JP2004022207A - 粉体のプレス成形方法および燃料電池セパレータの製造方法ならびに燃料電池セパレータ - Google Patents
粉体のプレス成形方法および燃料電池セパレータの製造方法ならびに燃料電池セパレータ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】燃料電池セパレータのように厚さの違う部分を持った成形体であっても、成形不良が少なく、寸法精度よく成形する方法を提供する。
【解決手段】外枠4並びに上下金型5,9を有するプレス成型機を用いて、表面(板面)に凹部又は凸部を有する板状成形体を得る原料粉体のプレス成型方法において、外枠4及び下金型5によって形成される空間に目的とする成形体の重量よりも多い量の原料粉体を投入した後、スキージ7により原料粉体の上部を平坦にする。次いで、成型体の凹部又は凸部形成予定領域の原料粉体の一部を除去した後、上金型9を装填して加圧成形する。
【選択図】 図2
【解決手段】外枠4並びに上下金型5,9を有するプレス成型機を用いて、表面(板面)に凹部又は凸部を有する板状成形体を得る原料粉体のプレス成型方法において、外枠4及び下金型5によって形成される空間に目的とする成形体の重量よりも多い量の原料粉体を投入した後、スキージ7により原料粉体の上部を平坦にする。次いで、成型体の凹部又は凸部形成予定領域の原料粉体の一部を除去した後、上金型9を装填して加圧成形する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体のプレス成型方法に関するものであり、特に表面に溝や凸条などの凹凸部を有する成形体の製造方法に関する。また、本発明は、この方法を利用した燃料電池セパレータの製造方法及び燃料電池セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電効率が高く環境性にも優れているエネルギー供給源として、燃料電池が注目されている。この燃料電池の中で、電解質に固体高分子を使った固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cells)が注目されている。この固体高分子型燃料電池は、電解質となるフィルム状のイオン交換膜の両側に触媒層を持ち、更にその両側には集電体が設けられ、これらが膜・電極接合体(MEA)を形成している。そして、その外側に、燃料の通り道となる溝を付けたセパレータが設けられ、MEAとセパレータとの間に水素あるいは酸素が流路が形成され、これらの全てによりセルが構成されている。このセル1枚で約0.7Vの電位差が得られる場合に、例えばこのセルを300枚重ねて直列につなぐことにより、210Vの電圧を得るスタックを構成することができる。
【0003】
このような燃料電池に用いられるセパレータは、板状の本体部の表面に細い溝(流路)が形成され、この溝は、ガス拡散電極とガスとの接触面積を増大させる目的で、セパレータの板面の主要領域(中央部)に対して蛇行して細かなピッチで形成されている。このセパレータには、供給される水素や酸素のガスを透過させないことが要求されると共に、燃料電池の集電体として機能することから、導電性に優れることが要求される。更に、セパレータとMEAとの間での導電性の悪化を防止し、また溝内を流れるガスのガス漏れやショートパスを防止するために、面精度を確保することが要求されている。
【0004】
従来、このような燃料電池セパレータとして、射出成形とともに、原料粉体をプレス成形することにより製造する方法が知られている。
【0005】
このプレス成形により得られる燃料電池セパレータは、上記の通り、板面の中央部に溝を有しているため、その平均厚さは周辺部よりも中央部の方が薄くなっている。このような形状の成形体を単純にプレス成形すると薄肉部の圧縮率が厚肉部より高くなるため成形不良が多い。また、薄肉部の密度が厚肉部の密度より高くなるため、スプリングバックも大きくなり、薄肉部の厚さが金型形状から想定される厚さよりも厚くなり、寸法精度が悪化するという問題があった。
【0006】
そこで、燃料電池セパレータのように溝を有する成形体、所謂段付き形状の成形体を製作する方法として、例えば、製品の厚肉部および薄肉部の形状に応じて下パンチを分割し、厚肉部および薄肉部に応じて各部の充填深さを独立に設定し、上パンチを下降させ加圧すると同時に分割された下パンチを厚肉部および薄肉部に応じて独立してストローク量を制御することにより、段付き形状の成形体において圧縮率を揃えかつ圧粉体の密度を均一にする技術が提案されている(特開平4−94900号公報)。
【0007】
しかしながら、このように金型を分割して独立して動かすことは設備が大がかりになりコストが高くなり、また、円筒形以外の形状では各金型を摺動可能でかつ粉が漏れないように制作することは極めて困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、原料粉体の充填状態を制御することにより表面(板面)に凹部又は凸部が設けられた板状成形体であっても、金型を分割することなく、成形不良が少なく、寸法精度のよい成形体をプレス成形することができる粉体のプレス成形方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、この粉体のプレス成形方法を利用した燃料電池セパレータの製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は寸法精度の良好な燃料電池セパレータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)の粉体のプレス成形方法は、外枠と、該外枠に上方から係合する上金型と、該外枠に下方から係合する下金型とを用いた粉体のプレス成形方法であって、該下金型が係合した外枠内に原料粉体を供給し、次いでこの粉体層の上面を平坦とするチャージ工程と、該外枠に上方から上金型を係合させて粉体をプレスして板状成形体とするプレス工程と、該成形体を脱型する脱型工程とを有し、該上金型の下面及び/又は下金型の上面に凸部が設けられ、これにより該成形体の表面に該凸部に由来した凹部が形成される粉体のプレス成形方法において、前記チャージ工程の後、前記粉体層の上面の該凸部対面箇所から一部の粉体を除去し、その後、前記プレス工程を行うことを特徴とするものである。
【0011】
かかる粉体のプレス成形方法にあっては、粉体層の上面の凹部形成予定領域から一部の原料粉体を除去した後に、下面に凸部を有した上金型を外枠に係合させてプレスすることにより、該凸部近傍での局部的なプレス圧上昇が防止ないし抑制される。これにより、全体としてほぼ均等にプレス圧を印加して成形密度ムラが全く又は殆どない均一な成形体をプレス成形することが可能となる。
【0012】
本発明(請求項3)の粉体のプレス成形方法は、外枠と、該外枠に上方から係合する上金型と、該外枠に下方から係合する下金型とを用いた粉体のプレス成形方法であって、該下金型が係合した外枠内に原料粉体を供給し、次いでこの粉体層の上面を平坦とするチャージ工程と、該外枠に上方から上金型を係合させて粉体をプレスして板状成形体とするプレス工程と、該成形体を脱型する脱型工程とを有し、該上金型の下面及び/又は下金型の上面に凹部が設けられ、これにより該成形体の表面に該凹部に由来した凸部が形成される粉体のプレス成形方法において、前記チャージ工程の後、前記粉体層の上面の一部に原料粉体を追加し、その後、前記プレス工程を行うことを特徴とするものである。
【0013】
