで特定されるth[i][j]の処理を終了する。S50において、変数jを1増加させ、S44へ戻って変数jの値がディザテーブルの副走査方向のサイズnに達したか否かを判定する。変数jの値がnより小さければ、上述のようにS45以降の処理により新たな変数i,jで特定されるth[i][j]の処理を行う。このようにして順に処理を行ってゆき、変数jの値がn以上となったら、そのときの変数iで示される主走査ラインの処理を終了し、S51において変数iの値を1増加させ、S42へ戻る。S42において変数iの値がディザテーブルの主走査方向のサイズmに達したか否かを判定し、mに達していなければS43で変数jを0に初期化して新たな主走査ラインについて副走査方向に1ライン分のディザテーブルの各閾値の処理を行う。全ての副走査ラインについて処理が終了し、変数iの値がディザテーブルの主走査方向のサイズmに達したら合成処理を終了する。
【0036】
このように、基本ディザテーブルの全ての閾値について
LUT[cov]≧th[i][j]
となる最小の値cov(0≦v≦255)を探し、そのcovを合成ディザテーブルの閾値とする。このような処理によって、基本ディザテーブルと合成階調補正パラメータとの合成を行い、新たな合成ディザテーブルを生成することができる。
【0037】
図5は、合成ディザテーブルの生成処理の具体例の説明図である。上述の合成ディザテーブルの生成処理について、具体例を用いて説明する。ここでは階調数を0〜15の16階調とし、基本ディザテーブルの大きさを4×4として示している。図5(A)は合成階調補正パラメータを示しており、配列LUT[0〜15]である。ここで、入力欄が変数covの取り得る値となる。また、図5(B)は基本ディザテーブルを示しており、th[0〜3][0〜3]である。
【0038】
一例として、図5(B)に示す基本ディザテーブルの左下の(i,j)=(0,0)の閾値に対する処理を説明する。このとき、まず変数covを0に初期化し、LUT[0](=0)とth[0][0](=12)との比較を行う。すると、0<12であり、LUT[0]≧th[0][0]の条件を満足しないため、変数covの値を1増加させ、LUT[1](=0)とth[0][0](=12)との比較を行う。このようにして、変数covを1ずつ増加させてゆくことによって、図5(A)に示す合成階調補正パラメータを小さい方から順に比較対照とすることができる。
【0039】
この具体例では、変数cov=14となったとき、LUT[14]=13となり、LUT[14]≧th[0][0]の条件を満足する。このときの変数covの値(=14)を図5(C)に示すように新たなディザテーブルの値とし、th[0][0]の値として変数covの値を書き込む。このような処理を基本ディザテーブルの全ての閾値に対して行うことによって、図5(C)に示すような合成ディザテーブルを得ることができる。
【0040】
図6は、基本ディザテーブルの具体例の説明図、図7は、合成ディザテーブルの具体例の説明図である。図5の説明では簡単のために階調数を16階調とし、ディザテーブルの大きさも4×4としたが、例えば階調数を256階調、ディザテーブルの大きさを16×16とした場合の基本ディザテーブル及び合成ディザテーブルを図6,図7に示している。この例では、図3(C)に示した合成階調補正パラメータと図6に示す基本ディザテーブルとを合成し、図7に示した合成ディザテーブルを生成している。
【0041】
近年の電子写真方式のプリンタエンジンでは、垂直共振器型面発光レーザ(Vertical Surface Emitting Laser Diode:VCSEL)などのように、例えば2400dpiなどといった高解像度の露光器が開発され、スケールメリットを生かした高解像度のディジタルスクリーンが可能となっている。例えば図7に示すような合成ディザテーブルを利用して図1に示す階調スクリーン処理部24による処理を行い、このような高解像度のプリンタエンジン3に画像を出力することによって、高精度に階調性を再現した画像形成を行うことが可能となる。
【0042】
なお、上述のような合成ディザテーブルは、各色成分毎、及び、タグ情報で示されるオブジェクトの種類毎に生成される。また、経時補正パラメータを合成していることから、所定のタイミングで生成し直すことになる。
【0043】
上述の例では、例えば図3に示す合成階調補正パラメータの生成及び合成階調補正パラメータ及び図6に示した基本ディザテーブルの合成処理においては、いずれの段階においても256階調での処理を行っている。しかし、本発明はこのようにいずれの段階においても階調数が同じである場合に限られるものではない。例えば合成ディザテーブルを生成する際の階調数を入出力の画像の階調数よりも多くすることによって、高精度の階調補正を行うことができる。例えば、階調ゆがみ補正パラメータや経時補正パラメータ、さらにこれらを合成した合成階調補正パラメータについて1024階調により処理を行えば、合成ディザテーブルにおける階調数の減少をさらに低減させることができる。さらに、基本ディザテーブル及び合成ディザテーブルについても、より多くの階調表現が可能であれば、階調数の減少をなくすことも可能である。これによって、高精度に階調補正を行うことが可能となる。
