JP2004023192A - マイクロ波伝送線路 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い周波数において発生する漏洩モード、共振モードを抑え、マイクロ波基板サイズに制限がなく、ビアホールを使用せずに、簡易作製可能であり、マイクロ波基板の資質に関係なく、伝送帯域100GHz以上が可能なマイクロ波伝送線路を提供する。
【解決手段】基板のマイクロ波線路信号を作製する部分を開口すると共に、開口部側面をメタライズし、開口部にマイクロ波特性に優れた、低誘電率、低tanδある誘電体材料を埋め込み、基板表面の誘電体材料上にコプレーナ線路構造を作製して、グランドメタルと開口部側面メタライズとを接続し、基板裏面の誘電体材料部をメタライズすると共に、開口部側面メタライズとを接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】基板のマイクロ波線路信号を作製する部分を開口すると共に、開口部側面をメタライズし、開口部にマイクロ波特性に優れた、低誘電率、低tanδある誘電体材料を埋め込み、基板表面の誘電体材料上にコプレーナ線路構造を作製して、グランドメタルと開口部側面メタライズとを接続し、基板裏面の誘電体材料部をメタライズすると共に、開口部側面メタライズとを接続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波集積回路に用いられるマイクロ波伝送線路に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波集積回路は、高周波信号の処理等を行う回路であり、マイクロ波集積回路には、高周波信号を伝送するマイクロ波伝送線路や各種の素子が形成されている。マイクロ波伝送線路としては、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路がマイクロ波集積回路に汎用されている。マイクロストリップ線路、コプレーナ線路は、直流(DC)から数100[GHz]まで幅広い周波数帯域で使用されている。これらのマイクロ波伝送線路は、TEM波に近いモードを有しているが、周波数が高くなると、表面モード、平行平板モードという漏洩波がマイクロ波基板上に励起する。この漏洩波は、信号伝送を行う主モードと結合して、ハイブリッドモードを形成し、主モードの損失を引き起こす。
【0003】
また、パケッージ化されたマイクロ波基板には、空洞共振のような、マイクロ波基板の大きさに関係する共振モードが発生する。半導体集積回路基板などを実装するセラミック製マイクロ波基板などでは、基板の固定、機械強度増強のために、基板の裏面、側面などがメタライズされる。このために、マイクロ波基板の大きさに起因する共振がセラミック製マイクロ波基板などに発生しやすい。また、超高周波で動作する高速光通信用モジュール、ミリ波モジュールは、気密封止、機械強度増強、長期信頼性向上の観点から、金属筐体パッケージに実装されることが多い。このために、高速光通信用モジュール、ミリ波モジュールでも共振モードが問題となる。この基板の大きさに関係する共振モードの遮断周波数は、基板の全面をメタライズした直方体共振器である場合、マイクロ波基板を簡易的に仮定したとき、以下の式(1)で与えられる。
【0004】
【数1】
ここで、基板寸法は縦a,横b,厚さtであり、m,n,pは整数、cは光速、εr は基板の比誘電率である。漏洩波との結合周波数はマイクロ波基板の厚さに関係するが、共振モードは基板の大きさに関係する。このため、共振モードは、漏洩波よりも低い周波数から発生する。
【0005】
(1)漏洩波との結合周波数を上げる方法としては、図9に示すように、コプレーナ線路を作製するマイクロ波基板1を2層構造にする方法が文献1(文献1:Y.Liu, K.Cha, T.Ito, IEEE trans. Microwave Theory Tech., vol.43, pp.1067−1072, 1995.) に記載されている。なお、図9では、符号7が裏面グランド、符号4が表面グランド、符号3が信号線である。また、マイクロ波基板1の横幅がA1である。基板表面にコプレーナ線路を作製する場合、マイクロ波基板1の下層基板1Aの比誘電率をε2 を、上層基板1Bの比誘電率ε1 より低くする。電磁界が上層基板1Bと空気に等しく分布すると仮定すると、コプレーナ線路の主モードであるTEM波の実効誘電率εcoは、簡易的に(ε1 +1)/2である。漏洩モードの実効誘電率ε1eは、上層/下層基板の厚み比により変化する。また、漏洩モードの実効誘電率ε1eは、比誘電率ε1 ,ε2 の間の値であり、TEM波の実効誘電率εcoよりも常に大きい。そして、伝搬定数の2乗が実効誘電率に比例する。
【0006】
漏洩波は、遮断周波数以上で発生し、両モードの伝搬定数が一致したときに主モードと漏洩波の結合が生じる。漏洩波モードの実効誘電率ε1eが低いほど、高周波側で生じる。従って、上層/下層基板の厚さを薄く、下層基板1Aの比誘電率ε2 を低くして、漏洩波モードの実効誘電率ε1eを低くする程、結合周波数を高くできる。
【0007】
しかし、この方法では、基板内の基板厚さに関係する表面波モード、平行平板モードなどの、漏洩波との結合周波数の高周波数化は可能であるが、マイクロ波基板の大きさに関係する共振モードの発生を防ぐことはできない。
【0008】
(2)共振モードも同時に抑える方法として、先に述べた2層基板構造に加えて、下層基板下に誘電体ロスを有する層を導入する方法が、文献2(文献2:M.Magerko, L.Fan, and K.Chang, IEEE MTT−S, Digest PP.1697−1700,1994.) に記載されている。基板下層に誘電体ロス層を設けることで、共振器のQを低下させ、共振モードを減衰させる。
【0009】
しかし、この方法では、誘電体ロス層にまで電磁界が広がった主モードも誘電体ロスの影響を受けて、損失が増加してしまう。
【0010】
(3)基板の大きさに関係する共振モードを発生させない第2の方法として、図10に示すように、マイクロ波基板1の横幅を、図9に示すマイクロ波基板1の横幅に比べて狭くする。この方法が文献3(R.W.Jackson, IEEE trans, Microwave Theory Tech., vol.37, pp. 1582−1589,1989.) に記載されている。なお、図10では、符号7が裏面グランド、符号4が表面グランド、符号3が信号線である。先に述べた式(1)の共振モードの指数m,n,pのうち、基板の厚さに関係する漏洩モードが、発生より低い周波数ではp=0である。さらに、マイクロ波基板1の縦横幅に関係するm,nのうち、どちらか一方が値0であれば、理論的に共振モードが発生しない。n=0とするためには、横幅bを所望の周波数の半波長以下にすればよい。
【0011】
しかし、この手法をGaAsマイクロ波集積回路に使用刷る場合、例えば、40[GHz]まで共振発生を抑圧するためには、幅A2を1[mm]まで狭窄化する必要がある。従って、マイクロ波基板サイズが著しく制限されてしまい、限られた用途にしか使用できない。
【0012】
(4)漏洩モードを抑え、高い周波数まで主モードを損伝搬させる方法として、図11に示すように、コプレーナ線路のマイクロ波基板1の裏面に形成されている裏面グランド7を、マイクロ波基板1の表面に形成されている表面グランド4に、ビア6を用いてつなぐ構造がある。なお、図11では、符号3が信号線である。マイクロ波基板1の表面グランド4を固定することで、漏洩モード及び共振モードを抑圧する。
【0013】
図11に示す方法は、セラミック基板などの受動素子用、実装用マイクロ波基板で標準的に行われている。半導体集積回路基板では、マイクロストリップ線路のグランドを接続するために行われている。
【0014】
しかし、この方法では、マイクロ波基板1にビアホールを貫通させ、このビアホールにビア6を埋め込むという、煩雑な工程が必要である。ビアホールは、高い周波数ほどメタルエッジ近くに配置し、ビア6の間隔を狭くしなければならず、高精度なアライメントが必要である。セラミック製マイクロ波基板で用いられているスクリーン印刷、ドリル開口では、アライメント精度に限界があり、数10[μm]以下の精度が困難である。半導体製マイクロ波基板でも、垂直性のよいビアホールを厚い基板に、高精度に開口することは困難である。また、マイクロ波基板1の下にある裏面グランド7の、基準となるグランド電位の安定化が必須である。例えば、入出力に同軸線路を用いた金属筐体パッケージに、コプレーナ線路を搭載したマイクロ波基板を実装する場合、入出力用同軸線路のグランドである外導体及びパッケージ筐体と、マイクロ波基板の裏面グランド、マイクロ波基板の表面グランドが固定されなければならない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には、以下の▲1▼〜▲4▼の問題がある。
【0016】
▲1▼ マイクロ波基板を2層構造とすることで、漏洩波モードとの結合をより高周波側にシフトさせることができるが、より低い周波数で発生するマイクロ波基板の大きさに起因する共振モードを抑えることができない。
【0017】
▲2▼ マイクロ波基板を多層構造として誘電体ロス層を導入し、共振モードを抑える方法では、主モードも誘電体ロスの影響を受けてしまう。
【0018】
▲3▼ マイクロ波基板の横幅を狭くする方法では、マイクロ波基板サイズが著しく制限されてしまい、限られた用途にしか使用できない。
【0019】
▲4▼ コプレーナ線路のグランドと基板下のグランドを用いて繋ぎ、基板表面上のコプレーナ線路グランドを固定する方法では、煩雑なビアホール工程において、高精度なアライメントが必要となる。また、基準となる基板下のグランド電位の安定化が必須となる。
【0020】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、高い周波数において発生する漏洩モード、共振モードを抑え、マイクロ波基板サイズに制限がなく、煩雑で、長時間を要し、高精度なアライメントが必要なビアホールを使用せずに、簡易作製可能であり、マイクロ波基板の資質に関係なく、伝送帯域100GHz以上が可能なマイクロ波伝送線路を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、一部に貫通穴が設けられた基板と、
貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体と、誘電体上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、第1の配線金属に接続されているマイクロ波線路のグランドと、マイクロ波線路のグランドに敷かれた第2の配線金属と、基板の裏面の少なくとも誘電体に敷かれ、第1の配線金属に接続されている第3の配線金属と、を有する。
【0022】
請求項2の発明は、一部に貫通穴が設けられた基板Aと、貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体Aと、誘電体A上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、第1の配線金属に接続されているマイクロ波線路のグランドと、マイクロ波線路のグランドに敷かれた第2の配線金属と、基板の裏面の少なくとも誘電体Aに敷かれ、第1の配線金属に接続されている第3の配線金属と、を有する第1の基板と、
一部に貫通穴が設けられた基板Bと、貫通穴の側壁に敷かれた第4の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体Bと、基板裏面の少なくとも誘電体B下に敷かれ、第1の配線金属と接続されている第5の配線金属と、を有する第2の基板と、を有し、
第1の基板と第2の基板が突き合わされ、第2の配線金属と第4の配線金属が接続される。
【0023】
請求項3の発明は、一部に貫通穴が設けられた基板と、貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体と、誘電体上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、第1の配線金属にビアを介して接続される第2の配線金属からなるマイクロ線路のグランドと、を有する。
【0024】
請求項4の発明は、一部に貫通穴が設けられた基板Aと、貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体Aと、誘電体A上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、第1の配線金属に接続されているマイクロ波線路のグランドと、マイクロ波線路のグランドに敷かれた第2の配線金属と、基板の裏面の少なくとも誘電体Aに敷かれ、第1の配線金属に接続されている第3の配線金属と、を有する第1の基板と、
一部に貫通穴が設けられた基板Bと、貫通穴の側壁に敷かれた第4の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体Bと、基板裏面の少なくとも誘電体B下に敷かれ、第1の配線金属と接続されている第5の配線金属と、を有する第2の基板と、
第1の基板と第2の基板の間に配置され、側面で接続される誘電体でなる基板と、
第1の基板、第2の基板及び誘電体でなる基板のそれぞれの接続面を接続する第6の配線金属と、誘電体でなる基板上に配置されるマイクロ波線路の信号線と、第6の配線金属に接続され、第7の配線金属からなるマイクロ線路のグランドと、少なくとも誘電体でなる基板下に敷かれ、第6の配線金属に接続される第8の配線金属と、を有する。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、基板が、Si,Ge,GaAs,InP,SiC,GaN,または、GaSb、または、それらの化合物でなる。
【0026】
請求項6の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、基板が、セラミック、ガラスセラミックス、または、テフロン(登録商標)でなる。
【0027】
請求項7の発明は、請求項5または、請求項6のマイクロ波伝送線路において、基板の裏面、表面または、両面の全部または、一部に、高抵抗層または、高誘電体損層を有し、高抵抗層または、高誘電体損層が、結晶成長、イオン注入、拡散などを用いたドーピングまたは不純物の混合によって形成される。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、基板が、FR4,BTレジン、ガラスエポキシ、ポリイミドガラスなどの有機系樹脂でなる。
【0029】
請求項9の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、基板が、Al,Cu,Ti,Mo,Ni,ステンレス鋼、エナメル鋼、コバール、及びそれらの混合物などからなる金属鋼板でなる。
【0030】
請求項10の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、誘電体、誘電体A,誘電体Bが、ポリイミド,BCB(Benzocyclobutene),シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料からなる。
【0031】
請求項11の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、誘電体、誘電体A,誘電体Bが、シリコン酸化物、シリコン窒化物、ガラスセラミックスなどの無機系材料からなる。
【0032】
上記のように、本発明のマイクロ波線路では、基板のマイクロ波線路信号を作製する部分を開口(穴を貫通させ)すると共に、開口部側面をメタライズし、開口部にマイクロ波特性に優れた、低誘電率、低tanδである誘電体材料を埋め込み、基板表面の誘電体材料上にコプレーナ線路構造を作製して、グランドメタルと開口部側面メタライズとを接続し、少なくとも、基板裏面の誘電体材料部をメタライズすると共に、開口部側面メタライズとを接続する。これにより、マイクロ波信号線−表面グランド間に閉じ込められている主モードの電磁界が、基板に漏洩しない構造となることで、高い周波数まで表面波モード、平行平板ノードなどの不要漏洩モード、また、共振モードの発生を抑えることが可能となる。
【0033】
また、マイクロ波挿入損失は、基板貫通部に埋め込まれた誘電体材料で決定されるため、マイクロ波特定が良好でない、安価なマイクロ波基板材料を用いることが可能となる。
【0034】
さらに、基板を貫くビアホールを数多く設ける必要がなく、1つのマイクロ波配線に対して貫通穴を1つ開口するだけで製作できると共に、ビアホールほどの高精度なアライメント技術が不要なため、プロセス工程が大幅に軽減できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
[第1の実施の形態]
本実施の形態は、請求項1の構成に対応する。
【0037】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図である。同図(a)は、基板上部構造を示し、同図(b)は、基板断面構造を示し、同図(c)は、基板側面構造を示す。
【0038】
同図に示すマイクロ波伝送線路は、第1の基板1、第1の誘電体2、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、側面金属配線5、基板裏面グランド7から構成される。
【0039】
第1の基板1は、Si,Ge,GaAs,InP,SiC,GaN,GaSbなどの半導体または、その化合物からなる。
【0040】
まず、第1の基板1を、所望の厚さ100〜600μmにし、硫酸系、塩酸系、硝酸系、フッソ酸系、アルカリ系などの溶液でウェットエッチングするか、または、フッ素系、塩素系などのガスを用いた反応性イオンエッチングなどを用いて、貫通穴を作製する。貫通穴の側壁には、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Crおよびその混合物などでなる金属を付着させて、側面金属配線5を作製する。次に、貫通穴に、第1の誘電体2であるポリミド、BCB(Benzocyclobutene) 、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料を、スピンコーティング法、CMP法、Cu,W,Mo,Cr及びその混合物などでなる金属を堆積して、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4を形成すると共に、基板裏面に、同様の金属を用いて基板裏面グランド7を形成する。
【0041】
埋め込み材料の粘性が低い場合には、貫通穴にレジストなどのダミー材料を充填して、先に基板裏面グランド7を形成し、この後、ダミー材料を除去して、貫通穴に所望の誘電体材料を埋め込んでも構わない。
【0042】
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波線路の特性を示す。第1の基板1は、大きさ6mm×5mm、厚さ0.1mmのGaAs基板である。マイクロ波伝送線路の線路長は6mm,線路幅0.15である。信号線下の貫通穴に埋め込んだ誘電体はBCB(比誘電率2.7)である。参照として、図3に通常のGaAs上コプレーナ線路の特性を示す。通常のコプレーナ線路においては、10GHz以上からマイクロ波基板の大きさに起因する共振モードが多数発生し、入射損失、反射損失が著しく増加している。しかし、本実施の形態のマイクロ波線路では、100GHz以上でも漏洩モード、共振モードは見られず、主モードであるコプレーナモードが損失なく伝搬している。貫通穴にBCBを埋め込むことで、マイクロ波伝送線路の特性は、低誘電率、低tanδ材料であるBCBの特性で決定される。比較的項誘電率であるGaAsのようなマイクロ波基板材料においても、主モード電磁界を基板側へ漏洩させない本実施の形態のマイクロ波線路の優位性は明らかである。
【0043】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、図1の構造において、第1の基板1をセラミック、ガラスセラミック、テフロン(登録商標)などで構成するものである。本発明のマイクロ波線路の主モード伝送特性は、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、及び基板裏面グランド7に囲まれた第1の誘電体2で決定されるため、前述の第1の実施の形態と同様の優れたマイクロ波特性が得られる。
