JP2004022271A - 陰極線管 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い電流密度状態において、長時間にわたって動作させた場合に安定した電子放射特性を維持させ、しかもその製造工程を合理化させ、安価で量産性に優れた陰極線管を実現可能にする。
【解決手段】陰極40を構成する電子放射物質層42は、アルカリ土類金属(バリウム、ストロンチウム、カルシウム)酸化物からなる酸化物層に平均粒径を1.2μm以下とするスカンジウム化合物をストロンチウムに対する原子重量比で0.003乃至0.3の範囲で分散せて形成し、基体金属41は、ニッケルを主成分とする還元性金属を含みかつ電子放射物質層42と接する頂部表面41aの板厚を0.17mm以上とする。
【選択図】   図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子放射物層を有する陰極を備えた陰極線管に係り、特に高い電流密度状態で長時間にわたって動作させた場合に安定した電子放射特性を維持でき、かつその製造工程を合理化させて製造コストを低減させて高い生産性を実現可能とした陰極線管に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】
【0003】
【従来の技術】
この種の陰極線管としては、例えばカラー陰極線管、情報端末ディスプレー陰極線管、投射型陰極線管などが知られている。これらの陰極線管においては、情報の多様化や情報の高密度化に伴ってその表示面に表示される画像の高精細化が要求されている。このような要求を満たすには、陰極線管を高い電流密度で長時間にわたって動作させた場合においても、安定した電子放射特性を維持できることが必要である。
【0004】
上記の要求を満たす構造を持つ陰極線管に関しては既に多数の提案がなされている。その代表的なものとして特開平8−321250号公報を挙げることができる。また、他の例としては特開平11−288658号公報および特開2000−357464号公報などがある。
【0005】
例えば、OA機器端末用モニターに用いられるカラー陰極線管は、一般に3色の蛍光体絵素を塗布した蛍光面を有するパネル部と、電子銃を収容するネック部と、パネル部とネック部とを連接するファンネル部とから構成される真空外囲器を有している。このような構成をもつ陰極線管に用いられる電子銃は、3本の電子ビームを水平方向に発生する陰極と、この陰極に連なる複数個の電極とを有している。陰極から出射した電子ビームは、その進行方向に沿って形成される主電子レンズを通り、所要の加速および収束を受けて蛍光面方向に出射する。
【0006】
一方、蛍光面は、ドットまたはストライプ形状からなる3色の蛍光体絵素が一定の配列ピッチで配置されて構成されている。そして、蛍光面に近接して電子銃との間には、例えばシャドウマスクのような色選択機構が設置されている。
【0007】
上記陰極線管の電子銃を構成する陰極は、基体金属の頂部表面に電子放射物質層を被着形成し、ヒータによって基体金属を加熱して電子放射物質層から電子放射を行う構成となっている。この電子放射物質層としては、高電流動作特性に適するもので、基体金属と電子放射物質層の剥離を防止するために複数層、例えば2層構造が採られたものもある。この場合は、基体金属側の第1層はアルカリ土類金属(バリウム・ストロンチウム・カルシウム)共沈結晶による酸化物粒子で構成されており、上層、すなわち第2層は第1層のアルカリ土類金属酸化物粒子に希土類金属酸化物を1乃至3重量%分散したものが用いられている。
【0008】
上記第2層の希土類金属酸化物としては、バリウムとスカンジウムとの複合酸化物であるバリウムスカンデート(BaSc、BaSc、BaSc)が用いられている。これらのアルカリ土類金属酸化物(BaO,SrO,CaO)と、これに分散した希土類金属酸化物とにより構成される電子放射物質層の場合、動作温度は、通常輝度温度で1000K(727°Cb)程度である。基体金属中の還元剤はこの温度により陰極の基体金属表面に拡散し、アルカリ土類金属酸化物(BaO)と還元反応を行う。ここで基体金属の板厚が厚くなるのに伴なって長時間にわたって還元剤が表面に拡散し、この結果、長寿命となる。これらの詳細については、例えば特開平5−12983号公報に開示されている。