かかる粉体のプレス成形方法にあっては、粉体層の上面の凸部形成予定領域に原料粉体を追加した後に、下面に凹部を有した上金型を外枠に係合させてプレスすることにより、該凹部近傍での局部的なプレス圧不足が防止ないし抑制される。これにより、全体としてほぼ均等にプレス圧を印加して成形密度ムラが全く又は殆どない均一な成形体をプレス成形することが可能となる。
【0014】
本発明(請求項1ないし4)の粉体のプレス成形方法によると、成形不良が防止され、成形歩留りが向上する。また、得られる成形体は、スプリングバックによる寸法誤差が無く、寸法精度に優れたものとなる。
【0015】
本発明(請求項5)の燃料電池セパレータの製造方法は、かかる本発明(請求項1ないし4)の粉体のプレス成形方法を用いて燃料電池セパレータ素板を成形し、次いでこれを焼成して燃料電池セパレータを製造するようにしたものである。
【0016】
かかる燃料電池セパレータの製造方法によると、燃料電池セパレータ素板の密度ムラが全く又は殆どなく、燃料電池セパレータ素板の寸法精度が良好であるところから、燃料電池セパレータの歩留り及び寸法精度が良好なものとなる。
【0017】
本発明によると、板面に凹部及び/又は凸部が設けられ、これにより比較的厚さが大きい厚肉部と比較的厚さが小さい薄肉部とが設けられている板状の燃料電池セパレータであって、厚肉部の厚さが0.5〜10mmであり、該厚肉部の厚さの最大値と最小値の差が200μm以下である燃料電池セパレータが提供される(請求項6)。
【0018】
また、本発明によると、板面に凹部及び/又は凸部が設けられ、これにより該燃料電池セパレータには比較的厚さが大きい厚肉部と比較的厚さが小さい薄肉部とが設けられている燃料電池セパレータにおいて、該厚肉部の厚さが0.5〜10mmであり、
(該厚肉部の厚さの最大値と最小値の差)/(該厚肉部の平均厚さ)<0.05である燃料電池セパレータが提供される(請求項7)。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1(a)は、本発明方法で成形しようとする燃料電池セパレータの一例を示した概略平面図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B断面の一部を示した図である。なお、図1には燃料電池セパレータの寸法の一例を記入してあるが、本発明がこれに限定されるものでないことは明らかである。
【0020】
燃料電池セパレータ1は、図1に示すように厚さ0.5〜10mm例えば約5mm程度の薄い板状物であり、その縦横の寸法は、通常50〜1000mm特に100〜500mm程度である。また、その中央部には、幅0.5〜10mm、深さ0.1〜8mm程度の細い溝2が形成されている。この細い溝2は、セパレータ1の両面または片面に対し、セパレータ1の中央部分から所定の範囲内に設けられ、蛇行して細かいピッチで形成されている。また、セパレータ1の外枠周辺には、通常溝にガスを導入又は流出するためのマニホールド3(3a,3b)が形成されている。なお、溝2は溝2aを介してマニホールド3に連通している。
【0021】
図2(a)〜(f)は、本発明(請求項1)のセパレータの成形方法を示す模式的な断面図である。セパレータ成形装置は、外枠4と、該外枠4に下方及び上方からそれぞれ係合する下金型5及び上金型9等を有している。下金型5には、セパレータ1の下面の溝2を形成するための凸条(図示せず)が形成されている。上金型9にはセパレータ1の上面の溝2を形成するための凸条(図示せず)が形成されている。
【0022】
なお、下金型5には前記マニホールド3を形成するための円柱形突起5Aが上方に突設されている。上金型9には、この突起5Aと係合する開口9Aが設けられている。
【0023】
セパレータを形成するには、まず、図2(a)に示すように、突起5Aの上面が外枠4の上面と面一となるように型組みし、次いで粉体投入装置(図示せず)によって、外枠4及び下金型5によって形成される空間に目的とする成形体の重量よりも多い量の原料粉体6を投入する。原料粉体は外枠上端部を越えて積載されてもよい。また、投入された粉体の密度を均一にするために、外枠及び下金型をプラスチックハンマー等で叩いて振動を与えたり、あるいは、投入した原料粉体を細い棒、へら等を用いてかき混ぜてもよい。
【0024】
次に、図2(b)に示すように、へら状部材(スキージ)7を用いてすり切ることにより、原料粉体の上部を平坦にすると共に原料粉体を該空間に均一に充填する。この際、かき取られた余剰の原料粉体を外枠4の側外方に除去してもよい。なお、図2(b)では粉体層の上面は外枠4の上面と面一であるが、それよりも低くされてもよい。
【0025】
次に、図2(c)に示すように、セパレータ1の溝2の形成予定領域の原料粉体の一部を、例えば、へら状部材8を用いて除去する。符号6aは、原料粉体の除去により生じた凹所を示す。
【0026】
除去する原料粉体の量は、例えば、厚肉部(セパレータ1の周縁領域)の充填厚さをT1a、薄肉部(セパレータ中央付近の凹部を有する領域)の充填厚さをT1b、厚肉部のセパレータの厚さをT2a、セパレータの凹部(溝部)の厚さをT2bとした場合、厚肉部の圧縮率T1a/T2aと薄肉部の圧縮率T1b/T2bが同じになるよう決めることが出来るが、製品の厚さむら、密度むらによって調整してもよい。
【0027】
必要であれば、さらに、図2(d)に示すように、スキージ7を再度掃引することにより、前工程で発生した余分な原料粉体を除去してもよい。
【0028】
その後、図2(e)に示すように、外枠4を下金型5に対し相対的に上昇させた後、図2(f)の通り、上金型9を装填して加圧することにより燃料電池セパレータ素板をプレス成形する。
【0029】
脱型して、得られた成形体を不活性雰囲気下加熱することにより、燃料電池セパレータを製造することができる。
【0030】
図2のプレス成形方法によると、セパレータの溝2の形成予定領域から一部の原料粉体6を除去しているので、上金型9の溝2形成用凸部(図示略)近傍で局部的に圧縮率が周囲よりも過度に高くなる現象が解消ないし緩和される。これにより、脱型後の成形体(燃料電池セパレータ素板)の密度ムラが解消されると共に、成形体の寸法精度も良好となり、燃料電池セパレータの製造歩留りが向上する。
【0031】
この図2は請求項1,2の方法を利用したものであり、図2(c)において、粉体層上面の溝2の形成予定領域から一部の原料粉体を除去している。これに対し、板面の一部に凸部を有した素板を成形するために請求項3,4の方法を利用する場合には、この図2(c)の一部粉体の除去工程の代りに、図3の通り粉体層上面の一部(好ましくは該凸部形成予定領域)に少量の原料粉体を追加し、その後、図2(e),(f)の如くしてプレス成形を行う。図示はしないが、この請求項3,4の場合、上金型の下面には凹部が設けられており、脱型して得られる成形体の上面には、該凹部に由来した凸部が形成されることになる。この方法によれば、板面に凸部を有した成形体を密度ムラなく、また高寸法精度にて成形することが可能となる。
【0032】
本発明の燃料電池セパレータの製造方法では、例えば、平均粒径が10μm以下、好ましくは1〜10μmの自己焼結性炭素質化合物微粒子と、平均粒径が10〜180μm、好ましくは50〜160μmの黒鉛質炭素微粒子を乾燥状態で撹拌混合して得た混合物に、造粒液を加えて造粒して最大粒径が3mm以下の造粒体を得て、次いで水分を除去して得られる乾燥造粒体を、上記の成形方法により成形する。次いで、この成形体を不活性雰囲気下600〜1100℃、好ましくは700〜1000℃で焼結して炭素・黒鉛複合成形体からなるセパレータとする。
