JP2004021246A5 - - Google Patents

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【発明の名称】発泡体の粒子構造特定による吸音構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】密度30kg/m以下で気泡サイズが100μm以下の微細な気泡構造を有し気泡が独立でなく気泡壁が微孔で開泡された顕微鏡写真で示した連通気泡の硬質フェノールフォームを使用しフェノールフォームの強度不足及び脆さを補うため同一寸法形状のアルミ・ペーパー・セラミックス質等のハニカム材をフェノールフォームと合せ機械加圧により荷重をかけハニカム材の鋭い端面を工具のように使用しフェノールフォームを切断しながらハニカム材セルの中に充填し複合化された芯材を音吸収目的とした芯層材に使用することを特徴とし、ハニカム材セルに充填された100μm以下の多孔層となっている微細な気泡構造内に音を導き音圧によって振動させ運動のエネルギーとして音を吸収させることを手段とした吸音芯層材構造であり、構造体構成は音入射側に通気性のある面材を使用し通気性を妨げないように接着剤が塗布され芯層材のハニカム材面に接着する面、吸音層となる芯層はハニカム材セルに顕微鏡写真で示した気泡構造の連通気泡で硬質のフェノールフォームが充填した層、音反射面となる入射反対面は通気性のない音遮断材を芯層材のハニカム材面に接着した面の三層構造からなる吸音気泡構造を特定した吸音構造体。
【請求項2】密度30kg/m以下で気泡サイズが100μm以下の微細な気泡構造を有し気泡が独立でなく気泡壁が微孔で開泡された顕微鏡写真で示した連通気泡の硬質フェノールフォームを使用しフェノールフォームの強度不足及び脆さを補うため同一寸法形状のアルミ・ペーパー・セラミックス質等のハニカム材をフェノールフォームに合せ機械加圧により荷重をかけハニカム材の鋭い端面を工具のように使用しフェノールフォームを切断しながらハニカム材セルの中に充填し複合化された芯材を音吸収目的とした芯層材に使用することを特徴とし、ハニカム材セルに充填された100μm以下の多孔層となっている微細な気泡構造内に音を導き音圧によって振動させ運動のエネルギーとして音を吸収させることを手段とした吸音芯層構造であり、構造体構成は音入射に通気性のある繊維質又はクロス質材或いは開口加工をされた面を持った材料に通気性を妨げないように接着剤が塗布され芯層材のハニカム材面に接着する面、吸音層となる芯層はハニカム材セルに顕微鏡写真で示した気泡構造の連通気泡で硬質のフェノールフォームが充填した層、音反射面となる躯体等への取付け面は繊維又はクロス質材を芯層材のハニカム材面に接着した面の三層構造からなる吸音気泡構造を特定した吸音構造体。
【請求項3】密度30kg/m以下で気泡サイズが100μm以下の微細な気泡構造を有し気泡が独立でなく気泡壁が微孔で開泡された顕微鏡写真で示した構造の連通気泡の硬質フェノールフォームを吸音及び調湿目的として使用することを気泡構造の活用の特微とし、使用時のフォーム形態は切断状態の裸で気泡構造がむき出しのまゝで建物の躯体や設備の面体或いはパネル構造の枠内に直に充填又は取付けの手段をして使用される気泡構造を特定した連通気泡硬質フェノールフォーム構造体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
住環境及び労働環境において騒音対策は避けて通れない問題として地球規模で取上げられている。住環境においては戸建の隣接室、マンションの隣接室及び隣問題、そして道路・鉄道・飛行場・航空機・工場隣接から発生する音、又労働環境においては仕事場だからといって従来は我慢が当然とされていたが1992年の労働省通達、ISO基準に元ずく改善及び規制が開始されている。水質・空気・省エネ対策等に対し、音対策は我慢で逃避されていた分野であり技術面からは未開拓な技術領域がある。
【0002】
【従来の技術】