【0044】
図1において、第1の基板1をセラミックで構成する場合は、まず、所望の厚さ100〜600μmのグリーンテープ(セラミック)を用意し、打ち抜き、機械的または、レーザドリリングなどにより、貫通穴を作製する。貫通穴の側壁には、ペースト印刷などを用いて、Wなどでなる金属を付着させて、側面金属配線5を作製する。セラミック基板の形抜き、焼結後、貫通穴に、第1の誘電体であるポリイミド、BCB(benzocyclobutene)、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料を、スピンコーティング法、CMP法(ケミカルメカニカルエッチング法)などを用いて埋め込む。最後に、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及び、その混合物などでなる金属を堆積して、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4を形成すると共に、基板裏面に、同様の金属を用いて、基板裏面グランド7を形成する。本発明のマイクロ波線路は、図4に示すように、第2の基板8上に作製しても、特性に変化はない。従って、貫通穴を形成し、側面金属配線5を作製した後、第2基板を積層し、焼結後に、貫通穴に第1の誘電体2を充填しても構わない。この場合、他のマイクロ波配線、電源配線などが作製された第2の基板8上に張り合わせて作製することで、多層構造基板とすることが可能である。
【0045】
本実施の形態によれば、基板を貫く数多くのビアホールを設ける必要がなく、1つの貫通穴を開口するだけで製作できる。一般的に、ビアホール作製には、アライメント精度及び微細加工精度を向上させるために、機械的または、レーザドリリングが用いられており、貫通穴開けプロセス時間は、ビアホール個数に比例する。従って、貫通穴個数が少ない本構造は、プロセス工程の大幅な軽減となる。
【0046】
本実施の形態によるマイクロ波伝送線路の高次モード(不要波)の遮断周波数は、貫通穴の幅と充填する誘電体2の誘電率で決定される。誘電体2としてBCBを用いた場合、高次モードの遮断周波数を100GHz以上とするためには、貫通穴の幅は1mm以下であればよい(しかし、誘電体2がアルミナの場合には、貫通穴の幅は0.5mm以下)。従って、誘電体2とし誘電率の低い材料を選択することで、貫通穴の微細加工精度、アライメント精度が緩和され、打ち抜き法で作製することも可能であり、更なるプロセス工程の軽減となる。
【0047】
更に、マイクロ波線路信号線3、ッマイクロ波線路表面グランド4は、セラミック焼結後に形成するために、導電率の良好なAu,Al、Cuなどの金属材料を用いることができ、マイクロ波伝送損失を最小限に抑えることが可能である。
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、図1の構造において、第1の基板1をFR4,BTレジン、ガラスエポキシ、ポリイミドガラスなどの有機系樹脂で構成したものである。本発明のマイクロ波線路の主モード伝送特性は、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、及び、基板裏面グランド7に囲まれた第1の誘電体2で決定されるため、優れたマイクロ波特性が得られる。
【0048】
図1において、第1の基板1をガラスエポキシで構成する場合は、まず、所望の厚さ100〜600μmのガラスエポキシ板を用意し、打ち抜き、機械的または、レーザドリリングなどにより、貫通穴を作製する。貫通穴の側壁には、ペースト印刷、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及びその混合物などでなる金属を付着させて、側面金属配線5を作製する。貫通穴に、第1の誘電体2であるポリイミド、BCB(Benzocyclobutene)、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料を、スピンコーティング法、CMP法(ケミカルメカニカルエッチング法)などを用いて埋め込む。最後に、ペースト印刷、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及びその混合物などでなる金属を堆積して、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4を形成すると共に、基板裏面に、同様の金属を用いて基板裏面グランド7を形成する。
【0049】
本実施の形態においても、基板を貫くビアホールを多数個設ける必要がなく、プロセス工程の軽減となる。また、基板材料が安価であるために、低価格化が可能である。
【0050】
また、ガラスエポキシなどの安価な有機系樹脂材料は、熱膨張係数が大きいが、第1の誘電体2として、ポリイミドなどの比較的柔軟性に富む材料を用いることで、応力緩和を行うことが可能である。また、本発明のマイクロ波伝送線路に、バンプ接続を用いて、チップを接続する場合にも、柔軟性に富む誘電体2により、バンプ部に掛かる応力を軽減することができる。
【0051】
[第4の実施の形態]
本実施の形態は、図1の構造において、第1の基板をAl,Cu,Ti,Mo,Ni、スレンレス鋼、エナメル鋼、コバール及びその混合物などからなる金属鋼板で構成したものである。本発明のマイクロ波線路の主モード伝送特性は、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、及び基板裏面グランド7に囲まれた第1の誘電体2で決定されるため、優れたマイクロ波特性が得られる。
【0052】
図1において、まず、第1の基板1を所望の厚さ100〜600μmにし、硫酸系、塩素系、硝酸系、フッ酸系などの溶液でウェットエッチングするか、または、フッ素系、塩素系などのガスを用いた反応性イオンエッチングなどを用いて、貫通穴を作製する。次に、貫通穴に、第1の誘電体2であるポリイミド、BCB(Benzocyclobutence) 、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料を、スピンコーティング法、CMP法(ケミカルメカニカルエッチング法)などを用いて埋め込む。最後に、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及びその混合物などでなる金属を堆積して、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4を形成すると共に、基板裏面に、同様の金属を用いて基板裏面グランド7を形成する。
【0053】
このような金属鋼板製のマイクロ波基板は、放熱性に優れるために、ハイパワー半導体集積回路実装用マイクロ波基板として最適である。
【0054】
[第5の実施の形態]
本実施の形態は、第1の実施の形態における第1の誘電体2をシリコン酸化物、シリコン窒化物、ガラスセラミックス、などの無機系材料に置き換えたものである。本発明のマイクロ波線路の主モード伝送特性は、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、及び、基板裏面グランド7に囲まれた第1の誘電体2で決定されるため、それぞれの材料において優れたマイクロ波特性が得られる。
【0055】
[第6の実施の形態]
本実施の形態は、請求項2の構成に対応する。
【0056】
図5は、本発明の第6の実施の形態におけるマイクロ波線路の模式図である。同図(a)は、基板上部構造を示し、同図(b)は、基板断面構造を示し、同図(c)は、基板側面構造を示す。
【0057】
本実施の形態は、第1の実施の形態の構造の上部に第1の基板1と同様に、貫通穴を第2の誘電体9で充填した第2の基板を用意して、貼り合わせた構造である。
【0058】
第2の基板8は、第1の基板1と同じ、Si,ge,GaAs,InP,SiC,GaN,GaSbなどの半導体または、化合物により構成されている。
【0059】
また、第2の誘電体9も同様に、第1の誘電体2と同じ、ポリイミド、BCB(Benzocyclobutene)、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料で構成されている。
【0060】
第1の基板1と第2の基板8の厚さを等しくすることで、上下対象な電磁界分布を有するコプレーナ線路となる。さらに、厚さ及び掘込み深さを調整することで、同軸線路に近い電磁界分布を有するコプレーナ線路とすることも可能であり、同軸線路接続に好適となる。第1の実施例と同様以上の効果を得ることが可能である。
【0061】
更に、第1の実施の形態と同様に、第1の基板1、第2の基板8をセラミック、ガラスセラミック、テフロン(登録商標)など、または、FR4、BTレジン、ガラスエポキシ、ポリイミドガラスなどの安価な有機系樹脂、または、Al,Cu,Ti,Mo,Ni,ステンレス鋼、エナメル鋼、コパール及びその混合物などからなる金属鋼板で構成しても構わない。第1の誘電体2、第2の誘電体9も、第1の実施の形態と同様に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、セラミック、ガラスセラミックス、などの無機系材料に置き換えても構わない。
【0062】
[第7の実施の形態]
本実施の形態は、請求項3の構成に対応する。
【0063】
図6は、本発明の第7の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図である。同図(a)は、基板上部構造を示し、同図(b)は、基板断面構造を示し、同図(c)は、基板側面構造を示す。
【0064】
同図において、第1の基板1は、Si,Ge,GaAs,InP,SiC,GaN,GaSbなどの半導体または、その化合物により作製されている。第1の誘電体2は、ポリイミド,BCB(Benzocyclobutene)、シリコーン、フッ素樹脂などの有機系材料で構成されている。マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、基板裏面グランド7は、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及びその混合物でなる金属などで形成されている。マイクロ波線路表面グランド4と基板裏面グランド7は、ビアホール6を介して接続されている。ビアホール6の間隔Lb は、主要伝送モードの波長の1/4より十分狭くすれば、電磁界の漏洩を防ぐことができる。つまり、