【0033】
この燃料電池用セパレータの製造工程について、(1)原料粉体、(2)混合/造粒系、(3)成形系、(4)焼成系に大別して説明する。
【0034】
(1)原料粉体
本発明で用いることができる自己焼結性炭素質化合物としては、各種のものを例示することができるが、γ成分(キノリン可溶トルエン不溶成分)含有量が、3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%の自己焼結性炭素質化合物を用いることが好ましい。γ成分含有量が少なすぎると所望の強度を所定物性値の要求範囲内で発現できない。一方、γ成分含有量があまりに多すぎると、例えばコールタールのように100℃以下で溶融してしまい成形体形状の保持ができず、また自己焼結性炭素質化合物の偏在化を引き起こしてしまう恐れがある。
【0035】
本発明で用いることができる市販の自己焼結炭素質化合物の一例としては、大阪化成社製TGPシリーズ、大阪ガス社製MCMB、川崎製鉄社製KMFC、呉羽化学社製KS等を挙げることができる。
【0036】
また上記のγ成分含有量を満たす高軟化点ピッチも好適であり、この高軟化点ピッチは、コールタール、石油系重質油のいずれを出発原料にしていてもよい。また、大阪化成社製MPC−1のように空気酸化によって酸素含有量を大きくした素材であっても何ら問題はない。
【0037】
黒鉛質炭素微粒子としては、鱗片状及び土状天然黒鉛及び人造黒鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種類の黒鉛質炭素微粒子を用いることができる。好ましい天然黒鉛として例えばクロップミュール社製KPシリーズをあげることができる。黒鉛成形体製造業から供給される各種人造黒鉛も対象として選択することができる。
【0038】
燃料電池セパレータのように複雑形状の成形体を成形するためには、適切な黒鉛微粒子の粒径を選択することが好ましい。黒鉛粒子の粒径が大きい方が成形は容易となるが、微細な形状を作るためには表面形状より小さな粒径にとどめる必要がある。また、成形体表面は平滑である必要があるので、この点でもあまりに大きな粒径は不適当である。黒鉛微粒子の平均粒径は通常10〜180μm、好ましくは50〜160μmの範囲から選ぶことができる。本発明で用いることができる代表的な上市製品としては、例えばクロップミュール社のKP99.5(平均粒径92μm)、同社KFL99.5(平均粒径153μm)が挙げられる。
【0039】
黒鉛含有量は幅広く選択できるが、生成形品と炭素化成形品の寸法が同じになるように設定するためには混合物の90〜50重量部、より好ましくは85〜60重量部、更に好ましくは80〜65重量部を選択することができる。なお、この黒鉛含有量範囲は自己焼結性炭素質化合物の炭素化時焼結物性に支配される因子でもあり、自己焼結性炭素化合物特性をも踏まえて総合的に決定される。当然のことであるが黒鉛質炭素含有量が高いほど電気伝導度及び熱伝導度等の黒鉛由来特性が向上する余地がある。しかし自己焼結性炭素質化合物の焼結特性や後述する平均粒子径等が不適切であると、炭素化時に黒鉛質炭素が発泡して折角の黒鉛質炭素固有の特性を生かせなくなることもあるので、適切な設計を要する。
【0040】
黒鉛と自己焼結製炭素の配合比率を適切に選択することにより、燃料電池セパレータ素板の炭化焼時の膨張・収縮を小さくし、焼成時の破壊・変形等を防止することができる。
【0041】
(2)混合/造粒系
セパレータの厚みは燃料電池システムの重量支配因子であり、体積固有抵抗由来の内部発熱損失を支配する重要因子でもあり当然薄いほど好ましい。セパレータを自動プレス設備で成形する場合、粉体の流れ性が良いことが必要である。通常自動プレス金型での迅速且つ均一な流れ性を確保するためには造粒粉体が使用される。黒鉛粉及び炭素粉の単純混合物は、流れ性が良くない。
【0042】
平均粒径が10μm以下の微細な自己焼結性炭素質化合物と平均粒径が10〜180μmの黒鉛粒子を均一に混ぜることは、黒鉛粒子表面を自己焼結性炭素粒子で被覆して成形体に所要の特性を発現させる上できわめて重要である。この微細な粒子の均一混合にはかなりの困難が伴う。即ち擂潰機のような圧縮を伴う混合装置を用いると、鱗片状の構造を有し、圧縮によって自己成形性を発現する黒鉛粒子(特に巨大な鱗片を有する天然黒鉛)は、自己焼結性炭素質化合物粒子との混合前に黒鉛質炭素粒子同士で付着してしまい、均一に混合されなくなる。ボールミルのような粉砕機能が優先する混合機では原料(自己焼結性炭素質化合物及び黒鉛粒子)自体が粉砕されるので、やはり原料が均一に混合されない。
【0043】
ハイスピードミキサーに代表される攪拌混合機器では、回転羽根を用いて粉体を自由浮遊の状態で混合するために上記のような問題が起こりにくい。本発明者らがハイスピードミキサ(深江パウテック社製)で混合条件を探索した結果、炭素粉、黒鉛粉ともに50℃以上、好ましくは100℃前後で乾燥した後に室温から100℃の温度範囲で湿気が混合槽内に入り込まないように乾燥空気や窒素ガスでパージしながら主としてアジテータを用いた混合を行うことで極めて良好な混合状態が数分で達成できることが見出された。
【0044】
この混合粉を同じハイスピードミキサで造粒した後に乾燥で水分を除去した造粒体は、3mm以下の粒径を有することが好ましい。具体的には篩い目3mmの篩をほぼ100%通過する球状粒子が好ましい。この場合もアジテータを通常よりも高速の回転に供することで、所望の微細球状粒子を再現性良く製造できる。
【0045】
混合が終了した粉体に攪拌状態で造粒液を添加することにより、粉体が造粒される。造粒液としては種々のものを用いることができる。もっとも単純な造粒液は水である。ただし、水の場合、乾燥後の造粒体が崩壊しやすい。従って大きなコンテナで造粒粉体を輸送するような製造形態には不向きであるが、造粒・乾燥・成形がシステム化されている工場では造粒板として水を用いることができる。また、高分子凝集剤、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、蔗糖等水溶性と粘結性を兼ね備えた各種化合物を粘結助剤として水に添加することにより、強度の高い造粒体を得ることができる。プレス成形を容易にするために、粘結助剤としてはポリビニルアルコールが好ましい。
【0046】
粘結助剤は、セパレータ内にて電気化学反応に関与して腐食や発熱を起こすような元素を含まないことが好ましい。
【0047】
得られる造粒体の強度が高すぎると、プレス成形工程で所定圧力で成形しても粒が崩壊しなくなる。極端な場合成形体断面は造粒粒子の結合体として観察される。このような場合にはガス透過率に代表される所望物性が満たされなくなる。従って、粘結助剤の添加量は、造流体が適切な強度のものとなるように選定されるべきである。
【0048】
造粒装置としてハイスピードミキサーの他、フロイント産業社製の遠心転動コーティング装置(商品名グラニュレックス)を用いても、同様に微細球状粒子を製造することが出来る。
【0049】
(3)成形系
燃料電池セパレータは、その表面に複雑な形状の燃料ガス(水素)及び酸化剤(空気)の流路を形成するものが多く、片面だけに流路を形成したもの、両面に形成したものなどがある。
【0050】
上金型又は下金型の表面に凹部又は凸部を設けておくことにより、複雑な表面を有した燃料電池セパレータであっても容易にプレス成形により成形することができ、製造原価を大幅に低減することができる。なお、側面の穴などプレス成形の操作上設定が難しいものは後加工で形成することが好ましい。
【0051】