【0009】
一方、陰極の基体金属としては、ニッケルを主成分とし、これに還元性元素であるシリコン(Si)やマグネシウム(Mg)などを少量含有しているものが知られている。この基体金属の性状については、陰極からの電子放射のメカニズムとの関連がある。このメカニズムには諸説あるが、一般的には基体金属中の還元剤が酸化バリウム(BaO)を還元して遊離バリウム(Ba)を形成し、この遊離バリウムが電子放射物質層中を拡散し、アルカリ金属酸化物中にドナーレベルを形成することによって電子放射が行われる。
【0010】
通常、エミッション寿命は、陰極基体金属中の還元剤の消耗と、電子放射物質層中の酸化バリウム(BaO)の蒸発とによって決まるが、陰極基体金属中の還元剤の消耗に関しては、その板厚が厚くなるほど拡散に要する時間が長くなり、この結果、長寿命となる。このため、従来では、この板厚は希土類金属分布カソード以前の仕様を踏襲して約0.19mmが賞用されている。また、電子放射物質層中の酸化バリウム(BaO)の蒸発は電子放射物質層の温度で決まるが、基体金属中の還元剤の消耗に関しては、バリウムスカンデート分散の効果で低減することができる。つまり、電子放射物質層の遊離バリウム濃度が高いため、基体金属中の還元剤による酸化バリウムの還元反応が抑制され、これによって還元剤の消耗が軽減される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術では、電子放射物質層を2層構造とし、希土類金属酸化物を分散させることによって陰極の電子放射能力(高電流動作特性)および電子放射寿命特性に関しては十分に配慮されている反面、この陰極を用いた陰極線管の製造歩留まりの向上および製造工程の合理化などによる陰極線管の生産性向上については何ら考慮されていない。
【0012】
すなわち、陰極線管の生産において最も重要な問題は、陰極線管内を長期間にわたって高真空度に維持させるために要する製造コストであり、特に陰極線管が完成した初期の段階では、陰極線管内にバリウムゲッターを飛散させた後でも電子ビームによるガス放出量が多く、これによって一時的に電子放射特性が低下する。この電子放射特性の低下は製造歩留まりに影響を及ぼし、不良品として破棄される陰極線管の数量が増加する。その結果、電子放射特性の再生工程を必要とする割合が増加し、工程設備数を増大させるなどの製造コストに対する負担が大きくなる。
【0013】
また、陰極線管の製造において最も製造コストがかかるのは、陰極線管を高い真空度の雰囲気中で製造することであり、このためには陰極線管を加熱しながら脱ガス処理を行う。この排気工程の条件設定には十分な注意を払う必要がある。排気工程は陰極線管内の脱ガス処理に極めて重要である。脱ガス処理に要する温度は、例えば陰極線管パネル部の温度を少なくとも340°C程度に維持できるように設定されている。このように、陰極線管を高温度状態に設定して陰極線管内を高真空状態に維持するには、陰極線管の破壊に注意を払う必要がある。つまり、陰極線管の昇温と降温とを適宜十分に行わないと、パネル部とファンネル部との接合部が排気炉内で爆縮による破壊を起こすことから、例えば4°C/分程度の時間をかけて昇温・降温処理を行っている。
【0014】
排気炉内温度を高く設定し、昇温と降温とを適宜行うためには、陰極線管が排気炉内に留まる時間を長く取ることが必要となり、結果的に生産性を低下させ、製造コストが高くなる。これを解決することが課題の一つとなっている。
【0015】
したがって本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高い電流密度状態において長時間にわたって動作させた場合に安定した電子放射特性を維持させ、しかもその製造工程を合理化させ、安価で量産性の高い陰極線管を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による陰極線管は、内面に蛍光面を有するパネル部と、電子銃を収容したネック部と、パネル部とネック部とを連接したファンネル部とから構成された真空外囲器を少なくとも有し、電子銃が基体金属の頂部表面に電子放射物質層を有する陰極を備えた陰極線管において、上記陰極を次のような構成を持つものとした。