【0065】
【数2】
とすればよい。ここで、cは光速、εeff は、主要伝送モードの実効誘電率、fはその周波数である。
【0066】
以上のようなマイクロ波線路によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0067】
さらに、第1の実施の形態と同様に、第1の基板1をセラミック、ガラスセラミックス、テフロン(登録商標)など、または、FR4,BTレジン、ガラスエポキシ、ポリイミドガラスなどの安価な有機系樹脂、または、Al,Cu,Ti,Mo,Ni、ステンレス鋼、エナメル鋼、コバール及びその混合物などからなる金属鋼板で構成しても構わない。第1の誘電体2も、第1の実施の形態と同様に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、セラミック、ガラスセラミックス、などの、無機系材料に置き換えても構わない。
【0068】
[第8の実施の形態]
本実施の形態は、請求項4の構成に対応する。
【0069】
図7は、本発明の第8の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の構造を示す模式図である。同図(a)は、基板上部構造を示し、同図(b)は、基板断面構造を示し、同図(c)は、基板側面構造を示す。
【0070】
同図において、第1の基板1及び第2の基板8は、Si,Ge,GaAs,InP,SiC,GaN,GaSbなどの半導体または、その化合物により作製されている。第1の誘電体基板2は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、セラミック、ガラスセラミックスなどで作製されている。
【0071】
第1の基板1、第2の基板8、及び、第1の誘電体基板2は、第1の誘電体基板を真ん中にして、側面で張り合わされている。張り合わせは、側面金属配線5を介して行われる。貼り合わされた基板の表面に、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4が形成され、側面金属配線5とマイクロ波線路表面グランド4が接続されている。さらに、張り合わされた基板の裏面には、少なくとも第1の誘電体基板2を覆うように金属配線7が引かれており、金属配線7は、側面金属配線5に接続されている。
【0072】
本実施の形態のように、基板を張り合わせた場合にも、第1の実施の形態と同等の性能が得られる。
【0073】
さらに、第1の実施の形態と同様に、第1の基板1をセラミック、ガラスセラミックス、テフロン(登録商標)など、または、FR4,BTレジン、ガラスエポキシ、ポリミドガラスなどの安価な有機系樹脂、または、Al,Cu,Ti,Mo,Ni,ステンレス鋼、エナメル鋼、コバール及びその混合物などからなる金属鋼板で構成してもよい。第1の誘電体2も、第1の実施の形態と同様に、ポリイミド、BCB(Benzocyclobutene)、シリコーン、フッ素樹脂などの有機系材料に置き換えても構わない。
【0074】
[第9の実施の形態]
図8は、本発明の第9の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図である。同図(a)、(b)は、基板断面構造を示している。
【0075】
この構造は、第1の実施の形態と同一であるが、基板裏面、表面、または、両面の、一部または、全面に高抵抗層、または、高誘電体損失層12を有することを特徴としている。この高抵抗/高誘電体損失層12は、結晶成長、イオン注入、不純物拡散を用いて、マイクロ波基板1に直接作製するか、または、高抵抗膜/高誘電体損失膜の張り付けなどで得ることができる。図8(a)は、基板表面層に損失層を設けた場合を示し、図8(b)は、基板裏面に損失層を設けた場合を示している。
【0076】
基板の大きさに関係する共振モードは、基板厚さに起因する漏洩モード発生以下の周波数においては、基板表面に垂直な電界を有する。基板裏面に損失層を設けた場合には、この損失層内において以下のような減衰定数αで共振モードが減衰する。
【0077】
【数3】
ここで、μは透磁率、σは損失層の伝導率、fは周波数である。
【0078】
従って、第1の実施の形態のマイクロ波伝送線路は主モードの電磁界を基板側に漏らさない構造であるが、万一基板側に漏れた場合でも、本実施の形態のように損失層を設ければ、共振モードを抑圧することが可能である。基板にこのような損失層を設けても、本発明の場合には、従来の共振モードも同時抑える方法と異なり、主モードと漏洩モードは空間的に分離されているため、主モードはこの損失層による影響を受けない。
【0079】
なお、本発明は、上記の各実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【0080】
【発明の効果】
上述のように、本発明のマイクロ波伝送線路によれば、以下のような効果がある。
【0081】
主モードの電磁界を基板側に漏洩させないことで、高い周波数において発生する漏洩モード、共振モードを抑えることができる。
【0082】
基板を貫く多くのビアホールを設ける必要がなく、1つのマイクロ波配線に対して貫通穴を1つ開口するだけで製作できると共に、ビアホールほどの高精度なアライメント技術が不要なため、プロセス構成が大幅に軽減される。
【0083】
スロット線路などの他のプレーナ型線路との整合がよい。
【0084】
マイクロ波実装基板、受動基板ばかりでなく、能動回路を搭載した半導体集積回路にも使用でき、チップサイズに制限がない。
【0085】
主要なマイクロ波伝送特性は、マイクロ波信号線周りに配置された誘電体の特性(比誘電率、誘電体ロス、周波数分散)に依って決定され、使用する基板に対して自由度が大変大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビアなし)−下クランド)である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波線路の特性を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における通常のコプレーナ線路の特性を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビア無し)−下グランド/裏面基板付)である。
【図5】本発明の第6の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビア無し)−上下グランド)である。
【図6】本発明の第7の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビア有り)−下グランド)である。
【図7】本発明の第8の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板張合わせ型(ビア無し)−下グランド)である。
【図8】本発明の第9の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビア無し)−下グランド/ロス有り)である。
【図9】従来の漏洩波と結合周波数を上げる方法を説明するための図である。
【図10】従来の基板の大きさに関係する共振ノードを発生させない方法を説明するための図である。
【図11】従来の漏洩モードを抑えて高い周波数まで主モードを損伝搬させる方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 第1の基板
2 第1の誘電体
3 マイクロ波線路信号線
4 マイクロ波線路表面グランド
5 第1の基板における貫通穴側面金属配線
6 ビアホール
7 第1の基板の貫通穴側面金属配線
8 第2の基板
9 第2の誘電体
10 第2の基板の裏面グランド
11 第2の基板における貫通穴側面金属配線
12 高抵抗層または、高誘電体損失層
13 第2のマイクロ波線路表面グランド
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波集積回路に用いられるマイクロ波伝送線路に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波集積回路は、高周波信号の処理等を行う回路であり、マイクロ波集積回路には、高周波信号を伝送するマイクロ波伝送線路や各種の素子が形成されている。マイクロ波伝送線路としては、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路がマイクロ波集積回路に汎用されている。マイクロストリップ線路、コプレーナ線路は、直流(DC)から数100[GHz]まで幅広い周波数帯域で使用されている。これらのマイクロ波伝送線路は、TEM波に近いモードを有しているが、周波数が高くなると、表面モード、平行平板モードという漏洩波がマイクロ波基板上に励起する。この漏洩波は、信号伝送を行う主モードと結合して、ハイブリッドモードを形成し、主モードの損失を引き起こす。
【0003】
また、パケッージ化されたマイクロ波基板には、空洞共振のような、マイクロ波基板の大きさに関係する共振モードが発生する。半導体集積回路基板などを実装するセラミック製マイクロ波基板などでは、基板の固定、機械強度増強のために、基板の裏面、側面などがメタライズされる。このために、マイクロ波基板の大きさに起因する共振がセラミック製マイクロ波基板などに発生しやすい。また、超高周波で動作する高速光通信用モジュール、ミリ波モジュールは、気密封止、機械強度増強、長期信頼性向上の観点から、金属筐体パッケージに実装されることが多い。このために、高速光通信用モジュール、ミリ波モジュールでも共振モードが問題となる。この基板の大きさに関係する共振モードの遮断周波数は、基板の全面をメタライズした直方体共振器である場合、マイクロ波基板を簡易的に仮定したとき、以下の式(1)で与えられる。
【0004】
【数1】