粉体をプレス成形して脱型する場合、得られた生成形体が金型より少し大きめの寸法を有するようになる、いわゆるスプリングバック現象が生じることがある。このスプリングバック現象により、脱型時に成形体が破損することがある。これを防止するため、金型に抜き代と呼ばれる微少なテーパを設けてもよい。なお、スプリングバック量は成形圧にはほとんど影響されない。なお、破壊に耐える強度を成形体に与えるためには、黒鉛の粒径の選択と造粒剤の選択が重要である。
【0052】
成形圧は0.5トン/cm2〜2トン/cm2の範囲であれば、炭素化時の線収縮率に影響を与えない。
【0053】
(4)焼成系
焼成は、酸素を遮断した雰囲気で最高温度600〜1100℃で行われることが好ましい。エネルギー節約のためには焼成温度が低い方が好ましいが、焼成温度が低すぎると製品の電気抵抗が十分小さくならないので、好ましくは、目的とするセパレータ物性に応じて温度を選択する。
【0054】
なお、本発明方法により製造された炭素化された炭素・黒鉛複合成形体に通常の切削加工機を用いて切削加工を施してセパレータ板などの製品を製造してもよい。
【0055】
本発明方法により得られる成形体の厚肉部の厚さが0.5〜10mm程度の成形体の場合、この厚肉部の厚さの最大値と最小値の差(厚さムラ)は、比較例に示すように、従来のものは200μmを超えるものであったが、本発明方法で製造することにより、200μm以下にすることができる。また、厚肉部の厚さに対する厚さムラの割合(即ち、厚肉部の厚さの最大値と最小値の差を厚肉部の平均厚さで除した値)が0.05未満である厚さムラの少ない成形体を製造することができる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定されるものではない。
【0057】
実施例1
図1に示す形状及び同図に記入した寸法の燃料電池セパレータ(縦120mm、横120mm、厚さ5mm、溝幅1mm、溝深さ1mm、成型後の重量120g)のプレス成形を行った。
【0058】
用いた原料粉体は次の通りのものである。
【0059】
天然黒鉛(クロップミュール社製KP99.5、平均粒径92μm)70重量部と自己焼結性炭素化合物(大阪化成社製TGP3500をジェットミルで粉砕した粉体)30重量部をハイスピードミキサー(深江パウテック社製LFS−GS−2J型)で混合し、さらにポリビニルアルコール水溶液(0.5wt%)42重量部を加えて造粒粉とした。これを乾燥して平均粒径0.5mmの乾燥造粒粉とし、原料粉体とした。
【0060】
(i)原料粉体の充填
工程1. 図2(a)に示すように、下金型・外枠に囲まれた空間に原料粉体130gを投入した。
工程2. 図2(b)に示すように、外枠上面をスキージ(へら状部材)7ですり切りして表面を平らにするとともに余分な原料粉体を除去した。
工程3. 図2(c)に示すように、製品薄肉部を小型のへら8で圧縮することなくすり切り除去した。
工程4. 図2(d)に示すように、さらに再度外枠上面をへら7ですり切りすることにより、工程1〜3で発生した余分な原料粉を除去した。
厚肉部の原料粉充填厚さT1aは16mm、薄肉部の原料粉平均充填厚さT1bは13.5mmであり、金型内の原料粉の密度D1は0.6g/cm2であった。
【0061】
(ii)プレス
工程5. 上金型を装着した後、成形金型をプレス機にセットした。
工程6. 面圧2.5t/cm2まで5分間で昇圧した。
工程7. 室温において、面圧2.5t/cm2で1分間保持した。
工程8. 抜圧し、プレス機から金型を取り出した。
【0062】
(iii)成形体の脱型及び寸法測定
工程9. 外枠を油圧ジャッキで押し下げ、上金型・成形体・下金型から外した。
工程10. 上金型を持ち上げ、成形体を取り出した。
工程11. マイクロメーターを用いて、得られた成形体の厚さ(厚肉部の厚さ:平面部および溝頂部の厚さ)を2cm間隔で測定した。測定結果を図4に示す。
工程12. 得られた成形体の4辺の長さをノギスで測定した。
工程13. 成形体の重量を測定した。
【0063】
得られた成形体の厚肉部の平均厚さは約5mm、重量は119g、密度は1.8g/cm3であった。なお、密度は、下記のように算出した成形体の体積と成形体の重量から求めた。
成形体体積=(平均厚さ)×(辺の長さの平均)2−(金型形状から計算した溝体積)−(4隅の穴の体積)
【0064】
次に成形体を窒素雰囲気で700℃で焼成した。焼成後の成形体の厚さを、工程11と同様にして測定した。測定結果を図5に示す。この焼成後の成形体の厚さムラ(厚肉部の厚さの最大値と最小値の差)は122μmであり、厚肉部の平均厚さに対する厚さムラの割合は、0.0247であった。焼成後の成形体の重量は111g、密度は1.6g/cm3であった。
【0065】
比較例1
実施例1において、粉体充填工程(i)の工程3及び工程4を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータのプレス成形を行った。得られた成形体の重量は124g、密度は1.8g/cm3であった。また、マイクロメーターを用いて、得られた成形体の厚さ(厚肉部の厚さ:平面部および溝頂部の厚さ)を2cm間隔で測定した結果を図6に示す。
【0066】
次に成形体を窒素雰囲気で700℃で焼成した。焼成後の成形体の厚さを、工程11と同様にして測定した。測定結果を図7に示す。この焼成後の成形体の厚さムラは292μmであり、厚さムラの割合は0.0566であった。焼成後の成形体の重量は116g、密度は1.6g/cm3であった。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池セパレータのように厚さの違う部分を持った成形体であっても、成形不良が少なく、寸法精度よく成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池セパレータの一例を示した概略図である。
【図2】本発明(請求項1)の成形方法の説明図である。
【図3】本発明(請求項3)の成形方法の説明図である。
【図4】実施例1で得られた成形体の厚さの測定結果を示す図である。
【図5】実施例1で得られた700℃焼成後の成形体の厚さの測定結果を示す図である。
【図6】比較例1で得られた成形体の厚さの測定結果を示す図である。
【図7】比較例1で得られた700℃焼成後の成形体の厚さの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 セパレータ
2 溝
3 マニホールド
4 外枠
5 下金型
6 原料粉体
7,8 へら状部材
9 上金型
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体のプレス成型方法に関するものであり、特に表面に溝や凸条などの凹凸部を有する成形体の製造方法に関する。また、本発明は、この方法を利用した燃料電池セパレータの製造方法及び燃料電池セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電効率が高く環境性にも優れているエネルギー供給源として、燃料電池が注目されている。この燃料電池の中で、電解質に固体高分子を使った固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cells)が注目されている。この固体高分子型燃料電池は、電解質となるフィルム状のイオン交換膜の両側に触媒層を持ち、更にその両側には集電体が設けられ、これらが膜・電極接合体(MEA)を形成している。そして、その外側に、燃料の通り道となる溝を付けたセパレータが設けられ、MEAとセパレータとの間に水素あるいは酸素が流路が形成され、これらの全てによりセルが構成されている。このセル1枚で約0.7Vの電位差が得られる場合に、例えばこのセルを300枚重ねて直列につなぐことにより、210Vの電圧を得るスタックを構成することができる。