【0017】
すなわち、本発明による陰極線管の電子銃を構成する陰極として、電子放射物質層が少なくともストロンチウムを含む2つの成分よりなるアルカリ土類金属酸化物中にレーザ回折法によって測定した平均粒径が1.2μm以下とし、このストロンチウムに対する原子重量比を0.003乃至0.3の範囲で含むスカンジウム化合物粉末を分散させて構成する。そして、上記基体金属にニッケルを主成分とし、これに少なくとも還元性金属を含み、かつこの電子放射物質層と接する面の板厚を0.17mm以上とした。また、上記スカンジウム化合物を酸化スカンジウムまたはバリウムとスカンジウムとの複合酸化物とした。
【0018】
このような構成を有する陰極において、上記電子放射物質層に粒径の小さいスカンジウム化合物を含有させることにより、アルカリ土類金属酸化物層中の遊離バリウムの蒸発が抑制され、これを高い濃度状態で維持することができる。また、電子放射物質層を形する基体金属の頂部表面の板厚を厚くすることにより、基体金属中の還元剤の拡散距離が長くなる。
【0019】
これにより、高い電流密度状態において長時間にわたって動作させた場合に安定した電子放射特性を維持させることが可能となり、またその製造工程も合理化でき、安価で量産性の高い陰極線管を提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明による陰極線管の一実施例を示すシャドウマスク形カラー陰極線管の全体構造例を説明する断面図である。図1において、参照符号11はパネル部、12はネック部、13はファンネル部、14は蛍光面、15は多数の電子ビーム通過孔を有するシャドウマスク、16はマスクフレーム、17は磁気シールド、18はシャドウマスク懸架機構、19は3本の電子ビームBc(センター電子ビーム),Bs(2本のサイドビーム)を発射する電子銃、DYは電子ビームを水平と垂直とに偏向する偏向ヨーク、MAはピュリティ補正などを行う外部磁気装置である。
【0021】
このカラー陰極線管は、蛍光面14を内面に有するパネル部11とファンネル部13とはパネル部11とファンネル部13とで形成されるバルブ内部にシャドウマスク15および磁気シールド17等を固定したマスクフレーム16をシャドウマスク懸架機構18により装架し、パネル部11とファンネル部13とをフリットガラスにより溶着固定し、ネック部12内に電子銃19を封入して真空封止されて真空外囲器が構成されている。
【0022】
このような構成において、ネック部12に収容された電子銃19から発射された3本の電子ビームは、ネック部12とファンネル部13との遷移部分に外装された偏向ヨーク20より水平方向と垂直方向との二方向に偏向を受け、色選択機構としてのシャドウマスク15の電子ビーム通過孔を通して蛍光面14を構成する所定色の蛍光体絵素に射突することより画像が形成される。
【0023】
図2は本発明による陰極線管に用いられる電子銃の構成を説明するための平面図である。図2における参照符号20はカソード構体であり、このカソード構体20は後述する図3および図4にその一例を示す。参照符号21は第1電極(制御電極)、22は第2電極(加速電極)、23,24および25はそれぞれ第3電極,第4電極および第5電極(収束電極)、26は第6電極(陽極)、27はマルチフォームガラス、28はステムピンである。また、カソード構体20乃至第6電極26までの各電極は、一対のマルチフォームガラス27にその電極支持片を埋設して同軸上に支持固定されている。
【0024】
このような構成において、カソード構体20から発射された電子ビームは、第1電極21,第2電極22,第3電極23,第4電極24,第5電極25および第6電極26によって所要の加速および収束を受け、第6電極26から蛍光面14の方向に向かって出射される。なお、ステムピン28は、電子銃19を構成する所定の電極に必要とする電圧および画像信号を印加する端子である。
【0025】