ここで、基板寸法は縦a,横b,厚さtであり、m,n,pは整数、cは光速、εr は基板の比誘電率である。漏洩波との結合周波数はマイクロ波基板の厚さに関係するが、共振モードは基板の大きさに関係する。このため、共振モードは、漏洩波よりも低い周波数から発生する。
【0005】
(1)漏洩波との結合周波数を上げる方法としては、図9に示すように、コプレーナ線路を作製するマイクロ波基板1を2層構造にする方法が文献1(文献1:Y.Liu, K.Cha, T.Ito, IEEE trans. Microwave Theory Tech., vol.43, pp.1067−1072, 1995.) に記載されている。なお、図9では、符号7が裏面グランド、符号4が表面グランド、符号3が信号線である。また、マイクロ波基板1の横幅がA1である。基板表面にコプレーナ線路を作製する場合、マイクロ波基板1の下層基板1Aの比誘電率をε2 を、上層基板1Bの比誘電率ε1 より低くする。電磁界が上層基板1Bと空気に等しく分布すると仮定すると、コプレーナ線路の主モードであるTEM波の実効誘電率εcoは、簡易的に(ε1 +1)/2である。漏洩モードの実効誘電率ε1eは、上層/下層基板の厚み比により変化する。また、漏洩モードの実効誘電率ε1eは、比誘電率ε1 ,ε2 の間の値であり、TEM波の実効誘電率εcoよりも常に大きい。そして、伝搬定数の2乗が実効誘電率に比例する。
【0006】
漏洩波は、遮断周波数以上で発生し、両モードの伝搬定数が一致したときに主モードと漏洩波の結合が生じる。漏洩波モードの実効誘電率ε1eが低いほど、高周波側で生じる。従って、上層/下層基板の厚さを薄く、下層基板1Aの比誘電率ε2 を低くして、漏洩波モードの実効誘電率ε1eを低くする程、結合周波数を高くできる。
【0007】
しかし、この方法では、基板内の基板厚さに関係する表面波モード、平行平板モードなどの、漏洩波との結合周波数の高周波数化は可能であるが、マイクロ波基板の大きさに関係する共振モードの発生を防ぐことはできない。
【0008】
(2)共振モードも同時に抑える方法として、先に述べた2層基板構造に加えて、下層基板下に誘電体ロスを有する層を導入する方法が、文献2(文献2:M.Magerko, L.Fan, and K.Chang, IEEE MTT−S, Digest PP.1697−1700,1994.) に記載されている。基板下層に誘電体ロス層を設けることで、共振器のQを低下させ、共振モードを減衰させる。
【0009】
しかし、この方法では、誘電体ロス層にまで電磁界が広がった主モードも誘電体ロスの影響を受けて、損失が増加してしまう。
【0010】
(3)基板の大きさに関係する共振モードを発生させない第2の方法として、図10に示すように、マイクロ波基板1の横幅を、図9に示すマイクロ波基板1の横幅に比べて狭くする。この方法が文献3(R.W.Jackson, IEEE trans, Microwave Theory Tech., vol.37, pp. 1582−1589,1989.) に記載されている。なお、図10では、符号7が裏面グランド、符号4が表面グランド、符号3が信号線である。先に述べた式(1)の共振モードの指数m,n,pのうち、基板の厚さに関係する漏洩モードが、発生より低い周波数ではp=0である。さらに、マイクロ波基板1の縦横幅に関係するm,nのうち、どちらか一方が値0であれば、理論的に共振モードが発生しない。n=0とするためには、横幅bを所望の周波数の半波長以下にすればよい。
【0011】
しかし、この手法をGaAsマイクロ波集積回路に使用刷る場合、例えば、40[GHz]まで共振発生を抑圧するためには、幅A2を1[mm]まで狭窄化する必要がある。従って、マイクロ波基板サイズが著しく制限されてしまい、限られた用途にしか使用できない。
【0012】
(4)漏洩モードを抑え、高い周波数まで主モードを損伝搬させる方法として、図11に示すように、コプレーナ線路のマイクロ波基板1の裏面に形成されている裏面グランド7を、マイクロ波基板1の表面に形成されている表面グランド4に、ビア6を用いてつなぐ構造がある。なお、図11では、符号3が信号線である。マイクロ波基板1の表面グランド4を固定することで、漏洩モード及び共振モードを抑圧する。
【0013】
図11に示す方法は、セラミック基板などの受動素子用、実装用マイクロ波基板で標準的に行われている。半導体集積回路基板では、マイクロストリップ線路のグランドを接続するために行われている。
【0014】
しかし、この方法では、マイクロ波基板1にビアホールを貫通させ、このビアホールにビア6を埋め込むという、煩雑な工程が必要である。ビアホールは、高い周波数ほどメタルエッジ近くに配置し、ビア6の間隔を狭くしなければならず、高精度なアライメントが必要である。セラミック製マイクロ波基板で用いられているスクリーン印刷、ドリル開口では、アライメント精度に限界があり、数10[μm]以下の精度が困難である。半導体製マイクロ波基板でも、垂直性のよいビアホールを厚い基板に、高精度に開口することは困難である。また、マイクロ波基板1の下にある裏面グランド7の、基準となるグランド電位の安定化が必須である。例えば、入出力に同軸線路を用いた金属筐体パッケージに、コプレーナ線路を搭載したマイクロ波基板を実装する場合、入出力用同軸線路のグランドである外導体及びパッケージ筐体と、マイクロ波基板の裏面グランド、マイクロ波基板の表面グランドが固定されなければならない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には、以下の▲1▼〜▲4▼の問題がある。
【0016】
▲1▼ マイクロ波基板を2層構造とすることで、漏洩波モードとの結合をより高周波側にシフトさせることができるが、より低い周波数で発生するマイクロ波基板の大きさに起因する共振モードを抑えることができない。
【0017】
▲2▼ マイクロ波基板を多層構造として誘電体ロス層を導入し、共振モードを抑える方法では、主モードも誘電体ロスの影響を受けてしまう。
【0018】
▲3▼ マイクロ波基板の横幅を狭くする方法では、マイクロ波基板サイズが著しく制限されてしまい、限られた用途にしか使用できない。
【0019】
▲4▼ コプレーナ線路のグランドと基板下のグランドを用いて繋ぎ、基板表面上のコプレーナ線路グランドを固定する方法では、煩雑なビアホール工程において、高精度なアライメントが必要となる。また、基準となる基板下のグランド電位の安定化が必須となる。
【0020】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、高い周波数において発生する漏洩モード、共振モードを抑え、マイクロ波基板サイズに制限がなく、煩雑で、長時間を要し、高精度なアライメントが必要なビアホールを使用せずに、簡易作製可能であり、マイクロ波基板の資質に関係なく、伝送帯域100GHz以上が可能なマイクロ波伝送線路を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、一部に貫通穴が設けられた基板と、
貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体と、誘電体上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、第1の配線金属に接続されているマイクロ波線路のグランドと、マイクロ波線路のグランドに敷かれた第2の配線金属と、基板の裏面の少なくとも誘電体に敷かれ、第1の配線金属に接続されている第3の配線金属と、を有する。
【0022】
請求項2の発明は、一部に貫通穴が設けられた基板Aと、貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体Aと、誘電体A上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、第1の配線金属に接続されているマイクロ波線路のグランドと、マイクロ波線路のグランドに敷かれた第2の配線金属と、基板の裏面の少なくとも誘電体Aに敷かれ、第1の配線金属に接続されている第3の配線金属と、を有する第1の基板と、
一部に貫通穴が設けられた基板Bと、貫通穴の側壁に敷かれた第4の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体Bと、基板裏面の少なくとも誘電体B下に敷かれ、第1の配線金属と接続されている第5の配線金属と、を有する第2の基板と、を有し、
第1の基板と第2の基板が突き合わされ、第2の配線金属と第4の配線金属が接続される。
【0023】
請求項3の発明は、一部に貫通穴が設けられた基板と、貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体と、誘電体上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、第1の配線金属にビアを介して接続される第2の配線金属からなるマイクロ線路のグランドと、を有する。
【0024】
請求項4の発明は、一部に貫通穴が設けられた基板Aと、貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体Aと、誘電体A上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、第1の配線金属に接続されているマイクロ波線路のグランドと、マイクロ波線路のグランドに敷かれた第2の配線金属と、基板の裏面の少なくとも誘電体Aに敷かれ、第1の配線金属に接続されている第3の配線金属と、を有する第1の基板と、
一部に貫通穴が設けられた基板Bと、貫通穴の側壁に敷かれた第4の配線金属と、貫通穴に充填された誘電体Bと、基板裏面の少なくとも誘電体B下に敷かれ、第1の配線金属と接続されている第5の配線金属と、を有する第2の基板と、
第1の基板と第2の基板の間に配置され、側面で接続される誘電体でなる基板と、
第1の基板、第2の基板及び誘電体でなる基板のそれぞれの接続面を接続する第6の配線金属と、誘電体でなる基板上に配置されるマイクロ波線路の信号線と、第6の配線金属に接続され、第7の配線金属からなるマイクロ線路のグランドと、少なくとも誘電体でなる基板下に敷かれ、第6の配線金属に接続される第8の配線金属と、を有する。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、基板が、Si,Ge,GaAs,InP,SiC,GaN,または、GaSb、または、それらの化合物でなる。