【0003】
このような燃料電池に用いられるセパレータは、板状の本体部の表面に細い溝(流路)が形成され、この溝は、ガス拡散電極とガスとの接触面積を増大させる目的で、セパレータの板面の主要領域(中央部)に対して蛇行して細かなピッチで形成されている。このセパレータには、供給される水素や酸素のガスを透過させないことが要求されると共に、燃料電池の集電体として機能することから、導電性に優れることが要求される。更に、セパレータとMEAとの間での導電性の悪化を防止し、また溝内を流れるガスのガス漏れやショートパスを防止するために、面精度を確保することが要求されている。
【0004】
従来、このような燃料電池セパレータとして、射出成形とともに、原料粉体をプレス成形することにより製造する方法が知られている。
【0005】
このプレス成形により得られる燃料電池セパレータは、上記の通り、板面の中央部に溝を有しているため、その平均厚さは周辺部よりも中央部の方が薄くなっている。このような形状の成形体を単純にプレス成形すると薄肉部の圧縮率が厚肉部より高くなるため成形不良が多い。また、薄肉部の密度が厚肉部の密度より高くなるため、スプリングバックも大きくなり、薄肉部の厚さが金型形状から想定される厚さよりも厚くなり、寸法精度が悪化するという問題があった。
【0006】
そこで、燃料電池セパレータのように溝を有する成形体、所謂段付き形状の成形体を製作する方法として、例えば、製品の厚肉部および薄肉部の形状に応じて下パンチを分割し、厚肉部および薄肉部に応じて各部の充填深さを独立に設定し、上パンチを下降させ加圧すると同時に分割された下パンチを厚肉部および薄肉部に応じて独立してストローク量を制御することにより、段付き形状の成形体において圧縮率を揃えかつ圧粉体の密度を均一にする技術が提案されている(特開平4−94900号公報)。
【0007】
しかしながら、このように金型を分割して独立して動かすことは設備が大がかりになりコストが高くなり、また、円筒形以外の形状では各金型を摺動可能でかつ粉が漏れないように制作することは極めて困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、原料粉体の充填状態を制御することにより表面(板面)に凹部又は凸部が設けられた板状成形体であっても、金型を分割することなく、成形不良が少なく、寸法精度のよい成形体をプレス成形することができる粉体のプレス成形方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、この粉体のプレス成形方法を利用した燃料電池セパレータの製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は寸法精度の良好な燃料電池セパレータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)の粉体のプレス成形方法は、外枠と、該外枠に上方から係合する上金型と、該外枠に下方から係合する下金型とを用いた粉体のプレス成形方法であって、該下金型が係合した外枠内に原料粉体を供給し、次いでこの粉体層の上面を平坦とするチャージ工程と、該外枠に上方から上金型を係合させて粉体をプレスして板状成形体とするプレス工程と、該成形体を脱型する脱型工程とを有し、該上金型の下面及び/又は下金型の上面に凸部が設けられ、これにより該成形体の表面に該凸部に由来した凹部が形成される粉体のプレス成形方法において、前記チャージ工程の後、前記粉体層の上面の該凸部対面箇所から一部の粉体を除去し、その後、前記プレス工程を行うことを特徴とするものである。
【0011】
かかる粉体のプレス成形方法にあっては、粉体層の上面の凹部形成予定領域から一部の原料粉体を除去した後に、下面に凸部を有した上金型を外枠に係合させてプレスすることにより、該凸部近傍での局部的なプレス圧上昇が防止ないし抑制される。これにより、全体としてほぼ均等にプレス圧を印加して成形密度ムラが全く又は殆どない均一な成形体をプレス成形することが可能となる。
【0012】
本発明(請求項3)の粉体のプレス成形方法は、外枠と、該外枠に上方から係合する上金型と、該外枠に下方から係合する下金型とを用いた粉体のプレス成形方法であって、該下金型が係合した外枠内に原料粉体を供給し、次いでこの粉体層の上面を平坦とするチャージ工程と、該外枠に上方から上金型を係合させて粉体をプレスして板状成形体とするプレス工程と、該成形体を脱型する脱型工程とを有し、該上金型の下面及び/又は下金型の上面に凹部が設けられ、これにより該成形体の表面に該凹部に由来した凸部が形成される粉体のプレス成形方法において、前記チャージ工程の後、前記粉体層の上面の一部に原料粉体を追加し、その後、前記プレス工程を行うことを特徴とするものである。
【0013】
かかる粉体のプレス成形方法にあっては、粉体層の上面の凸部形成予定領域に原料粉体を追加した後に、下面に凹部を有した上金型を外枠に係合させてプレスすることにより、該凹部近傍での局部的なプレス圧不足が防止ないし抑制される。これにより、全体としてほぼ均等にプレス圧を印加して成形密度ムラが全く又は殆どない均一な成形体をプレス成形することが可能となる。
【0014】
本発明(請求項1ないし4)の粉体のプレス成形方法によると、成形不良が防止され、成形歩留りが向上する。また、得られる成形体は、スプリングバックによる寸法誤差が無く、寸法精度に優れたものとなる。
【0015】
本発明(請求項5)の燃料電池セパレータの製造方法は、かかる本発明(請求項1ないし4)の粉体のプレス成形方法を用いて燃料電池セパレータ素板を成形し、次いでこれを焼成して燃料電池セパレータを製造するようにしたものである。
【0016】
かかる燃料電池セパレータの製造方法によると、燃料電池セパレータ素板の密度ムラが全く又は殆どなく、燃料電池セパレータ素板の寸法精度が良好であるところから、燃料電池セパレータの歩留り及び寸法精度が良好なものとなる。
【0017】
本発明によると、板面に凹部及び/又は凸部が設けられ、これにより比較的厚さが大きい厚肉部と比較的厚さが小さい薄肉部とが設けられている板状の燃料電池セパレータであって、厚肉部の厚さが0.5〜10mmであり、該厚肉部の厚さの最大値と最小値の差が200μm以下である燃料電池セパレータが提供される(請求項6)。
【0018】
また、本発明によると、板面に凹部及び/又は凸部が設けられ、これにより該燃料電池セパレータには比較的厚さが大きい厚肉部と比較的厚さが小さい薄肉部とが設けられている燃料電池セパレータにおいて、該厚肉部の厚さが0.5〜10mmであり、
(該厚肉部の厚さの最大値と最小値の差)/(該厚肉部の平均厚さ)<0.05である燃料電池セパレータが提供される(請求項7)。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1(a)は、本発明方法で成形しようとする燃料電池セパレータの一例を示した概略平面図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B断面の一部を示した図である。なお、図1には燃料電池セパレータの寸法の一例を記入してあるが、本発明がこれに限定されるものでないことは明らかである。
【0020】
