JP2004022556A - 陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルム並びにその製造方法、該低反射電磁波シールドフィルムの接地方法、及び陰極線管 - Google Patents
陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルム並びにその製造方法、該低反射電磁波シールドフィルムの接地方法、及び陰極線管 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高精彩な表示性能が求められるCRTに、十分な電磁波シールド性能と低反射性能の両方を低コストで付与する。
【解決手段】基材フィルム(PET)13の一方の面に高屈折率層12と低屈折率層11とが湿式法により順次積層されてなる低反射フィルムから陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを製造するために、上記基材フィルム13の他方の面に低抵抗導電層(ITO層)14と粘着層15とを順次積層する。金属酸化物、金属窒化物あるいは金属フッ化物等からなる低抵抗導電層を一層追加することにより、湿式フィルムの導電性の低さを補い、電磁波シールド性能を向上させている。導電層は、シールド性能の点からスパッタ法、CVD法等の乾式法で形成することが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】基材フィルム(PET)13の一方の面に高屈折率層12と低屈折率層11とが湿式法により順次積層されてなる低反射フィルムから陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを製造するために、上記基材フィルム13の他方の面に低抵抗導電層(ITO層)14と粘着層15とを順次積層する。金属酸化物、金属窒化物あるいは金属フッ化物等からなる低抵抗導電層を一層追加することにより、湿式フィルムの導電性の低さを補い、電磁波シールド性能を向上させている。導電層は、シールド性能の点からスパッタ法、CVD法等の乾式法で形成することが好ましい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、表示用陰極線管(以下CRTという)、特にパーソナルコンピュータ等のディスプレイモニタ用途のCRTに電磁波シールド性能と低反射性能とを付与するためにそのCRTの表示面に貼り付けられる低反射電磁波シールドフィルム、及その接地方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、テレビジョン用途、ディスプレイモニタ用途のCRTの表示面の外表面には、帯電防止、コントラスト改善、電磁波シールド、低反射化等のため、目的に応じた高機能膜が設けられる様になってきている。
【0003】
一方、ディスプレイモニタ用途の分野では、CRTから漏洩する低周波電磁界の人体に与える影響が最近問題となっており、その漏洩低周波電磁界の低減が求められている。CRTの漏洩低周波電磁界の規制値は、スウェーデン中央労働協議会が制定した労働条件、TCO(TCO’99)等に定められている。このTCOの要請によれば、極低周波帯域(VLF)での漏洩電磁界の規制値はCRT表示面から30cmの距離で1V/m以下と非常に厳しく、この値が事実上全世界標準となっている。
【0004】
また、使用者が表示面に接近して使用するディスプレイモニタにおいては、表示面への蛍光灯等の写りこみを低減する低反射化は従来から強く求められており、従って電磁波シールド性能と低反射性能の両立が、ディスプレイモニタ用途のCRTの分野で必須となっている。
【0005】
一般には、CRT表示面に、酸化金属、窒化金属などからなる高屈折率導電層とシリカ等からなる低屈折率層とをそれぞれ可視光領域波長の1/4程度の薄膜に積層し、光の干渉作用により低反射機能を得、且つ高屈折率導電層を接地してその電位を安定させることにより電磁波シールド性能と低反射性能とを両立させている。
【0006】
この場合、先に述べたTCO規格を満たす電磁波シールド性能を得るためには、高屈折率導電層のシート抵抗を1×103Ω/cm2程度以下の低抵抗とし、且つ接地してその電位を安定させる必要がある。
【0007】
CRT表示面に、このような高機能膜を形成する手法として、乾式のスパッタリングにより該表面に膜を直接形成する乾式スパッタ法、ポリエチレンテレフタレート(PET)などプラスティック基材上にスパッタリングなどにより高機能膜を形成し、この膜(以下、高機能フィルムという)をCRT表示面に貼り付ける、いわゆるフィルムコーティング法などが従来から広く用いられている。
【0008】
上記のフィルムコーティング法は、低反射性能、電磁波シールド性能が高機能フィルムを貼り付けるだけで良いという製造工程の簡便さ、リワーク性の良さなどから、最近多く用いられるようになってきている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高機能フィルムは、一般に酸化金属、窒化金属を主成分とする高屈折率導電層とシリカを主成分とする低屈折率層とを、スパッタ法、CVD法などの乾式法でプラスティック基材上に多層積層することにより製造されるものであるが、その製造工程は複雑であり、製造設備も高価であることから高機能フィルム自体が高価であるという問題がある。
【0010】
この問題に対処するため、酸化金属や窒化金属の微粒子を分散させた液を印刷法、スピンコート法など湿式法によりプラスティック基材上に塗布して高屈折率層を形成し、その上にシリカやフッ素系樹脂など低屈折率材料をやはり湿式法で塗布し低屈折率層を積層する方法が提案され、この方法により形成された高機能フィルム(以下、湿式フィルムという)も一部商品化もされている。この方法によれば、比較的安価な製造装置、簡便な製造工程で生産が可能であり、高機能フィルムの低コスト化が可能である。
【0011】
しかし、この方法では、高屈折率層を酸化金属や窒化金属など金属微粒子の分散液から得るため、分散安定性確保の制約から金属粒子の濃度を上げることができず、そのため高屈折率導電層のシート抵抗は1×109Ω/cm2以上となり、その導電性は低い。それに加え、高屈折率導電層をシリカやフッ素系樹脂などの絶縁層が覆うため、高屈折率導電層を接地することができないこともあり、先に述べたTCOの規格を満たすことは不可能である。
【0012】
湿式法により高機能フィルムを形成する方法の具体的例として、特開2002−46207号公報に記載された方法を説明する。この方法では、基材のPETフィルムと低反射層との間に、湿式法により、ウレタンアクリレート系樹脂を主剤とするハードコート層を設け、このハードコート層に金属導電性フィラーを分散させて導電層とし、その上から、導電剤を含まないアクリル樹脂からなる高屈折率層とフッ素系樹脂からなる低屈折率層を積層する。
【0013】
この方法によれば、導電層と低反射層とを分けることができ、この場合、導電層は可視光波長領域波長の1/4程度という膜厚の制約を受けないため、膜厚を適度にコントロールすれば、導電層のシート抵抗が高いことによる電磁波シールド性能の低さは、ある程度は改善されるものと思われる。しかし、この導電層は絶縁層であるアクリル系樹脂層とフッ素系樹脂層とにより二重に覆われるため、その接地は従来の湿式フィルムに比べ更に困難になり、TCO規格を満たす電磁波シールド性能はやはり得られない。
【0014】
特開2002−43791号公報には、電磁波シールド性能と低反射性能とを両立する高機能フィルムの別の形成方法として、低反射層と導電層を別々にフィルム状に形成し、これらのフィルムを剥離可能な接着層もしくは、粘着層により貼り合わせ、更にこの貼り合わせたフィルムを導電層裏面に形成した粘着層により基材フィルムに貼り合わせる方法が提案されている。
【0015】
この特開2002−43791号公報は、また、導電層の接地方法として、低反射層を構成するフィルムの一部に切り込みをいれ、この部分を剥離除去することにより導電層を露出させ、該露出部分に導電テープを貼り付ける方法を提案している。
【0016】