【0026】
請求項6の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、基板が、セラミック、ガラスセラミックス、または、テフロン(登録商標)でなる。
【0027】
請求項7の発明は、請求項5または、請求項6のマイクロ波伝送線路において、基板の裏面、表面または、両面の全部または、一部に、高抵抗層または、高誘電体損層を有し、高抵抗層または、高誘電体損層が、結晶成長、イオン注入、拡散などを用いたドーピングまたは不純物の混合によって形成される。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、基板が、FR4,BTレジン、ガラスエポキシ、ポリイミドガラスなどの有機系樹脂でなる。
【0029】
請求項9の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、基板が、Al,Cu,Ti,Mo,Ni,ステンレス鋼、エナメル鋼、コバール、及びそれらの混合物などからなる金属鋼板でなる。
【0030】
請求項10の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、誘電体、誘電体A,誘電体Bが、ポリイミド,BCB(Benzocyclobutene),シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料からなる。
【0031】
請求項11の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路において、誘電体、誘電体A,誘電体Bが、シリコン酸化物、シリコン窒化物、ガラスセラミックスなどの無機系材料からなる。
【0032】
上記のように、本発明のマイクロ波線路では、基板のマイクロ波線路信号を作製する部分を開口(穴を貫通させ)すると共に、開口部側面をメタライズし、開口部にマイクロ波特性に優れた、低誘電率、低tanδである誘電体材料を埋め込み、基板表面の誘電体材料上にコプレーナ線路構造を作製して、グランドメタルと開口部側面メタライズとを接続し、少なくとも、基板裏面の誘電体材料部をメタライズすると共に、開口部側面メタライズとを接続する。これにより、マイクロ波信号線−表面グランド間に閉じ込められている主モードの電磁界が、基板に漏洩しない構造となることで、高い周波数まで表面波モード、平行平板ノードなどの不要漏洩モード、また、共振モードの発生を抑えることが可能となる。
【0033】
また、マイクロ波挿入損失は、基板貫通部に埋め込まれた誘電体材料で決定されるため、マイクロ波特定が良好でない、安価なマイクロ波基板材料を用いることが可能となる。
【0034】
さらに、基板を貫くビアホールを数多く設ける必要がなく、1つのマイクロ波配線に対して貫通穴を1つ開口するだけで製作できると共に、ビアホールほどの高精度なアライメント技術が不要なため、プロセス工程が大幅に軽減できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
[第1の実施の形態]
本実施の形態は、請求項1の構成に対応する。
【0037】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図である。同図(a)は、基板上部構造を示し、同図(b)は、基板断面構造を示し、同図(c)は、基板側面構造を示す。
【0038】
同図に示すマイクロ波伝送線路は、第1の基板1、第1の誘電体2、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、側面金属配線5、基板裏面グランド7から構成される。
【0039】
第1の基板1は、Si,Ge,GaAs,InP,SiC,GaN,GaSbなどの半導体または、その化合物からなる。
【0040】
まず、第1の基板1を、所望の厚さ100〜600μmにし、硫酸系、塩酸系、硝酸系、フッソ酸系、アルカリ系などの溶液でウェットエッチングするか、または、フッ素系、塩素系などのガスを用いた反応性イオンエッチングなどを用いて、貫通穴を作製する。貫通穴の側壁には、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Crおよびその混合物などでなる金属を付着させて、側面金属配線5を作製する。次に、貫通穴に、第1の誘電体2であるポリミド、BCB(Benzocyclobutene) 、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料を、スピンコーティング法、CMP法、Cu,W,Mo,Cr及びその混合物などでなる金属を堆積して、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4を形成すると共に、基板裏面に、同様の金属を用いて基板裏面グランド7を形成する。
【0041】
埋め込み材料の粘性が低い場合には、貫通穴にレジストなどのダミー材料を充填して、先に基板裏面グランド7を形成し、この後、ダミー材料を除去して、貫通穴に所望の誘電体材料を埋め込んでも構わない。
【0042】
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波線路の特性を示す。第1の基板1は、大きさ6mm×5mm、厚さ0.1mmのGaAs基板である。マイクロ波伝送線路の線路長は6mm,線路幅0.15である。信号線下の貫通穴に埋め込んだ誘電体はBCB(比誘電率2.7)である。参照として、図3に通常のGaAs上コプレーナ線路の特性を示す。通常のコプレーナ線路においては、10GHz以上からマイクロ波基板の大きさに起因する共振モードが多数発生し、入射損失、反射損失が著しく増加している。しかし、本実施の形態のマイクロ波線路では、100GHz以上でも漏洩モード、共振モードは見られず、主モードであるコプレーナモードが損失なく伝搬している。貫通穴にBCBを埋め込むことで、マイクロ波伝送線路の特性は、低誘電率、低tanδ材料であるBCBの特性で決定される。比較的項誘電率であるGaAsのようなマイクロ波基板材料においても、主モード電磁界を基板側へ漏洩させない本実施の形態のマイクロ波線路の優位性は明らかである。
【0043】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、図1の構造において、第1の基板1をセラミック、ガラスセラミック、テフロン(登録商標)などで構成するものである。本発明のマイクロ波線路の主モード伝送特性は、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、及び基板裏面グランド7に囲まれた第1の誘電体2で決定されるため、前述の第1の実施の形態と同様の優れたマイクロ波特性が得られる。
【0044】
図1において、第1の基板1をセラミックで構成する場合は、まず、所望の厚さ100〜600μmのグリーンテープ(セラミック)を用意し、打ち抜き、機械的または、レーザドリリングなどにより、貫通穴を作製する。貫通穴の側壁には、ペースト印刷などを用いて、Wなどでなる金属を付着させて、側面金属配線5を作製する。セラミック基板の形抜き、焼結後、貫通穴に、第1の誘電体であるポリイミド、BCB(benzocyclobutene)、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料を、スピンコーティング法、CMP法(ケミカルメカニカルエッチング法)などを用いて埋め込む。最後に、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及び、その混合物などでなる金属を堆積して、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4を形成すると共に、基板裏面に、同様の金属を用いて、基板裏面グランド7を形成する。本発明のマイクロ波線路は、図4に示すように、第2の基板8上に作製しても、特性に変化はない。従って、貫通穴を形成し、側面金属配線5を作製した後、第2基板を積層し、焼結後に、貫通穴に第1の誘電体2を充填しても構わない。この場合、他のマイクロ波配線、電源配線などが作製された第2の基板8上に張り合わせて作製することで、多層構造基板とすることが可能である。
【0045】
本実施の形態によれば、基板を貫く数多くのビアホールを設ける必要がなく、1つの貫通穴を開口するだけで製作できる。一般的に、ビアホール作製には、アライメント精度及び微細加工精度を向上させるために、機械的または、レーザドリリングが用いられており、貫通穴開けプロセス時間は、ビアホール個数に比例する。従って、貫通穴個数が少ない本構造は、プロセス工程の大幅な軽減となる。
【0046】
本実施の形態によるマイクロ波伝送線路の高次モード(不要波)の遮断周波数は、貫通穴の幅と充填する誘電体2の誘電率で決定される。誘電体2としてBCBを用いた場合、高次モードの遮断周波数を100GHz以上とするためには、貫通穴の幅は1mm以下であればよい(しかし、誘電体2がアルミナの場合には、貫通穴の幅は0.5mm以下)。従って、誘電体2とし誘電率の低い材料を選択することで、貫通穴の微細加工精度、アライメント精度が緩和され、打ち抜き法で作製することも可能であり、更なるプロセス工程の軽減となる。
【0047】
更に、マイクロ波線路信号線3、ッマイクロ波線路表面グランド4は、セラミック焼結後に形成するために、導電率の良好なAu,Al、Cuなどの金属材料を用いることができ、マイクロ波伝送損失を最小限に抑えることが可能である。
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、図1の構造において、第1の基板1をFR4,BTレジン、ガラスエポキシ、ポリイミドガラスなどの有機系樹脂で構成したものである。本発明のマイクロ波線路の主モード伝送特性は、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、及び、基板裏面グランド7に囲まれた第1の誘電体2で決定されるため、優れたマイクロ波特性が得られる。
【0048】
