JP7237710B2 - 双極板の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の双極板の製造方法は、炭素で構成された第1粉末と熱可塑性樹脂材料で構成された第2粉末とを原材料として含む、レドックスフロー電池用の双極板の製造方法であって、前記第1粉末と前記第2粉末とを前記熱可塑性樹脂材料の軟化温度よりも低い温度で攪拌、混合した混合粉末を得る混合工程と、前記混合粉末を、前記熱可塑性樹脂材料の軟化温度以上である第1の温度に加熱、かつ加圧した後で冷却し、内部に微細空孔を有し密度が最密充填時の理論密度の70%以上90%未満の値とされた前駆体を得る前駆体成形工程と、前記前駆体、又は前記前駆体を機械的に加工することによって得られた前駆体加工体を、前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱する前駆体加熱工程と、加熱後の前記前駆体又は前記前駆体加工体を金型を介して加圧した後で冷却し、前記前駆体よりも高密度の前記双極板を得る双極板成形工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の双極板の製造方法において、前記第1粉末の平均粒径は1mmΦ以下であり、前記第2粉末の平均粒径は前記第1粉末の平均粒径の2倍以下とされたことを特徴とする。
本発明の双極板の製造方法において、前記熱可塑性樹脂材料は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)のいずれかであることを特徴とする。
本発明の双極板の製造方法は、前記双極板における前記第1粉末の体積比率を70%以上としたことを特徴とする。
本発明の双極板の製造方法は、前記第1粉末と前記第2粉末との混合比を第1混合比とした前記混合粉末である第1混合粉末を前記混合工程で得た後に、当該第1混合粉末を用いて前記前駆体成形工程を行うことによって第1前駆体を製造し、前記第1粉末と前記第2粉末との混合比を前記第1混合比とは異なる第2混合比とした前記混合粉末である第2混合粉末を前記混合工程で得た後に、当該第2混合粉末を用いて前記前駆体成形工程を行うことによって第2前駆体を製造し、前記第1前駆体と前記第2前駆体とを機械的に加工して組み合わせた前記前駆体加工体を製造する前駆体加工体形成工程を具備し、当該前駆体加工体に対して前記前駆体加熱工程及び前記双極板成形工程を行い、前記双極板を得ることを特徴とする。
本発明の双極板の製造方法は、前記前駆体加工体形成工程において、板状の前記第1前駆体、板状の前記第2前駆体の一方に開口部を形成し、他方を機械的加工した後に前記開口部に嵌合させて前記前駆体加工体とすることを特徴とする。
本発明の双極板の製造方法は、熱可塑性樹脂材料で構成された補強材を前記前駆体の面内方向において部分的に当接させて配置して前記前駆体加工体とし、当該前駆体加工体に対して前記前駆体加熱工程及び前記双極板成形工程を行い、前記双極板を得ることを特徴とする。
本発明の双極板の製造方法において、前記補強材の前記面内方向と垂直な厚さは0.01mm~2mmの範囲とされたことを特徴とする。
本発明の双極板の製造方法において、前記補強材はPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)のいずれかで構成されたことを特徴とする。
上記の第1粉末(炭素粉末)として、平均粒径20μmの人造黒鉛粒子(密度2.2g/cm3)を3kgと、上記の第2粉末(熱可塑性樹脂粉末)として平均粒径10μmのPE(ポリエチレン、密度0.92g/cm3)粒子を500g、前記の混合工程によって、混合した。この場合の最密充填時の理論密度は1.83g/cm3である。
第2粉末(熱可塑性樹脂粉末)として平均粒径500μmとした以外は実施例と同様にして、プリフォーム、双極板を製造した。その結果、最密充填時の理論密度は前記と同一であるのに対して、得られた双極板の密度は1.52g/cm3(前記の比率=0.83)と大幅に低下した。これは、双極板におけるボイド率が17%であることを意味し、炭素粉末間に熱可塑性樹脂が十分に充填されていないことを意味する。
実施例1において、第1粉末(炭素粉末)の平均粒径を200μmと大きくし、比較例1と同様に、第2粉末(熱可塑性樹脂粉末)の平均粒径を変化させた。その結果、第2粉末(熱可塑性樹脂粉末)の平均粒径が400μm以下の場合に、実施例1と同等の特性の双極板が得られた。すなわち、第2粉末の平均粒径が第1粉末の平均粒径の2倍を超えると、緻密な双極板を得ることが困難となることが確認された。
実施例1と同様の第1粉末(炭素粉末)が実施例1と同一量、第2粉末(熱可塑性樹脂粉末)として平均粒径10μmのPP(ポリプロピレンン、密度0.92g/cm3)が500g、前記の混合工程によって、混合された。この場合の最密充填時の理論密度は1.83g/cm3である。
ここでは、図4に示されたようなプリフォーム加工体33が製造され、これを用いて双極板が製造された。ここでは、実施例2と同様の第1粉末(炭素粉末)第2粉末(熱可塑性樹脂粉末)がそれぞれ実施例2と同一量用いられ、前記の混合工程によって、混合された。この混合粉末を用いて、実施例2と同様に実施例2と同一寸法のプリフォーム31が製造された。
ここでは、図5に示された製造方法によって、双極板が製造された。ここでは、実施例1と同様のプリフォーム30が製造された。その後、図5(a)における補強材35として、このプリフォーム30の4辺の上下両面に図5(a)における水平方向の幅100mm、厚さ0.5mmのPE製シートを、図5(a)の形態で載置して、金型41、42の間に配置して前駆体加熱工程、双極板成形工程が実施例1と同様に行われた。