この接地方法によれば、導電層と直接コンタクトして導通をとることができるので、導電層に適度なシート抵抗を持たせ得れば、TCO規格をクリアできる電磁波シールド性能を得ることが可能であると思われる。
【0017】
しかし、上記特開2002−43791号公報に記載の方法により高機能フィルムを製造するためには、低屈折率層と高屈折率層とを積層して低反射フィルムを形成する工程、基材フィルムに導電剤を分散させるかもしくは表面に導電材料の層を形成し、導電層を形成する工程、基材フィルム側もしくは低反射フィルム側に剥離可能な粘着剤を塗布するかもしくは粘着層フィルムを別に形成し、低反射フィルムと導電性フィルムとを貼り合わせる工程、導電性フィルム裏面に粘着層を塗布するかもしくは粘着層フィルムを別に形成して、支持フィルムに貼り合わせる工程、支持フィルム裏面に粘着層を塗布する工程、低反射フィルムにレーザー加工により切り込み線を入れる工程というように非常に多くの工程が必要とされる。
【0018】
従来の湿式フィルムが、基本的には基材フィルム上に印刷法等の湿式法により高屈折率層と低屈折率層とを積層して低反射層を形成する工程、基材フィルム裏面に粘着層を塗布する工程だけで製造可能であるのに対し、上記特開2002−43791号公報に記載の方法は製造工程が複雑であり高コスト化が予想される。
【0019】
更に、上記特開2002−43791号公報に記載の方法では、各機能フィルムを粘着層を介して貼り合わせるので、最終的に得られるフィルムの総厚が厚くなり、従ってフィルム透過光の拡散が増大する。更に、支持フィルムと粘着層界面、粘着層と導電層界面、導電層と粘着層界面、粘着層と低反射層界面というように、従来フィルムに比べ屈折率界面が増えるのでフィルム内での多重散乱の増大から、CRTのフォーカス性能に悪影響を及ぼすことが予想され、0.25mmピッチ以下の高精彩な表示性能が求められるディスプレイモニタ用途のCRTへの適用は困難である。
【0020】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、高精彩な表示性能が求められるCRTに、十分な電磁波シールド性能と低反射性能の両方を低コストで付与することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明によれば、基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に順次積層された高屈折率層及び低屈折率層と、該基材フィルムの他方の面に順次積層された導電層及び粘着層とからなることを特徴とする陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムが提供される。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記粘着層が、矩形に裁断された低反射電磁波シールドフィルムの少なくとも1つの辺部に切欠きを有し、該切欠きを通して前記導電層が露出していることを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記粘着層内に導電剤粒子を分散させたことを特徴とする。
【0024】
上記目的を達成すべく、請求項4に記載の発明によれば、基材フィルムの一方の面に高屈折率層と低屈折率層とが湿式法により順次積層されてなる低反射フィルムから陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを製造する方法であって、
前記基材フィルムの他方の面に低抵抗導電層と粘着層とを順次積層することを特徴とする陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムの製造方法が提供される。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記粘着層が、矩形に裁断された低反射電磁波シールドフィルムの少なくとも1つの辺部に切欠きを有するように、前記粘着層を前記導電層に積層する際に、前記切欠きに対応するマスクを用いることを特徴とする。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記粘着層内に導電剤粒子を分散させたことを特徴とする。
【0027】
上記目的を達成すべく、請求項7に記載の発明によれば、請求項1または3に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを陰極線管の表示面に貼り付ける際に、該低反射電磁波シールドフィルムを接地する方法であって、
電極部材の一端を陰極線管の防爆バンドに貼り付け、前記電極部材の他端を陰極線管の表示面に貼り付け、
前記粘着層を前記電極部材の前記他端を覆うように陰極線管の表示面に貼り付けることを特徴とする低反射電磁波シールドフィルムの接地方法が提供される。
【0028】
上記目的を達成すべく、請求項8に記載の発明によれば、請求項2に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを陰極線管の表示面に貼り付ける際に、該低反射電磁波シールドフィルムを接地する方法であって、
電極部材の一端を陰極線管の防爆バンドに貼り付け、前記電極部材の他端の下面を陰極線管の表示面に貼り付け、
前記電極部材の前記他端の上面が前記導電層の露出している部分に接するように前記粘着層を前記陰極線管の表示面に貼り付けることを特徴とする低反射電磁波シールドフィルムの接地方法が提供される。
【0029】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の発明において、前記電極部材が金属箔を基材とする金属テープであることを特徴とする。
【0030】
上記目的を達成すべく、請求項10に記載の発明によれば、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法により接地された低反射電磁波シールドフィルムが表示面に貼り付けられていることを特徴とする陰極線管が提供される。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1に本発明の低反射電磁波シールドフィルムが適用されるCRTの概略構造を示す。CRTは、パネル部1とパネル部1に封着され真空容器を形成するファンネル部2と、ファンネル部2に取り付けられ、内側に電子線衝撃により発光する発光素子である蛍光体(図示せず)を衝撃するための電子線を発生させる電子線源(図示せず)を保持するネック部3により構成される。パネル部1の前面が画像表示面となる。また、パネル部1の側面にはCRT爆縮防止用の締め付け金具(防爆バンド)4が取り付けられている。また、ファンネル部2には、磁界を発生させ、電子線源からの電子の軌道をコントロールして表示面全体を走査させるための電磁コイル(偏向ヨーク)5が取り付けられている。CRTから漏洩する電磁波は、主としてこの偏向ヨーク5から発生する交流電界である。
【0032】
図2は本発明の実施の形態1に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を示し、図3は湿式法で製造され、市販されている低反射電磁波シールドフィルム(以下、第1の従来フィルムという)の構成を示し、図4は乾式方で製造され本願出願人が従来から採用している低反射電磁波シールドフィルム(以下、第2の従来フィルムという)の構成を示している。以下、本発明の実施の形態1に係る低反射電磁波シールドフィルムを第1及び第2の従来フィルムと比較しながら説明する。
【0033】
図3に示した第1の従来フィルムは、PETフィルム13を基材とし、その表面にアクリル樹脂中に酸化金属を分散させた高屈折率層12を印刷法にて形成し、更にフッ素系樹脂からなる低屈折率層11を同じく印刷法にて形成した膜構成となっている。図中の粘着層15は、CRT表示面前面に当該フィルムを貼り付けるため、本願出願人側でアクリル系の粘着剤を塗布して形成したものである。
【0034】