図3は図2の要部拡大断面図である。図3において、カソード構体20はその内側にヒータ31を配置し、このヒータ31は下端でヒータサポート32と固着されている。符号33はカソードアイレットであり、このカソードアイレット33はその下端で前記カソード構体20を保持するとともにカソード支持用ビードサポート34と固着してカソード構体20を電子銃の所定の位置に固定している。
【0026】
図4は図3の要部拡大断面図である。図4において、参照符号40は陰極である。この陰極40はカップ状の基体金属41とこの基体金属41の頂部表面41aに形成された電子放射物質層42とから構成されている。符号43は円筒状陰極スリーブであり、この陰極スリーブ43は一端側を陰極40の基体金属41の側壁41bと固定し、他端側を陰極ディスク44と固定している。そして、これらの陰極40,陰極スリーブ43および陰極ディスク44でカソード構体20を構成している。
【0027】
前記基体金属41はニッケル(Ni)を主成分とし、その中に少量のシリコン(Si)およびマグネシウム(Mg)などの還元性金属を含んだ金属材料で構成され、その形状はほぼカップ状に形成されている。また、この基体金属41の電子放射物質層42を塗布した頂部表面41aの部分の板厚t1 は、この例では約0.185mmである。また、この基体金属41の側壁41bの高さhを例えば約0.7mm、その板厚t2 を約0.05mm程度に設定している。ここで、プレス加工の生産性から板厚t1 と板厚t2 との関係は、t2 /t1 =1/5乃至3/5の範囲が望ましい。この比を小さくすることで、板厚t1 を大きくできるので、基体金属41中のシリコン,マグネシウムなど還元剤が電子放射物質層42の形成面となる頂部表面41aに拡散する消耗時間が長くとれるようになり、これによって電子放射寿命特性を大幅に向上させることができる。
【0028】
なお、このカップ状の基体金属41は、陰極スリーブ43の一端を封止するように嵌合固定され、円筒状陰極スリーブ43の他端が陰極ディスク44に通常のレーザ溶接により固定されている。この円筒状陰極スリーブ43の他端側は陰極ディスク44にレーザ溶接により固定され、この円筒状陰極スリーブ43の内部にはヒータ31が収容され、陰極40を加熱している。
【0029】
電子放射物質層42は、アルカリ土類金属(バリウム、ストロンチウム、カルシウム)酸化物からなる酸化物層にスカンジウム化合物として、例えば酸化スカンジウム(Sc)をスカンジウムのストロンチウムに対する原子重量比が約0.03となるように分散させて形成されている。この場合、この電子放射物質層42は、酸化スカンジウム(Sc)を分散したバリウム・ストロンチウム・カルシウムの炭酸塩[(Ba・Sr・Ca)CO]からなり、基体金属41の頂部表面41aにスプレー法により塗布形成されている。
【0030】
この電子放射物質42は、以下に説明する方法により製作される。まず、53重量%の硝酸バリウム(BaNO)と、38重量%の硝酸ストロンチウム(SrNO)と、6重量%の硝酸カルシウム(CaNO)との混合溶液に炭酸ナトリウム(NaNO3)を添加してバリウム・ストロンチウム・カルシウムの炭酸塩[(Ba・Sr・Ca)CO]を沈殿させて粉末状の沈殿物を作製する。この例では、バリウム・ストロンチウム・カルシウムの炭酸塩[(Ba・Sr・Ca)CO]の粒子形状は、レーザ回折式粒度分布測定法により測定した平均粒径が約15μmの針状結晶である。
【0031】
次に、この粉末状沈殿物にレーザ回折式粒度分布測定法により測定した平均粒径が約0.5μmの酸化スカンジウム(Sc)を約1重量%混合し、この混合物にニトロセルロースラッカーおよび酢酸ブチルなどを適量加えてローリング混合させ、懸濁液を調整する。この例では、バリウム・ストロンチウム・カルシウムの炭酸塩[(Ba・Sr・Ca)CO]の状態で約1重量%の酸化スカンジウム(Sc)を添加することにより、スカンジウムのストロンチウムに対する原子重量比が約0.03となる懸濁液が得られる。ここで、分散する酸化スカンジウム(Sc)の粒子の形状は粉砕により作製したものであり、任意の多面体形状を有している。
【0032】