【0044】
図8は、合成時の階調数を異ならせた場合の合成ディザテーブルの一例の説明図である。図8(A)はそれぞれの階調補正パラメータ及び合成階調補正パラメータを16階調で処理した場合の合成ディザテーブルを示しており、図8(B)はそれぞれの階調補正パラメータ及び合成階調補正パラメータを256階調で処理した場合の合成ディザテーブルを示している。図8(A)に示した合成ディザテーブルでは、階調数の減少が見られるが、図8(B)に示した合成ディザテーブルでは階調の減少が無く、フルに16階調を表現することができる。
【0045】
このように多くの階調数により補正処理を行う場合でも、合成ディザテーブルを利用して階調スクリーン処理部24で処理を行う際には、コントローラ部1から渡される画像の階調数の範囲内で処理を行うことができる。従って、処理速度や回路規模に影響を与えることはない。
【0046】
図9は、本発明の第2の実施の形態を含む画像形成装置の構成例を示すブロック図である。図中、図1と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。26は合成ディザテーブル格納部である。図1に示した構成では、プリンタエンジン3の経時変化に伴う階調補正を行うため、所定のタイミング毎に合成ディザテーブル生成部25により合成ディザテーブルを生成していた。本発明はこれに限らず、予め経時変化を予測した合成ディザテーブルを複数生成しておき、プリンタエンジン3の状態に応じて合成ディザテーブルを選択する例を示している。
【0047】
合成ディザテーブル格納部26には、予め経時変化を予測して生成された合成ディザテーブルが複数格納されている。そして、プリンタエンジン3の状態に応じて、格納されている複数の合成ディザテーブルの中から最適な合成ディザテーブルの組が選択され、階調スクリーン処理部24において使用される。
【0048】
このような構成では、図1に示した構成に比べて、合成ディザテーブルを格納するためのメモリ量は増大するが、合成ディザテーブル生成部25のような演算手段を設ける必要が無く、また、経時変化への対応も即座に行うことができるという利点がある。
【0049】
上述の説明では、本発明の第1及び第2の実施の形態を画像形成装置、特にPDL形式の画像データを受けて画像形成を行うプリンタに適用した構成例を示した。しかし本発明はこのような適用例に限られるものではない。例えば同じプリンタでもPDL形式以外の画像データ(例えばビットマップデータ等)を受けて画像形成を行うプリンタでもよいし、また同じ画像形成装置でもコピー機やマルチファンクション機(複合機)等に対しても同様に適用することができる。また、例えば階調補正処理とディザ処理を行う画像処理装置あるいは画像処理プログラムとして構成することが可能であり、また他の画像処理手段とともに画像処理装置あるいは画像処理プログラムの一部として組み込むことも可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、従来は複数段の構成によって行っていた階調補正処理及びディザ処理を、合成ディザテーブル(第2のディザテーブル)を用いて1回のディザ処理によって行うようにしたので、複数回の補正処理を行う場合に比べて入力画像の階調性をなるべく維持した出力画像を得ることができる。また、構成が簡素化されることによって、メモリと回路規模を削減でき、コストダウンを図ることができる。さらに、例えば合成ディザテーブル生成時に高精度の階調補正を行う場合でも、処理速度や回路規模に影響を与えずに処理を行うことができるなど、本発明によれば様々な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を含む画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】PDLオブジェクトの分離例の説明図である。
【図3】階調パラメータの合成の一例の説明図である。
【図4】合成ディザテーブルの生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】合成ディザテーブルの生成処理の具体例の説明図である。
【図6】基本ディザテーブルの具体例の説明図である。
【図7】合成ディザテーブルの具体例の説明図である。
【図8】合成時の階調数を異ならせた場合の合成ディザテーブルの一例の説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を含む画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】従来の画像処理装置を搭載した画像形成装置の一例を示すブロック図である。