図2に示した本実施の形態1の低反射電磁波シールドフィルムは、図3に示した第1の従来フィルムの裏面に、本願出願人側でインジュームをドープした酸化錫(ITO)をスパッタし、導電層14を形成したものである。フィルム表面側の低反射層の構成は第1の従来フィルムと同じであり、裏面に導電層14としてITO層を設けた点が従来と異なる。粘着層15は、第1の従来フィルムと同様、アクリル系粘着剤を使用して形成している。
【0035】
図4に示した第2の従来フィルムは、PETフィルム23の表面に高屈折率層としてTiNx層22、低屈折率層としてシリカ(SiO2)層21をそれぞれスパッタ法にて形成し、積層したものである。また、該フィルムの裏面にはCRT表示面前面に貼り付けるため、アクリル系粘着剤からなる粘着層25が設けられている。
【0036】
次に、図5(A)及び(B)を参照して、図2に示した本実施の形態1のフィルム及び図3に示した第1の従来フィルムのCRTへの装着方法及び接地方法を説明する。
【0037】
低反射電磁波シールドフィルム53をCRTの表示面50に貼り付ける前に、アルミニウム箔を基材とし片面に粘着層を設けたアルミニウムテープ51の一方の側を表示面50の上端部及び下端部の略中央部分にそれぞれ貼り付け、その他方の側を防爆バンド4にそれぞれ貼り付け、接地用電極とする。
【0038】
次にこのアルミニウムテープ51を覆うようにフィルム53を表示面前面に貼り付け防爆バンド4とフィルム53との間の導通を確保する。アルミニウムテープ51とフィルムとの重なり面積は、22.5cm2となるように調整している。これは、CRTをディスプレイモニターセットに組み込んだ場合に、アルミニウムテープ51がディスプレイモニターセット前面の周辺枠(ベゼル)で隠され、外から見えないようにするためである。最後に、防爆バンド4に導線を接続し、該導線を接地する。
【0039】
防爆バンド4の接地は、ディスプレイモニタ組立てや、テレビセット組立てにおいて、CRT内部の電位を一定に保ち、電子線源から出射する電子の軌道を安定化させ、発光素子である蛍光体層へ正確に導くために行われるものであり、従来から必須の工程である。従って、上記の接地方法によれば、電極を形成する工程、及び形成した電極を防爆バンドに結合する工程の2つの工程を追加するだけでフィルム53を接地し、電磁波シールド性能を得ることができる。更に、本実施形態では、アルミニウムテープ51を接地用電極としているので、実質的にはアルミニウムテープ51を表示面と防爆バンドとに貼り付ける1つの工程でフィルム53の接地が完了することになる。
【0040】
次に、図6(A)及び(B)を参照して図4に示した第2の従来フィルムのCRTへの装着方法、及び接地方法について説明する。
【0041】
第2の従来フィルムの場合、直接CRT表示面50に低反射電磁波シールドフィルム55を貼り付け、その表面に超音波発振する半田鏝を用いて半田電極54を形成し、シリカ層(低屈折率層)21中に半田を浸透拡散させることにより導電層としてのTiNx層(高屈折率層)22と直接導通をとり、この半田電極54をアルミニウムテープ51により防爆バンド4に接続し、TiNx層22と防爆バンド4との導通を確保する。その後、上記と同様にして防爆バンド4を接地する。この方法は本願出願人が従来行っている方法である。
【0042】
これら、三種類のフィルムを装着したCRTの電磁波シールド性能を比較するために、通常のディスプレイモニターセット動作条件でCRTを点灯させ、TCO規格での測定基準に従い、表示面から30cm離れた正面の地点での漏洩電界強度を測定した。測定にはCombinova社製EFM200を用いた。
【0043】
尚、通常、防爆バンド4に接続される導線はモニターセット基板のアース部に連結されるが、今回はCRTをモニターセットに組み込まず、CRT単体で測定したため、導線はモニターセット基板を介さず直接接地した。また、シールド性能の確認のため、CRT表面にフィルムを貼り付けない場合についても同様の測定を行った。
【0044】
図7の表に漏洩電界強度の測定結果を示す。漏洩電界強度の値が小さい程、電磁波シールド性能が高いことを表している。この表から、第1の従来フィルム(市販されている湿式低反射フィルム)を貼ったCRTの漏洩電界強度は3.0V/mであり、フィルムを貼らないCRTの漏洩電界強度3.1V/mとほぼ同じであり、従って第1の従来フィルムは電磁波シールド性能を持たないことがわかる。
【0045】
一方、第1の従来フィルムにITO層を設けた本実施の形態1のフィルムの場合は、漏洩電界強度は0.64V/mであり、本願出願人が従来から採用している第2の従来フィルム(0.22V/m)には及ばないものの、TCO規格の要求値1.0V/m以下を満足する電磁波シールド性能を有している。この性能向上は、フィルム裏面に設けたITO導電層の効果によるものである。また、この場合のITO導電層と接地用電極としてのアルミニウムテープとの間の導通は、粘着剤に含まれる電気的に活性の高い極性基(粘着層としてアクリル樹脂を使う本実施の形態ではアクリルカルボニル基)により、粘着層に電圧が印加されたときに生じるリーク電流によるものと考えられる。
【0046】
本実施の形態1は、金属酸化物、金属窒化物あるいは金属フッ化物等からなる低抵抗導電層を一層追加することにより、湿式フィルムの導電性の低さを補い、電磁波シールド性能を向上させている。導電層は、シールド性能の点からスパッタ法、CVD法等の乾式法で形成することが好ましい。乾式法を用いれば、導電層を金属酸化物、金属窒化物あるいは金属フッ化物の連続膜として形成可能であり、金属化合物粒子バインダを塗布する湿式法で形成する場合に比べ、導電層のシート抵抗を小さくすることができるので優れた電磁波シールド性能を得ることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態1は、低反射特性と導電特性とをフィルムの表面及び裏面に別々に持たせるようにし、電磁波シールド性能の劣る安価な市販の湿式低反射フィルムの製造工程に、該フィルムの裏面に上記したような方法で導電層を1層形成する工程を追加するだけで低反射性能及び電磁波シールド性能の両方に優れたフィルムを製造することが可能であり、工程不良率や設備投資等による製造コスト上昇を最小限に抑えることができる。
【0048】
実施の形態2.
図8に本発明の実施の形態2に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を示す。本実施の形態2の低反射電磁波シールドフィルムは、第1の従来フィルム(市販の湿式低反射フィルム)の裏面にITO導電層14を形成後、その表面の上端部及び下端部の略中央部分にそれぞれ不図示のマスクテープを貼り、粘着剤を塗布して粘着層15を形成後にこのマスクテープを剥がすことにより、粘着層に切欠きを形成しITO導電層14を一部露出させるようにしたものである。なお、この切欠きは、表示性能に影響を及ぼさないようにするため表示画面周辺部に形成する必要がある。
【0049】
本実施の形態2においても、フィルムの接地は、実施の形態1の場合と同様、アルミニウムテープ51を用いて行う。図9(A)及び(B)を参照して本実施の形態2のフィルム53の接地方法について説明する。CRT表示面50へのフィルム53の貼付時に、接地電極としてのアルミニウムテープ51を、その一方の側が該フィルム53の粘着層の切欠きに入り込むようにフィルム53を表示面50に貼付けるとともにその他方の側を防爆バンド4に貼付け、防爆バンド4を接地する。なお、フィルム53とアルミニウムテープ51の重なり面積は実施の形態1の場合と同様22.5cm2に調整している。
【0050】
図10の表に本実施の形態2のフィルムを装着したCRTの漏洩電界強度の測定結果を示す。本実施の形態2のフィルムを貼り付けたCRTの漏洩電界は0.24V/mであり、粘着層に切欠きを設けない場合(即ち、実施の形態1のフィルムを貼り付けた場合)にくらべて電磁波シールド性能が向上し、第2の従来フィルムの場合と同等の電磁波シールド性能が得られることが確認された。
【0051】
この性能向上は、粘着層15の接地用電極(アルミニウムテープ51)と接触する部分の粘着層を除去した結果、導電層(ITO層14)と接地用電極とが直接コンタクトし、導通性が向上した効果である。
【0052】
実施の形態3.