燃料電池セパレータ1は、図1に示すように厚さ0.5〜10mm例えば約5mm程度の薄い板状物であり、その縦横の寸法は、通常50〜1000mm特に100〜500mm程度である。また、その中央部には、幅0.5〜10mm、深さ0.1〜8mm程度の細い溝2が形成されている。この細い溝2は、セパレータ1の両面または片面に対し、セパレータ1の中央部分から所定の範囲内に設けられ、蛇行して細かいピッチで形成されている。また、セパレータ1の外枠周辺には、通常溝にガスを導入又は流出するためのマニホールド3(3a,3b)が形成されている。なお、溝2は溝2aを介してマニホールド3に連通している。
【0021】
図2(a)〜(f)は、本発明(請求項1)のセパレータの成形方法を示す模式的な断面図である。セパレータ成形装置は、外枠4と、該外枠4に下方及び上方からそれぞれ係合する下金型5及び上金型9等を有している。下金型5には、セパレータ1の下面の溝2を形成するための凸条(図示せず)が形成されている。上金型9にはセパレータ1の上面の溝2を形成するための凸条(図示せず)が形成されている。
【0022】
なお、下金型5には前記マニホールド3を形成するための円柱形突起5Aが上方に突設されている。上金型9には、この突起5Aと係合する開口9Aが設けられている。
【0023】
セパレータを形成するには、まず、図2(a)に示すように、突起5Aの上面が外枠4の上面と面一となるように型組みし、次いで粉体投入装置(図示せず)によって、外枠4及び下金型5によって形成される空間に目的とする成形体の重量よりも多い量の原料粉体6を投入する。原料粉体は外枠上端部を越えて積載されてもよい。また、投入された粉体の密度を均一にするために、外枠及び下金型をプラスチックハンマー等で叩いて振動を与えたり、あるいは、投入した原料粉体を細い棒、へら等を用いてかき混ぜてもよい。
【0024】
次に、図2(b)に示すように、へら状部材(スキージ)7を用いてすり切ることにより、原料粉体の上部を平坦にすると共に原料粉体を該空間に均一に充填する。この際、かき取られた余剰の原料粉体を外枠4の側外方に除去してもよい。なお、図2(b)では粉体層の上面は外枠4の上面と面一であるが、それよりも低くされてもよい。
【0025】
次に、図2(c)に示すように、セパレータ1の溝2の形成予定領域の原料粉体の一部を、例えば、へら状部材8を用いて除去する。符号6aは、原料粉体の除去により生じた凹所を示す。
【0026】
除去する原料粉体の量は、例えば、厚肉部(セパレータ1の周縁領域)の充填厚さをT1a、薄肉部(セパレータ中央付近の凹部を有する領域)の充填厚さをT1b、厚肉部のセパレータの厚さをT2a、セパレータの凹部(溝部)の厚さをT2bとした場合、厚肉部の圧縮率T1a/T2aと薄肉部の圧縮率T1b/T2bが同じになるよう決めることが出来るが、製品の厚さむら、密度むらによって調整してもよい。
【0027】
必要であれば、さらに、図2(d)に示すように、スキージ7を再度掃引することにより、前工程で発生した余分な原料粉体を除去してもよい。
【0028】
その後、図2(e)に示すように、外枠4を下金型5に対し相対的に上昇させた後、図2(f)の通り、上金型9を装填して加圧することにより燃料電池セパレータ素板をプレス成形する。
【0029】
脱型して、得られた成形体を不活性雰囲気下加熱することにより、燃料電池セパレータを製造することができる。
【0030】
図2のプレス成形方法によると、セパレータの溝2の形成予定領域から一部の原料粉体6を除去しているので、上金型9の溝2形成用凸部(図示略)近傍で局部的に圧縮率が周囲よりも過度に高くなる現象が解消ないし緩和される。これにより、脱型後の成形体(燃料電池セパレータ素板)の密度ムラが解消されると共に、成形体の寸法精度も良好となり、燃料電池セパレータの製造歩留りが向上する。
【0031】
この図2は請求項1,2の方法を利用したものであり、図2(c)において、粉体層上面の溝2の形成予定領域から一部の原料粉体を除去している。これに対し、板面の一部に凸部を有した素板を成形するために請求項3,4の方法を利用する場合には、この図2(c)の一部粉体の除去工程の代りに、図3の通り粉体層上面の一部(好ましくは該凸部形成予定領域)に少量の原料粉体を追加し、その後、図2(e),(f)の如くしてプレス成形を行う。図示はしないが、この請求項3,4の場合、上金型の下面には凹部が設けられており、脱型して得られる成形体の上面には、該凹部に由来した凸部が形成されることになる。この方法によれば、板面に凸部を有した成形体を密度ムラなく、また高寸法精度にて成形することが可能となる。
【0032】
本発明の燃料電池セパレータの製造方法では、例えば、平均粒径が10μm以下、好ましくは1〜10μmの自己焼結性炭素質化合物微粒子と、平均粒径が10〜180μm、好ましくは50〜160μmの黒鉛質炭素微粒子を乾燥状態で撹拌混合して得た混合物に、造粒液を加えて造粒して最大粒径が3mm以下の造粒体を得て、次いで水分を除去して得られる乾燥造粒体を、上記の成形方法により成形する。次いで、この成形体を不活性雰囲気下600〜1100℃、好ましくは700〜1000℃で焼結して炭素・黒鉛複合成形体からなるセパレータとする。
【0033】
この燃料電池用セパレータの製造工程について、(1)原料粉体、(2)混合/造粒系、(3)成形系、(4)焼成系に大別して説明する。
【0034】
(1)原料粉体
本発明で用いることができる自己焼結性炭素質化合物としては、各種のものを例示することができるが、γ成分(キノリン可溶トルエン不溶成分)含有量が、3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%の自己焼結性炭素質化合物を用いることが好ましい。γ成分含有量が少なすぎると所望の強度を所定物性値の要求範囲内で発現できない。一方、γ成分含有量があまりに多すぎると、例えばコールタールのように100℃以下で溶融してしまい成形体形状の保持ができず、また自己焼結性炭素質化合物の偏在化を引き起こしてしまう恐れがある。
【0035】
本発明で用いることができる市販の自己焼結炭素質化合物の一例としては、大阪化成社製TGPシリーズ、大阪ガス社製MCMB、川崎製鉄社製KMFC、呉羽化学社製KS等を挙げることができる。
【0036】
また上記のγ成分含有量を満たす高軟化点ピッチも好適であり、この高軟化点ピッチは、コールタール、石油系重質油のいずれを出発原料にしていてもよい。また、大阪化成社製MPC−1のように空気酸化によって酸素含有量を大きくした素材であっても何ら問題はない。
【0037】
黒鉛質炭素微粒子としては、鱗片状及び土状天然黒鉛及び人造黒鉛からなる群から選ばれた少なくとも1種類の黒鉛質炭素微粒子を用いることができる。好ましい天然黒鉛として例えばクロップミュール社製KPシリーズをあげることができる。黒鉛成形体製造業から供給される各種人造黒鉛も対象として選択することができる。
【0038】
燃料電池セパレータのように複雑形状の成形体を成形するためには、適切な黒鉛微粒子の粒径を選択することが好ましい。黒鉛粒子の粒径が大きい方が成形は容易となるが、微細な形状を作るためには表面形状より小さな粒径にとどめる必要がある。また、成形体表面は平滑である必要があるので、この点でもあまりに大きな粒径は不適当である。黒鉛微粒子の平均粒径は通常10〜180μm、好ましくは50〜160μmの範囲から選ぶことができる。本発明で用いることができる代表的な上市製品としては、例えばクロップミュール社のKP99.5(平均粒径92μm)、同社KFL99.5(平均粒径153μm)が挙げられる。