次に、この懸濁液をニッケルを主成分とするカップ状基体金属41の頂部表面41b上にスプレー法により塗布して厚さが約70μmの電子放射物質層42を形成する。
【0033】
次いで、陰極線管の真空排気工程おいて、この電子放射物質層42をヒータ31により加熱し、電子放射物質層42中のバリウム・ストロンチウム・カルシウムの炭酸塩[(Ba・Sr・Ca)CO]を熱分解することにより、バリウム・ストロンチウム・カルシウムの酸化物[(Ba・Sr・Ca)O]となり、その後、900℃乃至1100℃の雰囲気中で加熱して活性化およびエージング処理を行って所定の陰極40を形成する。
【0034】
このようにして形成された電子放射物質層42の電子放射面の輝度温度は、約750°Cbである。この輝度温度は、例えばベルジャー内で電子銃19を活性化およびエージング処理を行った後、電子放射面をシールドカップ側の方向から測定する。また、陰極線管とは別に電子銃19のみをガラス管封止して同様に活性化およびエージング処理を行った後、電子放射面をシールドカップ側の方向から測定しても良い。ここで、電子放射面の輝度温度約750°Cbとは、パイロメータによる輝度温度であり、電子放射物質層の電子放射率を考慮した真温度(動作温度)は約800°Cである。
【0035】
このように形成された電子放射物質層42を有する陰極によれば、酸化スカンジウム(Sc)を分散したバリウム・ストロンチウム・カルシウム酸化物よりなる電子放射物質層42においては、酸化スカンジウム(Sc)により蒸発し易い遊離バリウム(Ba)を拘束させ、これによって電子放射物質層42内の遊離バリウム(Ba)を高濃度状態に維持させることができるので、陰極動作温度を高くしても良好な電子放射特性が得られ、優れた高電流密度動作特性が得られることになる。
【0036】
特に,この効果は電子放射物質層中に分散した酸化スカンジウム(Sc)のトータルの表面積にほぼ比例しており、平均粒径が0.2乃至1.0μmの範囲では、遊離バリウム(Ba)の蒸発抑制効果が顕著となり、これによって陰極動作温度を高く設定することができる。
【0037】
また、前述した実施例においては、酸化スカンジウム(Sc)の含有量をストロンチウムとの重量比(スカンジウムの重量/ストロンチウムの重量)で約0.03とした場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、酸化スカンジウムの含有量をストロンチウムとの重量比で0.003未満とした場合には陰極の動作温度を高くして使用するに際して十分な電子放射寿命特性が得られない。
【0038】
ストロンチウム含有量をストロンチウムとの重量比で0.3を超える場合には酸化スカンジウムが電子放射を行わず、電子放射物質層内で電気伝導にも寄与しなくなり、電子放射特性を阻害することになる。したがって、含有量がストロンチウムとの重量比で0.003乃至0.3の範囲であれば適宜その含有量を選択することにより、前述とほぼ同様の効果が得られることになる。
【0039】
発明者等による種々の実験の繰り返しにより検討した結果、酸化スカンジウムの含有量がストロンチウムとの重量比を0.014乃至0.09の範囲に設定することにより最適の効果が得られることが確認できた。
【0040】
また、前述した実施例では、基体金属41の頂部表面41aの板厚を約0.185mmとした場合について説明したが、その板厚を0.17mm未満とすると、陰極の動作温度を高くして残留ガスに対して耐力が高く、かつ生産性の高い陰極構体を得ることができない。つまり、電子放射物質層42の改良をもって必要とする電子放射寿命特性(7時間/日で約10年)を得ることができなくなる。また、この板厚を0.17mm以上と厚くするほど優れた効果が得られる反面、熱容量が大きくなり、出画時間が遅くなる。したがって、電子放射物質層42の改良によって得られる高い電子放射寿命特性を維持しつつ、工業製品として容易に実用化でき、生産性の向上を考慮すると、その板厚は約0.3mmまでが限度となる。
【0041】