図11に本発明の実施の形態3に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を示す。本実施の形態3のフィルムは、第1の従来フィルム(市販の湿式低反射フィルム)の裏面にITO導電層を形成後、平均粒径0.2μmのITO粒子を重量比で0.5%分散させた粘着剤を塗布することにより粘着層を形成したものである。
【0053】
なお、本実施の形態3の低反射電磁波シールドフィルムの接地は、図5(A)、(B)を参照して説明した実施の形態1の場合と同様であり、CRT表示面上端と下端に接地用電極としてのアルミニウムテープを貼付けることにより行う。
【0054】
図12の表に本実施の形態3のフィルムを装着したCRTの漏洩電界強度の測定結果を示す。本実施の形態3のフィルムを貼り付けたCRTの漏洩電界は0.23V/mであり、粘着層に導電剤を分散させない場合(即ち、実施の形態1のフィルム)にくらべて電磁波シールド性能が向上し、第2の従来フィルムの場合と同等の性能が得られることが確認された。
【0055】
この性能向上は、粘着層に導電剤(ITO)を分散させ導電性を付与した結果、導電層(ITO層)14と接地用電極(アルミニウムテープ51)の粘着層を介した導電性が向上した効果である。この導電性の向上のメカニズムについて以下に説明する。
【0056】
導電層14と接地用電極51(アルミニウムテープ51)との導通は、導電層14と接地用電極51との直接的なコンタクトまたはそれらの間の容量結合により得られると考えられる。
【0057】
図13(A)は、導電層14と接地用電極51とが直接電気的にコンタクトしている状態を示しており、この状態では粘着層14内に存在する導電剤の1個の大粒子31または複数個の小粒子32の凝集塊が導電層14と接地用電極51とを直接電気的に接続している。この場合の導電剤としては、ITO、Ni等の微小金属粒子、カーボン粒子、カーボンファイバ等を用いることができる。
【0058】
図13(B)は、導電層14と接地用電極51とが容量的に結合している状態を示しており、この状態では粘着層14内に鱗片33として分散する導電剤が微小コンデンサを形成し、該微小コンデンサが導電層14と接地用電極51とを容量的に結合している。CRTの漏洩電磁波は、主にその偏向ヨークから発生する交流電界であるので、導電剤粒子の平均面積及び濃度を制御することにより微小コンデンサの静電容量を適正な値に設定すれば、導電層14と接地用電極51との間の交流抵抗はほぼ0となり、電磁波シールド効果を得ることができる。この場合の導電剤としては、カーボングラファイト等を用いることができる。
【0059】
本実施の形態3は、粘着層に導電性を付与することにより、低反射電磁波シールドフィルムの粘着層に導通を確保するための特別の部位を設けることなく、該フィルムを接地することができる。
【0060】
【発明の効果】
請求項1及び4に記載の発明によれば、低反射特性と導電特性とをフィルムの表面及び裏面に別々に持たせるようにし、金属酸化物、金属窒化物あるいは金属フッ化物等からなる低抵抗導電層を裏面に一層追加することにより、湿式フィルムの導電性の低さを補い、電磁波シールド性能を向上させた陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムが提供される。
【0061】
請求項2及び5に記載の発明によれば、粘着層に、その接地用電極と対向する部分に切欠きを設け、導電層と接地用電極とを直接コンタクトさせることにより導通性が向上するので電磁波シールド性能が更に向上する。
【0062】
請求項3及び6に記載の発明によれば、粘着層に導電剤を分散させ導電性を付与することにより、導電層と接地用電極との該粘着層を介した導電性が向上し、電磁波シールド性能が更に向上する。
【0063】
請求項7及び8に記載の発明によれば、電極を形成する工程、及び形成した電極を防爆バンドに結合する工程の2つの工程を追加するだけでフィルムを接地し、電磁波シールド性能を得ることができる。
【0064】
請求項9に記載の発明によれば、アルミニウムテープ等の金属箔を基材とする金属テープを表示面と防爆バンドとに貼り付ける1つの工程でフィルムの接地を完了させることができる。
【0065】
請求項10に記載の発明によれば、低反射及び低漏洩電磁界の陰極線管が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるCRTの一般的構造を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を説明する図である。
【図3】湿式法で製造され、市販されている低反射電磁波シールドフィルム(第1の従来フィルム)の構成を説明する図である。
【図4】乾式法で製造され本願出願人が従来から使用している低反射電磁波シールドフィルム(第2の従来フィルム)の構成を説明する図である。
【図5】実施の形態1のフィルム及び第1の従来フィルムの接地方法を説明する図である。
【図6】第2の従来フィルムの接地方法を説明する図である。
【図7】実施の形態1のフィルム、第1の従来フィルム、第2の従来フィルムの電磁波シールド性能を比較して示す表である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を説明する図である。
【図9】実施の形態2のフィルムの接地方法を説明する図である。
【図10】実施の形態1のフィルム、実施の形態2のフィルム、第2の従来フィルムの電磁波シールド性能を比較して示す表である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を説明する図である。
【図12】実施の形態1のフィルム、実施の形態3のフィルム、第2の従来フィルムの電磁波シールド性能を比較して示す表である。
【図13】粘着層に導電剤を分散させた場合の導通メカニズムを説明する図である。
【符号の説明】
11 低屈折率層(フッ素系樹脂)、 12 高屈折率層(アクリル樹脂+酸化金属)、 13 PETフィルム、 14 導電層(ITO)、 15 アクリル系粘着層、 16 ITO粒子(導電剤粒子)。
【発明の属する技術分野】
この発明は、表示用陰極線管(以下CRTという)、特にパーソナルコンピュータ等のディスプレイモニタ用途のCRTに電磁波シールド性能と低反射性能とを付与するためにそのCRTの表示面に貼り付けられる低反射電磁波シールドフィルム、及その接地方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、テレビジョン用途、ディスプレイモニタ用途のCRTの表示面の外表面には、帯電防止、コントラスト改善、電磁波シールド、低反射化等のため、目的に応じた高機能膜が設けられる様になってきている。
【0003】
一方、ディスプレイモニタ用途の分野では、CRTから漏洩する低周波電磁界の人体に与える影響が最近問題となっており、その漏洩低周波電磁界の低減が求められている。CRTの漏洩低周波電磁界の規制値は、スウェーデン中央労働協議会が制定した労働条件、TCO(TCO’99)等に定められている。このTCOの要請によれば、極低周波帯域(VLF)での漏洩電磁界の規制値はCRT表示面から30cmの距離で1V/m以下と非常に厳しく、この値が事実上全世界標準となっている。