【0039】
黒鉛含有量は幅広く選択できるが、生成形品と炭素化成形品の寸法が同じになるように設定するためには混合物の90〜50重量部、より好ましくは85〜60重量部、更に好ましくは80〜65重量部を選択することができる。なお、この黒鉛含有量範囲は自己焼結性炭素質化合物の炭素化時焼結物性に支配される因子でもあり、自己焼結性炭素化合物特性をも踏まえて総合的に決定される。当然のことであるが黒鉛質炭素含有量が高いほど電気伝導度及び熱伝導度等の黒鉛由来特性が向上する余地がある。しかし自己焼結性炭素質化合物の焼結特性や後述する平均粒子径等が不適切であると、炭素化時に黒鉛質炭素が発泡して折角の黒鉛質炭素固有の特性を生かせなくなることもあるので、適切な設計を要する。
【0040】
黒鉛と自己焼結製炭素の配合比率を適切に選択することにより、燃料電池セパレータ素板の炭化焼時の膨張・収縮を小さくし、焼成時の破壊・変形等を防止することができる。
【0041】
(2)混合/造粒系
セパレータの厚みは燃料電池システムの重量支配因子であり、体積固有抵抗由来の内部発熱損失を支配する重要因子でもあり当然薄いほど好ましい。セパレータを自動プレス設備で成形する場合、粉体の流れ性が良いことが必要である。通常自動プレス金型での迅速且つ均一な流れ性を確保するためには造粒粉体が使用される。黒鉛粉及び炭素粉の単純混合物は、流れ性が良くない。
【0042】
平均粒径が10μm以下の微細な自己焼結性炭素質化合物と平均粒径が10〜180μmの黒鉛粒子を均一に混ぜることは、黒鉛粒子表面を自己焼結性炭素粒子で被覆して成形体に所要の特性を発現させる上できわめて重要である。この微細な粒子の均一混合にはかなりの困難が伴う。即ち擂潰機のような圧縮を伴う混合装置を用いると、鱗片状の構造を有し、圧縮によって自己成形性を発現する黒鉛粒子(特に巨大な鱗片を有する天然黒鉛)は、自己焼結性炭素質化合物粒子との混合前に黒鉛質炭素粒子同士で付着してしまい、均一に混合されなくなる。ボールミルのような粉砕機能が優先する混合機では原料(自己焼結性炭素質化合物及び黒鉛粒子)自体が粉砕されるので、やはり原料が均一に混合されない。
【0043】
ハイスピードミキサーに代表される攪拌混合機器では、回転羽根を用いて粉体を自由浮遊の状態で混合するために上記のような問題が起こりにくい。本発明者らがハイスピードミキサ(深江パウテック社製)で混合条件を探索した結果、炭素粉、黒鉛粉ともに50℃以上、好ましくは100℃前後で乾燥した後に室温から100℃の温度範囲で湿気が混合槽内に入り込まないように乾燥空気や窒素ガスでパージしながら主としてアジテータを用いた混合を行うことで極めて良好な混合状態が数分で達成できることが見出された。
【0044】
この混合粉を同じハイスピードミキサで造粒した後に乾燥で水分を除去した造粒体は、3mm以下の粒径を有することが好ましい。具体的には篩い目3mmの篩をほぼ100%通過する球状粒子が好ましい。この場合もアジテータを通常よりも高速の回転に供することで、所望の微細球状粒子を再現性良く製造できる。
【0045】
混合が終了した粉体に攪拌状態で造粒液を添加することにより、粉体が造粒される。造粒液としては種々のものを用いることができる。もっとも単純な造粒液は水である。ただし、水の場合、乾燥後の造粒体が崩壊しやすい。従って大きなコンテナで造粒粉体を輸送するような製造形態には不向きであるが、造粒・乾燥・成形がシステム化されている工場では造粒板として水を用いることができる。また、高分子凝集剤、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、蔗糖等水溶性と粘結性を兼ね備えた各種化合物を粘結助剤として水に添加することにより、強度の高い造粒体を得ることができる。プレス成形を容易にするために、粘結助剤としてはポリビニルアルコールが好ましい。
【0046】
粘結助剤は、セパレータ内にて電気化学反応に関与して腐食や発熱を起こすような元素を含まないことが好ましい。
【0047】
得られる造粒体の強度が高すぎると、プレス成形工程で所定圧力で成形しても粒が崩壊しなくなる。極端な場合成形体断面は造粒粒子の結合体として観察される。このような場合にはガス透過率に代表される所望物性が満たされなくなる。従って、粘結助剤の添加量は、造流体が適切な強度のものとなるように選定されるべきである。
【0048】
造粒装置としてハイスピードミキサーの他、フロイント産業社製の遠心転動コーティング装置(商品名グラニュレックス)を用いても、同様に微細球状粒子を製造することが出来る。
【0049】
(3)成形系
燃料電池セパレータは、その表面に複雑な形状の燃料ガス(水素)及び酸化剤(空気)の流路を形成するものが多く、片面だけに流路を形成したもの、両面に形成したものなどがある。
【0050】
上金型又は下金型の表面に凹部又は凸部を設けておくことにより、複雑な表面を有した燃料電池セパレータであっても容易にプレス成形により成形することができ、製造原価を大幅に低減することができる。なお、側面の穴などプレス成形の操作上設定が難しいものは後加工で形成することが好ましい。
【0051】
粉体をプレス成形して脱型する場合、得られた生成形体が金型より少し大きめの寸法を有するようになる、いわゆるスプリングバック現象が生じることがある。このスプリングバック現象により、脱型時に成形体が破損することがある。これを防止するため、金型に抜き代と呼ばれる微少なテーパを設けてもよい。なお、スプリングバック量は成形圧にはほとんど影響されない。なお、破壊に耐える強度を成形体に与えるためには、黒鉛の粒径の選択と造粒剤の選択が重要である。
【0052】
成形圧は0.5トン/cm2〜2トン/cm2の範囲であれば、炭素化時の線収縮率に影響を与えない。
【0053】
(4)焼成系
焼成は、酸素を遮断した雰囲気で最高温度600〜1100℃で行われることが好ましい。エネルギー節約のためには焼成温度が低い方が好ましいが、焼成温度が低すぎると製品の電気抵抗が十分小さくならないので、好ましくは、目的とするセパレータ物性に応じて温度を選択する。
【0054】
なお、本発明方法により製造された炭素化された炭素・黒鉛複合成形体に通常の切削加工機を用いて切削加工を施してセパレータ板などの製品を製造してもよい。
【0055】
本発明方法により得られる成形体の厚肉部の厚さが0.5〜10mm程度の成形体の場合、この厚肉部の厚さの最大値と最小値の差(厚さムラ)は、比較例に示すように、従来のものは200μmを超えるものであったが、本発明方法で製造することにより、200μm以下にすることができる。また、厚肉部の厚さに対する厚さムラの割合(即ち、厚肉部の厚さの最大値と最小値の差を厚肉部の平均厚さで除した値)が0.05未満である厚さムラの少ない成形体を製造することができる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定されるものではない。
【0057】
実施例1
図1に示す形状及び同図に記入した寸法の燃料電池セパレータ(縦120mm、横120mm、厚さ5mm、溝幅1mm、溝深さ1mm、成型後の重量120g)のプレス成形を行った。
【0058】
用いた原料粉体は次の通りのものである。
【0059】
天然黒鉛(クロップミュール社製KP99.5、平均粒径92μm)70重量部と自己焼結性炭素化合物(大阪化成社製TGP3500をジェットミルで粉砕した粉体)30重量部をハイスピードミキサー(深江パウテック社製LFS−GS−2J型)で混合し、さらにポリビニルアルコール水溶液(0.5wt%)42重量部を加えて造粒粉とした。これを乾燥して平均粒径0.5mmの乾燥造粒粉とし、原料粉体とした。