遮音対策の現在の技術は質量法則に基づいており、コンクリートの壁・鉛を取扱った構造等で重量を大きくし対策をする、又厚さ対策も有効な構造とされ多くはこの方法で施工をされている。軽量化対策をとる場合は、グラスウール等の繊維質層と空気層を組合わせ厚さを取った対策構造になっている。又市販されている吸音材・合成樹脂系発泡体・石膏ボード・合板等を組合せ経験を含めたアイデア構造での施工がされているが原理面では質量法則の範囲を脱していない。従って従来の遮音壁構造は全て現場施工による築造構造であり、施工が簡単で軽量な吸音性能が証明されたパネル化した製品の市販はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
軽量で現場施工の簡単な吸音材は現在の住環境及び労働環境対策において求められている。本発明は従来の遮音理論である質量法則に基づくのではなく、新しい概念として説明されているスズ理論の実践と実証により軽量で現場施工の簡単な遮音構造の発明及び発見にある。スズ理論によれば音のエネルギーを運動のエネルギーに変換させることにより軽量構造でも効果的な遮音性能が得られるとされている。つまり発泡体の適性な材質及び気泡構造を発明或いは発見できればその発泡体の多孔層となっている気泡構造内に音を導き気泡全体を音圧によって振動させ、運動のエネルギーとして音が吸収されることになる。本発明課題は発泡体を吸音層とする発泡体の適性材質及び適性気泡構造を発見し解決させることにある。市販に際しては標準化したパネル製品として性能が証明され提供できれば専門家が行う現在の現場施工による築造でなく素人でも簡単に扱え施工できる吸音パネルを市場に提供できる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明では発泡体である密度30kg/m以下で気泡サイズ100μm以下の微細な気泡構造を有し気泡が独立でなく気泡壁が無数の微孔で開泡された顕微鏡写真で示された硬質の連通気泡フェノールフォーム材に優れた吸音特性を発見し解決させた。本発見のフォームは適度な硬質度を有し微細な気泡構造と気泡を連通化させてる気泡壁の微孔は気泡の中に音を導き気泡全体及び気泡中の空気を音圧によって振動させ運動のエネルギーとして音を吸収させる理論適用の手段となる多孔質材として理想構造材であること確認した。それは微細な気泡に開いた微孔がナノ領域に入る気泡サイズをも有していることに関係していると解明できる。又この低密度で強度のないフェノールフォームの脆さを補う実用技術は軽量で強度を有するハニカム材セルの中にフォームを充填させて使用する方法が最適でありフォームはハニカム材壁で包まれ、この構成は強度及び脆さを補うだけでなく振動の外部伝播への抑止壁手段になり吸音性の増幅につながることもも確認された。本発見の気泡構造の優位性を比較証明するために独立気泡の硬質ウレタンフォームを使用し厚さ30mmの条件で対比実験をした所、JIS法に基づく垂直入射吸音率測定方法で本発見の連通気泡の硬質フェノールフォームは低周波から高周波の領域で4〜6倍の吸音率を示し周波数全域での吸音にも優位性があった。薄く軽い材料の単材で周波数全域に高い吸音性を示す特性はグラスウール系等の維質材及び他樹脂系発泡体には見られない特性を示した。理論の見方に多孔質材料の吸音特性を決定する因子として、単位面積の流れ抵抗・多孔度・空気の体積弾性率・構造が重要因子に挙げらるが本発明で特定した硬質連通気泡フェノールフォームの微細な気泡と気泡壁に開いたナノ領域にも属する微孔はこれら条件の全てを満たす気泡構造体となっており吸音性に適した材料をこの面からも証明した。従来から高温領域の断熱分野に限られ使用されている硬質フェノールフォームは連通気泡でなく独立気泡であるが材料自体の脆さ・強度不足はフェノール特有の材質特徴として持ちこれを補うため密度が40kg/m以上となる。本発明領域の密度を30kg/m以下に低くすると脆さ及び強度不足が目立ち工業用に全く使用できない範囲にされていた。本発明の工業用に使用する低密度硬質フェノールフォームの適用方法はこの面についても解決手段を見いだした。硬質フェノールフォームの脆さ及び強度不足は切断の容易な長所として利用し、欠陥はハニカム材質の軽量で高強度な特性でカバーするためハニカム材の鋭いセル端面を工具のように使用しフォームを切断しセルの中に充填することを手段として工業的に使用できることに成功した。この結果フォームが充填されハニカム複合構造体は剛性も上がり音の遮音を更に効果的に上げた。