実施例4において補強材35として用いられたPE製シートの代わりに、同一寸法のPP製シートを同様に用いて同様の条件で双極板51を製造した。その結果、中央部の特性は実施例4と同様であり、かつ端部から100mm程度の領域(補強部51B)では曲げ強度が中央部の1.8倍となった。このため、補強材35としてPP製シートを用いても、図5に示された製造方法を実施することによって、面内方向において異なる特性を有する双極板51を得ることができる。
実施例1と同様の第1粉末(炭素粉末)を同一量用いると共に、第2粉末(熱可塑性樹脂粉末)として、平均粒径20μmのPPS(ポリフェニレンサルファイド)粉末を730g用い、同様に混合工程が行われた。PPS樹脂の密度は1.35g/cm3であった。その後の前駆体成形工程における温度は340℃、圧力は0.5MPaとされて実施例1と同一寸法のプリフォーム30が製造された。実施例1と同様の金型を用いて、前駆体加熱工程の温度を360℃とし、双極板成形工程における圧力を25MPaとして、同様に双極板を製造した。その結果、双極板の密度は1.95g/cm3であり、前記の最密充填時の理論密度に対する比率は0.99以上であった。
10A 第1粉末(炭素粉末)
10B 第2粉末(熱可塑性樹脂粉末)
20 ミキサー
21、22 前駆体金型
30 プリフォーム(前駆体)
31 プリフォーム(第1プリフォーム:第1前駆体)
31A、32A、33、36 プリフォーム加工体(前駆体加工体)
32 プリフォーム(第2プリフォーム:第2前駆体)
32B 開口部
35 補強材
41、42 金型
50、51 双極板
51A 双極板主部
51B 補強部
Claims (9)
- 炭素で構成された第1粉末と熱可塑性樹脂材料で構成された第2粉末とを原材料として含む、レドックスフロー電池用の双極板の製造方法であって、
前記第1粉末と前記第2粉末とを前記熱可塑性樹脂材料の軟化温度よりも低い温度で攪拌、混合した混合粉末を得る混合工程と、
前記混合粉末を、前記熱可塑性樹脂材料の軟化温度以上である第1の温度に加熱、かつ加圧した後で冷却し、内部に微細空孔を有し密度が最密充填時の理論密度の70%以上90%未満の値とされた前駆体を得る前駆体成形工程と、
前記前駆体、又は前記前駆体を機械的に加工することによって得られた前駆体加工体を、前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱する前駆体加熱工程と、
加熱後の前記前駆体又は前記前駆体加工体を金型を介して加圧した後で冷却し、前記前駆体よりも高密度の前記双極板を得る双極板成形工程と、
を具備することを特徴とする双極板の製造方法。 - 前記第1粉末の平均粒径は1mmΦ以下であり、前記第2粉末の平均粒径は前記第1粉末の平均粒径の2倍以下とされたことを特徴とする請求項1に記載の双極板の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂材料は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の双極板の製造方法。
- 前記双極板における前記第1粉末の体積比率を70%以上としたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の双極板の製造方法。
- 前記第1粉末と前記第2粉末との混合比を第1混合比とした前記混合粉末である第1混合粉末を前記混合工程で得た後に、当該第1混合粉末を用いて前記前駆体成形工程を行うことによって第1前駆体を製造し、
前記第1粉末と前記第2粉末との混合比を前記第1混合比とは異なる第2混合比とした前記混合粉末である第2混合粉末を前記混合工程で得た後に、当該第2混合粉末を用いて前記前駆体成形工程を行うことによって第2前駆体を製造し、
前記第1前駆体と前記第2前駆体とを機械的に加工して組み合わせた前記前駆体加工体を製造する前駆体加工体形成工程を具備し、
当該前駆体加工体に対して前記前駆体加熱工程及び前記双極板成形工程を行い、前記双極板を得ることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の双極板の製造方法。 - 前記前駆体加工体形成工程において、板状の前記第1前駆体、板状の前記第2前駆体の一方に開口部を形成し、他方を機械的加工した後に前記開口部に嵌合させて前記前駆体加工体とすることを特徴とする請求項5に記載の双極板の製造方法。
- 熱可塑性樹脂材料で構成された補強材を前記前駆体の面内方向において部分的に当接させて配置して前記前駆体加工体とし、
当該前駆体加工体に対して前記前駆体加熱工程及び前記双極板成形工程を行い、前記双極板を得ることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の双極板の製造方法。 - 前記補強材の前記面内方向と垂直な厚さは0.01mm~2mmの範囲とされたことを特徴とする請求項7に記載の双極板の製造方法。
- 前記補強材はPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)のいずれかで構成されたことを特徴とする請求項7又は8に記載の双極板の製造方法。
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