図1において、第1の基板1をガラスエポキシで構成する場合は、まず、所望の厚さ100〜600μmのガラスエポキシ板を用意し、打ち抜き、機械的または、レーザドリリングなどにより、貫通穴を作製する。貫通穴の側壁には、ペースト印刷、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及びその混合物などでなる金属を付着させて、側面金属配線5を作製する。貫通穴に、第1の誘電体2であるポリイミド、BCB(Benzocyclobutene)、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料を、スピンコーティング法、CMP法(ケミカルメカニカルエッチング法)などを用いて埋め込む。最後に、ペースト印刷、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及びその混合物などでなる金属を堆積して、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4を形成すると共に、基板裏面に、同様の金属を用いて基板裏面グランド7を形成する。
【0049】
本実施の形態においても、基板を貫くビアホールを多数個設ける必要がなく、プロセス工程の軽減となる。また、基板材料が安価であるために、低価格化が可能である。
【0050】
また、ガラスエポキシなどの安価な有機系樹脂材料は、熱膨張係数が大きいが、第1の誘電体2として、ポリイミドなどの比較的柔軟性に富む材料を用いることで、応力緩和を行うことが可能である。また、本発明のマイクロ波伝送線路に、バンプ接続を用いて、チップを接続する場合にも、柔軟性に富む誘電体2により、バンプ部に掛かる応力を軽減することができる。
【0051】
[第4の実施の形態]
本実施の形態は、図1の構造において、第1の基板をAl,Cu,Ti,Mo,Ni、スレンレス鋼、エナメル鋼、コバール及びその混合物などからなる金属鋼板で構成したものである。本発明のマイクロ波線路の主モード伝送特性は、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、及び基板裏面グランド7に囲まれた第1の誘電体2で決定されるため、優れたマイクロ波特性が得られる。
【0052】
図1において、まず、第1の基板1を所望の厚さ100〜600μmにし、硫酸系、塩素系、硝酸系、フッ酸系などの溶液でウェットエッチングするか、または、フッ素系、塩素系などのガスを用いた反応性イオンエッチングなどを用いて、貫通穴を作製する。次に、貫通穴に、第1の誘電体2であるポリイミド、BCB(Benzocyclobutence) 、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料を、スピンコーティング法、CMP法(ケミカルメカニカルエッチング法)などを用いて埋め込む。最後に、メッキ法、スパッタ法、蒸着法などを用いて、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及びその混合物などでなる金属を堆積して、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4を形成すると共に、基板裏面に、同様の金属を用いて基板裏面グランド7を形成する。
【0053】
このような金属鋼板製のマイクロ波基板は、放熱性に優れるために、ハイパワー半導体集積回路実装用マイクロ波基板として最適である。
【0054】
[第5の実施の形態]
本実施の形態は、第1の実施の形態における第1の誘電体2をシリコン酸化物、シリコン窒化物、ガラスセラミックス、などの無機系材料に置き換えたものである。本発明のマイクロ波線路の主モード伝送特性は、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、及び、基板裏面グランド7に囲まれた第1の誘電体2で決定されるため、それぞれの材料において優れたマイクロ波特性が得られる。
【0055】
[第6の実施の形態]
本実施の形態は、請求項2の構成に対応する。
【0056】
図5は、本発明の第6の実施の形態におけるマイクロ波線路の模式図である。同図(a)は、基板上部構造を示し、同図(b)は、基板断面構造を示し、同図(c)は、基板側面構造を示す。
【0057】
本実施の形態は、第1の実施の形態の構造の上部に第1の基板1と同様に、貫通穴を第2の誘電体9で充填した第2の基板を用意して、貼り合わせた構造である。
【0058】
第2の基板8は、第1の基板1と同じ、Si,ge,GaAs,InP,SiC,GaN,GaSbなどの半導体または、化合物により構成されている。
【0059】
また、第2の誘電体9も同様に、第1の誘電体2と同じ、ポリイミド、BCB(Benzocyclobutene)、シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料で構成されている。
【0060】
第1の基板1と第2の基板8の厚さを等しくすることで、上下対象な電磁界分布を有するコプレーナ線路となる。さらに、厚さ及び掘込み深さを調整することで、同軸線路に近い電磁界分布を有するコプレーナ線路とすることも可能であり、同軸線路接続に好適となる。第1の実施例と同様以上の効果を得ることが可能である。
【0061】
更に、第1の実施の形態と同様に、第1の基板1、第2の基板8をセラミック、ガラスセラミック、テフロン(登録商標)など、または、FR4、BTレジン、ガラスエポキシ、ポリイミドガラスなどの安価な有機系樹脂、または、Al,Cu,Ti,Mo,Ni,ステンレス鋼、エナメル鋼、コパール及びその混合物などからなる金属鋼板で構成しても構わない。第1の誘電体2、第2の誘電体9も、第1の実施の形態と同様に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、セラミック、ガラスセラミックス、などの無機系材料に置き換えても構わない。
【0062】
[第7の実施の形態]
本実施の形態は、請求項3の構成に対応する。
【0063】
図6は、本発明の第7の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図である。同図(a)は、基板上部構造を示し、同図(b)は、基板断面構造を示し、同図(c)は、基板側面構造を示す。
【0064】
同図において、第1の基板1は、Si,Ge,GaAs,InP,SiC,GaN,GaSbなどの半導体または、その化合物により作製されている。第1の誘電体2は、ポリイミド,BCB(Benzocyclobutene)、シリコーン、フッ素樹脂などの有機系材料で構成されている。マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4、基板裏面グランド7は、Au,Al,Cu,W,Mo,Cr及びその混合物でなる金属などで形成されている。マイクロ波線路表面グランド4と基板裏面グランド7は、ビアホール6を介して接続されている。ビアホール6の間隔Lb は、主要伝送モードの波長の1/4より十分狭くすれば、電磁界の漏洩を防ぐことができる。つまり、
【0065】
【数2】
とすればよい。ここで、cは光速、εeff は、主要伝送モードの実効誘電率、fはその周波数である。
【0066】
以上のようなマイクロ波線路によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0067】
さらに、第1の実施の形態と同様に、第1の基板1をセラミック、ガラスセラミックス、テフロン(登録商標)など、または、FR4,BTレジン、ガラスエポキシ、ポリイミドガラスなどの安価な有機系樹脂、または、Al,Cu,Ti,Mo,Ni、ステンレス鋼、エナメル鋼、コバール及びその混合物などからなる金属鋼板で構成しても構わない。第1の誘電体2も、第1の実施の形態と同様に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、セラミック、ガラスセラミックス、などの、無機系材料に置き換えても構わない。
【0068】
[第8の実施の形態]
本実施の形態は、請求項4の構成に対応する。
【0069】
図7は、本発明の第8の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の構造を示す模式図である。同図(a)は、基板上部構造を示し、同図(b)は、基板断面構造を示し、同図(c)は、基板側面構造を示す。
【0070】
同図において、第1の基板1及び第2の基板8は、Si,Ge,GaAs,InP,SiC,GaN,GaSbなどの半導体または、その化合物により作製されている。第1の誘電体基板2は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、セラミック、ガラスセラミックスなどで作製されている。
【0071】
第1の基板1、第2の基板8、及び、第1の誘電体基板2は、第1の誘電体基板を真ん中にして、側面で張り合わされている。張り合わせは、側面金属配線5を介して行われる。貼り合わされた基板の表面に、マイクロ波線路信号線3、マイクロ波線路表面グランド4が形成され、側面金属配線5とマイクロ波線路表面グランド4が接続されている。さらに、張り合わされた基板の裏面には、少なくとも第1の誘電体基板2を覆うように金属配線7が引かれており、金属配線7は、側面金属配線5に接続されている。
【0072】
本実施の形態のように、基板を張り合わせた場合にも、第1の実施の形態と同等の性能が得られる。
【0073】
さらに、第1の実施の形態と同様に、第1の基板1をセラミック、ガラスセラミックス、テフロン(登録商標)など、または、FR4,BTレジン、ガラスエポキシ、ポリミドガラスなどの安価な有機系樹脂、または、Al,Cu,Ti,Mo,Ni,ステンレス鋼、エナメル鋼、コバール及びその混合物などからなる金属鋼板で構成してもよい。第1の誘電体2も、第1の実施の形態と同様に、ポリイミド、BCB(Benzocyclobutene)、シリコーン、フッ素樹脂などの有機系材料に置き換えても構わない。
【0074】
[第9の実施の形態]
図8は、本発明の第9の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図である。同図(a)、(b)は、基板断面構造を示している。