【0005】
【発明の実施の形態】
顕微鏡写真で示された気泡サイズ100μm以下の微細な気泡構造を有し気泡が連通化し気泡壁に無数の微孔を持った硬質フェノールフォームを吸音芯材層として使用する実施の形態はセル構造がむき出しの裸板で音源と接する反射躯体の中に挿入又は当てる方法でも音吸収による遮音効果はでるが、フォーム自体の強度不足・脆さ及び気泡微粒子の飛散対策が安全面で重要でありパネル化した独立構造体にする方法が適している。パネル化する実施の方法は入射面に通気性のある材料を使用し、吸音芯層をハニカム/フォームの複合吸音層とし、吸音層を介した反射面は透過性のない反射面材として構成する。ここで重要になることはハニカム材セルに顕微鏡写真で示したフォームの使い方にある。強度がなく脆い顕微鏡写真構造の硬質フェノールフォームを補う手段が必要になる。その方法としてフォームと同一寸法形状のハニカム材を重ね合せ機械加圧で荷重を加えハニカム材セルの持つ鋭い端面を工具のように使用しフォームを押し切りしながらハニカム材セルの中に顕微鏡写真で特定した気泡構造を有する硬質フェノールフォームを充填し、ハニカム/フェノールフォーム複合吸音芯層材として形成し使用する。これによりハニカム材セルに充填された連通気泡の硬質フェノールフォームはフォームの欠陥となる強度不足及び脆さはハニカム材セルで包まれ改善される。実施の構造体形態姿はハニカム材セルに本発見の微細気泡構造を有した連通気泡の硬質フェノールフォームが充填され複合化された芯層材をサンドイッチパネルの吸音芯層材として使用することを特徴とし構造体で表面となる音入射側の面材には入射を妨げない通気性のある材料を選択する。ハニカム/フォームの複合吸音芯層を介した入射反対面となる面には透過性のない反射材料を使用し三層を接着で一体化させた構造とする。三層を一体化させる場合、入射面の接着は通気性を損なわないように芯層材のハニカム材と接着させる注意が重要となる。又反射面に使用する材料は質量の大きい材料を選択すると反射効果も高くなり遮音性が上がる。既設の建物・設備機器等に使用する方法としては既設部位面が反射面として使用できる場合は入射面の通気性維持に注意をし繊維質或いはクロス質の材料の選択で芯層のハニカム/フォーム複合材層を接着保護した三層構造体の取付けでも良い。
【0006】
【実施例】
実施例1
請求項1の実施例は24kg/mの顕微鏡写真で示した気泡構造を有する厚さ30mmの硬質フェノールフォームを気泡サイズ19mm、厚さ30mmの樹脂含浸ペーパーハニカム材のセルの中に充填しフォームの強度及び脆さはハニカム材で補った複合構造体で形成させた吸音芯層を有し音の入射側面材に通気性のある厚さ1.6mmのアルミエキスパンドメタル繊維板を使用してハニカム/フォームの複合吸音芯層のハニカム材に音入射を妨げないように接着剤を塗布し接着させた吸音面、入射音の反射は吸音芯層を介して入射する音を反射させるため透過性のない厚さ1.2mmのアルミ板反射材を芯層のハニカム/フォームの複合芯層のハニカム材に接着させた反射面の三層で構成された吸音構造体例を図2に示した。
実施例2
請求項目2の実例は24kg/mの顕微鏡写真で示した気泡構造を有する厚さ30mmの硬質フェノールフォームを気泡サイズ19mm、厚さ30mmの樹脂含浸ペーパーハニカム材のセルの中に充填しフォームの強度及び脆さはハニカム材で補った複合構造体で形成させた吸音芯層を有し入射側面材には繊維質で編んだクロス材を使用しハニカム/フォームの複合吸音芯層のハニカム材に音の入射を妨げないように接着剤で接着した吸音面、吸音層を介した反射面は取付け躯体がコンクリート面であり反射層となることから厚さ2mm繊維質グラスウール板を芯層のハニカム/フォームの複合芯層のハニカム材に接着させた三層構成として躯体面に取付ける吸音構造体例を図3に示した。