図5は本発明による陰極線管の他の実施例による構成を示す電子銃の要部拡大断面図であり、前述した図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図5において、図4と異なる点は、電子放射物質層42Aをアルカリ土類金属(バリウム、ストロンチウム、カルシウム)酸化物を組成とする第1層421と、少なくともストロンチウムを含む2つの成分よりなるアルカリ土類金属(バリウム、ストロンチウム、カルシウム)酸化物に酸化スカンジウム(Sc)をスカンジウムのストロンチウムに対する原子重量比で約0.03となるように分散させた組成とする第2層422とによって構成された2層構造とした点である。また、基体金属41の頂部表面41a上に第1層421が積層形成され、この第1層421上に第2層422を積層して形成される構造とした点である。次に、上記した電子放射物質層42Aの製造について説明する。最初に、基体金属41の頂部表面41aに前述したアルカリ土類金属炭酸塩の第1層を通常のスプレー法により約15μmの厚さに被着形成させ、次にその第1層上に前述した酸化スカンジウム(Sc)を分散させたアルカリ土類金属炭酸塩の第2層を同様のスプレー法により約45μmの厚さに被着形成させ、次いで陰極線管の真空排気工程において熱処理時に加わる熱によって第1層および第2層のアルカリ土類金属炭酸塩を熱分解させ、それぞれアルカリ土類金属酸化物に変化させることにより、電子放射物質層42Aの第1層421および第2層422を同時に形成している。
【0042】
このような構成においては、電子放射物質層42Aを第1層421と、酸化スカンジウムを分散した第2層422とから構成する2層構造とすることにより、酸化スカンジウム(Sc)の含有量が電子放射物層42A内の全体に含有するストロンチウムとの重量比で0.3乃至3.0の範囲となる。この含有量は、前述した実施例の単層の電子放射物層に分散するストロンチウムとの重量比0.003乃至0.3の範囲とほぼ同等となるので、前述した実施例と全く同様の効果が得られる。
【0043】
なお、前述した実施例においては、電子放射物質層42Aを第1層421と、第2層422との2層構造で構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1層421と第2層422とを交互に複数層にわたって積層形成する多層構造で構成しても前述と同様の効果が得られる。
【0044】
また、前述した実施例においては、スカンジウム化合物として酸化スカンジウムを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、酸化スカンジウムに代えてスカンジウムとバリウムとの複合酸化物を用いても前述と全く同様の効果が得られる。
【0045】
また、前述した実施例においては、分散する酸化スカンジウム(Sc)の含有量がストロンチウムに対する原子重量比(スカンジウムの重量/ストロンジウムの重量)で約0.03とした場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、含有量がストロンチウムに対する原子重量比で0.003乃至0.3の範囲であれば適宜その含有量を選択することにより、前述とほぼ同様の効果が得られることは勿論である。
【0046】
また、前述した実施例においては、陰極線管としてカラー陰極線管に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、情報端末ディスプレー陰極線管および投射型陰極線管などに適用しても前述と同様の効果が得られることは勿論である。
【0047】
図6は本発明を適用する他の陰極線管の断面図である。この陰極線管は単色の投射型陰極線管である。図1と同じ部位には同じ番号をつけてある。投射型陰極線管は、内面に蛍光面14を形成したパネル部11と、電子銃19を収容したネック部12と、パネル部11とネック部12とを連結するファンネル部13により真空外囲器を構成している。蛍光面14は単色の蛍光層である。真空外囲器には偏向ヨークと、電子ビームの軌道を修正する補正用磁気装置CYと、速度変調コイルVMCとが外装されている。偏向ヨークDYはネック部12とファンネル部13の遷移領域に外装されている。速度変調コイルVMCとコンバーゼンス調整のための補正用磁気装置CYとはネック部12の外周に外装されている。これらの磁界発生装置は、蛍光面側から、偏向ヨークDY、補正用磁気装置CY、速度変調コイルVMCの順に配置されている。