【0075】
この構造は、第1の実施の形態と同一であるが、基板裏面、表面、または、両面の、一部または、全面に高抵抗層、または、高誘電体損失層12を有することを特徴としている。この高抵抗/高誘電体損失層12は、結晶成長、イオン注入、不純物拡散を用いて、マイクロ波基板1に直接作製するか、または、高抵抗膜/高誘電体損失膜の張り付けなどで得ることができる。図8(a)は、基板表面層に損失層を設けた場合を示し、図8(b)は、基板裏面に損失層を設けた場合を示している。
【0076】
基板の大きさに関係する共振モードは、基板厚さに起因する漏洩モード発生以下の周波数においては、基板表面に垂直な電界を有する。基板裏面に損失層を設けた場合には、この損失層内において以下のような減衰定数αで共振モードが減衰する。
【0077】
【数3】
ここで、μは透磁率、σは損失層の伝導率、fは周波数である。
【0078】
従って、第1の実施の形態のマイクロ波伝送線路は主モードの電磁界を基板側に漏らさない構造であるが、万一基板側に漏れた場合でも、本実施の形態のように損失層を設ければ、共振モードを抑圧することが可能である。基板にこのような損失層を設けても、本発明の場合には、従来の共振モードも同時抑える方法と異なり、主モードと漏洩モードは空間的に分離されているため、主モードはこの損失層による影響を受けない。
【0079】
なお、本発明は、上記の各実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【0080】
【発明の効果】
上述のように、本発明のマイクロ波伝送線路によれば、以下のような効果がある。
【0081】
主モードの電磁界を基板側に漏洩させないことで、高い周波数において発生する漏洩モード、共振モードを抑えることができる。
【0082】
基板を貫く多くのビアホールを設ける必要がなく、1つのマイクロ波配線に対して貫通穴を1つ開口するだけで製作できると共に、ビアホールほどの高精度なアライメント技術が不要なため、プロセス構成が大幅に軽減される。
【0083】
スロット線路などの他のプレーナ型線路との整合がよい。
【0084】
マイクロ波実装基板、受動基板ばかりでなく、能動回路を搭載した半導体集積回路にも使用でき、チップサイズに制限がない。
【0085】
主要なマイクロ波伝送特性は、マイクロ波信号線周りに配置された誘電体の特性(比誘電率、誘電体ロス、周波数分散)に依って決定され、使用する基板に対して自由度が大変大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビアなし)−下クランド)である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波線路の特性を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における通常のコプレーナ線路の特性を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビア無し)−下グランド/裏面基板付)である。
【図5】本発明の第6の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビア無し)−上下グランド)である。
【図6】本発明の第7の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビア有り)−下グランド)である。
【図7】本発明の第8の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板張合わせ型(ビア無し)−下グランド)である。
【図8】本発明の第9の実施の形態におけるマイクロ波伝送線路の模式図(基板貫通型(ビア無し)−下グランド/ロス有り)である。
【図9】従来の漏洩波と結合周波数を上げる方法を説明するための図である。
【図10】従来の基板の大きさに関係する共振ノードを発生させない方法を説明するための図である。
【図11】従来の漏洩モードを抑えて高い周波数まで主モードを損伝搬させる方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 第1の基板
2 第1の誘電体
3 マイクロ波線路信号線
4 マイクロ波線路表面グランド
5 第1の基板における貫通穴側面金属配線
6 ビアホール
7 第1の基板の貫通穴側面金属配線
8 第2の基板
9 第2の誘電体
10 第2の基板の裏面グランド
11 第2の基板における貫通穴側面金属配線
12 高抵抗層または、高誘電体損失層
13 第2のマイクロ波線路表面グランド
Claims (11)
- 一部に貫通穴が設けられた基板と、
前記貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、
前記貫通穴に充填された誘電体と、
前記誘電体上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、
前記第1の配線金属に接続されているマイクロ波線路のグランドと、
前記マイクロ波線路のグランドに敷かれた第2の配線金属と、
前記基板の裏面の少なくとも前記誘電体に敷かれ、前記第1の配線金属に接続されている第3の配線金属と、を有することを特徴とするマイクロ波伝送線路。 - 一部に貫通穴が設けられた基板Aと、
前記貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、
前記貫通穴に充填された誘電体Aと、
前記誘電体A上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、
前記第1の配線金属に接続されているマイクロ波線路のグランドと、
前記マイクロ波線路のグランドに敷かれた第2の配線金属と、
前記基板の裏面の少なくとも前記誘電体Aに敷かれ、前記第1の配線金属に接続されている第3の配線金属と、を有する第1の基板と、
一部に貫通穴が設けられた基板Bと、
前記貫通穴の側壁に敷かれた第4の配線金属と、
前記貫通穴に充填された誘電体Bと、
前記基板裏面の少なくとも前記誘電体B下に敷かれ、前記第1の配線金属と接続されている第5の配線金属と、を有する第2の基板と、を有し、
前記第1の基板と前記第2の基板が突き合わされ、前記第2の配線金属と前記第4の配線金属が接続されることを特徴とするマイクロ波伝送線路。 - 一部に貫通穴が設けられた基板と、
前記貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、
前記貫通穴に充填された誘電体と、
前記誘電体上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、
前記第1の配線金属にビアを介して接続される第2の配線金属からなるマイクロ線路のグランドと、を有することを特徴とするマイクロ波伝送線路。 - 一部に貫通穴が設けられた基板Aと、
前記貫通穴の側壁に敷かれた第1の配線金属と、
前記貫通穴に充填された誘電体Aと、
前記誘電体A上に配置されたマイクロ波線路の信号線と、
前記第1の配線金属に接続されているマイクロ波線路のグランドと、
前記マイクロ波線路のグランドに敷かれた第2の配線金属と、
前記基板の裏面の少なくとも前記誘電体Aに敷かれ、前記第1の配線金属に接続されている第3の配線金属と、を有する第1の基板と、
一部に貫通穴が設けられた基板Bと、
前記貫通穴の側壁に敷かれた第4の配線金属と、
前記貫通穴に充填された誘電体Bと、
前記基板裏面の少なくとも前記誘電体B下に敷かれ、前記第1の配線金属と接続されている第5の配線金属と、を有する第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置され、側面で接続される誘電体でなる基板と、
前記第1の基板、前記第2の基板及び前記誘電体でなる基板のそれぞれの接続面を接続する第6の配線金属と、
前記誘電体でなる基板上に配置されるマイクロ波線路の信号線と、
前記第6の配線金属に接続され、第7の配線金属からなるマイクロ線路のグランドと、
少なくとも前記誘電体でなる基板下に敷かれ、前記第6の配線金属に接続される第8の配線金属と、を有することを特徴とするマイクロ波伝送線路。 - 前記基板が、
Si,Ge,GaAs,InP,SiC,GaN,または、GaSb、または、それらの化合物でなる請求項1乃至4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路。 - 前記基板が、
セラミック、ガラスセラミックス、または、テフロン(登録商標)でなる請求項1乃至4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路。 - 前記基板の裏面、表面または、両面の全部または、一部に、高抵抗層または、高誘電体損層を有し、
前記高抵抗層または、前記高誘電体損層が、結晶成長、イオン注入、拡散などを用いたドーピングまたは不純物の混合によって形成される請求項5または、6記載のマイクロ波伝送線路。 - 前記基板が、
FR4,BTレジン、ガラスエポキシ、ポリイミドガラスなどの有機系樹脂でなる請求項1乃至4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路。 - 前記基板が、
Al,Cu,Ti,Mo,Ni,ステンレス鋼、エナメル鋼、コバール、及びそれらの混合物などからなる金属鋼板でなる請求項1乃至4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路。 - 前記誘電体、前記誘電体A,前記誘電体Bが、
ポリイミド,BCB(Benzocyclobutene),シリコーン、液晶ポリマ、フッ素樹脂などの有機系材料からなる請求項1乃至4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路。 - 前記誘電体、前記誘電体A,前記誘電体Bが、
シリコン酸化物、シリコン窒化物、ガラスセラミックスなどの無機系材料からなる請求項1乃至4のいずれか1項記載のマイクロ波伝送線路。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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