実施例3
請求項3の実例であり24kg/mの顕微鏡写真で示した気泡構造を有する厚さ30mmの硬質フェノールフォームの切出し材を吸音気泡構造の特性を生かし吸音材として躯体のコンクリート面或いは機器板に取付けた実例を図4に示した。
【0007】
【発明の効果】
効果−1 スズ理論を証明する材料発見と効果
発泡体の気泡構造内に音を導き気泡構造全体を振動させ音を運動のエネルギーとして吸収させる。この理論を実証できる適切な材料として密度24kg/mの気泡壁が硬質で気泡構造が連通し気泡サイズが100他μm以下の微細な気泡構造を持つフェノールフォーム材に発見した。効果の分かり易い比較として気泡構造が独立気泡の硬質ウレタンフォームと垂直入射吸音率測定方法により比較した結果、次記の効果が確認された。
Figure 2004021246
材料構成は入射側に通気性のある1.6mmアルミエキスパンドメタル板、吸音層は30mmの発泡体、遮断層に1.0mmアルミ板を使用し三層を接着で一体化したパネル。
効果−2 スズ理論の応用
密度23kg/mの硬質で連通気泡構造を持つフェノールフォームは単体では強度が弱く脆いためハニカム材セル構造の中にフェノールフォームを充填し使用する方法を発明しこの充填した複合材の吸音率を確認した所、フェノールフォーム単体以上に吸音性が良くなる効果を確認した。ハニカム材セルを大きな一つの気泡構造と捕らえ、ハニカム材セルの中に硬質で連通気泡構造の微細で多孔質のフェノールフォームが充填されることにより吸音効果は相乗的に良くなる。ハニカム材質による有意差は少ない。
Figure 2004021246
材料構成は音入射側に通気性のある1.6mmアルミエキスパンドメタル板、吸音層は30mmの樹脂含浸セルサイズ12mmペーパーハニカム材とフェノールフォームの複合層、入射反対面の遮断層材に1.0mmのアルミ板を使用し接着で一体化したパネル。
効果−3 スズ理論の実証:吸音層の厚さと吸音率
発泡体の気泡構造内に音を導き気泡構造全体を振動させ音を運動のエネルギーとして吸収させる。このスズ理論に合う材質及び気泡構造であれば吸音層となる気泡構造が一定厚さ層を満たせば音吸収層として十分であろうとの予測が成り立つ。本発見の材料材質によればこの理論予測を下記の実測値により証明された。
Figure 2004021246
材料構成は効果−2の条件で実施。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハニカム材セルに充填する特定した気泡サイズが100μm以下で気泡壁に無数の微孔を有した密度24/mの連通気泡の硬質フェノールフォームの顕微鏡写真である。
【図2】図1のフォームがハニカム材に充填された吸音芯層を有し入射面に繊維質・クロス質材、孔開き加工板が使用され芯層ハニカム材と通気性を維持し接着され、吸音芯層材を介しての反射面に透過性のない材料を用い芯層のハニカム材と接着で構成された吸音構造体の断面図である。
【図3】図1のフォームがハニカム材に充填された吸音層を有し入射面に繊維質・クロス質材、孔開き加工板が使用され吸音芯層のハニカム材と通気性を維持し接着され、吸音芯層を介しての面は反射面となる躯体に取付ける面であることから繊維質又はクロス質材の通気性材も使用でき、芯層のハニカム材と接着した吸音構造体の断面図である。
【図4】図1のフォームを裸の切出し材で吸音層として躯体に取付けられた吸音材の断面図である。
【符号の説明】
1 繊維・クロス質、孔開口加工板等の通気性材料である音入射側の面材
2 通気性を維持し塗布された接着剤
3 ハニカム材
4 図1で特定した気泡構造を有する連通気泡硬質フェノールフォーム
5 接着剤
6 透過性のない音反射面材
7 コンクリート・金属板等の躯体
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