【0004】
また、使用者が表示面に接近して使用するディスプレイモニタにおいては、表示面への蛍光灯等の写りこみを低減する低反射化は従来から強く求められており、従って電磁波シールド性能と低反射性能の両立が、ディスプレイモニタ用途のCRTの分野で必須となっている。
【0005】
一般には、CRT表示面に、酸化金属、窒化金属などからなる高屈折率導電層とシリカ等からなる低屈折率層とをそれぞれ可視光領域波長の1/4程度の薄膜に積層し、光の干渉作用により低反射機能を得、且つ高屈折率導電層を接地してその電位を安定させることにより電磁波シールド性能と低反射性能とを両立させている。
【0006】
この場合、先に述べたTCO規格を満たす電磁波シールド性能を得るためには、高屈折率導電層のシート抵抗を1×103Ω/cm2程度以下の低抵抗とし、且つ接地してその電位を安定させる必要がある。
【0007】
CRT表示面に、このような高機能膜を形成する手法として、乾式のスパッタリングにより該表面に膜を直接形成する乾式スパッタ法、ポリエチレンテレフタレート(PET)などプラスティック基材上にスパッタリングなどにより高機能膜を形成し、この膜(以下、高機能フィルムという)をCRT表示面に貼り付ける、いわゆるフィルムコーティング法などが従来から広く用いられている。
【0008】
上記のフィルムコーティング法は、低反射性能、電磁波シールド性能が高機能フィルムを貼り付けるだけで良いという製造工程の簡便さ、リワーク性の良さなどから、最近多く用いられるようになってきている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高機能フィルムは、一般に酸化金属、窒化金属を主成分とする高屈折率導電層とシリカを主成分とする低屈折率層とを、スパッタ法、CVD法などの乾式法でプラスティック基材上に多層積層することにより製造されるものであるが、その製造工程は複雑であり、製造設備も高価であることから高機能フィルム自体が高価であるという問題がある。
【0010】
この問題に対処するため、酸化金属や窒化金属の微粒子を分散させた液を印刷法、スピンコート法など湿式法によりプラスティック基材上に塗布して高屈折率層を形成し、その上にシリカやフッ素系樹脂など低屈折率材料をやはり湿式法で塗布し低屈折率層を積層する方法が提案され、この方法により形成された高機能フィルム(以下、湿式フィルムという)も一部商品化もされている。この方法によれば、比較的安価な製造装置、簡便な製造工程で生産が可能であり、高機能フィルムの低コスト化が可能である。
【0011】
しかし、この方法では、高屈折率層を酸化金属や窒化金属など金属微粒子の分散液から得るため、分散安定性確保の制約から金属粒子の濃度を上げることができず、そのため高屈折率導電層のシート抵抗は1×109Ω/cm2以上となり、その導電性は低い。それに加え、高屈折率導電層をシリカやフッ素系樹脂などの絶縁層が覆うため、高屈折率導電層を接地することができないこともあり、先に述べたTCOの規格を満たすことは不可能である。
【0012】
湿式法により高機能フィルムを形成する方法の具体的例として、特開2002−46207号公報に記載された方法を説明する。この方法では、基材のPETフィルムと低反射層との間に、湿式法により、ウレタンアクリレート系樹脂を主剤とするハードコート層を設け、このハードコート層に金属導電性フィラーを分散させて導電層とし、その上から、導電剤を含まないアクリル樹脂からなる高屈折率層とフッ素系樹脂からなる低屈折率層を積層する。
【0013】
この方法によれば、導電層と低反射層とを分けることができ、この場合、導電層は可視光波長領域波長の1/4程度という膜厚の制約を受けないため、膜厚を適度にコントロールすれば、導電層のシート抵抗が高いことによる電磁波シールド性能の低さは、ある程度は改善されるものと思われる。しかし、この導電層は絶縁層であるアクリル系樹脂層とフッ素系樹脂層とにより二重に覆われるため、その接地は従来の湿式フィルムに比べ更に困難になり、TCO規格を満たす電磁波シールド性能はやはり得られない。
【0014】
特開2002−43791号公報には、電磁波シールド性能と低反射性能とを両立する高機能フィルムの別の形成方法として、低反射層と導電層を別々にフィルム状に形成し、これらのフィルムを剥離可能な接着層もしくは、粘着層により貼り合わせ、更にこの貼り合わせたフィルムを導電層裏面に形成した粘着層により基材フィルムに貼り合わせる方法が提案されている。
【0015】
この特開2002−43791号公報は、また、導電層の接地方法として、低反射層を構成するフィルムの一部に切り込みをいれ、この部分を剥離除去することにより導電層を露出させ、該露出部分に導電テープを貼り付ける方法を提案している。
【0016】
この接地方法によれば、導電層と直接コンタクトして導通をとることができるので、導電層に適度なシート抵抗を持たせ得れば、TCO規格をクリアできる電磁波シールド性能を得ることが可能であると思われる。
【0017】
しかし、上記特開2002−43791号公報に記載の方法により高機能フィルムを製造するためには、低屈折率層と高屈折率層とを積層して低反射フィルムを形成する工程、基材フィルムに導電剤を分散させるかもしくは表面に導電材料の層を形成し、導電層を形成する工程、基材フィルム側もしくは低反射フィルム側に剥離可能な粘着剤を塗布するかもしくは粘着層フィルムを別に形成し、低反射フィルムと導電性フィルムとを貼り合わせる工程、導電性フィルム裏面に粘着層を塗布するかもしくは粘着層フィルムを別に形成して、支持フィルムに貼り合わせる工程、支持フィルム裏面に粘着層を塗布する工程、低反射フィルムにレーザー加工により切り込み線を入れる工程というように非常に多くの工程が必要とされる。
【0018】
従来の湿式フィルムが、基本的には基材フィルム上に印刷法等の湿式法により高屈折率層と低屈折率層とを積層して低反射層を形成する工程、基材フィルム裏面に粘着層を塗布する工程だけで製造可能であるのに対し、上記特開2002−43791号公報に記載の方法は製造工程が複雑であり高コスト化が予想される。
【0019】
更に、上記特開2002−43791号公報に記載の方法では、各機能フィルムを粘着層を介して貼り合わせるので、最終的に得られるフィルムの総厚が厚くなり、従ってフィルム透過光の拡散が増大する。更に、支持フィルムと粘着層界面、粘着層と導電層界面、導電層と粘着層界面、粘着層と低反射層界面というように、従来フィルムに比べ屈折率界面が増えるのでフィルム内での多重散乱の増大から、CRTのフォーカス性能に悪影響を及ぼすことが予想され、0.25mmピッチ以下の高精彩な表示性能が求められるディスプレイモニタ用途のCRTへの適用は困難である。