【図11】階調数の減少の一例の説明図である。
【符号の説明】
1…コントローラ部、2…プリンタエンジン制御部、3…プリンタエンジン、11…PDL解釈部、12…色補正部、13…描画部、21…階調補正部、22…スクリーン処理部、23…パルス生成部、24…階調スクリーン処理部、25…合成ディザテーブル生成部、26…合成ディザテーブル格納部。
Claims (10)
- 画像に対して階調補正処理及びディザ処理を行う画像処理装置において、前記階調補正処理時に用いる階調補正パラメータと前記ディザ処理時に用いる第1のディザテーブルとを合成した第2のディザテーブルを用いて画像に対してディザ処理を施すディザ処理手段を有し、該ディザ処理手段によって前記階調補正処理及びディザ処理を単一の処理で実施することを特徴とする画像処理装置。
- 前記第2のディザテーブルは、入力画素値の前記階調補正パラメータによる補正後の値が前記第1のディザテーブルの閾値以上となる最小の前記入力画素値を前記第2のディザテーブルの閾値とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記階調補正パラメータは、階調ゆがみ補正パラメータと経時補正パラメータを含み、所定のタイミングで前記経時補正パラメータと前記階調ゆがみ補正パラメータとを合成するとともに更に前記第1のディザテーブルと合成して第2のディザテーブルを生成するディザテーブル生成手段を有し、前記ディザ処理手段は、前記ディザテーブル生成手段で生成された前記第2のディザテーブルを用いてディザ処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記階調補正パラメータは、階調ゆがみ補正パラメータと経時補正パラメータを含み、前記経時補正パラメータと前記階調ゆがみ補正パラメータとを合成するとともに更に前記第1のディザテーブルと合成した第2のディザテーブルを少なくとも前記経時補正パラメータの取り得る範囲内で複数保持するディザテーブル保持手段を有し、前記ディザ処理手段は、前記ディザテーブル保持手段に保持されている複数の前記第2のディザテーブルから少なくとも経時的変動に応じて選択してディザ処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記第2のディザテーブルは、前記階調補正パラメータと前記第1のディザテーブルにおいて取り得る値の幅を、入力される画像の取り得る値の幅と同じかまたはそれ以上とすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 画像に対して階調補正処理及びディザ処理を行う画像処理方法において、前記階調補正処理時のパラメータと前記ディザ処理時に用いる第1のディザテーブルとを合成した第2のディザテーブルを用いて画像に対してディザ処理を施し、前記階調補正処理及びディザ処理を単一の処理で実施することを特徴とする画像処理方法。
- 前記第2のディザテーブルは、入力画素値の前記階調補正パラメータによる補正後の値が前記第1のディザテーブルの閾値以上となる最小の前記入力画素値を前記第2のディザテーブルの閾値とすることを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。
- 前記階調補正パラメータは、階調ゆがみ補正パラメータと経時補正パラメータを含み、所定のタイミングで前記経時補正パラメータと前記階調ゆがみ補正パラメータとを合成するとともに更に前記第1のディザテーブルと合成して前記第2のディザテーブルを生成することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像処理方法。
- 前記階調補正パラメータは、階調ゆがみ補正パラメータと経時補正パラメータを含み、予め前記経時補正パラメータと前記階調ゆがみ補正パラメータとを合成するとともに更に前記第1のディザテーブルと合成した複数の前記第2のディザテーブルを生成しておき、少なくとも経時的変動に応じて前記第2のディザテーブルを選択してディザ処理を行うことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像処理方法。
- 前記第2のディザテーブルを合成する際に、前記階調補正パラメータと前記第1のディザテーブルにおいて取り得る値の幅を、入力される画像の取り得る値の幅と同じかまたはそれ以上とすることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載の画像処理方法。
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