【0048】
本発明は上記した特許請求の範囲に記載の構成および実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、アルカリ土類金属酸化物中に平均粒径1.2μm以下とし、ストロンチウム対する原子重量比を0.003乃至0.3の範囲のスカンジウム化合物を分散させたことにより、電子放射物質層からの遊離バリウムの蒸発を抑制し、高濃度状態が保持され、優れた高電流密度動作特性が得られるので、陰極線管内の残留ガスの影響が受けにくくなり、電子放射特性の歩留まりが向上する。このため、排気工程における排気温度の低下(排気工程の期間短縮−インデックスアップ)等の排気工程を大幅に合理化でき、陰極線管の製造コストを大幅に低減できるという極めて優れた効果が得られる。
【0050】
また、本発明によれば、高電流密度動作特性が得られることから、陰極の動作温度を高くしても、良好な電子放射特性が得られるので、排気工程における加熱温度及び加熱時間の低下等の排気工程の合理化による低コスト化が実現可能となり、陰極線管の製造コストを大幅に低減できるという極めて優れた効果が得られる。
【0051】
さらに、本発明によれば、高電流密度動作特性が得られるので、寿命特性が問題となるが、基体金属の頂部表面の電子放射物質層と接する面の板厚を0.17mm以下に設定したことにより、還元剤の拡散距離を長くすることができ、これによって陰極の高い動作温度状態において良好な電子放射特性が得られるとともに、高電流動作特性が得られるので、蛍光面の輝度特性及びフォーカス特性を大幅に向上させ、大型のディスプレーモニターなどに適用して明るい画面が実現可能となるいう極めて優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による陰極線管の実施例を説明するためのシャドウマスク形カラー陰極線管の構成を示す断面図である。
【図2】本発明による陰極線管に用いられる電子銃の構成を示す平面図である。
【図3】図2に示す電子銃の要部拡大断面図である。
【図4】本発明による陰極線管の一実施例よる電子銃の構成を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明による陰極線管の他の実施例よる電子銃の構成を示す要部拡大断面図である。
【図6】本発明を適用する他の陰極線管の断面図である。
【符号の説明】
11 パネル部
12 ネック部
13 ファンネル部
14 蛍光面
15 シャドウマスク
19 電子銃
20 カソード構体
21 第1電極(制御電極)
27 マルチフォームガラス
31 ヒータ
33 アイレット
34 カソード支持用ビードサポート
40 陰極
41 基体金属
41a 頂部表面
41b 側壁
42 電子放射物質層
42A 電子放射物質層
421 電子放射物質層の第1層
422 電子放射物質層の第2層

Claims (2)

  1. 内面に蛍光面を有するパネル部と、電子銃を収容したネック部と、前記パネル部とネック部とを連接したファンネル部とから構成された真空外囲器を少なくとも有し、前記電子銃が基体金属の頂部表面に電子放射物質層を有する陰極を備えた陰極線管であって、
    前記電子放射物質層は、ストロンチウムを含むアルカリ土類金属酸化物中にレーザ回折法で測定した平均粒径が1.2μm以下、かつ前記ストロンチウムに対するスカンジウムの原子重量比(スカンジウムの重量÷ストロンチウムの重量)が0.003乃至0.3の範囲で分散したスカンジウム化合物を有し、
    前記基体金属はニッケルを主成分とし、これに少なくとも還元性金属を含み、かつ前記電子放射物質層と接する面の板厚が0.17mm以上であることを特徴とする陰極線管。
  2. 前記スカンジウム化合物が酸化スカンジウムまたはバリウムとスカンジウムとの複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。
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