【0020】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、高精彩な表示性能が求められるCRTに、十分な電磁波シールド性能と低反射性能の両方を低コストで付与することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明によれば、基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に順次積層された高屈折率層及び低屈折率層と、該基材フィルムの他方の面に順次積層された導電層及び粘着層とからなることを特徴とする陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムが提供される。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記粘着層が、矩形に裁断された低反射電磁波シールドフィルムの少なくとも1つの辺部に切欠きを有し、該切欠きを通して前記導電層が露出していることを特徴とする。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記粘着層内に導電剤粒子を分散させたことを特徴とする。
【0024】
上記目的を達成すべく、請求項4に記載の発明によれば、基材フィルムの一方の面に高屈折率層と低屈折率層とが湿式法により順次積層されてなる低反射フィルムから陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを製造する方法であって、
前記基材フィルムの他方の面に低抵抗導電層と粘着層とを順次積層することを特徴とする陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムの製造方法が提供される。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記粘着層が、矩形に裁断された低反射電磁波シールドフィルムの少なくとも1つの辺部に切欠きを有するように、前記粘着層を前記導電層に積層する際に、前記切欠きに対応するマスクを用いることを特徴とする。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記粘着層内に導電剤粒子を分散させたことを特徴とする。
【0027】
上記目的を達成すべく、請求項7に記載の発明によれば、請求項1または3に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを陰極線管の表示面に貼り付ける際に、該低反射電磁波シールドフィルムを接地する方法であって、
電極部材の一端を陰極線管の防爆バンドに貼り付け、前記電極部材の他端を陰極線管の表示面に貼り付け、
前記粘着層を前記電極部材の前記他端を覆うように陰極線管の表示面に貼り付けることを特徴とする低反射電磁波シールドフィルムの接地方法が提供される。
【0028】
上記目的を達成すべく、請求項8に記載の発明によれば、請求項2に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを陰極線管の表示面に貼り付ける際に、該低反射電磁波シールドフィルムを接地する方法であって、
電極部材の一端を陰極線管の防爆バンドに貼り付け、前記電極部材の他端の下面を陰極線管の表示面に貼り付け、
前記電極部材の前記他端の上面が前記導電層の露出している部分に接するように前記粘着層を前記陰極線管の表示面に貼り付けることを特徴とする低反射電磁波シールドフィルムの接地方法が提供される。
【0029】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の発明において、前記電極部材が金属箔を基材とする金属テープであることを特徴とする。
【0030】
上記目的を達成すべく、請求項10に記載の発明によれば、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法により接地された低反射電磁波シールドフィルムが表示面に貼り付けられていることを特徴とする陰極線管が提供される。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1に本発明の低反射電磁波シールドフィルムが適用されるCRTの概略構造を示す。CRTは、パネル部1とパネル部1に封着され真空容器を形成するファンネル部2と、ファンネル部2に取り付けられ、内側に電子線衝撃により発光する発光素子である蛍光体(図示せず)を衝撃するための電子線を発生させる電子線源(図示せず)を保持するネック部3により構成される。パネル部1の前面が画像表示面となる。また、パネル部1の側面にはCRT爆縮防止用の締め付け金具(防爆バンド)4が取り付けられている。また、ファンネル部2には、磁界を発生させ、電子線源からの電子の軌道をコントロールして表示面全体を走査させるための電磁コイル(偏向ヨーク)5が取り付けられている。CRTから漏洩する電磁波は、主としてこの偏向ヨーク5から発生する交流電界である。
【0032】
図2は本発明の実施の形態1に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を示し、図3は湿式法で製造され、市販されている低反射電磁波シールドフィルム(以下、第1の従来フィルムという)の構成を示し、図4は乾式方で製造され本願出願人が従来から採用している低反射電磁波シールドフィルム(以下、第2の従来フィルムという)の構成を示している。以下、本発明の実施の形態1に係る低反射電磁波シールドフィルムを第1及び第2の従来フィルムと比較しながら説明する。
【0033】
図3に示した第1の従来フィルムは、PETフィルム13を基材とし、その表面にアクリル樹脂中に酸化金属を分散させた高屈折率層12を印刷法にて形成し、更にフッ素系樹脂からなる低屈折率層11を同じく印刷法にて形成した膜構成となっている。図中の粘着層15は、CRT表示面前面に当該フィルムを貼り付けるため、本願出願人側でアクリル系の粘着剤を塗布して形成したものである。
【0034】
図2に示した本実施の形態1の低反射電磁波シールドフィルムは、図3に示した第1の従来フィルムの裏面に、本願出願人側でインジュームをドープした酸化錫(ITO)をスパッタし、導電層14を形成したものである。フィルム表面側の低反射層の構成は第1の従来フィルムと同じであり、裏面に導電層14としてITO層を設けた点が従来と異なる。粘着層15は、第1の従来フィルムと同様、アクリル系粘着剤を使用して形成している。
【0035】
図4に示した第2の従来フィルムは、PETフィルム23の表面に高屈折率層としてTiNx層22、低屈折率層としてシリカ(SiO2)層21をそれぞれスパッタ法にて形成し、積層したものである。また、該フィルムの裏面にはCRT表示面前面に貼り付けるため、アクリル系粘着剤からなる粘着層25が設けられている。
【0036】
次に、図5(A)及び(B)を参照して、図2に示した本実施の形態1のフィルム及び図3に示した第1の従来フィルムのCRTへの装着方法及び接地方法を説明する。
【0037】
低反射電磁波シールドフィルム53をCRTの表示面50に貼り付ける前に、アルミニウム箔を基材とし片面に粘着層を設けたアルミニウムテープ51の一方の側を表示面50の上端部及び下端部の略中央部分にそれぞれ貼り付け、その他方の側を防爆バンド4にそれぞれ貼り付け、接地用電極とする。