【0060】
(i)原料粉体の充填
工程1. 図2(a)に示すように、下金型・外枠に囲まれた空間に原料粉体130gを投入した。
工程2. 図2(b)に示すように、外枠上面をスキージ(へら状部材)7ですり切りして表面を平らにするとともに余分な原料粉体を除去した。
工程3. 図2(c)に示すように、製品薄肉部を小型のへら8で圧縮することなくすり切り除去した。
工程4. 図2(d)に示すように、さらに再度外枠上面をへら7ですり切りすることにより、工程1〜3で発生した余分な原料粉を除去した。
厚肉部の原料粉充填厚さT1aは16mm、薄肉部の原料粉平均充填厚さT1bは13.5mmであり、金型内の原料粉の密度D1は0.6g/cm2であった。
【0061】
(ii)プレス
工程5. 上金型を装着した後、成形金型をプレス機にセットした。
工程6. 面圧2.5t/cm2まで5分間で昇圧した。
工程7. 室温において、面圧2.5t/cm2で1分間保持した。
工程8. 抜圧し、プレス機から金型を取り出した。
【0062】
(iii)成形体の脱型及び寸法測定
工程9. 外枠を油圧ジャッキで押し下げ、上金型・成形体・下金型から外した。
工程10. 上金型を持ち上げ、成形体を取り出した。
工程11. マイクロメーターを用いて、得られた成形体の厚さ(厚肉部の厚さ:平面部および溝頂部の厚さ)を2cm間隔で測定した。測定結果を図4に示す。
工程12. 得られた成形体の4辺の長さをノギスで測定した。
工程13. 成形体の重量を測定した。
【0063】
得られた成形体の厚肉部の平均厚さは約5mm、重量は119g、密度は1.8g/cm3であった。なお、密度は、下記のように算出した成形体の体積と成形体の重量から求めた。
成形体体積=(平均厚さ)×(辺の長さの平均)2−(金型形状から計算した溝体積)−(4隅の穴の体積)
【0064】
次に成形体を窒素雰囲気で700℃で焼成した。焼成後の成形体の厚さを、工程11と同様にして測定した。測定結果を図5に示す。この焼成後の成形体の厚さムラ(厚肉部の厚さの最大値と最小値の差)は122μmであり、厚肉部の平均厚さに対する厚さムラの割合は、0.0247であった。焼成後の成形体の重量は111g、密度は1.6g/cm3であった。
【0065】
比較例1
実施例1において、粉体充填工程(i)の工程3及び工程4を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池用セパレータのプレス成形を行った。得られた成形体の重量は124g、密度は1.8g/cm3であった。また、マイクロメーターを用いて、得られた成形体の厚さ(厚肉部の厚さ:平面部および溝頂部の厚さ)を2cm間隔で測定した結果を図6に示す。
【0066】
次に成形体を窒素雰囲気で700℃で焼成した。焼成後の成形体の厚さを、工程11と同様にして測定した。測定結果を図7に示す。この焼成後の成形体の厚さムラは292μmであり、厚さムラの割合は0.0566であった。焼成後の成形体の重量は116g、密度は1.6g/cm3であった。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池セパレータのように厚さの違う部分を持った成形体であっても、成形不良が少なく、寸法精度よく成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池セパレータの一例を示した概略図である。
【図2】本発明(請求項1)の成形方法の説明図である。
【図3】本発明(請求項3)の成形方法の説明図である。
【図4】実施例1で得られた成形体の厚さの測定結果を示す図である。
【図5】実施例1で得られた700℃焼成後の成形体の厚さの測定結果を示す図である。
【図6】比較例1で得られた成形体の厚さの測定結果を示す図である。
【図7】比較例1で得られた700℃焼成後の成形体の厚さの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 セパレータ
2 溝
3 マニホールド
4 外枠
5 下金型
6 原料粉体
7,8 へら状部材
9 上金型
Claims (8)
- 外枠と、該外枠に上方から係合する上金型と、該外枠に下方から係合する下金型とを用いた粉体のプレス成形方法であって、
該下金型が係合した外枠内に原料粉体を供給し、次いでこの粉体層の上面を平坦とするチャージ工程と、
該外枠に上方から上金型を係合させて粉体をプレスして板状成形体とするプレス工程と、
該成形体を脱型する脱型工程とを有し、
該上金型の下面及び/又は下金型の上面に凸部が設けられ、これにより該成形体の表面に該凸部に由来した凹部が形成される粉体のプレス成形方法において、前記チャージ工程の後、前記粉体層の上面の一部の粉体を除去し、その後、前記プレス工程を行うことを特徴とする粉体のプレス成形方法。 - 請求項1において、前記一部の粉体を除去する領域は、前記凹部の形成予定領域であることを特徴とする粉体のプレス成形方法。
- 外枠と、該外枠に上方から係合する上金型と、該外枠に下方から係合する下金型とを用いた粉体のプレス成形方法であって、
該下金型が係合した外枠内に原料粉体を供給し、次いでこの粉体層の上面を平坦とするチャージ工程と、
該外枠に上方から上金型を係合させて粉体をプレスして板状成形体とするプレス工程と、
該成形体を脱型する脱型工程とを有し、
該上金型の下面及び/又は下金型の上面に凹部が設けられ、これにより成形体の表面に該凹部に由来した凸部が形成される粉体のプレス成形方法において、
前記チャージ工程の後、前記粉体層の上面の一部に原料粉体を追加し、その後、前記プレス工程を行うことを特徴とする粉体のプレス成形方法。 - 請求項3において、前記粉体を追加する領域は、前記凸部の形成予定領域であることを特徴とする粉体のプレス成形方法。
- 燃料電池セパレータ用の原料粉体をプレス成形して燃料電池セパレータ素板を成形する工程と、
該燃料電池セパレータ素板を焼成する工程とを有する燃料電池セパレータの製造方法において、
該燃料電池セパレータ素板を請求項1ないし4のいずれか1項の方法により成形することを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。 - 板状の燃料電池セパレータであって、
板面に凹部及び/又は凸部が設けられ、これにより該燃料電池セパレータには比較的厚さが大きい厚肉部と比較的厚さが小さい薄肉部とが設けられている燃料電池セパレータにおいて、
該厚肉部の厚さが0.5〜10mmであり、
該厚肉部の厚さの最大値と最小値の差が200μm以下であることを特徴とする燃料電池セパレータ。 - 板状の燃料電池セパレータであって、板面に凹部及び/又は凸部が設けられ、これにより該燃料電池セパレータには比較的厚さが大きい厚肉部と比較的厚さが小さい薄肉部とが設けられている燃料電池セパレータにおいて、
該厚肉部の厚さが0.5〜10mmであり、
(該厚肉部の厚さの最大値と最小値の差)/(該厚肉部の平均厚さ)<0.05であることを特徴とする燃料電池セパレータ。 - 請求項6又は7において、請求項5の製造方法により製造されたものであることを特徴とする燃料電池セパレータ。
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- 2002-06-12 JP JP2002171711A patent/JP2004022207A/ja active Pending
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