【0038】
次にこのアルミニウムテープ51を覆うようにフィルム53を表示面前面に貼り付け防爆バンド4とフィルム53との間の導通を確保する。アルミニウムテープ51とフィルムとの重なり面積は、22.5cm2となるように調整している。これは、CRTをディスプレイモニターセットに組み込んだ場合に、アルミニウムテープ51がディスプレイモニターセット前面の周辺枠(ベゼル)で隠され、外から見えないようにするためである。最後に、防爆バンド4に導線を接続し、該導線を接地する。
【0039】
防爆バンド4の接地は、ディスプレイモニタ組立てや、テレビセット組立てにおいて、CRT内部の電位を一定に保ち、電子線源から出射する電子の軌道を安定化させ、発光素子である蛍光体層へ正確に導くために行われるものであり、従来から必須の工程である。従って、上記の接地方法によれば、電極を形成する工程、及び形成した電極を防爆バンドに結合する工程の2つの工程を追加するだけでフィルム53を接地し、電磁波シールド性能を得ることができる。更に、本実施形態では、アルミニウムテープ51を接地用電極としているので、実質的にはアルミニウムテープ51を表示面と防爆バンドとに貼り付ける1つの工程でフィルム53の接地が完了することになる。
【0040】
次に、図6(A)及び(B)を参照して図4に示した第2の従来フィルムのCRTへの装着方法、及び接地方法について説明する。
【0041】
第2の従来フィルムの場合、直接CRT表示面50に低反射電磁波シールドフィルム55を貼り付け、その表面に超音波発振する半田鏝を用いて半田電極54を形成し、シリカ層(低屈折率層)21中に半田を浸透拡散させることにより導電層としてのTiNx層(高屈折率層)22と直接導通をとり、この半田電極54をアルミニウムテープ51により防爆バンド4に接続し、TiNx層22と防爆バンド4との導通を確保する。その後、上記と同様にして防爆バンド4を接地する。この方法は本願出願人が従来行っている方法である。
【0042】
これら、三種類のフィルムを装着したCRTの電磁波シールド性能を比較するために、通常のディスプレイモニターセット動作条件でCRTを点灯させ、TCO規格での測定基準に従い、表示面から30cm離れた正面の地点での漏洩電界強度を測定した。測定にはCombinova社製EFM200を用いた。
【0043】
尚、通常、防爆バンド4に接続される導線はモニターセット基板のアース部に連結されるが、今回はCRTをモニターセットに組み込まず、CRT単体で測定したため、導線はモニターセット基板を介さず直接接地した。また、シールド性能の確認のため、CRT表面にフィルムを貼り付けない場合についても同様の測定を行った。
【0044】
図7の表に漏洩電界強度の測定結果を示す。漏洩電界強度の値が小さい程、電磁波シールド性能が高いことを表している。この表から、第1の従来フィルム(市販されている湿式低反射フィルム)を貼ったCRTの漏洩電界強度は3.0V/mであり、フィルムを貼らないCRTの漏洩電界強度3.1V/mとほぼ同じであり、従って第1の従来フィルムは電磁波シールド性能を持たないことがわかる。
【0045】
一方、第1の従来フィルムにITO層を設けた本実施の形態1のフィルムの場合は、漏洩電界強度は0.64V/mであり、本願出願人が従来から採用している第2の従来フィルム(0.22V/m)には及ばないものの、TCO規格の要求値1.0V/m以下を満足する電磁波シールド性能を有している。この性能向上は、フィルム裏面に設けたITO導電層の効果によるものである。また、この場合のITO導電層と接地用電極としてのアルミニウムテープとの間の導通は、粘着剤に含まれる電気的に活性の高い極性基(粘着層としてアクリル樹脂を使う本実施の形態ではアクリルカルボニル基)により、粘着層に電圧が印加されたときに生じるリーク電流によるものと考えられる。
【0046】
本実施の形態1は、金属酸化物、金属窒化物あるいは金属フッ化物等からなる低抵抗導電層を一層追加することにより、湿式フィルムの導電性の低さを補い、電磁波シールド性能を向上させている。導電層は、シールド性能の点からスパッタ法、CVD法等の乾式法で形成することが好ましい。乾式法を用いれば、導電層を金属酸化物、金属窒化物あるいは金属フッ化物の連続膜として形成可能であり、金属化合物粒子バインダを塗布する湿式法で形成する場合に比べ、導電層のシート抵抗を小さくすることができるので優れた電磁波シールド性能を得ることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態1は、低反射特性と導電特性とをフィルムの表面及び裏面に別々に持たせるようにし、電磁波シールド性能の劣る安価な市販の湿式低反射フィルムの製造工程に、該フィルムの裏面に上記したような方法で導電層を1層形成する工程を追加するだけで低反射性能及び電磁波シールド性能の両方に優れたフィルムを製造することが可能であり、工程不良率や設備投資等による製造コスト上昇を最小限に抑えることができる。
【0048】
実施の形態2.
図8に本発明の実施の形態2に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を示す。本実施の形態2の低反射電磁波シールドフィルムは、第1の従来フィルム(市販の湿式低反射フィルム)の裏面にITO導電層14を形成後、その表面の上端部及び下端部の略中央部分にそれぞれ不図示のマスクテープを貼り、粘着剤を塗布して粘着層15を形成後にこのマスクテープを剥がすことにより、粘着層に切欠きを形成しITO導電層14を一部露出させるようにしたものである。なお、この切欠きは、表示性能に影響を及ぼさないようにするため表示画面周辺部に形成する必要がある。
【0049】
本実施の形態2においても、フィルムの接地は、実施の形態1の場合と同様、アルミニウムテープ51を用いて行う。図9(A)及び(B)を参照して本実施の形態2のフィルム53の接地方法について説明する。CRT表示面50へのフィルム53の貼付時に、接地電極としてのアルミニウムテープ51を、その一方の側が該フィルム53の粘着層の切欠きに入り込むようにフィルム53を表示面50に貼付けるとともにその他方の側を防爆バンド4に貼付け、防爆バンド4を接地する。なお、フィルム53とアルミニウムテープ51の重なり面積は実施の形態1の場合と同様22.5cm2に調整している。
【0050】
図10の表に本実施の形態2のフィルムを装着したCRTの漏洩電界強度の測定結果を示す。本実施の形態2のフィルムを貼り付けたCRTの漏洩電界は0.24V/mであり、粘着層に切欠きを設けない場合(即ち、実施の形態1のフィルムを貼り付けた場合)にくらべて電磁波シールド性能が向上し、第2の従来フィルムの場合と同等の電磁波シールド性能が得られることが確認された。
【0051】
この性能向上は、粘着層15の接地用電極(アルミニウムテープ51)と接触する部分の粘着層を除去した結果、導電層(ITO層14)と接地用電極とが直接コンタクトし、導通性が向上した効果である。
【0052】
実施の形態3.
図11に本発明の実施の形態3に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を示す。本実施の形態3のフィルムは、第1の従来フィルム(市販の湿式低反射フィルム)の裏面にITO導電層を形成後、平均粒径0.2μmのITO粒子を重量比で0.5%分散させた粘着剤を塗布することにより粘着層を形成したものである。
【0053】
なお、本実施の形態3の低反射電磁波シールドフィルムの接地は、図5(A)、(B)を参照して説明した実施の形態1の場合と同様であり、CRT表示面上端と下端に接地用電極としてのアルミニウムテープを貼付けることにより行う。
【0054】
図12の表に本実施の形態3のフィルムを装着したCRTの漏洩電界強度の測定結果を示す。本実施の形態3のフィルムを貼り付けたCRTの漏洩電界は0.23V/mであり、粘着層に導電剤を分散させない場合(即ち、実施の形態1のフィルム)にくらべて電磁波シールド性能が向上し、第2の従来フィルムの場合と同等の性能が得られることが確認された。
【0055】
この性能向上は、粘着層に導電剤(ITO)を分散させ導電性を付与した結果、導電層(ITO層)14と接地用電極(アルミニウムテープ51)の粘着層を介した導電性が向上した効果である。この導電性の向上のメカニズムについて以下に説明する。
【0056】
導電層14と接地用電極51(アルミニウムテープ51)との導通は、導電層14と接地用電極51との直接的なコンタクトまたはそれらの間の容量結合により得られると考えられる。
【0057】
図13(A)は、導電層14と接地用電極51とが直接電気的にコンタクトしている状態を示しており、この状態では粘着層14内に存在する導電剤の1個の大粒子31または複数個の小粒子32の凝集塊が導電層14と接地用電極51とを直接電気的に接続している。この場合の導電剤としては、ITO、Ni等の微小金属粒子、カーボン粒子、カーボンファイバ等を用いることができる。
【0058】
図13(B)は、導電層14と接地用電極51とが容量的に結合している状態を示しており、この状態では粘着層14内に鱗片33として分散する導電剤が微小コンデンサを形成し、該微小コンデンサが導電層14と接地用電極51とを容量的に結合している。CRTの漏洩電磁波は、主にその偏向ヨークから発生する交流電界であるので、導電剤粒子の平均面積及び濃度を制御することにより微小コンデンサの静電容量を適正な値に設定すれば、導電層14と接地用電極51との間の交流抵抗はほぼ0となり、電磁波シールド効果を得ることができる。この場合の導電剤としては、カーボングラファイト等を用いることができる。
【0059】
本実施の形態3は、粘着層に導電性を付与することにより、低反射電磁波シールドフィルムの粘着層に導通を確保するための特別の部位を設けることなく、該フィルムを接地することができる。
【0060】
【発明の効果】
請求項1及び4に記載の発明によれば、低反射特性と導電特性とをフィルムの表面及び裏面に別々に持たせるようにし、金属酸化物、金属窒化物あるいは金属フッ化物等からなる低抵抗導電層を裏面に一層追加することにより、湿式フィルムの導電性の低さを補い、電磁波シールド性能を向上させた陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムが提供される。
【0061】
請求項2及び5に記載の発明によれば、粘着層に、その接地用電極と対向する部分に切欠きを設け、導電層と接地用電極とを直接コンタクトさせることにより導通性が向上するので電磁波シールド性能が更に向上する。
【0062】
請求項3及び6に記載の発明によれば、粘着層に導電剤を分散させ導電性を付与することにより、導電層と接地用電極との該粘着層を介した導電性が向上し、電磁波シールド性能が更に向上する。
【0063】
請求項7及び8に記載の発明によれば、電極を形成する工程、及び形成した電極を防爆バンドに結合する工程の2つの工程を追加するだけでフィルムを接地し、電磁波シールド性能を得ることができる。
【0064】
請求項9に記載の発明によれば、アルミニウムテープ等の金属箔を基材とする金属テープを表示面と防爆バンドとに貼り付ける1つの工程でフィルムの接地を完了させることができる。
【0065】
請求項10に記載の発明によれば、低反射及び低漏洩電磁界の陰極線管が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるCRTの一般的構造を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を説明する図である。
【図3】湿式法で製造され、市販されている低反射電磁波シールドフィルム(第1の従来フィルム)の構成を説明する図である。
【図4】乾式法で製造され本願出願人が従来から使用している低反射電磁波シールドフィルム(第2の従来フィルム)の構成を説明する図である。
【図5】実施の形態1のフィルム及び第1の従来フィルムの接地方法を説明する図である。
【図6】第2の従来フィルムの接地方法を説明する図である。
【図7】実施の形態1のフィルム、第1の従来フィルム、第2の従来フィルムの電磁波シールド性能を比較して示す表である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を説明する図である。
【図9】実施の形態2のフィルムの接地方法を説明する図である。
【図10】実施の形態1のフィルム、実施の形態2のフィルム、第2の従来フィルムの電磁波シールド性能を比較して示す表である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る低反射電磁波シールドフィルムの構成を説明する図である。
【図12】実施の形態1のフィルム、実施の形態3のフィルム、第2の従来フィルムの電磁波シールド性能を比較して示す表である。
【図13】粘着層に導電剤を分散させた場合の導通メカニズムを説明する図である。
【符号の説明】
11 低屈折率層(フッ素系樹脂)、 12 高屈折率層(アクリル樹脂+酸化金属)、 13 PETフィルム、 14 導電層(ITO)、 15 アクリル系粘着層、 16 ITO粒子(導電剤粒子)。
Claims (10)
- 基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に順次積層された高屈折率層及び低屈折率層と、該基材フィルムの他方の面に順次積層された導電層及び粘着層とからなることを特徴とする陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルム。
- 前記粘着層が、矩形に裁断された低反射電磁波シールドフィルムの少なくとも1つの辺部に切欠きを有し、該切欠きを通して前記導電層が露出していることを特徴とする請求項1に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルム。
- 前記粘着層内に導電剤粒子を分散させたことを特徴とする請求項1に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルム。
- 基材フィルムの一方の面に高屈折率層と低屈折率層とが湿式法により順次積層されてなる低反射フィルムから陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを製造する方法であって、
前記基材フィルムの他方の面に低抵抗導電層と粘着層とを順次積層することを特徴とする陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムの製造方法。 - 前記粘着層が、矩形に裁断された低反射電磁波シールドフィルムの少なくとも1つの辺部に切欠きを有するように、前記粘着層を前記導電層に積層する際に、前記切欠きに対応するマスクを用いることを特徴とする請求項4に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムの製造方法。
- 前記粘着層内に導電剤粒子を分散させたことを特徴とする請求項4に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムの製造方法。
- 請求項1または3に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを陰極線管の表示面に貼り付ける際に、該低反射電磁波シールドフィルムを接地する方法であって、
電極部材の一端を陰極線管の防爆バンドに貼り付け、前記電極部材の他端を陰極線管の表示面に貼り付け、
前記粘着層を前記電極部材の前記他端を覆うように陰極線管の表示面に貼り付けることを特徴とする低反射電磁波シールドフィルムの接地方法。 - 請求項2に記載の陰極線管用の低反射電磁波シールドフィルムを陰極線管の表示面に貼り付ける際に、該低反射電磁波シールドフィルムを接地する方法であって、
電極部材の一端を陰極線管の防爆バンドに貼り付け、前記電極部材の他端の下面を陰極線管の表示面に貼り付け、
前記電極部材の前記他端の上面が前記導電層の露出している部分に接するように前記粘着層を前記陰極線管の表示面に貼り付けることを特徴とする低反射電磁波シールドフィルムの接地方法。 - 前記電極部材が金属箔を基材とする金属テープであることを特徴とする請求項7または8に記載の低反射電磁波シールドフィルムの接地方法。
- 請求項7から9のいずれか一項に記載の方法により接地された低反射電磁波シールドフィルムが表示面に貼り付けられていることを特徴とする陰極線管。
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2002
- 2002-06-12 JP JP2002171003A patent/JP2004022556A/ja not_active Withdrawn
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